JPH0649233B2 - ステンレス鋼の溶接方法 - Google Patents
ステンレス鋼の溶接方法Info
- Publication number
- JPH0649233B2 JPH0649233B2 JP323785A JP323785A JPH0649233B2 JP H0649233 B2 JPH0649233 B2 JP H0649233B2 JP 323785 A JP323785 A JP 323785A JP 323785 A JP323785 A JP 323785A JP H0649233 B2 JPH0649233 B2 JP H0649233B2
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- Japan
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- welding
- stainless steel
- nitrogen
- austenite
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Description
【発明の詳細な説明】 〈発明の技術分野〉 本発明はステンレス鋼の溶接法、より詳細に言えば、ス
テンレス鋼の溶接金属中のフェライト相とオーステナイ
ト相の含有比率を制御する溶接法に関する。
テンレス鋼の溶接金属中のフェライト相とオーステナイ
ト相の含有比率を制御する溶接法に関する。
〈発明の背景〉 焼鈍後の組織がフェライト相とオーステナイト相からな
る2相ステンレス鋼は、耐応力腐食割れ性や機械的性質
に優れているので、プラント用材料や耐海水機器用材料
として用いられている。しかし日本工業規格(JIS)
におけるSUS 329J1に代表される2相ステンレス鋼は溶
接されたままの状態ではフェライト単相組織となるのが
通常であり、フェライトの結晶粒界に炭窒化物が析出す
るので粒界腐食感受性が高いという問題がある。この問
題を解決するためには、溶接金属の組織をもフェライト
相とオーステナイト相の2相となるように組成を設計す
ればよいわけであるが、高温から急冷される溶着金属組
織を2相にするためには、焼鈍状態での組織がオーステ
ナイト相過剰となり、つぎのような問題を生ずる。
る2相ステンレス鋼は、耐応力腐食割れ性や機械的性質
に優れているので、プラント用材料や耐海水機器用材料
として用いられている。しかし日本工業規格(JIS)
におけるSUS 329J1に代表される2相ステンレス鋼は溶
接されたままの状態ではフェライト単相組織となるのが
通常であり、フェライトの結晶粒界に炭窒化物が析出す
るので粒界腐食感受性が高いという問題がある。この問
題を解決するためには、溶接金属の組織をもフェライト
相とオーステナイト相の2相となるように組成を設計す
ればよいわけであるが、高温から急冷される溶着金属組
織を2相にするためには、焼鈍状態での組織がオーステ
ナイト相過剰となり、つぎのような問題を生ずる。
そのような組織では、熱間での変形抵抗が増大し、熱間
加工が困難になること、および、冷却過程においてシグ
マ(σ)相の析出速度が極めて速くなり、鋼が極めて脆
くなることから、鋼の製造自体が困難になる。
加工が困難になること、および、冷却過程においてシグ
マ(σ)相の析出速度が極めて速くなり、鋼が極めて脆
くなることから、鋼の製造自体が困難になる。
本発明者らは上記の問題の解決を求めて種々検討を重ね
たが、窒素がオーステナイト形成元素であることに着目
し、溶接雰囲気中の窒素の量を加減することにより、生
成溶着金属中のフェライト相とオーステナイト相の割合
を制御できることを見出し本発明を完成した。
たが、窒素がオーステナイト形成元素であることに着目
し、溶接雰囲気中の窒素の量を加減することにより、生
成溶着金属中のフェライト相とオーステナイト相の割合
を制御できることを見出し本発明を完成した。
〈発明の構成〉 本発明によれば、ステンレス鋼をシールドガスを用いて
溶接する際に、不活性ガスのシールドガス中に種々の割
合で窒素を含有させることによって溶着金属中に所望量
のオーステナイト相を出現させることを特徴とするステ
ンレス鋼の溶接方法が提供される。より具体的には、焼
鈍状態でフエライト相とオーステナイト相の2相組織を
呈する2相ステンレス鋼同士の溶接方法において,シー
ルドガス雰囲気下で該ステンレス鋼母材自身を溶融して
溶着金属とすると共に,該シールドガス中に適量の窒素
ガスを含有させて母材よりも多量に窒素を含有する溶着
金属を形成し,そのさい,該シールドガス中の窒素含有
量を調節することにより溶接部のオーステナイト量を母
材のオーステナイト量に近づけることを特徴とする2相
ステンレス鋼の溶接方法を提供する。ここで「母材自身
を溶融して容着金属とする」とは、いわゆる溶接棒(溶
加材)を用いる溶接法とは異なり,溶接しようとする母
材の接合部を溶融して接合する溶接法を意味する。この
ように母材自身を溶融接合し且つシールドガスで溶着部
を不活性雰囲気に保持する溶接法には熱の供給の仕方に
よって各種の溶接法があるが,代表的なものには非溶極
式のアーク溶接(例えばTIG溶接)がある。
溶接する際に、不活性ガスのシールドガス中に種々の割
合で窒素を含有させることによって溶着金属中に所望量
のオーステナイト相を出現させることを特徴とするステ
ンレス鋼の溶接方法が提供される。より具体的には、焼
鈍状態でフエライト相とオーステナイト相の2相組織を
呈する2相ステンレス鋼同士の溶接方法において,シー
ルドガス雰囲気下で該ステンレス鋼母材自身を溶融して
溶着金属とすると共に,該シールドガス中に適量の窒素
