JPH06344342A

JPH06344342A - 合成樹脂の減溶装置

Info

Publication number: JPH06344342A
Application number: JP16403993A
Authority: JP
Inventors: Keiji Nishimura; 啓治西村
Original assignee: NISHIMURA IND; NISHIMURA SANGYO KK
Current assignee: NISHIMURA IND; NISHIMURA SANGYO KK
Priority date: 1993-06-08
Filing date: 1993-06-08
Publication date: 1994-12-20
Anticipated expiration: 2011-07-10
Also published as: JP2515687B2

Abstract

(57)【要約】【目的】安価に多量生産できる構造とし、メンテナン
スを簡素化する。【構成】減溶装置は、供給手段１と加熱減溶手段２と
を備える。加熱減溶手段２は、減溶シリンダー４と、回
転部材５とを備える。減溶シリンダー４は垂直に配設さ
れておって、上方に供給される廃棄合成樹脂を、押出隙
間６で加熱減溶して下方に排出する。回転部材５の外周
と、減溶シリンダー４の発熱減溶開口７には、いずれか
または両方に、強制引込凸条９を設けている。強制引込
凸条９の間にガイド溝１０を設けている。ガイド溝１０
は、上方を深く下部を浅くしている。強制引込凸条９は
回転部材５の軸方向に対して傾斜している。供給手段１
で供給された廃棄合成樹脂は、ガイド溝１０に落下し、
ガイド溝１０の廃棄合成樹脂は強制引込凸条９で引き込
まれて加熱、減溶される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、主として、廃棄合成
樹脂を有効に再利用できるように減溶する装置に関し、
とくに、発泡スチロール等の減溶に最適な減溶装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】現在、膨大な量の使用済み廃棄合成樹脂
が発生している。さらに、その量は著しく増加してい
る。使用済みの廃棄合成樹脂は、ほとんどを焼却して廃
棄処理している。廃棄合成樹脂の焼却炉は寿命が短く、
焼却コストを高騰させている。また、合成樹脂の種類に
よっては、焼却時に有毒ガスを発生する。

【０００３】使用済みの合成樹脂の一部は、再生品の成
形に利用されている。廃棄合成樹脂を再利用するには、
汚れた合成樹脂を洗浄して溶融し、ペレット状に成形し
て再利用している。この方法は、廃棄合成樹脂をペレッ
トに加工する処理コストが高くなる欠点がある。

【０００４】膨大な発生量の廃棄合成樹脂を、有効に再
利用するには、如何に処理コストを低減して減溶できる
かが大切である。減溶された廃棄合成樹脂は、成形機で
再成形できる。

【０００５】加熱炉に廃棄合成樹脂を供給して減溶する
装置は開発されている（特開昭６４−３４４８１号公
報、および、特開昭６４−３４４８２号公報）。この公
報に記載される装置は、バーナーで加熱される加熱炉の
内部に、下部を細くしたテーパー状の垂直筒を設けてい
る。垂直筒の中心には垂直にスクリュウ軸を配設してい
る。この構造の減溶装置は、垂直筒を加熱炉で加熱し、
垂直筒の上端に廃棄合成樹脂を供給して減溶する。すな
わち、垂直筒に供給された廃棄合成樹脂は、スクリュウ
軸で下方に移送され、垂直筒に接触して加熱されて減溶
される。

【０００６】この構造の減溶装置は、構造を簡素化でき
る特長がある。しかしながら、この構造の減溶装置は、
合成樹脂と垂直筒との熱伝導効率が悪い欠点がある。そ
れは、廃棄合成樹脂を垂直筒に密着できないことが理由
である。垂直筒の内面温度を高くすると、廃棄合成樹脂
を短時間で減溶できる。しかしながら、高温に加熱され
た垂直筒は、内面に接触する廃棄合成樹脂を焦がして付
着し、これが次第に厚く成長する欠点がある。

【０００７】本発明者は、この欠点を解決するために、
合成樹脂を、狭い隙間から摩擦させながら押し出す図１
に示す減溶装置を開発した（特公昭平３−７９０７６
号）。この減溶装置は、供給手段１と加熱減溶手段２と
を備え、供給手段１から加熱減溶手段２に合成樹脂を圧
入して減溶するものである。供給手段１は、送り込まれ
た廃棄合成樹脂を加熱減溶手段２を強制的に圧送するス
クリュウ軸３を内蔵している。加熱減溶手段２は、ここ
に圧入された合成樹脂を摩擦、加熱して減溶する。この
ため、加熱減溶手段２は、減溶シリンダー４と内部で回
転する回転部材５とを内蔵している。減溶シリンダー４
と回転部材５との間に押出隙間を設け、押出隙間に合成
樹脂を供給して摩擦減溶するようになっている。減溶シ
リンダー４には、好ましくは、開口端に向かって断面積
が大きくなるテーパー状の発熱減溶開口を開口する。回
転部材５と発熱減溶開口との間に押出隙間６ができるよ
うに、回転部材５も押出方向に向かって太くなるテーパ
ー状とする。

【０００８】この減溶装置は、下記の状態で効率よく廃
棄合成樹脂を減溶できる。廃棄合成樹脂を、供給手段１に供給する。供給手段１に送り込まれた廃棄合成樹脂は、スクリ
ュウ軸３で前方の減溶シリンダー４に圧送される。減溶シリンダー４に送り込まれた廃棄合成樹脂は、
押出隙間６で摩擦されながら加熱される。

【０００９】押出隙間６を通過する廃棄合成樹脂は、回
転部材５と減溶シリンダー４の表面に密接し、効率よく
加熱される。狭い押出隙間６を通過する合成樹脂は、互
いに摩擦して自己発熱し、あるいは、加熱された減溶シ
リンダー４や回転部材５に密接して摩擦し、効率よく加
熱される。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】このように、供給手段
と加熱減溶手段とを分離し、加熱減溶手段の押出隙間で
廃棄合成樹脂を摩擦状態で加熱する減溶装置は、効率よ
く合成樹脂を加熱して減溶できる特長がある。しかしな
がら、この装置は相当に高価になり、安価に多量生産で
きない欠点がある。それは、供給される廃棄合成樹脂
を、極めて強い圧力で加熱減溶手段に圧入する必要があ
るからである。とくにこの構造の装置は、時間当りの処
理能力を小さくしても、トータルコストを著しく低減す
ることができない。

