JPH0650736U - 着脱自在なワーク心押手段を備えた割出し装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 長物のワークを両端で支持して加工するため
に着脱が容易であり、かつ、その着脱を自動的に行える
ようにすることにより長時間の自動無人加工を可能にす
る着脱自在なワーク心押手段を備えた割出し装置を提供
する。 【構成】 工作機械のテーブルまたはパレットの上面に
取り付けられ、この上面と平行な方向の軸回りに回転割
出し自在な割出し装置であって、この割出し装置１の基
体４と、この基体４に割出し軸軸線と同一軸線上に第一
の装着口を有し、前記工作機械で加工される被加工物Ｗ
を着脱自在に装着する第一の装着部６と、前記基体４に
前記第１の装着軸線と平行でかつ所定の間隔離れた位置
に第２の装着口１０が設けられた第２の装着部９と、第
２の装着部９に着脱自在に設けられ、前記第１の装着部
６にある被加工物Ｗを押圧して支持するワーク心押手段
Ｃとを有してなることを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ワーク（被加工物）を割出しながら加工するために工作機械のテー ブルまたはパレット上に載置，固定される割出し装置にかかり、詳しくは、ワー クを割出し装置のワーク装着部と対向する側から支持するワーク心押手段を容易 に着脱できるようにしワークを両端で支持することを可能にした割出し装置に関 する。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、ワークを割出しながら加工するために工作機械のテーブルやパレッ ト上に載置，固定される割出し装置が知られている。 また、クランプ・アンクランプ機構を内装し、ワークを固定したワークホルダ のシャンク部を着脱自在に装着できる割出し装置が実開昭６３−５３６３３号公 報等で知られている。この割出し装置によれば、ワークを固定したワークホルダ の着脱を、自動ワーク交換装置やロボット等の交換アームで自動的に行うことが でき、ワークの連続無人加工が可能になる。ところで、このような割出し装置に 、径より軸方向寸法の大きい長物のワークを装着して加工する場合は、ワークの 撓みやびびり等の振動の発生のために加工能力や精度が著しく低下してしまう。 そこで、それを防止するためにワークの装着部反対側の端部をセンタで押圧支持 するワーク心押手段を設け、ワークの両端を支持する必要がある。そのため、従 来は、割出し可能なテーブル上にサブプレートを取り付け、このサブプレートの 上部に割出し装置とワーク心押手段とを設けてワークの両端部を支持するように していた。

【０００３】 しかしながら、上記サブプレートはテーブルから出張るため、テーブルの回転 割出しの際の振り回し径が大きくなり、サブプレートを取り付けたままでテーブ の回転割出しを行うとサブプレートが工作機械のカバーやコラムなどと干渉する という問題が生じた。また、ワークの変更にともなってサブプレートやワーク心 押手段を着脱する必要が生じる場合、手動でサブプレートやワーク心押手段の着 脱を行っているため、長時間の連続自動無人加工ができないという問題があった 。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は上述の問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、長 物のワークを両端で支持して加工するために着脱が容易であり、かつ、その着脱 を自動的に行えるようにすることにより長時間の自動無人加工を可能にする着脱 自在なワーク心押手段を備えた割出し装置を提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

工作機械のテーブルまたはパレットの上面に取り付けられ、この上面と平行な 方向の軸回りに回転割出し自在な割出し装置であって、この割出し装置の基体と 、この基体に前記割出し軸軸線と同一軸線上に第一の装着口を有し、前記工作機 械で加工される被加工物を着脱自在に装着する第一の装着部と、前記基体に前記 第１の装着軸線と平行でかつ所定の間隔離れた位置に第２の装着口が設けられた 第２の装着部と、第２の装着部に着脱自在に設けられ、前記第１の装着部にある 前記被加工物を押圧して支持するワーク心押手段とを有してなることを特徴とす る。また、前記ワーク心押手段は、前記第２の装着部に装着される心押ホルダと 、この心押ホルダの軸部に摺動自在に嵌挿される心押本体と、この心押本体の内 周部に設けられ、この心押本体を前記心押ホルダの軸部の任意の位置に固定する 固定手段と、前記心押本体の前記第１の装着軸軸線上に設けられ、前記被加工物 のセンタ穴を押圧するセンタと、前記心押本体に設けられ、前記センタを進退移 動させる駆動体と、前記心押ホルダの軸部と前記心押本体との間に設けられ、前 記心押本体が前記第２の装着部より所定量離隔したときに前記センタを前記第１ の装着軸軸線上より回動させるカム機構とを有するものとして構成してもよい。

