JPH0646214Y2 - ファン装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、空気調和機の室内機に用いられるクロスフ
ローファン等のファン装置に関する。

（従来の技術） 実開昭61-178095号公報に開示されているように、上記
クロスフローファンはそのファンロータを直流ブラシレ
スモータの回転子に直結することによって装置の小型化
を図る試みがなされている。直流ブラシレスモータでは
固定子側に回転磁界を形成させるための制御回路が必要
で、その制御回路を具備する回路基板を直流ブラシレス
モータを支持しているエンドブラケットに保持させてい
る一方で、エンドブラケットに上記制御回路に用いられ
ている電子部品、例えばパワートランジスタの放熱板と
しての機能をも兼備させている。

このようなファン装置において、従来は、エンドブラケ
ットをその面板部が回路基板よりも外側、つまり回路基
板を挾んでファンロータの反対側に位置するように組み
付けていた。

（考案が解決しようとする課題） ところが、従来のファン装置によると、エンドブラケッ
トの面板部が、室内機の他の制御に使われる電装品に対
設されて放熱板としての機能を発揮しにくく、十分な冷
却効果を得にくい問題があった。

また、従来のファン装置では回路基板がファンロータの
回転により生じた風に晒されるため、風によって運ばれ
た室内の塵芥が回路基板に付着しやすく、しかも回路基
板の制御回路（電子回路）が暖房運転時には高温雰囲気
におかれる反面、冷房運転時には低温雰囲気におかれて
冷却され、その制御回路に湿気や結露による絶縁低下を
生じたりする問題があった。

この考案は以上の問題に鑑みてなされたもので、エンド
ブラケットや回路基板のレイアウトに工夫を講じること
によって、ファンロータの回転により生じる風をエンド
ブラケットの面板部の冷却に有効利用でき、しかも回路
基板の防塵カバーとしての役割や断熱カバーとしての役
割をエンドブラケットの面板部に担わせることが可能な
ファン装置を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） この考案によるファン装置は、エンドブラケット３によ
り支持されたファンモータＭの回転子７にファンロータ
１を取り付けることにより上記エンドブラケット３の面
板部４がファンロータ１に対向されており、上記面板部
４を挾んで上記ファンロータ１と反対側にファンモータ
Ｍの制御回路を有する回路基板17が配置され、上記制御
回路に電気的に接続されるパワートランジスタＱ等の発
熱素子が上記面板部４に取り付けられている。

（作用） 上記ファン装置においては、発熱素子Ｑが取り付けられ
ているエンドブラケット３の面板部４がファンロータ１
の回転により生じた風に晒され、その風の奪熱作用によ
って面板部４の放熱性能が向上し、発熱素子Ｑに対する
十分な冷却効果が発揮される。また、ファンロータ１の
回転により生じた風はエンドブラケット３の面板部４に
よって遮られため、その面板部４を挾んでファンロータ
１と反対側に配置されている回路基板17にはその風が当
たりにくい。その結果、回路基板17に塵芥が付着しにく
くなると同時に、回路基板17の制御回路が暖房運転時の
温風に晒されて加熱されたり、冷房運転時の冷風に晒さ
れて湿気や結露による絶縁低下を生じたりすることがな
くなる。

（実施例） 第１図は空気調和装置の室内機におけるファン装置、詳
しくはクロスフローファンのファンロータ１の一方の側
板（以下、右側板という。）２側の構成を例示してい
る。３はエンドブラケットで、その面板部４の中央に固
定軸５が固着され、この固定軸５に直流ブラシレスモー
タＭの固定子６が固着されている。直流ブラシレスモー
タＭの回転子７は、軸受８を介して固定軸５に回転自在
に支持されていると共に、この回転子７の永久磁石９が
上記固定子６を取り囲んでいる。上記回転子７の端面及
びボス部10の周囲には防振ゴム等よりなる連結部材11が
嵌合状に弾着されており、この連結部材11に上記右側板
２を取り付けることによって直流ブラシレスモータＭを
挾んで上記面板部４とファンロータ１とを対向させてい
る。

エンドブラケット３は、上記面板部４とその周囲の囲壁
12とを板金加工で形成したもので、囲壁12の適所に凹欠
部13が設けられている。また、エンドブラケット３の背
面側の開口には、板金加工により製作された蓋板14が装
着されている。この蓋板14は、第１図及び第７図に示す
径大な円形開口15を備えると共に、その周囲の適所に第
７図及び第８図に示す弾性舌片16を有している。

