JPH06345685A - 1,4−ナフタレンジカルボン酸の製造方法 - Google Patents

1,4−ナフタレンジカルボン酸の製造方法

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JPH06345685A
JPH06345685A JP5134344A JP13434493A JPH06345685A JP H06345685 A JPH06345685 A JP H06345685A JP 5134344 A JP5134344 A JP 5134344A JP 13434493 A JP13434493 A JP 13434493A JP H06345685 A JPH06345685 A JP H06345685A
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JP
Japan
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reaction
solvent
water content
catalyst
catalyst solution
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JP5134344A
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Ikuo Ito
育夫 伊藤
Keiichi Yokota
圭一 横田
Toshio Sato
利雄 佐藤
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Sumikin Chemical Co Ltd
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 1,4-ジメチルナフタレンを、酢酸溶媒中に少
なくとも1種の遷移金属塩と臭素化合物を含有する触媒
液中で、分子状酸素により酸化して1,4-ナフタレンジカ
ルボン酸を製造する方法において、着色が少なく高純度
の生成物を収率よく製造する。 【構成】 酸化反応を触媒液の水分W (重量%) と反応
圧力P(Kg/cm2G) とが下記式を満足する条件下で行う。 (P+1) /W ≧ 3 【効果】 水分の多い回収溶媒を使用した連続式または
半連続式操業でも、上の式を満たすように溶媒を脱水し
て用いることにより、収率や製品品質の悪化を防止でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は染料などの合成中間体と
して有用な1,4-ナフタレンジカルボン酸の製造方法に関
する。さらに詳しくは、本発明は1,4-ジ低級アルキルナ
フタレンを分子状酸素により液相酸化して1,4-ナフタレ
ンジカルボン酸を製造する方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、1,4-ナフタレンジカルボン酸 (以
下、1,4-NDCAと略す) は、1−メチル−4−アセチルナ
フタレンをクロム酸酸化する方法 (英国特許第1,173,70
4 号)や、1,4-ジシアノナフタレンを加水分解する方法
で製造されていた。しかし、前者の方法では、6価クロ
ム化合物であるクロム酸を多量に使用するので、この酸
化剤が高価であるという経済上の難点に加えて、排水処
理にも多大の費用を必要とする。後者の方法も、やはり
有毒なシアン化合物を原料とする関係から、排水処理が
煩雑となり、費用もかかる。
【0003】そのため、工業的に実施可能な方法とし
て、1,4-ジ低級アルキルナフタレンを空気などの分子状
酸素により酸化して1,4-NDCAを製造する方法が開発され
た (例えば、特公昭48−43893 号公報参照) 。
【0004】特開昭63−159344号公報には、1,4-ジ低級
アルキルナフタレンを有機カルボン酸溶媒中、コバルト
塩、マンガン塩および臭素化合物触媒の存在下、 120〜
160℃の範囲内の温度で分子状酸素により酸化する1,4-N
DCAの製造方法が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】1,4-ジ低級アルキルナ
フタレンの分子酸素による酸化反応は、パラキシレンな
どのアルキルベンゼン類や、2,6-ジイソプロピルナフタ
レンなどの2,6-ジ低級アルキルナフタレンを原料とする
同様の分子状酸素による酸化反応とは挙動を異にするた
め、これらの酸化反応に関する知見をそのまま転用する
ことができないことが知られている。
