JPH0639621B2 - 成形性の優れた薄鋼板の製造方法 - Google Patents

成形性の優れた薄鋼板の製造方法

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JPH0639621B2
JPH0639621B2 JP59253768A JP25376884A JPH0639621B2 JP H0639621 B2 JPH0639621 B2 JP H0639621B2 JP 59253768 A JP59253768 A JP 59253768A JP 25376884 A JP25376884 A JP 25376884A JP H0639621 B2 JPH0639621 B2 JP H0639621B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は成形性の優れた薄鋼板の製造方法に関するもの
である。
(従来の技術およびその問題点) 現行の薄鋼板製造プロセスは、約250mm厚さの鋼鋳片
を鋳造し、熱間圧延により数mm程度の厚さまで薄くした
後、冷間圧延、再結晶焼鈍を施すことから成つている。
甚大なる省エネルギー化による製造コストの著しい低減
という観点から今後の革新的製造プロセスを考えた場
合、鋳造工程とそれに続く二回の圧延工程を大幅に簡略
化するか、もしくは、これら工程の一部を省略すること
がそれに応えると言えよう。本発明は、従来の熱間圧延
を省略あるいは極めて大幅に簡略化した革新的薄板製造
プロセスにて、プレス成形性の優れた薄鋼板を製造する
方法を提供するものである。
将来の薄板製造プロセスとして、従来の熱間圧延後に得
られていた厚さの薄肉鋼鋳片を鋳造し、熱間圧延を省略
して鋼鋳片を直接冷間圧延した後、再結晶焼鈍するプロ
セス、あるいは溶鋼から圧延工程を全く経ずに直接薄鋼
板を鋳造するプロセスが既に報告されている。かかる熱
間または冷間の圧延工程を省略あるいは簡略化したプロ
セスの場合に最も問題になるのは、鋳造組織の悪影響が
最終製品に持ち越され、プレス成形に供される用途に対
しては加工性、特に伸びが極めて不足することである。
かかる原因により、上記の圧延工程を全く経ずに直接薄
鋼板を製造するプロセスでは良好な加工性は得られな
い。従つて、従来のプレス成形用鋼板と同等の成形性を
得るには、鋳造組織を破壊する意味で少なくとも一回の
圧延が必要である。この場合、深絞り性を付与するため
には、再結晶温度以下で圧延して圧延集合組織を発達さ
せた後、再結晶焼鈍することが有効となる。かかる観点
に基づいて、上記の薄肉鋼鋳片を鋳造し、鋼鋳片を直接
冷間圧延した後、再結晶焼鈍するプロセスが開示されて
いる(例えば、特開昭59−43823号公報は、鋳造
後の900〜700℃における鋼鋳片の平均冷却速度、
圧延開始温度、圧延圧下率を制御することによる方法を
開示している)。
本発明者らは、実際にこれら従来技術を検討した結果、
その欠点およびその技術レベルの限界を見出した。そこ
で、薄肉鋼鋳片を冷間圧延、再結晶焼鈍して薄鋼板を製
造するプロセス、あるいは薄肉鋼鋳片を極めて簡略化し
た熱間圧延、冷間圧延、再結晶焼鈍して薄鋼板を製造す
るプロセスにおける材質支配要因について基礎研究を重
ねた。その結果、素材成分、凝固時の冷却速度、鋳片厚
さ、冷間圧延率の各々を複合して制御することが重要で
あるとの新規知見を見出し、これら知見に基づいて、か
かる製造プロセスによつてプレス成形性の優れた薄鋼板
の製造技術を確立したものである。
(問題点を解決するための手段、作用) 本発明の要旨は、C:0.007%以下、Si:0.8
%以下、Mn:1.0%以下、P:0.10%以下、
S:0.10%以下、Sol.Al:0.01〜0.06%、
N:0.008%以下、および他の不可避的不純物から
なり、さらにNbとTiを複合して含有し、Tiは(4
8/14)〔N(%)−0.002%〕<Ti(%)
で、かつ、Ti(%)<(48/14)N(%)を満た
す範囲内、Nbは(93/12)[C(%)−0.00
1%]>Nb(%)>2.00℃%で、かつ0.003
