JPH0673997B2 - 感熱積層シート及びそれを用いた記録体 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本発明は記録材の情報記録面同士を再剥離可能に接着す
ることのできる感熱積層シート及びそれを用いた記録体
に関し、特に、従来の葉書よりも多くの情報を伝達する
ための感熱積層シート及びそれを用いた記録体に関す
る。

《従来の技術》 近年、税金、年金、証券、預貯金、クレジット、電信電
話、ガス・水道・電気等の各種請求書、支払い通知書、
受領書及び満期通知書等のような個人のプライバシーに
係わる書類の郵送が激増している。

従来、このような個人のプライバシーに係わる書類の郵
送には、プライバシー保護の観点から封書が使用されて
きたが、封書は葉書に比べ郵送料が高いことからコスト
高になるという欠点があった。

そこで、最近、個人のプライバシーに係る記録内容を隠
蔽することのできる様々な葉書が提案されている。

これらの提案の一つとして、通常の葉書の表面に記載さ
れた文字や数字に再剥離可能に貼着することにより記録
内容を隠蔽することのできるシール紙があるが、このシ
ール紙は接着面に弱粘着剤を使用しているため、弱粘着
剤層を保護するための剥離紙を設けなければならずコス
ト高になる上該剥離紙の処分も煩雑になるという欠点が
あった。又、シール紙を剥がす際に葉書に記載された文
字部分が剥がれて弱粘着層面に転移し、しばしば文字が
読めなくなるという欠点があった。更に、このシール紙
は開封した痕跡が残らないように脱着できるのでプライ
バシー侵害防止効果に劣るという欠点があった。

又、他の材料として、葉書の表面に記載された文字を外
部から見ることができないようにアルミニウム箔を積層
せしめたシートを葉書の文字部分に貼着し、葉書の縁に
沿って設けられたミシン目を切り離すことによって初め
て開封することができるようにしたラベルがある。しか
しながら、このラベルは複数構成から成る積層物である
ためコスト高になる上、剥がしたラベルが破き難いのみ
ならず不燃物でもあるので廃棄処理も煩雑となるという
欠点があった。

更に、上記のシール紙やラベルは、記載された情報を隠
蔽するためにしか使用できず、多くの情報を郵送する必
要がある場合には、コスト高となっても封書を使用する
ことが行われていた。

《発明が解決しようとする課題》 本発明者等は、上記の欠点を解決すべく、情報を記録し
た２枚の葉書サイズの記録材の情報記録面同士を再剥離
可能に接着することのできる両面接着性を有する透明感
熱接着シートを先に提案した（実開平2-25546号）。

しかしながら、この透明感熱接着シートの製造に際して
は、透明プラスチックシートの一方の面に溶融押出しに
よって熱可塑性樹脂層を再剥離可能に配設する工程が必
須であるために製造工程が煩雑である上、透明プラスチ
ックシートはもとより、溶融押出しによる熱可塑性樹脂
層も手で破ることが困難であるので、機密保持の観点か
ら記録体をシュレッダー等の特別の廃棄処理機を使用し
て処分しなければならず、個人宛のメールとしては不便
が生ずるという欠点があった。又、この透明接着シート
は記録体を開封したときに支持体が記録体の片方の情報
記録面に残存することになるため、残存した面の情報が
読み取れるように前記透明接着シートの支持体を透明な
ものとするので、使用する記録体の材質によっては記録
体の内部情報の機密性が不充分となるという欠点を有し
ていた。

そこで、本発明者等は更に検討を重ねた結果、紙、合成
樹脂フィルム及び紙とプラスチック複合体の何れかのシ
ートを染料及び／又は顔料で着色した光吸収性の支持体
の両面に該支持体と再剥離可能に積層せしめることので
きる実質的に透明な層を形成する合成樹脂を塗工し、且
つ前記合成樹脂として、何れも100℃以下で記録体の情
報記録面に実質的に剥離不可能に感熱接着することがで
きる感熱積層シートを使用すれば、 記録体を再剥離して情報を読む場合（以下、これを開封
と略す）には感熱積層シートの支持体が分離されるの
で、該支持体が光吸収性であっても何ら支障がないのみ
ならず前の記録体については、外部から内部の情報を透
かして見ることができない上、この感熱積層シートは製
造工程が少なく製造容易な感熱積層シートとすることが
できること、 及びこの感熱積層シートを使用した葉書は、従来の葉書
と同じ郵送料で２倍以上の情報量を送ることができる
上、開封時には感熱積層シートの支持体は取り外される
のでリサイクル使用が可能となるのみならず、廃棄時に
は葉書を簡単に手で破くことができるのでシュレッダー
等の特別の廃棄処理機を使用しなくても家庭で容易に廃
棄処分することができる等の利点が生ずることを見出し
本発明に到達した。