【０００６】

【作用】

本考案は上述のように構成されているので以下のように作用する。 ワーク心押手段は、交換アームに把持されてワーク貯蔵マガジンより離脱され 、割出し装置第２の装着口に心押ホルダのシャンク部が挿入され、クランプ・ア ンクランプ機構により割出し装置に装着される。 長物ワークのようにワークの一端をセンタにて支持する必要がある場合は、工 作機械のコラムやベッド等の相対移動によって主軸または主軸に装着された工具 等に押されて心押ホルダの軸部上を摺動する。心押本体は、割出し装置に装着さ れたワークの端面にセンタの先端が近接した位置で停止され、固定手段によりこ の位置で心押ホルダの軸部上に固定される。次に、センタ駆動シリンダが駆動し てセンタをワーク側に移動させ、センタでワークの反装着口側端部を押圧して支 持する。

【０００７】 割出し装置にワークを固定したワークホルダを着脱する際には、ワークおよび ワークホルダとワーク心押手段との干渉を避けるため、固定手段による固定を解 除後、心押本体を主軸等で押圧して心押本体を心押ホルダの軸部の先端側に摺動 させる。心押本体はカム溝の作用により心押ホルダの軸部を中心軸として回動し 、センタおよび心押本体は割出し装置の主軸軸線上から遠ざかる。 ワークの軸線方向寸法が短くてワーク心押手段を取り外して加工する場合等に は、クランプ・アンクランプ機構によるクランプを解除してワーク心押手段を割 出し装置から取り外すことができる。

【０００８】

【実施例】

本考案の一実施例を図面に従って詳細に説明する。 図１は本考案の割出し装置の一部を破断した側面図、図２は図１の正面図であ る。 割出し装置１は、工作機械のテーブル２上に載置されてボルト３にて前記テー ブル２に固定されている。また、割出し装置１の基体４中央には、加工するワー クＷを固定したワークホルダ２５のシャンク部を挿入する第１の装着口５を有す る第１の装着部６が設けられ、この装着口５に挿入されたワークホルダ２５のシ ャンク部が割出し装置１の基体４に内装された図示しないクランプ・アンクラン プ機構によりクランプ・アンクランプされるようになっている。このクランプ・ アンクランプ機構は、ワークホルダ２５のシャンク部に固定されたプルスタッド をシリンダにより進退動作するコレットで係脱してクランプ・アンクランプ動作 を行うもので、マシニングセンタの主軸に工具ホルダをクランプ・アンクランプ する機構として公知のものであり、係合状態のときはワークホルダ２５のシャン ク部を第１の装着口５に押圧してクランプするものである。また、割出し装置１ と工作機械のテーブル２とは圧力流体供給管２１で接続されていて、工作機械側 から割出し装置１に圧油やエアを供給できるようになっている。

【０００９】 基体４の前記第１の装着口５の上方には、ワーク心押手段Ｃを着脱自在に装着 する第２の装着部９が設けられている。この第２の装着部９には、内周部がワー ク心押手段Ｃの心押ホルダ７のシャンク部８と同じテーパ面に形成された第２の 装着口１０が設けられている。そして、心押ホルダ７のシャンク部８は、第２の 装着口１０に挿入されたのち、心押ホルダ７のシャンク部８に固定されたプルス タット１２が図示しないクランプ・アンクランプ機構のコレット爪１１に掴まれ て後方に引っ張られることにより、第２の装着口１０のテーパ面に強固に押し付 けられてクランプされる。第１の装着部６でも説明した公知のクランプ・アンク ランプ機構でクランプされる。

【００１０】 心押ホルダ７のシャンク部８には、自動ワーク交換装置の交換アーム等で把持 できるようにＶ字溝が形成され、また、割出し装置１の主軸軸線Ａと平行な方向 に延びる心押ホルダ７の軸部７ａが形成されている。この心押ホルダ７の軸部７ ａには、心押ホルダ７の軸部７ａから主軸軸線Ａ方向に向けて垂設された心押ア ーム１３と、この心押アーム１３の先端に設けられるセンタ１６と、センタ１６ を主軸軸線方向に進退移動させるセンタ駆動シリンダ１５とからなる心押本体１ ４が、図１中矢印Ｘの方向に摺動できるように嵌装されている。前記心押本体１ ４の内周部には、心押ホルダの軸部上の任意の位置で心押本体１４を固定する固 定手段３０が設けられている。この固定手段３０は、薄肉に形成された薄肉リン グ体３１の外周部に圧油供給室３２を形成し、この圧油供給室３２に圧油を供給 することにより薄肉リング体３１を変形させて軸部７ａを押圧することにより心 押本体１４を心押ホルダ７の軸部７ａに固定するものであるが、この固定手段３ ０はいわゆるエキスパンションマンドレルの応用であり公知技術であるので、詳 しい説明は省略する。

