JPH0667273B2 - 誘導電動機の再起動方法 - Google Patents

誘導電動機の再起動方法

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JPH0667273B2
JPH0667273B2 JP61218464A JP21846486A JPH0667273B2 JP H0667273 B2 JPH0667273 B2 JP H0667273B2 JP 61218464 A JP61218464 A JP 61218464A JP 21846486 A JP21846486 A JP 21846486A JP H0667273 B2 JPH0667273 B2 JP H0667273B2
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一郎 宮下
淳 藤川
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はPWMインバータによる誘導電動機の制御方法に
関するもので、速度センサーを使用しない速度制御また
はトルク制御系の再起動、すなわち、通常の惰行運転中
の再起動もしくは瞬時停電復帰後の再起動方法の改良に
関するものである。
〔従来の技術〕
一般にTGレスまたはPGレス速度制御やトルク制御等の名
で呼ばれているPWMインバータによる誘導電動機の制御
方法は、TG(タコゼネ)PG(パルス発信機)等の速度セ
ンサーを用いずに、電流,電圧信号からトルク,速度等
を演算することによりれを制御することを特徴としてい
る。
例えば本発明の適用対象となるトルク制御方式は、電気
学会論文誌Bの106巻1号第9ページの「瞬時すべり周
波数制御に基づく誘導電動機の新高速トルク制御法」な
る論文に記載されている。
この論文は、電動機入力電圧を検出し、これを制御回路
内で積分したものを電動機磁束としている。すなわち、
いわゆる磁束演算形の制御方式であり、磁束ベクトルの
長さが与えられた磁束指令に追従し、かつ円軌跡を描く
ようなインバータ出力電圧を選ぶ。
また、電動機発生トルクを前記磁束と電動機入力電流の
ベクトル積として演算し、その大きさが与えられたトル
ク指令に追従するようなインバータ出力電圧を選ぶ。制
御は磁束およびトルクの瞬時値が所定の誤差内に保持さ
れるよう行われ、インバータ出力電圧は高速度で時々刻
々更新される。
第2図は上記論文に記載された制御方式に、本出願人が
先に特願昭61−99228号により提案したPWMインバータの
出力電圧検出方式を採用したトルク制御系のブロック図
であり、直流電圧源1より開閉器4,正母線1aおよび負母
線1bを経て、3相PWMインバータ3を介して3相誘電電
動機6に給電する。制御回路7は指令および検出された
電流,電圧信号を処理し、PWMインバータ3のスイッチ
ング素子の通電信号を発生する。
PWMインバータ3はトランジスタとダオードをそれぞれ
逆並列接続してなる6個のアームから構成されている
が、図のように3個の切換スイッチSu,Sv,Swとして表す
ことができる。
PWMインバータ3の各出力端子から電流検出器5u,5v,5w
を経て3相誘導電動機に給電すると共に、直流側正負母
線間に電圧検出器2が続接され、これら検出器と後述す
るスイッチ状態変数から各相電流および各相電圧が検出
できるようになっている。
3相かご形誘導電動機の1次端子電圧および電流をそれ
ぞれ とし、2次電流を とすると、電圧方程式は ただし、記号 は直軸,横軸しなわちd,q2軸変換された量のベクトル表
示であり、 例えば、 はd軸成分をV1d,q軸成分をv1qとすると、 で示され、 も同様に定義される。なお、の左辺のはd,q両軸成
分とも0の場合を表し、かご形回転子の場合2次電圧は
このようにとなる。
