JPH0664450U - 養液栽培装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 砂または礫状培土が多孔質状に充填された多
孔性容器からなる栽培床２を栽培槽１内の栽培養液に浸
漬するようにして植物を養液栽培する養液栽培装置にお
いて、上記の栽培床２には植物の苗穴となる複数の開口
部が設けられており、上記の栽培槽１の両側壁には、栽
培床２の側部に嵌合する溝部が設けられており、栽培床
２を前記溝部に嵌め込むことにより、栽培床２をほぼ水
平に支持する。 【効果】 １つの栽培床２で複数の植物を生育させるこ
とができる。このため、栽培床２を効率的に活用でき、
少ない栽培床２で、植物を大量生産できる。しかも、収
穫時の栽培床２の抜き取り作業等の手間が軽減する。さ
らに、栽培床２を両端で固定しているので、栽培床２が
安定し、大きな植物を生育させることが可能である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、植物の養液栽培装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

養液栽培装置の一例として、特開平４−７４９４９号公報に開示されている養 液栽培装置を図１１に示す。

【０００３】 この養液栽培装置は、栽培養液６０を蓄える栽培容器５１と、パミスサンド５ ５を充填した多孔性容器５４からなる栽培床５３とを備えており、栽培容器５１ の上部に設けられた孔部５６に、栽培床５３を嵌挿し、栽培床５３の下部を前記 栽培養液６０に浸漬するようにして植物を養液栽培している。

【０００４】 栽培養液６０は、毛管現象により栽培床５３の下部から植物６２の根に供給さ れるようになっており、酸素は、栽培養液６０に浸漬されていない栽培床５３の 上部から植物６２に供給されるようになっている。このため、植物６２の生育が 旺盛になる。

【０００５】 また、栽培容器５１に複数の栽培床５３をセットすれば、一度に複数の植物６ ２を栽培することもできる。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記従来の構成では、野菜等の植物６２を大量生産しようとす ると、非常に多くの栽培床５３が必要となる。このため、養液栽培装置の設備費 が増大するだけでなく、収穫時の栽培床５３の抜き取り作業等の手間も増加する という問題点を有している。

【０００７】

【課題を解決するための手段】 請求項１の考案に係る養液栽培装置は、上記の課題を解決するために、砂また は礫状培土が多孔質状に充填された多孔性容器からなる栽培床を栽培槽内の栽培 養液に浸漬するようにして植物を養液栽培する養液栽培装置において、上記の栽 培床には植物の苗穴となる複数の開口部が設けられており、上記の栽培槽の両側 壁には、栽培床の側部に嵌合する溝部が設けられており、栽培床を前記溝部に嵌 め込むことにより、栽培床をほぼ水平に支持することを特徴としている。

【０００８】 請求項２の考案に係る養液栽培装置は、上記の課題を解決するために、請求項 １の養液栽培装置であって、上記栽培床の多孔性容器は、円筒形、直方体形、楕 円筒形、断面Ｕ字形、断面Ｖ字形または断面半円形のいずれかであることを特徴 としている。

【０００９】 請求項３の考案に係る養液栽培装置は、上記の課題を解決するために、請求項 １の養液栽培装置であって、上記栽培床の多孔性容器は、多孔性シートを折り曲 げて、複数の開口部を有する合わせ部材にシート両端を封止すると共に、シート サイドも互いに封止してなることを特徴としている。

【００１０】

【作用】

請求項１の構成によれば、栽培床に複数の苗穴を設けたので、１つの栽培床で 複数の植物を生育させることができる。このため、栽培床を効率的に活用でき、 少ない栽培床で、植物を大量生産できる。しかも、収穫時の栽培床の抜き取り作 業等の手間が軽減する。さらに、栽培床を両端で固定しているので、栽培床が安 定し、大きな植物を生育させることが可能である。

【００１１】 請求項２の構成によれば、請求項１の作用に加え、多孔性容器を円筒形にする と、例えば、ネット状プラスチックからなるパイプを切断することにより、多孔 性容器を安価に大量生産することが可能になる。また、多孔性容器を長方体また は楕円筒形にすると、栽培床を栽培槽に嵌合させた際、栽培床は回転しなくなる 。これにより、栽培床を安定に支持できる。また、多孔性容器を断面Ｕ字形、断 面Ｖ字形または断面半円形のいずれかにすると、植物の生育状態を観察するため に栽培床を引き上げても、根を損傷しなくなる。また、パミスサンド等の充填物 の量が少なくて済む。

