JPH0668758U - 吸着性及び濾過性モジュール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】吸着性繊維を含む円筒状吸着剤成形体１、円筒
状成形体の切口を被覆するカラー２、円筒状成形体の内
面を被覆するフィルタークロス３及び円筒状成形体の外
面を被覆するフィルタークロス４からなり、カラー２と
フィルタークロス３及び４との少なくとも１部が接着さ
れて吸着剤成形体１を被覆していることを特徴とする吸
着性モジュールである。更に、吸着性繊維を含む円筒状
吸着剤成形体の代わりに濾過性が高い成形体を使用した
濾過性モジュールである。 【効果】本考案の吸着性または濾過性モジュールは吸着
性或いは濾過性が優れ、吸着材または濾材の微粒子が漏
出するおそれがなく寸法安定性及び機械的性質がよく、
主として機器内部の小空間に取り付けて使用するために
適している。その用途は水中の不純物の吸着・濾過のみ
ならず、その他液体或いは空気その他ガスの精製にも広
く使用出来る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は吸着性または濾過性を有するモジュールに関するもので、更に詳しく 述べると、主として機器の内部に組み込んで使用するもので浄水用或いは、ガス の吸着または濾過用に使用するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来から浄水用或いは脱臭用等の目的で機器等に組み込んで使用するためのモ ジュールとして、多くの構造を有するものが開示されている。これらの浄水剤或 いは脱臭剤としては粒状活性炭がもっとも多く使用されている。活性炭は極めて 高い浄水性及び脱臭性を有するが、通常或る程度の大きさを有する粒状炭として 使用されるため、特に小空間の内部に取り付けて使用するモジュールの様な場合 には、活性炭が磨耗して発生した微粒子の漏洩を完全に防止出来る様に、濾過性 を有するシートで被覆して高い寸法安定性を保持させることが、構造上かなり困 難であった。

【０００３】 また吸着性等の機能を有する粒状物を包含した繊維からなる濾材を使用する場 合も、薄いシートで被覆して高い寸法安定性を保持して且つ微粒子の漏洩を完全 に防止出来る様な構造とすることは困難であった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

機器の内部等の小さな空間に組み込んで使用するためのモジュールで、吸着性 または濾過性を有する小型の円筒状成形体を薄いフィルタークロスで被覆して、 吸着材または濾材の漏洩を完全に防止できるモジュールであり、且つ構造が簡単 で経済性が高い吸着性または濾過性を有するモジュールを提供しようとするもの である。

【０００５】

【課題を解決するための手段】 本考案者等は、吸着性または濾過性が高い小型の円筒状成形体を効率よく薄い フィルタークロスで被覆して、吸着材または濾材微粒子の漏洩を完全に防止出来 るモジュールの構造について種々研究した結果、継ぎ目の凹凸がないか或いは極 めて少ない円筒状成形体の切口の部分に薄いシートのカラーを嵌め込み、成形体 の内側には薄いフィルタークロスを予め円筒形にして殆ど隙間がない様に挿入し 、成形体の外側にも同様な薄いフィルタークロスを殆ど隙間がない様に巻いてシ ールした後、カラーと内側及び外側を被覆しているフィルタークロスを部分的に 融着すれば、形状の寸法精度が高く内部の成形体に含まれている吸着材または濾 材の微粒子の漏洩を完全に防止できるモジュールが、効率的に作成出来ることを 見出した。更に、吸着性または濾過性が高い成形体の素材についても検討した結 果、本考案に到達した。

【０００６】 すなわち、吸着性繊維を含む円筒状吸着剤成形体１、円筒状成形体の切口を被 覆するカラー２、円筒状成形体の内面を被覆するフィルタークロス３及び円筒状 成形体の外面を被覆するフィルタークロス４からなり、カラー２とフィルターク ロス３及び４との少なくとも１部が接着されて吸着剤成形体１を被覆しているこ とを特徴とする吸着性モジュールである。更に、吸着性繊維を含む円筒状吸着剤 成形体の代わりに濾過性が高い成形体を使用した濾過性モジュールである。