【００１１】処理能力が小さくて、安価に減溶装置は、
極めて便利に使用できる。それは、廃棄合成樹脂を一カ
所に集めて処理するのではなく、廃棄合成樹脂が発生す
る現場で処理できるからである。例えば、発泡スチロー
ルが多量に発生するスーパーマーケット等に設置して、
廃棄合成樹脂を減溶することができる。発生現場で減溶
された廃棄合成樹脂は、容積が著しく減少する。このた
め、減溶した廃棄合成樹脂の運搬費用等を著しく低減で
きる。

【００１２】このことを実現するためには、減溶装置の
コストを低減することが極めて大切である。この種の装
置が、これを設置する業者の利益につながらないからで
ある。高価な減溶装置は、いかに便利なものであって
も、積極的に設置されないのが実状である。発生現場で
廃棄合成樹脂を処理できないことは、廃棄合成樹脂の発
生量を著しく増加させている。

【００１３】さらに、装置を安価にすることに加えて、
発生現場で使用できる装置は、メンテナンスを簡素化す
ることも大切である。それは、廃棄合成樹脂を減溶する
専門の作業者がいないからである。本発明者が開発した
図１に示す減溶装置は、能率よく廃棄合成樹脂を減溶で
きるが、スクリュウ軸３と回転部材５との連結部分に廃
棄合成樹脂が詰まりやすい欠点がある。それは、スクリ
ュウ軸３の先端を、回転部材５の軸穴に出入りできるよ
うに挿通して支持しているからである。この支持構造
は、スクリュウ軸３の先端を、軸穴に出入りできるよう
に挿通するので、スクリュウ軸３と軸穴との間に多少隙
間ができ、この隙間に廃棄合成樹脂が圧入されるのを皆
無にできない。軸穴に廃棄合成樹脂が圧入されると、回
転部材をスムーズに軸方向に移動できなくなる。

【００１４】スクリュウ軸の先端を回転部材に支持しな
い構造、すなわち、回転部材の先端に軸穴を開口しない
構造は、この欠点を解消できる。しかしながら、長いス
クリュウ軸の先端を支持しない装置は、スクリュウ軸に
固定するフィンの外周が押込シリンダーの内面に接触し
て摺動し、フィンの外周の摩耗が甚だしくなる。とく
に、減溶装置は、種々の形状の廃棄合成樹脂を供給する
ので、常にスクリュウ軸をバランスよく回転できない。
スクリュウ軸のアンバランスは、フィンの外周を押込シ
リンダーの内面に押し付けて摺動させる。このため、ス
クリュウ軸をスムーズに回転できなくなる。

【００１５】この発明は、さらにこれ等の欠点を解決す
ることを目的に開発されたもので、この発明の重要な目
的は、廃棄合成樹脂を能率よく減溶できると共に、設備
コストを著しく低減して、メンテナンスを簡素化できる
合成樹脂の減溶装置を提供するにある。

【００１６】

【課題を解決するための手段】この発明の合成樹脂の減
溶装置は、前述の目的を達成するために、下記の構成を
備えている。合成樹脂の減溶装置は、供給手段１と、こ
の供給手段１から送り込まれる廃棄合成樹脂を加熱して
減溶する加熱減溶手段２とを備える。加熱減溶手段２
は、中心に発熱減溶開口７を開口する減溶シリンダー４
と、減溶シリンダー４の発熱減溶開口７に配設されてい
る回転部材５とを備える。回転部材５と発熱減溶開口７
との間には、供給される廃棄合成樹脂を摩擦熱で加熱し
て減溶する押出隙間６が設けられている。さらに、減溶
シリンダー４は垂直に配設されておって、上方に供給さ
れる廃棄合成樹脂を、押出隙間６でもって加熱、減溶し
て下方に排出するように構成されている。

【００１７】さらに、請求項１に記載される本発明の減
溶装置は、下記の独得の構成を有する。供給手段１は、
供給された廃棄合成樹脂がスムーズに押出隙間６に引き
込まれるように、廃棄合成樹脂を破砕する破砕手段８を
備える。回転部材５は外周面に強制引込凸条９を有す
る。回転部材５の強制引込凸条９の間にはガイド溝１０
を設けている。ガイド溝１０は、廃棄合成樹脂をスムー
ズに引き込むように、上方を深く下部を浅く形成してい
る。さらに、強制引込凸条９は回転部材５の軸方向に対
して傾斜しており、破砕手段８で破砕された廃棄合成樹
脂が、ガイド溝１０に落下して加熱、減溶して排出され
るように構成されている。

【００１８】本発明の請求項２に記載される合成樹脂の
減溶装置は、下記の独得の構成を有する。供給手段１
は、供給された廃棄合成樹脂を破砕する破砕手段８を備
える。減溶シリンダー４は発熱減溶開口７の内面に強制
引込凸条９を有する。この強制引込凸条９の間にはガイ
ド溝１０を設けている。ガイド溝１０は、上方を深く下
部を浅く形成している。さらに、強制引込凸条９は、減
溶シリンダー４の中心軸に対して傾斜している。破砕手
段８で破砕された廃棄合成樹脂は、ガイド溝１０に落下
されて、押出隙間６でもって加熱、減溶して排出される
ように構成されている。

【００１９】本発明の請求項３に記載される合成樹脂の
減溶装置は、下記の独得の構成を有する。供給手段１
は、供給された廃棄合成樹脂を破砕する破砕手段８を備
える。減溶シリンダー４は、発熱減溶開口７の内面に強
制引込凸条９を有する。この強制引込凸条９の間にはガ
イド溝１０が設けられている。ガイド溝１０は、上方で
深く下部で浅く形成されている。また、回転部材５の外
周にも強制引込凸条９を設けている。回転部材５の強制
引込凸条９は、回転部材５の回転で破砕された廃棄合成
樹脂をガイド溝１０に強制的に引き込むために、回転部
材５の軸方向に対して傾斜している。破砕手段８で破砕
された廃棄合成樹脂は、ガイド溝１０に落下して加熱、
減溶して排出されるように構成されている。

