JPH0650813Y2 - テープ再生装置のアジマス機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔概要〕 テープ再生装置のアジマス機構は、再生ヘッドの角度を
調節するカムプレートを備え、カムプレートに設けた２
個のねじの一方の先端がヘッド台に設けた受け座に当接
するようになっている。これらの２個のねじの先端と受
け座との間に挿入される板ばねが、２個のねじの各々に
対して独立的に設けられる構成とする。

〔産業上の利用分野〕

本考案はテープ再生装置のアジマス機構に関する。

〔従来の技術〕

テープ再生装置のアジマス機構は、テープの走行方向に
対応して再生ヘッドの角度を調整するものである。モー
タ等によって駆動されるスライドレバーがテープの走行
方向を制御するようになっており、アジマス機構はこの
スライドレバーと連動するカムプレートを備えている。
このカムプレートには２個のねじが設けられ、ヘッド台
にはこれらのねじの先端と対向するように突起状の受け
座が設けられ、カムプレートの回転位置に従ってこれら
の２個のねじの一方の先端がヘッド台の受け座に係合す
るようになっている。よってテープ走行方向を切り換え
るときにスライドレバーが移動するとともに、カムプレ
ートが回転してそれまで係合していた一方のねじの先端
が受け座から離れ、他方のねじの先端が受け座に係合す
るようになる。一方のねじから他方のねじへの転換時
に、ねじの先端が受け座に向かって移動するときにその
ねじの先端が受け座に噛みこむのを防止するために、こ
れら２個のねじの先端と受け座との間には１枚の広い板
ばねが挿入され、ねじの先端はこの板ばねの表面に沿っ
て円滑に移動することができるようになっている。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記したようなテープ再生装置のアジマス機構では、ア
ジマス調整の結果として２個のねじの先端の位置が異な
ることが多い。上記板ばねはスロープ状に延びてそのよ
うな高さの異なる２個のねじが単一の受け座に対して円
滑に移動できるようになっているものである。しかし、
２個のねじは比較的に近接した位置にあるため、２個の
ねじの先端の位置に著しい差があると、板ばねの傾斜が
かなり大きくなる。例えばカムプレートからの突出量の
小さいねじが受け座に係合しており、且つ突出量の大き
いねじが板ばねの表面に接触していると、板ばねの一端
部が突出量の大きいねじに押されてヘッド台の表面に当
たるようになる。このため、板ばねは、一端部がヘッド
台の表面に当たり、他端部が受け座に係合し、これらの
両端部間の中間部がねじによって押しつけられるような
配置になる。従って、板ばねは突出量の大きいねじによ
って押しつけられて中間部が撓み、それによってねじに
反作用のばね力を与えるようになるこのため、そのねじ
が板ばねによって押されて長い間にねじの調整量が狂っ
たり、板ばねの受け座上の部分の先端部がはね上がって
受け座に係合しているねじが受け座から浮く状態にな
り、調整作業が困難になったり、使用時にレベル変動が
生じたりする問題があった。

本考案は上記従来の問題点を改善するためになされたも
のであり、カムプレートの２個のねじの先端の位置に差
がある場合にも確実なアジマス調整を行うことができる
テープ再生装置のアジマス機構を提供することを目的と
するものである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案によるテープ再生装置のアジマス機構は、ヘッド
台に支持された再生ヘッドの角度を調節するカムプレー
トを備え、該カムプレートがポストに摺動可能に配置さ
れ且つテープ走行方向に応じてアジマス調整を行うため
の高さ調節用の２個のねじを有し、該ヘッド台には該カ
ムプレートの回転位置に従って該２個のねじの一方の先
端を受ける受け座が形成され、該２個のねじの先端と該
受け座との間には板ばねが挿入され、該板ばねが該２個
のねじの各々に対して独立的に設けらていることを特徴
とするものである。

〔作用〕

上記構成においては、板ばねが２個のねじの各々に対し
て独立的に設けられているので、２個のねじの先端の位
置に差があっても、各板ばねの傾斜はそれほど大きくな
らず、各板ばねが各ねじにかなりのばね力を及ぼすこと
がなくなる。従って、余計な力を受けることなくアジマ
ス調整を行うことができる。

