JPH0676815A - 鉛蓄電池用陽極板及びその製造方法 - Google Patents

鉛蓄電池用陽極板及びその製造方法

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JPH0676815A
JPH0676815A JP4308438A JP30843892A JPH0676815A JP H0676815 A JPH0676815 A JP H0676815A JP 4308438 A JP4308438 A JP 4308438A JP 30843892 A JP30843892 A JP 30843892A JP H0676815 A JPH0676815 A JP H0676815A
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仁彦 乾
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康司 松村
Kensuke Hironaka
健介 弘中
Ichiro Mukoya
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 化成効率が高く、高容量で寿命の長い鉛蓄電
池用陽極板を得る。 【構成】 三塩基性硫酸鉛と鉛丹と水とを混練した活物
質ペーストまたは鉛丹と水と硫酸とを混練した活物質ペ
ーストを集電体に塗布して内側活物質ペースト層を形成
する。次にこの内側活物質ペースト層の上に鉛丹と水と
を混練した活物質ペーストを充填して外側活物質ペース
ト層を形成して未乾燥極板をつくる。この未乾燥極板を
乾燥した後に化成を行って鉛蓄電池用極板を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鉛蓄電池用陽極板及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の鉛蓄電池用陽極板は次のようにし
て製造する。まず一酸化鉛粉末と希硫酸と水とを混合し
て活物質ペーストを作り、この活物質ペーストを鉛また
は鉛合金の集電体に充填して未乾燥極板を作る。次に、
この未乾燥極板を熟成、乾燥して活物質中に三塩基性硫
酸鉛を生成した後に、化成を行って鉛蓄電池用陽極板を
製造する。このように活物質ペーストの原料として一酸
化鉛粉末だけを用いると、熟成、乾燥及び化成を経て極
板を完成するまでに要する時間が最低でも3〜4日かか
るという問題がある。そこで、鉛丹(四酸化三鉛)を主
成分とする酸化鉛と水とを混練した混練物、または鉛丹
を主成分とする酸化鉛と希硫酸とを混練した混練物を活
物質ペーストとして用いることが提案された。鉛丹は熟
成を行わなくても化成時に硫酸と反応して二酸化鉛(P
bO2 )を生成する上、化成に必要な理論電気量も活物
質ペーストの原料として一酸化鉛粉末を用いた極板に比
べて約65%程度低くなる。そのため、このような混練
物を活物質ペーストとして用いると化成効率の高い鉛蓄
電池用陽極板を短時間で製造することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、鉛丹を
水で混練した活物質ペーストを集電体に充填した未乾燥
極板は、化成時に電解液(希硫酸)に接触し易い表面部
分での化成効率は高いものの、極板内部に硫酸が浸透す
るのに時間がかかるために、極板内部での化成効率は低
い。図7は同一条件で化成(低比重硫酸溶液中にて課電
量250%で化成)した厚みの異なる極板を用いて作っ
た複数の2V−2Ahの電池について1CAで放電を行っ
て調べた極板の厚みと放電時間との関係を示す図であ
る。図7に示すように極板が厚くなるほど内部が化成さ
れ難くなり、放電時間が短く(初期容量が低下)なるの
が判る。また、このように鉛丹を水で混練した活物質ペ