%以上0.025%未満の範囲内であり、かつ〔Ti
(%)+Nb(%)〕<0.04%であり、残部Feよ
りなる薄肉鋼鋳片を連続鋳造し、鋳造時に1550℃か
ら1350℃までの平均冷却速度を1.0℃/sec以上
とし、1350℃から900℃までの平均冷却速度を3
℃/min以上とし、鋳片の厚さを50mm以下とし、か
つ、鋳造後に該鋼鋳片を600℃以上850℃以下の温
度で巻き取るか、あるいは鋳造後該鋳片を加熱して60
0℃以上850℃以下の温度域に5分間以上保持した
後、再結晶温度以下で圧下率を60%以上とする圧延を
行った後、再結晶焼鈍することを特徴とする成形性に優
れた薄鋼板の製造方法、および C:0.007%以下、Si:0.8%以下、Mn:
1.0%以下、P:0.10%以下、S:0.10%以
下、Sol.Al:0.01〜0.06%、N:0.008%
以下、および他の不可避的不純物からなり、さらにNb
とTiを複合して含有し、Tiは(48/14)〔N
(%)−0.002%〕<Ti(%)で、かつ、Ti
(%)<(48/14)N(%)を満たす範囲内、Nb
は(93/12)[C(%)−0.001%]>Nb
(%)>2.00℃(%)で、かつ0.003%以上
0.025%未満の範囲内であり、かつ〔Ti(%)+
Nb(%)〕<0.04%であり、残部Feよりなる薄
肉鋼鋳片を連続鋳造し、鋳造時に1550℃から135
0℃までの平均冷却速度を1.0℃/sec以上とし、1
350℃から900℃までの平均冷却速度を3℃/min
以上とし、鋳片の厚さを50mm以下とし、鋳造後、冷
間圧延前に再結晶温度以上の温度で20%以上の圧下率
で圧延を行い、かつ、再結晶温度以下で圧下率を60%
以上とする冷間圧延を行った後、再結晶焼鈍することを
特徴とする成形性に優れた薄鋼板の製造方法である。な
お、上記(1)記載の方法において、鋳造後、巻き取り
あるいは該熱処理前に再結晶温度以上の温度で20%以
上の圧下率で圧延することが好ましい。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、薄肉の鋼鋳片を熱間圧延を省略あるいは極め
て簡略化して、冷間圧延、再結晶焼鈍を行い、高加工性
の薄鋼板を製造するためには、(1)薄肉の鋼鋳片を鋳造
する際に凝固組織を微細化すること、(2)凝固後の冷却
時の粒成長を抑制することによる組織の微細化、(3)凝
固後の冷間圧延による鋳造組織の破壊、のすべての条件
を満足する必要があるとの知見に基づくものである。本
発明を構成する各々の限定理由は主に上記(1)〜(3)のい
ずれかに基づくものであり、これを実験結果に基づいて
説明する。
以下の実験は、C:0.001〜0.10%、Si:0.01〜0.1%、M
n:0.10〜0.15%、P:0.01〜0.15%、S:0.2%以下、A
l:0.01〜0.1%、N:5〜100ppm、Nb:0.001〜0.06
%、Ti:0.001〜0.05%の範囲の成分の溶鋼を、1550
〜1350℃間および1350〜900℃間の平均冷却
速度、鋳片厚さを変化させて鋳造した後、一部には熱間
圧延を施し、種々の巻き取り相当処理又は鋳片の加熱相
当処理を行つて、冷間圧延(20〜90%)を施し、7
75℃で40secの再結晶焼鈍、1%の調質圧延を行つ
た。
(1) 凝固組織の微細化および凝固後の粒成長の抑制 既に述べた如く、本発明の対象とするような圧延工程を
簡略化したプロセスでは、最終製品の材質におよぼす鋳
造組織の影響が極めて大きくなる。材質特性のなかでも
特に「伸び」が最も劣る傾向が強い。これは先に述べた
如く、鋳造組織が十分破壊されないために、割れの起点
となり易いことが根本的な理由である。この鋳造組織の
悪影響は、デンドライト(樹枝状晶)の間隔が大きい場
合ほど著しいものになる。
鋳造組織の微細化のためには、核発生度数を多くす
ることにより凝固核を微細化することと、凝固核の成長
を抑制することが必要である。前者の観点からは、凝固
時の過冷度を大きくする意味で、凝固時の冷却速度を限
定する必要があり、後者についても冷却速度の影響が大
きい。本発明者らは、発明の第1の構成条件として、鋳
造時に1550℃から1350℃までの平均冷却速度を
