JPH0636258Y2 - エンジンの排気騒音低減装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、エンジン特にショベルローダ等作業車両用の
エンジンに採用されて好適な排気騒音低減装置に関する
ものである。

（従来の技術） ショベルローダ等の作業用車両は、住宅地や商業地内
で、又はこれらに隣接する地域で長時間に亘り作業に従
事することが多いので、エンジンの排気騒音の低減が要
望されている。従来、エンジンの排気騒音を低減するた
めに、通常各１個以上の拡散室及び共鳴室を筒状のケー
シング内に形成したマフラが広く使用されているが、必
ずしも十分な排気騒音低減効果が得られていない。

（考案が解決しようとする課題） 技術上良く知られているように、エンジンの排気騒音
は、エンジンのシリンダ内で行なわれる爆発及び燃焼圧
力の変動に基づく振動、吸排気弁の開閉に基づく振動、
更に排気管内で生起される気柱振動等周波数を異にする
種々の音波が排気ガスに乗ってマフラに運ばれ、同マフ
ラ内で相当部分の音波が吸収され減衰されたのち、残部
がテールパイプから外気に放散されることに基づくもの
である。上記マフラの排気騒音低減効果を向上するため
には、マフラ内部に従来より多くの拡散室及び共鳴室を
設ければ良いのであるが、拡散室及び共鳴室の増加と共
に構造が著しく複雑になって高価となり、また大型化し
て広い搭載スペースが必要になる等の不具合があり、更
に排気抵抗が増大してエンジンの出力、燃費等の悪化を
招く不都合がある。

本考案は、マフラ自体の構造の複雑化及び大型化を伴う
ことなく、またエンジン性能の著しい悪化を招くことな
く、効果的に排気騒音を低減することができるようにし
た排気騒音低減装置を安価に提供することを目的とする
ものである。

（課題を解決するための手段） 本考案に係るエンジンの排気騒音低減装置は、上記目的
を達成するために創案されたもので、一端をエンジンの
排気管の下流端に接続され、中間部分をマフラの排気ガ
ス入口管の上流端に接続された基部管部材と、上記基部
管部材の他端に接続され環状に形成された環状管部材
と、上記基部管部材の他端から時計方向及び反時計方向
に関し実質的に等距離の環状管部材内に収蔵されたグラ
スウール等の吸音材とを具備してなることを特徴とする
ものである。

（作用） 本考案によれば、排気ガスに乗って排気管内を流れてき
た音波が、マフラに入る直前で、一端を排気管の下流端
に接続された基部管部材の他端から環状管部材内に時計
方向及び反時計方向に分れて流入し、上記吸音材が配置
され中央部分で衝突することによって音波の振動エネル
ギの少くとも一部が失なわれ、同時に種々周波数の音波
の振動が正負重なり合い干渉を生ずることによっても音
波のエネルギの一部が失なわれる。更に、上記音波の衝
突部位に配置された吸音材によって、音波のエネルギの
他の一部が吸収される。

（実施例） 以下本考案の実施例を添付図面について具体的に説明す
る。図中符号10はショベルローダ等作業車両用のエネル
ギーを概念的に示し、12は同エンジンの排気マニホール
ド、14は同排気マニホールドに連結された排気管、16は
排気管14の下流端に一端を接続されて恰も同排気管の延
長部を形成するように配置された基部管部材、18は上記
基部管部材16の他端に接続され管部材を環状に曲げて第
２図に示されているように左右略対称に形成された環状
管部材、20は上記基部管部材16の他端から矢印Ａで示し
た時計方向及び矢印Ｂで示した反時計方向に関して実質
的に等距離の環状管部材18内の部位に収蔵されたグラス
ウール等の吸音材、22は上記基部材16の一端と他端との
間の中間部分に接続されたマフラ24の排気ガス入口管、
26は同マフラの排気ガス出口管、28は上記出口管26に連
結されたテールパイプである。

上記構成によれば、エンジンの運転中に排気ガスに乗っ
て運ばれる種々の周波数の音波は、その直進性向のため
に大部分が排気管14の延長部を形成している基部管部材
16から矢印Ａで示した時計方向及び矢印Ｂに示した反時
計方向の二手に分れて環状管部材18内に流入する。二手
に分れた音波は実質的に等距離の部位に配置された吸音
材20の部分で互いに衝突し、衝突によって音波エネルギ
の一部が失なわれる。また、周波数が異なる音波の波動
が正負重なり合うことによって音波エネルギの他の一部
が失われ、更に吸音材20によって音波エネルギの一部が
吸収される。上記環状管部材18内で吸収されなかった音
波の残部は、排気ガスと共に入口管22からマフラ24内に
入り、同マフラ内で更に減衰して出口管26及びテールパ
イプ28を経て外部に放散される。従って最終的にテール
パイプ28から外部に放散される排気騒音がマフラの大型
化、構造複雑化を伴うことなく、かつエンジンの性能に
悪影響を与えることなく、極めて効果的に低減されるこ
ととなる。

上記のように基部管部材16及び吸収材20を内蔵した環状
管部材18を排気管14とマフラ24の排気ガス入口管22との
間に介装することによって、マフラ18には小型軽量かつ
安価なもの、例えばトラック等の一般車両用に大量に生
産され、従って極めて安価なものを適宜流用することが
でき、全体としての製造コストを十分に安くすることが
できる利点がある。また図示した実施例では、基部管部
材16及び環状管部材18が鉛直下向きに延在して画かれて
いるが、その音波エネルギ減衰効果は水平方向、鉛直上
向き、又は斜方向等配置方向の如何により何等変化しな
いので、車両への搭載に際して空いたスペース内に自由
に配置することができ、搭載性が優れている利点があ
る。

（考案の効果） 叙上のように、本考案に係るエンジンの排気騒音低減装
置は、一端をエンジンの排気管の下流端に接続され、中
間部分をマフラの排気ガス入口管の上流端に接続された
基部管部材と、上記基部管部材の他端に接続され環状に
形成された環状管部材と、上記基部管部材の他端から時
計方向及び反時計方向に関し実質的に等距離の環状管部
材内に収蔵されたグラスウール等の吸音材とを具備して
なることを特徴とし、簡単な構成によってエンジン等に
作業用車両のエンジンの排気騒音を効果的に低減するこ
とができるので、実用上極めて有益である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す概略構成図、第２図は
第１図の矢印II方向から視た要部を断面で示した正面図
である。 10…エンジン、12…排気マニホールド、14…排気管、16
…基部管部材、18…環状管部材、20…吸音材、22…排気
ガス入口管、24…マフラ、26…排気ガス出口管、28…テ
ールパイプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】一端をエンジンの排気管の下流端に接続さ
   れ、中間部分をマフラの排気ガス入口管の上流端に接続
   された基部管部材と、上記基部管部材の他端に接続され
   環状に形成された環状管部材と、上記基部管部材の他端
   から時計方向及び反時計方向に関し実質的に等距離の環
   状管部材内に収蔵されたグラスウール等の吸音材とを具
   備してなることを特徴とするエンジンの排気騒音低減装
   置