ーストは、粘度が低いために、水分が遊離しやすい。そ
のため、活物質ペーストの充填時や乾燥時に活物質が収
縮して多孔度が低下し、その結果、容量が低下するとい
う問題があった。
【0004】また水で混練する代りに希硫酸で鉛丹を混
練した活物質ペーストを用いた場合には、希硫酸と鉛丹
とが反応してできる二酸化鉛や硫酸鉛の相互間の結合力
が弱いために、活物質相互間の結合力が十分に大きくな
らず、電池の寿命が短くなるという問題があった。
【0005】本発明の目的は、高容量で長寿命な鉛蓄電
池用陽極板と、該鉛蓄電池用陽極板を化成効率を高めて
短時間で製造する方法とを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明では、集
電体に活物質ペーストを充填して未乾燥極板を作り、こ
の未乾燥極板を乾燥した後に化成を行って鉛蓄電池用陽
極板を製造する方法を対象にして、三塩基性硫酸鉛と鉛
丹と水とを混練した活物質ペーストを集電体に充填し、
活物質ペースト層を形成して未乾燥極板を作る。
【0007】請求項2の発明では、請求項1の発明の製
造方法において、三塩基性硫酸鉛の鉛丹に対する重量比
を20〜40%とする。
【0008】請求項3の発明は請求項1の発明の方法で
製造した陽極板の結晶構造を特定するものであり、集電
体に活物質が保持される鉛蓄電池用陽極板を対象にし
て、活物質を各部の寸法が1μm 以下の角柱状の二酸化
鉛(鉛丹から作られたもの)に球状または平板状の二酸
化鉛(三塩基性硫酸鉛から作られたもの)が結合した結
晶構造を有する活物質層により構成する。
【0009】請求項4の発明では、請求項3の発明にお
いて、活物質層の比表面積を10 m2 /g以上にする。
【0010】請求項5の発明では、集電体に活物質ペー
ストを充填して未乾燥極板を作り、この未乾燥極板を乾
燥した後に化成を行って鉛蓄電池用極板を製造する方法
を対象にして、三塩基性硫酸鉛と鉛丹と水とを混練した
活物質ペーストを集電体に充填して内側活物質ペースト
層を形成する工程と、鉛丹と水とを混練した活物質ペー
ストを内側活物質ペースト層の上に充填して外側活物質
ペースト層を形成する工程とによって未乾燥極板を製造
する。
【0011】請求項6の発明は請求項5の発明の方法で
製造した陽極板の結晶構造を特定するものであり、集電
体に活物質が保持されてなる鉛蓄電池用陽極板を対象に
して、活物質を各部の寸法が1μm 以下の角柱状の二酸
化鉛(鉛丹から作られたもの)に球状または平板状の二
酸化鉛(三塩基性硫酸鉛から作られたもの)が結合した
結晶構造を有する内側活物質層と、各部の寸法が1μm
以下の角柱状の二酸化鉛の結晶構造を有する外側活物質
層とから構成する。
【0012】
【作用】従来の鉛蓄電池用極板の製造方法では熟成工程
で三塩基性硫酸鉛を生成していたが、請求項1の発明の
ように、三塩基性硫酸鉛と鉛丹と水とを混練した活物質
ペーストを集電体に充填して活物質ペースト層を形成す
ると、従来行っていた熟成工程を行わずに陽極板を製造
することができる。また化成の際に、三塩基性硫酸鉛は
容易に二酸化鉛(PbO2 )となるため、活物質ペース
ト層に電解液(希硫酸)がまだ十分に浸透しない段階で
も、早期に二酸化鉛(PbO2 )を生成することができ
る。そのため、従来に比べて陽極板の化成効率を高める
ことができて、陽極板の製造時間を大幅に短縮できる。
またこのような活物質ペーストは粘度が比較的高いた
め、従来の鉛丹を水で混練した活物質ペーストのように
水分が遊離して多孔度が低下することがない。また、本
発明によれば、未乾燥極板を乾燥する際に、三塩基性硫
酸鉛が硫酸鉛及び酸化鉛と溶解析出反応を起こすか、ま
たは鉛丹が活物質ペースト中の酸化鉛に含まれている少
量の鉛と下記の反応式により水酸化鉛(Pb(O
