JPH0637704B2 - 高硬度炭素膜形成方法 - Google Patents

高硬度炭素膜形成方法

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JPH0637704B2
JPH0637704B2 JP59258038A JP25803884A JPH0637704B2 JP H0637704 B2 JPH0637704 B2 JP H0637704B2 JP 59258038 A JP59258038 A JP 59258038A JP 25803884 A JP25803884 A JP 25803884A JP H0637704 B2 JPH0637704 B2 JP H0637704B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は炭化水素ガスとアルゴンガスを含有する混合ガ
スをプラズマ化し基体に吹付けるCVD法によって、従
来の技術では基体を室温より高温にしなければ得れなか
った高硬度炭素膜を、室温で、しかも、従来に比べ高成
膜速度で形成する方法に関するものである。
従来の技術 高硬度炭素膜はダイヤモンドに近い硬度,摩擦係数,熱
伝導率,光透過率,比抵抗などの諸特性を有し、産業上
の用途として、固体潤滑膜,半導体のパッシベーション
膜,光学部品の硬質保護膜,など多種多様なものが挙げ
られる。しかし、未だ研究室の試作レベルで形成されて
いるに過ぎない。
従来の高硬度炭素膜形成方法には大別してCVD法とPV
D法がある。第4図にCVD法の一つの方法であるプラ
ズマCVD法による高硬度炭素膜形成方法の代表的−従
来例を示す。
(手塚他「第45回応用物理学会学術講演会予稿集」,
(1984),P214) 上記従来例の高硬度炭素膜形成方法では、炭化水素ガス
としてアセチレンガス1を真空容器であるガラス管2内
に導入し、負電極3と正電極5との間に直流電圧電源7
により直流電圧を印加し直流グロー放電プラズマを発生
させる。また、フィラメント4によるアセチレンガスの
熱分解、および、前記フィラメント4から放出される熱
電子とによってプラズマ化を促進している。このように
プラズマを発生させ基体6上に高硬度炭素膜を形成す
る。本従来例では基体上の形成膜中に含有される炭化水
素の炭素水素結合を切断し、形成膜中の炭素含有率を増
大させ形成膜の特性を向上させるため、基体6を基体加
熱用電源8により直接通電加熱し500〜1000℃に昇温
している。また、本従来例での成膜速度は約400Å/m
in である。第5図に従来の高硬度炭素膜形成方法の中
で、一般的に成膜速度が大きいPVD法の一例として、
イオン化蒸着法による高硬度炭素膜形成方法の代表的な
一例を示す。(熊田忠真他;(「イオン化蒸着法による
硬質カーボン薄膜」)「第43回応用物理学会学術講演
会予稿集」(1983)305ページ) 上記従来例による高硬度炭素膜形成方法では、メタンガ
ス9を、フィラメント6の熱による熱分解とフィラメン
ト6からの熱電子によりイオン化し、さらに外部コイル
7による磁界で前記熱電子をら線運動させメタンガスの
イオン化を促進させる。このようにイオン化された粒子
は、網状電極4に負電位を印加することによって基体3
方向へ加速され、基体3に高硬度炭素膜が形成される。
本従来例の成膜速度は900〜1200Å/minであり、従来
の高硬度炭素膜形成方法の中では最も大きいものの一例
である。しかし、PVD法では基体は電気的に中性なプ
ラズマにさらされにくく、前記のようにイオン種のみが
基体方向へ加速され形成膜に到達する。高硬度炭素膜の
比抵抗が1010Ω・cm程度の高絶縁膜であるため、成膜
上に正電荷をもつ前記イオン種が蓄積される。この正電
荷蓄積により前記イオン種の加速が弱まり、成膜速度が
低下するのを防止する手段として、PVD法では一般
に、例えば電子照射装置を付加し、形成膜上へ電子を照
射し電気的に中和している。また、本従来例において
も、基体上の形成膜中に含有される炭化水素の炭素水素