式における定数は R1;1次巻線抵抗 L11;1次インダクタンス R2;2次巻線抵抗 L22;2次インダクタンス M:相互インダクタンス mは回転角速度,pは微分演算子、jはベクトル積を表
す。
一方、磁束の定義として、1次磁束 式の第1行を展開して 式を代入し、整理すると 両辺を積分すると すなわち、電動機1次磁束は式の積分演算により求め
られる。
各切換スイッチSu,Sv,Swは、正母線1a側に倒れる場合と
負母線1b側に倒れる場合とがあり、中間位置をとること
はない。前者を状態1,後者を状態0とするとインバータ
の出力状態は下に示すスイッチ状態変数表ですべてを表
すことができる。
ここに、kは切換スイッチ状態を示す番号で、この8通
りしか存在しない。また はd,p2軸成分で表したスイッチ状態変数で、実際のd,q
軸電圧v1d,v1qは、これに直流電圧源1の電圧Vと を乗じ と表せる。
先のスイッチ状態変数表を図示したのが第3図であり、
v1の横の括弧内は切換スイッチSu,Sv,Swの状態を示して
おり、kが増加するに従って時計方向に60゜ずつステッ
プする電圧ベクトルを表している。
なお、k=0およびk=7は零ベクトルと呼ばれるもの
で、図では原点に一致する。k=0およびk=7はそれ
ぞれインバータの出力となる第2図の切換スイッチSu,S
v,Swがすべての正母線1a側に倒れるか、または負母線1d
側に倒れるかの違いはあるが、誘導電動機6の線間電圧
はいずれも0となり、3相短絡モードである。また、u,
v,w相の基準軸は後述する式により、それぞれ、k=
1,k=3,k=5の方向に対応する。
瞬時トルクTは式の1次磁束 と1次電流 のベクトル積として式により求められる。
ここで、φ1d,φ1qおよびi1d,i1qはそれぞれ1次磁束 および1次電流 をd,q2軸に分解したときの各成分である。
ブロック701および703bは切換スイッチSu,Sv,Swの状態
と電圧検出器2で検出した直流電圧源1の電圧Vとから
1次端子電圧 を算出するブロックであり、スイッチ状態変数表と式
とから算出される。
ブロック702は電流検出器5u,5v,5wにより検出された3
相電流iu,iv,iwを、次式によりd,q2軸成分に変換するブ
ロックである。
この1次電流 に、ブロック703aにおいて1次巻選抵抗R1を乗じ、ブロ
ック704において1次端子電圧 から1次巻線抵抗R1と1次電流 の積を減算する。
ブロック705は式に従って磁束を積分演算するブロッ
クであり、1次磁束 のd,q両軸成分φ1d,φ1qが求められ、ブロック710にて
磁束ベクトル長φが次式により求められる。
更に、ブロック710では、第4図の磁束状態図に示すよ
うに、1次磁束 ベクルのd軸を基準とする時計方向の回転角θが、境界
線として30゜,90゜,150゜,210゜,270゜,330゜の60゜毎
に仕切られるどの領域に属しているかによって制御フラ
グfθを次のように発生する −30゜≦θ<30゜;fθ=I 30゜≦θ<90゜;fθ=II 90゜≦θ<150゜;fθ=III 150゜≦θ<250゜;fθ=IV 210゜≦θ<270゜;fθ=V 270゜≦θ<330゜;fθ=VI 第6図はヒステリシスコンパレータの状態図で、磁束ベ
クル長φが磁束指令値▲φ* 1▼に対し、誤差限界Δφ
を用いて、 となるように制御するための制御フラグfφを発生す
る。すなわち、磁束ベクトル長φが増加して上限であ
に達すると減磁を指令する制御フラグfφ=0を発生
し、また磁束磁束ベクトル長φが減少して加減である に達すると増磁を指令する制御フラグfφ=1を発生す
る。
かくして、磁束ベクトル長φは第6図に示される矢印
の方向にリミットサイクルを描くようにして制御される
ことになるが、実際には、ブロック706で式により算
出された磁束ベクトル長φがブロック708において磁
束指令値▲φ* 1▼から減算され、ブロック711において
第6図の状態制御図に従い制御フラグfφ=1,0を発生
する。
