JPH0643443B2 - 網状セルロ−ス生成物及び微生物によるその製造方法 - Google Patents

網状セルロ−ス生成物及び微生物によるその製造方法

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JPH0643443B2
JPH0643443B2 JP61246505A JP24650586A JPH0643443B2 JP H0643443 B2 JPH0643443 B2 JP H0643443B2 JP 61246505 A JP61246505 A JP 61246505A JP 24650586 A JP24650586 A JP 24650586A JP H0643443 B2 JPH0643443 B2 JP H0643443B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の分野〕 この発明は、人工的培養物中にセルロースを生産するこ
とができるアセトバクター(Acetobacter)の菌株に関
する。さらに詳しくは、この発明のアセトバクターの株
は、培養中のセルロース生産の喪失をまねく不安定性を
示すことなく攪拌培養において多量のセルロースを生産
する能力を有することを特徴とする。この発明のアセト
バクターの株はさらに、グルコン酸を生産する実質的に
低下した能力によりさらに特徴付けられる。人工培地中
でこのようなグルコン酸ネガティブ(glcA-)株を用いる
セルロース生産は、これらの株が培地を実質的に酸性化
しないために促進される。このようなグルコン酸ネガテ
ィブのアセトバクター株は高細胞濃度培養において有用
である。
この発明はさらに、新規な性質を有する細菌性セルロー
ス生成物に関する。特に、この発明は網状セルロース(r
eticulated cellulose)生成物に関する。この網状の細
菌性セルロース生成物は、静置培養条件低下でセルロー
ス生産静微生物により生産される細菌性セルロース生成
物の微視的構造と異る微視的構造により特徴付けられ
る。
この発明はさらに、攪拌培養条件下で、一般には4時間
を超える持続される時間にわたってセルロース生産性微
生物を培養することにより網状セルロース生成物を製造
する方法に関する。攪拌培養条件下での細菌性セルロー
スの持続する効率的生産は予想外のことであった。
〔発明の背景〕
アセトバクターによるセルロースの生産は少なくとも19
30年代以来熱のこもった研究対象であった。1947年に、
グルコース及び酸素の存在下でアセトバクターの非増殖
細胞がセルロースを合成することが示された。Hestrin,
S.、Aschner,M.及びMager,J.、Nature 159:64(1947)。Hes
trin等の観察以来、アセトバクターは種々の条件下でセ
ルロースの生産を伴って培養されてきた。例えば、約90
〜100サイクル/分の往復振とうにより培養された場
合、細胞は大きなゲル塊中に混入される。培地が渦動を
伴って攪拌される条件下で増殖した場合、セルロースと
細胞から成る星状のゲル体が形成される。静置培養とし
て増殖した場合、空気/培地界面に薄膜(pellicle)が形
成される。この薄膜は、培養物を収容する容器の液面と
同じ表面形状及び面積を一般に有するパッドとして形成
される。Hestrin及びSchramm,Biochem.Journal 58:345-
352(1954)。Hestrin及びSchrammは、10%未満の生存
細胞を含有するアセトバクターの凍結乾燥調製物による
迅速なセルロース生産を観察した。しかしながらこれら
の実験は、3〜4時間という比較的短時間にわたる前記
のような凍結乾燥調製物による振とう条件下でのセルロ
ース生産のみを測定しており、そしてグルコースの存在
下でアセトバクターにより生産されるグルコン酸により
惹起される実質的なpH変化を制御するためにクエン酸塩
緩衝条件下で行われた。
アセトバクターによるポリサッカライドの合成は、比増
殖培養物を用いて幾つかのグループにより行われた。こ
れらの研究の幾かにおいては、Hestrin及びSchramm(195
4)により記載されているように、アセトバクターNRRLB4
2株が培養され、セルロース薄膜が除去され、0.01M Tri
s-EDTA中に再懸濁され、凍結され、そして次に解凍され
た。これらの処理された細胞は、細胞の増殖を維持しな
いがしかし調製された細胞によるセルロースの合成を可
能にする酵素活性を保存する条件下での生化学的研究の
ために使用された。
しかしながら、セルロース生産のためにアセトバクター
を培養するための条件の決定の進歩は、広範な報告の対
象ではなかった。そして、1982年12月16日に出願された
米国特許出願No.450,324の優先権を主張する英国特許出
願NO.2,131,701A中に記載されている、アセトバクター
の培養のために使用される条件は、Hestrin及びSchramm
(1951)において記載された条件すなわち、約6の始発p
H、15゜C〜30゜C、そして好ましくは20゜C〜28゜Cの範囲の
温度である。
Bergesy Manual of Systematic Bacteriology Kreig及
びHolt編,第1版,William & Wilkins,バルチモア及び
ロンドン(1984)中Deley等、“Acetobactercea”,267-2
72頁、によれば、増殖のための最も良好な炭素源は、記
載の順序に、エタノール、グリセリン及び乳酸である。
n−プロパノール、n−ブタノール及びD−グルコース
からは酸が生成される。英国特許出願No.2,131,701Aに
記載されている炭素源は、スラクトース、マンニトー
ル、ソルビトール及びグルコース(これらのすべては急
速なセルロース生産をもたらす)、並びにグリセリン、
ガラクトース、ラクトース、マルトース及びシュークロ
ース(これらのすべては一層緩慢な増殖をもたらす)を
包含する。ソルボース、マンノース、セロビオース、エ
リスリトール、エタノール及び酢酸を用いる場合、増殖
は観察されなかった。
英国特許出願No.2,131,701Aにおいては、培地を除去す
るために処理した後に創傷手当用品として使用するため
の密着ゲル状材料を製造することが所望される。このマ
ット状形態を得るため、数時間〜数日間又は数週間にわ
たる細胞増殖、及びセルロース生産の間、培養物は不動
状態に保持される。
不動又は静置培養条件下での密着マット又は薄膜の形成
は英国特許出願No.1,131,701A中に記載されている培養
様式であるが、この特許はさらに、セルロース合成アセ
トバクターを含有する培地の間欠的攪拌は微生物により
生産されるセルロースフィブリルの長さを調節すること
ができることを説明している。間欠的攪拌は、微生物に
よるフィブリルの線状延長速度及び細胞表面からフィブ
リルを攪拌剪断する時間間隔により決定される有限の長
さのフィブリルをもたらす。しかしながら、セルロース
生産に対する連続的攪拌の効果については検討されてい
ない。
連続攪拌培養におけるアセトバクターからのセルロース
の生産は多くの問題点を伴い、従来その最も困難なもの
は培養の不安定性であった。この不安定性はセルロース
生産能力が喪失すること及び非生産型細胞によりセルロ
ース生産細胞が次第に駆逐されることにより現われる。
菌株の不安定性は、セルロース非生産性微生物の変異株
又は変種の自然的出現の結果であろう。非生産株のこの
出現は、攪拌培養物中での増殖中に培養物の集団バラン
スをセルロース生産型からセルロース非生産型に移行せ
しめるのに十分な頻度をもって起こるようである。振と
う培養におけるセルロース生産性の喪失もまた、遺伝的
変化に基くセルロース非生産性型への変異ではなく常に
生理的因子の結果であろう。Leisinger等、Ueber cellu
losefrie Mutanten Von Acetobacter xylinum,Arch.Mik
robiol,54:21-36(1966)。原因は不明であるが、攪拌培
地中での細菌性セルロースの継続的生産は今まで報告さ
れてない。
アセトバクターのセルロース・ネガディブ(Cel-)株
は、メタンスルホン酸エチル(EMS)、亜硝酸及び
N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NG)を用い
る化学的変異誘発により作られた。静置培養において増
殖した場合、EMS−変異株及び亜硝酸−変異株のすべ
て、並びにNG−変異株の90%がセルロース生産タイ
プに復帰した。Valla等、Callulose-Negative Mutants
of Acetobacter xyllinum,J.Gen,Microbiol.,128(7):14
01-1408(1982)。静置培養におけるセルロース生産性株
と非生産性株との混合培養物の増殖は、セルロース生産
性株に非常に有利であり、他方、振とうフラスコ中での
このような混合培養物の増殖は非生産性株に有利であ
る。Valla等(1982)。この結果によれば、この微生物に
より生産されたセルロースマット又は薄膜は、アセトバ
クター細胞が酵素の供給の豊富な液体静置培地の表面に
達することを可能にするという仮説が支持される。酸素
の溶解速度及び低い酸素溶解度が増殖を制限する振とう