【００２０】

【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。但し、以下に示す実施例は、この発明の技術思
想を具体化する為の装置を例示すものであって、この発
明の装置を下記の構造に特定するものでない。

【００２１】更に、この明細書は、特許請求の範囲を理
解し易いように、実施例に示される部材に対応する番号
を、「特許請求の範囲」、および「課題を解決する為の
手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許
請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定する
ものでは決してない。

【００２２】図２の断面図に示す合成樹脂の減溶装置
は、供給手段１と、加熱減溶手段２とを備えている。

【００２３】供給手段１は廃棄合成樹脂を破砕する破砕
手段８を備える。破砕手段８は、廃棄合成樹脂を挟んで
破砕するピンチローラー８Ａと、このピンチローラー８
Ａで破砕された廃棄合成樹脂を切断して破砕するカッタ
ー８Ｂとを備えている。

【００２４】ピンチローラー８Ａは、供給ホッパー１１
の底部に配設されており、供給ホッパー１１に供給され
る廃棄合成樹脂を挟んで破砕する。ピンチローラー８Ａ
は、表面をスプライン状とした２本のローラーを、ほと
んど隙間なく接近して水平に支承している。２本のロー
ラーは、図示しないモーターに回転されて、供給される
廃棄合成樹脂を破砕する。ピンチローラー８Ａは、供給
された廃棄合成樹脂を定量供給する作用も備える。

【００２５】カッター８Ｂは、回転部材５の上端に水平
に固定された回転アーム１２と、この回転アーム１２の
上面に垂直に固定された刃物１３とで構成される。刃物
１３は回転アーム１２の上端の３カ所に固定されてい
る。このカッター８Ｂは、回転部材５が回転されると、
ピンチローラー８Ａから落下される廃棄合成樹脂を刃物
１３で切断して破砕する。

【００２６】さらに、図３に示す供給手段１は、カッタ
ー８Ｂで切断された廃棄合成樹脂をより速やかに押出隙
間６に案内するために、押出隙間６の上方に押込部材１
４を配設している。押込部材１４は、回転部材５の回転
方向に向かって下り勾配の傾斜板１４Ａと、押出隙間６
の上面を閉塞する水平板１４Ｂとからなる。傾斜板１４
Ａは、カッター８Ｂの回転アーム１２の外側に位置し
て、減溶シリンダー４の内面に固定されている。このよ
うに、押出隙間６の上方に押込部材１４を配設すると、
回転部材５が回転することによって、破砕した廃棄合成
樹脂を極めてスムーズに押出隙間６に供給できる特長が
ある。

【００２７】加熱減溶手段２は、減溶シリンダー４と回
転部材５とを備える。加熱減溶手段２は、廃棄合成樹脂
を摩擦しながら加熱して減溶する。減溶シリンダー４
は、廃棄合成樹脂を加熱減溶した後下端から排出する発
熱減溶開口７１１を開口している。発熱減溶開口７は、
図２ないし図４とに示すように、強制引込凸条９を備え
る。強制引込凸条９に間にはガイド溝１０を設けてい
る。ガイド溝１０は、図２の断面図と図４の斜視図とに
示すように、上方で深く下部で浅く形成されている。さ
らに、発熱減溶開口７の内面には、上下に延長して縦溝
１５を設けている。縦溝１５は廃棄合成樹脂が回転部材
５と一緒に回転するのを防止して、廃棄合成樹脂を効率
よく摩擦して自己加熱させて減溶する。

【００２８】回転部材５は、減溶シリンダー４の発熱減
溶開口７に、これと同軸に配設される。回転部材５の断
面を図２に、平面図を図３に、斜視図を図４に示す。こ
れ等の図に示す回転部材５は、供給手段１から送り込ま
れる廃棄合成樹脂を押出隙間６に引き込んで摩擦して減
溶し、減溶したものを強制的に排出する。

【００２９】回転部材５は、それ自体が回転することに
より、供給手段１から送り込まれる廃棄合成樹脂引き込
んで減溶する。したがって、回転部材５は、外周面に強
制引込凸条９を有し、この強制引込凸条９の間にガイド
溝１０を設けている。ガイド溝１０は、供給手段１から
落下してくる廃棄合成樹脂をスムーズに押出隙間６に押
し込まれるように、図２と図４とに示すごとく、上方を
深く、下部を浅く形成している。ガイド溝１０によっ
て、押出隙間６は上部で幅が広く、下部に向かって隙間
が狭く形成される。ガイド溝１０の幅と深さとは、カッ
ター８Ｂで破砕された廃棄合成樹脂が落ち込むことがで
きる大きさに設計される。

【００３０】ガイド溝１０に落下された廃棄合成樹脂
は、回転部材５の回転によって強制的に引き込まれる。
したがって、強制引込凸条９は、図４に示すように、回
転部材５の軸方向に対して傾斜している。図４に示す回
転部材５は、右に回転して廃棄合成樹脂を減溶する。し
たがって、回転部材５の強制引込凸条９は、回転方向に
向かって上り勾配に傾斜している。

【００３１】強制引込凸条９の傾斜角は、強制引込凸条
９から落下する廃棄合成樹脂の引き込み状態を決定す
る。傾斜角が大きいと、廃棄合成樹脂の引き込み作用が
強くなる。反対に、傾斜角が小さいと、廃棄合成樹脂の
引き込みが少なくなる。強制引込凸条９が回転部材５の
回転軸となす角は、好ましくは１０度〜６０度、さらに
好ましくは１２〜５０度の範囲に設計される。

【００３２】ガイド溝１０の下端に移送された廃棄合成
樹脂は、強制引込凸条９と発熱減溶開口７との隙間であ
る押出隙間６の下端部で摩擦されて加熱、減溶される。
押出隙間６下端部の隙間は、ここで発熱減溶開口７を摩
擦、減溶できるように、好ましくは、０．５〜２．５ｍ
ｍの範囲に設定される。

【００３３】回転部材５は、ベアリング１８を介して回
転軸１７を基台１６に垂直に支承している。回転軸１７
の下端には、プーリー１９が固定される。プーリー１９
は、Ｖベルト２０を介してモーター２１のプーリー２２
に連結される。モーター２１は変速モーターで、回転部
材５の回転速度を理想の回転数に調整する。回転部材５
の理想的な回転数は、回転部材の半径によって異なる。
回転部材の外径が３９５ｍｍφ、押出隙間下端の隙間を
１ｍｍとするとき、回転部材の理想的な回転数は、４７
５ｒｐｍである。ただし、回転部材の回転数を、２５０
〜６００ｒｐｍに変更して、減溶することもできた。