【００１２】 請求項３の構成によれば、請求項１の作用に加え、容易に製造可能な多孔性容 器を提供できる。

【００１３】

【実施例】

本考案の一実施例について図１ないし図１０に基づいて説明すれば、以下の通 りである。

【００１４】 本実施例の養液栽培装置は、図１に示すように、栽培養液を蓄える栽培槽１と 、栽培槽１にセットされた複数の栽培床２…と、栽培床２・２間に設けられた上 蓋３…から構成されている。

【００１５】 栽培槽１の内壁および栽培養液の中にアオコ等の藻類が発生しないように、栽 培槽１及び上蓋３…には、遮光性のある材料を用いることが好ましい。具体的に は例えば、発泡ポリスチレン等の発泡プラスチックが軽量で断熱性、耐水性もあ るため最適である。また、耐水性素材に断熱材、遮光材を複合した材料も用いる ことができる。

【００１６】 栽培床２は、図２に示すように、礫等を多孔質状に充填した直方体形状の多孔 性容器４と、多孔性容器４の上部の蓋５から構成されており、蓋５には、植物の 苗穴となる複数の開口部５ａ…が設けられている。

【００１７】 多孔性容器４は、有孔金属板、金網、あるいはプラスチック製の有孔板、ネッ ト等を用いて製造される。多孔性容器４の孔あるいは網目の大きさは、植物の毛 根が自由に通過できる程度であればよく、１〜５ｍｍが適当である。多孔性容器 ４には、多孔性容器４の孔あるいは網目の大きさに応じて１〜５ｍｍの大きさの パミスサンド（微粒軽石）、砂、小石、礫状培土等が単独で、もしくは混合して 充填される。充填物としては、パミスサンドが最適であるが、栽培養液が栽培床 ３の中を毛管現象により上昇して行き、かつ、栽培床２内での植物の発根を妨げ ないものであればいかなるものでもかまわない。

【００１８】 栽培槽１の両側壁には、図３に示すように、栽培床２の両側部に嵌合する溝部 １ａ…が設けられており、上記の栽培床２を水平に安定して支持できるようにな っている。

【００１９】 上記の構成において、栽培槽１に多数の栽培床２をセットする。すなわち、栽 培槽１の両側壁に設けられた溝部１ａ・１ａに各栽培床２の両側部を嵌め込む。 これにより、栽培床２…が栽培槽１に安定して支持される。栽培床２・２間には 、栽培槽１内を遮光するために、上蓋３…をセットする。播種あるいは幼苗定植 は、各栽培床２の蓋５に設けられた開口部５ａ…を介して行われる。

【００２０】 栽培槽１に注入する栽培溶液の容量は、栽培床２の下部が浸漬するように調整 される。これにより、上蓋３と栽培溶液面との間に、空気供給相が確保される。 栽培床２の上部は栽培養液に浸漬されないが、栽培床２は上述のようにパミスサ ンド等を充填した多孔性容器４からなっているので、栽培養液は毛管現象により 栽培床２の中を上昇して栽培床２の上部に到達する。しかも、栽培床２の上部に は上記空気供給相から酸素が供給される。

【００２１】 これにより、栽培床２の各開口部５ａ…を介して植え込まれた植物の根には、 栽培養液と酸素とが適度に混ざり合って供給されることになり、毛根が発達して 生育が旺盛になる。

【００２２】 以上のように、本実施例の養液栽培装置では、１つの栽培床２に複数の植物を 生育させる構成であるので、少ない栽培床２でも、植物を大量に生産できる。

【００２３】 しかも、栽培床２を栽培槽１の両側壁に設けた溝部１ａ・１ａに嵌め込む構成 であるので、栽培床２を安定に支持できる。これにより、大きく成長する植物を 栽培できる。また、１つの栽培槽１に多くの栽培床２を容易に配置することがで きる。

【００２４】 養液栽培装置のサイズについて、一例を示せば、栽培槽１の幅は１．８ｍ、長 さは３０ｍ程度であり、栽培床２の幅は５０ｍｍ、高さは１００ｍｍ、長さは栽 培槽１の幅程度である。したがって、栽培床２・２の間隔を３００ｍｍとすると 、１つの栽培槽１に１００個の栽培床２…を配置できることになる。

【００２５】 １つの栽培床２に５本の植物を植えることにすると、計５００本の植物を１セ ットの養液栽培装置で栽培できる。すなわち、栽培床２の数をあまり多くしなく ても、植物の大量生産が可能になる。しかも、５００本の植物を収穫するために 、１００個の栽培床２…を抜き取ればよいので、収穫作業の手間が軽減する。

