JPH0644231U - 弾性表面波フィルタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 入出力電極間を伝播する直達波あるいは他の
弾性波の悪影響を極力排除し、電気的特性の良好な弾性
表面波フィルタを得る。 【構成】 圧電基板２の表面には、弾性表面波共振器を
２つ並列に設けた２つの弾性表面波フィルタ素子３１，
３２が形成され、共振子型弾性表面波フィルタ３を構成
している。弾性表面波フィルタ素子間には電磁シールド
電極４が形成されており、反射器電極３１ｂから反射器
電極３２ｃに延びている。そして、圧電基板２をパッケ
ージ１に収納し、各電極パッドと各電極、および交差指
電極３１ａの他端と交差指電極３２ａの一端をそれぞれ
ボンディングワイヤー５で電気的に接合する。金属性の
フタ８は前記パッケージ１の金属枠にシーム溶接等によ
り接合され気密封止される。電磁シールド電極を吸音材
で被覆してもよい。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は圧電基板上を伝搬する弾性表面波を応用した弾性表面波フィルタに関 するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来技術を図４とともに説明する。図４は、従来の多段接続共振子型弾性表面 波フィルタの平面図である。 圧電基板７は薄板状のＬｉＮｂＯ₃からなり、矩形形状に加工されている。こ の圧電基板７の表面には、交差指電極７１ａ，７２ａ並びに反射器電極７１ｂ， ７１ｃ，７２ｂ，７２ｃが形成されており、弾性表面波共振器を２つ並列に設け てなる２対の共振器型弾性表面波フィルタ素子７１，７２を構成している。上記 交差指電極７１ａ，７２ａは連結電極７３で電気的に接続されており、全体とし て多段接続共振子型弾性表面波フィルタが構成されている。２つの弾性表面波フ ィルタ７１，７２間には電磁シールド電極７４，７５が前記連結電極７３の近傍 まで形成されており、両フィルタ間を直接伝播する電磁波（一般に直達波と称さ れる）あるいはバルク波等の他の弾性波の影響を互いに防ぐ目的で設けられてい る。なお、図示していないがこの弾性表面波フィルタはセラミック等のパッケー ジに収納され、最後に金属性のフタとパッケージの金属層とをシーム溶接等で気 密封止する。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

前述したようにこのような共振子型弾性表面波フィルタは、弾性表面波フィル タ素子間を直接伝播する電磁波（一般に直達波と称される）あるいはバルク波等 の他の弾性波を防止しようとするものであるが、両者を電気的に接続する連結電 極が存在するために、充分な直達波等の防止ができない問題点があった。

【０００４】 本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、例えば多段接続した共 振子型のような弾性表面波フィルタ等において、入出力電極間を伝播する直達波 あるいは他の弾性波の悪影響を極力排除し、電気的特性の良好な弾性表面波フィ ルタを得ることを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記問題点を解決するために、本考案による弾性表面波フィルタは、圧電基板 の表面に、少なくとも弾性表面波を励起する交差指電極を有する弾性表面波フィ ルタ素子を２つ以上並列に配置してなり、前記弾性表面波フィルタ素子の少なく とも交差指電極間を含む部分に電磁シールド電極を形成しこの電磁シールド電極 を接地するとともに、前記弾性表面波フィルタ素子間にこの電磁シールド電極を またぐワイヤーを架設したことを特徴とするものである。この電磁シールド電極 上に絶縁性の吸音材を設けてもよい。

【０００６】

【作用】

弾性表面波フィルタ素子間、特に弾性表面波を励起する交差指電極間を含む部 分に電磁シールド電極を形成しているので、弾性表面波フィルタ素子間を直接伝 播する電磁波（一般に直達波と称される）あるいはバルク波等の他の弾性波の伝 播がほとんど起こらない。