1.0℃/sec以上とする必要があるとの知見を得た。さら
に望ましくは5.0℃/sec以上であり、最も望ましくは2
0℃/sec以上である。これを実験データによつて第1図
に示す。該条件を満足する場合にのみ良好な材資(r
値,El)が得られているのは明らかである。上記155
0〜1350℃の冷却速度のうち高温部が凝固時の冷却
速度に相当し、低温部は凝固組織の成長(δ相域での成
長)およびδ相からγ相への変態に際してγ相の大きさ
を支配する冷却速度である。
溶鋼中の合金成分は、概して凝固温度区間を広げる
ことから、樹枝状晶が発達して好ましくなく、特に鋼中
Cはかかる傾向が強い。更に、本発明の対象とする製造
プロセスで製造される鋼板は材質特性のうち特に延性が
劣る傾向が強いことから、鋼中C量を低くして延性を高
める必要がある。
ところが、合金元素の低下は凝固後の著しい粒成長を招
き(特に冷却速度の小さい場合)、材質を劣化させる欠
点があり、C量の減少はかかる傾向が極めて強いため、
上記の凝固温度区間を狭めることや延性の向上を狙つて
単にC量を下げることはできない。
本発明者らは、既述の凝固時、δ相域、δ相からγ相へ
の変態時およびγ相高温域の冷起速度(前記1550℃
〜1350℃間の冷却速度)を限定することによる組織
の微細化とTiNによる特にγ相中での粒成長の抑制およ
びNbCによるα相中での粒成長の抑制によつてこれらの
問題点を解決できることを知見した。これを実験データ
によつて第2図に示す。即ち、Ti,Nbを添加しない場合
には極低炭素成分では組織の粗大化によりr値、Elが劣
る。これに対しTiとNbを複合して添加した場合は、前記
γ,α相の微細化により極低炭素鋼成分とする効果が発
揮され、El,r値の良好な鋼板が得られるのである。Ti
の添加量はTiNを微細に析出させるためにN量とのほ
ぼ当量が望ましい。Nを完全に析出させる量Ti(%)
>(48/14)N(%)ではTiNが高温から析出し
て粗大化し、γ相の粗大化抑制効果が小さくなる。ま
た、Nb単独ではTiNによる上記γ相の微細化が得られ
ず、材質は劣る。更にこの場合には、Nが冷却中のα相
域あるいは圧延後の焼鈍時に微細に析出することによる
材質劣化もおこることになる。
即ち本発明の第2の構成条件は成分にあり、(1)延性を
高めるとの観点から極低炭素鋼(C:0.007%以下)と
する。(2)γ相域での粒成長を抑えるためにTiを添加しT
iNを析出させる、(3)α相域での粒成長を抑えるためにN
bを添加しNbCを析出させるのである。第2図に示す如
く、γ相域での組織微細化の観点からは、上記TiNによ
る効果に加えて1350℃から900℃までの平均冷却
速度を制限することが有効である。この場合、該温度域
の平均冷却速度は3℃/min以上が好ましい。さらに望ま
しくは10℃/min以上である。
該鋳片の厚さは50mm以下にする必要がある。第3
図に示す如く鋳片厚さが厚くなると、その厚さ方向中心
部は冷却速度が小さくなるために組織が粗大化して材質
が劣化し、厚さ方向の材質均一性が劣ることになる。従
つて鋳片の厚さは50mm以下とすることが必要である。
さらに望ましくは20mm以下であり最も望ましくは、1
0mm以下である。
(2) 冷間圧延による鋳造組織の破壊と圧延集合組織の
付与 本発明の対象とする如き製造プロセスで最も問題となる
のは、既に述べているように、鋳造組織が十分破壊され
ず、鋳造組織の悪影響が最終製品に持ち越され、プレス
成形に供される用途に対しては加工性、特に伸びが極め
て不足することである。従来のプレス成形用鋼板と同等
の成形性を得るには、鋳造組織を破壊する意味で少なく
とも一回の圧延が必要である。この場合、深絞り性を付
与するためには、再結晶温度以下で圧延して圧延集合組
織を発達させた後、再結晶焼鈍することが有効となる。
本発明では、凝固時およびその後の冷却時において組織
の微細化を図つていることから低い圧延率によつて鋳造
組織の破壊、圧延集合組織の付与が可能である。第4図
は冷間(再結晶温度以下)圧延率と材質の関係を示すも
のである。60%以上の圧延を行うことにより、従来の