条件下では、セルロース生産性細胞の選択的集合及びそ
れによりもたらされる酸素に関する物質移動の制限のた
め、セルロース・ネガティブ株が有利である。従って、
攪拌された培地中での安定なセルロース生産菌であるア
セトバクターの株を同定しそして単離することは、培地
への十分な酸素供給のために攪拌を必要とする程十分に
濃厚な培養物中でアセトバクターからセルロースを大規
模生産するために非常に重要であることは容易に明らか
であろう。
アセトバクターは特徴的にグラム陰性の、0.6〜0.8μm
×1.0〜4μmの棒(桿)状細菌である。この菌は厳格
に好気性であり、代謝は呼吸的であり、決して発酵的で
はない。これはさらに、セルロースと化学的に同一であ
る多数のポリβ−1,4−グルカン鎖を生成する能力に
より区別される。多数セルロース鎖又はミクロフィブリ
ルは、細胞膜に対して外側の部位の細菌表面において合
成される。これらのミクロフィブリルは約1.6nm×5.8
nmの断面寸法を有する。静置又は放置培養条件におい
て、ミクロフィブリルは細菌表面で一緒になって約3.2
nm×133nmの断面寸法を有するフィブリルを形成す
る。
これらの微生物によって生産されたセルロースフィブリ
ルは、木材パルプから製造されたセルロースと多くの点
で類似しているが、幾つかの点で異なる。特に、差異は
これらのフィブリルの断片幅である。アセトバクターに
より生産されたセルロースフィブリルは、パルプカバ又
は松材から典型的に製造されるセルロースファイバーよ
り、通常2オーダー狭い。これらのアセトバクター生産
フィブリルの小さい断面サイズは、それに伴う常用の木
材セルロースより大きい表面積及びセルロースの本来的
な親水性と相まって、水性溶液を吸収する異常に大きな
能力を有するセルロース生成物を導く。
高い吸収性のこの能力は、熱傷の治療において使用され
る包帯の製造において、又は長時間の外科処置の間に暴
露された器官の表面の乾燥を防止するための外科用包帯
として有用であることが証明されている。このような用
途、及びアセトバクターにより生産されたそのままの薄
膜の処理により作られる種々の医薬含浸パッドが英国特
許出願No.2,131,701Aに記載されている。この英国特許
出願の薄膜は、不動状態に維持される培地トレイ中で、
増殖するアセトバクターにより生産される。アセトバク
ターは偏性好気性菌であるため、すなわちこのものは酸
素の非存在下では増殖することができないため、アセト
バクターによるセルロースの生産は空気−液体培地表面
において起こる。各細菌は空気−液体界面において1本
のフィブリルを連続的に生産する。新しいセルロースが
表面で形成されるに従って既在のセルロースは増殖培地
中に押し出される。その結果、静置培養条件下で生産さ
れたセルロース薄膜はセルロースファイバーの層から成
る。このようにして生産されたセルロースの体積は、空
気と培地との界面によりかなり制限される。攪拌条件
下、上昇した溶存酸素濃度において培養された場合、既
知のアセトバクター株がセルロース非生産株に変る傾向
は、経済的に製造し得るセルロースの量を厳しく制限す
る。従って、長期にわたる攪拌発酵における単位容器容
量当りの高いセルロース生産性は今まで報告されていな
い。
攪拌又は静置による回分培養におけるアセトバクターに
よるセルロースの製造に伴う他の問題は、グルコースを
グルコン酸及びケトグルコン酸に転換するアセトバクタ
ーの能力である。生物によるこのような酸生産に伴うpH
の低下もまた、特に回分培養において、生産されるセル
ロースの量を制限する。さらに、グルコン酸の生産は、
セルロース生産の犠牲において培地からグルコースを除
去する。
〔発明の概要〕
本発明者は新規な性質を有する細菌性セルロース生成物
を創製した。特に、本発明者は網状セルロース生成物を
開発した。この網状細菌性セルロース生成物は、静置培
養条件下でセルロース生産性微生物により生産された細
菌性セルロースの微視的構造とは異る微視的構造を有す
ることを特徴とする。
既知の静置培養条件下で生産された細菌性セルロース
は、重なりそしてからみ合った別々のセルロースストラ
ンド又はフィブリルから成る組織化されていない(disor
ganized)層構造により特徴付けられる。この組織化され
ていない層構造は、微生物アセトバクターにより代表さ
れるセルロース生産性微生物の増殖パターンを反映す
る。静置培養において、アセトバクターは典型的には液
体培地の表面と酸素を含有する空気との界面で増殖す
る。細菌が増殖するに従って、セルロースファイバーは
連続的に形成され、そして蓄積し、培地中に深く沈む。
こうして形成されたセルロース薄膜は、空気−培地界面
でアセトバクターの細胞の増殖する集団を支持する連続
層状セルロースファイバーの塊から成る。
この発明の攪拌培養条件に従って生産されるセルロース
の巨視的及び微視的構造は、既知の静置培養条件に従っ
て生産されたそれとは異る。巨視的には、この発明のセ
ルロースは、空気−培地界面における連続薄膜としてで
はなくペレットとして培養物中に形成される。微視的に
は、この発明のセルロース生成物は三次元網状構造によ
って特徴付けられる。この構造は、相互に連結して三次
元的に延びる格子状パターンを形成するセルロースの頻
繁に太くなるストランドにより特徴付けられる。静置培
養において生産される細菌性セルロースは、平行である
がしかし組織化されていない平面中、主としてストラン
ドの長軸にそって方向付けられたセルロースのオーバー
ラップする近接するストランドにより特徴付けられる。
これに対して、この発明のセルロース生成物の網状構造
は、オーバーラップしているのではなく相互に連結され
ているセルロースのストランドにより特徴付けられる。
これらの相互連結されたストランドはおよそ直角な方向
付け及びおよそ平行な方向付けの両方を有する。その結
果、この発明の網状セルロース生成物は走査電子顕微鏡
写真においてさらに一般的に窓のある形状を有し、他
方、静置培養において生産されたセルロースは走査電子
顕微鏡写真において、相互の上に十字状に重ねられてい
るがしかしある1つの層中では実質的に平行しているス
トランドの形状を有する。この発明のセルロース生成物
のストランドは、攪拌を伴わない対応する培地中で生産
されたそれよりも一般に太い。網状セルロースは、約0.
1〜約0.2ミクロンの幅で配置された相互連結されたフィ
ラメントから成っていた。非攪拌条件下で生産されたセ
ルロースのフィラメント又はストランドは約0.05〜約0.
2ミクロンの幅で配置されており、多くのストランドが
0.05〜約0.10ミクロンの幅で配置されていた。
さらに、非網状セルロース生成物のフィブリルは、網状
生成物のフィブリルに比べて、一層低頻で分岐しそして
相互連結されているようである。非網状セルロース生成
物は相互に接触する多くのフィブリルを有するようであ
るが、フィブリルは相互連結されているのではなくむし
ろ相互に重層されている。これに対して、この発明の網
状セルロースのフィブリルは相互に連結して相互連結フ
ァイバーの実質的に連続なネットワークを形成するファ
イバーの大きな比率を有する。
この発明の網状セルロース生成物は、非攪拌条件下で生
産されたセルロースに対して幾つかの利点を有する。網
状セルロース生成物はアセトバクターのごときセルロー
ス生産性微生物の攪拌培養において特徴的に生産される
ため、これは常用の大容量発酵法により製造され得る。
従って、従来技術の増殖の緩慢な不動培地でのセルロー
ス薄膜の製造と異り、この発明の網状セルロース生成物
は、アセトバクターの急速増殖培養物中で、高い容積生
産性及び網状セルロース生成物の高濃度を伴って製造さ
れ得る。
この発明の網状セルロース生成物を非攪拌条件下で生産
された細菌性セルロース生成物から区別することができ
る1つの方法は、紙様シートへの一体化に対するその特
徴である。網状セルロース生成物のバッチは、常用手
段、例えば、ブリティッシュ・ディスペンサーによる水
中への分散、及びこれに続くシート型での形成及び種々
の倍数での圧縮によるハンドシート(hand sheet)に成形
される場合圧縮(densification)に対して広範囲の耐性
を与える。網状セルロース生成物の幾つかのバッチは、
上記のような手段によりハンドシートに成形される場
合、圧縮(densification)に対する実質的な耐性を提供
することが見出された。異る湿圧縮負荷を用いることに
より、約300〜約900kg/m3の範囲の密度を有する一連の
シートが製造され、圧縮(densification)に対して実質
的な耐性を示すものは約300〜約500kg/cm3であった。
低い密度にもかかわらず、これらの紙様シートは、イン
ストロン・ユニバーサル試験装置を用いるTechnical As
sociation of the Pulp and Paper Industry(TAPPI)法
に従って測定した場合、非常に高い引張り強さ(tensile
strength)を有する。典型的には、300〜500kg/m3の密
度範囲のシートの引張り指数(tensile index)は100〜15
0ニュートン−メーター/gの間である。約500kg/m3
下の密度を有するクラフトパルプから形成された対応す
るシートは引張り強さを実質的に有しない。
静置培養条件下で製造されたセルロースから形成された