【0006】即ち、前述した特開昭63−159344号公報に
も記載されているように、これらアルキルベンゼン類や
2,6-ジ低級アルキルナフタレンの分子状酸化は、一般
に、約170〜230 ℃という高い反応温度で行わる。これ
に対し、1,4-ジ低級アルキルナフタレンの分子状酸素に
よる酸化をこのような高温で行うと、副反応が多くなっ
て、反応収率および生成物の純度が悪化し、生成物は褐
色に着色して、商品価値が著しく低減する。そのため、
特開昭63−159344号公報では、反応温度を 120〜160 ℃
という比較的低温の狭い範囲内に限定して、副反応の抑
制を図っているのである。
【0007】しかし、反応温度をこのように 120〜160
℃に限定しただけでは、反応生成物の着色低減や、反応
収率および純度の向上がなお確実には達成されないこと
が認められた。
【0008】本発明の目的は、1,4-ジ低級アルキルナフ
タレンの分子状酸素による酸化反応によって、着色が少
なく高純度の1,4-NDCAを収率よく確実に製造することが
できる方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため検討した結果、1,4-ジ低級アルキルナフ
タレンの酸化は、160 ℃以下という比較的低温で実施す
る必要があるため水に敏感で、一定以上の水分が存在す
ると1,4-ジ低級アルキルナフタレンの酸化反応が著しく
阻害され、副生物の生成が多くなることを知り、本発明
に到達した。
【0010】ここに、本発明は、1,4-ジ低級アルキルナ
フタレンを、低級脂肪族カルボン酸を主成分とする溶媒
中に少なくとも1種の遷移金属塩および臭素化合物を含
有する触媒液中で、分子状酸素により酸化して1,4-ナフ
タレンジカルボン酸を製造する方法において、前記酸化
反応を触媒液の水分と反応圧力とが下記(1) 式を満足す
る条件下で行うことを特徴とする、1,4-ナフタレンジカ
ルボン酸の製造方法を要旨とする。
【0011】 (P+1) /W ≧ 3 ・・・・・ (1) ここで、P:反応圧力 (Kg/cm G) W:触媒液の水分 (重量%) 。
【0012】本発明の好適態様にあっては、前記酸化反
応を1,4-低級アルキルナフタレンと分子状酸素を反応系
に連続的に供給することにより行い、反応後の溶媒を回
収して、酸化反応中の触媒液の水分と反応圧力とが上記
(1) 式を満足するようにその水分を制御した後、反応系
に再循環させる。
【0013】
【作用】一般に、アルキルベンゼン類や2,6-ジ低級アル
キルナフタレンを上記と同様な触媒液中で分子状酸素に
より酸化する場合、反応溶媒の燃焼抑制のために意図的
に水分を反応系に添加することも行われており、触媒液
中に存在する水は酸化反応に著しい悪影響を及ぼさない
ことが知られている。そのため、一般にアルキルベンゼ
ン類やアルキルナフタレン類の上記のような液相酸化に
おいては、触媒液の水分を一定以下に抑制しようとする
試みはこれまでになかった。
【0014】しかし、1,4-ジ低級アルキルナフタレンの
分子状酸素による酸化は、これと異なり、水分に敏感で
あり、触媒液中に多量の水が存在すると酸化反応に著し
い悪影響を与え、副反応が増大し、酸化生成物である1,
4-NDCAの収率と品質 (純度、色など) が悪化することが
判明した。この点についてさらに追究した結果、反応圧
力が低いほど、より少量の水分で酸化反応が阻害される
ことが認められた。
【0015】この知見に基づき、本発明によれば、触媒
液中に含まれる水の量と反応圧力とを上記(1) 式を満た
すように調整する。即ち、触媒液中の水の量に応じて反
応圧力を調整するか、反応圧力に応じて触媒液中の水の
量を調整する。それにより、水による反応への悪影響が
抑制され、副反応が少なくなって収率が向上し、着色の
少ない、より高品位の生成物を得ることができる。
【0016】触媒液中の水分は、反応溶媒に含まれてい
る水分のほか、触媒として用いる遷移金属塩や臭素化合
物が結晶水を有する場合には、これらの結晶水から反応
系に導入される水分を含む。
【0017】酸化反応の溶媒主成分として用いる低級脂
肪族カルボン酸 (例、酢酸)は比較的高価であるので、
1,4-NDCAの工業的製造においては、反応で使用した溶媒
を回収し、酸化反応に再循環して繰り返し使用するのが
普通である。この場合、次式で1,4-ジメチルナフタレン
の酸化について例示するように、酸化反応により水が生
成するため、回収された溶媒中には水がかなりの量で必
然的に混入する。
【0018】 H3C-NAP-CH3 + 3O2 → HOOC-NAP-COOH + 2H2O 溶媒の回収を蒸留によって行った場合でも、回収された
