JPH0667813B2

JPH0667813B2 - 根管充填用硬化型糊材

Info

Publication number: JPH0667813B2
Application number: JP61099015A
Authority: JP
Inventors: 康宏浅井; 寛一中川; 経裕石井
Original assignee: Kyocera Corp
Current assignee: Kyocera Corp
Priority date: 1986-04-28
Filing date: 1986-04-28
Publication date: 1994-08-31
Anticipated expiration: 2009-08-31
Also published as: JPS62255403A

Description

【発明の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本発明は、歯科治療に用いる根管充填用硬化型糊材に関
するものである。

〔従来の技術〕

歯科治療における根管充填用操作は抜髄あるいは感染根
管治癒後、空虚となった根管系に対し、根管充填材を適
用することによって、根端部創傷の保護、治癒を図るこ
とを目的としている。したがって歯牙の補綴処置に至る
前段階としてのかかる処置は一般歯科臨床上もっとも頻
度の高い処置法であるといえる。

従来からこのような処置には、種々の根管充填材が使用
されてきたが、これらは主として治療的な材品である糊
材系のもの（例えば水酸カルシウム系糊材）、また物理
的な封鎖を主体とした固形状のもの（例えばガッタパー
チャーポイント）に分けることができる。

しかしながら固形状の根管充填材においても根端部の確
実な封鎖を得る為には、他にシーラーと呼ばれる一種の
封鎖材を用いた併用根管充填を行う必要がある。そして
シーラーの中でも練和後ある一定時間経って硬化するタ
イプのものを硬化固形状（セメントタイプ）の根管充填
材と呼ぶことがある。

〔発明が解決しようとする問題点〕

このうち従来から知られているセメントタイプの根管充
填材としては、酸化亜鉛を主成分とし、これにユージノ
ールを混和して用いる酸化亜鉛ユージノールセメントが
多く用いられてきた。ところが酸化亜鉛ユージノールセ
メントは根端部の周囲組織に対し、組織刺激性を有する
とされ、いわゆる生物学的根管充填材としては、満足で
きるものとは言えなかった。

〔問題点を解決する為の手段〕

近年、歯牙や骨など生体硬組織の無機構成成分として知
られているハイドロキシアパタイトはその優れた生体親
和性から歯科インプラント、人工骨などに応用されてい
る。本発明者らは、このようなハイドロキシアパタイト
及び第３リン酸カルシウムの生体、特に歯髄及び根端部
周囲組成に及ぼす影響について種々研究を重ねた結果ハ
イドロキシアパタイト及び第３リン酸カルシウムを主成
分とした根管充填材が臨床上適用価値の高いものである
ことを見出し、かつ酸化マグネシウムを有効成分とし、
これらに硬化材としての酸化亜鉛、Ｘ線造影材を配合し
て成る第１材とグアヤコール、ユーカリプトール、ロジ
ンを主成分とし、これらに希釈材としてオリーブ油を配
合して成る第２材から成る２材根管充填材を提供せんと
する。

〔発明の構成〕

本発明における根管充填用硬化型糊材における第１材全
重量に対し、ハイドロキシアパタイト40〜60重量％、酸
化マグネシウム10〜30重量％、酸化亜鉛５〜25重量％、
Ｘ線造影材として次炭酸ビスマス、硫酸バリウム、ヨー
ドホルム、根粉が適量配合される。

ハイドロキシアパタイトの代わりに第３リン酸カルシウ
ム、ハイドロキシアパタイトと第３リン酸カルシウムの
複合体を用いることも可能である。

また酸化マグネシウムの代わりに水酸化カルシウムを用
いることも可能である。

一方第２材を構成するグアヤコールは40〜60重量％、ユ
ーカリプトール５〜25重量％、ロジン10〜30重量％、希
釈材としてオリーブ油を適量配合する。

このような成分及ぶ配合にあったのは、根管充填用硬化
型糊材における歯科理工学的な性質、すなわち硬化時
間、被膜厚さ、流動性、崩壊率を満足し、かつ根端部の
生物学的治癒を助長し根管充填材として優れた硬化を有
すると確認された動物実験より決められたものである。

