JPH0635655U

JPH0635655U - 転がり軸受潤滑装置

Info

Publication number: JPH0635655U
Application number: JP076767U
Authority: JP
Inventors: 幸孝早川; 康宏清水
Original assignee: エヌティエヌ株式会社
Priority date: 1992-10-09
Filing date: 1992-10-09
Publication date: 1994-05-13

Abstract

(57)【要約】【目的】運転に伴う潤滑剤の微量供給が行えて潤滑寿
命の向上および発熱防止が図れ、かつ加工が簡単なもの
とする。【構成】内輪２の内径面に円周溝からなる潤滑剤溜め
空間６を設け、この空間６から内輪２の軌道面２ｂ付近
に開通する貫通孔７を設ける。貫通孔７にはピン９を圧
入し、ピン９と貫通孔７との嵌め合い面に微小隙間の潤
滑剤流出路１０を形成する。前記微小隙間は、嵌め合い
面における面粗さや、ピン表面に設けた微小溝等によっ
て形成される。潤滑剤溜め空間６は、内輪２に隣接する
内輪間座に設けても良い。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、潤滑剤溜め空間に充填したグリース等の潤滑剤を運転に伴って自然供給する転がり軸受潤滑装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

工作機械の主軸等のような高速回転軸に使用される軸受では、グリース潤滑で使用される場合、軌道面付近にグリースを少量塗布して運転される。このグリース量は、攪拌抵抗による軸受の発熱を極力抑えるために少量に制限されている。このため、潤滑寿命の長期化が望めない。

【０００３】グリース潤滑の潤滑寿命の向上対策としては、例えば保持器または内輪間座にグリース溜まりを設け、軸の回転に伴う遠心力で細孔からグリースまたはその基油を軌道面へ自然供給するものが提案されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、細孔から流出させる場合、孔径の加工上の限界で流量の絞り効果を充分に得ることが難しい。そのため、潤滑剤の微量供給による潤滑寿命の向上効果が、いま一つ満足できない。

【０００５】この考案の目的は、潤滑剤の微量供給が行えて潤滑寿命の向上および発熱防止が図れ、かつ加工が簡単な転がり軸受潤滑装置を提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

請求項１の考案の転がり軸受潤滑装置は、内輪に潤滑剤溜め空間を設け、この空間から転動体の軌道面付近に開通する貫通孔を設け、この貫通孔に嵌合したピンと前記貫通孔との嵌め合い面に微小隙間の潤滑剤流出路を形成したものである。前記微小隙間は、嵌め合い面における面粗さや、ピン表面に設けた微小溝等によって形成される。請求項２の考案の転がり軸受潤滑装置は、内輪間座に潤滑剤溜め空間を設け、この空間から転動体の軌道面付近に開通する貫通孔を設け、この貫通孔に請求項１の場合と同様にピンを嵌合させて、嵌合面に微小隙間の潤滑剤流出路を形成したものである。

【０００７】

【作用】

これら請求項１および請求項２の構成によると、潤滑剤溜め空間に充填された潤滑剤またはその成分が、ピンと貫通孔との嵌め合い面における潤滑剤流出路から、毛管現象や、内輪の回転に伴う遠心力により軌道面へ自然供給される。そのため潤滑寿命が向上し、また軌道面の潤滑剤初期塗布量を少量として発熱防止が図れる。流出流量の調節は、嵌め合い面の面粗さ、嵌め合い締め代、あるいはピン表面の微小溝等によって行える。そのため、流出流量の調節が簡単な加工で容易に行え、また流出流量を極少量とすることもできる。

【０００８】

【実施例】

この考案の一実施例を図１に基づいて説明する。この実施例は、単列円筒ころ軸受に適用した例であり、請求項１に対応する。軸受１は、鍔２ａを有する内輪２と、鍔無しの外輪３との間に、保持器４に保持された転動体５を介在させたものである。内輪２の内径面には、円周溝からなる２個の潤滑剤溜め空間６が形成され、円周方向複数箇所で、径方向の貫通孔７が、各潤滑剤溜め空間６から軌道面２ｂの両側縁の研磨盗み８に各々貫通して設けられている。各貫通孔７には直軸状のピン９を圧入し、その嵌め合い面に、面粗さ（例えば、Ｒ_MAX０．２〜５μｍ）で生じる微小隙間の潤滑剤流出路１０が形成してある。ピン９は、図２（Ａ）に示すようなストッパ用の鍔９ａを有するものや、同図（Ｂ）のテーパピン９′であって良い。テーパピン９′を用いる場合、貫通孔７もピン９′に応じたテーパ状とする。