〔実施例〕

第５図は磁気テープカセットデッキの内部にあるシャー
シベース10上の部品を示す図である。このシャーシベー
ス10の上方の位置にカセットテープが挿入される。一対
の巻き取りリール12,14が挿入されたカセットテープを
受けるために回転可能に配置される。また、２対のピン
チローラ16とキャプスタン18がシャーシベース10の１側
部に設けられ、磁気ヘッド20が２対のピンチローラ16と
キャプスタン18の中部に配置される。これらのピンチロ
ーラ16とキャプスタン18はテープを一方向に駆動し、或
いは逆方向に駆動し、磁気ヘッド20は再生のためにテー
プと接触することは、公知の通りである。その際にテー
プの走行方向に応じて磁気ヘッド20のテープとの接触角
度を変える（アジマス調整する）ようになっている。

磁気ヘッド20は平板フレーム状のヘッド台22に取りつけ
られている。ヘッド台22はモータ（図示せず）によって
駆動されるアクチュエータアーム23に連結され、再生時
に矢印Ａ方向に移動して磁気ヘッド20をテープと接触せ
しめ、エジェクト時に矢印Ｂ方向に移動して磁気ヘッド
20をテープから離れさせるようになっている。２個のキ
ャプスタン18はモータ（図示せず）によってフライホイ
ール（図示せず）を介して相互に逆方向に駆動される。
テープはそれぞれのピンチローラ16とキャプスタン18と
の間に挿入され、再生時には、一方のピンチローラ16を
関連するキャプスタン18に圧着し、且つ他方のピンチロ
ーラ16を関連するキャプスタン18から離れさせる。テー
プ走行方向の切り換えは、それまで離れていた他方のピ
ンチローラ16を関連するキャプスタン18に圧着し、それ
まで圧着していたピンチローラ16を関連するキャプスタ
ン18から離れさせるようにする。

このようなテープ走行方向の切り換えのため、シャーシ
ベース10の裏面側にスライドレバー24が設けられる。ス
ライドレバー24は、例えば手動操作されるレバー或いは
モータ（図示せず）に駆動され、例えば矢印C,D方向に
移動可能である。スライドレバー24には例えばテーパー
カム面（図示せず）が設けられ、このようなテーパーカ
ム面をピンチローラ16の軸と係合させることによってピ
ンチローラ16をキャプスタン18に向かって、或いは離れ
るように操作可能である。また、シャーシベース10の裏
面側には歯車機構（図示せず）が設けられ、テープの走
行方向に応じて、巻き取りリール12,14の回転方向を切
り換えることができるようになっている。このような巻
き取りリール12,14の回転方向の切り換えも同様のスラ
イドレバーで行うことができる。

第１図及び第２図を参照すると、ヘッド台22には２個の
ポスト26,28が立てられ、磁気ヘッド20を支持した支持
プレート30がこれらのポスト26,28に取りつけられる。
抑えばね32が支持プレート30の上に重ねて配置され、抑
えばね32及び支持プレート30の一端部は第１のポスト26
の上端部に止めねじ32によって固定される。抑えばね32
及び支持プレート30の他端部は第２のポスト28に摺動可
能に取りつけられる。

磁気ヘッド20のアジマス調整のためのカムプレート34が
設けられ、このカムプレート34はほぼ三角形状の平板部
と該三角形の一端部に位置するスリーブ部34aとを備え
ている。スリーブ部34aは第２のポスト28に摺動可能に
嵌合され、その上面が支持プレート30の下面に当接す
る。カムプレート34の三角形のもう一端部には下方に延
びるアクチュエータロッド36が取りつけられ、このアク
チュエータロッド36はヘッド台22に設けた穴22a及びシ
ャーシベース10に設けた穴10aを貫通してスライドレバ
ー24に設けた穴24aに係合する。従って、スライドレバ
ー24が矢印C,D方向に移動すると、カムプレート34が第
２のポスト28を中心として回転する。カムプレート34の
三角形の他端部には下向きのストッパー38が取りつけら
れ、このストッパ38はヘッド台22に設けた弧状の穴22b
に係合し、カムプレート34の回転角度位置を制限する。

カムプレート34の中間部には２個のアジマス調整ねじ4
0,42が取りつけられる。２個のアジマス調整ねじ40,42
はカムプレート34に設けられたねじ穴にカムプレート34
の上面側から取りつけられ、先端がカムプレート34の下
面から突出する。ヘッド台22には突起状の受け座44が形
成され、受け座44はカムプレート34の回転位置に従って
これらのアジマス調整ねじ40,42の一方の先端を受ける
ようになっている。さらに、板ばね46,48が各アジマス
調整ねじ40,42の先端と受け座44との間に挿入される。

