JPH0677598B2 - リン酸カルシウム系硬化体の製造用複合組成物及び硬化体の製造方法 - Google Patents

リン酸カルシウム系硬化体の製造用複合組成物及び硬化体の製造方法

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JPH0677598B2
JPH0677598B2 JP63332090A JP33209088A JPH0677598B2 JP H0677598 B2 JPH0677598 B2 JP H0677598B2 JP 63332090 A JP63332090 A JP 63332090A JP 33209088 A JP33209088 A JP 33209088A JP H0677598 B2 JPH0677598 B2 JP H0677598B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「利用分野」 本考案は、リン酸カルシウム系硬化体の製造用の複合組
成物及び硬化体の製造方法に係り、さらに詳しくは医科
用あるいは歯科用セメントの材料又は骨補填材などに有
用なリン酸カルシウム系硬化体の製造用の複合組成物及
びブロック状硬化体や人工骨、人工歯根などとして有用
な硬化体の製造方法に関する。
「従来技術及びその問題点」 種々のリン酸カルシウム系化合物、特にハイドロキシア
パタイトは、優れた生体適合性を有するため、医科及び
歯科において生体材料としての使用が種々検討されてい
る。
ところで、アパタイト以外のリン酸カルシウムは、ある
特定の条件(酸性条件)下に加水分解すると、ハイドロ
キシアパタイトに転化され、同時に硬化することが知ら
れている。この性質を利用してリン酸カルシウム粉末を
歯科用あるいは医科用セメント材料として用いることが
検討されてきた(例えば、特開昭63-12705号、同62-161
206号、同59-182263号及び同59-88351号公報参照)。
リン酸カルシウムから成る粉剤は、硬化液と混練するこ
とによって硬化される。硬化体が生体組織に害を及ぼさ
ないためには、混練物が低いpHを有し、硬化反応を中性
領域において進行させることが望ましい。従来は、クエ
ン酸水溶液がこれらの条件を満たす最良のものとされて
きた。しかしながら、このようなクエン酸水溶液につい
ても、なお改良の余地が残っている。殊に、従来、広範
に用いられていたアクリルセメント等と比べると、リン
酸カルシウムとクエン酸水溶液との混練物に展延性がな
く、成形性が悪いという欠点があった。
「発明の目的」 本発明の目的は、任意の適当な方法で製造することがで
きる粉剤を使用し、高い展延性を有し、練和操作により
容易に成形することができ、硬化反応を中性領域におい
て均一かつ充分に進行させることができ、硬化後は、高
い強度を有し、生体組織為害性のないリン酸カルシウム
系硬化体を製造する複合組成物及び該硬化体の製造方法
を提供することにある。
「発明の構成」 本発明者は、鋭意研究の結果、硬化液として多糖類を粘
度が70cp以上、好ましくは100cp以上になるような量で
溶解して含む酸性水溶液を用いることにより、α−リン
酸三カルシウム及び/又はリン酸四カルシウムを含む粉
剤を用いて、成形性のよい混練物を製造することがで
き、品質の良い硬化体が得られることを見出した。本発
明はこのような知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、α−リン酸三カルシウム及び/又
はリン酸四カルシウムを含む粉剤と、カルボキシメチル
キチン、グリコールキチン、プルラン、ペクチン及びキ
トサンから成る群から選択された多糖類少なくとも1種
を酸性水溶液に、粘度が70cp以上になるような量で溶解
して含む硬化液とから成ることを特徴とするリン酸カル
シウム系硬化体製造用の複合組成物を提供するものであ
る。
本発明は、さらに、上記の粉剤と硬化液とを混練するこ
とを特徴とするリン酸カルシウム系硬化体の製造方法を
提供するものである。