ハンドシートは圧縮(densification)に対する上記の耐
性を示さない。典型的には、非攪拌培養のセルロースか
らのこのようなシートは、用いられた湿圧縮負荷に依存
して約500〜約750kg/m3の密度を有する。
この発明はさらに、攪拌培養条件下で長時間にわたりセ
ルロース生産性微生物を培養することにより網状セルロ
ース生成物を製造する方法に関する。攪拌培養条件下で
の細菌性セルロースの生産は、アセトバクターのセルロ
ース非生産性株を選択する攪拌培養条件のよく知られて
いる傾向に照らして驚くべきことである。Valla等(198
2)。さらに、これらの条件下で生産されるセルロースの
網状構造は全く予想外のことである。
この明細書において使用する場合、アセトバクター(Ace
tobacter)なる語は、微生物の属、そして特にセルロー
スを生産する属の構成員に関する。この記載に該当する
多くの微生物が知られているが、それらの菌学的分類は
議論すべき対象であった。例えば、アメリカン・タイプ
・カルチュアー・コレクションのカタログの第15版に
No.10245、No.10821、及びNo.23769として挙げられてい
るセルロース生産性微生物は、アセトバクター・アセチ
・サブスペシス・キシリヌム(Acetobacter aciti subs
p.xylinum)、及びアセトバクター・パストリアヌス(Ace
tobacter pasteurianus)の両者として分類されている。
従って、後でさらに説明するような攪拌培養条件下での
安定性の特徴を有するアセトバクターのすべてのセルロ
ース生産性株は、それがアセトバクター・アセチ・サブ
スペシス・キシリヌムとして、アセトバクター・パスト
リアヌスとして、又は他の名称で分類されていても、こ
の発明の範囲に属すると考えられる。
本発明者は、発酵槽工程条件を含む攪拌培養条件及び非
攪拌培養条件の両者において長時間培養において安定な
アセトバクターの多くの株を発見しそして開発した。菌
株の安定性は攪拌条件下において証明される。すなわ
ち、攪拌条件下液体培地中で増殖したアセトバクターの
サブカルチュアーを固体培地上に置いた場合のコロニー
形態により決定する場合、この発明の菌株は42〜45世代
の発酵過頻度の終りにおいて0.5%未満のオーダーの非
常に低い頻度でセルロース非生産性型に変化するようで
ある。
この発明のアセトバクターの株を変異処理し、そして多
数の誘導体株を選択した。選択された株の1つ及びその
子孫は、グルコース含有培地で増殖した場合の非常に低
下したグルコン酸生成能力により特徴付けられる。低下
したグルコン酸生成能力を有するこのような株は安定で
ある。発酵槽ブロスからのサンプルのサブカルチュアー
がグルコース含有培地上で炭酸カルシウムを透明にする
コロニーを形成する能力を有しないことにより決定した
場合、42〜45世代の発酵過程の終点において、0.5%未
満のグルコン酸生産型が検出される。これらの株は、セ
ルロース非生産型への変化及びグルコン酸生産型への変
化に関して安定である。
セルロース生産性微生物の増殖及び網状セルロース生成
物のための炭素源として、汚染微生物を含有しない種々
の原料を使用することができる。適当な炭素源には、純
粋な形態もしくは部分精製された形態での、又はモノサ
ッカライド−もしくはジサッカライド−含有原料として
の、モノサッカライド類及びジサッカライド類、例えば
トウモロコシ澱粉及び糖蜜由来のグルコースが含まれ
る。
この発明の株によるセルロースの製造は、静置条件下で
可能であるのよりも高い溶存酸素濃度を可能にする条件
下で行われよう。攪拌されながらセルロース生産を維持
する菌株の能力は、使用される培地中の溶存酸素を増加
せしめるための種々の手段を許容する。すなわち、生産
されたセルロースのインペラーへの付着は不利であろう
が、培地中に浸漬されたインペラーによる培地の直接攪
拌が好結果をもって使用された。溶存酸素を増加せしめ
るために培養物を攪拌する手段は、微生物発酵分野にお
ける当業者によく知られている。培養液中の酸素は0.01
〜0.4気圧酸素の間で異ることができる。
ブロスを攪拌するためにインペラーを使用する発酵槽
(14l)において、ブロスの特性(粘度)及び生ずるセ
ルロースの特性(粒子のサイズ及び形態、沈降速度、並
びにハンドシーンの形成)の両者が高いインペラー速度
(行われた試行において約600rpm以上)により悪影響を
受けることが見出された。これらの結果がすべての発酵
槽容積及び構成及び/又は攪拌の方法に妥当するか否か
は不明である。しかしながら、行われた試験においては
よい高いインペラー速度/より長い攪拌時間が、より長
い粒子沈降時間、より高い懸濁液粘度、ハンドシート試
験におけるより少ないセルロース保持、及びより小さい
粒子をもたらした。従って、セルロースの意図される最
終用途に依存して、微生物をこのような攪拌条件下で培
養することを回避するのが好ましい。従って、十分に低
い攪拌速度及び短い攪拌時間で発酵を行うことによりセ
ルロース生成物の性質の実質的な低下を回避するのが好
ましい。
この発明のセルロース生産性微生物を培養するための効
果的なpH範囲は4〜6であり、そして好ましくは4.5〜
5.5である。pHは、クエン酸塩のごとき緩衝剤を培地に
加えることにより、あるいは所望の範囲にpHを維持する
のに十分な量の塩基又は酸を培地に加えることにより、
調節することができる。
〔発明の具体的な記載〕
以下のこの発明の具体的な記載において、多くの培地を
記載する。これらの培地は特にことわらない限り下記の
組成を有する。
R20−2培地は次の組成を有する。
R20−2 バクトペプトン 5g/l 酵母エキス 5g/l Na2HPO4 2.7g/l クエン酸 1.15g/l 炭素源 特に示される通り(特に示されない場
合は2%グルコース) 最終pH 5.0±0.2 R20は上記と同じであるが、最終pHが6.0である。
R20−3は上記と同じであるがクエン酸が省略されてい
る。
Y−1培地は、最少培地とも称し、次の組成を有する。化合物 最終濃度(mM) (NH4)2SO4 25 KH2PO4 7.3 MgSO4 1.0 FeSO4 0.013 CaCl2 0.10 Na2MoO4 0.0011 ZnSO4 0.006 MnSO4 0.006 CuSO4 0.0002 pH=5.0 グルコース 特にことわらない限り2w/v% Y−1培地を用いるすべての研究のため、上記最少培地
に下記のビタミン混合物を100倍希釈で加えた。
ビタミン混合物 化合物 mg/L イノシトール 200 ナイアシン 40 ピリドキシンHCl 40 チアミンHCl 40 パントテン酸カルシウム 20 リボフラビン 20 p−アミノ安息香酸 20 葉酸 0.2 ビオチン 0.2 コーンスティープリカー培地は次の組成を有する。
コーンスティープリカーの組成は供給者及び処理の態様
により異る。コーンプロダクツユニット(Corn Products
Unit),CPC北米,ストックトン,カリホルニアから
得られる典型的なコーンスティープリカーサンプルLot
E804は下記の組成を有する。
Y3−3培地は次の組成を有する。
この発明の1つの観点は、アセトバクター(Acetobacte
r)の幾つかのセルロース生産性株に関する。この発明
のアセトバクターの株の安定性は、セルロースを生産し
ない表現型への非常に低い転換頻度により示される。攪
拌条件下で増殖したアセトバクターのサブカルチュアー
を42〜45世代の発酵サイクルの終点で固体培地上にプレ
ートした場合のコロニー形態により決定する場合、セル
ロースを生産しない表現型への転換頻度は5×10-3
満である。セルロース生産株のコロニーは一般にベージ
ュ色又は白色であり、そして小形であり、もり上ってお
り又は凸形であり、そしてサイズがコンパクトである。
これに対して、セルロース非生産株は固体培地上に大形
の、通常平らなコロニーを形成する。
この発明の安定なアセトバクターの株はナサン・レジョ
ナル・リサーチ・ラボラトリー(Northern Regional Res
earch Laboratory)、ペオリア、イリノイ、米国、から
入手したA.キシリヌム(A.xylinum)No.NRRL B42の最初
の単離株から誘導された。R−20−2培地の寒天プレー
ト上でのNRRL株の増殖は2種類のコロニー形態を示し、
一方が白色であり、他方がベージュ色であった。顕微鏡
的には、ベージュ色のコロニーはアセトバクターの株に
典型的な長い棒(桿)形の細胞を有する。
この株を1306−3と命名する。親NRRL B42株と異り、13
06−3株は、Couso、R.O.等、Biosynthesisof Polysrcch
arides in Aceto bacter xylinum;Sequential Synthesi
s of a Heptasaccharide Diphosphete Prenol;Eur.J.Bi
ochem.123:617-627(1982)により報告されたような水溶
性ポリサッカライドを生産しない。1306−3株の培養物
は、種々の炭素源を含有する異る培地上で培養した場
合、微視的形態及び巨視的コロニー形態のいずれにおい
ても安定である。さらに、この発明の株のコロニー及び
細胞形態は、種々の培地で静置培養又は振とう液体培養
された場合に安定なままである。