【０００７】 以下本考案について詳しく説明する。

【０００８】 本考案の吸着性モジュールの円筒状吸着剤成形体は、吸着性を有する繊維を含 む必要がある。吸着性を有する繊維としては例えば、活性炭繊維或いはゼオライ ト、シリカゲル、活性アルミナ等の粉末をバインダーで繊維状に成形した吸着材 等である。これらの中、吸着性が高く細い繊維にすることが容易な活性炭繊維が 最も好ましい。

【０００９】 活性炭繊維は合成繊維、天然繊維或いは半合成繊維等を不活性ガス中で炭化し た後、水蒸気或いは２酸化炭素ガスを含む雰囲気中で高温で賦活して得られる。 これらの中、フェノール樹脂繊維から得られた活性炭繊維は比表面積が大きく、 細孔径の均一性が高いため最も好ましい。

【００１０】 また、繊維組織の内部に包絡して使用する活性炭粒子は、木材、石炭或いは石 油のピッチ等から得られた活性炭のいずれをも使用出来る。これらの中、ヤシ殻 から得られた活性炭は組織が緻密で硬いため磨耗によって微粉末が生成し難く、 比表面積も大きいものが得られるためより好ましい。

【００１１】 活性炭繊維は通常バインダーを加えて成形される。活性炭繊維は脆く折れ易い 性質を有するため注意して成形する必要があるが、例えば、バインダーを含む水 中に活性炭繊維のステープルを分散させ、抄紙と同様な方法で成形・乾燥・融着 することにより得られる。

【００１２】 更に本考案には濾過性が高い素材からなる成形体を含むモジュールも含まれて いる。濾過性が高い素材からなる成形体は特に限定しないが、例えば、合成繊維 、天然繊維等種々の繊維からなる織物、編み物、不織布、紙からなる濾材或いは これらの複合濾材等である。

【００１３】 本考案においては主として機器の部材として使用するため、吸着材または濾材 の微粒子の漏洩を完全に防止出来る機能を有する他、高い寸法精度が要求れれる 。従って、吸着性または濾過性が高い小型の円筒状成形体は継ぎ目がないか或い は、継ぎ目の凹凸がないか、または極めて少ない形態を有するものがより好まし い。

【００１４】 次に、本考案に使用されるカラーは、円筒状成形体の切り口を被覆するために 切り口周辺に被せるため、図３の中で２として示した様な形に予めプレス成形し たシートを、切り口に嵌め込むことによって取り付ける方法が好ましい。材質は 薄いシートであればよく組成は特に限定しないが、円筒状成形体の内側及び外側 を被覆するフィルタークロスと接着する際、融着法によることが多いので熱融着 性を有する材質であることが好ましい。実際には成形体の内側及び外側を被覆す るフィルタークロスと同質のシートを使用することが好ましい。

【００１５】 また、本モジュールのカラーは図４に示す様に、円筒状成形体にその内側及び 外側を被覆するフィルタークロスを取り付けた後、円筒形の切り口に被せて取り 付けてもよい。

【００１６】 円筒状成形体の内側及び外側を被覆するため、本考案ではフィルタークロスを 使用する必要がある。フィルタークロスの材質は濾過性を有する材質であれば特 に限定せず広範囲のシート状物が使用可能で、例えば、織物、編み物、不織布の 他紙等も含まれ、またこれらの複合体も使用出来る。これらの中、濾過性及び加 工性の点から不織布が好ましく、また、これらの組成としてはポリプロピレン繊 維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維或いはポリプロピレン繊維・ポリエチ レン繊維混合物、ポリプロピレン繊維・ポリエステル繊維混合物の不織布が好ま しい。

【００１７】 これらのフィルタークロスで円筒状成形体の内側及び外側を被覆する場合、モ ジュールとしての寸法精度を高めるため、隙間が出来ない様に可及的に表面に密 着させて被覆させる必要がある。このため例えば、フィルタークロスを予め成形 体の内径に合わせた円筒形にして成形体内面に密着する様に挿入し、また成形体 外面には予め長方形に裁断したフィルタークロスを巻きつけて、クロスの重なっ た部分を接着して成形体外面に取り付ける。