【００３４】さらに、図２に示す減溶装置は、押出隙間
６の下方に粉砕カッター２３と、円盤２４とを配設して
いる。粉砕カッター２３は、回転部材５の回転軸１７に
半径方向に延長して固定されている。粉砕カッター２３
は、押出隙間６から連続して紐状に押し出される合成樹
脂を所定の長さに切断する。円盤２４は切断した合成樹
脂を円周方向に加速し、減溶シリンダー４の下端に開口
する排出口から勢いよく排出する。

【００３５】以上の実施例は、回転部材の表面と、減溶
シリンダーの発熱減溶開口の両方に強制引込凸条とガイ
ド溝とを設け、回転部材の強制引込凸条を回転軸に対し
て傾斜させ、発熱減溶開口の強制引込凸条を傾斜させな
い構造としている。本発明の合成樹脂の減溶装置は、発
熱減溶開口に設ける強制引込凸条を傾斜させることも可
能である。傾斜する強制引込凸条を設けた発熱減溶開口
の展開図を図５に示している。この図に示す強制引込凸
条９は、矢印の方向に回転する回転部材５が、廃棄合成
樹脂を強制的に引き込みできるように、回転部材５の回
転方向に対して下り勾配に傾斜している。このように、
発熱減溶開口７の強制引込凸条９が傾斜する装置は、回
転部材の強制引込凸条を回転軸に対して傾斜させること
も、また、傾斜さないことも可能である。それは、発熱
減溶開口の強制引込凸条で廃棄合成樹脂が押出隙間に引
き込みできるからである。

【００３６】さらに、回転部材の外周と、減溶シリンダ
ーの内面の両方に強制引込凸条を設ける減溶装置は、発
熱減溶開口に設けるガイド溝を、上部で深く下部で浅く
し、回転部材に設ける強制引込凸条の間に設ける回転部
材は、上端から下端まで同じ深さとして、強制引込凸条
を回転軸に対して傾斜して、破砕された廃棄合成樹脂を
押出隙間に引き込むこともできる。この構造の装置は、
図５の展開図に示す減溶シリンダー４を備え、回転部材
は、上端から下端まで同じ高さの強制引込凸条を有する
ものである。

【００３７】以上の構造の減溶手段は、合成樹脂を自己
発熱させて減溶するので、減溶シリンダーには必ずしも
ヒータ等の加熱手段を必要としない。ただ、この部分に
ヒータを装備することによって、廃棄合成樹脂をより効
率よく加熱、減溶することもできる。

【００３８】さらに、図２に示す減溶装置は、供給シリ
ンダー４を垂直に立てて配設している。垂直の減溶シリ
ンダーは、もっとも効率よく、廃棄合成樹脂を押出隙間
に供給できる。ただ、減溶シリンダーを垂直な姿勢から
多少傾斜して配設することもできるのは言うまでもな
い。したがって、本明細書において、減溶シリンダーを
垂直に配設するとは、減溶シリンダーをほぼ垂直に配設
する状態を含む。

【００３９】ところで、減溶装置は、廃棄合成樹脂を完
全に溶融して減溶するのを理想とする。しかしながら、
全ての廃棄合成樹脂を、溶融温度以上に加熱して完全に
溶融する必要はない。廃棄合成樹脂を、半溶融状態と
し、あるいは、一部溶融する状態としても、充分に減溶
できるからである。

【００４０】

【発明の効果】この発明の合成樹脂の減溶装置は、極め
て簡単な機構として、安価に多量生産できる特長があ
る。それは、本発明の減溶装置が、回転部材の回転で、
破砕された廃棄合成樹脂を強制的に引き込んで摩擦、加
熱、減溶できるからである。このことを実現するため
に、本発明の合成樹脂の減溶装置は、回転部材と減溶シ
リンダーとを独得の構造とし、さらに、供給手段に破砕
手段を設けている。破砕手段は、投入される廃棄合成樹
脂を小さく破砕して、押出隙間に落下させる。ガイド溝
は、上端を深くして下端を浅くし、さらに、強制引込凸
条は、回転部材が回転すると強制的に破砕された廃棄合
成樹脂を引き込むように傾斜させている。この構造の減
溶装置は、破砕手段が廃棄合成樹脂を小さく破砕して、
幅の広いガイド溝に落下させる。ガイド溝に落下した廃
棄合成樹脂は、傾斜する強制引込凸条によって強制的に
引き込まれる。強制引込凸条によって次第に下方に移送
される廃棄合成樹脂は、次第に狭い押出隙間に押し込ま
れ、押出隙間の下部で摩擦されて発熱し、溶融して減溶
される。このようにして廃棄合成樹脂を減溶できる本発
明の装置は、従来の減溶装置に必須であったスクリュウ
軸を省略して、全体の構造を極めて簡素化できる。

【００４１】さらにまた、本発明の減溶装置の特筆すべ
き特長は、メンテナンスを著しく簡素化できることにあ
る。それは、本発明の装置が、図１に示す装置のよう
に、スクリュウ軸を回転部材に連結する必要がなく、破
砕手段で破砕された廃棄合成樹脂が、押出隙間に落下さ
れてここで摩擦熱で加熱して減溶されるからである。本
発明の減溶装置は、定期的に減溶シリンダーを分解して
詰まった廃棄合成樹脂を除去る必要がなく、誰もが簡単
かつ容易に、しかも便利に使用できる特長がある。しが
って、本発明の減溶装置は、廃棄合成樹脂が発生する場
所に設置して、廃棄合成樹脂を著しくコンパクトに減溶
できる正に理想的な特長を実現する。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来の合成樹脂の減溶装置の一例を示す概略
断面図

