JPH0635690U - 組立式ブレーキディスク - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ディスクプレート、仕切り板など全ての部材
を組立式構造とすることにより、プレス加工にて製造す
ることを可能とし、量産性を上げ、低コスト化を図り、
また、性能、精度向上のための対応を容易とし、さらに
は、多重ディスク盤構造とすることも容易とする。 【構成】 ２枚のディスクプレート３，４を仕切り板５
を挟んで対向するように配置し、これらのディスクプレ
ート３，４と仕切り板５とをボス部２に雌ネジ１９と雄
ネジ２０により締め付け、固定することにより、ブレー
キディスクが一体に組立てられる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、複数のディスクプレートを有する組立式ブレーキディスクに関する 。

【０００２】

【従来の技術】

従来、ディスクブレーキ装置用のブレーキディスクにおいて、２枚のディスク プレートが対向配置され、このプレート間に通気孔を形成したベンチレーテッド ディスクがある。このベンチレーテッドディスクは、回転により空気が遠心力で 通気孔を流れるため、一枚構造のディスクよりも熱放散性が高く、冷却機能が向 上する。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、このベンチレーテッドディスクにおいて、２枚のディスクプレ ート間に通気孔を形成するための仕切り部材は、２枚のディスクプレートの内の 一方のディスクプレートと一体に形成されており、形状が複雑なため、該ディス クプレートは鋳造加工されていた。このため、量産性に欠けると共にコスト高と なっていた。また、鋳造加工のため、性能、精度を変更しようとしても対応が容 易ではなく、例えば、ベンチレーション効果を高めるため、構成に工夫を加えよ うとしても限界があった。さらには、全ての部品が組立式となっていないため、 多重ディスク盤構造にすることも難しく、また、部品の取り換えが容易ではなく 、現場における対応も困難であり、さらに、各部品の素材選択の余地も少ないと いった問題を有していた。 本考案は、上述した問題点を解決するもので、ディスクプレート、仕切り板な ど全ての部材を組立式構造とすることにより、プレス加工にて製造することが可 能となり、量産性が上り、低コスト化が図れ、また、性能、精度向上のための対 応が容易となり、さらには、多重ディスク盤構造とすることも容易な組立式ブレ ーキディスクを提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために本考案は、回転軸を嵌め込むための開口を有するボ ス部と、前記回転軸を貫通させるための開口を有する複数のディスクプレートと 、前記回転軸を貫通させるための開口と外側に放射状に延びる複数の突片とを有 する仕切り板とからなり、前記複数のディスクプレートが前記仕切り板を挟んで 対向するように配置され、それらの複数のディスクプレートと仕切り板とが前記 ボス部に締め付け部材により締め付け、固定される組立式ブレーキディスクであ る。

【０００５】

【作用】

上記の構成によれば、複数のディスクプレートを仕切り板を挟んで対向するよ うに配置し、これらの複数のディスクプレートと仕切り板とをボス部に締め付け 部材により締め付け、固定することにより、ブレーキディスクが一体に組立てら れる。締め付け部材を緩めると、複数のディスクプレートと仕切り板とはボス部 より離脱され、分解される。各部材が全て別部材であり、組立式構造となってい る。

【０００６】

【実施例】

以下、本考案を具体化した一実施例について図１乃至図５を参照して説明する 。図１は本実施例による組立式ブレーキ装置の組立状態を、図２は同ブレーキ装 置におけるブレーキディスクの分解状態を、図３、図４、図５はそれぞれ同ブレ ーキディスクの正面、側面、断面を示す。本ブレーキディスクは、回転シャフト １へ固定されるボス部２と、対向配置される２枚のディスクプレート３，４と、 各ディスクプレート３，４間に挟み込まれる仕切り板５とからなり、これら全て の部材が組立式構造となっている。

【０００７】 ボス部２は、中空円柱状で、シャフト１を嵌め込むための中空部６を有し、そ の内周壁には、係止用溝７が軸方向に延びて形成されている。そして、ボス部２ がシャフト１に嵌め込まれたとき、シャフト１の外周壁に形成された係止用突部 ８が係止用溝７に係合されることにより、ボス部２がシャフト１と一体に回転さ れるようになっている。また、ボス部２の端縁部には、帯状の突部９が設けられ ており、この突部９の周壁に、ネジが挿通される断面略半円形状の溝１０が所定 間隔をもって形成されている。

【０００８】 ディスクプレート３，４は、ボス部２を嵌め込むための開口１１を中央に有し 、その内径が前記ボス部２の突部９の外径とほぼ同径となるように形成されてい る。その内周縁には、略半円形状の凹部１２が所定間隔をもって設けられており 、また、隣り合う凹部１２間には、外径方向に開口１１と連通した通気孔１３が 形成されている。さらに、ディスクプレート３，４表面の所定位置には、複数の 孔１４が形成されている。

【０００９】 仕切り板５は、斜め放射状方向に延びる突片１５を有すると共に、ボス部２を 嵌め込むための開口１６を中央に有し、その内径が前記突部９の外径と同径とな るように形成されている。また、その内周縁には、略半円形状の凹部１７が所定 間隔をもって設けられている。上記ディスクプレート３，４及び仕切り板５はい ずれも板材よりプレス打抜きにて量産することができる。