従って、本発明の第１の目的は、記録材の情報記録面同
士を再剥離可能に接着することのできる感熱積層シート
を提供することにある。

本発明の第２の目的は、製造容易で安価且つそれに使用
する支持体のリサイクル使用が可能である上、記録情報
の隠蔽性能にも優れた感熱積層シートを提供することに
ある。

本発明の第３の目的は、特別の処理機を必要とすること
なく廃棄処分が容易でプライバシー侵害防止効果に優れ
た記録体を提供することにある。

本発明の第４の目的は、従来の葉書よりも多くの情報を
伝達することのできるプライバシー侵害防止効果に優れ
た葉書を提供することにある。

《課題を解決するための手段》 本発明の上記の諸目的は、情報記録面（5a、5b）を有す
る１又は２以上の記録材（５）の情報記録面同士を感熱
接着するための感熱積層シートにおいて、 該感熱積層シートが、支持体（3a）の両面に少なくと
も、アクリル樹脂、塩化ビニル／酢酸ビニル共重合樹
脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル／プロピオン酸ビニ
ル共重合樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニル
ブチラール樹脂若しくはそれ等の樹脂の混合物の中から
選択された何れかの樹脂から成る合成樹脂塗工層（3b）
を設けた３層以上の層から成る感熱積層シート（３）で
あって、前記支持体（3a）と各合成樹脂塗工層（3b）と
のＴ型剥離強度が20℃、65％RHの環境下、剥離速度300m
m/minで10〜150g/50mmであり、前記記録材（５）の情報
記録面（5a、5b）間に挿入し感熱接着させた時に前記各
合成樹脂塗工層（3b）と情報記録面（5a、5b）とのＴ型
剥離強度が、20℃、65％RHの環境下、300mm/minの剥離
速度で300g/50mm以上となる感熱積層シート（３）であ
ると共に、前記感熱積層シート（３）の支持体（3a）
が、合成樹脂フィルム又は含浸紙等の紙とプラスチック
の複合体の何れかのシートを染料及び／又は顔料で着色
した光吸収性シートであることを特徴とする感熱積層シ
ート及びそれを用いた記録体によって達成された。

以下、本発明の感熱積層シート及びそれを用いた記録体
を図面に基づいて詳述するが、本発明はこれによって限
定されるものではない。

第１図は、本発明の感熱積層シートの断面構成図であ
る。

第２図は、第１図の感熱積層シートを用いた本発明の記
録体の断面構成図である。

図において、符号（３）は本発明の感熱積層シート、符
号（3a）は光吸収性の支持体、及び符号（3b）は支持体
の両面に合成樹脂を塗工してなる合成樹脂塗工層であ
る。

支持体（3a）は、合成樹脂フィルム又は含浸紙（紙層中
に樹脂を浸透させて乾燥し、固定化した紙）等の紙とプ
ラスチックの複合体の何れであっても良いが、本支持体
は前記した如くリサイクル使用が可能であるので、合成
樹脂フィルムを使用しても特に製造コスト的に不利には
ならない。従って、製造容易性や記録体としたときの品
質の観点から合成樹脂フィルムを使用することが好まし
い。支持体（3a）として合成樹脂フィルムを使用する場
合には、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィル
ム、ポリエステルフィルム、セルローストリアセテート
フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィ
ルム等の公知の合成樹脂フィルムの中から適宜選択して
使用することができる。又、支持体（3a）の着色に使用
する染料及び／又は顔料は公知の材料の中から適宜選択
して使用することができるが、特に、開封前の記録体の
機密性を高める観点から黒色系の染料及び／又は顔料を
使用することが好ましい。これ等の染料及び／又は顔料
は単独で使用しても２種以上を混合して使用しても良
く、これ等は公知の方法に従って前記支持体中に添加さ
れる。

合成樹脂塗工層（3b）には、20℃、65％RHの環境下にお
ける剥離速度300mm/minでのＴ型剥離強度が、支持体（3
a）との間で10〜150g/50mmであって、情報記録面との間
で300g/50mm以上となる合成樹脂を使用する。従って、
本発明の感熱積層シート（３）を記録体に使用した場合
には、開封の際、支持体（3a）を記録体から容易に取り
外すことができる。