本発明において使用する粉剤は、α−リン酸三カルシウ
ム若しくはリン酸四カルシウム又はこれらの混合物を必
須成分として含むものであり、場合によりさらにハイド
ロキシアパタイトあるいはβ−リン酸三カルシウムを含
んでいてもよいが、α−リン酸三カルシウム及び/又は
リン酸四カルシウムを全体の1/3以上含むことを必要と
する。これらの成分が1/3未満であると、組成物が充分
に硬化しない。ハイドロキシアパタイトあるいはβ−リ
ン酸三カルシウムを添加すると、硬化体の強度が改善さ
れるため、これらを含む粉剤を用いるのが好ましい。2
種以上のリン酸カルシウムの混合物を粉剤として用いる
場合には、その成分の混合比には特に制限はない。ま
た、これらの粉剤成分は、完全には純粋でなくてもよ
く、合成中に生じた少量の不純物を含んでいてもよい。
粉剤は、具体的には、(i)α−リン酸三カルシウム、
(ii)リン酸四カルシウム、(iii)α−リン酸三カル
シウムとリン酸四カルシウムとの混合物、(iv)α−リ
ン酸三カルシウムとハイドロキシアパタイトとの混合
物、(v)リン酸四カルシウムとハイドロキシアパタイ
トとの混合物、(vi)リン酸四カルシウムとβ−リン酸
三カルシウムとの混合物あるいは(vii)α−リン酸三
カルシウムとβ−リン酸三カルシウムとの混合物から成
るものであるのが好ましい。
粉剤に使用するα−リン酸三カルシウムは、公知の乾式
法で、炭酸カルシウムと、リン酸水素カルシウム2水和
物を550℃で2時間加熱して得られたピロリン酸カルシ
ウムを、1200℃で1時間反応させることによって製造す
るか、又は湿式法で、リン酸と水酸化カルシウムを反応
させ、1120〜1180℃以上の温度で焼成することによって
製造することができる。
また、β−リン酸三カルシウムは、公知の乾式法で、炭
酸カルシウムとピロリン酸カルシウムを1000℃で反応さ
せることによって製造するか、又は湿式法で、リン酸と
水酸化カルシウムを反応させ、800℃で1時間焼成する
ことによって製造することができる。
α−リン酸三カルシウムとβ−リン酸三カルシウムの製
造方法は、反応させた後の焼成温度が異なる。β−態か
らα−態に変わる温度は1120〜1180℃である。
リン酸四カルシウムは、炭酸カルシウムとピロリン酸カ
ルシウムとを1500℃で反応させる乾式法で製造すること
ができる。
ハイドロキシアパタイトは、炭酸カルシウムとピロリン
酸カルシウムとを水蒸気中で反応させる乾式法で製造す
るか、又はリン酸と水酸化カルシウムとを反応させる湿
式法で製造することができる。
α−リン酸三カルシウムとリン酸四カルシウムの混合粉
剤は、熱分解法により、Ca/P比が1.5を超え、1.8以下で
あるリン酸カルシウムを減圧条件下に1150℃〜1450℃の
温度で焼成するか(特開昭62-172445号公報)、又は湿
式合成法で得たハイドロキシアパタイトを大気中で1500
℃で24時間焼成することによって製造することができ
る。α−リン酸三カルシウムとリン酸四カルシウムの混
合粉剤は、別々に合成したα−リン酸三カルシウムとリ
ン酸四カルシウムを混合して調製することもできる。
また、α−リン酸三カルシウムとハイドロキシアパタイ
トの混合粉剤は、熱分解法により、Ca/P比が1.5を超
え、1.67未満であるリン酸カルシウムを1000℃以上、好
ましくは1150℃〜1450℃の温度で焼成するか又は別々に
合成したα−リン酸三カルシウムとハイドロキシアパタ
イトを混合することによって得られる(特開昭59-18226
3号公報)。
リン酸四カルシウムとハイドロキシアパタイトの混合粉
剤は、別々に合成したリン酸四カルシウムとハイドロキ
シアパタイトとを混合することによって調製される。
リン酸四カルシウムとβ−リン酸三カルシウムの混合粉
剤は、別々に合成したリン酸四カルシウムとハイドロキ
シアパタイトとを混合することによって調製される。
リン酸四カルシウムとβ−リン酸三カルシウムの混合粉
剤は、別々に合成したリン酸四カルシウムとβ−リン酸
三カルシウムとを混合することによって調製される(特