【００２６】 栽培床２に用いられる多孔性容器４は、直方体形状に限る必要はなく、直垂台 形であってもかまわない。

【００２７】 また、図４に示すように、栽培床２に円筒形の多孔性容器４を用い、円筒面に 複数の開口部５ａ…を形成すれば、蓋５を省略できる。しかも、円筒形の多孔性 容器４の場合、製造が容易である。円筒の両底面（図の両側面）は、円筒面と同 一材料であってもよいし、発泡プラスチック等の別材料を用いてもよい。なお、 栽培槽１の両側壁の溝部１ａ・１ａは、図５に示すように、円筒と嵌合するよう に例えば半円形にしておく。

【００２８】 さらに、図６に示すように、栽培床２に楕円筒形の多孔性容器４を用いると、 栽培槽１に取り付けたときに回転しない。これにより、栽培床２を極めて安定に 支持できる。

【００２９】 さらにまた、図７に示すように、栽培床２に断面がＵ字形の多孔性容器４を用 いることもできる。この場合、栽培床２を引き上げても、根が両側の上蓋３・３ に引っ掛からなくなる。これにより、植物の生育状態を観察するために栽培床２ を引き上げても、根を損傷しなくなる。しかも、パミスサンド等の充填物の量が 少なくて済む。

【００３０】 なお、図示しないが、断面がＶ字形、半円形であっても、上記Ｕ字形の多孔性 容器４と同様の作用効果がある。

【００３１】 さらに、図８に示すように、多孔性シートを曲げ、複数の開口部５ａ…を有す る合わせ部材６の所でシート両端を封止し、曲げたシートの両サイドも互いに封 止した多孔性容器４を用いてもよい。合わせ部材６は、例えば、図９に示すよう な、プラスチックまたは金属の成形品からなっている。栽培槽１の両側壁の溝部 １ａ・１ａは、図１０に示すように、多孔性容器４の両側の封止部と嵌合するよ うにスリット状にしておく。

【００３２】 ここで、多孔性シートとは、金網、網状プラスチックシート、プラスチック製 ネット品等、可撓性を有するシート状多孔性部材の総称である。

【００３３】 請求項１の考案に対応する養液栽培装置は、砂または礫状培土が多孔質状に充 填された多孔性容器４からなる栽培床２を栽培槽１内の栽培養液に浸漬するよう にして植物を養液栽培する養液栽培装置において、上記の栽培床２には植物の苗 穴となる複数の開口部５ａ…が設けられており、上記の栽培槽１の両側壁には、 栽培床２の側部に嵌合する溝部１ａ・１ａが設けられており、栽培床２を前記溝 部１ａ・１ａに嵌め込むことにより、栽培床２をほぼ水平に支持する構成である 。

【００３４】 したがって、１つの栽培床２で複数の植物を生育させることができる。このた め、栽培床２を効率的に活用でき、少ない栽培床２で、植物を大量生産できる。 しかも、収穫時の栽培床２の抜き取り作業等の手間が軽減する。さらに、栽培床 ２を両端で固定しているので、栽培床２が安定し、大きな植物を生育させること が可能である。

【００３５】 請求項２の考案に対応する養液栽培装置は、請求項１の養液栽培装置であって 、上記栽培床２の多孔性容器４は、円筒形、直方体形、楕円筒形、断面Ｕ字形、 断面Ｖ字形または断面半円形のいずれかである構成である。

【００３６】 したがって、請求項１の作用効果に加え、多孔性容器４を円筒形にすると、例 えば、ネット状プラスチックからなるパイプを切断することにより、多孔性容器 ４を安価に大量生産することが可能になる。また、多孔性容器４を、長方体形ま たは楕円筒形にすると、栽培床２を栽培槽１に嵌合させた際、栽培床２は回転し なくなる。これにより、栽培床２を安定に支持することができる。また、多孔性 容器４を断面Ｕ字形、断面Ｖ字形または断面半円形にすると、植物の生育状態を 観察するために栽培床２を引き上げても、根を損傷しなくなる。また、パミスサ ンド等の充填物の量が少なくて済む。

【００３７】 請求項３の考案に対応する養液栽培装置は、請求項１の養液栽培装置であって 、上記栽培床２の多孔性容器４は、多孔性シートを折り曲げて、複数の開口部５ ａ…を有する合わせ部材にシート両端を封止すると共に、シートサイドも互いに 封止してなる構成である。

