JPH06404B2 - ホログラムを有する成形品の製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ホログラムを有する成形品の製造方法に関す
るもので、詳しくは、電気製品（携帯用カセットテープ
レコーダー、コンパクトディスク収納ケース、銘板
等）、化粧品容器（コンパクトケース、キャップ等）、
装飾品（置き物、ペンダント等）等にホログラム像を現
出させる製造方法に関する。

〔従来の技術〕

従来のディスプレイ関連や広告などの分野では、アイキ
ャッチャー的効果、立体感による意外性の効果を狙って
ホログラムを利用されており、書籍、雑誌の表紙、挿し
絵として、あるいはギフト、ノベルティとしても用いら
れている。

このホログラムを複製する方法としては、大別して２つ
の方法が知られている。

第１の方法は、密着露光及び干渉法である。これらの方
法はいずれも感光材料を用いて新たにホログラムを作る
方法である。

第２の方法は、平滑なプラスチック材料にエンボス加工
して表面レリーフ型のホログラムを作製する方法で、こ
れは機械的なプレス方法であるためにコスト的にみて比
較的安くでき、また、大量生産に適している。この方法
し使用される材料のプラスチックシートは、従来、硬質
ポリ塩化ビニールシートのような熱可塑性プラスチック
シートが用いられている。

そして、いずれの方法も光反射層を設けている。

〔発明が解決しょうとする問題点〕

しかし、第１の方法は、必ず高価な感光材料が必要であ
り、そのコストは、ホログラムの価格に占める割り合い
が大きいで、複製されたホログラムは高価とならざるを
得ず、また製造に要する時間は感材の処理時間が比較的
長いため長くなり生産性が悪い。

また、第２の方法では、材料として使用される市販され
ている硬質ホリ塩化ビニールシートが、カレンダー法、
押し出し法で作製されているので、必ずしも表面性の良
いものではなく、平滑性の、均一性の点で、満足できな
い場合が多かった。すなわち、基材表面の平滑性が悪い
場合、ホログラムの７００〜１５００本／mm程度の微細
な凹凸パターンを再現性良く均一にエンボス加工できな
い問題がある。さらには、この方法では、板状あるいは
シート状の樹脂に、表面から熱、圧力を加え、スタンパ
版の凹凸パターンを再現させていたために、肉厚の厚い
成形品にはヒケ、ソリの現象が避けられず、不適とされ
ていた。また、成形品上にホログラム像を複製させるた
めには、シート状物に複製したホログラムを貼り付ける
方法しかなく、これでは、成形品の一体感がなく、満足
な効果は得られない。従って、従来の技術ではホログラ
ムの利用範囲が比較的限定されるという問題点があっ
た。

さらに、電気製品や化粧品容器等の成形品表面に設けた
光反射層は、他の物品との接触により剥れていまう可能
性がある。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は、上記問題点を解決するためになされたもの
で、射出成形用金型内面に、ホログラム像形成用スタン
パ版を該金型内面に対し、平面的になるように固定、載
置し射出成形して成形品上にホログラム像の凹凸を形成
し、該凹凸形成面を活性ガス中で低温プラズマ処理した
後、光反射層を設けることを特徴とするホログラムを有
する成形品の製造方法である。

次に本発明を詳細に説明する。

本発明は、まず、射出成形用金型内にホログラム像形成
用スタンパ版を該金型内面に対し、平面的になるよう固
定、載置し、該金型内に射出成形法により溶融合成樹脂
を充填、冷却、固化させて合成樹脂成形品を得る。ここ
でスタンパ版を金型内面に対し平面的にするのは、該ス
タン版にはある程度の厚みがあり、射出成形した際、こ
の厚みの分、成形品がへこんでしまうので防ぐためであ
り、具体的には、スタンパ版と金型内面と入れ子状にし
たり、あるいは、ホログラム像形成面側に対応する金型
内面を全部スタンパ版にするなどの方法を用いて行う、
該成形品は、金型内のスタンパ版面に存するホログラム
像すなわち１〜２μの微細な凹凸パターンを表面に有し
ている。