1306−3株及びその子孫は、種々の炭素源及び窒素源を
含有する種々の液体培地中でセルロースを生産すること
ができる。カゼイン加水分解物、酵母エキス、マルトエ
キス、アンモニウム塩、コーンスティープリカー及び他
の窒素リッチ物質を、アミノ酸、窒素、ミネラル及びビ
タミン類の一般源として使用することができる。コーン
スティープリカーは0.1v/v%〜10v/v%の範囲
において好ましい。振とうフラスコ培養においては5v
/v%のコーンスティープリカーが好ましい。発酵槽に
おいては、初期濃度2v/v%のコーンスティープリカ
ーに、発酵の過程で追加の2v/v%のコーンスティー
プリカーが補充される。種々の炭素源を使用することが
でき、これにはマンニトール、ソルビトール、シューク
ロース、フラクトース、及びグルコースが包含される。
但し、後者の炭素源を用いて、D−グルコン酸及びケト
グルコン酸、例えば2−ケト−D−グルコン酸又は5−
ケト−グルコン酸が1306−3株により生産される。
有意に少い量のD−グルコン酸を生産するこの発明のア
セトバクターの株も本発明者等により開発された。これ
を後にさらに記載する。
網状セルロース生成物の生産において有用な炭素源は、
モノサッカライドもしくはその混合物、例えばグルコー
ス及びフラクトース、ジサッカライド、例えばシューク
ロース、及びモノサッカライドとジサッカライドとの混
合物により特徴付けられる。さらに、炭素源は糖の複合
混合物(complexmixture)、例えば糖蜜、又は植物性バイ
オマスの加水分解物、木材加水分解物、麦わら加水分解
物、トウモロコシ茎の加水分解物、サトウモロコシ等と
して供給することができる。
モノサッカライド及びジサッカライド又はこれらの混合
物の濃度は種々であり得る。グルコースのみ及びスラク
トースのみが0.5w/v%〜7w/v%の範囲、そして
好ましくは約4w/v%の濃度で使用される。さらに、
グルコースとシュークロースの混合物を、その比率を
1:10〜10:1とし、培地に対する合計濃度を0.5w/
v%〜7w/v%として使用することができる。フラス
コ培養においては1w/v%グルコース及び2w/v%
シュークロースの濃度が好ましい。炭素源が発酵中に間
欠的に又は連続的に供給されるフィード回分発酵におい
ては、添加される合計炭素基質は4w/v%〜30w/
v%の範囲で変化し得る。炭素源は精製された又は部分
精製されたフィードストックとして供給することがで
き、あるいはこれに代えて、糖蜜のごとき複合混合物と
して供給することができる。これらの炭素源は、それら
が汚染生物を含有しないように調製される。
グルコース含有培地でのグルコースのD−グルコン酸へ
の転換は、回分培養において培地のpHの有意な低下を導
く。約4.0より低いpHを細胞の増殖を制限するので、pH
の調節が好ましい。この発明のグルコン酸生産株の液体
培地のpH調節は、クエン酸塩のごとき緩衝剤の使用によ
って行うことができる。しかしながら、酸を中和するた
めに添加し得る緩衝剤の量は制限され、そしてグルコン
酸生産株の高密度への増殖は使用し得る緩衝剤の量によ
り制限される。さらに、緩衝剤としてのクエン酸塩又は
他の塩の使用は培地を高価なものとする。アセトバクタ
ーはフラクトースを酸に代謝しないので、炭素源として
フラクトースを使用することによってpH調節を行うこと
もできる。しかしながら、フラストースは高価な基質で
あり、そしてセルロース繊維の製造コストを上昇せしめ
る。
本発明者は、1306−3株を変異源で処理することによっ
て、1306-11株及び1306-21株により例示される安定な変
異株を開発した。これらの株は有意に低下した量のグリ
コン酸を生産するが、親株1306−3に典型的な安定な態
様でセルロースを生産する。変異誘発処理は、約1%の
生存率を得るのに十分な濃度のメタンスルホン酸エチル
(EMS)を使用して行った。1306-11株の場合には、
変異処理された生存細菌の内8,100コロニーをスクリー
ニングした。2個の単離株が低下した量のグルコン酸を
生産した。
1306-11株は、R-20-CaCO3培地のプレート上での培養、
及び親株1306−3に類似する形態を有するがしかし培地
中の炭酸カルシウムを透明にしないコロニーについてス
クリーニングすることにより選択した。
1306-21株は、例5において後記するようにして選択し
た。
細菌培養物は、液体培地中に乱流を生じさせるために知
られている任意の手段により、攪拌培養条件下で増殖せ
しめることができる。このような手段は当業者によく知
られている。小規模の、一般に10l未満の培養容量の
場合、培地に渦流動を付与する往復又は振とう培養機に
より液体培地を攪拌することができる。
大規模の、一般に10l以上の培養容量の場合には、培
地を種々の手段により、例えばインペラー、浮揚上昇発
酵槽例えばエアーリフト発酵槽、発酵ブロスのポンプ駆
動循環、又はこれらの組み合わせにより攪拌することが
できる。この発明のセルロース生成物の大規模製造のた
めに種々の反応器設計が適当である。例えば、Biochemi
cal Engineering and Biotechnology Handbook,Atkinso
n及びMavituna編、第1版、ザ・ネイチュアープレス、
ニューヨーク(1983)の第7章を参照のこと。
培地が攪拌される限り、長時間にわたり0.1g/l/時
以上であるセルロースの平均容積生産性においてセルロ
ース生産性微生物を増殖せしめるために種々の発酵方法
が適切である。適当な発酵法には回分発酵法、フィード
回分発酵法、反復回分発酵法、及び連続発酵法が適当で
ある。回分発酵においては、セルロース生産性微生物が
発酵槽に導入され、そして培地をさらに添加することな
く発酵が進行する。発酵の終点において、発酵槽の内容
物が集められ、そしてセルロースが採取される。フィー
ド回分発酵においては、発酵の終りまで処理のための発
酵液を取り出すことなく、発酵中に種々の栄養、例えば
窒素源又は炭素源が培地に添加される。
栄養は連続的に、又は所定の間隔で、あるいは培地中の
栄養レベルが所望の値より低くなった場合に添加され
る。反復回分発酵においては、一定容量の培養液が処理
のために取り出され、そして培養器中の残りの培養液に
一定容量の新鮮な培地が添加され、そして発酵が回復さ
れる。反復回分発酵においては、フィード回分発酵にお
ける場合と同様に、栄養を連続的に、又は所定の間隔
で、あるいは培地中の栄養レベルが所望の値よりも低下
した時に添加することができる。連続発酵においては、
一定速度で培養液が発酵槽から取り出され、そして新鮮
な培地で置き換えられる。連続発酵においては、容器へ
の培地流及び容器からの培養液を調整することによって
セルロース生産微生物の増殖速度をおよそ一定の速度に
維持することができる。
回分発酵、フィード回分発酵、反復回分発酵、及び連続
発酵はいずれも、培地に対して接種物が1v/v%以上
である限り、0.1g/l/時以上の平均容積生産性を達
成するために適当である。0.1g/l/時のセルロース
の平均容積生産性を得るために培地に対して1〜10v
/v%の接種物が効果的である。連続培養においては、
培地と同様にセルロース生産細胞及びセルロースが取り
出され、そして新鮮な培地が、0.1g/l/時の平均容
積生産性を維持するのに十分な速度で添加される。
セルロース濃度及び容積生産性を決定するため、前期の
発酵法のいずれかにより生産されたセルロースが発酵液
から採取される。一般に、セルロースを分離するための
任意の方法を使用することができるが、遠心分離が好ま
しい。セルロース生産微生物、スペント培地及びセルロ
ースを含有する発酵液の各バッチを遠心する。上清液の
容積を測定し、そしてこの上清を棄てる。微生物及びセ
ルロースを含む固形物を含んで成るペレットが残る。こ
のペレットを脱イオン水で2〜3回洗浄して残留培地を
除去する。第1図は、この段階でのペレットのマクロ構
造を示す。残留物をアルカリ溶液、例えば0.1M NaOH
又はKOHにより60〜65゜Cにて少なくとも2時間処理す
る。溶液を混合してセルロースの大きな塊を分散せしめ
ることができる。アルカリ処理の間、混合物をゆっくり
攪拌し、そして60〜65゜Cに維持する。アルカリ処理され
た材料を洗浄し、そして次にペレットを洗浄し、そして
脱イオン水中で3〜4回遠心する。第1B図はこの段階
でのマクロ構造を示す。次にセルロースを真空オーブン
中で乾燥し、そして秤量する。回分培養について接種か
ら収得までの発酵時間当り、使用された培地の容積当
り、生産されたセルロースの合計質量(g/l/時)と
して容積生産性が定義される。
次に、例によりこの発明をさらに具体的に説明する。但
し、これによりこの発明の範囲を限定するものではな
い。
例1. この例は、非振とう条件下で、主基質としてのフラクト
ースに増殖するA.キシリヌム1306−3によるセルロー
ス生産を示す。Moshe Benziman博士、ヘブレウ大学、イ
エルサレム、イスラエンから入手した1499−1株を比較
のために同じ条件下で増殖せしめた。
50mlのエルレンマイヤーフラスコ中2%のフラストー
スを含有するY3−3培地25mlを収容する種母フラス
コを用意し、そして寒天スラントから接種した。この培
養物を30゜Cにて 日間静置培養として増殖せしめた。