【図２】この発明の一実施例を示す合成樹脂の減溶装
置の断面図

【図３】減溶シリンダーと回転部材の平面図

【図４】減溶シリンダーと回転部材の分解斜視図

【図５】本発明の他の実施例の減溶シリンダーの展開
図

【符号の説明】

１……供給手段２……加熱減溶手
段３……スクリュウ軸４……減溶シリン
ダー５……回転部材６……押出隙間７……発熱減溶開口８……破砕手段８Ａ…ピンチローラー８Ｂ…カッター９……強制引込凸条１０……ガイド溝１１……供給ホッパー１２……回転アー
ム１３……刃物１４……押込部材１４Ａ…傾斜板１４Ｂ…水平板１５……縦溝１６……基台１７……回転軸１８……ベアリン
グ１９……プーリー２０……Ｖベルト２１……モーター２２……プーリー２３……粉砕カッター２４……円盤

─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成６年３月４日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】全文

【補正方法】変更

【補正内容】

【書類名】明細書

【発明の名称】合成樹脂の減溶装置

【特許請求の範囲】

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【０００２】

【０００７】本発明者は、この欠点を解決するために、
合成樹脂を、狭い隙間から摩擦させながら押し出す図１
に示す減溶装置を開発した（特公平３−７９０７６
号）。この減溶装置は、供給手段１と加熱減溶手段２と
を備え、供給手段１から加熱減溶手段２に合成樹脂を圧
入して減溶するものである。供給手段１は、送り込まれ
た廃棄合成樹脂を加熱減溶手段２を強制的に圧送するス
クリュウ軸３を内蔵している。加熱減溶手段２は、ここ
に圧入された合成樹脂を摩擦、加熱して減溶する。この
ため、加熱減溶手段２は、減溶シリンダー４と内部で回
転する回転部材５とを内蔵している。減溶シリンダー４
と回転部材５との間に押出隙間を設け、押出隙間に合成
樹脂を供給して摩擦減溶するようになっている。減溶シ
リンダー４には、好ましくは、開口端に向かって断面積
が大きくなるテーパー状の発熱減溶開口７を開口する。
回転部材５と発熱減溶開口７との間に押出隙間６ができ
るように、回転部材５も押出方向に向かって太くなるテ
ーパー状とする。

【００１０】

【００１１】処理能力が小さくて、安価な減溶装置は、
極めて便利に使用できる。それは、廃棄合成樹脂を一カ
所に集めて処理するのではなく、廃棄合成樹脂が発生す
る現場で処理できるからである。例えば、発泡スチロー
ルが多量に発生するスーパーマーケット等に設置して、
廃棄合成樹脂を減溶することができる。発生現場で減溶
された廃棄合成樹脂は、容積が著しく減少する。このた
め、減溶した廃棄合成樹脂の運搬費用等を著しく低減で
きる。

【００１６】

【００１７】さらに、請求項１に記載される本発明の減
溶装置は、下記の独得の構成を有する。回転部材５は外
周面に強制引込凸条９を有する。回転部材５の強制引込
凸条９の間にはガイド溝１０を設けている。ガイド溝１
０は、廃棄合成樹脂をスムーズに引き込むように、上方
を深く下部を浅く形成して押出隙間６の下端部に狭幅リ
ングスリット６Ａを形成している。さらに、強制引込凸
条９は回転部材５の軸方向に対して傾斜しており、供給
手段１で供給された廃棄合成樹脂が、ガイド溝１０に落
下して加熱、減溶して排出されるように構成されてい
る。

【００１８】本発明の請求項２に記載される合成樹脂の
減溶装置は、下記の独得の構成を有する。減溶シリンダ
ー４は発熱減溶開口７の内面に強制引込凸条９を有す
る。この強制引込凸条９の間にはガイド溝１０を設けて
いる。ガイド溝１０は、上方を深く下部を浅く形成して
押出隙間６の下端部に狭幅リングスリット６Ａを形成し
ている。さらに、強制引込凸条９は、減溶シリンダー４
の中心軸に対して傾斜している。供給手段１で供給され
た廃棄合成樹脂は、ガイド溝１０に落下されて、押出隙
間６でもって加熱、減溶して排出されるように構成され
ている。

【００１９】本発明の請求項３に記載される合成樹脂の
減溶装置は、下記の独得の構成を有する。減溶シリンダ
ー４の内面と回転部材５の外周面とに強制引込凸条９を
設けている。この強制引込凸条９の間にはガイド溝１０
を設けている。ガイド溝１０は、上方で深く下部で浅く
形成して押出隙間６の下端部に狭幅リングスリット６Ａ
を形成している。回転部材５の強制引込凸条９は、回転
部材５の回転で破砕された廃棄合成樹脂をガイド溝１０
に強制的に引き込むために、回転部材５の軸方向に対し
て傾斜している。供給手段１で供給された廃棄合成樹脂
は、ガイド溝１０に落下して加熱、減溶して排出される
ように構成されている。

【００２０】

【作用】本発明の合成樹脂の減溶装置は、下記のように
して廃棄合成樹脂を加熱して減溶する。供給手段から押
出隙間に供給された廃棄合成樹脂は、回転部材が回転す
ることによって、ガイド溝に案内される。強制引込凸条
は、回転部材を回転することによって、供給された廃棄
合成樹脂を、回転部材と減溶シリンダーの間で強制的に
下方に移送する。下方に移送される廃棄合成樹脂は、減
溶シリンダーと回転部材の強制引込凸条の間にできる押
出隙間で摩擦されて加熱される。この状態で廃棄合成樹
脂は加熱されながら下方に移送される。

【００２１】押出隙間で摩擦された廃棄合成樹脂は、押
出隙間の下端部に移送されると効果的に摩擦されて加
熱、溶融される。しかしながら、ガイド溝との間にあっ
て、この部分で下方に移送される廃棄合成樹脂は、押出
隙間で摩擦されることがなく、充分に加熱されない状態
で下方に移送される。この部分の廃棄合成樹脂を効率よ
く減溶して排出するために、本発明の合成樹脂の減溶装
置は、ガイド溝を下部で浅くして、押出隙間の下端部に
狭幅リングスリットを形成している。狭幅リングスリッ
トは、ガイド溝を通過して下方に移送された廃棄合成樹
脂の排出を抑制し、ここで廃棄合成樹脂を摩擦して加熱
する。さらに、狭幅リングスリットは、押出隙間で摩擦
して加熱された溶融状態の廃棄合成樹脂と、ガイド溝か
ら押し出される非減溶状態の廃棄合成樹脂の両方を混合
し、加熱された廃棄合成樹脂でもって非減溶状態の廃棄
合成樹脂を効果的に加熱、減溶して排出する。非減溶状
態の廃棄合成樹脂は、押出隙間から押し出される加熱状
態の廃棄合成樹脂に混合されるとほとんど瞬時に加熱し
て減溶される。それは、溶融軟化状態の廃棄合成樹脂に
非減溶状態の廃棄合成樹脂が混合されると、極めて効率
よく熱交換されて非減溶状態の廃棄合成樹脂が加熱され
るからである。溶融温度よりも高温に加熱された液状の
廃棄合成樹脂に非減溶状態の廃棄合成樹脂が混合して浸
漬されると、非減溶状態の廃棄合成樹脂はほとんど瞬時
に軟化、溶融して減溶される。

