JPH0641641B2 - テーピング機能を有するロングガードル等下半身用被服 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は人体のウエストラインから踝上方までの下半身
の体表面に密着して着用され、それ自体必要部位、特に
膝部分を譲るようにテーピング機能を保持させてサポー
トし得るロングガードル等下半身用被服に関する。

従来の技術 従来より各種のスポーツやトレーニング或いはフィット
ネス等の諸運動を行う際、外傷の予防や怪我再発防止等
の目的のために適するウェアを着用する他、傷害の予防
と治療に有効な手段として、人体の関節、筋肉或いはじ
ん帯等に伸縮性または非伸縮性の帯状テープ片を捲締し
若しくは緊締状態に貼着する所謂テーピング処置が普及
しているところである。即ち傷害を未然に防止したり、
受傷直後の現場で応急処置を行う際の応急処置の手段と
して使用され、治癒後は傷害部位を補強、強化の手段と
して供されている。元来テーピングとは綿とポリエステ
ル等を原材料とし、裏面にゴムまたはアクリル樹脂系の
接着剤を塗布した医療、スポーツ用の接着テープを使用
して、関節や筋肉補強を図ることであって、傷害の予
防、応急処置、リハビリテーションの促進、再発防止を
目的とし、必要部位に捲締したり貼着したりするものと
して周知されている。

また斯かるテーピング以外にも、人体の必要部位に伸縮
性素材より成る例えば足首用や膝用等の部分的に供する
サポーターを装着する場合も多く見受けられるところで
ある。

然し乍ら前者のテーピングを人体の必要部位に施す場
合、テーピング技術に熟練度が要求され、不適切な部位
へのテーピング、未熟で不充分なテーピング等、その用
いる方法を誤まると、傷害の予防と治療と云う目的を達
成出来ないのみならず、諸運動に不具合が生じ、血行傷
害や神経傷害が起り易く、また筋肉に悪影響を生起され
るものとなり、従ってテーピング技術を専門的に習得し
た者がテーピングを施こす必要があり、素人が簡単に実
施出来ないものであった。

また後者のサポーターを用いる場合、目的とする人体の
各部位に即応した形態を有するサポーターを選択使用
し、その着装は頗る簡単であるが、体表面に対して垂直
方向のサポートは可能であるとしても、体表面に対して
傾斜する方向、スパイラル方向或いは体表面と沿った方
向に対しては、要求される充分なサポート力が得られ
ず、必然的に緊締力不足に伴うサポート力の弱化を奏す
るものであった。即ち単に圧迫を加えるだけで動きを制
限する働きはないものである。

斯かる前記せる従来法による欠陥のみならず、前者或い
は後者の方法を用いた場合、テーピングを施こした部位
或いはサポーターを装着した部位は所謂緊締力が体表面
に掛かっているため、それ以外の自然な体表面との差が
圧力差として出現し、従って不自然な段差、稜線が外観
上から識別出来、頗る見苦しく、殊に女性の場合はその
シルエットを美麗に維持することが出来ぬ欠陥があっ
た。

発明が解決しようとする問題点 然るに本発明によるテーピング機能を有するロングガー
ドル等下半身用被服に於いては前記従来の欠陥とすると
ころを巧みに解消したものであって、テーピング処置に
熟練度を要求されることなく、初心者でも本発明になる
下半身用被服を着用すれば、下半身の必要部位、特に複
雑な膝部分を瞬時にしてテーピング処置と同等のテーピ
ング効果を発揮せしめ得るテーピング機能を有するロン
グガードル等下半身用被服を提供することを目的とす
る。

更にはテーピング処置時或いはサポーター装着時に招来
する体表面との段差を、下半身用被服とテーピングとを
一体的に組込むことで可及的に排除し、アウター着用時
にも段差や稜線が出現せぬ美麗なシルエットを保つテー
ピング機能を有するロングガードル等下半身用被服を提
供することを目的とする。