プレス成形用鋼板と同等の成形性を得ることができる。
最も望ましくは75%以上である。本発明においては、
圧延温度は再結晶温度以下であれば特に限定する必要は
ない。
(3) 巻き取り温度あるいは鋳造後熱処理の効果本発明
の対象とする如き製造プロセスで良好な成形性を有する
薄鋼板を製造するには、既に述べた如く凝固時を中心と
した冷却速度の制御を必要とする。鋼中のC,Nは既述
の如くNbC,TiNとして析出し顕著な効果を発揮するが、
上記冷却速度が大きいために析出物の凝集度は比較的小
さい。鋼板の延性を高め、降状強度、再結晶温度を下げ
る観点からは析出物の凝集度を上げることが望ましい。
この意味で鋳造後の巻き取り温度を高めるか又は鋳造後
の鋳片を加熱することが有効で、具体的には、鋳造後に
該鋼鋳片を600℃以上850℃以下の温度で巻き取る
か、あるいは、鋳造後圧延前に該鋳片を加熱して600
℃以上850℃以下の温度域に5min.以上保持した後
該圧延を行うことである。後者の場合の加熱後の冷却速
度は特に限定する必要はない(冷却速度の小さい程若干
良好となる傾向にはある)。巻き取り温度あるいは上記
加熱温度は、最も望ましくは650℃以上850℃以下
の温度がよい。これを実験データによつて第5図に示
す。
650℃以上の巻き取り温度で巻き取る場合には、巻き
取る前でのコイル長さ方向前、後端部の注水を抑えて該
位置の巻き取り温度をコイル長さ方向中心部の巻き取り
温度より高くすることが、コイル前、後端部の材質を向
上できるために、コイル長さ方向の材質均一性の点で有
効である。こういつた類の処理は何等本発明の効果を減
ずるものではなく、本発明と併用することは可能であ
る。
(4) 鋳造後の軽熱間圧延の効果 著しい製造コストの低減という点から今後の革新的製造
プロセスを考えた場合、鋳造工程に続く二回の圧延工程
を大幅に簡略化することが重要であり、本明細書では以
上に熱間圧延を省略したプロセスでの製造方法を示し
た。しかしながら、粗圧延、仕上げ圧延より成る従来の
熱間圧延プロセスの粗圧延を省略し、かつ仕上げ圧延を
簡略化するだけでも製造コストの低減は著しい。即ち、
鋳造後に従来の熱間圧延よりは極めて低い圧下率の熱間
圧延を行うプロセスである。この場合には、熱間圧延に
よつて鋳造組織が破壊されるために材質特性は向上す
る。従つて、軽度の熱間圧延と以上の技術思想を組み合
わせることで、製造コストはわずかに上昇するものの材
質特性は向上した製造方法が可能であり、極めて有効で
ある。第6図に必要な圧延率(再結晶温度以上)を実験
データによつて示す。本発明においては20%以上の圧
延によつて十分良好な材質が得られているのは明らか
で、従来の熱間圧延(圧下率:約95%以上)と比較し
て十分に熱間圧延を簡略化できることが明白である。熱
間圧延時の仕上げ温度は、γ→α変態前のγ結晶粒度を
小さくする意味からAr3点直上が最も望ましいが、特に
規定する必要はない。鋳造後に熱間圧延可能温度以下に
鋳片温度が低下した場合には、加熱した後熱間圧延を施
すことが可能である。この場合、加熱温度は析出物(主
として炭化物)を溶解させない意味で低いほど好ましい
が、特に限定する必要はない。
次に成分元素の範囲について記す。
Cは、先に述べた如く延性を向上させる観点から0.007
%以下とする。
Siは、高強度鋼板を製造する場合添加することがある
が、脆性を助長する元素であり、また化成処理性、亜鉛
めつき性を阻害する元素でもあり、かかる観点から0.8
%以下にすべきである。軟鋼板を製造する場合には0.1
%以下がよい。
Mnも高強度化するに際して使用することができる。しか
しr値を劣化させる働きがあることと、合金鉄のコスト
が高いことから1.0%以下にすべきである。軟鋼板を製
造する場合には0.3%以下がよい。
Pは最も強化能の大きな元素であり高強度化する場合添
加されるが、多量に含まれると粒界偏析量が多くなつて
脆化すなわち二次加工脆性をひきおこすので上限は0.10
%とする。軟鋼板を製造する場合には0.03%以下がよ
い。
S量の増加に伴い硫化物を形成する鋼中の合金元素の必
要量は増加する。従つてSの上限は0.10%とする。