【００１１】 ワークＷに形成されたセンタ穴に先端部を押し付けてワークＷの端部を支持す るセンタ１６は、有底円筒状のスリーブ１６ａに嵌挿され、このスリーブ１６ａ とともにワークＷに対して主軸軸線Ａ上で進退移動できるように、心押アーム１ ３の先端に設けられている。図１において符号１６ｂは、スリーブ１６ａからセ ンタ１６を抜脱するためにスリーブ１６ａの底部に螺入されたボルトである。 このセンタ１６の進退移動は、心押アーム１３の先端に設けられたセンタ駆動 シリンダ１５により行われる。すなわち、センタ１６を嵌挿するスリーブ１６ａ は、シリンダ１５内に挿入されている。そして、スリーブ１６ａの外周とセンタ 駆動シリンダ１５の内壁とで形成される圧油供給室１５ｃに圧油を供給すること により、スリーブ１６ａがワークＷ側に前進移動する。ワークＷを固定したワー クホルダ２５を割出し装置１に着脱するために、圧油供給室１５ｃへの圧油の供 給を停止させると、スリーブ１６ａおよびセンタ１６は復帰スプリング１５ｂの 付勢力により後退移動する。

【００１２】 なお、前記固定手段３０およびセンタ駆動シリンダ１５を動作させるための圧 油は、心押ホルダ７の軸部７ａに一体に設けられワーク心押手段Ｃが割出し装置 １に装着されたときに、割出し装置１の圧油供給部材と連結される連結部材１７ を介して割出し装置１側から供給されるオイルホール工具を同一の機構であり公 知な技術であるので詳しい説明は省略する。

【００１３】 また、前記心押ホルダ７の軸部７ａには、軸部７ａの長手方向に沿ってカム溝 １８が刻設されている。心押本体１４は、係合部材１９がこのカム溝１８に係合 することにより、カム溝１８に案内されながら軸部７ａの外周に沿って摺動する 。前記カム溝１８は、軸部７ａの先端近傍で軸部７ａの円周方向に屈曲しており 、心押本体１４が軸部７ａの先端近傍まで摺動すると、軸部７ａを中心として回 動できるようになっている。この態様により、心押本体１４を軸部７ａの先端ま で摺動させて回動させることにより、割出し装置１へのワークＷを固定したワー クホルダの着脱の際におけるワークＷおよびワークホルダと心押本体１４との干 渉を防ぐことができる。

【００１４】 上記構成の本考案の割出し装置１の作用を説明する。なお、作用の説明にあた り工作機械には、ワーク貯蔵マガジンとこのワーク貯蔵マガジンと割出し装置と の間でワークＷを固定したワークホルダおよびワーク心押手段Ｃを交換する自動 ワーク交換装置とを有するものとして説明する。 ワークＷを固定したワークホルダおよびワーク心押手段Ｃは図示しないワーク 貯蔵マガジンの収納部に収納されている。ワークＷは、自動ワーク交換装置の交 換アームによりワーク貯蔵マガジンより取り出されて割出し装置１の第１の装着 口５に装着される。このとき、第１の装着口５から清掃用のエアーが噴出される 。長物のワークＷのように端部をセンタ１６にて支持する必要があるときはワー ク貯蔵マガジンがワーク心押手段Ｃを交換位置まで割出し、自動ワーク交換装置 がワーク心押手段Ｃをワーク貯蔵マガジンより取り出す。ワーク心押手段Ｃは、 割出し装置１の第２の装着口１０に心押ホルダ７のシャンク部８が挿入され、ク ランプ・アンクランプ機構によりクランプされることにより割出し装置１に固定 される。このときにも、第２の装着口より清掃用のエアーが噴出される。

