JPH0639078Y2 - 内燃機関のシリンダヘッドの冷却水通路構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は自動車等の車輌に用いられる内燃機関のシリン
ダヘッドの冷却水通路構造に係る。

従来の技術 自動車等の車輌に用いられる水冷式の内燃機関は、その
各気筒の燃焼室の周りを取巻いて延在する冷却水通路
（ウォータジャケット）を有しており、この冷却水通路
は、一般にシリンダブロック及びシリンダヘッドの内壁
（下部壁）と外壁（上部壁）との間に形成された鋳抜き
空間により構成されている。

燃焼室壁の冷却を促進するためには、前記冷却水通路を
流れる冷却水の流速を速め、またその流速を均一化する
ことが重要であることがよく知られている。このため前
記冷却水通路のうち、特に通路断面積が大きく、冷却水
通路の流速が遅くなる部分に、例えばシリンダヘッドの
気筒間領域部分に突起状或いは壁状の堰を設けてこの堰
により冷却水通路の通路断面積の減縮を図り、所要の冷
却水流速が得られるようにすることが既に提案されてお
り、これは例えば特開昭56-148647号、実開昭59-175651
号の各公報に示されている。

考案が解決しようとする問題点 上述の如き堰が設けられると、一応所期の目的は達成さ
れるが、この堰の設け方の如何によっては、シリンダヘ
ッドに偏って燃焼室よりの爆発衝撃及び熱負荷が作用す
るようになり、シリンダヘッドの偏り変形を来すように
なり、これに起因してシリンダヘッドとシリンダブロッ
クとの接続が良好に行われなくなって燃焼ガス、冷却
水、潤滑油の漏れが発生する虞れが生じるようになる。

本考案は、気筒間に於ける冷却水通路の冷却水流速を速
めると云う所期の目的を達成した上で、シリンダヘッド
の剛性を効果的に高め、しかもシリンダヘッドに偏り変
形を生じせしめることがない改良されたシリンダヘッド
の冷却水通路構造を提供することを目的としている。

問題点を解決するための手段 上述の如き目的は、本考案によれば、燃焼室の頭部を直
接構成する下部壁とこれより隔置して設けられた上部壁
との間に冷却水通路が設けられた内燃機関のシリンダヘ
ッドの冷却水通路構造に於て、気筒間にて前記冷却水通
路内を横切って延在し前記下部壁と前記上部壁とを互い
に接続するリブが設けられ、前記リブはＹ形縦断面形状
を有しその二股部にて前記上部壁に接続され単一脚部に
て前記下部壁に接続されていることを特徴とする冷却水
通路構造によって達成される。

考案の作用及び効果 上述の如き構成によれば、リブはその縦断面形状で見て
左右対称であることから、燃焼室よりの爆発衝撃及び熱
負荷がシリンダヘッドの上部壁へ偏って伝えられること
がなく、このことからシリンダヘッドに偏り変形が生じ
ることがなく、しかも、リブはその形状からしてシリン
ダヘッドの剛性を効果的に高め、シリンダヘッドの変形
を抑制するようになる。これによりシリンダヘッドとシ
リンダブロックとの間に好ましからざる隙間が生じるこ
とがなく、燃焼ガス、冷却水、潤滑油の漏れが生じるこ
とがなく、また動弁系の各隙間を小さくすることが可能
になり、動弁系から発生する騒音を小さくすることがで
きる。更に燃焼圧力によるシリンダヘッドの振動騒音も
小さくなるようになる。

そしてリブは気筒間に於ける冷却水の通路断面積を減少
し、冷却水の流速を速める作用を成し、しかもこのリブ
は放熱フィンとして作用し、このことから燃焼室壁の冷
却が効果的に行われるようになる。

実施例 以下に添付の図を参照して本考案を実施例について詳細
に説明する。

第１図乃至第３図は本考案による冷却水通路構造を供え
たシリンダヘッドの一つの実施例をその要部について示
している。これらの図に於て、10はシリンダヘッド自体
を示しており、該シリンダヘッドは燃焼室頭部12を直接
構成する下部壁14とこれより隔置して設けられた上部壁
16とを有し、下部壁14と上部壁16との間に冷却水通路18
が設けられている。