【００２２】さらに、狭幅リングスリットは非減溶状態
と加熱状態の廃棄合成樹脂とを混合すると共に、さらに
これを摩擦して加熱する。このように、狭幅リングスリ
ットが、加熱溶融軟化された廃棄合成樹脂と、非減溶状
態の廃棄合成樹脂とを混合、摩擦、減溶して排出するの
で、ガイド溝から排出される非減溶状態の廃棄合成樹脂
は極めて効果的に減溶して排出できる。このようにし
て、廃棄合成樹脂を加熱、減溶して排出する本発明の合
成樹脂の減溶装置は、発泡倍率の高い廃棄合成樹脂を効
率よく加熱、減溶して排出できる。

【００２３】

【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。但し、以下に示す実施例は、この発明の技術思
想を具体化する為の装置を例示するものであって、この
発明の装置を下記の構造に特定するものでない。

【００２４】更に、この明細書は、特許請求の範囲を理
解し易いように、実施例に示される部材に対応する番号
を、「特許請求の範囲」、および「課題を解決する為の
手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許
請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定する
ものでは決してない。

【００２５】図２の断面図に示す合成樹脂の減溶装置
は、供給手段１と、加熱減溶手段２とを備えている。

【００２６】供給手段１は廃棄合成樹脂を破砕する破砕
手段８を備える。破砕手段８は、廃棄合成樹脂を挟んで
破砕するピンチローラー８Ａと、このピンチローラー８
Ａで破砕された廃棄合成樹脂を切断して破砕するカッタ
ー８Ｂとを備えている。

【００２７】ピンチローラー８Ａは、供給ホッパー１１
の底部に配設されており、供給ホッパー１１に供給され
る廃棄合成樹脂を挟んで破砕する。ピンチローラー８Ａ
は、表面をスプライン状とした２本のローラーを、ほと
んど隙間なく接近して水平に支承している。２本のロー
ラーは、図示しないがモーターに回転されて、供給され
る廃棄合成樹脂を破砕する。ピンチローラー８Ａは、供
給された廃棄合成樹脂を定量供給する作用も備える。

【００２８】カッター８Ｂは、回転部材５の上端に水平
に固定された回転アーム１２と、この回転アーム１２の
上面に垂直に固定された刃物１３とで構成される。刃物
１３は回転アーム１２の上端の３カ所に固定されてい
る。このカッター８Ｂは、回転部材５が回転されると、
ピンチローラー８Ａから落下される廃棄合成樹脂を刃物
１３で切断して破砕する。

【００２９】さらに、図３に示す供給手段１は、カッタ
ー８Ｂで切断された廃棄合成樹脂をより速やかに押出隙
間６に案内するために、押出隙間６の上方に押込部材１
４を配設している。押込部材１４は、回転部材５の回転
方向に向かって下り勾配の傾斜板１４Ａと、押出隙間６
の上面を閉塞する水平板１４Ｂとからなる。傾斜板１４
Ａは、カッター８Ｂの回転アーム１２の外側に位置し
て、減溶シリンダー４の内面に固定されている。このよ
うに、押出隙間６の上方に押込部材１４を配設すると、
回転部材５が回転することによって、破砕した廃棄合成
樹脂を極めてスムーズに押出隙間６に供給できる特長が
ある。

【００３０】加熱減溶手段２は、減溶シリンダー４と回
転部材５とを備える。加熱減溶手段２は、廃棄合成樹脂
を摩擦しながら加熱して減溶する。減溶シリンダー４
は、廃棄合成樹脂を加熱減溶した後下端から排出する発
熱減溶開口７を開口している。発熱減溶開口７は、図２
ないし図４とに示すように、強制引込凸条９を備える。
強制引込凸条９の間にはガイド溝１０を設けている。ガ
イド溝１０は、図２の断面図と図４の斜視図とに示すよ
うに、上方で深く下部で浅く形成されている。さらに、
発熱減溶開口７の内面には、上下に延長して縦溝１５を
設けている。縦溝１５は廃棄合成樹脂が回転部材５と一
緒に回転するのを防止して、廃棄合成樹脂を効率よく摩
擦して自己加熱させて減溶する。

【００３１】回転部材５は、減溶シリンダー４の発熱減
溶開口７に、これと同軸に配設される。回転部材５の断
面を図２に、平面図を図３に、斜視図を図４に示す。こ
れ等の図に示す回転部材５は、供給手段１から送り込ま
れる廃棄合成樹脂を押出隙間６に引き込んで摩擦して減
溶し、減溶したものを強制的に排出する。

【００３２】回転部材５は、それ自体が回転することに
より、供給手段１から送り込まれる廃棄合成樹脂を引き
込んで減溶する。したがって、回転部材５は、外周面に
強制引込凸条９を有し、この強制引込凸条９の間にガイ
ド溝１０を設けている。ガイド溝１０は、供給手段１か
ら落下してくる廃棄合成樹脂をスムーズに押出隙間６に
押し込まれるように、図２と図４とに示すごとく、上方
を深く、下部を浅く形成している。ガイド溝１０によっ
て、押出隙間６は上部で幅が広く、下部に向かって隙間
が狭く形成されて、押出隙間６の下端部を狭幅リングス
リット６Ａとしている。ガイド溝１０の幅と深さとは、
カッター８Ｂで破砕された廃棄合成樹脂が落ち込むこと
ができる大きさに設計される。