溶媒は3〜10重量%程度の水分を含有し、溶媒の循環回
数が多くなるほど、回収溶媒中の水の量は増大する傾向
にある。これに遷移金属塩の結晶水から持ち込まれる水
分を加味すると、触媒液中の水分はさらに1〜2重量%
程度増大する。
【0019】本発明では、必要に応じて、溶媒を適宜手
段 (例、単蒸留、精密蒸留、乾燥剤による脱水処理) で
脱水して水分を低減させ、触媒液中の水分と反応圧力を
上記(1) 式を満たすように調整する。
【0020】本発明の方法で酸化反応の原料として使用
する1,4-ジ低級アルキルナフタレンの例には、1,4-ジメ
チルナフタレン (以下、1,4-DMN と略す) 、1,4-ジエチ
ルナフタレン、1,4-ジプロピルナフタレンなどが含まれ
るが、1,4-DMN が最も好ましい原料である。以下では、
説明を簡略にするために、原料が1,4-DMN である場合に
ついて説明するが、他の1,4-ジ低級アルキルナフタレン
を使用した場合も同様である。
【0021】1,4-DMN は、コールタール、接触分解油、
ナフサ分解油といった1,4-DMN を含有する留分から精密
蒸留などにより回収されたもの、およびエチルベンゼン
等を出発原料として合成により得られたもの、のいずれ
も使用できる。また、原料の1,4-DMN は特に高純度品を
使用する必要はなく、その酸化反応に直接悪影響を及ぼ
さない不純物 (例えば、他のジ低級アルキルナフタレン
異性体、ジ低級アルキルテトラリン等) を、酸化で得ら
れる1,4-NDCA生成物の品質に影響がない範囲内の量で含
有していてもよい。原料の1,4-DMN の純度は70%以上、
好ましくは90%以上のものを使用すればよい。
【0022】溶媒の低級脂肪族カルボン酸としては、酸
化反応条件で液状であれば任意のものが使用できる。例
えば、酢酸、プロピオン酸、クロル酢酸等の1種もしく
は2種以上を使用できる。また、溶媒は、低級脂肪族カ
ルボン酸を50重量%以上含有していれば、クロルベンゼ
ンなどの他の有機溶媒を含有していてもよい。好ましい
溶媒は酢酸である。
【0023】溶媒の使用量は特に制限されないが、原料
(1,4-DMN) 1重量部に対して1重量部以上、特に3重量
部以上を使用することが好ましい。使用量の上限は、工
業的見地から、1,4-DMN 1重量部当たり30重量部以下と
することが適当である。溶媒中の水分は、可及的に少な
いほうが好ましいが、触媒液の水分量が上記(1) 式を満
たす範囲内の量であれば、酸化への悪影響は実質的に避
けられるので、この範囲内の少量の水分の混入は許容で
きる。
【0024】触媒は遷移金属塩と臭素化合物とからな
る。遷移金属塩としては、コバルト、マンガン、セリウ
ム、ニッケル、銅、鉄などの1種もしくは2種以上の遷
移金属の塩が使用される。この遷移金属塩の種類は、酸
化反応条件下で使用する溶媒に溶解するものであれば特
に制限されない。このような塩としては、遷移金属の酢
酸塩、炭酸塩、臭化物、アセチルアセトナート等が挙げ
られる。触媒として好ましい遷移金属塩は、コバルトの
酢酸塩、炭酸塩または臭化物、或いはこれらのコバルト
塩とマンガンの酢酸塩、炭酸塩または臭化物との組合わ
せである。
【0025】遷移金属塩の使用量は、原料1,4-DMN 1モ
ルに対して遷移金属の合計量が0.01〜1g原子、特に
0.05 〜0.5 g原子となる割合とすることが好ましい。
使用する遷移金属塩が結晶水を持つ場合には、この結晶
水も含めた触媒液中の水分量が上記(1) 式を満たすよう
にする必要がある。
【0026】触媒として遷移金属塩とともに使用される
臭素化合物としては、臭化ナトリウム、臭化カリウム、
臭化アンモニウム、臭化水素酸、或いは遷移金属臭化物
等が例示され、やはり1種もしくは2種以上を使用する
ことができる。臭素化合物の使用量は、臭素イオン量が
遷移金属1g原子当たり0.05〜20モル、特に 0.1〜5モ
ルとなる量とすることが好ましい。
【0027】酸化剤として用いる分子状酸素は、純酸素
や、燃焼排ガスなどの分子状酸素を含有する任意の気体
でよいが、一般には空気を用いる。
【0028】反応温度は80〜160 ℃、特に 100〜150 ℃
の範囲内が好ましい。前述したように、1,4-DMN の酸化
は反応温度に敏感であって、前記の特開昭63−159344号
公報でも指摘されているように、他のアルキルベンゼン
類やアルキルナフタレン類の酸化に比べて反応温度を低
くしないと、副反応が多くなり、生成物の純度および着
色ならびに反応収率が悪化する。ただし、単に反応温度
を低くしただけでは、副反応を十分に抑制することはで