本発明の合成樹脂塗工層（3b）に使用する合成樹脂は、
アクリル樹脂、塩化ビニル／酢酸ビニル共重合樹脂、ポ
リエステル樹脂、塩化ビニル／プロピオン酸ビニル共重
合樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラ
ール樹脂等の単独若しくはそれ等の合成樹脂の混合物等
の公知の材料の中から適宜選択して使用することができ
るが、特にガラス転移温度が25℃以上のものを使用する
ことが好ましい（比較例１参照）。又、合成樹脂の乾燥
後の塗工厚みは使用後の破棄容易性の観点から20μｍ以
下であることが好ましく、更に好ましくは約10μｍであ
る。

合成樹脂塗工層（3b）と支持体（3a）の間には適宜接着
層を設けても良い。

以上の如く、本発明の感熱積層シート（３）は、少なく
とも光吸収性の支持体（3a）と該支持体（3a）の両面に
積層せしめた合成樹脂塗工層（3b）の３層から成る。以
下に本発明の感熱積層シート（３）を使用して成る記録
体について詳述する。

本発明の記録体は、少なくとも２面以上の情報記録面を
有する１又は２以上の記録材（５）の情報記録面（5a、
5b）間に本発明の感熱積層シート（３）を挟み、100℃
以下の温度で感熱接着して一体化せしめた記録体であ
る。

本発明の記録体に使用する記録材（５）は、通常の葉書
や便箋等に使用する紙やコンピューター用記録材等の公
知の材料の中から適宜選択して使用することができる。
又、本発明の記録体は、例えば第２図の如く２枚の葉書
大の記録材（５）の情報記録面間（5a、5b）に前記感熱
積層シート（３）を挟んで感熱接着せしめ一体化するこ
とも、第３図及び第４図のように印刷用紙の少なくとも
一方の面に一度に３面分を同時に印刷した記録材（５）
をＳ型折り（第３図）又はＺ型折り（第４図）にして相
対向する面間（5a、5b）に感熱積層シート（３）を挟ん
で一体化することもできる（第５図）。従って、後者の
場合には記録体内部に情報記録面を４面設けることも可
能であるのでより多くの情報を有する葉書とすることが
できる。

以上、本発明の感熱積層シート（３）を特に葉書に用い
る場合について詳述したが、本発明の感熱積層シート
（３）は葉書以外の用途にも使用することができるもの
である。このような用途として、例えば封書に入れる情
報を記載した記録材（５）挙げることができる。即ち、
２つ折りにした記録材（５）の相対向する情報記録面
（5a、5b）間に本発明の感熱積層シート（３）を挿入し
て感熱接着すれば、痕跡が残らないように封書を開封し
たとしても尚、記録体内部の記録情報の機密性が保たれ
ることになり、又、外部から封書内の書類内容を透かし
て見ることもできないので、従来の封書による郵送より
も更にプライバシー侵害防止効果に優れたものとするこ
とができる。

《効果》 以上詳述した如く、本発明の感熱積層シートは、従来の
透明感熱接着シートよりも製造工程が少なく容易且つ安
価に製造することができる。

又、本発明の感熱積層シートを用いた記録体は、従来の
透明感熱接着シートを用いた記録体と異なり、感熱積層
シートを介して接着された記録面を剥離して内部情報を
読み取るときに、感熱積層シートの支持体を記録体から
分離することになるので光吸収性の支持体の使用が可能
となったのであり、それを使用した記録体は外部から内
部情報を透かして見ることができないので隠蔽能力に優
れている。

更に、本発明の感熱積層シートを葉書に使用した場合に
は、隠蔽性を有し且つ従来の葉書と同じ郵便料でより多
くの情報量を郵送することができる上、不要になった場
合には破棄が容易であるので家庭でも容易に処分するこ
とができ、特にプライバシー保護に関する情報伝達手段
として有用である。更に、感熱積層シートの支持体は分
別破棄することができるのでリサイクル使用も可能であ
る。

《実施例》 以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明
はこれによって限定されるものではない。

実施例1. 厚さ16μｍの光吸収性を有する黒色顔料練り込みのポリ
エステルフィルム支持体（3a）の両面に、ガラス転移温
度が57℃であり、80℃で記録体と感熱接着させることの
できる透明な塩化ビニル／プロピオン酸ビニル共重合樹
脂を乾燥後の厚みが10μｍとなるように塗工し、本発明
の感熱積層シートを得た。

次いで、第３図の如くコンピューターからの情報を印刷
せしめた坪量80g/m²の葉書記録体を情報記録面（5a、5
b）同士が当接するように折線Ｐで折返すと共に折線Ｏ
で反対側に折り返し、各相対向する面間に先に作製した
感熱積層シートを挿入して、表面温度が100〜110℃の熱
ロール間に通して感熱接着し充分冷却した（第５図参
照）。