第6図に示した磁束のリミットサイクルは、第4図に関
していえば、1次磁束 のベクトルの頭部が常に図示された円環部分に存在する
ように制御されていることに対応する。
第6図による制御フラグfφと第4図で説明した制御フ
ラグfθとが組み合わされて、例えばfθ=1,fθ=I
の制御フラグが立っているとすると、領域が−30゜≦θ
<30゜における増磁モードを意味するから、1次磁束 ベクトルに積分されるべき1次電圧 ベクトルは円の外向きの成分を持ったものとなり、第3
図からk=1,2,6のいずれかのみが選ばれる可能性があ
る。
ブロック707はブロック702,705の両出力のベクトル積を
式により演算し瞬時トルクTを算出するブロックであ
り、ブロック709においてトルク指令Tから瞬時トル
クTを減算し、トルク指令Tと式により求められた
瞬時トルクTとの差が所定の誤差限界以内に押えられる
ように、ブロック712において第7図の状態制御図に従
って制御フラグfτを発生する。
第7図は3値ヒステリシスコンパレータの状態図で、電
動機力行時はトルク偏差T−Tが上限値ΔT1(ΔT1
0)の達すると、加速モードの制御フラグfτ=1を発
生する。電動機が加速されてトルク偏差がT下限値−Δ
T2(ΔT2>0)に達すると、零ベクトルモードの制御フ
ラグfτ=0を発生し、トルクが漸減して再び備差が増
加し上限値ΔT1に達すると加速モードに移り、第7図の
上半部のヒステリシスループを矢印方向に周回するリミ
ットサイクルを描く。
これを時間領域にて表すと第5図のトルク波形図に示す
ごとく瞬時トルクTは変動し、トルク指令Tを挾んで
上,下の偏差分ΔT1+ΔT2の帯域内を往復する。
次に、電動機が回生制動を行っている時は第7図の下半
部のヒステリシスループを描くことになり、トルク偏差
が負の下限値ΔT1(ΔT1>0)に達すると減速モードの
制御フラグfτ=−1を発生する。以下、力行時と同様
に矢印の方向のリミットサイクルを繰り返えす。かくし
てブロック712は制御フラグfτ=1,0,−1を出力す
る。
ブンロック713はブロック710,711,712から出力される3
個の制御フラグfθ,fφ,fτの各組み合わせに最も適し
たインバータ出力電圧を決定するブロックであり、第4
図で説明した1次磁束 のベクトル長と回転方向をこれら3個の制御フラグf
θ,fφ,fτが制御する。
例えば前述のごとく制御フラグfθ=1,fφ=Iの場合
には、電圧ベクトルをスイッチ状態変数表のkに従って で表すとすると、電圧ベクトルとして選ばれる可能性が
あるのはk=1,2,6のいずれかであるが、このとき制御
フラグfτ=1ならば、時計方向に回転する成分を持つ
ベクトルk=2すなわち出力電圧ベクトル が選ばれる。もしfτ=−1のときは τ=0のときはゼロベクトルで、 が選ばれる。
次に示すスイッチングテーブルは、3個の制御フラグf
θ,fφ,fτのすべての組み合わせについて出力電圧ベク
トルの番号kの値を示したもので、毎演算サイクル毎に
ブロック713においてこのスイッチングテーブルを参照
することにより、インバータ3へスイッチング信号を送
り、磁束およびトルクの瞬時制御が行われる。
インバータ周波数は第4図の1次磁束 ベクトルの回転速度と考えることができるが、これは外
部から与えられるものではなく、式による電圧ベクト
ルの積算結果として生ずるものである。
〔発明が解決しようとする問題点〕
前記のような技術においては速度,トルクの演算に回転
速度センサを用いていないので、もし瞬時停電が発生し
た場合には再起動の目標速度が決定できない。従来のよ
うにトルク制御において電動機の回転速信号を使用する
ものは、瞬時停電のために開閉器4を開いても速度帰還
信号が使えるので、復帰するときの電圧形インバータ周
波数はその速度帰還信号から決定することができる。と
ころが、前述の制御方法では瞬時停電で開閉器4が開路