開昭59-182263号公報)。
さらに、α−リン酸三カルシウムとβ−リン酸三カルシ
ウムの混合粉剤は、リン酸と水酸化カルシウムを反応さ
せ、α−リン酸三カルシウムとβ−リン酸三カルシウム
が混在する温度で焼成するか、又は別々に合成したα−
リン酸三カルシウムとβ−リン酸三カルシウムを混合す
ることによって調製される。
一方、本発明において硬化液として使用する酸性水溶液
は、無機及び有機の各種の酸を溶解して含むものであっ
てよい。酸としては、例えばリン酸などの無機酸、又は
酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク
酸、グルタル酸、酒石酸、ポリアクリル酸などの有機酸
が挙げられる。本発明においては、これらの酸を好まし
くは25重量%以上、より好ましくは25〜55重量%の酸濃
度の水溶液として用いる。酸性水溶液の酸濃度が25重量
%未満であると、粉剤と混合することによって得られる
硬化体が所望の強度を示さない。
好ましい酸性水溶液は、例えば、約40重量%の酸濃度を
有するクエン酸溶液、約40重量%の酸濃度を有するリン
ゴ酸溶液、約40重量%の酸濃度を有するリン酸溶液及び
約25重量%の酸濃度を有するポリアクリル酸溶液であ
る。
本発明においては、前記のような各種の酸性水溶液中に
多糖類を添加・溶解させて硬化液を調製する。使用しう
る多糖類としては、カルボキシメチルキチン、グリコー
ルキチン、プルラン、ペクチン、高メトキシ化ペクチン
及びキトサンが挙げられ、特にキトサン及びカルボキシ
メチルキチンが好ましい。本明細書において、「キトサ
ン」とは、部分的又は完全に脱アセチル化されたキチン
を意味するものとする。キトサンの脱アセチル化度及び
カルボキシメチルキチン及びグリコールキチンの置換度
は、特に制限されない。
多糖類は、生じる硬化液が室温で70cp以上、好ましくは
100cp〜20000cp、さらに好ましくは500cp〜10000cpの粘
度を有するような量で酸性水溶液に溶解する。硬化液の
粘度が70cpより低いと、展延性を有するガム状練和物が
得られない。
多糖類を含有する酸性水溶液を硬化液として用いること
により、粉剤は中性領域で穏和に硬化することができ、
硬化体製造用組成物は、充分な展延性を有し、任意の複
雑な形状に容易に成形することができる。
多糖類含有硬化液中にさらに単糖類、少糖類、糖アルコ
ール及び多価アルコールのうちの1種以上を添加・溶解
することによって、硬化反応をなお一層穏和に進行させ
ることもできる。
単糖類としては、例えばグルコース、フルクトース等が
挙げられ、これらを単独で又は混合して使用することが
できる。少糖類としては、例えばサッカロース、マルト
ース、ラクトース、ラフィノース等が挙げられ、これら
を単独で又は混合して用いることができる。また、糖ア
ルコールとしては、例えばソルビット、マンニット、キ
シリット等が挙げられ、これらを単独で又は混合して用
いることができる。また、多価アルコールとしては、例
えばグリコール(例えばエチレングリコール)、グリセ
リン等が挙げられ、これらを単独で又は混合して用いる
ことができる。単糖類、少糖類、糖アルコール及び多価
アルコールを単独で又は複数種を組み合わせて用いても
よい。
単糖類、少糖類、糖アルコール及び多価アルコールのう
ちの少なくとも1種を使用すると、高い活性を有する粉
剤、例えばα−リン酸三カルシウムとリン酸四カルシウ
ムとの混合物及びα−リン酸三カルシウムとハイドロキ
シアパタイトとの混合物(熱分解により製造される)を
使用した場合にも、硬化反応は、穏和に充分に進行する
ことができる。
硬化液中の単糖類、少糖類、糖アルコール及び多価アル
コールの総濃度は、好ましくは約5〜40重量%、より好
ましくは約10〜30重量%である。これらの添加物の濃度
が約40重量%を超えると、これらの添加物が酸性水溶液
に溶解しにくくなる。
本明細書においては、上記のようにして調製された粉剤
と硬化液とを、硬化液に対する粉剤の比が重量比で約0.