結合を切断し、形成膜中の炭素含有率を増大させ形成膜
の特性を向上させるため、基体3をヒーター1により加
熱する。また、前記のように高速度に加速されたイオン
種が形成膜を衝撃することによっても基体3の温度が上
昇し、400〜700℃にも達する。かつ、一般的にP
VD法による膜の結合力は物理的なものであり、CVD
法、特に、プラズマCVD法による化学的な結合力より
も小さい。
発明が解決しようとする問題点 従来の高硬度炭素膜形成方法の中の数例ではダイヤモン
ドに極めて近い特性,構造を有する高硬度炭素膜を形成
し得ている。しかし、前記従来例に示したように従来の
高硬度炭素膜形成方法の共通の問題点の一つとして、基
体の温度上昇がある。この基体温度上昇の一原因とし
て、高硬度炭素膜を形成するため、従来の高硬度炭素膜
形成方法の多くは、例えば前記従来例に示したような直
接通電加熱、あるいは、加熱炉,フィラメントなどによ
って基体を加熱昇温させていることがある。基体温度を
上昇させる目的は、形成膜中に含有される炭化水素の炭
素水素結合を熱で切断し、形成膜中の含有炭素率を増加
させ、高硬度炭素膜の特性を向上させるためである。基
体温度上昇の2つめの原因として、高硬度炭素膜を形成
するため、従来の高硬度炭素膜形成方法の多くは、例え
ば前記従来例に示したように、基体に負電圧を印加しプ
ラズマ中のイオン種を基体方向へ加速させ、形成膜を衝
撃することがある。前記のような加熱手段を用いずに高
硬度炭素膜を形成する従来例もあるが、(例えば、L.
P.ANDERSSON共著「Thin Solid Film」,63(197
9),P155〜160)この場合も前記イオン種など
の衝撃により基体温度が上昇し、かつ、高硬度炭素膜の
成膜速度も小さい。
従来の高硬度炭素膜形成方法では以上のように基体温度
が上昇してしまうため、高硬度炭素膜を形成せんとする
基体の性質が著るしく限定され、機械的,電気的,光学
的,熱的,化学的に極めて優れた特性を有する高硬度炭
素膜の応用範囲が著るしく限定される。
2つめの従来の高硬度炭素膜形成方法の問題点として成
膜速度が小さいということがある。従来の高硬度炭素膜
形成方法では成膜速度がたかだか数10〜数100Å/m
in,あるいは最大のものでも1200Å/min程度である。従
来例において成膜速度を増大させる手段として、例えば
炭化水素ガスに水素ガスを混合させることがある。この
場合、水素ガスは、水素ガスを用いない場合に比べ低い
温度においてプラズマ化した炭化水素ガスの活性種との
反応を促進させること、および、ダイヤモンドの成長と
同時に進行する黒鉛状炭素の析出を抑制する効果をも
つ。しかし、水素ガスの使用は、形成装置内に存在する
酸素ガスとの反応による爆発、あるいは水素ガスは形成
装置から漏れやすいため、前記漏れた水素ガスと大気中
酸素ガスとの反応による爆発の危険性という問題点を新
たに発生させる。この危険性は、少なくとも水素ガスを
用いれた従来の高硬度炭素膜形成方法を工業化する場合
には解決されなければならない。また、前記成膜速度を
増大させる他の手段として、例えば、炭化水素ガス,水
素ガスの少なくとも一方の流量を増大させること、基体
に印加する直流電圧を増加させること、基体温度をさら
に上昇させることなどがあるが、いずれの手段も従来の
高硬度炭素膜形成方法における低成膜速度という問題点
を根本的に解決するものではない。従来の高硬度炭素膜
形成方法の中でも比較的成膜速度が大きいものとして、
PVD法があるが、この方法でも例えば前記従来例に示
したように成膜速度は、たかだか1200Å/min膜の
結合力は、CVD法、特にプラズマCVD法によるもの
より小さい。さらにまた、前記のようにPVD法では形
成膜上で蓄積される正電荷を中和するために、例えば電
子照射装置などが付加されるため、高硬度炭素膜形成コ
ストが増加し、工業化には不利である。
問題点を解決するための手段 本発明は、高硬度炭素膜を形成する上で従来の高硬度炭
素膜形成方法にあった前記諸問題点を解決するために、