ガスを含有させて母材よりも多量に窒素を含有する溶着
金属を形成し,そのさい,該シールドガス中の窒素含有
量を調節することにより溶接部のオーステナイト量を母
材のオーステナイト量に近づけることを特徴とする2相
ステンレス鋼の溶接方法を提供する。ここで「母材自身
を溶融して容着金属とする」とは、いわゆる溶接棒(溶
加材)を用いる溶接法とは異なり,溶接しようとする母
材の接合部を溶融して接合する溶接法を意味する。この
ように母材自身を溶融接合し且つシールドガスで溶着部
を不活性雰囲気に保持する溶接法には熱の供給の仕方に
よって各種の溶接法があるが,代表的なものには非溶極
式のアーク溶接(例えばTIG溶接)がある。
今日一般に使用される2相ステンレス鋼(10Ni−2
4Cr−3Mo鋼)の溶体化状態におけるフェライト相
オーステナイト相含有比はおよそ40:60であるが、
この鋼を溶接したときの溶着金属ほぼフェライト単相と
なる。しかし、溶接時に不活性ガスシール気体中に窒素
を約5v/v%含有させることによって、溶着金属中のフェ
ライト相オーステナイト相の比率はほぼ半々となる。
4Cr−3Mo鋼)の溶体化状態におけるフェライト相
オーステナイト相含有比はおよそ40:60であるが、
この鋼を溶接したときの溶着金属ほぼフェライト単相と
なる。しかし、溶接時に不活性ガスシール気体中に窒素
を約5v/v%含有させることによって、溶着金属中のフェ
ライト相オーステナイト相の比率はほぼ半々となる。
〈発明の具体的開示〉 図面を参照して、主として2相ステンレス鋼の溶接につ
いて本発明を詳細に説明する。
いて本発明を詳細に説明する。
第1表に示す組成の鋼が常法により溶製され、圧延され
て、3mm厚の冷延鋼板とし、1050℃で10分間均熱
後水冷処理し、巾25mm、長さ70mmの試片に作成し
た。この状態(溶体化状態)でのオーステナイト相含有
比は、この表に示されるように57%および61%であ
る。
て、3mm厚の冷延鋼板とし、1050℃で10分間均熱
後水冷処理し、巾25mm、長さ70mmの試片に作成し
た。この状態(溶体化状態)でのオーステナイト相含有
比は、この表に示されるように57%および61%であ
る。
オーステナイト含有率は下記のポイントカウント法によ
って測定される。
って測定される。
光学顕微鏡による観察視野を400格子点に分割し、研
摩試料の観察において、オーステナイト相上に来る格子
点の数を計測する。これを30視野について実施しオー
ステナイト相上に来た格子点数の総和を求め、それを4
00×30で除し、100分率で表す。
摩試料の観察において、オーステナイト相上に来る格子
点の数を計測する。これを30視野について実施しオー
ステナイト相上に来た格子点数の総和を求め、それを4
00×30で除し、100分率で表す。
第1表に示す2相ステンレス鋼を溶接速度100cm/mi
n、溶接電流80Aで、バックシールドガスとしてアル
ゴン5l/min、アークシールドガスとしてアルゴンの
み、窒素のみ、および種々の割合のアルゴン/窒素混合
ガス(総流量20/min)を用いて、タングステンイ
ナートガス(TIG)アーク溶接した(ビードを置い
た)時の溶着金属中のオーステナイト相の含有比率を測
定した。その結果をシールドガス中の窒素ガスの容量百
分率に対して整理した結果を添付図面に示す。
n、溶接電流80Aで、バックシールドガスとしてアル
ゴン5l/min、アークシールドガスとしてアルゴンの
み、窒素のみ、および種々の割合のアルゴン/窒素混合
ガス(総流量20/min)を用いて、タングステンイ
ナートガス(TIG)アーク溶接した(ビードを置い
た)時の溶着金属中のオーステナイト相の含有比率を測
定した。その結果をシールドガス中の窒素ガスの容量百
分率に対して整理した結果を添付図面に示す。
この図によって明らかであるように、アルゴンのみをシ
ールドガスとした場合、溶着金属の組織は殆どフェライ
ト単相であるが、シールドガス中に窒素を含有させ、そ
の含有率を増加することによってオーステナイト相出現
率を増加させることができ、窒素100%ではオーステ
ナイト100%とすることもできることがわかる。
ールドガスとした場合、溶着金属の組織は殆どフェライ
ト単相であるが、シールドガス中に窒素を含有させ、そ
の含有率を増加することによってオーステナイト相出現
率を増加させることができ、窒素100%ではオーステ
ナイト100%とすることもできることがわかる。
それぞれ特定組成の被溶接鋼について、この関係を求め
ておけば、この方法は広範囲の組成に対して適用でき
る。
ておけば、この方法は広範囲の組成に対して適用でき
る。
供試鋼の場合、約5v/v%の窒素添加で所望のオーステナ
イト50%を達成できる。
イト50%を達成できる。
第1表に記した組成の試料をアルゴンのみ、および5v/v
%の窒素を含むアルゴンをシールドガスとして用いて、
上記の条件で溶接したものを、JIS G0575(ス
テンレス鋼の硫酸硫酸銅腐食試験方法)に従って試験し
た結果を第2表に示す。シールドガスとしてアルゴンの
みを用いた試料は曲げ試験において割れを生じているの
に対して、窒素含有アルゴンを使用したものは全く割れ
を起さず、顕著な耐蝕性の改善が見られる。
%の窒素を含むアルゴンをシールドガスとして用いて、
上記の条件で溶接したものを、JIS G0575(ス
テンレス鋼の硫酸硫酸銅腐食試験方法)に従って試験し
た結果を第2表に示す。シールドガスとしてアルゴンの
みを用いた試料は曲げ試験において割れを生じているの
に対して、窒素含有アルゴンを使用したものは全く割れ
を起さず、顕著な耐蝕性の改善が見られる。
〈発明の効果〉 以上に説明したように、本発明方法によれば、製造課程