H)2 )を生成し、この水酸化鉛が溶解析出反応を起こ
すので、活物質相互間の結合が強くなる。
【0013】 Pb3 4 +Pb+4H2 O→4Pb(OH)2 また、三塩基性硫酸鉛と集電体(Pb)との溶解析出反
応または下記の反応式のような鉛丹と集電体(Pb)と
の反応により集電体と活物質との結合力も高めることが
できる。
【0014】Pb3 4 +Pb→4PbO 従って、本発明によれば、活物質相互間の結合力及び集
電体と活物質との結合力を高めて電池の寿命特性を向上
させることができる。尚、従来の鉛丹を希硫酸で混練し
た活物質ペーストを用いる製造方法では鉛丹が希硫酸と
反応して二酸化鉛になってしまうため、本発明のように
活物質強度を高めることができない。
【0015】請求項2の発明のように、三塩基性硫酸鉛
の鉛丹に対する重量比を20〜40%とすると、高容量
で長寿命な電池に用いる陽極板を得ることができる。重
量比が20%を下回ると活物質ペーストの粘度が低下し
て活物質の多孔度が低くなり容量が低下する上、活物質
同志の結合力が低下してサイクル寿命特性が低下する。
重量比が40%を上回ると鉛丹の含有量が低下するため
化成効率が低下して容量が低下する上、化成不良による
低級酸化物(PbOx )が増加してサイクル寿命特性が
低下する。
【0016】請求項3の発明のように、各部の寸法が1
μm 以下の角柱状の二酸化鉛に球状または平板状の二酸
化鉛が結合した結晶構造を有する活物質層から活物質を
構成すると、活物質層の比表面積が高くなる上、活物質
層の結合強度が高くなるので、高容量で長寿命の電池を
得ることができる。角柱状の二酸化鉛が1μm を超える
と細孔は大きくなるものの、結晶同志の接触面積(結合
面積)が小さくなり活物質層の結合強度は低下する。
【0017】請求項4の発明のように、活物質層の比表
面積を10 m2 /g以上にすると活物質と電解液との反応
面積が増加して電池が高容量になる。
【0018】請求項1の発明の方法で陽極板を製造する
と、従来の製造方法に比べて化成効率を高めることがで
きるものの、容量を高めるために活物質層の厚みを厚く
した場合には、化成効率は低下する。これは極板の表面
側に位置する活物質中の酸化鉛が硫酸鉛化して体積膨脹
が起こり、化成時に極板の表面部分の細孔が小さくなっ
て、活物質内部への電解液の拡散率が低下するためであ
る。そこで、請求項5の発明の方法では、三塩基性硫酸
鉛と鉛丹と水とを混練した活物質ペーストからなる活物
質ペースト層を内側活物質ペースト層とし、その外側に
鉛丹と水とを混練した活物質ペーストからなる外側活物
質ペースト層を設けた。この外側活物質ペースト層は電
解液の極板内への拡散を大きく抑制することがないた
め、本発明によれば容量を高くして、しかも化成効率を
向上させることができる。尚、鉛丹を水で混練した活物
質ペーストは、集電体のように表面が滑らかな所に充填
すると活物質が収縮して多孔度が低下するが、内側活物
質ペースト層のように表面が凹凸な所に充填するとこの
凹凸部に活物質ペーストが入り込むため、活物質は収縮
せず多孔度は低下しない。
【0019】請求項6の発明のように、各部の寸法が1
μm 以下の角柱状の二酸化鉛に球状または平板状の二酸
化鉛が結合した結晶構造を有する内側活物質層と、各部
の寸法が1μm 以下の角柱状の二酸化鉛の結晶構造を有
する外側活物質層とから活物質を構成すると、内側活物
質層は結合強度が高くなり、外側活物質層は電解液の浸
透性が高くなるので、長寿命で高容量の電池を得ること
ができる。
【0020】
【実施例】以下に本発明の実施例を詳細に説明する。
【0021】[実施例1]この実施例では次のようにし
て鉛蓄電池用陽極板を作った。まず一酸化鉛の粉末0.
8kgに比重1.26の硫酸203.6ml加えて混練して
三塩基性硫酸鉛を作った。次にこの三塩基性硫酸鉛0.