きず、褐色の生成物の生成を確実に防止することができ
ず、上記の触媒液中の水の量の調整が必要である。
【0029】反応圧力は一般に常圧ないし加圧である。
圧力が高いほど、一般に反応収率が向上するので、通常
は加圧下に反応を行う。本発明によれば、圧力は前記の
(1) 式を満足する必要があり、従って、触媒液中の水分
量によって圧力の下限は変動する。圧力の上限は、過大
な圧力は設備投資が高くなり経済的に不利であるため、
一般に30 kg/cm2G、特に15 kg/cm2Gとすることが好まし
く、通常は約10 kg/cm2G程度の圧力で反応を行うのが普
通である。従って、このような上限と、(1) 式で決まる
下限との間で酸化反応を行えばよい。
【0030】反応時間は、触媒量や反応温度等の条件に
よっても異なるが、一般には約 0.1〜30時間、例えば約
0.3〜10時間である。1,4-DMN の酸化反応は、回分式
(原料1,4-DMN と触媒液を反応器に予め装入しておき、
酸素含有ガスのみを連続的に供給する方式) 、半連続式
(触媒液のみを反応器に予め装入しておき、原料1,4-DM
N と酸素含有ガスとを連続的に供給する方式) または連
続式 (原料1,4-DMN と触媒液と酸素含有ガスをいずれも
連続的に供給し、かつ反応液を連続的に抜出す方式) の
いずれの方式でも実施できるが、操業効率の点から好ま
しいのは連続式また半連続式である。
【0031】以上の反応条件で、触媒液中の水分と反応
圧力が前記(1) 式を満たせば、目的とする1,4-NDCAが高
収率で得られ、その品質 (純度および着色) も良好であ
る。これに対し、触媒液中の水分と反応圧力が前記(1)
式を満たさない場合には、生成物である1,4-NDCAの収率
が低下し、また生成物の純度が低下し、着色度が増大し
て、その品質が著しく悪化する。このような着色は、精
製によって取り除くことは容易ではなく、商品価値が減
ずる。さらに、前記(1) 式からの逸脱が著しいと、酸化
反応が円滑さを欠き、酸素吸収が反応途中で停止すると
いった現象も認められるようになる。
【0032】酸化反応終了後、反応液を冷却すると生成
物の1,4-NDCAは析出するので、濾過などの常法により1,
4-NDCAを容易に回収することができる。必要であれば、
回収された1,4-DMN は、酸析、再結晶などの常法により
精製する。1,4-NDCAを分離した後に残る濾液 (酸化反応
の母液) は、反応系に供給した溶媒と触媒のほかに、反
応で生成した水を含有している。従って、この母液を溶
媒および触媒供給源として反応系に再循環することが経
済的に有利であり、工業的な操業ではこの溶媒と触媒の
再循環が一般に採用されている。この場合には、触媒と
溶媒の不足分を補給するだけで、反応を実施することが
できる。
【0033】母液の再循環方法としては、溶媒と触媒
とを分離せずにそのまま再循環する方法と、母液から
蒸留などの手段で溶媒を回収した後、残渣から触媒成分
を炭酸塩析出などの手段で回収し、別個に回収された溶
媒と触媒とを反応系に再循環する方法のいずれも可能で
ある。
【0034】本発明によれば、このような回収された溶
媒を酸化反応に再循環する場合に、適当な脱水手段、例
えば単蒸留、精密蒸留、脱水剤などの手段により溶媒中
の水分を低減させ、この再循環溶媒を供給して調製した
触媒液中の水分が前記(1) 式を満たすようにする。この
ような脱水を行わずに溶媒の再循環を続けると、触媒液
中の水分が(1) 式で規定する限界を超えて増大し、副反
応の増大による悪影響が無視できなくなる。
【0035】母液の循環をのようにそのまま行う場合
には、例えば、適当な脱水剤 (例、無水酢酸) で母液を
処理して、その水分を低減させる。の場合には、溶媒
回収のための蒸留で溶媒中の水分は少なくなるが、さら
に必要であれば、精密蒸留や脱水剤による処理を行っ
て、触媒液が(1) 式を満たすまで水分量を低減させる。
【0036】また、酸化反応中に酸化排ガスに同伴され
て反応器から排出される、水蒸気を含有する溶媒蒸気を
コンデンサーで凝縮し、その還流液の一部または全部を
系外に抜き出すことにより、触媒液中の水分を前記(1)
式を満たすように調整することもできる。
【0037】本発明の1,4-NDCAの製造方法は、特に、使
用後の溶媒を上記またはの方法で回収し、再循環し
ながら連続式または半連続式操業 (即ち、原料の1,4-DM
N と分子状酸素とを反応系に連続的に供給して反応を行
う) で酸化反応を行う場合に有用である。このような操
業形態では、溶媒の再循環による水分の増大で、触媒液
中の水分は容易に(1) 式の上限を超えてしまい、反応へ