炭化水素ガス(分圧:PCHTorr)とアルゴンガス(分
圧:PATorr)を含有する圧力比(PA/PCH)が0.1〜1
0、総圧力(PCH+PA)が0.1〜10Torrの混合ガスを
吹出し口を有するプラズマ発生容器に導入し、前記混合
ガスを炭素,水素,アルゴンのイオン種,ラジカル種,
中性種と炭化水素のイオン種,ラジカル種,中性種と電
子からなるプラズマ状気体に励起し、そのプラズマ状気
体を前記吹出し口の下流に設けられた−0.1〜−5k
Vの直流電位の基体に吹付ける。
作 用 発明者らは、研究の結果、炭素,水素,アルゴン各元素
単体のイオン種,ラジカル種,中性種と、炭化水素のイ
オン種,ラジカル種,中性種,および電子を含むプラズ
マを基体に吹付けるプラズマCVD法によって、機械
的,電気的,光学的,熱的,化学的に極めて優れた特性
を有し応用分野が極めて広範囲な高硬度炭素膜を形成し
得た。
本発明では前記プラズマ中に含まれる各種は、例えば以
下のように基体へ吹付けられる。本発明でのプラズマ
は、例えば圧力がO.数Torrの弱電離プラズマであり粘
性流体としてふるまい、例えば圧力差によっても流動す
るため、基体をプラズマ発生部より低圧力側に設置すれ
ば、前記イオン種,ラジカル種,中性種、および、電子
をふくむプラズマは基体に吹付けられる。さらに、一部
のイオン種は例えばプラズマ電位に対し基体側が負電位
になるよう直流電界を設定することで基体方向へ加速さ
れ基体に吹付けられる。このとき、電子は前記直流電界
を発生する電極に、プラズマの圧力により決まるシース
長より大きい孔を1つ以上設け、前記直流電界をある範
囲内に設定することによって、電極に捕捉されずに、か
つ、基体側の負電位により斥力を受け減速されつつ基体
に吹付けられる。
本発明では以上のように、プラズマ中の少なくともイオ
ン種を基体方向へ加速しつつ、ラジカル種、中性種、電
子を含むプラズマを基体へ吹付けるプラズマCVD法に
よって高硬度炭素膜を形成する。このとき、前記炭素ラ
ジカル種は基体へ到達し、例えば炭素ラジカル種相互の
化学的結合により膜形成が行なわれる。PVD法では、
例えば前記のようにイオン種を高直流電圧により加速し
形成膜を衝撃し物理的結合状態の形成膜の結合力を増大
させているが、本発明の形成膜は物理的結合より強力な
化学的結合であるため、より小さい直流電圧でさえも強
力な結合力の高硬度炭素膜を形成し得る。また、炭化水
素ガスはプラズマ状態になることによって分解され、水
素ラジカル種,水素イオン種などを発生する。これらの
種は、形成膜において黒鉛状炭素の析出を抑制しダイヤ
モンドの析出を促進させる作用をもつため、優れた高硬
度炭素膜を形成し得る。アルゴンガスはプラズマ化さ
れ、アルゴンイオン種を発生する。このアルゴン種は、
前記のように例えば直流電界によって基体方向へ加速さ
れ、形成膜を衝撃する。この衝撃によって形成膜中に含
まれる炭化水素の炭素水素結合を切断し、形成膜中の炭
素含有率を増大するとともに、形成膜の一部黒鉛状構造
をダイヤモンド構造に変換させる作用をもつ。また、前
記アルゴンは形成膜に吸着され、形成膜中に含有される
可能性も考えられるが、アルゴンは不活性であるため、
何ら問題とはならず、優れた高硬度炭素膜を形成し得
る。アルゴンガスの準安定電圧は11.53eVであり、一
方、メタンガス,アセチレンガス,エチレンガス,エタ
ンガス,ブタンガスなどの炭化水素ガスの準安定電圧は
8〜10eVであるため、ペニング効果によりプラズマの
放電を促進、かつ、安定化する。この結果、成膜速度
が、アルゴンガスを用いない場合に比べ極めて増大す
る。またアルゴンガスは不活性ガスであるため、爆発,
毒性の危険性がなく、その上、安価であるため、本発明
による高硬度炭素膜形成方法は工業化には非常に有利で
ある。また、本発明では、前記のようにイオンとともに
電子も基体へ吹付けられる。従って前記従来例のような
形成膜上での正電荷蓄積を中和する付加手段を用いなく
ても、イオン種が反発されることなく前記のような粘性
流体としてのプラズマが基体に吹付けられ、高成膜速度
