JPH066144U - 車両制動装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電磁式クラッチ付車両において、ブレーキペ
ダルからアクセルペダルに踏み変える僅かな時間、引き
続いてブレーキ圧が保持できるようにした電磁弁を提案
し、坂道発進でもサイドブレーキを操作することなく安
全に発進することができるようにする。 【構成】 車両制動装置は、マスターシリンダ２とブレ
ーキシリンダ３とを連通する配管中に油路を遮断する電
磁弁４を有しており、前記電磁弁４は車両が停止状態に
おいて、ブレーキペダルからアクセルペダルに踏み変え
る僅かな時間、引き続いてブレーキ圧を保持できる制御
回路を備えている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、電磁式クラッチを備えた車両、例えばベルト式無段変速機（ＣＶＴ ）や従来のトランスミッションの切り換えをコンピュータ制御によって行う自動 変速機において、坂道発進を容易に行えるようにした車両制動装置に関するもの である。

【０００２】

【従来の技術】

一般にトルクコンバータ装備車（トルコン車）では、トルクコンバータにより 常に動力伝達状態にあり、このため、変速機がドライブ（Ｄ）またはリバース（ Ｒ）の走行レンジにあって車輪側に連結していると、クリープ現象を生じ、車両 が低速で走行する。 このクリープ現象は、渋滞等での極低速走行、坂道発進等に有効に利用するこ とで効果がある。しかし、ハイアイドル回転数等ではクリープ力の増大により車 両を完全停止させるためにブレーキを確実に踏み込むことが要求される。 これに対し、従来の電磁式クラッチ付車両では、車両停止時には一般にクラッ チ電流をカットしてクラッチを開放する構成のものが多いため、何らかの原因で ハイアイドル回転数になってもクリープ現象がないため急発進するという不測の 事態を回避できる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし電磁式クラッチ付車両は、クリープ現象がないために坂道発進では、ブ レーキペダルからアクセルペダルに踏み変える時に車両が後退する危険があり、 サイドブレーキを操作して発進する必要があった。 また、電磁式クラッチ付車両ではクラッチ電流によりクラッチトルクを任意に 制御することも可能であるため、クリープの発生の有無をドライバの意志による スイッチ操作で行うことも提案されている。しかし、ハイアイドル回転時のブレ ーキペダル開放状態で誤ってクリープオンにスイッチが入ると車両が急発進して しまう危険がある。

【０００４】 こうしたことから、本考案は電磁式クラッチ付車両において、ブレーキペダル からアクセルペダルに踏み変える間の所定時間、引き続いてブレーキ圧が保持で きるようにした電磁弁を提案し、坂道発進でもサイドブレーキを操作することな く安全に発進することができる車両制動装置を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

このため本考案の車両制動装置は、マスターシリンダ２とブレーキシリンダ３ とを連通する配管中に油路を遮断する電磁弁４を有しており、前記電磁弁４は車 両が停止状態において、ブレーキペダルからアクセルペダルに踏み変える間の所 定時間、引き続いてブレーキ圧を保持できる制御回路を有していることを特徴と する構成を有しており、これを課題解決のための手段とするものである。

【０００６】

【作用】

制御装置は、車両停止状態で、アクセルペダルが開放され、且つ、ブレーキペ ダルが踏まれているとアンド回路から信号を出力し電磁弁４を作動する。具体的 には車両走行中にブレーキを掛け、車両が停止した状態でブレーキペダルを踏み つづけていると電磁弁４がＡ位置に切り替わりブレーキ圧を保持する。

【０００７】 続いて前記状態から車両を発進させるために、ブレーキペダルから足を放し、 アクセルペダルに踏み変えると、ダイムディレイ８によってオン信号が出力され ている間（２〜３秒）のみ電磁弁４をＡ位置に保持し続けブレーキ圧を保持する 。しかし、この時間が経過するとアンド回路からの出力信号が無くなり電磁弁４ はＢ位置に切り替わってブレーキは開放され、アクセルペダルを踏んでいること によって車両は発進する。このように、本考案では、ブレーキペダル１からアク セルペダルに踏み変える間の所定時間、ブレーキ圧を保持できるため上りの坂道 でもサイドブレーキを操作することなく容易に車両を発進させることができる。

【０００８】

【実施例】

以下、図面に基づいて本考案の実施例を説明する。 図１は本考案の実施例に係る車両制動装置の概念図である。 図１において車両用ブレーキは、周知のようにブレーキペダル１を操作するこ とによってブレーキ圧を発生するマスターシリンダ２と、マスターシリンダ２か ら供給されたブレーキ圧によって車輪にブレーキをかけるブレーキシリンダ３と とを有しており、ブレーキペダルを操作するとブレーキ圧がブレーキシリンダに 作用し、車両を停止することができるようになっている。

【０００９】 そして本実施例では、前述のマスターシリンダ２とブレーキシリンダ３とを連 通する配管中に油路を遮断する電磁弁４が設けられている。この電磁弁４は車両 が停止状態において、ブレーキペダルからアクセルペダルに踏み変える間の所定 時間、引き続いてブレーキ圧を保持でき機能を有しており、これによって、坂道 発進でもサイドブレーキを操作することなく容易に発進できるようにしてある。