における熱間変形抵抗の問題やシグマ相析出の問題をな
んら考慮することなく、溶着金属組織に所望量のオース
テナイト相を析出させることが可能であり、溶着金属の
耐蝕性を向上させることができる。
における熱間変形抵抗の問題やシグマ相析出の問題をな
んら考慮することなく、溶着金属組織に所望量のオース
テナイト相を析出させることが可能であり、溶着金属の
耐蝕性を向上させることができる。
添付図面は2相ステンレス鋼を溶接速度10cm/min、溶
接電流80Aで、バックシールドガスとしてアルゴン5
l/min、アークシールドガスとしてアルゴンのみ、窒素
のみ、および種々の割合のアルゴン/窒素混合ガスを用
いて、タングステンイナートガス(TIG)アーク溶接
した(ビードを置いた)時の溶着金属中のオーステナイ
ト相の含有比率を測定した。その結果をシールドガス中
の窒素ガスの容量百分率に対して整理した結果を示す。
接電流80Aで、バックシールドガスとしてアルゴン5
l/min、アークシールドガスとしてアルゴンのみ、窒素
のみ、および種々の割合のアルゴン/窒素混合ガスを用
いて、タングステンイナートガス(TIG)アーク溶接
した(ビードを置いた)時の溶着金属中のオーステナイ
ト相の含有比率を測定した。その結果をシールドガス中
の窒素ガスの容量百分率に対して整理した結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 朝田 博 山口県新南陽市大字富田4976番地 日新製 鋼株式会社周南製鋼所内 (56)参考文献 特開 昭59−218281(JP,A) 特公 昭45−34444(JP,B1)
Claims (1)
- 【請求項1】焼鈍状態でフエライト相とオーステナイト
相の2相組織を呈する2相ステンレス鋼同士の溶接方法
において,シールドガス雰囲気下で該ステンレス鋼母材
自身を溶融して溶着金属とすると共に,該シールドガス
中に適量の窒素ガスを含有させて母材よりも多量の窒素
を含有する溶着金属を形成し,そのさい,該シールドガ
ス中の窒素含有量を調節することにより溶接部のオース
テナイト量を母材のオーステナイト量に近づけることを
特徴とする2相ステンレス鋼の溶接方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP323785A JPH0649233B2 (ja) | 1985-01-14 | 1985-01-14 | ステンレス鋼の溶接方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP323785A JPH0649233B2 (ja) | 1985-01-14 | 1985-01-14 | ステンレス鋼の溶接方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS61165277A JPS61165277A (ja) | 1986-07-25 |
JPH0649233B2 true JPH0649233B2 (ja) | 1994-06-29 |
Family
ID=11551846
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP323785A Expired - Lifetime JPH0649233B2 (ja) | 1985-01-14 | 1985-01-14 | ステンレス鋼の溶接方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0649233B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20220411909A1 (en) * | 2020-03-31 | 2022-12-29 | Nippon Steel Stainless Steel Corporation | Welded structure and storage tank |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007245225A (ja) * | 2006-03-20 | 2007-09-27 | Iwatani Industrial Gases Corp | ステンレス鋼の溶接方法及びステンレス鋼用溶接ワイヤ |
JP6726499B2 (ja) * | 2016-03-29 | 2020-07-22 | 日鉄ステンレス株式会社 | 二相ステンレス鋼の溶接継手、二相ステンレス鋼の溶接方法および二相ステンレス鋼の溶接継手の製造方法 |
-
1985
- 1985-01-14 JP JP323785A patent/JPH0649233B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20220411909A1 (en) * | 2020-03-31 | 2022-12-29 | Nippon Steel Stainless Steel Corporation | Welded structure and storage tank |
US11946126B2 (en) * | 2020-03-31 | 2024-04-02 | Nippon Steel Stainless Steel Corporation | Welded structure and storage tank |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS61165277A (ja) | 1986-07-25 |
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