9gと鉛丹2.1kgと水320mlとを混練して活物質ペ
ーストを作り、この活物質ペーストを鉛合金の格子体か
らなる集電体に充填して厚み2.5mmの活物質ペースト
層を形成した。尚、三塩基性硫酸鉛の鉛丹に対する好ま
しい重量範囲は20〜40%であり、この実施例では3
0重量%であった。この未乾燥極板を乾燥した後に課電
量300%で化成を行うと、活物質ペースト層は各部の
寸法が1μm 以下の角柱状の二酸化鉛(鉛丹から作られ
たもの)に球状または平板状の二酸化鉛(三塩基性硫酸
鉛から作られたもの)が結合した結晶構造を有する活物
質層になる。
【0022】次に本実施例の方法で製造した鉛蓄電池用
陽極板の特性を調べるために、4種類の陽極板a1 〜d
1 を作り試験を行った。陽極板a1 は本実施例の陽極板
である。陽極板b1 は一酸化鉛粉末3kgと比重1.26
の希硫酸373mlと水300mlとを混合した活物質ペー
ストを用いて製造した従来の陽極板である。陽極板c1
は鉛丹3.5kgと一酸化鉛の粉末1.5kgと水865.
8mlとを混練した活物質ペーストを用いて製造した従来
の陽極板である。陽極板d1 は鉛丹2.1kgと一酸化鉛
粉末0.8kgと比重1.26の希硫酸203.6mlと水
320mlとを混練した活物質ペーストを用いて製造した
従来の陽極板である。尚、各陽極板a1〜d1 の活物質
の重量は同じである。そして各陽極板a1 〜d1 を用い
て4Ah−6Vタイプの電池A1 〜D1 を作って、各電
池A1 〜D1 の初期容量及びサイクル寿命特性を調べ
た。各電池の初期容量は25±1℃の雰囲気温度で、
0.25CA(終止電圧1.7V)で放電して放電時間
を測定した。また各電池のサイクル寿命特性は0.25
CA(終止電圧1.75V)で放電してから1時間放置
した後に、2.45V(制限電流0.3CA)で6時間
充電する充放電を繰り返して電池の寿命に至るサイクル
回数を調べた。表1は従来の陽極板b1 を用いた電池B
1 の性能を100%とした場合の各電池の特性の比率が
示されている。尚、表1には各電池の製造時間の比率も
併せて記載した。
【0023】
【表1】 本表より従来の陽極板c1 を用いた電池C1 は活物質ペ
ーストが水の遊離を起こしやすいため活物質層の多孔度
が低下して電池の初期容量が低下しているのが判る。ま
た従来の陽極板d1 を用いた電池D1 は活物質同志の結
合力が弱いためサイクル寿命特性が低下しているのが判
る。これらの電池に対して本実施例の陽極板aを用いた
電池A1 は従来の陽極板b1 を用いた電池B1 より初期
容量が19%、サイクル寿命特性が90%向上し、製造
時間も40%減少しているのが判る。
【0024】次に三塩基性硫酸鉛の鉛丹に対する重量比
と該重量比の活物質ペーストを用いて作った電池の初期
容量比との関係を図1に示す。尚、この試験は本実施例
の製造方法において三塩基性硫酸鉛の鉛丹に対する重量
比だけを変えて製造した電池を用いて行い、本図では従
来の陽極板b1 を用いた電池B1 の初期容量を100%
とした。本図より三塩基性硫酸鉛の鉛丹に対する重量比
が40%を超えると化成効率が低下して初期容量比が低
下し、重量比が20%を下回ると活物質ペーストの粘度
が低下して活物質の多孔度が低くなり容量が低下するの
が判る。
【0025】次に図1の測定に用いた電池に充放電を繰
り返して三塩基性硫酸鉛の鉛丹に対する重量比と電池の
サイクル寿命回数比との関係を調べた。図2はその測定
結果を示している。尚、この図でも従来の陽極板b1 を
用いた電池B1 のサイクル寿命回数を100%とした。
本図より三塩基性硫酸鉛の鉛丹に対する重量比を20〜
40%とすると従来の陽極板b1 を用いた電池B1 に比