フラスコを手で激しく振って細胞を遊離せしめ、そして
この培養物(セルロースペレットを含まない)0.5ml
を、2w/v%のフラクトースを含有する同じY3−3
培地の数個のフラスコ(50mlフラスコ中25ml)に接
種した。
670nmにて0.03ODの細胞懸濁液を使用しそして各フラ
スコに0.5mlを導入することにより、すべての株の同じ
接種を行った。フラスコを振とうしないで30゜Cにてイ
ンキュベートした。
フラスコをインキュベーションからはずし、そして全内
容物をサンプリングのために収得した。各菌株につき各
時点で2連のサンプリングを行った。サンプリングは増
殖が明らかになった時から開始し、そして通常毎日2個
のサンプルを採取した。
セルロースの生産を測定するため、各サンプルのフラス
コ内容物を100mlビーカーに移した。次に懸濁液を、大T
ekmerプローブを用いて全力の50%にて1分間ほぐし
た。懸濁液を5,000rpmにて10分間遠心分離した。上清
を棄て、そしてペレットを15mlの0.1N Nacl液中に
懸濁し、そして渦動せしめた。懸濁液を時々渦動しなが
ら15分間平衡化し、そして前記の洗浄段階を反復し
た。
第2洗浄からのペレットを15mlの0.5N KOHに再懸濁
し、そして60゜Cにて穏和な攪拌を行いながら、120分
間インキュベートした。懸濁液を遠心し、そしてKOH
上清を棄てた。ペレットを15mlの脱イオン水に再懸濁
し、そして時おり渦動しながら室温にて15分間平衡化
した。サンプルを遠心分離し、そして前記の洗浄方法を
合計4回反応した。
最後の遠心分離段階の後、湿セルロースマットを秤量
し、そして真空中55゜Cにて一夜乾燥した。
2%のフラストースを含有するY3−3培地上での1306
−3株及び1499−1株によるセルロース生産。
初期pH=6.0、N.D.=測定せず。
例2.攪拌培養におけるセルロース生産安定性研究 1306−3株及び1499−1株におけるセルロース合成の安
定性を、液体攪拌培養への菌株の一連の移行の間に、各
移行において均一な種接物を使用して試験した。セルロ
ース合成の安定性を評価するために、フラスコでのセル
ロース生産の観察及びプレート上でのサンプルからの大
形コロニー(L−コロニー)の出現を用いた。1499−1
におけるセルロース生産は、生産されるセルロースの量
の減少及びセルロース非生産株を代表する大拡散コロニ
ー数の増加により示されるように、好気攪拌フラスコ中
では、不安定であった。1306−3株におけるセルロース
生産は振とうされたフラスコ中で少なくとも30世代に
わたり安定なようであった。
種母培養物を、親培養物の寒天スラントから、50mlの
エルレンマイヤーフラスコ中2%のフラクトースを含有
するR−20培地25ml中に接種した。種母培養物を3
0゜Cにて4日間静置培養として増殖せしめた。フラスコ
を手で激しく振って細胞を遊離せしめ、そしてこの培養
物(セルロースペレットを含まない)0.5mlを、2%の
フラクトースを含有するR20培地の幾つかのフラスコ
(50mlフラスコ中25ml)に接種した。これらのフラ
スコを振とうしないで30゜Cにてインキチュベートし
た。
静置フラスコでの数回の移行の後、36時間ペレットを
激しく振り、そして上清を接種物(1v/v%)として
使用し、2%ラフクトースを含有するR20培地(pH
5)を収容するフラスコに接種した。フラスコ(125ml
のフラスコ中25ml)を、ニュー・ブルンスウイック・
キラトリー振とう機中30゜Cにて200rpmでインキュベー
トした。24〜48時間後、培養物を無菌的に一緒にし、新
鮮な培地への第2移行のため、及びプレート上でのスト
リーキングのための接種物として使用した。各菌株を、
30世代とおよそ等しい4回の移行の間試験した。プレ
ート実験に使用した培地は2%のフラクトース及び1.5
%の寒天を含有するR20培地(pH5.0)であった。
振とうフラスコで増殖する間、1499−1株の培養物は見
かけ上、細胞の均一な懸濁液及び異るサイズの不規則な
塊から成っていた。塊と細胞懸濁液との比率は、第1移
行から第3移行にかけて減少した。この観察は、第1移
行から第3移行にかけての生産されるセルロースの量の
有意な減少、及びセルロース非生産株を代表するL−コ
ロニー比率の増加と相関した。
増殖の関数としての1499−1株のL−コロニーの頻度を
第2表に示す。
非常に対照的に、1306−3株の培養物は、振とうフラス
コ中での増殖の間、見かけ上異るサイズの不規則な塊と
それらの塊の間の透明な培地から成っていた。セルロー
ス−ネガティブ細胞は培養液中に単一細胞として現わ
れ、そして塊の間の培地中に濁を生じさせる。4回の移
行の後、培養物の外観及びセルロース生産量の変化は観
察されなかった。この間、プレート上のコロニーは均一
に現われ、大型の非生産性コロニーは観察されなかっ
た。
例3.1306−3株の変異誘発 1306−3株を1%又は2%の化学変異剤メタンスルホン
酸エチル(EMS)により変異誘発処理し、そして生存
細胞をグルコン酸合成能力を喪失(glcA-)についてス
クリーニングした。2個のglcA-単離株が得られた。変
異誘発は次のようにして行った。
R20−2培地上の1306−3株の2日間培養物を変異処理
のために使用した。約99%の死滅をもたらすように条
件を選択した。選択された条件は0.1Mリン酸カルシウ
ム緩衝液(pH6.0)0.2%EMS、及び28゜Cにて60分
間のインキュベーションであった。細胞濃度は約5×1
細胞/mlであった。この処理の後、培養物を−80
゜Cに凍結し、さらに使用した。
例4.スクリーニング EMS変異処理からの材料を用いて1306−3グルコン酸
ネガティブ変異株のスクリーニングを行った。
スクリーニングは1%のCaCO3を含有するR20−2プレ
ート上で行った。これらのプレートは、無菌R20−2中
20%の無菌CaCO3を最終濃度が1%となるように加
え、よく混合し、そしてプレート当り10mlずつ分配す
ることにより調製した。プレート培地の最終pHは6.0で
あった。
プレートを30゜Cにてインキュベートし、そして7〜1
0日後にスコアーした。透明化ゾーンを有しないコロニ
ーを確認スクリーニングのために拾った。コロニーを、
2mlのR20−2培地を収容する無菌試験管に懸濁し、そ
して3日間インキュベートして薄膜の形成及び培養液の
pHの低下をチェックした。スクリーニングした8100個の
コロニーの内、2%EMS処理サンプルからの2個の単
離株がグルコン酸ネガティブであることが見出された。
これらの内良好な方を1306-11株と命名した。
1306-11株及び1306−3株によるグルコン酸生産を液体
R20−グルコース培地及びY1−グルコース培地で決定
した。2%のグルコースを含有するY1の初期pHは4.21
であった。
R20−2プレートからの1白金耳の1306-11株又は1306
−3株培養物を2mlの炭素源不含有Y1培地に懸濁し
た。これらの懸濁液の細胞数は約1.6×108細胞/mlであ
った。3mlの適切な培地を収容する試験管(16×125m
m)に200μlの細胞懸濁液を接種し、そしてよく渦動混
合した。試験管を振とうしないで30゜Cにて3日管イン
キュベートした。
第3表は、変異株1306-11及び親株1306−3についての
3日目のpH及びグルコン酸レベルを示す。値は2本の試
験管のそれぞれについて示す。
例5.1306-21株の調製及び同定 1306−2株を例3におけるようにして変異誘発処理し
た。次に微生物をCSLプレート(2%グルコース、3
%コーンスティープリカー)にプレートして単一コロニ
ーを確立した。コロニーを拾い、そして0.25mlのSCL
培地(4%グルコース、1%コーンスティープリカー)
を収容するミクロタイタートレイウエルに入れた。これ
らのトレイを、pH試験紙(2.9〜5.2の範囲)により測定
した場合の培地pHの明瞭な低下が観察されまで4〜5日
間インキュベートした。そのpHが約5(pH試験紙が緑色
〜緑味色)であるコロニーを第2スクリーニングに通し
た。
第2スクリーニングにおいては、前記のミクロタイター
トレイウエル中で使用した高グルコース培地2mlを収容
する試験管に、選択されたコロニーを接種した。試験管
を30゜Cにてインキュベートした。コロニーを薄膜形成
及びpHについて試験した。1306-21株と命名されたグル
コン酸ネガティブ株を、こうして選択した。
比較のため、1306-11株及び1306-21株のサンプルを、種
々の量のグルコース及びコーンスティープリカーを含有
するCSL培地を収容する種母フラスコ中で、例1に記
載した一般的方法を用いて増殖せしめた。5日間のイン
キュベーションの後、セルロース生産及び培地pHを決定
した。これらの結果を第4表に示す。
以上のごとく、これらの試験において、1306-21株は130
6-11株に比較して、低い酸生産(高いpH)及び高いセル
ロース生産を示した。
例6.網状セルロース生成物の製造 1306-14株はアセトバクター1306-11株の自然変異株であ
る。1306-11株のコロニーが特徴的に一様な凸状であり
そして濃ベージュ色を有するのに対して、この自然変異
株はR20−2プレート上で大形の白色粘質コロニーとし
て同定された。
凍結ストックからの1306-14株のサンプルを100mlのR20