次に本発明の糊材を用い歯科理工学的データーの測定、
根管内壁に対する動物実験をしたところ下記の如くであ
った。

〔評価〕

本発明による糊材をISO 規格DIS6876に従って歯科理工
学データ（被膜厚さ、硬化時間、流動性、崩壊率）を測
定し、第１表のような結果を得た。

また、本発明による糊材を成犬15頭の下顎前臼歯150根
管に対して適用し、３ケ月後に屠殺し、病理組織学的に
検索したところ第２表のような結果を得た。

この第１表、第２表から明らかな如く、これらの糊材は
歯科理工学データを満足し、かつ根端部の生物学的治癒
を助長し、根管充填材としてすぐれた効果を有するもの
であった。

次に本発明の実施例を具体的に説明する。

実施例１第１材処方（粉末状）ハイドロキシアパタイト 40重量％水酸化カルシウム 30重量％酸化亜鉛５重量％ヨードホルム 25重量％第２材処方（液状）グアヤコール 40重量％ユーカリプトール５重量％ロジン 29重量％オリーブ油 30重量％実施例２第１材処方（粉末状）第３リン酸カルシウム 40重量％酸化マグネシウム 10重量％酸化亜鉛 25重量％次炭酸ビスマス 25重量％第２材処方（液状）グアヤコール 40重量％ユーカリプトール 25重量％ロジン 25重量％オリーブ油 10重量％実施例３第１材処方（粉末状）ハイドロキシアパタイト 45重量％酸化マグネシウム 20重量％酸化亜鉛 10重量％次炭酸ビスマス 25重量％第２材処方（液状）グアヤコール 50重量％ユーカリプトール 15重量％ロジン 20重量％オリーブ油 15重量％実施例４第１材処方（粉末状）ハイドロキシアパタイト 50重量％酸化マグネシウム 30重量％酸化亜鉛５重量％硫酸バリウム 15重量％第２材処方（液状）グアヤコール 50重量％ユーカリプトール５重量％ロジン 15重量％オリーブ油 30重量％実施例５第１材処方（粉末状）第３リン酸カルシウム 50重量％水酸化カルシウム 10重量％酸化亜鉛 25重量％ヨードホルム 15重量％第２材処方（液状）グアヤコール 50重量％ユーカリプトール 25重量％ロジン 15重量％オリーブ油 10重量％実施例６第１材処方（粉末状）ハイドロキシアパタイト 60重量％酸化マグネシウム 20重量％酸化亜鉛 10重量％次炭酸ビスマス 10重量％第２材処方（液状）グアヤコール 60重量％ユーカリプトール 10重量％ロジン 10重量％オリーブ油 20重量％実施例７第１材処方（粉末状）ハイドロキシアパタイト 30重量％第３リン酸カルシウム 30重量％酸化マグネシウム 10重量％酸化亜鉛 20重量％次炭酸ビスマス 10重量％第２材処方（液状）グアヤコール 60重量％ユーカリプトール 20重量％ロジン 10重量％オリーブ油 10重量％〔発明の効果〕以上のように本発明に係る根管充填材は、主成分がハイ
ドロキシアパタイトであることから、すぐれた生体組織
との親和性を有し、それ故、組織刺激性が少なく、しか
も根管に充填された場合根端部周囲組織の治癒を助長
し、最終的に根端部の閉鎖機転を期待できる。また歯槽
骨の吸収を伴うような症例では根端孔外に溢れ出した充
填材は当該部分の治癒とともに新生骨により包含され欠
損部の補填材としての役割を果たすなどの優れた効果を
発揮する。また本発明充填材は粉末体から成る第１材と
液体である第２材から成り練和して用いるが、口腔内に
て硬化が完了することからガッタパーチャーポイントと
の併用根管充填に用いるシーラーとしても極めて有用で
ある。そのうえヨードホルム、硫酸バリウムなどを含有
せしめてあることによって適度のＸ線造影性を有し、根
管充填の状態を容易に確認することができるなど優れた
根管充填効果をもたすことができる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ハイドロキシアパタイト、酸化マグネシウ
ム、酸化亜鉛及びＸ線造影材を配合して成る第１材と、
グアヤコール、ユーカリプトール、ロジンを主成分とす
る第２材とから成る２材型の根管充填用硬化型糊材。
【請求項２】上記のＸ線造影材が次炭酸ビスマス、硫酸
バリウム、銀粉、ヨードホルムなどであることを特徴と
する特許請求の範囲第１項記載の根管充填用硬化型糊
材。