且つまたテーピングを施こしてサポートを要求する部位
には緊締力を強くし、圧迫に適しない部位には緊締力を
弱くなして、傷害の予防と治療に好適とならしめ、更に
は諸運動時にも運動性を阻害せぬテーピング機能を有す
るロングガードル等下半身被服を提供とすることを目的
とする。

問題点を解決するための手段 上記したる目的を有効に達成するがために本発明による
テーピング機能を有するロングガードル等下半身用被服
に於いては、上端はウエストラインに、下端は踝上方に
臨ませた伸縮素材より成る被服本体Ａであって、テーピ
ングし得る幅員を備えた外側帯状片１の内縁８は、ウエ
スト部３の臀部外側４から大腿部外側５、下方の前大腿
部13を通り、膝蓋部６の上方と下方の内寄りに於いて二
ツ山型ａ、ｂを形成して膝蓋部６を避け、更に裾部外側
７へ至り、また該帯状片１の外縁8aは略内縁８に沿った
緩い弯曲直線状となし、内側帯状片２の内縁10は、クロ
ッチ部９近傍の大腿部内側5aより下方の前大腿部13を通
り、膝蓋部６の上方と下方の外寄りに於いて二ツ山型
ｃ、ｄを形成して膝蓋部６を避け、更に裾部内側11へ至
り、また該帯状片２の外縁10aは大腿部内側5aの縦中心
線を形成し、対向各二ツ山型ａとｂ、ｃとｄが交叉する
と共に、膝蓋部６を除く大腿部と下腿部の前身側を包み
込み、且つ各帯状片１、２はその他の被服本体Ａの構成
部材12より緊締力に富む強い伸縮特性を保持させたテー
ピング機能を有するロングガードル等下半身用被服をそ
の特徴としているものである。

作 用 大腿部および下腿部の前身側の側面に充当配設される外
側帯状片と内側帯状片の夫々二ツ山型が、膝蓋部の上方
および下方で交叉して、膝蓋部を回避した形態を保有
し、それ等は他の部位より強靭な緊締力に製出されてい
る。

従って、大腿部前身側の側面、下腿部前身側の側面並び
に膝蓋部を空窓部的に除いた全周域に、外側帯状片と内
側帯状片とが充当されることとなり、大腿部では大腿直
筋、外側広筋、内側広筋、中間広筋より成る大腿四頭
筋、縫工筋、薄筋等の、また下腿部では前脛骨筋、腓骨
筋群等の、更には複雑な関節である膝部では、膝蓋じん
帯、側副じん帯等のストレスや過大使用等によって筋線
維、筋肉を包んでいる筋膜の一部が過度な伸長等により
切断されるのを、緊締力の強靭な各帯状片で以って、テ
ーピング処置と同等の体表面の締付を行うことで、その
傷害の予防と治療に供する作用が出る。

そして緊締力が強靭なテーピング部位と弱い部位が被服
本体に形設されることで、テーピング技術に不慣れな者
であっても適格に必要部位にテーピングを施こしたと同
等の機能が演出され、またテーピング部位以外の部位は
縦横に良く伸びるツーウェイ伸縮素材を用いて一体的な
下半身用被服としているので、テーピング処置部位がア
ウター外面から認識出来ず、美麗なシルエットで且つス
ムーズに着用し得る。

実施例 次いで本発明によるテーピング機能を有するロングガー
ドル等下半身用被服に関する実施の一例を説明する。

Ａは腹部並びに臀部に充当されるパンティ部と、大腿を
囲繞する大腿部、下腿を囲繞する下腿部とが連続的に連
なっており、丁度上端はウエストラインに、また下端は
踝の上方に夫々臨ませた伸縮素材を以って製出される被
服本体であり、当該被服本体Ａには帯状片１、２が一定
部位に裏打ちされ、該帯状片１、２が被服本体Ａを着用
した時にテーピング機能を営むように、被服本体Ａは体
表面に対する緊締力が強靭な部位と緊締力がソフトに接
する弱い部位の二通りの伸縮特性に区分されて構成され
ている。