−2培地中に接種し、そして静置条件下で30゜Cにて約
3日間増殖せしめた。培養物の完全な内容物を無菌ブレ
ンダーに移した。小ブレンドヘッドを用いて、培養物を
短い4秒バーストによりブレンドした。破砕された培養
物の5v/v%接種物を2000mlのバッフル付フラスコ中
400mlのR20−2培地に移し、そして125rpmにて振とう
しながら30゜Cにて約2.5日間培養した。フラスコの内
容物をブレンドし、そしてこれを用いて発酵槽に接種し
た。
バッフル付フラスコからの破砕された培養物の5v/v
%接種物を、2%のグルコースを含有するR20−2培地
9lに移した。醗酵槽(ブラウン)にはインペラーを装
着し、そして内部加熱コイル及びバッフルを取り外し
た。発酵条件は最初600rpmであり、そして44時間後に
1000rpmに上げて、粘性を増した培地の混合を増加し
た。温度を30゜C(±1゜C)に調節した。pHは5.0±0.1
に調節し、そして培地中の酸素濃度を約30%の空気飽
和に維持した。48時間目に発酵槽の内容物を集めた。
セルロースを自然沈降せしめ、そして過剰の液を注ぎ出
した。残ったセルロースをブレンドし、洗浄し、そして
前記のようにして洗浄した。セルロースを脱イオン水で
洗浄し、そして0.5N NaOH中60゜Cにて一夜、3回抽
出した。最終抽出の後、洗浄水のpHが6.0以下に低下す
るまでセルロースを脱イオン水で洗浄した。この調製物
を、例8に記載する走査電子顕微鏡実験のために使用し
た。
例7. 1306−8株は、NRRLB42のサンプルから直接選択された
アセトバクターの単離株である。1306−8株のコロニー
は、R20−2プレート上での白色の高くもり上がったコ
ロニーにより特徴付けられる。1306−8株はグルコン酸
を生産した。凍結ストックからの1306−8株のサンプル
(2.5ml)を100mlのR20−2培地に接種し、そして500m
lの広口エルレンマイヤーフラスコ中で静置条件下30゜
Cにて培養した。種母培地をこれらの条件下で約2〜4
日間、見ることができる薄膜が形成されるまでインキュ
ベートした。次に、種母培養の全内容物をブレンドし、
そして次の培養物に接種するために使用した。
ジメチルホルムアミド(DMF)中ベンレート(Benlat
e)殺カビ剤(デュポン)の10g/100ml懸濁液0.025mlを
含むR20−2培地1lを収容する広口フェルンバッハフ
ラスコを用いて発酵を行った。DMF及びベンレートの
この濃度はアセトバクター1306−8株の増殖に有意な影
響をあたえることなくカビの汚染を防止するために効果
的であった。
約8〜10mlを用いて1lのR20−2培地に接種した。
培養物をフェルンバッハフラスコ中で10〜14日間30゜C
にて、攪拌しないで(すなわち静置して)増殖せしめ
た。収得の時点で、0.3〜1.2cmの厚さの薄膜が形成され
ていた。
薄膜をフェルバッハフラスコから取り出し、次にブレン
ドし、脱イオン水で洗浄して培地及び細胞の一部分を除
去した。フィルターとして286μmの網目開口を有する
フィルタースクリーン(スペクトラメッシュ#146382)
を用いて大型ブフナー漏斗を通して洗浄を行った。
ブレンドされそして洗浄された薄膜の抽出を0.50M Na
OHを用いて約60゜Cにて約14時間行った。所望の時間
混合及びインキュベーションを行った後、抽出混合物を
上記の条件下で濾過した。脱イオン水による洗浄は、洗
浄水のpHが0.6以下に低下するまで続けた。この調製物
を用いて走査電子顕微鏡実験に使用した。
例8. 前記例6及び例7から得られたセルロース生成物を走査
電子顕微鏡観察のために用意した。検体を凍結乾燥し、
そして次に6:40金:パラジウム導電フィルムにより
真空下で表面被覆(sputter)した。16KVの加速電圧
で運転されるナトメーター走査型電子顕微鏡を用いて光
学写真を撮った。
第2図及び第4図は、得られたセルロース生成物の代表
面な電子顕微鏡写真である。第2図及び第4図は、例7
に従って静置培養において製造されたセルロース製造物
を示す。これらの図が示すところによれば、生成物は、
相互にオーバーラップしそして交差するように見えるが
相互連結されているようには見えない延長されたセルロ
ースフィブリルの積み重ねから主として成る。静置培養
条件下で生産されたセルロースのフィラメントは約0.05
〜0.2ミクロンの幅にわたり、多くのストランドは0.05
〜0.1ミクロンの範囲にある。
これに対して、第3図及び第5図は、例6において攪拌
培養で製造されたセルロース生成物が、静置培養におい
て成長したセルロースに比べて、断面が一般に太い…0.
1〜0.2ミクロンの範囲…フィブリルの網状体から成るこ
とを示している。さらに、このセルロースフィブリル
は、フィブリルがオーバラップするのではなくむしろ主
として相互連結されたネットワークを形成しているよう
である。
例9. この例は、この発明の網状セルロース生成物の幾つかの
特徴を示す。
ハンドシートを、アセトバクターにより生産されたセル
ロースのサンプルから、TAPPI公認試験法T205om-81に記
載されている方法に従って約60g/m2の基本重量に調
製した。セルロースは、2%のグルコースを含有するR
20−培地を用いてフラスコ培養において静置増殖条件下
で1306−3株から製造された。網状セルロース生成物
は、同じ培地を使用して、600rpmでのインペラーによる
攪拌のもとで発酵槽にて、1306-11株を用いて製造され
た。セルロースを含有する培養液を冷貯蔵した後、セル
ロースを処理した。セルロースを150,000回転のブリテ
ィッシュ・ディスインテグレーター中で分散せしめた
(2lの水中1.2g)。次に、この懸濁液を、200メッシ
ュのワイヤースクリーンを含む自動シート型に注入し、
そして2時間以上排水した。湿ったハンドシート(直径
15cm)をシート型から取り出し、そして最後に吸取紙
の間で過剰の水をおだやかに除去した。次に、シートを
吸取紙に挟んでTAPPIプレスに入れ、種々の時間にわた
り50psi(345kPa)の荷重のもとにおき、種々の密度の
シートを製造した。シートを、ノーブル・アンド・ウー
ドの実験室用ドラムドライヤーを通すことによりシート
の最終乾燥を行った。
シートの引張強さを、インストロン・ユニバーサル試験
装置を用いてTAPPI法T494om-81に従って測定した。
この例の網状セルロース生成物は、これがハンドシート
に形成された場合、圧縮(densification)に対する実質
的な耐性を付与することが見出された。異る湿圧縮荷重
を用いることにより、約300〜約500kg/m3の密度を有す
る一連のシートを調製した。低い密度にもかかわらず、
これらの紙様シートは非常に高い引張り強さを有してい
た。典型的には、上記の密度を有するそれらのシートの
引張指数100〜150ニュートン−メーター/gの範囲であ
る。約500kg/m3より低い密度を有する、クラフトパルプ
から形成された匹敵するシートは引張強さを実質的に有
していない。
静置培養条件下で製造されたセルロースから形成された
ハンドシートは圧縮(densification)に対する上記の耐
性を示さない。典型的には、非攪拌培養のセルロースか
らのシートは、使用された湿圧縮荷重に依存して約500
〜約750kg/m3の密度を有する。
例10. この例は、アセトバクターの2つの株を用いて、攪拌培
養条件のもとで製造された網状セルロース生成物と静置
条件のもとで製造された非網状セルロース生成物の圧縮
(densification)に対する耐性を比較する。網状セルロ
ースは、例6に記載したような攪拌増殖条件下で1306-1
4株を用いて得られた。非網状セルロースは、例7に記
載したのと実質的に同じ静置条件下で、2%のグルコー
スを含有するR20−2培地を用いて静置フラスコ培養に
おいて1306−3株を用いて得られた。ハンドシートを網
状セルロース及び静置培養で製造したセルロースから、
例9に記載したようにして約60g/m2の基本重量に調
製した。但し、シートを製造するために種々の圧縮荷重
を使用した。網状セルロース及び非網状セルロースから
この例において製造されたシートの密度及びその他の特
徴を次の第5表に示す。
例11. 6菌株を試験した。1306−3株及び1306-11株は前記の
通りである。アセトバクター・アセチ・サブスペシス・
キシリヌム(Acetobacter acetisub sp. xylinum)ATCC
No.23769の2つのサブカルチュアーをこの明細書におい
て23769A及び23769Bと称する。さらに、ATCC 31174株、
及びナショナルコレクション・オブ・インドストリアル
・バクテリア8132株(Aberdeen、英国)、並びに1499−
1株も試験した。
前種母培養、種母培養及び製造段階のための培地は4w
/v%のフラクトース及び5w/v%のCSLを含有す
るCSL培地であった。
前種母は、750mlのファルコン#3028組織培養フラスコ
中100mlの上記培地中で、0.01%のダウコーニング消泡
剤を用い、静置条件下で、30゜Cにて24〜48時間増殖せ
しめた。前種母培養物の全内容物を前記のようにしてブ
レンドし、そして種母培養の5v/v%の接種物を調製
するために使用した。前種母をR20−2プレート上にス
トリークして汚染をチェックした。すべての菌株は均一