されると1次電圧 および1次電流 も零になるかまたは正常時の値を示さなくなるため、復
帰時のインバータ周波数を演算することができない。
従って、このような場合に対応するためには、一度電動
機を停止させてから再起動するか、または電動機の残留
磁束による微弱な誘起電圧を検出し、高利得の増幅器で
増幅することにより電動機の回転周波数を得て、これに
一致したインバータ周波数を発生せしめて再起動を行う
のが一般的であった。
本発明は、このような煩雑なことを行うことなく、通常
の惰行運転中の再起動もしくは瞬時停電復帰後の再起動
を容易に行うことを可能にするためにされたものであ
る。
〔問題点を解決するための手段〕
同期引込を少ないショックで迅速に行うため、トルクの
ヒステリシスコンパレータであるブロック712の動作点
の上限値ΔT1,下限値ΔT2を小さくし、出力である制御
フラグの初期値を強制的にfτ=1と、磁束演算が可能
なようにしておく。このため、電圧検出器2を開閉器4
よりも直流電圧源1側に挿入する。このようにしておく
ことにより、開閉器4が開放されていても電圧帰還信号
は有効であるから、開閉器4が閉じられていれば発生す
る仮想の1次磁束 を演算器の中で演算せしめる。このようにすることによ
って開閉器4が閉路する以前に磁束演算を開始すること
ができる。
このとき、磁束指令値▲φ* 1▼は小さい値とし、正常な
直流電圧源の電圧Vが印加された場合には1次磁束 ベクトルの回転速度が少なくともインバータ最高周波数
より低くない値になるようにしておくと共に、トルク指
令Tも充分小さい値にしておいて、停電解除後に開閉
器4を投入する。
同期引込現象が終了するまでは、磁束指令値▲φ* 1▼,
トルク指令Tおよびヒステリシスコンパレータのブロ
ック712の動作点の上限値ΔT1,下限値ΔT2を小さい値に
拘束しておき、同期引込が完了したら拘束を解除する。
もし停電時間が長くなり、電圧がほぼ零近くまで低下し
てたときは、磁束演算は不可能となるが、この様な場合
は電動機の残留磁束もまた低下し同期引込みに伴うショ
ックは消失するので、通常の起動を行えばよい。
〔作 用〕
開閉器4を閉じる前には演算上の1次磁束 ベクトルの回転速度は、電動機の実際の回転速度よりも
必らず大きいように設定されている。開閉器4が閉じら
れると、最初制御フラグfτ=1となっているので、電
動機に増磁の電流が流れて瞬時トルクTが発生し、直ち
にトルク指令Tとの差が下限値−ΔT2を超えて制御フ
ラグfτ=0となり、インバータは零ベクトルを発生
し、1次磁束 ベクトルの回転を止める。
すると瞬時トルクTは減少し、再び制御フラグfτは1
となり、1次磁束 ベクトルは回転する。このような動作を繰り返えして1
次磁束 ベクトルの平均回転速度は電動機の回転速度と一致し、
同期引込を完了する。
この間、トルク指令Tは小さい値に拘束されているの
で、同期引込のショックは小さく押えられる。この動作
の詳細については以下の実施例において説明する。
〔実施例〕
第1図は本発明にかかる誘電電動機の再起動方法の一実
施例を示すブロック図で、第2図と同一の符号は同一機
能部分を示し、第2図と異なる所はトルク指令T,磁
束指令値▲φ* 1▼を所定時間小さい値に抑え、且つトル
クのヒステリシスコンパレータであるブロック712の動
作点の上限値ΔT1,下限値ΔT2を変更するためのブロッ
クを追加すると共に、電圧検出器2を開閉器4より直流
電圧源1側へ移動してある。
11は再起動指令を発する再起動指令発生器で、瞬時停電
復帰時あるいは通常の惰行運転中の再起動を行うとき信
号を発生する。12は所定時間だけアクティブになる論理
信号を発生する再起動時限器であり、以下に示すトルク
誤差幅制御器13,磁束指令制御器14,トルク指令制御器15
は再起動時限器12がアクティブのときにのみ、電動機再
起動のための一連の動作を行う。
トルク誤差幅制御器13はトルクのヒステリシスコンパレ