【０００９】各潤滑剤溜め空間６には潤滑剤１１が充填される。この潤滑剤１１としては、一般の半固体または固体状のグリースの他に、液体状グリースやプラスチックグリース、含油樹脂、潤滑剤を含ませた織布やフェルト等を使用することができる。プラスチックグリースは、超高分子量ポリエチレンまたは超高分子量ポリオレフィン等の樹脂とグリースとの混合物を加熱溶融させて冷却により固形化した組成物であり、油が徐々に滲み出すものが開発されている。なお、軸受１の内輪２および外輪３の軌道面２ｂ，３ｂには、少量のグリース等の潤滑剤塗布しておく。

【００１０】この構成によると、潤滑剤溜め空間６に充填された潤滑剤１１またはその成分が、ピン９と貫通孔７との嵌め合い面で形成される潤滑剤流出路１０から、毛管現象および内輪２の回転に伴う遠心力で研磨盗み８に流出し、軌道面２ｂや転動体５と鍔２ａとの滑り接触面２ｃを潤滑する。潤滑剤１１が半固体状のグリースである場合は、主にグリース基油が増稠剤から分離して流出する。

【００１１】このように、予め軌道面２ｂ，３ｂに塗布しておく潤滑剤だけでなく、潤滑剤溜め空間６に充填した潤滑剤１１またはその成分が運転中に徐々に軌道面２ｂに供給されるので、軸受１の潤滑寿命が向上する。そのため、予め軌道面２ｂ，３ｂに塗布しておくグリースを少量とし、攪拌抵抗による発熱を低下させることができる。また、潤滑剤流出路１０は、嵌め合い面の面粗さによる微小隙間で形成するため、例えば単に貫通孔そのものを潤滑剤流出路とするものと異なり、加工上の限界で流量の絞り効果が制限されるようなことがなく、容易な加工で微量供給が可能になる。

【００１２】潤滑剤流出路１０からの流出流量の調節は、ピン９と貫通孔７の嵌め合い面の面粗さや、嵌め合い締め代によって調整できる。また、図３（Ａ）や（Ｂ）に示すように、ピン９の表面に微小な軸方向溝９ｃや螺旋溝９ｄを設けることによって流量増加を図ることもできる。

【００１３】図４は請求項２に対応する実施例を示す。この実施例は、単列のアンギュラ玉軸受２１に適用した例である。この例では、内輪２２を非負荷側部分の省略された幅狭のものとし、その省略部分に配置した内輪間座２３に円周溝からなる潤滑剤溜め空間２４を設けてある。潤滑剤溜め空間２４には、内輪２２の軌道面２２ａの近傍で貫通孔２６を設け、ピン２７を嵌入してある。同図において、２５は転動体、２８は外輪、２９はハウジング、３０は軸を各々示す。このように構成した場合も、前記実施例と同様に潤滑剤の微量供給による潤滑寿命の向上効果等が得られる。

【００１４】なお、前記各実施例では潤滑剤溜め空間６，２４を円周溝で構成したが、潤滑剤溜め空間６，２４は周方向の複数箇所に分けて局部的に設けたものであっても良い。

【００１５】

【考案の効果】

この考案の転がり軸受潤滑装置は、内輪または内輪間座に設けた潤滑剤溜め空間から内輪の軌道面付近に貫通する貫通孔を設け、この貫通孔に嵌合させたピンの嵌め合い面に微小隙間の潤滑剤流出路を形成したものであるため、潤滑剤の安定した微量供給が行えて潤滑寿命の向上および発熱防止が図れ、しかも加工が簡単という効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）はこの考案の一実施例の断面図、（Ｂ）
はその部分拡大断面図である。

【図２】（Ａ），（Ｂ）は各々ピンの変形例の側面図で
ある。

【図３】（Ａ），（Ｂ）は各々ピンの他の変形例の側面
図である。

【図４】この考案の他の実施例の断面図である。

【符号の説明】

２…内輪、２ｂ…軌道面、３…外輪、５…転動体、６…
潤滑剤溜め空間、７…貫通孔、９…ピン、１０…潤滑剤
流出路、１１…潤滑剤、２３…内輪間座、２６…貫通
孔、２７…ピン

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】内輪に潤滑剤溜め空間を設け、この空間
から内輪の軌道面付近に開通する貫通孔を設け、この貫
通孔に嵌合したピンと前記貫通孔との嵌め合い面に微小
隙間の潤滑剤流出路を形成した転がり軸受潤滑装置。
【請求項２】内輪間座に潤滑剤溜め空間を設け、この
空間から内輪の軌道面付近に開通する貫通孔を設け、こ
の貫通孔に嵌合したピンと前記貫通孔との嵌め合い面に
微小隙間の潤滑剤流出路を形成した転がり軸受潤滑装
置。