4〜2.7、より好ましくは約0.4〜2.0となるように混練す
ることが好ましい。硬化液に対する粉剤の比が約0.4未
満であると、固形分が少ないため、得られる硬化体の強
度が弱くなり、一方、約2.7を超えると、粉剤と硬化液
の均一な練和が困難となるためである。
本発明による組成物を用いて得られる硬化体をさらに焼
成して機械的強度を改良することもできる。
本発明の硬化体を焼成する場合には、発泡剤、例えば過
酸化水素を組成物に添加して焼成するか又はポリスチレ
ンビーズなど、加熱により分解除去される粒子を混合し
ておき、これを熱分解によって除去することによって、
最終的に得られる焼結体を多孔性とすることもできる。
「発明の実施例」 次に、実施例に基づいて本発明を詳述するが、本発明は
これに限定されるものではない。なお、部、比及び%
は、特に断らない限り、すべて重量で示す。
実施例1 リン酸水溶液と水酸化カルシウム懸濁液を公知の方法に
よって反応させ、乾燥することによりCa/Pのモル比が1.
57のリン酸カルシウムを得た。こうして得られたリン酸
カルシウムを1200℃で1時間焼成した。得られた生成物
のX線回折図を第1図に示す。第1図には、α−リン酸
三カルシウムのピークa及びハイドロキシアパタイトの
ピークbが認められ、リン酸カルシウムの熱分解によっ
てα−リン酸三カルシウムとハイドロキシアパタイトと
の混合物が生成したことを確認できた。
このようにして得られたα−リン酸三カルシウムとハイ
ドロキシアパタイトとの混合物を粉剤とし、この粉剤1g
を、40%クエン酸水溶液にキトサンを0.5%添加した硬
化液1gと混練したところ、得られた練和物は、約10分後
に硬化し、高強度の硬化体となった。
比較例1 実施例1と同様の方法で調製した粉剤1gと40%リン酸水
溶液1gを混練したところ、大きな発熱をともなって急激
に反応し、いったん硬化したが、すぐに崩壊した。
実施例2〜5 硬化体を製造するため、実施例1と同様の方法で調製し
た粉剤1gと下記の第1表に示した組成の硬化液1gとを混
練した。
練和物は、第1表に示した時間で硬化して高強度の硬化
体を生じる。多糖類としてキトサン(商品名フローナッ
クN:共和油脂工業(株)製)を含む硬化液を用いた場合
には、粉剤と硬化液との練和物は、所望の形に容易に成
形しうる展延性のあるガム状物となった。なお、実施例
1における硬化液の粘度は1000cpであった。
実施例6 リン酸水溶液を水酸化カルシウムの懸濁液と公知の方法
で反応させ、反応生成物を乾燥してリン酸カルシウムを
得た。この生成物の同定をX線回折によって行った。そ
のX線回折図を第2図に示す。生成したリン酸カルシウ
ムは1.67のCa/Pモル比を有することが化学分析により判
った。
このリン酸カルシウムを1200℃で1時間、1.3×10-4Pa
の圧力で焼成した。得られた生成物を上記のようなX線
回折により分析し、そのX線回折図を第3図に示す。二
つの特性ピークa(α−リン酸三カルシウム)及びc
(リン酸四カルシウム)の出現により、リン酸カルシウ
ムの熱分解によってα−リン酸三カルシウムとリン酸四
カルシウムとの混合物が生成したことが照明された。
得られたα−リン酸三カルシウムとリン酸四カルシウム
との混合物を粉剤とし、この粉剤2gと45%リンゴ酸溶液