ータであるブロック712の動作点の上限値ΔT1および下
限値ΔT2を小さい値に変更するためのもので、再起動時
限器12がアクティブの期間だけ上,下限値ΔT1,ΔT2
小さくし、後述するように小さいトルク指令Tに対し
てもヒステリシスコンパレータが制御フラグfτ=1を
発生できるようにするためのものである。
トルク指令制御器15は再起動時限器12がアクティブの期
間だけ外部から与えられるトルク指令Tを阻止し、代
わりに内部に具えている小さいトルク指令T′を制御
回路7の入力として与えるものである。
磁束指令制御器14は再起動時限器12がアクティブの期間
だけ外部から与えられる磁束指令値▲φ* 1▼を阻止し、
代わりに内部に具えている小さい磁束指令値▲φ* 1▼′
を制御回路7の入力として与えるものである。
制御回路7は電動機再起動信号が再起動指令発生器11か
ら発せられると、上記の動作により外部から与えられる
磁束指令値▲φ* 1▼,トルク指令Tに代えて、再起動
時の同期引込を行うための小さい磁束指令値▲φ
* 1▼′,トルク指令T′を与えられる。このような準
備をすると、開閉器4が開いていても電圧検出器2は直
流電圧源1の電圧Vを検出しているので、開閉器4が閉
じられていれば発生する仮想の1次磁束 を演算する。
このとき、磁束指令値▲φ* 1▼′は小さいので、1次磁
の回転速度は普通の場合より速い。この回転速度がイン
バータの最高運転周波数より高くなるように磁束指令値
▲φ* 1▼′の大きさを定めておく。
瞬時停電の復帰後以上の準備をしてから、開閉器4を閉
じる。
第8図は本発明の同期引込動作を説明するための電動機
トルクスピード曲線で、横軸はトルク,縦軸は電動機回
転速度を表す。いま、瞬時停電発生時の動作点をPと
し、瞬時停電により電動機は発生トルクを失い、動作点
はP0へ移ったとする。
時間の経過とともに点P0は縦軸上を原点0に向って移動
するが、瞬時的には点P0は動かないものと考える。そこ
で、瞬時停電発生前すなわち通常の磁束指令値▲φ* 1
に対応する最大トルクTmの大きいトルクスピード曲線C
に対して、再起動用の小さい磁束指令値▲φ* 1▼′に対
応するトルクスピード曲線C0′は、同期回転速度N0′は
高く最大トルクTm′は小さい曲線となる。
いま、同期引込みをショックなく行うためには電動機の
無負荷動作点P0を通るトルクスピード曲線C0をインバー
タ周波数を変化することにより実現すればよい。電動機
が負荷を負うのは同期引込が完了した後とし、無負荷で
トルスピード曲線C0を実現する原理を以下に説明する。
瞬時停電発生後、開閉器4が開かれ主回路に電流が流れ
なくなると、電動機トククは零となり、瞬時トルクTの
演算値を零になるが、磁束の演算は可能であり、開閉器
4を閉じたときに誘電電動機6に発生する磁束と等価な
仮想の1次磁束 を演算する。
ところが、前記の通り瞬時トルクTの演算値は零である
ため、ブロック709へのフイードバックも零となり、小
さいトルク指令Tに対してもブロック712のヒステリ
シスコンパレータは常に力行の制御フラグfτ=1を出
し続ける。
一方、磁束指令値▲φ* 1▼′は小さい値が与えられてい
るので、演算により生成している仮想の1次磁束 ベクトルの矢先の軌跡は、ほぼ磁束指令値▲φ* 1▼′に
追従した小さい半径の円を描く。
このとき、磁束ベクトル長φ1,インバータ出力電圧最大
値v1,磁束ベクトルの回転速度すなわち周波数f1の間に
なる関係式があり、周波数は磁束を弱めるほど高くな
る。但し、式においてインバータ出力電圧最大値と
は、常に力行の制御フラグfτ=1が出ている状態に対
するもので、零ベクトルは含まず、基準の回転方向に最
大の加速トルクを生じる電圧ベクトルのみを出力してい
るときの電圧値を指す。
第8図の曲線C0′は小さい磁束指令値▲φ* 1▼′に対す
るトルクスピード曲線で、その同期回転速度N0′は式