直流ブラシレスモータＭの制御回路を有する回路基板17
はエンドブラケット３の内部の上記面板部４から所定間
隔を隔てた個所に、面板部４に沿う姿勢で配置されてい
る。この回路基板17には磁場検出素子としてのホール素
子Ｈ、パワートランジスタＱ、コンデンサＣ・・、抵抗
Ｒ、IC等の電子部品がマウントされており、それらの電
子部品のうちパワートランジスタＱやコンデンサＣ・・
等の背高のものは横倒しにしてマウントすることによっ
て、回路基板17と面板部４との間の狭小なスペースに収
容されている。そして全ての電子部品のリード線は第１
図のように上記面板部４側から回路基板17のリード線挿
入孔に差し込まれて上記蓋板14の開口15に面するランド
に半田付けされている。また、直流ブラシレスモータＭ
のステータ巻線は、上記面板部４の孔に保持された絶縁
ブッシュ24を通して回路基板17の孔に差し込まれ、上記
電子部品のリード線と同様に上記蓋板14の開口15に面す
るランドに半田付けされている。さらにホール素子Ｈは
絶縁性樹脂ブロックよりなるアタッチメント23に支持さ
れ、かつこのアタッチメント23が面板部４の孔25に位置
ずれを生じない状態に保持されている。同図においては
半田付け個所が符号18で示されている。第２図は回路基
板17に形成されるホール素子Ｈのリード線挿入孔HA、H
B、HCやパワートランジスタQ1〜Q8やICや抵抗Ｒ等のマ
ウント個所のレイアウト例を示している。

上述した電子部品のうちで発熱素子、例えば発熱量の大
きなパワートランジスタＱは、回路基板17の外周縁側に
マウントされていて、しかもパワートランジスタＱ自体
は、エンドブラケット３における面板部４の外周縁部
に、ばねクリップ19を用いて取り付けられている。第３
図又は第４図に例示するようにばねクリップ19は平板部
20と押え部21とを略Ｕ字状に折曲げ形成した弾性部材よ
りなり、このばねクリップ19を用いて面板部４に取り付
けられたパワートランジスタＱは第５図又は第６図のよ
うにその放熱面が面板部４に弾性的に押圧された状態で
密着しているために、パワートランジスタＱから面板部
４への伝熱性が良好に保たれる。なお、パワートランジ
スタＱの取付姿勢に応じ、第５図のように押え部21の短
いばねクリップ19（第３図参照）で取り付けたり、第６
図のように押え部21の長いばねクリップ19（第４図参
照）で取り付けたりしている。

以上のように構成されたファン装置を運転すると、ファ
ンロータ１の回転に伴って生じる風がエンドブラケット
３の面板部４及び囲壁12の表面をなめるように通過し、
面板部４及び囲壁12から奪熱する。この奪熱作用により
エンドブラケット３の放熱板としての機能が効果的に発
揮される。また、図示例では、発熱素子であるパワート
ランジスタＱの放熱面が上記面板部４に密着した状態で
取り付けられているため、パワートランジスタＱから面
板部４への伝熱が効率よく行われ、そのことが上述した
面板部４の放熱板としての機能と相まってパワートラン
ジスタＱの冷却効果が一層高められる。さらにパワート
ランジスタＱが回路基板17の外周縁部に配置されて風の
通過経路に近接していることや、蓋板14の形成された径
大な円形開口15が放熱孔として作用することもその冷却
効果を高める上で好都合である。一方、ファンロータ１
の回転に伴って生じる風はエンドブラケット３により遮
られ、回路基板17にはその風が当たりにくい。そのた
め、室内の塵芥が回路基板17に付着するといった事態が
未然に防止されると同時に、回路基板17が暖房運転時の
温風に晒されて加熱されたり冷房運転時の冷風に晒され
て湿気や結露による絶縁低下を生じたりすることがなく
なる。

また、実施例のファン装置によると、全ての電気部品の
リード線や直流ブラシレスモータＭのステータ巻線等が
蓋板14の開口15に面する回路基板17のランドに半田付け
されており、その半田付け作業は一面側からできるた
め、ホール素子ＨやパワートランジスタＱやその他の電
子部品のマウント作業が容易になる利点がある。

（考案の効果） この考案によれば、ファンロータの回転により生じた風
が面板部の放熱を助けることに効果的に利用されるた
め、従来に比べて発熱素子が十分に冷却されるという効
果がある。また、上記面板部が回路基板に対する防塵カ
バーや断熱カバーとして役立つため、回路基板に塵芥が
付着しにくくなると同時に、回路基板の制御回路が暖房
運転時の温風に晒されて加熱されたり冷房運転時の冷風
に晒されて湿気による絶縁低下や結露を生じたりするこ
とがなくなる効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例によるファン装置の構造を示
す断面図、第２図は回路基板の正面図、第３図及び第４
図はばねクリップの斜視図、第５図及び第６図はパワー
トランジスタの取付状態を示す説明図、第７図は蓋板の
正面図、第８図は蓋板の側面図である。 １……ファンロータ、３……エンドブラケット、４……
面板部、７……回転子、17……回路基板、Ｍ……直流ブ
ラシレスモータ（ファンモータの一例）、Ｑ……パワー
トランジスタ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】エンドブラケット（３）により支持された
   ファンモータ（Ｍ）の回転子（７）にファンロータ
   （１）を取り付けることにより上記エンドブラケット
   （３）の面板部（４）がファンロータ（１）に対向され
   ており、上記面板部（４）を挾んで上記ファンロータ
   （１）と反対側にファンモータ（Ｍ）の制御回路を有す
   る回路基板（17）が配置され、上記制御回路に電気的に
   接続されるパワートランジスタ（Ｑ）等の発熱素子が上
   記面板部（４）に取り付けられていることを特徴とする
   ファン装置。