【００１０】 以下電磁弁４の作動を制御する制御回路について図２を参照してさらに説明す ると、制御回路は、ブレーキスイッチ５、アクセルスイッチ６、スピードセンサ ７、タイムディレイ８、インバータ９、アンド回路１０とから構成されている。 前記ブレーキスイッチ５はブレーキペダルを踏んだ状態でオン信号を出力する スイッチであり、アクセルスイッチ６はアクセルを踏んだ状態でオン信号を出力 するスイッチである。さらにスピードセンサ７は車両が停止状態の時オン信号を 出力するセンサであり、タイムディレイ８はブレーキペダルからアクセルペダル に踏み変える間の所定時間（例えば２〜３秒）、ブレーキペダルのオン信号を出 力するようにしたものであり、インバータ９はアクセルスイッチからの信号を反 転するものである。前記ブレーキスイッチ８、アクセルスイッチ６、スピードセ ンサ７からの信号はアンド回路１０に入力され、電磁弁は前記アンド回路からの 出力信号によって制御される。

【００１１】 したがって、今、車両停止状態で、アクセルペダルが開放され、且つ、ブレー キペダルが踏まれていると、前記制御回路はアンド回路から信号を出力し電磁弁 ４をＡ位置に保持する。具体的には車両走行中にブレーキを掛け、車両が停止し た状態でブレーキペダルを踏みつづけていると電磁弁４がＡ位置に切り替わりブ レーキ圧を保持する。

【００１２】 続いて前記状態から車両を発進させるために、ブレーキペダルから足を放し、 アクセルペダルに踏み変えると、ダイムディレイ８から２〜３秒間オン信号（出 力信号１）が出力される。一方、この状態でアクセルペダルが踏まれるまでの間 はアクセルスイッチがオンとならないため、インバータ９からは出力信号１が出 力され、さらに車両が停止状態であるため、スピードセンサからも出力信号１が 出力される。したがって、アンド回路はアクセルペダルが踏まれるまでの間、電 磁弁４をＡ位置を保持し続ける信号を出力しブレーキ圧を保持する。

【００１３】 しかし、アクセルペダルが踏まれるとアンド回路からの出力信号がゼロとなる ため、電磁弁４はＢ位置に切り替わり車両は発進する。このように、車両が上り 坂の一時停止状態から発進する場合、ブレーキペダル１からアクセルペダルに踏 み変える間の所定時間、ブレーキ圧を保持できるためサイドブレーキを操作する ことなく容易に車両を発進させることができる。

【００１４】 以上のように本実施例では、車両走行中にブレーキを掛け、車両が停止した状 態でブレーキペダルを踏みつづけていると電磁弁４がＡ位置に切り替わりブレー キ圧を保持し、さらに前記状態から車両を発進させるために、ブレーキペダルか ら足を放し、アクセルペダルに踏み変えると、ダイムディレイ８によってオン信 号が出力されている間（２〜３秒）のみ電磁弁がブレーキ圧を保持するため、車 両が上り坂の一時停止状態から発進する場合、サイドブレーキを操作することな く容易に車両を発進させることができる。

【００１５】 なお、前記電磁弁４は車両が停車中においてブレーキペダルを踏んでいる時の み作動しブレーキ圧を保持する構成となっているため、この電磁弁をパーキング ブレーキとして使用することは出来ない。また、タイムディレイ８による遅延時 間は２〜３秒に限らず、設計時に適宜時間に設定できる。

【００１６】

【考案の効果】

以上詳細に述べた如く本考案によれば、車両が停止状態において、ブレーキペ ダルからアクセルペダルに踏み変える間の所定時間、引き続いてブレーキ圧を保 持でき機能を有する電磁弁を設けたため、電磁式クラッチ車両においても坂道発 進でサイドブレーキを操作することなく容易に発進できるようにしてある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る実施例としての車両制動装置の概
略説明図である

【図２】車両制動装置における電磁弁の制御回路図であ
る。

【符号の説明】

１ ブレーキペダル ２ マスターシリンダ ３ ブレーキシリンダ ４ 電磁弁 ５ ブレーキスイッチ ６ アクセルスイッチ ７ スピードセンサ ８ タイムディレイ ９ インバータ １０ アンド回路

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両制動装置は、マスターシリンダ２と
   ブレーキシリンダ３とを連通する配管中に油路を遮断す
   る電磁弁４を有しており、前記電磁弁４は車両が停止状
   態において、ブレーキペダルからアクセルペダルに踏み
   変える間の所定時間、引き続いてブレーキ圧を保持でき
   る制御回路を有していることを特徴とする車両制動装
   置。
2. 【請求項２】 前記制御回路は、ブレーキペダルを踏ん
   だ状態でオン信号を出力するブレーキスイッチ５とアク
   セルを踏んだ状態でオン信号を出力するアクセルスイッ
   チ６と車両が停止状態の時オン信号を出力するスピード
   センサ７とからの信号に基づき、ブレーキペダルからア
   クセルペダルに踏み変える間の所定時間、引き続いてブ
   レーキ圧を保持できるよう電磁弁４を制御する機能を有
   していることを特徴とする請求項１に記載の車両制動装
   置。
3. 【請求項３】 前記制御回路は、ブレーキペダルを踏ん
   だ状態でオン信号を出力するブレーキスイッチ５と、ア
   クセルを踏んだ状態でオン信号を出力するアクセルスイ
   ッチ６と、車両が停止状態の時オン信号を出力するスピ
   ードセンサ７と、ブレーキペダルからアクセルペダルに
   踏み変える間の所定時間ブレーキペダルのオン信号を出
   力するようにしたタイムディレイ８と、前記タイムディ
   レイ８、アクセルスイッチおよびスピードセンサ７から
   の出力によって電磁弁を制御するアンド回路１０とから
   なることを特徴とする請求項１に記載の車両制動装置。