【００３８】 したがって、請求項１の作用効果に加え、容易に製造可能な多孔性容器４を提 供できるという効果を奏する。

【００３９】

【考案の効果】

請求項１の考案に係る養液栽培装置は、以上のように、栽培床には植物の苗穴 となる複数の開口部が設けられており、上記の栽培槽の両側壁には、栽培床の側 部に嵌合する溝部が設けられており、栽培床を前記溝部に嵌め込むことにより、 栽培床をほぼ水平に支持するので、１つの栽培床で複数の植物を生育させること ができる。このため、栽培床を効率的に活用でき、少ない栽培床で、植物を大量 生産できるという効果を奏する。しかも、収穫時の栽培床の抜き取り作業等の手 間が軽減する。さらに、栽培床を両端で固定しているので、栽培床が安定し、大 きな植物を生育させることが可能であるという効果も併せて奏する。

【００４０】 請求項２の考案に係る養液栽培装置は、以上のように、請求項１の養液栽培装 置であって、上記栽培床の多孔性容器は、円筒形、直方体形、楕円筒形、断面Ｕ 字形、断面Ｖ字形または断面半円形のいずれかであるので、請求項１の効果に加 え、多孔性容器を円筒形にすると、例えば、ネット状プラスチックからなるパイ プを切断することにより、多孔性容器を安価に大量生産することが可能になると いう効果を奏する。また、多孔性容器を長方体または楕円筒形にすると、栽培床 を栽培槽に嵌合させた際、栽培床は回転しなくなる。これにより、栽培床を安定 に支持できるという効果を奏する。また、多孔性容器を断面Ｕ字形、断面Ｖ字形 または断面半円形のいずれかにすると、植物の生育状態を観察するために栽培床 を引き上げても、根を損傷しなくなり、パミスサンド等の充填物の量が少なくて 済むという効果を奏する。

【００４１】 請求項３の考案に係る養液栽培装置は、以上のように、請求項１の養液栽培装 置であって、上記栽培床の多孔性容器は、多孔性シートを折り曲げて、複数の開 口部を有する合わせ部材にシート両端を封止すると共に、シートサイドも互いに 封止してなるので、請求項１の効果に加え、容易に製造可能な多孔性容器を提供 できるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る養液栽培装置の概略の構成を示す
斜視図である。

【図２】図１の養液栽培装置の多孔性容器の一例を示す
斜視図である。

【図３】図２の多孔性容器に嵌合する栽培槽の側壁を示
す部分斜視図である。

【図４】図１の養液栽培装置の多孔性容器の他の例を示
す斜視図である。

【図５】図４の多孔性容器に嵌合する栽培槽の側壁を示
す部分斜視図である。

【図６】図１の養液栽培装置の多孔性容器のその他の例
を示す斜視図である。

【図７】図１の養液栽培装置の多孔性容器のさらにその
他の例を示す斜視図である。

【図８】図１の養液栽培装置の多孔性容器のさらにその
他の例を示す斜視図である。

【図９】図８の多孔性容器の合わせ部材の一例を示す斜
視図である。

【図１０】図８の養液栽培装置の多孔性容器の他の例を
示す部分斜視図である。

【図１１】従来の養液栽培装置の概略の構成を示す説明
図である。

【符号の説明】

１ 栽培槽 １ａ 凹部 ２ 栽培床 ４ 多孔性容器 ５ａ 開口部 ６ 合わせ部材

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】砂または礫状培土が多孔質状に充填された
   多孔性容器からなる栽培床を栽培槽内の栽培養液に浸漬
   するようにして植物を養液栽培する養液栽培装置におい
   て、 上記の栽培床には植物の苗穴となる複数の開口部が設け
   られており、上記の栽培槽の両側壁には、栽培床の側部
   に嵌合する溝部が設けられており、栽培床を前記溝部に
   嵌め込むことにより、栽培床をほぼ水平に支持すること
   を特徴とする養液栽培装置。
2. 【請求項２】上記栽培床の多孔性容器は、円筒形、直方
   体形、楕円筒形、断面Ｕ字形、断面Ｖ字形または断面半
   円形のいずれかであることを特徴とする請求項１記載の
   養液栽培装置。
3. 【請求項３】上記栽培床の多孔性容器は、多孔性シート
   を折り曲げて、複数の開口部を有する合わせ部材にシー
   ト両端を封止すると共に、シートサイドも互いに封止し
   てなることを特徴とする請求項１記載の養液栽培装置。