１は外側帯状片であって、該外側帯状片１はテーピング
に適した略定幅、例えば４乃至６cmの一定幅を大腿部側
が備え、下腿部側は順次幅細となる帯状外観を有する被
服本体Ａの構成部材12より緊締力のある伸縮特性を持つ
スパンデックス等による素材より成り、その外側帯状片
１を被服本体Ａに裏打ち縫合して一体化するのである
が、この際該外側帯状片１の内縁８は、その一端はウエ
スト部３の脇側部を跨えた臀部外側４から出発して垂下
し、大腿部外側５を通過して次第に下方の前大腿部13へ
至り、膝蓋部６を除いたその上方と下方の内寄りに入り
込んだ部位で、内方へ窪む二ツ山型ａ、ｂが形成される
ように構成し、更に踝上方にある裾部外側７へ至るもの
となし、また外側帯状片１の外縁8aは、略内縁８に沿っ
て緩やかな弯曲直線状で裾部外側７の後方へ至るように
構成されている。

２は内側帯状片であって、該内側帯状片２は全体を二ツ
山が連なるような外観となし、前記外側帯状片１と同様
の伸縮特性を具備したものであって、その内側帯状片２
も被服本体Ａに裏打ち縫合して一体化するのであるが、
その際該内側帯状片２の内縁10は、その一端は被服本体
Ａの所望クロッチ部９より少許下方の大腿部内側5aの中
心より出発して垂下し、下方の前大腿部13へ至り、膝蓋
部６を除いたその上方と下方の外寄りに入り込んだ部位
で内方へ窪む二ツ山型ｃ、ｄが形成されるように構成
し、更に踝上方にある裾部内側11へ至るものとなし、ま
た内側帯状片２の外縁10aは、前記内縁10の末端と接す
るように、それ自体が大腿部内側5aの縦中心線を形成す
るように構成されている。

そうして前述した外側帯状片１と内側帯状片２で以っ
て、大腿部および下腿部は夫々その前身側の側面を部分
的に覆ったように配設されると同時に、両帯状片１、２
の夫々の二ツ山型ａとｃ、二ツ山型ｂとｄとが膝蓋部６
の上方および下方に於いて交叉し、膝蓋部６を回避した
形態となる構成が採択されることとなる。

以って外側帯状片１、内側帯状片２の各帯状片１、２は
裏打ちされることにより、その他の被服本体Ａの構成部
材12より遥かに緊締力に富むテーピング処置を施した時
と同等の強靭化された伸縮特性が採択されるものとな
る。

また外側帯状片１と内側帯状片２は、被服本体Ａを構成
する素材よりハードな素材を選択することで、更なる強
靭なサポート性を発揮するテーピング処置を実施するこ
とが出来る。

尚、前述各帯状片１、２は裏打ち縫合により一体化され
るものであるが、この他に成型編みによって被服本体Ａ
にパワーの強弱を出現される方法、或いはモールド成型
によって立体感とパワーの強弱を出現させる方法或いは
各帯状片１、２を表側に充当縫合する方法、各帯状片
１、２に代えて合成樹脂をコーティングする方法等が実
施し得るものである。また必要によっては外側帯状片１
の外縁８ａを大腿部の後側へ突出山型に延設すると共
に、内側帯状片２の外縁10ａを同様大腿部の後側へ突出
山型に延設することで、菱型等に交叉させて緊締力を付
与しても良い。尚、本件下半身用被服は、膝下の６分丈
でも問題ない。

発明の効果 本発明によれば、上端はウエストラインに、下端は踝上
方に臨ませた伸縮性を有する被服本体Ａの大腿部、膝部
および下腿部に、外側帯状片１と内側帯状片２とを充当
するのであるが、大腿部および下腿部の前身側の側面に
充当される外側帯状片１と内側帯状片２の夫々二ツ山型
ａとｂ、ｃとｄが、膝蓋部６の上方および下方に於いて
交叉して、その膝蓋部６を回避した形態となり、それ等
は他の部位より強靭な緊締力に製出されている。