上記の如く作製した葉書は支持体（3a）と各合成樹脂塗
工層（3b）との間で容易に剥がすことができ、印字面は
全く損傷がなく良好に判読することができた。又、この
記録体のＴ型剥離強度を20℃、65％RH環境下、300mm/mi
nで測定したところ支持体（3a）と各合成樹脂塗工層（3
b）との間では40g/50mmであり、記録材と本発明の感熱
積層シートとの間では300g/50mmであった。

又、上記の如くして作製した葉書を、光りに透かしてみ
たところ、葉書内部の情報は全く見ることができなかっ
た。

尚、上記の葉書の全重量は郵便法の規格内であり郵便葉
書として使用できることも確認された。

比較例1. 透明なポリエステルフィルムの両面に合成樹脂塗工層
（3b）としてガラス転移温度が20℃のアクリル樹脂を塗
工した他は実施例１と同様にして感熱積層シートを作製
し、記録材を貼着して葉書を得た。

得られた記録体のＴ型剥離強度を実施例１と同様にして
測定した結果、記録材と感熱積層シートとの剥離強度は
300g/50mmと実施例１と同様の結果を得たが、支持体と
合成樹脂塗工層（3b）の剥離強度は200g/50mmであり、
剥がしカールが発生したために印字の判読が困難であっ
た。

又、上記と同様にして作製した葉書は、葉書内部の情報
内容を透かして見ることができ、秘密内容を保護し得な
いことが確認された。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の感熱積層シートの断面構成図であ
る。 第２図は、第１図の感熱積層シートを用いた本発明の記
録体の断面構成図である。 第３図は、Ｓ型折りにして本発明の記録体に使用する記
録材料の実施例を示した図である。 第４図は、Ｚ型折りにして本発明の記録体に使用する記
録材の記録例である。 第５図は、実施例１で作製した記録体の断面図である。 ３……感熱積層シート 3a……支持体 3b……合成樹脂塗工層 ５……記録材 5a……情報記録面 5b……情報記録面

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｃ０９Ｊ 7/02 ＪＪＡ Ａ 6904−4Ｊ ＪＫＰ Ｂ 6904−4Ｊ ＪＬＥ Ｃ 6904−4Ｊ

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】情報記録面（5a、5b）を有する１又は２以
   上の記録材（５）の情報記録面同士を感熱接着するため
   の感熱積層シートにおいて、該感熱積層シートが、支持
   体（3a）の両面に少なくとも、アクリル樹脂、塩化ビニ
   ル／酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビ
   ニル／プロピオン酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルホル
   マール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂若しくはそれ等
   の樹脂の混合物の中から選択された何れかの樹脂から成
   る合成樹脂塗工層（3b）を設けた３層以上の層から成る
   感熱積層シート（３）であって、前記支持体（3a）と各
   合成樹脂塗工層（3b）とのＴ型剥離強度が20℃、65％RH
   の環境下、300mm/minで10〜150g/50mmであり、前記記録
   材（５）の情報記録面（5a、5b）間に挿入し感熱接着さ
   せた時に、前記各合成樹脂塗工層（3b）と情報記録面
   （5a、5b）とのＴ型剥離強度が、20℃、65％RHの環境
   下、300mm/minで300g/50mm以上となる感熱積層シート
   （３）であると共に、前記感熱積層シート（３）の支持
   体（3a）が、合成樹脂フィルム又は紙とプラスチックの
   複合体の何れかのシートを、染料及び／又は顔料で着色
   した光吸収性シートであることを特徴とする感熱積層シ
   ート。
2. 【請求項２】合成樹脂塗工層（3b）のガラス転移温度が
   25℃以上である請求項１に記載の感熱積層シート。
3. 【請求項３】合成樹脂塗工層（3b）の塗工厚みが20μｍ
   以下である請求項１又は２の何れかの項に記載の感熱積
   層シート。
4. 【請求項４】感熱積層シート（３）が支持体（3a）とそ
   の両面に塗工した各合成樹脂塗工層（3b）のみから成
   る、請求項１〜３の何れかの項に記載の感熱積層シー
   ト。
5. 【請求項５】少なくとも２面以上の情報記録面を有する
   １又２以上の記録材（５）の情報記録面（5a、5b）間に
   請求項１〜４の何れかに記載の感熱積層シート（３）を
   挟み、100℃以下の温度で感熱接着して一体化せしめた
   ことを特徴とする記録体。
6. 【請求項６】記録体が葉書として郵送し得るものである
   請求項５に記載の記録体。