10gにグルコース3g及びカルボキシメチルキチン(商品
名CM−キチン100、(株)加ト吉製)0.2gを添加して得
られた粘度200cpの硬化液1gを混練したところ、展延性
のあるガム状練和物となり、約12分後に硬化し、高強度
の硬化体となった。
比較例2 カルボキシメチルキチンの代わりに、キトサン(商品
名:キミツキトサンF、君津化学工業(株)製)を含む
が、粘度が50cpである硬化液を用いたところ、練和物は
ガム状にならなかった。
実施例7 カルボキシメチルキチンの代わりにグリコールキチン
((株)加ト吉製)0.2gを用いた以外は、実施例6と同
様な操作を行ったところ、展延性のあるガム状練和物と
なり、約12分後に同様な硬化体が得られた。
実施例8 カルボキシメチルキチンの代わりに、高メトキシ化ペク
チン(商品名Rapid Set Baking 150SAG Mero Rousselot
Satia製)0.2gを含む粘度900cpの硬化液を用いた以外
は、実施例6と同様な操作を行ったところ、展延性のあ
るガム状練和物となり、約15分後に同様な硬化体が得ら
れた。
実施例9 カルボキシメチルキチンの代わりに、プルラン(商品名
PF20、林原(株)製)10gを用いた以外は、実施例6と
同様な操作を行ったところ、展延性のあるガム状練和物
となり、約20分後に同様な硬化体が得られた。
比較例3 カルボキシメチルキチンの代わりに、メチルセルロース
4000cp(和光鈍薬(株)製)0.2gを用いた以外は、実施
例6と同様な操作を行ったが、練和物はガム状となら
ず、展延性はなかった。約12分後に硬化した。
実施例10 リン酸水溶液を水酸化カルシウムの懸濁液と公知の方法
で反応させた。反応生成物を乾燥し、1200℃で焼成して
粉末状のα−リン酸三カルシウムを得た。これを粉剤と
し、この粉剤2gと40%クエン酸水溶液10gにキトサン
(商品名フローナックN:共和油脂工業(株)製)0.1gを
溶解した粘度6000cpの硬化液1gを混練したところ、展延
性のあるガム状練和物となり、約7分後に硬化し、高強
度の硬化体が得られた。
実施例11 リン酸水溶液を水酸化カルシウムの懸濁液と公知の方法
によって反応させた。反応生成物を乾燥し、1200℃で焼
成して粉末状のα−リン酸三カルシウムを得た。これを
粉剤とし、この粉剤2gと40%クエン酸水溶液10gにキト
サン(商品名フローナックN:共和油脂工業(株)製)0.
1gとサッカロース3gを溶解した硬化液1gを混練したとこ
ろ、展延性のあるガム状練和物となり、約10分後に硬化
し、高強度の硬化体が得られた。
実施例12 ピロリン酸カルシウムと炭酸カルシウムを公知の方法に
よって反応させ、焼成して粉末状のリン酸四カルシウム
を得た。これを粉剤とし、この粉剤2gと40%クエン酸水
溶液10gにキトサン(商品名フローナックN:共和油脂工
業(株)製)0.2gとグルコース3gを溶解した粘度16000c
pの硬化液1gを混練したところ、展延性のあるガム状練
和物となり、約5分後に硬化し、高強度の硬化体が得ら
れた。
実施例13 それぞれ公知の方法で製造したα−リン酸三カルシウム
とリン酸四カルシウムを2:1の重量比で混合して粉剤を
調製した。この粉剤2gと40%クエン酸水溶液10gにキト
サン(商品名フローナックN:共和油脂工業(株)製)0.