AlはTi,Nb添加前の溶鋼脱酸剤として加えるが、Ti,Nbの
歩留をよくするためには0.01%以上の添加が必要であ
り、加え過ぎはコストアツプになることから上限を0.06
%とする。
NはTiNとしてTiに大部分は固定されるが、N含有量が
多いとTi量も多く必要になり、この場合TiNは高温から
析出して粗大化し、γ相の微細化効果が小さくなる。従
つて上限を0.008%とする。微細化効果を発揮せしめるた
めのTiN量を得るには10ppm以上のN量が望ましい。
TiはTiNを形成してγ相を微細化する効果と、鋼中NがA
lNとして析出することによる悪影響を排除する役割を果
たす。かかる効果を発揮するには(48/14)〔N(%)−0.00
2%〕<Tl(%)で、かつTi(%)<(48/14)N(%)を満たす範囲
内に添加することが必要である。
NbはCの一部をNbCとして析出させることによりα相を
微細化する効果、および実質的にCによる時効性を無く
す役割を果たす。かかる効果を発揮するには(93/1
2)〔C(%)−0.001%〕>Nb(%)>2.00C(%)で、かつ
0.003%以上0.025%未満の範囲内とすることが必要であ
る。0.025%以上では再結晶温度が高くなつてしまう。
さらに塗装下地処理として行われるリン酸塩処理(ボン
デ処理)性を良好なものにするために〔Ti(%)+Nb(%)〕
<0.04%とすることが必要である。
次に製造条件について記す。鋳造条件についてはすでに
述べた。鋳造後、圧延を行うまでの間に脱スケール処理
を行うことは何等本発明の主旨に反するものではなく、
機械的処理、化学的処理を始めとしていかなる方法を適
用することも可能である。圧延条件についてはすでに記
した。圧延温度によつては圧延後にスケールが厚く成長
することがあるが、この場合にも脱スケール処理を行う
ことは可能である。焼鈍条件については、次のようであ
る。まず、焼鈍方法は冷間圧延された鋼板の焼鈍方法と
してあるいかなる方法を適用することも可能であり、例
えば、箱型焼鈍方法および連続型亜鉛めつきライン、そ
の他のめつきを行う連続焼鈍型ラインを含む連続焼鈍方
法等である。焼鈍温度については再結晶温度以上であれ
ば特に限定する必要はない。焼鈍後に調質圧延を施すこ
とは何等本発明の主旨に反するものではなく、必要に応
じて実施してもよい。
以下に実施例を示す。
第1表に示す化学成分を有する薄肉鋼鋳片を、表に示す
種々の鋳造条件にて鋳造し、かかる後、表記の冷間圧
延、焼鈍を行つて得た薄鋼板を引張試験に供した。その
機械的性質を第2表に示す。
本発明例である供試鋼No.1〜8はいずれも良好な材質
特性を示し、本発明の対象とする如き製造プロセスにお
いても、従来の「鋳造−熱間圧延−冷却圧延−焼鈍」の
プロセスで得られていたのとほぼ同等の材質が得られ、
プレス成形に供される鋼板として十分な加工性を有する
ことが実証された。これに対し、比較鋼No.9は鋳造後
の1550〜1350℃の冷却速度が小さく、No.10は鋳
片厚さが厚く、No.11は冷間圧延率が小さいために、
既述の理由により良好な材質(特にEl,r値)が得られな
い。また、供試鋼No.9〜14はいずれも本発明の成分
範囲と異なり、同様に材質は極めて低いものである。
第1表に示す供試鋼の化学成分、鋳造条件により薄肉鋼
鋳片を鋳造した後、第2表に示す種々の条件で処理を行
った(No.1〜5の試料は巻取処理を行った)。その
後、第1表に示す冷間圧延、焼鈍(第1表脚注)を行っ
て得た薄鋼板を引張試験に供した。その機械的性質を第
3表に示す。
本発明の方法によつて製造された薄鋼板はいずれも良好
な材質特性を示し、本発明の対象とする如き製造プロセ
スにおいても、従来の「鋳造−熱間圧延−冷間圧延−焼
鈍」のプロセスで得られていたのとほぼ同等の材質が得
られ、プレス成形に供される鋼板として十分な加工性を
有することが実証された。
(発明の効果) 本発明によれば熱間圧延工程を省略するかもしくは簡略
化した熱間圧延工程にて成形性の優れた薄鋼板を製造す
ることができ、省エネルギー、製造コスト等の著しい低