の悪影響が起こっていた。本発明では、回収溶媒を用い
て調製した触媒液中の水分が下記(1) 式を満足するよう
に、回収された溶媒中の水分を適当な脱水手段により制
御した後、反応系に再循環させることで、この悪影響を
避けることができる。
【0038】即ち、本発明によれば、(1) 式を指標とし
て溶媒回収時の溶媒の脱水の程度および/または反応圧
力を決定することにより、水分による酸化反応への妨害
を確実に防止することができ、高品質の1,4-NDCAを安定
して、高収率で製造することができる。
【0039】
【実施例】実施例1 攪拌機、ガス吹込み管、還流冷却器付き排ガス抜出し
管、原料導入管、および温度計を取り付けた内容積500
mlのチタン製オートクレーブに、水分0.2 重量%の氷酢
酸300 g、酢酸コバルト4水和物3.73g、酢酸マンガン
4水和物3.68g、臭化カリウム1.79gからなる触媒液
(水分0.9 重量%) を仕込んだ。
【0040】雰囲気を窒素で置換した後、攪拌下に加熱
して140 ℃まで昇温させてから、純度95.3重量%の1,4-
DMN を0.3 g/分の流量で原料導入管を通じて供給し始め
た。1,4-DMN の供給開始から5分後に、空気を排ガス流
量が1.0 リットル/分となるようにガス吹込み管を通じ
て導入し始め、反応系を温度140 ℃、圧力10 Kg/cm2Gに
保ち、4時間で合計70.2gの1,4-DMN を装入した。この
場合、 (P+1)/W=12であった。
【0041】1,4-DMN の装入終了後、直ちに空気の導入
を停止し、オートクレーブを冷却した。冷却後、内容物
を取り出して結晶を濾別し、ケーキ (粗製1,4-NDCA) と
濾液とを得た。得られたケーキを同体積の酢酸で洗浄し
た後、水洗し、真空乾燥した。こうして回収された1,4-
NDCAを秤量した後、その一部をメチルエステル化してガ
スクロマトグラフにて分析し、収率および純度を求め
た。得られた結果を表1にまとめて示した。
【0042】比較例1 実施例1で得られた濾液を蒸留して、水分4.3 重量%の
酢酸を回収した。この回収酢酸を使用した以外は実施例
1と同様の方法で、1,4-DMN の酸化反応を行った。回収
酢酸により調製した触媒液の水分は4.8 重量%、 (P+1)
/W=2.3 であった。得られた1,4-NDCAは純度が低く、色
も褐色であって、酸析精製をしても着色はほとんど除け
なかった。
【0043】実施例2 実施例1と同様に実施した酸化反応により反応生成物の
ケーキから分離された濾液を蒸留し、水分5.0 重量%の
酢酸を回収した。この回収酢酸を使用し、圧力を30 kg/
cm2Gに高めて1,4-DMN の酸化反応を実施例1と同様に実
施した。但し、圧力の変更に伴って、排ガス流量を3.0
リットル/分、原料供給速度を0.6 g/分、原料装入時間
を2時間にそれぞれ変更した。また、臭化カリウム量を
0.89gに変更した。この場合の触媒液の水分は5.6 重量
%、 (P+1)/W=5.5 であった。表1に示した通り、比較
例1より収率が約20モル%も向上し、生成物の純度や色
も大幅に改善された。
【0044】実施例3 実施例1と同様に実施した酸化反応により反応生成物の
ケーキから分離された濾液を精密蒸留し、水分0.3 重量
%の酢酸を回収した。この回収酢酸を使用し、実施例1
と同じ条件下で1,4-DMN の酸化反応を実施した。この場
合の触媒液の水分は1.0 重量%、 (P+1)/W=11であっ
た。表1に示した。
【0045】実施例4 実施例1と同様に実施した酸化反応により反応生成物の
ケーキから分離された濾液を精密蒸留し、水分2.6 重量
%の酢酸を回収した。この回収酢酸を使用し、実施例1
と同じ条件下で1,4-DMN の酸化反応を実施した。この場
合の触媒液の水分は3.2 重量%、 (P+1)/W=3.4 であっ
た。結果を表1に示した。
【0046】
【表1】
【0047】実施例5 攪拌機、ガス吹込み管、還流冷却器付き排ガス抜出し
管、原料導入管、反応液抜き出し管、および温度計を有
する内容積17リットルのチタンライニング製反応釜を装備し
た連続式酸化反応設備の反応釜に、水分2.7 重量%の回
収酢酸、酢酸コバルト4水和物、酢酸マンガン4水和
物、および臭化カリウムを用いて調製した触媒液 (Co、
Mn、Brの各原子の濃度がそれぞれ0.05グラム原子/kg、
水分3.4 重量%) を3.3 kg/時間、純度95.3%の1,4-DM
N を0.58 kg/時間、空気を1.6 Nm3/時間の流量で供給
し、反応温度140 ℃、反応圧力10 kg/cm2G、滞留時間2.
