JPH0640916Y2 - 汎用エンジンのガバナ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） この考案は、回転を一定速度に制御する汎用エンジンの
ガバナ装置に関する。

（従来の技術） 汎用エンジンでは、発電その他の使用上の要求に応じ
て、回転数を一定に保つガバナ装置が設けられる。

ガバナ装置の一例を示すと第５図のようなものがある。
支持シャフトｂによりガバナハウジングａが回転自在に
軸装され、外周に設けたドリブンギアｃによりクランク
軸に連動して回転を与えられる。ガバナハウジングａ内
には遠心ウエイトｄが軸支され、その内端の係合片ｅが
ガバナスライダｆの尾端に接する。ガバナスライダｆの
先端にはスロットコントロールレバーｇが弾接される。
遠心ウエイトｄに遠心力が働くと、ガバナスライダｆを
押し出してスロットコントロールレバーｇを押す。スロ
ットコントロールレバーｇはこの方向へ動くとスロット
ル開度を下げ、反対方向へ動いた時はスロットル開度が
上がるように設定されている。回転が下がると遠心力が
減少してスロットル開度が増大して回転を上げ、反対に
回転が上がるとスロットル開度を下げる作用が行われる
ように関係付けられている。

こうして、設定された回転数における遠心ウエイトｄの
遠心力とスロットルコントロールレバーｇの付勢力がバ
ランスされ、そこを中心にして上記の作用によって、設
定された一定の回転数が保持される。

一方、大型の汎用エンジンでは、始動時にリコイルスタ
ータなどの操作力が過大になるので、デコンプ装置が用
いられる。デコンプ装置は、例えば第６図に示すよう
に、排気カムｈのプロフィール上で排気バルブを閉じる
ように形成された部分に、揺動により出没するデコンプ
カムｉが置かれる。デコンプカムｉには係合ピンｊが突
設され、カムドリブンギアｋなどに軸装された遠心ウエ
イトｌの先端に係合して備えられる。

こうして、始動時には、デコンプカムｉが排気カムｈ上
に突出して圧縮行程での排気バルブが少し開成され、従
って圧縮圧が弱められ、リコイルスタータなどの操作力
がセーブされる。回転が上がれば遠心ウエイトｌの作用
によりデコンプカムｉが没入して、通常のバルブ制御に
なる。

汎用エンジンには、以上のようなガバナ装置やデコンプ
装置が用いられ、エンジン部分の構造を複雑化してい
る。

（考案が解決しようとする課題） この考案は、汎用エンジンに用いられている従来のガバ
ナ装置とデコンプ装置が共に遠心ウエイトを用い、それ
が個々に装備されて構造を複雑化している点に着目し、
１つの遠心ウエイト装置に２つの制御機能を兼備させる
ことによって構造の簡素化を図った汎用エンジンのガバ
ナ装置を提供することを目的とする。

〔考案の構成〕

（課題を解決するための手段） 上記の目的をもって、この考案の汎用エンジンのガバナ
装置は、動弁用カムシャフトに、遠心ウエイトを軸支す
る遠心ウエイト支持プレートが固定されると共に、スラ
イダが回転一体，摺動自在に軸装され、このスライダ
は、排気カム方向に延びるデコンプカムが一体に突設さ
れ、かつスプリングにより排気カム方向に押圧されて、
上記デコンプカム先端が排気カムのバルブ閉成部上に重
なるようにされ、さらにスロットルコントロールレバー
の先端が弾接されたものであって、上記遠心ウエイトに
は、遠心方向に揺動することによってスライダを上記ス
プリングの付勢力に抗して軸方向に押す係合片が一体に
形成された構成になるものである。

（作用） このように構成されたものであって、スライダが遠心ウ
エイトによって軸方向に制御され、始動時には、一体に
設置されたデコンプカムが排気カムのプロフィール上に
あって排気バルブを少し開成して始動操作力を軽減する
一方、始動後は軸方向移動によりデコンプカムが退避し
て通常のバルブ制御に移り、さらに回転の上昇により軸
方向移動が進んで、スロットルコントロールレバーの付
勢力を加えたスプリングの力とのバランスによって、一
定の回転数が保持される。

（実施例） 第１図〜第４図はこの考案の実施例を示すものである。

符号１で示されたのは、動弁用のカムシャフトで、ドリ
ブンギア２によりクランク軸に連動して駆動され、吸気
カム3,排気カム４がそれぞれ吸気バルブ，排気バルブを
開閉制御する。