1gを溶解した硬化液1gを混練したところ、展延性のある
ガム状練和物となり、約5分後に硬化し、高強度の硬化
体が得られた。
実施例14 実施例13で調製した粉剤2gと40%クエン酸水溶液10gに
キトサン0.1gとサッカロース3gを溶解した硬化液1gを混
練したところ、展延性のあるガム状練和物となり、約7
分後に硬化し、高強度の硬化体が得られた。
実施例15〜27 下記の第2表に示す粉剤2g及び第2表に示す組成の液剤
1gを混練したところ、上記の実施例10〜14と同様に展延
性のあるガム状練和物が得られ、高強度の硬化体が得ら
れた。硬化するのに要した時間を第2表に示す。
なお、表中、α−TCPはα−リン酸三カルシウム、COPは
リン酸四カルシウムを意味する。
比較例4 硬化液にキトサンを添加しなかった以外は、実施例13と
同様な操作を行った。練和物は、約2分後に硬化した
が、硬化前の練和物は展延性に欠けており、成形性が悪
かった。
実施例27 実施例6で製造したα−リン酸三化とリン酸四カルシウ
ムとの混合物を粉剤とし、この粉剤2gと40%クエン酸水
溶液10gにキトサン(商品名、フローナックN、共和油
脂工業(株)製)0.1gを溶解して得た硬化液1gを混練し
た。展延性のあるガム状練和物が得られ、この練和物は
約2分後に硬化して高強度の硬化体を生じた。
比較例5 硬化液にキトサンを添加しなかった以外は、実施例38と
同様な操作を行った。練和物は、約2分後に硬化した
が、硬化前の練和物は展延性に欠けており、成形性が悪
かった。
実施例28 実施例6で製造したα−リン酸三カルシウムとリン酸四
カルシウムとの混合物を粉剤とし、この粉剤2gと40%ク
エン酸水溶液10gにキトサン(商品名、フローナック
N、共和油脂工業(株)製)0.1g及びサッカロース3gを
溶解して得た硬化液1gを混練した。展延性のあるガム状
練和物が得られ、この練和物は約9分後に硬化して高強
度の硬化体を生じた。
比較例6 硬化液にキトサンを添加しなかった以外は、実施例28と
同様な操作を行った。練和物は約10分後に硬化したが、
硬化前の練和物は展延性に欠けており、成形性が悪かっ
た。
「発明の効果」 本発明により、α−リン酸三カルシウム及び/又はリン
酸四カルシウムを必須成分として含む粉剤を用い、これ
を多糖類を溶解して含む硬化液と混練すると、練和物は
優れた展延性を示し、硬化前に任意の形状に容易に成形
することができる。硬化反応は適度に穏和に、しかも均
一に進行し、生体組織為害性のない高強度の硬化体を得
ることができる。粉剤成分として、α−リン酸三カルシ
ウム及び/又はリン酸四カルシウムにハイドロキシアパ
タイト又はβ−リン酸三カルシウムを添加すると、強度
改善に寄与する。
したがって、本発明は、使用直前に粉剤と液剤とを混練
し、展延性の状態で骨や歯などの欠損部に充填し、硬化
させるための、医科用あるいは歯科用セメント材料又は
骨補填材として有用な複合組成物を提供できるばかりで
なく、既に硬化した生体材料成形品、例えばブロック状
硬化体、人工骨、人工歯根などの硬化体を提供すること
もできる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1で製造した粉剤のX線回折図、第2
図は実施例6で製造したリン酸カルシウムのX線回折
図、第3図は実施例6で製造したリン酸カルシウムを減
圧焼成して得た粉剤のX線回折図である。 符号の説明 a……α−リン酸三カルシウムのピーク b……ハイドロキシアパタイトのピーク c……リン酸四カルシウムのピーク

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】α−リン酸三カルシウム及び/又はリン酸
    四カルシウムを含む粉剤と、カルボキシメチルキチン、
    グリコールキチン、プルラン、ペクチン及びキトサンか
    ら成る群から選択された多糖類少なくとも1種を酸性水
    溶液に、粘度が70cp以上になるような量で溶解して含む
    硬化液とから成ることを特徴とするリン酸カルシウム系
    硬化体の製造用複合組成物。
  2. 【請求項2】酸性水溶液の酸濃度が約25重量%以上であ