【０００７】

【実施例】

本考案による実施例を図面とともに説明する。図１は本考案による弾性表面波 フィルタの平面図、図２は図１のＸ−Ｘ断面図（金属性の蓋を追加記載している ）である。 パッケージ１はアルミナ等のセラミックからなり、パッケージ内周の幅方向端 部には段部１ａが設けられており、この段部１ａの一部には電極パッド１１，１ ２，１３，１４，１５，１６が設けられている。パッケージ１の開口部分にはコ バールからなる金属枠１ｂ（金属層）がロウ付け接合されている。圧電基板２は 薄板状のＬｉＮｂＯ₃からなり、矩形形状に加工されている。これら圧電基板２ の表面には、弾性表面波共振器を２つ並列に設けてなる２つの弾性表面波フィル タ素子３１，３２が形成されている。これら２つの弾性表面波フィルタ素子は、 それぞれ交差指電極３１ａ，３２ａ並びに反射器電極３１ｂ，３１ｃ，３２ｂ， ３２ｃを有しており、全体として共振子型弾性表面波フィルタ３を構成している 。弾性表面波フィルタ素子間には電磁シールド電極４が形成されており、弾性表 面波フィルタ素子３１の反射器電極３１ｂから交差指電極３１ａ，３２ａ間を通 って弾性表面波フィルタ素子３２の反射器電極３２ｃに延びている。この電磁シ ールド電極はなるべく両フィルタ素子間全体を通るように設けるとよい。そして 、圧電基板２を前記パッケージ１に収納し、接合材Ｂでパッケージに接合し、電 極パッド１６と交差指電極３１ａの一端、交差指電極３２ａの他端と電極パッド １３、反射器電極３１ｂと電極パッド１１、反射器電極３１ｃと電極パッド１５ 、反射器電極３２ｂと電極パッド１２、反射器電極３２ｃと電極パッド１４をそ れぞれボンディングワイヤー５で電気的に接合するとともに、交差指電極３１ａ の他端と交差指電極３２ａの一端をボンディングワイヤー５で電気的に接合する 。この交差指電極間のワイヤーボンディングはもちろん他のワイヤーボンディン グ作業と同一工程で行えばよい。電極パッド１６，１３は入出力電極として外部 に導出され、電極パッド１１，１２，１４，１５はそれぞれ接地電極として外部 に導出される。そして金属性のフタ８が前記パッケージ１の金属枠１ｂにシーム 溶接等により接合され気密封止される。

【０００８】 他の実施例を図４の平面図に示す。なお、最初の実施例と同じ構造部分につい ては同番号を援用するとともに、パッケージの説明は割愛している。この実施例 では、電磁シールド電極４１は反射器電極３１ｂの長手方向端部から交差指電極 ３１ａ，３２ａ間を通って反射器電極３２ｃの長手方向他端部へと、弾性表面波 フィルタの長手方向に長く延びている。この電磁シールド電極４１上にはシリコ ンゴムからなる絶縁性の吸音材６を設けており、この吸音材６上部を跨いで弾性 表面波フィルタ素子をつなぐワイヤーが設けられている。この吸音材６の存在に よりバルク波等の不要な弾性波を互いに伝播することを防止し、より効果の高い シールドを行うことができる。なお、この吸音材にシリコンゴム等の柔軟性のあ る材料を用いる場合、前記ワイヤー５をこの吸音材内に埋設してもよい。これに より金属性の蓋等の他の導電性材料との短絡事故を防止することができる。

【０００９】

【考案の効果】

弾性表面波フィルタ素子間、特に弾性表面波を励起する交差指電極間を含む部 分に電磁シールド電極を形成しているので、弾性表面波フィルタ素子間を直接伝 播する電磁波（一般に直達波と称される）あるいはバルク波等の他の弾性波の伝 播がほとんど起こらない。よって、所望の電気的特性が確実に得られる弾性表面 波フィルタを提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例を示す平面図。

【図２】図１のＸ−Ｘ断面図。

【図３】他の実施例を示す平面図。

【図４】従来例を示す平面図。

【符号の説明】

１ パッケージ ２ 圧電基板 ３１，３２，弾性表面波フィルタ素子 ４，４１ 電磁シールド電極 ５ ワイヤー ６ 吸音材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 圧電基板の表面に、少なくとも弾性表面
   波を励起する交差指電極を有する弾性表面波フィルタ素
   子を２つ以上並列に配置してなる弾性表面波フィルタに
   おいて、前記弾性表面波フィルタ素子の少なくとも交差
   指電極間を含む部分に電磁シールド電極を形成しこの電
   磁シールド電極を接地するとともに、前記弾性表面波フ
   ィルタ素子間にこの電磁シールド電極をまたぐワイヤー
   を架設したことを特徴とする弾性表面波フィルタ。