【００１０】 上記の２枚のディスクプレート３，４は仕切り板５を挟んで対向配置され、そ れらの中央に有した開口１１，１６にボス部２が嵌め込まれる。このとき、ディ スクプレート３，４及び仕切り板５に設けられた凹部１２，１７とボス部２に設 けられた溝１０とにより略円形状のネジ挿通孔１８（図５参照）が形成されると 同時に、仕切り板５は、ディスクプレート３，４に形成された通気孔１３及び孔 １４を塞がない位置に固定される。そして、このネジ挿通孔１８に雌ネジ１９が 一方のディスクプレート４側より嵌め込まれ、その雌ネジ１９に対して雄ネジ２ ０がもう一方のディスクプレート３側より螺合され、締め付けられる。これによ り、ディスクプレート３，４と仕切り板５とがボス部２に固定される。また、雌 ネジ１９と雄ネジ２０との螺合が緩められると、ディスクプレート３，４と仕切 り板５とはボス部２より離脱され、分解される。

【００１１】 このような組立式ブレーキディスクからなるブレーキ装置には、図１に示すよ うに、摩擦パットを有したキャリパ２１が備えられ、このキャリパ２１は２枚の ディスクプレート３，４に跨設されている。ボス部２がシャフト１に嵌め込まれ ると、ボス部２に形成された係止用溝７がシャフト１に形成された係止用突部８ に係合されることにより、ディスクプレート３，４がシャフト１と一体に回転さ れる。そして、ブレーキペダルを踏み込む等のブレーキ動作が行われると、キャ リパ２１内のシリンダに油圧が作用し、摩擦パットが２枚のディスクプレート３ ，４の両側より押し付けられることにより、ディスクプレート３，４の回転にブ レーキをかけることができる。

【００１２】 このように回転する２枚のディスクプレート３，４に摩擦パットが押し付けら れると、摩擦熱が発生し、この摩擦熱はディスクプレート３，４の回転により冷 却されるが、ディスクプレート３，４間に仕切り板５を設け、かつ、その仕切り 板５は、突片１５を放射状に有し、ディスクプレート３，４に形成された通気孔 １３及び孔１４を塞がない位置にて固定されているので、２枚のディスクプレー ト３，４間に効率良く空気が送られ、通気孔１３、孔１４を流れるので、冷却機 能が高まり、安定した制動性能が得られる。

【００１３】 上述のごとく、ボス部２に組付けられる２枚のディスクプレート３，４と仕切 り板５の全てを組立式構造とすることにより、形状が複雑なベンチレーテッドデ ィスクもプレス加工にて容易に製造することが可能となり、量産性が向上すると 共に、低コスト化が図れる。また、あらゆる性能、精度向上のための対応が容易 となり、現場における各部品の取り換えも容易となる。さらに、各部品の組み合 わせにより多重ディスク盤構造にすることも可能である。

【００１４】 なお、本考案は上記実施例構成に限られるものではなく、本考案の要旨を逸脱 しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、本考案では２枚のディスクプレ ート３，４を用いて２枚構造のベンチレーテッドディスクとしたが、多数枚のデ ィスクプレートを仕切り板を各々挟んで対向するように配置し、多重ディスク盤 構造にしてもよい。また、本考案では、ディスクプレート３，４と仕切り板５と を雌ネジ１９と雄ネジ２０の螺合によりボス部２に固定したが、雌ネジ１９及び 雄ネジ２０のかわりにリベットを用い、リベット打ちにより固定してもよい。ま た、組立式ブレーキディスクにおいて、ディスクプレート３，４の外周部が拡が るのを防ぐために、仕切り板５の突片１５の先端部及びディスクプレート３，４ の外周部に孔を形成し、これらの孔にリベットを貫通させてリベット打ちにより 固定してもよい。

【００１５】

【考案の効果】

以上のように本考案によれば、ボス部と複数のディスクプレートと仕切り板と の全てを組立式構造とすることにより、（１）ベンチレーテッドディスクをプレ ス加工にて製造することが可能となり、（２）量産性が向上すると共に、加工コ ストが安価となり、（３）各部品の加工精度が高められ、（４）あらゆる性能、 精度向上のための対応が容易となり、（５）現場における各部品の取り換えが容 易となり、（６）各部品の組み合わせにより多重ディスク盤構造にすることも可 能で、（７）ディスクプレートの素材選択の範囲が広がり、例えば、ディスクプ レートをカーボン製あるいはステンレス製とし、仕切り板をアルミ製とすること も可能となる等、多くの効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例による組立式ブレーキ装置の
組立状態を示す斜視図である。

【図２】本実施例による同ブレーキ装置のブレーキディ
スクの分解状態を示す斜視図である。

【図３】同ブレーキディスクの正面図である。

【図４】同ブレーキディスクの側面図である。

【図５】図３のＡ−Ａ´線断面図である。

【符号の説明】

２ ボス部 ３ ディスクプレート ４ ディスクプレート ５ 仕切り板 １５ 突片 １９ 雌ネジ ２０ 雄ネジ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転軸を嵌め込むための開口を有するボ
   ス部と、前記回転軸を貫通させるための開口を有する複
   数のディスクプレートと、前記回転軸を貫通させるため
   の開口と外側に放射状に延びる複数の突片とを有する仕
   切り板とからなり、前記複数のディスクプレートが前記
   仕切り板を挟んで対向するように配置され、それらの複
   数のディスクプレートと仕切り板とが前記ボス部に締め
   付け部材により締め付け、固定されることを特徴とする
   組立式ブレーキディスク。