JP3566189B2 - 外装板の取付金具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、高速道路などの防音壁の外面に装着される外装板の取付金具に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5に示すように、高速道路Hの両側には、車輌の騒音を遮断するための防音壁1が設けられる。その防音壁1の外面には、波形鉄板から成る外装板2が貼り付けられている。
【0003】
その外装板2を、H型鋼から成る支柱3に、労力を少なくして効率良く取付けることを可能ならしめた取付金具を本出願人は特開平9−67811号で提案している。
【0004】
図6に示すように、その取付金具5は、略コ字状の挟持部材6と、その挟持部材の第1脚部6aに遊嵌する略コ字状のワッシャ7と、第1脚部6aに設けた貫通孔とワッシャ7の孔に通すボルト8と、2個のナット9、10から成る。ナット9は予めワッシャ7に固定される。
【0005】
かかる取付金具5は、ワッシャ7を遊嵌した挟持部材6を支柱3のフランジ3aに嵌め、第2脚部6bをフランジ3aの内面に当てがう。そして、ナット9にねじ込んだボルト8を締付け、第2脚部6bとの間にフランジ3aを挾みつける。また、外装板2に設けられている取付孔にボルト8の後部側を通し、ナット10を締付けて外装板2を第1脚部6a上に固定する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した取付金具5は、支柱3に多数設けていた取付孔を不要となし、現場での作業性を向上させる。
【0007】
しかしながら、この取付金具5は、特殊なワッシャ7を用いているためその分コストが高くなり、部品の取扱いも面倒になる。
【0008】
また、ボルト8を通すまではワッシャ7が自由に動くため、ワッシャに固着したナット9が第1脚部に設けた貫通孔から位置ずれし易く、両者の位置合せ及びナット9に対するボルト8のねじ込みに手間取る。
【0009】
そこで、この発明は、作業性の更なる改善とコスト低減を図り、取扱い性もより良くすることを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明においては、第1脚部とそれに対向させた第2脚部を有する略コ字状の挟持部材と、第1脚部に設けた貫通孔に挿入して第1脚部に固定する筒部を有し、その筒部の一端に第1脚部の内面に係止させる鍔部を一体に形成した第1ナットと、その第1ナットにねじ込む止めボルトと、この止めボルトに螺合させる第2ナットとで取付金具を構成し、前記挟持部材を支柱のフランジの縁に嵌め、第2脚部をフランジの内面に当てがってその第2脚部と止めボルトとでフランジを挟持し、さらに、止めボルトを外装板の取付孔に挿入し、第2ナットで外装板を締付けて第1脚部上に固定するようにしたのである。
【0011】
この取付金具は、第1ナットと第2ナットの内側に、止めボルトの外周に圧接するナット緩み止め用の樹脂製スリーブを設けておくと好ましい。
【0012】
【作用】
第1ナットを挟持部材の第1脚部に一体化したので、第1ナットの位置合せが不要となり、止めボルトをスムーズに余分の時間を費やさずに第1ナットにねじ込むことができる。
【0013】
また、ワッシャを無くしたので、金具のコストも下がる。
【0014】
さらに、第1ナットは、一般的なナットを第1脚部の内面に溶接して取り付けると作業が難しく、手間がかかって製造費が上昇し、ナットの位置ずれも起こる。この発明の金具に採用した第1ナットは、筒部を有し、その筒部を第1脚部に設けた貫通孔に挿入して第1脚部にかしめるなどして固定しているので上記の不具合も生じない。
【0015】
なお、ワッシャを省くとナットの緩みが生じ易くなるが、この問題は、第1ナットと第2ナットの内側に、止めボルトの外周に圧接するナット緩み止め用の樹脂製スリーブを設けることによって解決できる。ナットと止めボルト間に樹脂性スリーブを介在するとそのスリーブによってねじ嵌合部の封止もなされ、また、樹脂製スリーブによるダンピング作用によって支柱の振動が外装板に伝わり難くなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1乃至図3に、この発明の実施形態を示す。図1に示すように、この取付金具20は、第1脚部21aとそれに対向させた第2脚部21bを有する略コ字状の挟持部材21と、第1脚部21aに一体化される第1ナット22と、第1ナット22にねじ込む止めボルト23と、その止めボルトに螺合させる第2ナット24より成る。