またシリンダヘッド10には各気筒毎に点火プラグホール
22を郭定する円筒状のプラグホール壁24が下部壁14と上
部壁16との間にて冷却水通路18を横切って延在して設け
られている。シリンダヘッド10の各気筒間の両側には各
々ヘッドボルト通し孔26が設けられており、シリンダヘ
ッド10はこのヘッドボルト通し孔26に挿入される図示さ
れていないヘッドボルトによって図示されていないシリ
ンダブロックに固定連結されるようになっている。

冷却水通路18の気筒間部分には該冷却水通路内を横切っ
て延在して下部壁14と上部壁16とを互いに接続するリブ
30が設けられている。リブ30は、第１図によく示されて
いる如く、Ｙ形縦断面形状を有し、その二股部30aと30b
にて上部壁16に各々接続し、単一脚部30cにて下部壁14
に接続されている。より詳細には、二股部30a及び30bは
上部壁16とヘッドボルト通し孔26のボス部27とが成す隅
角部に接続されて互いの間にて冷却水の通過を許す開口
32を郭定している。単一脚部30cは下部壁14の幅方向の
ほぼ中央部に接続されてその両側に冷却水の通過を許す
開口34を郭定している。

下部壁14の気筒間部分には冷却水通路18と図示されてい
ないシリンダブロックの冷却水通路とを互いに連通接続
するための連通孔36が設けられており、この連通孔36は
左右の開口34の各々に対し開口すべくボス部27に隣接す
る位置に設けられている。

また上部壁16の気筒間部分にはシリンダヘッド10の鋳造
時に用いられる中子支え孔38が設けられており、この中
子支え孔38は開口32に対し開口する形態にて設けられて
いる。

上述の如き構成によれば、リブ30の設置によって冷却水
通路20の気筒間に於ける冷却水の流速が速められ、また
リブ30が放熱フィンとして作用し、燃焼室頭部壁の冷却
が効果的に行われるようになる。

またリブ30は気筒間中央部からの衝撃力及び熱負荷を均
等に上部壁16に分散伝達し、これによりシリンダヘッド
10に偏った変形が生じることが回避され、この偏った変
形に起因してシリンダヘッドとシリンダブロックとの合
せ面に隙間が生じることが回避され、燃焼ガス、冷却
水、潤滑油の漏れが生じることが未然に回避されるよう
になる。またリブ30によってシリンダヘッドの剛性が高
くなることによりシリンダヘッドの歪みが小さくなり、
シリンダヘッドに組付けられる動弁系の各部隙間を従来
に比して小さくすることが可能になり、これに伴い動弁
装置より発生する騒音が小さくなる。

リブ30はＹ字形をしていることから各気筒間にて中子支
え孔38を設けることができ、これにより鋳造時に於ける
中子の固定が確実になり、寸法精度が高いシリンダヘッ
ドが鋳造され得るようになる。

以上に於ては、本考案を特定の実施例について詳細に説
明したが、本考案は、これに限定されるものではなく、
本考案の範囲内にて種々の実施例が可能であることは当
業者にとって明らかであろう。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による冷却水通路構造を備えたシリンダ
ヘッドの気筒間部分に於ける縦断面図、第２図は第１図
の線II-IIに沿う断面図、第３図は第１図の線III-IIIに
沿う断面図である。 10……シリンダヘッド,12……燃焼室頭部,14……下部
壁,16……上部壁,18……冷却水通路,22……点火プラグ
ホール孔,24……プラグホール壁,26……ヘッドボルト通
し孔,27……ボス部,30……リブ,32、34……開口部,36…
…連通孔

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】燃焼室の頭部を直接構成する下部壁とこれ
   より隔置して設けられた上部壁との間に冷却水通路が設
   けられた内燃機関のシリンダヘッドの冷却水通路構造に
   於て、気筒間にて前記冷却水通路内を横切って延在し前
   記下部壁と前記上部壁とを互いに接続するリブが設けら
   れ、前記リブはＹ形縦断面形状を有しその二股部にて前
   記上部壁に接続され単一脚部にて前記下部壁に接続され
   ていることを特徴とする冷却水通路構造。