べて約90%サイクル寿命特性が向上するのが判る。重
量比が20%を下回ると活物質同志の結合力が低下して
サイクル寿命特性が低下する。重量比が40%を上回る
と化成不良による低級酸化物(PbOx )が増加してサ
イクル寿命特性が低下する。
【0026】次に活物質層を形成する角柱状のPbO2
の平均長さと、該活物質層を有する電池の初期容量比と
の関係を図3に示す。尚、この図ではPbO2 の平均長
さが1μm の電池のサイクル寿命特性を100%とし、
角柱状のPbO2 の平均長さの異なる陽極板は鉛丹の大
きさや化成条件を極端に変えることにより作った。本図
よりPbO2 の平均長さが1μm を超えると結晶同志の
接触面積(結合面積)が小さくなり活物質層の結合強度
は低下してサイクル寿命特性が低下するのが判る。
【0027】次に活物質層の比表面積と、該比表面積の
活物質層を有する電池の初期容量比との関係を図4に示
す。尚、この図では活物質層の比表面積が5 m2 /gの電
池の初期容量を100%とし、活物質層の比表面積の異
なる陽極板は化成条件を変えることにより作った。本図
より活物質層の比表面積が10 m2 /gを下回ると活物質
と電解液との反応面積が減少して電池の容量が低下する
のが判る。
【0028】[実施例2]この実施例では次のようにし
て鉛蓄電池用陽極板を作った。まず重量比10:10:
3の三塩基性硫酸鉛と鉛丹と水とを混練して活物質ペー
ストを作り、この活物質ペーストを鉛合金の格子体から
なる集電体に充填して厚み1.5mmの内側活物質ペース
ト層を形成した。尚、使用した三塩基性硫酸鉛は酸化鉛
と比重1.260の硫酸とを3:1の重量比で混合して
予め作ったものを使用した。次に、重量比20:3の鉛
丹と水とを混練して活物質ペーストを作り、この活物質
ペーストを内側活物質ペースト層の上に充填して厚み
0.75mmの外側活物質ペースト層を形成して厚み3mm
の未乾燥極板を製造した。尚、三塩基性硫酸鉛の活物質
ペースト全体の鉛丹に対する好ましい重量範囲は20〜
40%である。この未乾燥極板を乾燥した後に課電量3
00%で化成を行うと、内側活物質ペースト層は各部の
寸法が1μm 以下の角柱状の二酸化鉛(鉛丹から作られ
たもの)に球状または平板状の二酸化鉛(三塩基性硫酸
鉛から作られたもの)が結合した結晶構造を有する内側
活物質層になり、外側活物質ペースト層は各部の寸法が
1μm 以下の角柱状の二酸化鉛(鉛丹から作られたも
の)の結晶構造を有する外側活物質層になる。本実施例
の方法で極板を製造すると、一酸化鉛粉末と希硫酸と水
とを混合した活物質ペーストを用いて極板を製造する場
合と比較して製造時間を約60%短縮できた。
【0029】次に本実施例の方法で製造した鉛蓄電池用
陽極板の特性を調べるために、3種類の陽極板a2 〜d
2 を作り試験を行った。陽極板a2 は本実施例の陽極板
である。陽極板b2 は活物質層を全て内側活物質ペース
ト層(三塩基性硫酸鉛と鉛丹と水とを混練した活物質ペ
ースト)で作った他の実施例の陽極板である。尚、この
陽極板b2 は極板の厚みを除いては実施例1の陽極板と
同じ構成を有している。陽極板c2 は一酸化鉛粉末と希
硫酸と水とを混合した活物質ペーストを用いて製造した
従来の陽極板である。陽極板d2 は鉛丹のみと水とを混
練した活物質ペーストを用いて製造した従来の陽極板で
ある。尚、陽極板a2 〜d2 はそれぞれ同量の活物質ペ
ーストを集電体に充填した厚み3mmの極板であり、各陽
極板a2〜d2 は活物質ペーストを除いては同じ構成を
有している。各陽極板a2 〜d2と同じ構成の陰極板と
を用いて2V−2Ahの電池A2 〜D2 を作り、電池A2
〜D2 を低比重硫酸溶液中にて課電量300%で電槽化