減となり、その効果は極めて大きいものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の平均冷却速度と材質との関係を示す
図、第2図は本発明の成分と材質の関係を示す図、第3
図は本発明の鋳片の厚さと材質の関係を示す図、第4図
は本発明の冷間圧延率と材質の関係を示す図、第5図は
本発明の鋳造後の巻取り温度及び鋳片を再加熱した際の
材質との関係を示す図、第6図は本発明の熱間圧延率と
材質の関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/00 301 S 38/14 (56)参考文献 特開 昭59−43825(JP,A) 特開 昭59−136425(JP,A) 特開 昭59−177327(JP,A) 特開 昭57−25203(JP,A) 特開 昭60−77928(JP,A) 特開 昭61−87819(JP,A)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.007%以下、 Si:0.8%以下、 Mn:1.0%以下、 P:0.10%以下、 S:0.10%以下、 Sol.Al:0.01〜0.06%、 N:0.008%以下、 および他の不可避的不純物からなり、さらにNbとTi
    を複合して含有し、Tiは(48/14)〔N(%)−
    0.002%〕<Ti(%)で、かつTi(%)<(48/
    14)N(%)を満たす範囲内、Nbは(93/12)
    〔C(%)−0.001%〕>Nb(%)>2.00C(%)
    で、かつ0.003%以上0.025%未満の範囲内であり、かつ
    〔Ti(%)+Nb(%)〕<0.04%であり、残部Fe
    よりなる薄肉鋼鋳片を連続鋳造し、鋳造時に1550℃
    から1350℃までの平均冷却速度を1.0℃/sec以上と
    し、1350℃から900℃までの平均冷却速度を3℃
    /min以上とし、鋳片の厚さを50mm以下とし、か
    つ、鋳造後に該鋼鋳片を600℃以上850℃以下の温
    度で巻き取るか、あるいは鋳造後該鋳片を加熱して60
    0℃以上850℃以下の温度域に5分間以上保持した
    後、再結晶温度以下で圧下率を60%以上とする圧延を
    行った後、再結晶焼鈍することを特徴とする成形性に優
    れた薄鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】C:0.007%以下、 Si:0.8%以下、 Mn:1.0%以下、 P:0.10%以下、 S:0.10%以下、 Sol.Al:0.01〜0.06%、 N:0.008%以下、 および他の不可避的不純物からなり、さらにNbとTi
    を複合して含有し、Tiは(48/14)〔N(%)−
    0.002%〕<Ti(%)で、かつTi(%)<(48/
    14)N(%)を満たす範囲内、Nbは(93/12)
    (C(%)−0.001%〕>Nb(%)>2.00C(%)
    で、かつ0.003%以上0.025%未満の範囲内であり、かつ
    〔Ti(%)+Nb(%)〕<0.04%であり、残部Fe
    よりなる薄肉鋼鋳片を連続鋳造し、鋳造時に1550℃
    から1350℃までの平均冷却速度を1.0℃/sec以上と
    し、1350℃から900℃までの平均冷却速度を3℃
    /min以上とし、鋳片の厚さを50mm以下とし、鋳造
    後、冷間圧延前に再結晶温度以上の温度で20%以上の
    圧下率で圧延を行い、かつ、再結晶温度以下で圧下率を
    60%以上とする冷間圧延を行った後、再結晶焼鈍する
    ことを特徴とする成形性に優れた薄鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】鋳造後、巻き取りあるいは該熱処理前に再
    結晶温度以上の温度で20%以上の圧下率で圧延する前
    記第(1)項記載の成形性に優れた薄鋼板の製造方法。
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