なコロニー形態を有していたが、1499株は約50%の大
形コロニーを有していた。
種母培養は、バッフルを有する125mlのフラスコ中上記
の培地25ml中で、往復振とう機中125rpmの振とう条件
下で30゜Cにて3日間増殖せしめた。ブレンドされた種
母のそれぞれからのサンプルをR20−2プレート上にス
トリークして汚染についてチェックした。約50%の大
形コロニーを有する1499−1株を除くすべての菌株が均
一なコロニー形態を有していた。種母培養物の残りのす
べての内容物を前記のようにしてブレンドし、そして製
造段階のための5%接種物を調製するために使用した。
各株につき2連の発酵培養物をバッフルを有する125ml
のフラスコ中125rpmの往復振とう機上で30゜Cにて培養
した。各菌株の2連のフラスコを1日、2日、3日、及
び4日目に収得した。但しATCC 23769Bについては、増
殖が不十分であったため7日目に収得した。1499−1株
及びATCC 31174株の両者はこれらの条件下で水溶性ポリ
サッカライド(WSP)を生産した。1306−3株又は13
06-11株によってはWSPは生産されなかった。
各菌株についてセルロース生産を測定した。その結果を
第6表に示す。セルロース生産の値はg/lで示す。
例12.発酵槽におけるセルロース製造 1306-11株の前種母及び種母培養物は、例10に記載した
ようにして21間増殖せしめた。但し、4w/v%のグ
ルコース及び5w/v%のCSLを含有する培地を使用
した。
種母培養物は同じ培地中で2日間増殖せしめた。但し、
培養容積はバッフル付2lフラスコ中400mlであった。
14lのケマップ(Chemap)発酵槽中で2回の発酵槽試行
を5v/v%の接種物及び12lの初発容量で行った。
72時間の発酵槽試行の間、培養物を30゜C(±1゜C)
に維持した。
発酵槽#1においては、最初のグルコース濃度は32g
/lであった。発酵槽#2においては、グルコース及び
シュークロース濃度はそれぞれ10g/l及び20g/
lであった。発酵中に発酵槽#1に、さらに143g/l
のグルコースを間欠的に添加した。
発酵槽#2には、50g/lのグルコース及び72g/
lのシュークロースを発酵中に間欠的に発酵槽に加え
た。
最初の2v/v%のSCL濃度に、最初容量に対して2
容量%に相当する量のCSLを32時間目及び59時間
目に追加した。
溶存酸素濃度は30%空気飽和に維持した。発酵槽#2
中では、溶存酸素濃度は69時間目から約2時間にわた
り0に低下した。攪拌を最初600rpmに維持した。セルロ
ース濃度の上昇と共に粘度が上昇したので、インペラー
速度を1200rpmに増加した。発酵槽1について、セルロ
ース、グルコン酸及び2−ケト−グルコン酸の濃度を第
7表に示す。発酵槽2について、セルロースの濃度を第
8表に示す。グルコースのみの発酵槽#1において達成
される最大セルロース濃度は12.7g/lであった。グル
コース/シュークロース発酵槽#2において達成される
最大セルロース濃度は18.3g/lであった。両最高値は
発酵開始後71.6時間目に達成された。この時点での容積
生産性は、発酵槽#1及び#2においてそれぞれ0.18及
び0.26g/l/時であった。
例13. 1306-11株の代りに1306-21株を用いて例12の発酵を反
復した。但し次の変更を行った。
1.前種母及び種母は、2%のグルコース及び2%のC
SLを含有するCSL培地中で調製した。
2.攪拌速度は900rpmを超えなかった。
3.最初のグルコース濃度は20g/lであり、そして
発酵中に109g/lをさらに添加した。
4.最初のCSL濃度は2v/v%であり、発酵中27.8
時間後に2v/v%をさらに添加した。
この試行において観察されたセルロース、グルコン酸、
2−ケト−グルコン酸及び5−ケト−グルコン酸の濃度
を第9表に示す。
第9表の結果を第7表のそれと比較して、1306-21はセ
ルロース生産については1306-11株と同等又はそれより
良好であるが、酸の生産は非常に少ないようである。低
い酸生産性は、理論的には、1306-21株がより少ない塩
基の添加により匹敵する濃度に培養することを可能にす
る。
例14.セルロースの性質に対する攪拌の効果 下記の4種の性質に対する攪拌の効果を評価するために
一組の試験を行った。
1.ハンドシートの形成(例9のTAPPI試験):発酵か
らの精製され、処理されそして再懸濁されたセルロース
ファイバーの、150メッシュスクリーン上に一体シート
を形成する能力。結果は、再懸濁されたファイバーに対
するスクリーン上に保持されたファイバーの%、及び形
成されたシートの結着性(integrity)の定性的評価に従
って判定される。
2.沈降速度:発酵槽からの希釈されたサンプルが傾斜
したシリンダー中で沈降する速度。セルロースの沈降す
る懸濁液の沈降物/上清液界面の高さの下降を時間に対
してプロットする。所与の時点でのプロットの傾斜から
瞬間沈降速度を決定することができる。この性質はセル
ロース粒子のサイズ及び密度に依存する。
3.懸濁粘度:グリセリン溶液により換算された、トー
マス−ストーマー(Thomas-Stormer)粘度計により測定さ
れる懸濁されたセルロース醗酵槽ブロスの粘度。この性
質はセルロース粒子の形態に依存する。
4.粒子のサイズ及び形態:この性質は、発酵槽からの
セルロースの光学顕微鏡写真から決定される。
第1のセットの試験は1306-11株を用いる4回の発酵槽
試行から成り、この間に、異る最高攪拌速度で運転され
る14lのケマップ発酵槽から時間の関数としてサンプ
ルを採取した。これらの4回の発酵槽試行は増殖する培
養物を用いる典型的な発酵であるが、長時間の攪拌の効
果を評価するため通常の発酵時間を超えて延長した。こ
れらの試行からのサンプルをハンドシート形成能力につ
いて分析した。
第2のセットの試験は、250lの発酵槽試行から得られ
た古い非増殖セルロース培養物を、4個の14lケマッ
プ発酵槽中で攪拌することから成った。攪拌速度は各発
酵槽において一定であったが、発酵槽ごとに異った。各
発酵槽から経時的にサンプルを採取した。このセットの
実験におけるセルロース濃度はすべての発酵槽について
均一であったが、第1のセットの実験における最終濃度
の約半分であった。この第2のセットの実験において
は、第1のセットの実験の平均通気速度(空気及び酸
素)とおよそ同じ速度で窒素を吹き込んだ。第2のセッ
トの実験からのサンプルをハンドシート形成、沈降速
度、粘度、並びに粒子のサイズ及び形態について分析し
た。
第1のセットの実験及び第2のセットの実験からのハン
ドシートの結果をそれぞれ第10表及び第11表に要約
する。
第10表は、増加した攪拌速度及び延長された攪拌時間
がハンドシート形成に不都合な影響を与えることを示し
ている。
一槽稀薄なそして増殖しないセルロース培養物が使用さ
れた第11表の結果は、ハンドシート形成が第10表に
示されるほど攪拌及び時間に対して感受性でないことを
示した。第11表における一層良好な結果は、発酵槽中
の低いセルロース濃度又は高い目標シート重量に基くで
あろう。
しかしながら、他の試験結果は、セルロースの性質が攪
拌速度、及び第2のセットの実験の間の時間により影響
を受けることを示している。例えば、粘度の分析は、80
0rpm及び1000rpmにおける攪拌時間と共に発酵槽中での
セルロース懸濁液の粘度が上昇することを示す。粘度の
上昇は、密度の高いペレットから密度の低いパックされ
たファイバー様形状へのセルロースの形態の変化を反映
しているであろう。このような変化は、粒子のサイズ及
び形態を評価するために使用された光学顕微鏡写真にお
いて観察された。
沈降速度の研究は、高速で又は長時間にわたって攪拌さ
れたセルロースがよりゆっくりと沈降することを示し
た。これらの結果は、攪拌速度及び時間の増加と共にセ
ルロース粒子が低密度にパックされた小さいファイバー
になることを示す光学顕微鏡写真と一致した。沈降速
度、粘度、粒子のサイズ及び形状、並びにハンドシート
形成の分析からの一般的結果は、すべて相互に一致し、
そしてある程度相関した。
攪拌の速度及び時間によるセルロースの性質の変化の機
構は現時点では完全には理解されていない。攪拌速度の
増加がセルロース粒子に対する剪断応力を増加せしめる
ことが知られている。しかしながら、他の力、例えば乱
流渦応力(trubulenteddy stress)及びキャビテーション
力、もまたセルロースの性質の変化に寄与するであろ
う。さらに、上記の力及び応力並びに他の因子も、セル
ロースの回収及び精製の間に働くであろう。従って、セ
ルロース処理のすべての段階においてセルロースに対す
る損傷を最小にするように注意を払わなければならな
い。
例15.セルロース生成物のC-13NMR分析 攪拌条件下で生産された細菌性セルロース生成物の微細
構造(第12表に示す)を試験しそして非−攪拌条件下又
は静置培養条件下で生産された細菌性セルロースのそれ
と比較した。NMRスペクトル分析はVanderhartら、Ma
cromolecules17:1465-1472(1984)により記載されている
方法と実質的に同じ方法により行った。すなわち、NM
Rスペクトル分析をS-100NMRスペクトル計(General Ele