成した後に1CAで放電して各電池A2 〜D2 の放電時
間を測定した。測定結果は本実施例の陽極板a2 を用い
た電池A2 は放電時間が45分であったのに対して、他
の実施例の陽極板b2 を用いた電池B2 は放電時間が4
3分であり、従来の陽極板c2 及びd2 を用いた電池C
2 ,D2 は放電時間がそれぞれ40分であった。この測
定結果より、本実施例の陽極板a2 を用いると従来の陽
極板c2 及びd2 に比べて化成効率が高く、初期容量の
高い電池を得られるのが判る。
【0030】次に電池A2 〜D2 の課電量を変えて化成
を行ってこれを放電し、各電池A2〜D2 の課電量と放
電時間との関係を測定した。図5はその測定結果を示し
ている。本図より本実施例の陽極板a2 は他の実施例の
陽極板b2 及び従来の陽極板c2 及びd2 に比べて化成
効率が高い(同じ課電量で放電時間が長くなる)のが判
る。
【0031】次に電池A2 〜D2 を0.25CAで、終
止電圧1.75Vまで充電してから1時間放置した後
に、2.45V、制限電流0.9CAで4時間充電する
充放電を繰り返し電池A2 〜D2 のサイクル寿命特性を
調べた。図6はその測定結果を示している。本図より本
実施例の陽極板a2 を用いた電池A2 は、他の実施例の
陽極板b2 を用いた電池B2 及び従来の陽極板c2 及び
d2 を用いた電池C2 ,D2 より長寿命であるのが判
る。特に鉛丹のみを活物質として用いた比較例の陽極板
d2 を用いた電池D2 と比べると、電池Aは200%も
寿命が伸びる。
【0032】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、三塩基性硫酸
鉛と鉛丹と水とを混練した活物質ペーストを集電体に充
填して活物質ペースト層を形成するため、従来の製造方
法に比べて陽極板の化成効率を高めて、陽極板の製造時
間を大幅に短縮できる。またこのような活物質ペースト
は粘度が比較的高いため、電池の容量を高めることがで
きる。また、このような活物質ペーストを用いると、未
乾燥極板を乾燥する際に、三塩基性硫酸鉛が硫酸鉛及び
酸化鉛と溶解析出反応を起こすか、または鉛丹が活物質
ペースト中に含まれている少量の鉛と反応して水酸化鉛
(Pb(OH)2)を生成して、この水酸化鉛が溶解析
出反応を起こすので、鉛丹と水とを混練したペーストの
ように活物質相互間の結合が弱くなることがない。しか
も、三塩基性硫酸鉛と集電体(Pb)との溶解析出反応
または鉛丹と集電体(Pb)との反応により集電体と活
物質との結合力も高めることができる。そのため、長寿
命の電池を得ることができる。
【0033】請求項2の発明によれば、三塩基性硫酸鉛
の鉛丹に対する重量比を20〜40%とするため、高容
量で長寿命な電池に用いる陽極板を得ることができる。
【0034】請求項3の発明によれば、各部の寸法が1
μm 以下の角柱状の二酸化鉛に球状または平板状の二酸
化鉛が結合した結晶構造を有する活物質層から活物質を
構成するため、活物質層の比表面積が高くなる上、活物
質層の結合強度が高くなるので、高容量で長寿命の電池
を得ることができる。
【0035】請求項4の発明によれば、活物質層の比表
面積を10 m2 /g以上にするため、活物質と電解液との
反応面積が増加して電池が高容量になる。
【0036】請求項5の発明によれば、三塩基性硫酸鉛
と鉛丹と水とを混練した活物質ペーストからなる活物質
ペースト層を内側活物質ペースト層とし、その外側に硫
酸を含まない外側活物質ペースト層を設けため、極板の
厚みを厚くした場合に、電解液の極板内への拡散が大き
く抑制されることがなく、電池の化成効率を向上でき
る。
【0037】請求項6の発明によれば、各部の寸法が1