これがため大腿部前身側の側面、下腿部前身側の側面、
並びに膝蓋部６を空窓部的に除いた全周域に、外側帯状
片１と内側帯状片２とが充当されることにより、大腿部
では大腿直筋、外側広筋、内側広筋、中間広筋より成る
大腿四頭筋、縫工筋、薄筋等の、また下腿部では前脛骨
筋、腓骨筋群等の、更には複雑な関節である膝部では、
膝蓋じん帯、側副じん帯等のストレスや過大使用、疲労
等によって筋線維、筋肉を包んでいる筋膜の一部が過度
な伸長等により切断される肉離れ等を、緊締力の強靭な
各帯状片で以って、テーピング装置と同等の体表面の締
付を行うことで、その筋肉疲労の軽減効果や傷害の予防
と治療に供するものとなる。

殊に複雑な関節と称される膝部分は、その前身側が膝蓋
部６を除いてとり捲かれており、従って膝蓋部周囲にあ
る膝蓋じん帯、側副じん帯その他の重要な筋肉を確実に
テーピングによりサポート化し、傷害発生率の高い膝関
節の捻挫等を予防し、また治療に適するものとなり、ま
た各帯状片１、２は人体の膝蓋部６を回避しているの
で、テーピング処置が施されたに拘らず、運動性が出現
する反面、膝蓋部６の上方と下方の交叉部が大腿直筋、
膝蓋じん帯をよりハードにテーピング出来、その保護性
が優れている。

更には、長さ方向には伸縮が制限されている緊締力に富
む強靭な各帯状片１、２を用いるので筋肉の働きを好適
に制禦する効果があると同時に、各帯状片１、２以外の
体表面を囲繞する部位は、在来と同様の伸縮性に富む素
材でフィッティングされるため、フィット性、保温性に
優れたものとなる。

また初心者でも着用するだけで常に安定した人体の必要
部位に各帯状片１、２が位置してテーピング出来るもの
となる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示し、第１図は全体正面見取
図、第２図は同側面見取図、第３図は大腿部内側の側面
見取図を示すものである。 １……外側帯状片、９……クロッチ部 ２……内側帯状片、10……内縁 ３……ウエスト部、10a ……外縁 ４……臀部外側、11……裾部内側 ５……大腿部外側、12……構成部材 5a……大腿部内側、13……前大腿部 ６……膝蓋部、Ａ……被服本体 ７……裾部外側 ８……内縁 8a……外縁

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】上端はウエストラインに、下端は踝上方に
   臨ませた伸縮素材より成る被服本体Ａであって、テーピ
   ングし得る幅員を備えた外側帯状片１の内縁８は、ウエ
   スト部３の臀部外側４から大腿部外側５、下方の前大腿
   部13を通り、膝蓋部６の上方と下方の内寄りに於いて二
   ツ山型ａ、ｂを形成して膝蓋部６を避け、更に裾部外側
   ７へ至り、また該帯状片１の外縁8aは略内縁８に沿った
   緩い弯曲直線状となし、内側帯状片２の内縁10は、クロ
   ッチ部９近傍の大腿部内側5aより下方の前大腿部13を通
   り、膝蓋部６の上方と下方の外寄りに於いて二ツ山型
   ｃ、ｄを形成して膝蓋部６を避け、更に裾部内側11へ至
   り、また該帯状片２の外縁10ａは大腿部内側5aの縦中心
   線を形成し、対向各二ツ山型ａとｂ、ｃとｄが交叉する
   と共に、膝蓋部６を除く大腿部と下腿部の前身側を包み
   込み、且つ各帯状片１、２はその他の被服本体Ａの構成
   部材12より緊締力に富む強い伸縮特性を保持させたこと
   を特徴とするテーピング機能を有するロングガードル等
   下半身用被服。