【００１５】 このとき、センタ１６は後退端に位置している。心押本体１４は、工作機械の 主軸２０に押されて軸部７ａに沿って摺動する。心押本体１４は、センタ１６の 先端がワークＷの端部に近接した位置で停止され、固定手段に圧油が供給されて 心押ホルダ７の軸部７ａ上で固定される。 心押本体１４が心押ホルダ７の軸部７ａの所定位置で固定されると、心押アー ム１３に内装されたセンタ駆動シリンダ１５に圧油が供給されてセンタ１６をワ ークＷ側に前進移動させ、センタ１６でワークＷの反装着部側のセンタ穴部を押 圧して支持する。このように、ワークホルダ２５を両端で支持した状態で割出し 装置１の割出し動作、主軸に装着された工具とワークＷとの３軸方向の相対移動 動作などで加工を行う。

【００１６】 ワークＷを固定したワークホルダ２５を割出し装置１に着脱する際には、セン タ１６をセンタ駆動シリンダ１５で後退させ、心押本体１４を軸部７ａの先端側 に摺動させてワークＷから遠ざけ、さらに心押ホルダの軸部７ａを中心として心 押本体１４を回動させることにより、心押アーム１３およびセンタ１６を主軸軸 線Ａから遠ざける。これにより、ワークＷと心押本体１４とが干渉することなく ワークホルダ２５を割出し装置１に着脱できる。 なお、この実施例では上述した動作がすべて工作機械の制御プログラムの中に 組み込まれており、ワークホルダ２５の着脱およびワーク心押手段Ｃの着脱、セ ンタ駆動シリンダ１５や固定手段３０への圧油の供給などの全ての動作が各種指 令により自動で行われるようになっている。

【００１７】

【考案の効果】

本考案は上記のように構成されているので、以下のような効果を奏する。 ワークを固定したワークホルダを両端で支持した状態で加工が行えるため、剛 性が高くなり加工性能や精度の低下を生じない。 ワーク心押手段は、割出し装置に内装したクランプ・アンクランプ機構のクラ ンプ・アンクランプ動作により簡単に割出し装置に着脱することができ、自動ワ ーク交換装置やロボットなどの交換アーム等による自動着脱ができるようになる ので、多種類のワークの多面加工を行う場合においても、長時間の連続無人加工 が可能になる。また、軸長の短いワークの場合、ワーク心押手段を割出し装置よ り離脱させておき加工することができるので、切粉やクーラントの影響を受ける ことがない。 さらに、クランプ・アンクランプ機構は、工具ホルダ等の公知のクランプ・ア ンクランプ機構を利用することができるので、経済効果も生じる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の割出し装置の一部を破断した側面図で
ある。

【図２】図１の正面図である。

【符号の説明】

Ａ 主軸軸線 Ｃ ワーク心押手段 Ｗ ワーク １ 割出し装置 ４ 基体 ６ フレーム ７ 心押ホルダの軸部 ８ ホルダシャンク １０ 取付口 １３ アーム １４ 心押本体 １５ 取付部 １６ センタ １８ カム溝 ２０ 主軸 ３０ 固定手段

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 工作機械のテーブルまたはパレットの上
   面に取り付けられ、この上面と平行な方向の軸回りに回
   転割出し自在な割出し装置であって、 この割出し装置の基体と、 この基体に前記割出し軸軸線と同一軸線上に第一の装着
   口を有し、前記工作機械で加工される被加工物を着脱自
   在に装着する第一の装着部と、 前記基体に前記第１の装着軸線と平行でかつ所定の間隔
   離れた位置に第２の装着口が設けられた第２の装着部
   と、 第２の装着部に着脱自在に設けられ、前記第１の装着部
   にある前記被加工物を押圧して支持するワーク心押手段
   とを有してなることを特徴とする着脱自在なワーク心押
   手段を備えた割出し装置。
2. 【請求項２】 前記ワーク心押手段は、前記第２の装着
   部に装着される心押ホルダと、 この心押ホルダの軸部に摺動自在に嵌挿される心押本体
   と、 この心押本体の内周部に設けられ、この心押本体を前記
   心押ホルダの軸部の任意の位置に固定する固定手段と、 前記心押本体の前記第１の装着軸軸線上に設けられ、前
   記被加工物のセンタ穴を押圧するセンタと、 前記心押本体に設けられ、前記センタを進退移動させる
   駆動体と、 前記心押ホルダの軸部と前記心押本体との間に設けら
   れ、前記心押本体が前記第２の装着部より所定量離隔し
   たときに前記センタを前記第１の装着軸軸線上より回動
   させるカム機構とを有することを特徴とする着脱自在な
   ワーク心押手段を備えた割出し装置。