第１図及び第３図を参照すると、板ばね46,48は相互に
重なった関係で配置され、上方から見ると全体としては
ほぼ三角形状のカムプレート34に近い形状を有してい
る。板ばね46,48はカムプレート34の一端部のスリーブ
部34aに対応してそれぞれに穴50を有し、これらの穴50
がそれぞれ第２のポスト28に摺動可能に嵌合される。板
ばね46,48はカムプレート34のもう一端部のアクチュエ
ータロッド36に摺動可能に嵌合される穴52を有する。従
って、カムプレート34が第２のポスト28のまわりを回転
するときに、各板ばね46,48も第２のポスト28のまわり
を各アジマス調整ねじ40,42と同時に回転する。さら
に、三角形の残りの端部の領域において、板ばね46,48
は重なり合わないで相互に向き合ったネック部分46a,48
aを有する。アジマス調整ねじ40,42の先端はこれらのネ
ック部分46a,48aの表面に当接するように配置される。

従って、第１図に示されるように、アジマス調整の結果
として一方のアジマス調整ねじ40が板ばね46のネック部
分46aを介しての受け座44に係合しているときに、他方
のアジマス調整ねじ42の先端がアジマス調整ねじ40の先
端よりもかなり下方まで突出していても、各板ばね46,4
8は相互に独立しているので、アジマス調整ねじ40,42の
先端間に高さの差があってもそれぞれ大きく傾斜するこ
とがない。よって、アジマス調整ねじ40,42は各板ばね4
6,48から反作用のばね力を受けず、アジマス調整作業を
確実に行うことができるとともに、調整下高さを維持す
ることができる。

第４図に示されるように、アジマス調整ねじ40,42の先
端間に高さの差があると、各板ばね46,48のネック部分4
6a,48aの高さも同様の差があることになる。テープ走行
方向の切り換えに従ってカムプレート34を回転すると、
ネック部分46a,48aが例えば第４図の矢印Ｅの方向に移
動することになり、受け座44に対する係合部が、ネック
部分46aからネック部分48aに移行する。このときに、低
い方のネック部分48aが受け座44に対して円滑に係合で
きるように、各ネック部分46a,48aの対向端部46b,48bは
丸みをもって上方に曲げられているのが好ましい。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案によれば、ヘッド台に支持
された再生ヘッドの角度を調節するカムプレートを備
え、該カムプレートがポストに摺動可能に配置され且つ
テープ走行方向に応じてアジマス調整を行うための高さ
調節用の２個のねじを有し、該ヘッド台には該カムプレ
ートの回転位置に従って該２個のねじの一方の先端を受
ける受け座が形成され、該２個のねじの先端と該受け座
との間には板ばねが挿入され、該板ばねが該２個のねじ
の各々に対して独立的に設けられている構成としたの
で、２個のねじの先端の位置に差があっても各板ばねの
傾斜はそれほど大きくならず、各板ばねが各ねじにかな
りのばね力を及ぼすことがなくなり、余計な力を受ける
ことなくアジマス調整を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるテープ再生装置のアジマス機構を
示す断面図、第２図は第１図の平面図、第３図は第１図
の板ばねを示す平面図、第４図は第３図の矢印IVから見
た端面図、第５図はテープ再生装置の内部を示す図であ
る。 10……シャーシベース、12,14……巻き取りリール、16
……ピンチローラ、18……キャプスタン、20……磁気ヘ
ッド、22……ヘッド台、24……スライドレバー、26,28
……ポスト、30……支持プレート、34……カムプレー
ト、36……ロッド、38……ストッパ、40,42……アジマ
ス調整ねじ、44……受け座、46,48……板ばね。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ヘッド台に支持された再生ヘッドの角度を
   調節するカムプレートを備え、該カムプレートがポスト
   に摺動可能に配置され且つテープ走行方向に応じてアジ
   マス調整を行うための高さ調節用の２個のねじを有し、
   該ヘッド台には該カムプレートの回転位置に従って該２
   個のねじの一方の先端を受ける受け座が形成され、該２
   個のねじの先端と該受け座との間には板ばねが挿入さ
   れ、該板ばねが該２個のねじの各々に対して独立的に設
   けられていることを特徴とするテープ再生装置のアジマ
   ス機構。