【００１８】 次に本考案において、吸着性または濾過性が高い円筒状成形体の切り口を被覆 しているカラーと、円筒状成形体の内側及び外側を被覆している２枚のフィルタ ークロスとの少なくとも１部分は相互に接着されている必要がある。接着方法は 特に限定しないが、これらのシートが相互に重なった部分を融着法で数ケ所程度 点接着する方法が好ましい。

【００１９】 成形体の表面にこれらのシートが密着して取り付けられていれば、数ケ所程度 点接着で内部の吸着材または濾材の微粒子の漏洩を完全に防止することが可能で ある。この点融着の際、その部分が更に内部の吸着材または濾材の熱溶融性成分 例えば、吸着材に含まれているバインダー、或いは濾材に含まれている熱溶融性 繊維とも熱融着された状態がより好ましい。この様な本考案を構成する吸着性ま たは濾過性が高い円筒状成形体、カラー、２枚のフィルタークロスの全部が接着 されて１ピースとなれば、寸法精度その他機械的性質がより改善されるためより 好ましい。

【００２０】 本考案の吸着性または濾過性モジュールは吸着材または濾材の微粒子が漏出す るおそれがなく、また寸法精度及び機械的性質が優れているため、機器内部の小 空間に取り付けて使用するために適している。また用途は水中の不純物の吸着・ 濾過のみならず、その他液体或いは空気その他ガスの精製にも広く使用出来る。

【００２１】

【実施例】

以下本考案を具体的に示した図面を参照しながら更に詳しく説明する。

【００２２】 （実施例１） 図１は本考案の吸着性モジュールの一態様を示したもので、（a)は正面図を (b) は平面図を表している。また図２は図１(b) のA- A′線における断面図を示 したものである。更に、図３は図１に示した吸着性モジュールの立体組立図を示 したものである。

【００２３】 円筒状吸着剤成形体１はフェノール樹脂繊維を炭化・賦活して得られた比表面 積約1,500m²/g 、平均細孔半径約12Åの活性炭繊維 (クラレケミカル（株）製「 クラクティブ FR-15」) を熱可塑性樹脂をバインダーとして円筒状に成形したも ので、継ぎ目がない円筒状である。フェノール樹脂繊維を炭化・賦活して得られ た活性炭繊維は、その他の原料から得られた活性炭繊維と比較して比表面積が大 きく、細孔径の均一性が高く優れた吸着性をもっている。

【００２４】 カラー２は薄いポリプロピレン繊維からなる不織布をプレス成形した後打ち抜 いたもので、図３の２に示す様な形状になっている。カラー２は円筒状吸着剤成 形体１の切り口に嵌め込まれる。この際モジュールの寸法精度と機械的性質を高 めるため、カラーと吸着剤成形体との間に間隙ができない様に取り付ける必要が ある。

【００２５】 カラー２は濾過性を有する素材に限定する必要はなく、水やガスの透過性がな い素材を使用することも出来る。

【００２６】 フィルタークロス３はカラー２と同じ薄いポリプロピレン繊維からなる不織布 で、濾過抵抗が非常に低い材質である。フィルタークロス３は予め円筒状吸着剤 成形体１の内径に合わせた円筒形に成形した後、成形体１の内面との間に隙間が 出来ない様に挿入されている。フィルタークロスを成形体の内面に密着させる必 要があるのは前記のカラーの場合と同じ理由である。

【００２７】 フィルタークロス３はポリプロピレン繊維からなる不織布の他、ポリエチレン 繊維、ポリエステル繊維或いはポリプロピレン繊維・ポリエチレン繊維混合物、 ポリプロピレン繊維・ポリエステル繊維混合物の不織布、或いはこれらの織物、 編み物、不織布の他紙も含まれ、またはこれらの複合体でもよい。

【００２８】 フィルタークロス４もカラー２及びフィルタークロス３と同じ薄いポリプロピ レン繊維からなる不織布で、予め円筒状吸着剤成形体１の外面にマッチする様に 長方形に裁断したフィルタークロスを密着する様に巻きつけて、クロスの重なっ た部分を線状に熱融着して取り付ける。