μm 以下の角柱状の二酸化鉛に球状または平板状の二酸
化鉛が結合した結晶構造を有する内側活物質層と、各部
の寸法が1μm 以下の角柱状の二酸化鉛の結晶構造を有
する外側活物質層とから活物質を構成するため、内側活
物質層は結合強度が高くなり、しかも外側活物質層は電
解液の浸透性が高くなるので、長寿命で高容量の電池を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 三塩基性硫酸鉛の鉛丹に対する重量比と、電
池の初期容量比との関係を示す図である。
【図2】 三塩基性硫酸鉛の鉛丹に対する重量比と、電
池のサイクル寿命回数比との関係を示す図である。
【図3】 角柱状のPbO2 の平均長さと、電池の初期
容量比との関係を示す図である。
【図4】 活物質層の比表面積と、電池の初期容量比と
の関係を示す図である。
【図5】 試験に用いた電池の課電量と放電時間との関
係を示す図である。
【図6】 試験に用いた電池のサイクル寿命特性を示す
図である。
【図7】 従来の鉛蓄電池用陽極板の極板の厚みと放電
時間との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 向谷 一郎 東京都新宿区西新宿二丁目1番1号 新神 戸電機株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 集電体に活物質ペーストを充填して未乾
    燥極板を作り、前記未乾燥極板を乾燥した後に化成を行
    って鉛蓄電池用陽極板を製造する方法において、 三塩基性硫酸鉛と鉛丹と水とを混練した活物質ペースト
    を集電体に充填して活物質ペースト層を形成することに
    よって前記未乾燥極板を製造することを特徴とする鉛蓄
    電池用陽極板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記三塩基性硫酸鉛の前記鉛丹に対する
    重量比を20〜40%とすることを特徴とする請求項1
    に記載の鉛蓄電池用陽極板の製造方法。
  3. 【請求項3】 集電体に活物質が保持されてなる鉛蓄電
    池用陽極板において、 前記活物質は、各部の寸法が1μm 以下の角柱状の二酸
    化鉛に球状または平板状の二酸化鉛が結合した結晶構造
    を有する活物質層からなることを特徴とする鉛蓄電池用
    陽極板。
  4. 【請求項4】 前記活物質層の比表面積は10 m2 /g以
    上であることを特徴とする請求項3に記載の鉛蓄電池用
    陽極板。
  5. 【請求項5】 集電体に活物質ペーストを充填して未乾
    燥極板を作り、前記未乾燥極板を乾燥した後に化成を行
    って鉛蓄電池用陽極板を製造する方法において、 三塩基性硫酸鉛と鉛丹と水とを混練した活物質ペースト
    を集電体に充填して内側活物質ペースト層を形成する工
    程と、 鉛丹と水とを混練した活物質ペーストを前記内側活物質
    ペースト層の上に充填して外側活物質ペースト層を形成
    する工程とによって前記未乾燥極板を製造することを特
    徴とする鉛蓄電池用陽極板の製造方法。
  6. 【請求項6】 集電体に活物質が保持されてなる鉛蓄電
    池用陽極板において、 前記活物質は、各部の寸法が1μm 以下の角柱状の二酸
    化鉛に球状または平板状の二酸化鉛が結合した結晶構造
    を有する内側活物質層と、各部の寸法が1μm以下の角
    柱状の二酸化鉛の結晶構造を有する外側活物質層とから
    なることを特徴とする鉛蓄電池用陽極板。
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