【００３３】ガイド溝１０に落下された廃棄合成樹脂
は、回転部材５の回転によって強制的に引き込まれる。
したがって、強制引込凸条９は、図４に示すように、回
転部材５の軸方向に対して傾斜している。図４に示す回
転部材５は、右に回転して廃棄合成樹脂を減溶する。し
たがって、回転部材５の強制引込凸条９は、回転方向に
向かって上り勾配に傾斜している。

【００３４】強制引込凸条９の傾斜角は、強制引込凸条
９から落下する廃棄合成樹脂の引き込み状態を決定す
る。傾斜角が大きいと、廃棄合成樹脂の引き込み作用が
強くなる。反対に、傾斜角が小さいと、廃棄合成樹脂の
引き込みが少なくなる。強制引込凸条９が回転部材５の
回転軸となす角は、好ましくは１０度〜６０度、さらに
好ましくは１２〜５０度の範囲に設計される。

【００３５】ガイド溝１０の下端に移送された廃棄合成
樹脂は、強制引込凸条９と発熱減溶開口７との隙間であ
る押出隙間６の下端部の狭幅リングスリット６Ａで摩擦
されて加熱、減溶される。押出隙間下端部の狭幅リング
スリット６Ａの隙間は、ここで発熱減溶開口７を摩擦、
減溶できるように、好ましくは、０．５〜２．５ｍｍの
範囲に設定される。

【００３６】回転部材５は、ベアリング１８を介して回
転軸１７を基台１６に垂直に支承している。回転軸１７
の下端には、プーリー１９が固定される。プーリー１９
は、Ｖベルト２０を介してモーター２１のプーリー２２
に連結される。モーター２１は変速モーターで、回転部
材５の回転速度を理想の回転数に調整する。回転部材５
の理想的な回転数は、回転部材の半径によって異なる。
回転部材の外径が３９５ｍｍφ、押出隙間下端部の狭幅
リングスリット６Ａの隙間を１ｍｍとするとき、回転部
材の理想的な回転数は、４７５ｒｐｍである。ただし、
回転部材の回転数を、２５０〜６００ｒｐｍに変更し
て、減溶することもできた。

【００３７】さらに、図２に示す減溶装置は、押出隙間
６の下方に粉砕カッター２３と、円盤２４とを配設して
いる。粉砕カッター２３は、回転部材５の回転軸１７に
半径方向に延長して固定されている。粉砕カッター２３
は、押出隙間６から連続して紐状に押し出される合成樹
脂を所定の長さに切断する。円盤２４は切断した合成樹
脂を円周方向に加速し、減溶シリンダー４の下端に開口
する排出口から勢いよく排出する。

【００３８】以上の実施例は、回転部材の表面と、減溶
シリンダーの発熱減溶開口の両方に強制引込凸条とガイ
ド溝とを設け、回転部材の強制引込凸条を回転軸に対し
て傾斜させ、発熱減溶開口の強制引込凸条を傾斜させな
い構造としている。本発明の合成樹脂の減溶装置は、発
熱減溶開口に設ける強制引込凸条を傾斜させることも可
能である。傾斜する強制引込凸条を設けた発熱減溶開口
の展開図を図５に示している。この図に示す強制引込凸
条９は、矢印の方向に回転する回転部材５が、廃棄合成
樹脂を強制的に引き込みできるように、回転部材５の回
転方向に対して下り勾配に傾斜している。このように、
発熱減溶開口７の強制引込凸条９が傾斜する装置は、回
転部材の強制引込凸条を回転軸に対して傾斜させること
も、また、傾斜させないことも可能である。それは、発
熱減溶開口の強制引込凸条で廃棄合成樹脂が押出隙間に
引き込みできるからである。

【００３９】さらに、回転部材の外周と、減溶シリンダ
ーの内面の両方に強制引込凸条を設ける減溶装置は、発
熱減溶開口に設けるガイド溝を、上部で深く下部で浅く
し、回転部材に設ける強制引込凸条の間に設ける回転部
材は、上端から下端まで同じ深さとして、強制引込凸条
を回転軸に対して傾斜して、破砕された廃棄合成樹脂を
押出隙間に引き込むこともできる。この構造の装置は、
図５の展開図に示す減溶シリンダー４を備え、回転部材
は、上端から下端まで同じ高さの強制引込凸条を有する
ものである。

【００４０】以上の構造の減溶手段は、合成樹脂を自己
発熱させて減溶するので、減溶シリンダーには必ずしも
ヒータ等の加熱手段を必要としない。ただ、この部分に
ヒータを装備することによって、廃棄合成樹脂をより効
率よく加熱、減溶することもできる。

【００４１】さらに、図２に示す減溶装置は、供給シリ
ンダー４を垂直に立てて配設している。垂直の減溶シリ
ンダーは、もっとも効率よく、廃棄合成樹脂を押出隙間
に供給できる。ただ、減溶シリンダーを垂直な姿勢から
多少傾斜して配設することもできるのは言うまでもな
い。したがって、本明細書において、減溶シリンダーを
垂直に配設するとは、減溶シリンダーをほぼ垂直に配設
する状態を含む。

【００４２】ところで、減溶装置は、廃棄合成樹脂を完
全に溶融して減溶するのを理想とする。しかしながら、
全ての廃棄合成樹脂を、溶融温度以上に加熱して完全に
溶融する必要はない。廃棄合成樹脂を、半溶融状態と
し、あるいは、一部溶融する状態としても、充分に減溶
できるからである。

【００４３】

【発明の効果】この発明の合成樹脂の減溶装置は、極め
て簡単な機構として、安価に多量生産できる特長があ
る。それは、本発明の減溶装置が、回転部材の回転で、
破砕された廃棄合成樹脂を強制的に引き込んで摩擦、加
熱、減溶できるからである。このことを実現するため
に、本発明の合成樹脂の減溶装置は、回転部材と減溶シ
リンダーとを独得の構造としている。ガイド溝は、上端
を深くして下端を浅くし、さらに、強制引込凸条は、回
転部材が回転すると強制的に破砕された廃棄合成樹脂を
引き込むように傾斜させている。この構造の減溶装置
は、供給手段から供給される廃棄合成樹脂をガイド溝に
落下させる。ガイド溝に落下した廃棄合成樹脂は、傾斜
する強制引込凸条によって強制的に引き込まれる。強制
引込凸条によって次第に下方に移送される廃棄合成樹脂
は、次第に狭い押出隙間に押し込まれ、押出隙間の下部
で摩擦されて発熱し、溶融して減溶される。このように
して廃棄合成樹脂を減溶できる本発明の装置は、従来の
減溶装置に必須であったスクリュウ軸を省略して、全体
の構造を極めて簡素化できる。