ctric Fremont,(CA)を用いて2.34Tにて行った。これは
陽子について100.2MHz、そしてC-13について25.3MHzの
周波数に対応する。クロス−ポラリゼーション時間は典
型的には1.0〜2.0msであった。
対応するラジオ周波数振幅は48kHzの回転−フレームの
正確な周波数においてHartmann-Hahnマッチについてセ
ットされ、そしてサンプルスピン周波数によりミスマッ
チでなかった。化学シフト参照に、ヘマチルベンゼンの
メチル炭素共鳴が17.80ppmにおいて現われるように毎日
運転周波数をセットすることにより達成された。ロータ
ー材料は窒化硼素又は相安定化ジルコニアであった。
試薬されたサンプルについてのNMRの結果を第12表
及び第13表に示す。これらは4種類の非攪拌アセトバ
クター培養物から、及び11種類のアセトバクター培養
物からのセルロース生成物から成る。第12表及び第1
3表中のサンプル番号に対応する使用株及び培養条件を
第14表に示す。
第12表及び第13表、静置培養又は攪拌培養された菌
株からのサンプルのNMR分析により得られた形態分布
を示す。これらの結果が示すところによれば発酵槽サン
プル(攪拌)から製造されたセルロースと静置培養から
のそれとの比較において重要な差異が存在する。攪拌さ
れたサンプルの低い結晶化度(セルロースI)はIα及
びIβスペクトルピーク並びに非晶質セルロースによる
ピークの量の実質的な変化により支持れる。特に注目す
べきことは、すべての発酵槽サンプルにセルロースIIが
一貫して存在し、静置培養サンプルには存在しないこと
である。さらに、長い発酵時間及び高い剪断ストレスに
かけられた2個の攪拌サンプル(アセトバクター1306-1
1株に対応するサンプルA-070及びA-071)において、セ
ルロースの有意な部分がセルロースIIであり、セルロー
スIIの含量と培養中の攪拌の量との間の関連性が示唆さ
れた。さらに、攪拌培養と静置培養との比較において、
Iα含量の一貫した差が存在した。さらに、攪拌培養か
らのセルロースにおいて90ppmに高レベルの残留シグ
ナルが存在した。第12表及び第13表に示すように、
この方法は非晶質セルロース含量の2つの測定値の間の
非常によい一致を与えた。
NMR分析を用いてここで観察される相違な個々のセル
ロース分子が一緒にパックされている状態及び異る分子
鎖間のコンホーメーションの相違を反映しているであろ
う。
〔結論及び寄託〕 細菌性セルロースが攪拌条件下で高い効率で長時間にわ
たって生産される。従来、細菌性セルロースの長期生産
は、困難と非常に低い生産性を伴っていた。ここに開示
される発明は、細菌性セルロースの発酵生産における大
きな利点を提供する。
1306−3株、1306-11株、及び1306-21株のサンプルは、
特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペ
スト条約、及びそれに基く規則の規定のもとにアメリカ
ン・タイプ・カルチュア・コレクション・12301パーク
ラウン・ドライブ、ロックビル、メリーランド、米国20
832に寄託された。寄託日及び番号は次の通りである。
これらの寄託は、ATCCとこの出願の出願人であるシタス
・コーポレーションとの間の契約により行われた。ATCC
との契約は該菌株及びその子孫の永久的な入手可能性
を、該寄託を記載しそして特定している出願に関する米
国特許が発行された後又は米国もしくは外国出願の公告
もしくは公衆への公開の後、このいずれが早く到来する
にしても公衆に与え、そして、これらの菌株又はその子
孫の入手可能性を、35USC§122及びこれに基く長官規則
(886 OG 638への特別の言及を伴う37 CFR§1.14を含
む)に従って、米国特許・商標局長官により権利を有す
ると決定された者に与える。この出願の出願人は、寄託
中の菌株が、適切な条件下で培養された場合に失われ、
死滅し又は破壊された場合には、通知の後速やかに同じ
株の生存培養物により置き換えることを承諾した。
ブタペスト条件に基く寄託は、寄託されたその培養物が
生存及び非汚染条件下で、寄託された微生物のサンプル
の分譲の最も新しい要求がATCCにより受理された後少な
くとも5年間、そしていかなる場合にも寄託の日から少
なくとも30年間、維持されるであろう。
寄託された微生物の入手可能性は、いずれかの政府の権
威の下にその特許法により認められた権利を侵害してこ
の発明を実施することの許諾であると解してはならな
い。
さらに、この発明の範囲は寄託された菌株の範囲に限定
されない。なぜなら、寄託された具体例は単に、この発
明の特定の観点の例示であると意図されるからである。
寄託された株と機能的に同等なすべての微生物株がこの
発明の範囲に属する。さらに、この明細書に示されそし
て記載された態様の他、これらの記載から当業者にとっ
て明らかな変法はこの発明の範囲に属する。
この明細書に記載された情報に基いて、この発明の範囲
を逸脱することなく、種々の変法を行うことができよ
う。
【図面の簡単な説明】
第1A図及び第1B図は、この発明の網状セルロース生
成物の巨視的構造を示す写真であり、繊維の構造を示す
図面に代る写真である。第1A図は塩基抽出の前の生成
物を示し、そして第1B図は塩基抽出及び精製の後のそ
れを示す。分割線は約1mm間隔である。 第2図は、非攪拌条件下で生産された非網状セルロース
生成物の5000倍の走査電子顕微鏡写真であって繊維の構
造を示す図面に代る写真である。 第3図は、この発明の網状セルロースの5000倍の走査電
子顕微鏡写真であって繊維の構造を示す図面に代る写真
である。 第4図は、非攪拌条件下で生産された非網状セルロース
生成物の10,150倍の走査電子顕微鏡写真であり繊維の構
造を示す図面に代る写真である。 第5図は、網状セルロースの10,330倍の走査電子顕微鏡
写真であって繊維の構造を示す図面に代る写真である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:02) 微生物の受託番号 ATCC 53524 (72)発明者 ロバート ブルナー アメリカ合衆国,カリフォルニア 94530, エル セルリト,ピー.オー.ボックス 392 (72)発明者 ドナルド カーチス ジョンソン アメリカ合衆国,ワシントン 98002,オ ーバーン,サウス イースト,ワンハンド レッドサーティフォース アベニュ 33936 (72)発明者 シャロン ペイン シューメイカー アメリカ合衆国,カリフォルニア 94533, フェアフィールド,バーバンク ドライブ 3173 (72)発明者 アマル ナス ナオギ アメリカ合衆国,ワシントン 98125,シ アトル,ノースイースト,セブンティーン スアベニュ 12531 (72)発明者 エホシュア アロニ イスラエル国,クファル−サバ,ストリー トナンバー 8(番地なし)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分岐する相互連結されたセルロースストラ
    ンドの実質的に連続的な網状構造を形成するセルロース
    ストランドを特徴とする微生物的に生産された網状セル
    ロース。
  2. 【請求項2】シート形成手段によりシートに形成された
    場合、アセトバクター(Acetobacter)の静置増殖培養物
    中に生産されるセルロースに比べて圧縮(densificatio
    n)に対する耐性を有することを特徴とする、特許請求の
    範囲第1項に記載の微生物的に生産されたセルロース。
  3. 【請求項3】分岐する相互連結されたセルロースストラ
    ンドの実質的に連続的な網状構造を形成するセルロース
    ストランドを特徴とする微生物的に生産された網状セル
    ロースの製造方法であって、前記網状セルロースを生産
    する能力を有するアセトバクター(Acetobacter)属に
    属する微生物を、該微生物の増殖及びセルロースの生産
    に適する培地中で、攪拌条件下で、70時間以上にわたっ
    て維持される0.1g/l/時以上の平均容積生産性にて
    培養し、そして得られたセルロース生成物を採取するこ
    とを含んで成るセルロース生成物の製造方法。
  4. 【請求項4】分岐する相互連結されたセルロースストラ
    ンドの実質的に連続的な網状構造を形成するセルロース
    ストランドを特徴とする微生物的に生産された網状セル
    ロースの製造方法であって、 a)セルロース生産に適する液体培地中攪拌培養条件下
    で70時間を超える期間にわたって0.1g/l/時以上の
    平均容積生産性をもってセルロース生成物を生産する能
    力を有すること、及び固体培地でのセルロース非生産性
    コロニーの出現により決定する場合に攪拌培養条件下で
    セルロース非生産形に変化する頻度が42〜45世代にわた
    って0.5%未満であることを特徴とする、前記網状セル
    ロースを生産する能力を有するアセトバクター(Acetob
    acter)属に属する微生物を培養し、;そして、 b)得られた網状セルロース生成物を採取する; ことを特徴とする方法。
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