JPH0658217U - 合成樹脂板の締結構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本考案は、ボルト・ナットの過度の締め付け力
を吸収し、また、締め付け力が多少弱くても適性な締め
付け力を付与し、振動の減衰を可能とした合成樹脂板の
締結構造を提供する。 【構成】一端に合成樹脂板１の面に当接するフランジ６
と、合成樹脂板１のボルト穴３に貫通される金属スリー
ブ５とを有し、この金属スリーブ５の先端を押圧するこ
とにより径方向に花弁状に拡開座屈変形して前記合成樹
脂板１を前記フランジ６と挾持するスプリングワッシャ
部７を形成し、このスプリングワッシャ部７を合成樹脂
板１と固定部材２との間に介装し、金属スリーブ５と固
定部材２のボルト穴４とにボルト８を挿通してナット９
で締付した構造を特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、合成樹脂板を固定部材にボルト・ナットによって締結する構造に関 するものである。

【０００２】

【従来の技術】

ラミネート鋼板を他の部材と合わせてハトメワッシャで挾持し、ハトメワッシ ャにボルトを挿通してナットで締め付ける締結構造が実開昭６１−１９１１８号 で提供されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記ラミネート鋼板の締結構造では、ボルト・ナットの締め付け力がハトメワ ッシャを介して締結すべき部材に作用するため、ラミネーションに過度の応力を かけることがなく、部材同志が適性な状態で締結することができるということで ある。

【０００４】 ところで、繊維強化プラスチック（ＦＲＰ）のような合成樹脂板を固定部材に ボルト・ナットで締結する場合、過度の締め付け力では合成樹脂板が破損し、締 め付け力が弱いとガタツキが生じる。

【０００５】 そこで、上記従来技術で合成樹脂板を固定部材にボルト・ナットで締結した場 合には、ボルト・ナットの締め付け力がハトメワッシャを介して合成樹脂板に作 用するため、過度の締め付け力では合成樹脂板が破損する不具合があり、上記従 来技術はラミネート鋼板では効果があるが合成樹脂板を締結するには不向きであ る。

【０００６】 本考案の目的は、ボルト・ナットの過度の締め付け力を吸収し、また、締め付 け力が多少弱くても適性な締め付け力を付与し、振動の減衰を可能とした合成樹 脂板の締結構造を提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するための本考案の特徴とする構成は、合成樹脂板を固定部 材にボルト・ナットによって締結する構造において、一端に前記合成樹脂板面に 当接するフランジと、合成樹脂板のボルト穴に貫通される金属スリーブとを有し 、この金属スリーブの先端を押圧することにより径方向に花弁状に拡開座屈変形 して前記合成樹脂板を前記フランジと挾持するスプリングワッシャ部を形成し、 このスプリングワッシャ部を前記合成樹脂板と固定部材との間に介装し、前記金 属スリーブと固定部材のボルト穴とにボルトを挿通してナット締付して成るもの である。

【０００８】

【作用】

上記の構成により、金属スリーブの先端を径方向に花弁状に拡開座屈変形して 形成されるスプリングワッシャ部のバネ作用によって、合成樹脂板に対するボル ト・ナットの過度の締め付け力を吸収すると共に締め付け力が多少弱くても適性 な締め付け力を付与し、かつ振動の減衰作用を可能とするものである。

【０００９】

【実施例】

以下本考案の実施例を図面に基づいて説明する。図１において、１は繊維強化 プラスチック（ＦＲＰ）等の合成樹脂板であり、２は前記合成樹脂板１をボルト ・ナットで締結する固定部材である。従って、合成樹脂板１及び固定部材２には 、それぞれボルト穴３，４が開設されている。

【００１０】 ５は前記合成樹脂板１のボルト穴３に貫通される金属スリーブである。この金 属スリーブ５の一端には前記合成樹脂板１の面に当接するフランジ６を有し、金 属スリーブ５の他端の周囲には図３で示すように、軸方向に数条のスリット５ａ が設けられている。