のφに小さい磁束ベクトル長φ′を代入して求まる
周波数f1′と誘導電動機6の極数PNで決まるものであ
る。但し、ここに磁束ベクトル長φ′は磁束指令値▲
φ* 1▼′によって得られる演算磁束ベクトル長である。
曲線C0′は開閉器4が投入された瞬間に誘導電動機6が
持つ仮想のトルクスピード曲線とか考えることができ
る。
開閉器4が投入されると電動機に電流が流れ、演算瞬間
トルクTが発生する。開閉器4が投入された瞬間には電
動機内部の磁束はまだ立ち上っておらず、電動機はすぐ
にはトルクを発生しないが、磁束の立ち上りと共にトル
クを発生し、曲線C0′上の点P′から曲線C0′に沿って
わずかに加速しようとする。
しかし、トルク指令T′は小さい値が与えられてお
り、ブロック712のトルクヒステリシスコンパレータの
動作点の上限値ΔT1,下限値ΔT2も小さく設定されてい
るので、すぐに制御フラグfτは1から0に変わり、イ
ンバータは零ベクトルを出力する。
零ベクトルが出力されると1次磁束 ベクトルは停止し、瞬時トルクTは減少する。磁束ベク
トルがある時間停止するということは、磁束ベクトルの
平均回転速度すなわち周波数が式のf1′より小さくな
ることを意味する。
零ベクトルが出力されることにより瞬時トルクTが減少
すると、トルクヒステリシスコンパレータは再び加速の
制御フラグfτ=1を発生する。インバータは零でない
電圧を出力するので磁束ベクトルは再び回転し、瞬時ト
ルクTも増加する。以下同様にトルクヒステリシスコン
パレータ制御はフラグfτ=1,0を交互に反復出力す
る。
すなわち、磁束ベクトルは式の周波数による回転と、
零ベクトルの出力による停止を反復することにより、そ
の平均値として点P0に相当する周波数f0に達する ただし、t0,t1はそれぞれ単位時間内においてインバー
タが零ベクトル,非零ベクトルを出力している時間であ
る。
このようにして、電動機の速度はほとんど変らずに、曲
線C0′が矢印a方向に降下して曲線C0に達し同期化が行
われる。
このときの電動機トルクは第8図の点P0′におけるトル
クであるから、線分P0Pと曲線C0′との交点のトルクに
等しく、曲線C0′が降下してくる過程で最大トルクTm′
に達する。
従って、同期化のショックを軽減するために、磁束指令
値▲φ* 1▼′,トルク指令T′を小さくし、トルクス
ピード曲線C0′上の最大トルクTm′をなるべく小さい値
にすると共に、零ベクトルを発生し易いように、トルク
ヒステリシスコンパレータの上,下限値ΔT1,ΔT2を充
分小さくしておく必要がある。
もし、トルクヒステリシスコンパレータの,下限値Δ
T1,ΔT2が過大な場合には、制御フラグfτ=1,0の転換
の周期が長くなるので、曲線C0′は目標の曲線C0を行き
過ぎ曲線C0″に至る事がある。この場合は電動機周波数
よりインバータの周波数が低くなるのでブレーキトルク
が生じ、曲線C0″を曲線C0の方向に引き上げる作用が生
じるが、同期化に要する時間は長くなり、ショックも大
きくなる。
また、磁束指令値▲φ* 1▼′によって決まる周波数f1
が少なくとも運転状態において達し得るインバータ量高
周波数より低くない値に定められていないと、電動機周
波数の方がインバータ周波数より高くなることがあり、
ブレーキトルクを生じることがある。このような場合に
は、インバータの周波数は与えられた磁束指令値▲φ* 1
▼′により決まる周波数より下がることはできても上る
ことはできないので、電動機が磁束指令値▲φ* 1▼′に
よって決まる周波数f1′に相当する回転速度まで減速す
ることによって同期化が行われる。これは余分な減速を
行うことになるので制御上好ましくない。
〔発明の効果〕
本発明にかかる誘導電動機の再起動方法によれば、速度
センサーを用いないインバータによる誘導電動機のトル
ク制御系の瞬時停電後の再復帰、あるいは惰行中の再起
動などに対して、特別な検出器を用いることなくショッ