カムシャフト１上には、排気カム４に隣接して遠心ウエ
イト６を軸支した遠心ウエイト支持プレート５が固定さ
れ、また、スライダ７が、カムシャフト１との間に介在
されたガイドピン８により回転一体，軸方向スライド自
在に軸装される。

スライダ７には、排気カム４方向に延びるデコンプカム
10が突設され、かつスプリング９により排気カム４方向
へ付勢され、そのデコンプカム10の先端10aが、排気カ
ム４のプロフィール上で排気バルブを閉じるように形成
された部分に重なって置かれる。

また、スライダ７の排気カム反対側にはスロットルコン
トロールレバー11が弾接する。このスロットルコントロ
ールレバー11は、排気カム４方向に動くとスロットル開
度が減少し、反対方向に動くとスロットル開度が増大す
るように設定されている。

そして、前記遠心ウエイト６には、求心方向に延びる係
合片6aが延設され、スライダ７の排気カム４側に接す
る。遠心ウエイト６に遠心力が作用すると、上記係合片
6aがスライダ７をスプリング９の力に抗して押し動か
す。

上記のように構成され、次のように作用する。

先ず始動時には、デコンプカム先端10aが排気カム４上
に突出して圧縮行程での排気バルブが少し開成され、従
って圧縮圧が弱められ、リコイルスタータなどの操作力
がセーブされる。すなわち始動しやすくなる。

回転が上がれば遠心ウエイト６の作用によりスライダ７
が移動してデコンプカム先端10aが排気カムから退避
し、排気バルブは通常の開閉制御になってエンジンが稼
働する。

この時はスロットコントロールレバー11によるスロット
ル開度が大きく、エンジンは急加速される。回転が上が
ると遠心力が増大してスライダ７およびスロットコント
ロールレバー11を大きく動かし、スロットル開度が減少
する。そして、ある回転数で遠心力とスプリング９およ
びスロットコントロールレバー11の付勢力とのバランス
したところで、定速運転になる。この定速回転数は上記
スロットコントロールレバー11の付勢力などを選定して
設定される。

この状態から回転が下がると、遠心力が減少し、スロッ
トル開度が増大し、回転が上がって、一定回転数に戻
り、反対に回転が上がると、遠心力が増大し、スロット
ル開度が減少し、回転が下がって、原速度に復帰する作
用が常に行われる。こうして、設定された回転数を中心
にして上記の作用が繰り返され、その一定回転数が保持
されるものである。

［考案の効果］ 以上の通り、この考案に係わる汎用エンジンのガバナ装
置は、動弁用カムシャフトに、遠心ウエイト装置と、そ
の遠心ウエイト装置に係合する回転一体，摺動自在なス
ライダが並設され、このスライダは、デコンプカムが一
体に突設され、かつスプリングにより上記遠心ウエイト
装置の遠心力作用方向に対抗して押圧され、さらにスロ
ットルコントロールレバーの先端が弾接されたもので、
１つの遠心ウエイト装置により、デコンプ装置とガバナ
装置との２つの作用を機能させ、汎用エンジンの構造簡
素化と共にコストを低減する効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例になるガバナ装置の縦断正面
図、第２図は第１図Ａ−Ａ矢視縦断側面図、第３図は第
１図Ｂ−Ｂ矢視縦断側面図、第４図は第１図のスライダ
の斜視図、第５図は従来のガバナ装置の縦断正面図、第
６図は従来のデコンプ装置の縦断正面図である。 １……カムシャフト、４……排気カム、５……遠心ウエ
イト支持プレート、６……遠心ウエイト、７……スライ
ダ、９……スプリング、10……デコンプカム、10a……
デコンプカム先端、11……スロットルコントロールレバ
ー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】動弁用カムシャフトに、遠心ウエイトを軸
   支する遠心ウエイト支持プレートが固定されると共に、
   スライダが回転一体，摺動自在に軸装され、このスライ
   ダは、排気カム方向に延びるデコンプカムが一体に突設
   され、かつスプリングにより排気カム方向に押圧され
   て、上記デコンプカム先端が排気カムのバルブ閉成部の
   上に重なるようにされ、さらにスロットルコントロール
   レバーの先端が弾接されたものであって、上記遠心ウエ
   イトには、遠心方向に揺動することによってスライダを
   上記スプリングの付勢力に抗して軸方向に押す係合片が
   一体に形成されたことを特徴とする汎用エンジンのガバ
   ナ装置。