【0017】
第1ナット22は、円筒部22aの一端に第1脚部21aの内面に係止させる鍔部22bを一体に形成したナットであり、図2、図3に示すように、第1脚部21aに設けた貫通孔25に第1脚部の内面側から円筒部22aを挿入し、その円筒部22aの他端をかしめて(26がかしめ部)第1脚部21aに一体化してある。円筒部22aの固定は、接着や溶接などでも行えるが、作業性や固定の信頼性を考えると図のかしめが好ましい。そのかしめ固定を行う場合には、止めボルトねじ込み時の第1ナット22の共回りの防止のために、鍔部22bをスパナ等で回り止めし得る形状にしておくのがよい。
【0018】
止めボルト23は、先端を尖らせたものが好ましく、後端には回転操作部23a(図1)を設けておく。図示の回転操作部23aは、六角レンチを係止させる六角孔にしてあるが、止めボルト23の外径よりも小径の角柱部などでもよい。
【0019】
第2ナット24は、外装板を固定するためのものである。この第2ナット24と第1ナット22の内部には、図3に示すように、各ナットを緩み止めする樹脂製スリーブ27が組み込まれている。そのスリーブ27は内径が止めボルト23の外径よりも小さく、止めボルト23をねじ込むとスリーブ27が弾性変形して拡径し、弾性復元力が生じてスリーブ27が止めボルト23の外周に圧接し、これによる摩擦力でナット22、24が緩み止めされる。なお、スリーブ27はねじ嵌合部の界面の封止材としても機能する。また、支柱から外装板に至る振動伝達経路にこのスリーブ27が介在されることで外装板の共振も起こり難くなり、支柱が振動したときに外装板が共振して起こる雑音の抑制効果も生じる。
【0020】
図4は、例示の取付金具20を用いて支柱3のフランジ3aに外装板2を取付た状態を示している。挟持部材21をフランジ3aの縁部に嵌め、第1ナット22にねじ込んだ止めボルト23を締め込んでフランジ3aの内面に当てがった第2脚部21bと止めボルト23間にフランジ3aを挾む。また、止めボルト23の後部側を外装板2に設けた取付孔(図示せず)に通し、その後に止めボルト23に螺合させる第2ナット24で外装板2を締付けて第1脚部21a上に固定する。
【0021】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明の取付金具は、第1ナットを挟持部材の第1脚部に植え込む形にして一体化したので、止めボルトねじ込み時の第1ナットの位置合せが不要となり、外装板取付け時の作業性も良くなる。
【0022】
さらに、第1ナットと第2ナットの内側に緩み止め用の樹脂製スリーブを組み込んだものは、振動等によるナットの緩みが防止され、また、ねじ嵌合部がスリーブに封止されて錆付き等も起こり難くなる。これに加えて、スリーブによるダンピング作用で支柱から外装板への振動伝達が抑えられ、外装板の共振等による雑音も減少する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の取付金具の実施形態を示す斜視図
【図2】同上の取付金具の断面図
【図3】第1ナットと第2ナットの断面図
【図4】取付金具の使用状態を示す側面図
【図5】高速道路の防音壁の一例を示す側面図
【図6】改善対象の取付金具の使用状態を示す側面図
【符号の説明】
1 防音壁
2 外装板
3 支柱
3a フランジ
20 取付金具
21 挟持部材
21a 第1脚部
21b 第2脚部
22 第1ナット
22a 円筒部
22b 鍔部
23 止めボルト
24 第2ナット
25 貫通孔
26 かしめ部
27 樹脂製スリーブ
Claims (2)
- 第1脚部とそれに対向させた第2脚部を有する略コ字状の挟持部材と、第1脚部に設けた貫通孔に挿入して第1脚部に固定する筒部を有し、その筒部の一端に第1脚部の内面に係止させる鍔部を一体に形成した第1ナットと、その第1ナットにねじ込む止めボルトと、この止めボルトに螺合させる第2ナットとから成り、前記挟持部材を支柱のフランジの縁に嵌め、第2脚部をフランジの内面に当てがってその第2脚部と止めボルトとでフランジを挟持し、さらに、止めボルトを外装板の取付孔に挿入し、第2ナットで外装板を締付けて第1脚部上に固定するようにした外装板の取付金具。
- 第1ナットと第2ナットの内側に、止めボルトの外周に圧接するナット緩み止め用の樹脂製スリーブを設けた請求項1記載の外装板の取付金具。
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