で高硬度炭素膜を形成し得る。また、プラズマ発生部で
は数万℃もの高エネルギー電子は、例えば前記のように
イオン種を加速するために基体側が負電位となるように
設定された直流電界中では、基体へ接近するに従い斥力
を受け減速されて、基体へ吹付けられる際に低エネルギ
ー電子となる。この結果、本発明では、基体温度は常に
室温のまま高硬度炭素膜を形成し得た。
以上のように本発明の高硬度成形方法によれば基体温度
は室温のまま、形成膜上での正電荷蓄積を中和する手段
を用いずとも、高成膜速度で、結合力が大きい高硬度炭
素膜を、安全、かつ容易に形成し得る。従って、本発明
は高硬度炭素膜を形成する産業分野において極めて重要
な技術である。
実施例 本発明は、例えば以下のように実施されることによって
高硬度炭素膜を基体上に形成し得る高硬度炭素膜形成方
法である。
炭化水素ガスとアルゴンガスを含有する混合ガスで、例
えば予め真空排気されている吹出し口を有するプラズマ
発生容器(以下、Aと記す)内を所定の圧力に満す。前
記Aは炭化水素ガス,およびアルゴンガスをA内へ導入
するための導入口を1つ以上有し、かつ、プラズマを基
体に吹付けるための吹出し口を1つ以上有する。炭化水
素ガスとしては、例えばメタンガス,アセチレンガス,
エチレンガス,エタンガス,ブタンガスなどを使用して
もよい。炭化水素ガスとアルゴンガスはA内へ導入され
る以前に混合されていてもよく、また、A内へ別々に導
入され混合されてもかまわない。Aは、A内圧力より低
圧力の真空容器(以下、Bと記す)と前記混合ガスが流
動し得るように連結されており、A内の混合ガスはB
へ、両者の圧力差のみによっても流動し得る。A内を所
定の圧力に制定,安定化した御、A内の混合ガスがプラ
ズマ化されるが、炭化水素ガスとアルゴンガスが別々に
Aへ導入される場合には、別々にプラズマ化されてもか
まわない。前記プラズマ化の手段としては、高周波放
電、マイクロ波放電などがあるが、基体温度を上昇させ
にくい高周波放電が望ましい。前記プラズマは例えば炭
素,水素,アルゴン各元素単体のイオン種,ラジカル
種,中性種と、炭化水素のイオン種,ラジカル種,中性
種,および電子を含んでいる。このプラズマはAの吹出
し口から、プラズマの下流方向に設置された基体に吹付
けられる。プラズマを基体に吹付けるには、A内圧力と
B内圧力との圧力差,および、プラズマに例えば電気的
などを併用させる方法がある。例えば、プラズマの下流
方向が負の電位となるように直流電界を設定すれば、プ
ラズマ中の少なくともイオン種はプラズマ下流方向、す
なわち、基体方向に加速され基体へ到達する。また、少
なくとも正電極に、電子が電気力で捕捉されない大きさ
の孔を1つ以上設けることで、前記プラズマ中の電子も
基体へ到達する。前記孔の大きさは、少くともプラズマ
の圧力によって決まるシース長より大きく設定される。
また電気力の作用を受けない前記ラジカル種,中性種な
どは、本発明でのプラズマが例えばO.数Torr弱電離状
態であり、プラズマは一般気体の粘性流のようにふるま
うため前記孔を通過し吹出し口から気体へ吹付けられ
る。本発明ではこのようにしてプラズマが気体に吹付け
られて高硬度炭素膜が形成される。
さらに具体的な本発明に基づく実施例を第1図〜第3図
を用いて説明する。
高硬度炭素膜形成に先んじて、気体表面を洗浄し高硬度
炭素膜と気体との密接力を増加させるため前グロー処理
を行なう。前グロー処理に使用するガスとしては気体の
変質,および、ガスの取扱いやすさなどの点で不活性ガ
スを用い、本実施例では高硬度炭素膜形成時においてア
ルゴンガスを使用するため、前グロー処理にもアルゴン
ガスを使用した。
前記前グロー処理に引続いて高硬度炭素膜を基体8に形
成する操作が行なわれる。前記前グロー処理が終了した
後、ガラス管からなるプラズマ発生容器13、および、
真空容器14は、真空計12の読みが、例えば、10-4To
rrの圧力になるまで真空ポンプ15で排気される。次に
炭化水素ガス2、および、アルゴンガス9のガラス管1
