JPH0655167B2 - スリツパの製法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はスリッパの製法に関するものである。

（従来の技術） 従来、特開昭６２−１０６７０１号公報によって、熱可
塑性高分子物質のステーブルファイバー等を原料とする
フェルト状布材に胛の形状を呈する型を当てながら加圧
および加熱を施す賦形工程と裁断工程とによって裾縁に
外向フランジ状の止着縁を一体に備えた胛の形状を呈す
る立体の胛部材を構成し、この胛部材の下面に適宜の底
部材を配して当該底部材の外周縁に上記の止着縁を止着
することを特徴とする履物の製法が公知である。

又、特開昭５０−７２７５０号公報によって、一枚もの
の甲皮部材料を、つま先部成形用の凸部と甲部成形用凸
部を備えた加熱状態にある雄型と、前記雄型の両凸部に
対応するつま先部成形用の凹部と甲部成形用の凹部とを
各々備えた雌型とにより加圧変形することにより、前記
甲皮部材料につま先部用***部と甲部用***部を形成
し、該甲皮部材料をサンダル・靴等の底皮に接着固定し
て構成することを特徴とする形戻りせぬ甲皮部をもつサ
ンダル・靴等の履物の製造方法も公知である。

（発明が解決しようとする課題） 上記公知例のおける前者の履物の製法によって得られる
製品は、その胛が型を当てながら加圧および加熱するこ
とによって所望の形状の賦形されるが、賦形後もまだ熱
が残存するのでその熱可塑性によって変形しやすい状態
にあり、その後の工程中に作用する外圧によって変形す
る虞があり、形くずれを防止できないという問題があ
る。

又、上記公知例における後者のサンダル・靴等の履物の
製造方法によって得られる製品も、その甲皮部材が加熱
状態にある雄型と雌型により加圧変形されてつま先部用
***部と甲部用***部が形成されるが、その変形状態を
固定する手段が施されないので次第に形くずれするのが
避けられないという問題がある。

そこで本発明は、甲部材を所望の形状に成形したのち、
その形状を固定して形くずれを確実に防止できるスリッ
パの製法を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために本発明は、低融点合成繊維と
高融点合成繊維の混合原料より成るフェルトを以て構成
された甲裏素材をもつ甲部材を底部材に止着したのち加
熱環境内において上記甲裏素材を上記低融点合成繊維の
融点付近の温度に加熱し、然るのち甲裏素材が加熱状態
にあるうちに甲部材を冷却用型による加圧・冷却により
冷却して当該甲部材を成形するようにしたものである。

（実施例） 本発明の実施例を図面に依拠して説明するに、先ず約１
２０℃で処理されたポリプロピレンと約１６５℃で処理
されたポリエチレンとの複合体（ＥＳ繊維）と１７０℃
で処理されたポリエステルとの混合原料をニードルパン
チ製法でフエルト状としたのち１１０〜１３０℃で熱溶
融処理することにより得たフエルト状体(1)の下面に生
地(2)をラミネートした素材をカツトして甲裏素材(3)を
構成し、この甲裏素材(3)の上面に布製甲表素材(3)′を
貼合して甲部材(4)とし、 また、これとは別個に上記ニードルパンチ製法で得たフ
エルト状体(5)の上面に生地(6)をラミネートした素材を
カツトして中敷部材(7)を構成し、この中敷部材(7)を加
熱環境において８０〜１３０℃に加熱した直後に当該中
敷素材(7)を上型(8)および下型(9)より成る冷却用型(1
0)を以て加圧・冷却して足の下面になじむ上面(11)を備
えた形状に成形し、 更に、これ等とは別個にスポンジ芯(13)にビニール、
布、皮革等製外皮(14)を纒着して本底(15)を、また同様
にして踵部芯(16)を夫々構成し、 次いで、本底(15)の上に踵部芯(16)および中敷部材(7)
を中敷部材(7)が上となる状態で重合し且つこれ等中敷
部材(7)の前半部の上に甲部材(4)を甲吊り込み機（図示
せず）を利用して重合すると共に甲吊り込み機利用のま
までこれ等本底(15)、踵部芯(16)、中敷部材(7)、甲部
材(4)の縁を糸条(18)により縫合し、 然るのち、甲吊り込み機から外し、全体を加熱環境(20)
内において８０〜１３０℃に加熱し、この加熱後に加熱
環境(20)外に出すと共に尠くとも甲部材(4)が加熱状態
にあるうちに当該甲部材(4)の内外に冷却用下型(21)を
当接して所定の温度に冷却し、この冷却後に冷却用下型
(21)を取去し仍って完成品を得るものである。

本発明は１１０℃で処理された低融点ポリエステルと１
７０℃で処理された高融点ポリエステルの混合原料製の
フエルトを用いて実施することがある。

（発明の作用効果） 本発明は上記の通り、甲裏素材を加熱して、その甲裏素
材が加熱状態にあるうちに甲部材を冷却用型による加圧
・冷却により冷却して甲部材を成形するものであり、特
に加圧による賦形と同時に冷却して熱を奪うことにより
その後の復元を困難にして形状を固定してしまうので確
実に甲部材の形くずれを防止できるという顕著な作用効
果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は甲部材を示す斜視図、第２図は中敷素材を加熱
環境内においた状態を示す断面図、第３図は中敷部材を
冷却用型により成形している状態を示す断面図、第４図
は本底、踵部芯、中敷部材、甲部材を縫合した半完成品
を加熱環境内においた状態を示す断面図、第５図は半完
成品を冷却用型により成形している状態を示す断面図、
第６図は完成品を示す断面図である。 (1)…フエルト状体、(2)…生地、(3)…中敷素材、(3)′
…甲表素材、(4)…甲部材、(5)…フエルト状体、(6)…
生地、(7)…中敷部材、(8)…上型、(9)…下型、(10)…
冷却用型、(11)…上面、(13)…スポンジ芯、(14)…外
皮、(15)…本底、(16)…踵部芯、(18)…糸条、(20)…加
熱環境、(21)…下型。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】低融点合成繊維と高融点合成繊維の混合原
   料より成るフェルトを以て構成された甲裏素材をもつ甲
   部材を底部材に止着したのち加熱環境内において上記甲
   裏素材を上記低融点合成繊維の融点付近の温度に加熱
   し、然るのち甲裏素材が加熱状態にあるうちに甲部材を
   冷却用型による加圧・冷却により冷却して当該甲部材を
   成形することを特徴とするスリッパの製法。