クの少ない同期引込を行うことができる。
特に、制御回路をディジタル化した場合には、第1図に
示したブロック図中の再起動指令発生器11〜トルク指令
制御器15は全くソフトウエアだけとなり、残留磁気の検
出を行う方式等に比べて極めて簡素なものとすることが
できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明にかかる誘導電動機の再起動方法の一実
施例を示すブロック図、第2図は従来技術を表すブロッ
ク図、第3図はスイッチ状態変数によるインバータの出
力電圧ベクトル図、第4図は電動機の1次磁束ベクトル
の瞬時制御方法を示す磁束状態図、第5図は電動機のト
ルク波形図、第6図は磁束のヒステリシスコンパレータ
の状態図、第7図はトルクの3値ヒステリシスコンパレ
ータの状態図、第8図は本発明にかかる誘導電動機の同
期引込動作を説明するための電動機のトルクスピード曲
線である。 1……直流電圧源、2……電圧検出器、3……PWMイン
バータ、4……開閉器、5u,5v,5w……電流検出器、6…
…誘導電動機、7……制御回路、11……再起動指令発生
器、12……再起動時限器、13……トルク誤差幅制御器、
14……磁束指令制御器、15……トルク指令制御器。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】直流電圧源とPWMインバータと誘導電動機
    と直流電圧源電圧検出器と電動機電流検出器とを少なく
    とも備え、該PWMインバータを介して直流電圧源より誘
    導電動機に可変電圧可変周波数交流電圧を供給するとと
    もに、インバータ各相出力電圧を指令するスイツチ状態
    信号と直流電圧源電圧検出値と電動機電流検出値とを用
    いて電動機瞬時磁束ベクトル信号および瞬時発生トルク
    信号を演算し、該磁束演算値の大きさとその指令値との
    偏差が所定の許容範囲を越えると磁束増加もしくは磁束
    減少を指令する第1の制御フラグを発生するヒステリシ
    ス・コンパレータと、前記トルク演算値とその指令値と
    の偏差が所定の許容範囲を越える場合および所定の許容
    範囲内に収まつている場合に応じてトルク増加・減少も
    しくは現状保持を指令する第2の制御フラグを発生する
    3値ヒステリシス・コンパレータと、磁束ベクトル成分
    の大きさと符号から該磁束ベクトルが現在円周を区分し
    たどの円弧領域に存在するかを示す第3の制御フラグを
    発生する磁束位置検出手段とを具えるとともに、これら
    3個の制御フラグ値の組み合わせによりトルク応答を最
    適化する電圧ベクトルを発生するインバータのスイッチ
    ング状態を指定することにより、誘導電動機の発生トル
    クを指令値に追従制御するとともに磁束ベクトルが近似
    的円軌跡を描くように制御するものにおける瞬時停電ま
    たは電動機惰行時の再起動方法において、前記直流電圧
    源電圧検出器は開閉器に対して電源側に接続し、電動機
    再起動に充分な時間を確保する時限設定手段と、該時限
    設定手段の時限内で磁束指令とトルク指令と前記第2の
    制御フラグを発生する3値ヒステリシス・コンパレータ
    のトルクヒステリシス値とを正常運転時よりも弱小な値
    に強制的に変更する手段とを備えるとともに、再起動時
    インバータ周波数を正常運転時に生じ得る最高周波数よ
    りも高く設定した後に開閉器を閉路し同期引き込みを行
    い、前記時限設定手段設定時間が終了後正常な磁束指令
    とトルク指令とトルクヒステリシス値に戻し正常な運転
    に復帰させることを特徴とする誘導電動機の再起動方
    法。
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