3内での圧力が、所定の圧力になるように真空計12と
流量調整弁3、および流量調整弁10により設定され
る。プラズマ発生容器13内に炭化水素ガス2とアルゴ
ンガス9とを含有する混合ガスは、例えば第1図に示す
ように高周波電源1と励起コイル11とによりプラズマ
化される。このようにプラズマ化された前記混合ガスは
プラズマ発生容器13内圧力と真空容器14内圧力との
圧力差、および、プラズマ中の少なくともイオン種は、
例えば第1図に示す直流電源6により基体8が正電極5
に対し負電位となるように設定された直流電界によって
電気的に加速され基体8に吹付けられる。本実施例では
前記のようにプラズマ中のイオン種を加速し基体に到達
させるとともに、電子も基体に到達させるため、少なく
とも正電極に前記シース長程度以上の大きさの孔を1つ
以上設ける。本実施例では、正電極5として例えば第2
図に示すような、一端面が開放された格子状物体で構成
される円筒物体を用いた。また、負電極7としては例え
ば第3図に示すような円板物体を用いた。前記正電極の
開き目が2mmのものを用いた結果、形成膜上での正電極
蓄積は問題とならなかった。以上の操作によって、基体
8上に高硬度炭素膜が形成されるが、プラズマ発生容器
13,真空容器14は、前記操作中、常に真空ポンプ1
5によってプラズマ発生容器13,真空容器14内圧力
が一定に保たれるように排気される。本操作は所定の膜
厚が基体8上に形成された後に、高周波電源1による電
力供給、および炭化水素ガス2,アルゴンガス9の供給
が止められて終了する。
炭化水素ガスとしては、メタンガス,アセチレンガス,
エチレンガス,エタンガス,ブタンガスなどを使用して
もよい。第1表に、メタンガスを使用し高硬度炭素膜を
形成した場合の一形成条件例,および第2表に前記条件
での形成方法の特性,形成膜の特性を示す。
我々は本実施例によって、広範囲な形成条件で高硬度炭
素膜を形成し得た。第3表に本実施例で高硬度炭素膜を
形成し得た形成条件を示す。Vはイオン種加速用直流
電圧,FM/Wは炭化水素ガス流量(F)と炭化水素ガス分子
量(M)との積と高周波電源によるプラズマ励起電力(W)と
の比であり、PA/PCHはガラス管内におけるアルゴンガス
圧力(PA)と炭化水素ガス圧力(PCH)との比である。
以上のように、本発明の高硬度炭素膜形成方法に基づい
た本実施例によって、高硬度炭素膜が、基体は室温のま
まで、しかも正電荷蓄積を中和する付加的手段を用い
ず、従来に比べ数倍〜数10倍もの高成膜速度で得られ
た。本実施例では水素ガスを用いずアルゴンガスを用い
て高硬度炭素膜を形成し得たため、工業化する際に極め
て有利である。また、アルゴンガスを用いているため、
基体表面の前グロー洗浄処理と、高硬度炭素膜の形成が
基体を形成装置内に設置したまま連続して処理できるこ
とも、本発明を工業化する際に有利な点の一つである。
なお、総圧力(PCH+PA)は実施例では0.4Torrとした
が、0.1〜10Torrの範囲であれば同様の効果が得ら
れる。
発明の効果 本発明の高硬度炭素膜形成方法は、炭化水素ガス,アル
ゴンガスを含有する混合ガスを、炭素,水素,アルゴン
各元素単位のイオン種,ラジカル種,中性種と、炭化水
素のイオン種,ラジカル種,中性種,および電子を含む
プラズマ状態に励起し、前記プラズマを基体に吹付ける
プラズマCVD法によって高硬度炭素膜を基体に形成す
ることを特徴としている。その結果、従来の高硬度炭素
膜形成方法では基体温度が少なくとも室温より高温で、
しかも低成膜速度でしか得られなかった高硬度炭素膜
を、一挙に基体温度を室温のままで、しかも膜形成中の
形成膜上の正電荷蓄積を中和する付加手段を用いること
なく従来に比べ数倍〜数10倍もの高成膜速度で得るこ
とができる。本発明はプラズマCVD法であるため、例
えば電気力によりイオン種を加速する場合の直流電圧は
PVD法の場合に比べ小さい値でも結合力の強い高硬度
炭素膜を得た。従って本発明の高硬度炭素膜形成方法で
は、従来では基体温度が上昇するため基体材質として用