    る請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】酸性水溶液の酸濃度が約25〜55重量%であ
    る請求項2記載の組成物。
  4. 【請求項4】酸性水溶液が有機酸の水溶液である請求項
    1記載の組成物。
  5. 【請求項5】酸性水溶液が酢酸、乳酸、クエン酸、リン
    ゴ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、酒石酸及びポ
    リアクリル酸から成る群から選択された有機酸の水溶液
    である請求項4記載の組成物。
  6. 【請求項6】酸性水溶液が約40重量%の酸濃度を有する
    クエン酸溶液、約40重量%の酸濃度を有するリンゴ酸溶
    液及び約25重量%の酸濃度を有するポリアクリル酸溶液
    から成る群から選択されたものである請求項5記載の組
    成物。
  7. 【請求項7】酸性水溶液が無機酸の水溶液である請求項
    1記載の組成物。
  8. 【請求項8】酸性水溶液がリン酸の水溶液である請求項
    7記載の組成物。
  9. 【請求項9】酸性水溶液が約40重量%の酸濃度を有する
    リン酸水溶液である請求項8記載の組成物。
  10. 【請求項10】硬化液が100cp以上の粘度を有する請求
    項1記載の組成物。
  11. 【請求項11】多糖類がキトサンである請求項1記載の
    組成物。
  12. 【請求項12】硬化液に対する粉剤の比が重量で約0.4
    〜2.7である請求項1記載の組成物。
  13. 【請求項13】硬化液に対する粉剤の比が重量で約0.4
    〜2.0である請求項12記載の組成物。
  14. 【請求項14】硬化液がさらに、単糖類、少糖類、糖ア
    ルコール及び多価アルコールのうち少なくとも1種を含
    む請求項1記載の組成物。
  15. 【請求項15】硬化液中の単糖類、少糖類、糖アルコー
    ル及び多価アルコールのうち少なくとも1種の濃度が約
    5〜40重量%である請求項14記載の組成物。
  16. 【請求項16】硬化液中の単糖類、少糖類、糖アルコー
    ル及び多価アルコールのうちの少なくとも1種の濃度が
    約10〜30重量%である請求項15記載の組成物。
  17. 【請求項17】粉剤がα−リン酸三カルシウム及び/又
    はリン酸四カルシウムを粉剤全体の1/3以上含む請求項
    1記載の組成物。
  18. 【請求項18】粉剤がα−リン酸三カルシウム及び/又
    はリン酸四カルシウムの他に、ハイドロキシアパタイト
    及び/又はβ−リン酸三カルシウムを含む請求項1記載
    の組成物。
  19. 【請求項19】粉剤がα−リン酸三カルシウムとリン酸
    四カルシウムとの混合物である請求項17記載の組成物。
  20. 【請求項20】(1)α−リン酸三カルシウム及び/又
    はリン酸四カルシウムを含む粉剤及び (2)カルボキシメチルキチン、グリコールキチン、プ
    ルラン、ペクチン及びキトサンから成る群から選択され
    た多糖類少なくとも1種を酸性水溶液に、粘度が70cp以
    上になるような量で溶解して含む硬化液 を混練して硬化体を形成する工程を含むことを特徴とす
    るリン酸カルシウム系硬化体の製造方法。
  21. 【請求項21】混練後、得られた硬化体を焼成する請求
    項20記載の硬化体の製造方法。
  22. 【請求項22】多糖類の他に、単糖類、少糖類、糖アル
    コール及び多価アルコールのうちの少なくとも1種を含
    む硬化液を混練する請求項20記載の硬化体の製造方法。
  23. 【請求項23】粉剤としてα−リン酸三カルシウム及び
    /又はリン酸四カルシウムを粉剤全体の1/3以上含む粉
    剤を用いる請求項20記載の硬化体の製造方法。
  24. 【請求項24】粉剤としてα−リン酸三カルシウム及び
    /又はリン酸四カルシウムの他に、ハイドロキシアパタ
    イト及び/又はβ−リン酸三カルシウムを含む粉剤を用
    いる請求項20記載の硬化体の製造方法。
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