該合成樹脂としては、透明な樹脂あるいは不透明な樹脂
が使用可能であり、透明な樹脂を用いるとホログラム像
形成面の反対側からもホログラム像を観察することがで
き、この場合透明で厚い樹脂層を通してホログラム像を
観察することになるため、ホログラム像の持つ本来の３
次元像にさらに屈折率の違う層を介することになるた
め、像に重厚感を持たせることができる。使用できる透
明な樹脂としては、ポリカーボネート、透明ポリスチロ
ール樹脂（以下ＧＰＰＳと略す）、アクリロニトリルー
スチロール共重合体樹脂（以下ＡＳと略す）、ポリエス
テル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂（以下ＰＭＭ
Ａと略す）、セルロース変性樹脂（セルロースプロピオ
ネート等）等があり、不透明な樹脂として、アクリロニ
トリルーブタジエン−スチレン共重合体樹脂（以下ＡＢ
Ｓ樹脂と略す）、耐衝撃性スチロール樹脂（以下ＨＩＰ
Ｓと略す）等を使うことができる。これらの樹脂では射
出成形条件を選ぶことにより、スタンパ版の表面凹凸状
態が再現性良く、成形品上に得ることができる。

この後、該成形品のホログラム像形成面に活性ガス中で
低温プラズマ処理を施こす。

本発明における活性ガス中での低温プラズマ処理とは、
酸素、窒素、等の活性ガス中好ましくは酸素１０〜５０
％、窒素９０〜５０％から成る混合ガス中で、真空度0.
1〜１０ＴＯＲＲ、プラズマ出力２００〜１５００Ｗ、
処理時間１５〜６０秒の条件下での低温プラズマ処理を
意味する。そして、この上に蒸着により光反射層を設け
る。

この光反射層としては、アルミニウム、ニッケル、クロ
ーム、銅、窒化チタン、硫化亜鉛などの一般的に使われ
る金属材料を用いることができ、必要とされる耐久性、
耐腐食性、あるいは必要とされる色相により、金属の種
類を選べは良い。他にも要求される光反射特性に応じて
金属酸化物、金属硫化物などの金属化合物も使用するこ
とができる。蒸着する方法としては、真空蒸着法、イオ
ンプレーティング法、あるいは窒化チタンのような合金
を蒸着する場合にあ、スパッタリング法が用いられる。

通常の場合、コスト面、加工性からアルミニウムの蒸着
することが一般に用いられる。この場合、耐湿性を付与
するため、アクリル系樹脂をスプレーコート、スピンコ
ートなどでその表面に保護層を形成する。

〔実施例〕

１００ｍｍ×１００ｍｍ×２ｍｍのプレート形状の射出
成形用の金型内（固定サイド側）に、ホログラムを作製
した厚さ0.2ｍｍのニッケル電 鋳よりなるスタンパ版
を、固定、載置した後、溶融したポリカーボネート樹脂
を射出してプレート状の成形品を得た。そして、その表
面を以下(a)〜(e)の条件で低温プラズマ処理した。

(a)プラズマ発生機：東芝（株）製 ＴＭＺ−４０７２ （周波数２４５０ＭＨＺ） (b)出力：５００Ｗ (c)処理ガス：酸素 (d)真空度：1.0ＴＯＲＲ (e)処理時間：３０秒 その後、表面にアルミニウムを５００〜１０００A゜の膜
厚で蒸着し、その上に、耐蝕用の保護層としてアクリル
系樹脂のコーティング剤を塗布し、ホログラムの有する
成形品を得た。

この成形品はアルミニウム蒸着面側及びその反対側から
もホログラム像を確認できる。

〔発明の効果〕

本発明は、射出成形と同時に成形品表面にホログラムが
一体に形成されるので、従来に比べ、加工性、経済性が
よく、さらに、その表面を活性ガス中でプラズマ処理し
た後、光反射層を蒸着するので、光反射層と成形品との
密着性が優れたホログラムを有する成形品を得ることが
できる。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】射出成形用金型内に、ホログラム像形成用
   スタンパ版を該金型内面に対し、平面的になるよう固
   定、載置し、射出成形して成形品上にホログラム像の凹
   凸を形成し、該凹凸形成面を活性ガス中で低温プラズマ
   処理した後光反射層を設けることを特徴とするホログラ
   ムを有する成形品の製造方法。