いていた、例えば金属,半導体,ガラスはいうにおよば
す、殆んどすべてのプラスチック材料にさえも、電気的
に中和する付加手段を用いず、結合力の強い高硬度炭素
膜を、短時間に形成し得る。さらに本発明では、水素ガ
スを使用せずアルゴンガスを使用していて高硬度炭素膜
を形成し得る。従って水素ガスによる爆発の危険などは
まったくない上に、基体の表面洗浄として極めて重要な
前グロー処理もアルゴンガスで行なっているため、前記
前グロー処理工程と高硬度炭素膜形成工程度が基体を設
置したまま連続して行える、たど工業化に非常に有利で
ある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の高硬度炭素膜形成方法を実施した装置
の原理図、第2図,第3図は同装置の一部分の斜視図、
第4図,第5図はそれぞれ従来の方法による装置の原理
図である。 2……炭化水素ガス、8……基体、9……アルゴンガ
ス、13……プラズマ発生容器、14……真空容器、1
6……吹出し口。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 米澤 武敏 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−5882(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭化水素ガス(分圧: PCH Torr)とアルゴ
    ンガス(分圧: P Torr)を含有する圧力比(P
    CH)が0.1〜10、総圧力(PCH+PA)が0.1〜1
    0Torrの混合ガスを吹出し口を有するプラズマ発生容器
    に導入し、前記混合ガスを前記プラズマ発生容器内にお
    いて炭素、水素、アルゴンのイオン種、ラジカル種、中
    性種と炭化水素のイオン種、ラジカル種、中性種と電子
    からなるプラズマに励起し、そのプラズマを前記吹出し
    口より粘性流として、−0.1kV〜−5kVの負電位
    の基体に吹付けて、前記基体に高硬度炭素膜を形成する
    ことを特徴とする高硬度炭素膜形成方法。
JP59258038A 1984-08-31 1984-12-06 高硬度炭素膜形成方法 Expired - Lifetime JPH0637704B2 (ja)

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JP59258038A JPH0637704B2 (ja) 1984-12-06 1984-12-06 高硬度炭素膜形成方法
EP19850115085 EP0183254B1 (en) 1984-11-29 1985-11-28 Plasma CVD apparatus and method for forming a diamond-like carbon film
DE19853587881 DE3587881T2 (de) 1984-11-29 1985-11-28 Verfahren zur plasma-chemischen Abscheidung aus der Dampfphase und Verfahren zur Herstellung eines Films von diamantähnlichem Kohlenstoff.
US06/803,001 US4645977A (en) 1984-08-31 1985-11-29 Plasma CVD apparatus and method for forming a diamond like carbon film

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JPS61136678A JPS61136678A (ja) 1986-06-24
JPH0637704B2 true JPH0637704B2 (ja) 1994-05-18

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