5 時間の条件で連続的に酸化反応させた。この場合、
(P+1)/W=3.2 であった。4.3 kg/時間の流量で連続的
に抜き出した反応液を冷却し、結晶を濾別し、実施例1
と同様に処理した後、分析した。得られた1,4-NDCAは淡
黄色で、純度は98.6%であり、収率は77.9モル%であっ
た。
【0048】
【発明の効果】1,4-ジ低級アルキルナフタレンを低級脂
肪族カルボン酸、遷移金属塩および臭素化合物からなる
触媒液中で分子状酸素により酸化して1,4-NDCAを製造す
る方法において、触媒液の水分と反応圧力が前記(1) 式
を満たす条件下で酸化することにより、所望の圧力で収
率よく高品位の1,4-NDCAを製造することができる。
【0049】特に反応圧力を、使用する設備仕様などの
制約により低く抑える必要がある場合には、前記(1) 式
に従うように触媒液の水分を低くするだけで、高収率で
高品位の1,4-NDCAを確実に得ることができる。一方、使
用する触媒液の水分が高い場合 (例えば、回収した溶媒
を使用する場合) でも、前記の(1) 式を満たすように反
応圧力を高くするか、或いは溶媒の水分を適当な脱水手
段で低下させることにより、やはり高収率で高品位の1,
4-NDCAを確実に得ることができる。
【0050】このように、本発明によれば、1,4-ジ低級
アルキルナフタレンの液相酸化による1,4-NDCAの製造を
工業的に実施する際に、収率と製品純度の両者を確保す
ることができる反応条件を容易に決定でき、1,4-NDCAを
工業的に有利に製造できるので、染料等の合成中間体と
して安価に供給することが可能となる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1,4-ジ低級アルキルナフタレンを、低級
    脂肪族カルボン酸を主成分とする溶媒中に少なくとも1
    種の遷移金属塩および臭素化合物を含有する触媒液中
    で、分子状酸素により酸化して1,4-ナフタレンジカルボ
    ン酸を製造する方法において、前記酸化反応を触媒液の
    水分と反応圧力とが下記(1) 式を満足する条件下で行う
    ことを特徴とする、1,4-ナフタレンジカルボン酸の製造
    方法。 (P+1) /W ≧ 3 ・・・・・ (1) ここで、P:反応圧力 (Kg/cm2 G) W:触媒液の水分 (重量%)
  2. 【請求項2】 1,4-ジ低級アルキルナフタレンを、低級
    脂肪族カルボン酸を主成分とする溶媒中に少なくとも1
    種の遷移金属塩および臭素化合物を含有する触媒液中
    で、分子状酸素により酸化して1,4-ナフタレンジカルボ
    ン酸を製造する方法において、前記酸化反応を1,4-低級
    アルキルナフタレンと分子状酸素を反応系に連続的に供
    給することにより行い、反応後の溶媒を回収して、酸化
    反応中の触媒液の水分と反応圧力とが下記(1) 式を満足
    するようにその水分を制御した後、反応系に再循環させ
    ることを特徴とする、1,4-ナフタレンジカルボン酸の製
    造方法。 (P+1) /W ≧ 3 ・・・・・ (1) ここで、P:反応圧力 (Kg/cm2 G) W:触媒液の水分 (重量%)
JP5134344A 1993-06-04 1993-06-04 1,4−ナフタレンジカルボン酸の製造方法 Withdrawn JPH06345685A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113336640A (zh) * 2021-06-07 2021-09-03 黄石市利福达医药化工有限公司 一种降低1,4-萘二羧酸杂质含量的方法
CN113461511A (zh) * 2021-06-07 2021-10-01 黄石市利福达医药化工有限公司 一种1,4-萘二羧酸的制备方法

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