JPH065456Y2 - 段葺きモルタル壁 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は住宅等の外壁、特にセメントモルタル壁を段葺
き状外観に形成すると共に、モルタル壁と躯体間に断熱
性、調湿性、防水性を具備するモルタル下地を介在させ
た段葺き状モルタル壁に関するものである。

〔従来の技術〕

一般にモルタル壁を形成するには躯体上に木ずり板を釘
着し、その上に防水シート、例えばアスファルトフェル
トをステープルを介して装着し、その上にラスシートを
クリップ等で部分的に固定し、その上にセメントモルタ
ル組成物のスラリーを１〜３回順次積層した構成と成っ
ていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、従来のセメントモルタル壁では平坦な化
粧面（垂直面）しか形成できず、横張り外観、段葺き外
観を形成することが不可能であった。特に段葺き状壁面
の形成は下地がフラット面であるため形作りが困難であ
り、壁厚も大きく変化するためクラックが入って剥落等
する欠点があった。また、従前のモルタル壁には断熱
性、調湿性、防水性に欠ける不利があった。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案はこのような欠点を除去するため、防水シート上
に防振ゴム帯を所定ピッチで水平方向に固定し、躯体か
らの振動を低減し、かつモルタル下地を段葺き状に形成
し、このモルタル下地にラス材を介在して段葺き外観の
モルタル壁を容易に、かつ美しくし、その上、断熱性、
防水性、防振性、耐クラック性のある段葺きモルタル壁
を提供するものである。

〔実施例〕

以下に図面を用いて本考案に係る段葺きモルタル壁の一
実施例について詳細に説明する。第１図は本考案に係る
段葺きモルタル壁の一例を示す縦断面図であり、１は躯
体で主柱、間柱、胴縁等からなるものである。２は下地
板で合板等の１種からなり、厚さを９mm〜12mm、大きさ
は900×1800mmである。３は防水シートでアスファルト
フェルト、合成樹脂フィルム等の１種からなるものであ
る。４は防振ゴム帯で躯体１からの振動を低減し、後記
するモルタル壁８のクラックを抑制するのに役立つもの
であり、躯体１に対し水平方向に所定ピッチＰで貼着す
るものである。なお、その形状は例えば第２図に示すよ
うに長さＬ＝1000〜7272mm位、厚さｔ＝１〜５mm位、幅
Ｗ＝10〜50mm位としたものであり、ポリウレタンゴム、
アラビアゴム、合成ゴム等のように弾性とある程度、剛
性のある素材であることが好ましい。なお、防振ゴム帯
４の裏面には、下地への固定のため接着剤4aを塗布する
ことも可能である。５はモルタル下地でシージングイン
シュレーションボード（以下、単にボードという）６を
多数枚、その上下端を重合して段葺き状に形成し、ボー
ド６の重合部を釘９で躯体１に固定したものである。さ
らに説明すると、ボード６は第３図に示すように厚さｔ
_１＝９mm以上で防水性、断熱性、調湿性およびモルタル
組成物の付着性に富み、その大きさは幅Ｗ_１＝（300〜5
00mm）×長さＬ_１＝1800mm位である。７はラス材でステ
ープル（図示せず）を介してボード６上に固定したもの
である。８はモルタル壁でモルタル下地５、ラス材７上
にセメントモルタル組成物を塗布し、モルタル下地５と
平行に所定厚さに形成し、段葺き状外観としたものであ
る。

次に施工法について簡単に説明すると、まず、躯体１の
外側面に下地板２を間隙なく敷設固定し、この下地板２
上に防水シート３をステープルを介して固定する。次に
防振ゴム帯４をモルタル下地５の段差ピッチＰに対応し
て土台から上方に向かって貼着する。その後でボード６
を第１図に示すように釘９を介してボード６の重合部を
躯体１に固定する。勿論、この際ボード６の裏面の一部
（上端部）が防水シート３上に貼着した防振ゴム帯４上
に当接するように装着したものである。従って、モルタ
ル下地５は上記の工程を土台から軒に向かってくり返し
行なうことにって完成するものである。次にこのモルタ
ル下地５上にラス材７をモルタル下地５の表面に沿って
ステープルを介して固定し、その後でモルタル組成物の
スラリーをモルタル下地５とほぼ平行となるように一定
厚さで塗布してモルタル壁８を形成したものである。

以上説明したのは本考案に係る段葺きモルタル壁の一実
施例にすぎず、第４図に示すように角部補強材10を介在
し、モルタル壁角部のクラックを抑制する構造とするこ
ともできる。なお、角部補強材10としては第５図(a)〜
(c)に示す形状としたものを用いることもできる。すな
わち、(a)はメタルラス材の成形体、(b)図はワイヤの板
体を釘で固定して終局的に(b)図の形状としたもの、(c)
図はアルミニウム、プラスチック板を押出等により成形
したものである。また、第６図に示すようにボード６を
ラス材７で２面だけ被覆したボードとし、ラス材７の施
工を省くこともできる。

〔考案の効果〕

上述したように本考案に係る段葺きモルタル壁によれ
ば、モルタル下地を段葺き状とし、これに習って塗布
するため段葺きモルタル壁の形成が容易である。躯体
とモルタル下地間に防振ゴム帯を介在させ、かつモルタ
ル下地のボード自体が防振性もあるため地震によるモル
タル壁へのクラックを抑制できる。モルタル下地の形
成が従前より極めて簡単な構造であるため安価であり、
作業能率も高い。モルタル壁と防水シート間に調湿性
のあるボードがあり、かつボードが断熱性、防水性もあ
るため内部結露の発生がなく躯体の腐食もない。等の特
徴がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る段葺モルタル壁の一実施例を示す
説明図、第２図は防振ゴム帯の一例を示す斜視図、第３
図はシージングインシュレーションボードの一例を示す
斜視図、第４図は段葺きモルタル壁のその他の実施例を
示す説明図、第５図(a)〜(c)は角部補強材の一例を示す
斜視図、第６図はシージングインシュレーションボード
のその他の実施例を示す斜視図である。 １……躯体、５……モルタル下地、７……ラス材、８…
…モルタル壁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】主柱、間柱、胴縁等の躯体上に下地板、防
   水シートを固定し、該防水シート上に厚さ９mm以上のシ
   ージンクインシュレーションボードをその上下端を重合
   すると共に、上記ボードの裏面と防水シートが接触する
   部分に防振ゴム帯を介在させて固定した段葺き状のモル
   タル下地と、該モルタル下地に固定したラス材と、該ラ
   ス材上に前記モルタル下地と平行に、よろい張り状に積
   層したモルタル壁とから構成したことを特徴とする段葺
   きモルタル壁。