【００１１】 この金属スリーブ５の先端を押圧することにより径方向に花弁状に拡開座屈変 形して前記合成樹脂板１を前記フランジ６と挾持するスプリングワッシャ部７が 形成される。このスプリングワッシャ部７を前記合成樹脂板１と固定部材２との 間に介装し、前記金属スリーブ５にボルト８を挿通してナット９で締付した構造 である。

【００１２】 上記スプリングワッシャ部７を形成するには図２で示すように、合成樹脂板１ のボルト穴３に金属スリーブ５を貫通してフランジ６を合成樹脂板１の面に当接 し、フランジ６を当て板等のバック部材に当接した状態で押圧工具１０を金属ス リーブ５の先端から装入して軸方向に押圧する。

【００１３】 これにより、金属スリーブ５の先端部はスリット５ａによって径方向に花弁状 に拡開座屈変形して図３で示すように、弾機機能を有するスプリングワッシャ部 ７が形成され、前記フランジ６とスプリングワッシャ部７とによって合成樹脂板 １を挾持する。

【００１４】 前記ボルト穴３に金属スリーブ５が取り付けられた合成樹脂板１を固定部材２ にスプリングワッシャ部７を挾んで組み付け、金属スリーブ５と固定部材２のボ ルト穴４とにボルト８を挿通し、ナット９で締め付けることにより合成樹脂板１ は固定部材２に締結される。

【００１５】 上記ボルト８及びナット９による締め付け力が、若し過度の場合にはスプリン グワッシャ部７の弾機作用によって吸収し、合成樹脂板１に及ぶことがないので 合成樹脂板１の破損を防止する。

【００１６】 また、若し締め付け力が弱くても、スプリングワッシャ部７の弾機力によって 合成樹脂板１と固定部材２との対向間を拡開する作用を行い、適度の締め付け力 を付与し、ナット９の弛みを防止する。

【００１７】 さらに、合成樹脂板１と固定部材２との間に介在されているスプリングワッシ ャ部７の弾機力によって振動を減衰する作用も得られ、合成樹脂板１への振動伝 播を防止する。

【００１８】

【考案の効果】

以上述べたように本考案によると、合成樹脂板のボルト穴に貫通された金属ス リーブの先端を押圧して径方向に花弁状に拡開座屈変形したスプリングワッシャ 部を合成樹脂板と固定部材との間に介装し、金属スリーブと固定部材のボルト穴 とにボルトを挿通してナット締付した構成であるから、スプリングワッシャ部に よってボルト・ナットの過度の締め付け力を吸収し、また、締め付け力が多少弱 くても適性な締め付け力を付与し、振動の減衰を可能とし、合成樹脂板を破損す ることなく締結状態が保持される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の断面図

【図２】金属スリーブを拡開座屈変形させる説明図

【図３】金属スリーブにスプリングワッシャ部を形成し
た断面図

【図４】金属スリーブの斜視図

【符号の説明】

１ 合成樹脂板 ２ 固定部材 ３ ボルト穴 ４ ボルト穴 ５ 金属スリーブ ６ フランジ ７ スプリングワッシャ部 ８ ボルト ９ ナット

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 合成樹脂板を固定部材にボルト・ナット
   によって締結する構造において、一端に前記合成樹脂板
   面に当接するフランジと、合成樹脂板のボルト穴に貫通
   される金属スリーブとを有し、この金属スリーブの先端
   を押圧することにより径方向に花弁状に拡開座屈変形し
   て前記合成樹脂板を前記フランジと挾持するスプリング
   ワッシャ部を形成し、このスプリングワッシャ部を前記
   合成樹脂板と固定部材との間に介装し、前記金属スリー
   ブと固定部材のボルト穴とにボルトを挿通してナット締
   付したことを特徴とする合成樹脂板の締結構造。