【００２９】 更に、カラー２とフィルタークロス３及びカラー２とフィルタークロス４を、 図中の６に示す位置数ケ所で点融着して、円筒状吸着剤成形体１を薄いポリプロ ピレン繊維不織布で被覆する。この際、熱融着点６では２枚のポリプロピレン繊 維不織布が融着されるのみならず、吸着剤成形体にバインダーとして含まれてい る熱可塑性樹脂とも熱融着されるため、モジュールの寸法精度や機械的強度も一 層向上する。また、カラー及びフィルタークロスは、隙間が出来ない様に吸着剤 成形体の表面に密着しているので数カ所の点融着によって、内部の吸着剤の微粒 子の漏洩が完全に防止される。

【００３０】 この様な構造の場合数ケ所を点状に接着すれば内部の微粒子の漏洩は完全に防 止できるが、要すれば連続的に融着して成形体がポリプロピレン繊維不織布の袋 の内部に封入された構造にしてもよい。

【００３１】 本態様の吸着性モジュールは浄水器或いは冷蔵庫の浄水用に使用される。

【００３２】 （実施例２） 図４は本考案の吸着性モジュールの他の一態様の断面図を示したものである。

【００３３】 濾過性を有する円筒状成形体５は、ポリエステル繊維に熱可塑性樹脂をバイン ダーとして円筒状に成形したもので、高い濾過性を有する成形体である。またポ リエステル繊維を直接円筒状に成形したものであるから、継ぎ目の凹凸は全くな い。カラー２は薄いポリプロピレン繊維及びポリエチレン繊維の混合物からなる 不織布で、濾過抵抗が非常に低い材質である。

【００３４】 フィルタークロス３及び４もカラー２と同じ薄いポリプロピレン繊維及びポリ エチレン繊維の混合物からなる不織布で、円筒状不織布成形体５に取り付ける場 合、先にフィルタークロス３及び４を取り付けた後、カラー２を成形体の切り口 に嵌め込んでいる。従って、カラー２を取り付ける時円筒状成形体の内面及び外 面には、既にフィルタークロスが取り付けられている成形体５の切り口に嵌め込 まれている。その他は実施例１の成形体と構成部分の加工方法、組立後の構造及 び機能も殆ど同じである。

【００３５】

【考案の効果】

本考案の吸着性または濾過性モジュールは吸着性或いは濾過性が優れ、吸着材 または濾材の微粒子が漏出するおそれがなく寸法安定性及び機械的性質がよく、 主として機器内部の小空間に取り付けて使用するために適している。その用途は 水中の不純物の吸着・濾過のみならず、その他液体或いは空気その他ガスの精製 にも広く使用出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の吸着性モジュールの一態様を示したも
ので、（a)は正面図を(b) は平面図を表している。

【図２】図１(b) のA- A′線における断面図を示したも
のである。

【図３】図１に示した吸着性モジュールの立体組立図を
示したものである。

【図４】本考案の吸着性モジュールの一態様の断面図を
示したもである。

【符号の説明】

１ 円筒状吸着剤成形体 ２ カラー ３ 成形体の内面を被覆するフィルタークロス ４ 成形体の外面を被覆するフィルタークロス ５ 濾過性を有する円筒状不織布成形体 ６ 熱融着ケ所

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 吸着性繊維を含む円筒状吸着剤成形体
   １、円筒状成形体の切口を被覆するカラー２、円筒状成
   形体の内面を被覆するフィルタークロス３及び円筒状成
   形体の外面を被覆するフィルタークロス４からなり、カ
   ラー２とフィルタークロス３及び４との少なくとも１部
   が接着されて吸着剤成形体１を被覆していることを特徴
   とする吸着性モジュール。
2. 【請求項２】 濾過性を有する円筒状成形体５、円筒状
   成形体の切口を被覆するカラー２、円筒状成形体の内面
   を被覆するフィルタークロス３及び円筒状成形体の外面
   を被覆するフィルタークロス４からなり、カラー２とフ
   ィルタークロス３及び４との少なくとも１部が接着され
   て不織布成形体５を被覆していることを特徴とする濾過
   性モジュール。