【００４４】さらにまた、本発明の合成樹脂の減溶装置
は、極めて簡単な構造で発泡倍率の高い廃棄合成樹脂を
も効率よく減溶できる特長がある。それは、ガイド溝を
上部で深く下部で浅くすることによって、押出隙間の下
端部に狭幅リングスリットを形成しているからである。
狭幅リングスリットは、ガイド溝を通過して下方に移送
された廃棄合成樹脂の排出を抑制する。狭幅リングスリ
ットで排出状態が抑制される廃棄合成樹脂は、ガイド溝
から押し出される非減溶状態の廃棄合成樹脂を、強制引
込凸条の隙間で摩擦して加熱された廃棄合成樹脂に混合
する。加熱された廃棄合成樹脂は、非減溶状態の廃棄合
成樹脂を効果的に加熱して減溶する。ガイド溝で移送さ
れた非減溶状態の廃棄合成樹脂は、押出隙間から押し出
される加熱状態の廃棄合成樹脂に混合されるとき、ほと
んど瞬時に加熱して減溶される。それは、溶融温度より
も高温に加熱された液状の廃棄合成樹脂に非減溶状態の
廃棄合成樹脂が混合して浸漬されると、非減溶状態の廃
棄合成樹脂はほとんど瞬時に軟化、溶融して減溶される
からである。このように、狭幅リングスリットは非減溶
状態と加熱状態の廃棄合成樹脂とを混合すると共に、さ
らにこれを摩擦して加熱する。したがって、狭幅リング
スリットは、加熱溶融軟化された廃棄合成樹脂と、非減
溶状態の廃棄合成樹脂とを混合、摩擦、減溶して排出
し、ガイド溝から排出される非減溶状態の廃棄合成樹脂
は極めて効果的に減溶して排出する。このため、本発明
の合成樹脂の減溶装置は、発泡倍率の高い廃棄合成樹脂
をも効率よく加熱、減溶して排出できる特長がある。

【００４５】さらにまた、本発明の減溶装置の特筆すべ
き特長は、メンテナンスを著しく簡素化できることにあ
る。それは、本発明の装置が、図１に示す装置のよう
に、スクリュウ軸を回転部材に連結する必要がなく、破
砕手段で破砕された廃棄合成樹脂が、押出隙間に落下さ
れてここで摩擦熱で加熱して減溶されるからである。本
発明の減溶装置は、定期的に減溶シリンダーを分解して
詰まった廃棄合成樹脂を除去する必要がなく、誰もが簡
単かつ容易に、しかも便利に使用できる特長がある。し
がって、本発明の減溶装置は、廃棄合成樹脂が発生する
場所に設置して、廃棄合成樹脂を著しくコンパクトに減
溶できる正に理想的な特長を実現する。

【図面の簡単な説明】

【図３】減溶シリンダーと回転部材の平面図

【図４】減溶シリンダーと回転部材の分解斜視図

【図５】本発明の他の実施例の減溶シリンダーの展開
図

【符号の説明】１……供給手段２……加熱減溶手
段３……スクリュウ軸４……減溶シリン
ダー５……回転部材６……押出隙間６Ａ…狭幅リングスリット７……発熱減溶開口８……破砕手段８Ａ…ピンチローラー８Ｂ…カッター９……強制引込凸条１０……ガイド溝１１……供給ホッパー１２……回転アー
ム１３……刃物１４……押込部材１４Ａ…傾斜板１４Ｂ…水平板１５……縦溝１６……基台１７……回転軸１８……ベアリン
グ１９……プーリー２０……Ｖベルト２１……モーター２２……プーリー２３……粉砕カッター２４……円盤

【手続補正２】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】図２

【補正方法】変更

【補正内容】

【図２】

【手続補正３】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】図３

【補正方法】変更

【補正内容】

【図３】

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】廃棄合成樹脂の供給手段(1)と、この供
給手段(1)から送り込まれる廃棄合成樹脂を加熱して減
溶する加熱減溶手段(2)とを備え、加熱減溶手段(2)が、
中心に発熱減溶開口を開口する減溶シリンダー(4)と、
減溶シリンダー(4)の発熱減溶開口に配設されている回
転部材(5)とを備え、回転部材(5)と発熱減溶開口との間
には供給される廃棄合成樹脂を摩擦熱で加熱して減溶す
る押出隙間(6)が設けられており、さらに、減溶シリン
ダー(4)は垂直に配設されておって、上方に供給される
廃棄合成樹脂を、押出隙間(6)でもって加熱減溶して下
方に排出するように構成された減溶装置において、供給手段(1)は供給された廃棄合成樹脂を破砕する破砕
手段(8)を備え、回転部材(5)は外周面に強制引込凸条
(9)を有し、この強制引込凸条(9)の間にはガイド溝(10)
が設けられており、さらに、ガイド溝(10)は、上方で深
く下部で浅く形成されており、さらにまた、強制引込凸
条(9)は回転部材(5)の軸方向に対して傾斜しており、破
砕手段(8)で破砕された廃棄合成樹脂が、ガイド溝(10)
に落下して加熱、減溶して排出されるように構成された
ことを特徴とする合成樹脂の減溶装置。
【請求項２】廃棄合成樹脂の供給手段(1)と、この供
給手段(1)から送り込まれる廃棄合成樹脂を加熱して減
溶する加熱減溶手段(2)とを備え、加熱減溶手段(2)が、
中心に発熱減溶開口を開口する減溶シリンダー(4)と、
減溶シリンダー(4)の発熱減溶開口に配設されている回
転部材(5)とを備え、回転部材(5)と発熱減溶開口との間
には供給される廃棄合成樹脂を摩擦熱で加熱して減溶す
る押出隙間(6)が設けられており、さらに、減溶シリン
ダー(4)は垂直に配設されておって、上方に供給される
廃棄合成樹脂を、押出隙間(6)でもって加熱減溶して下
方に排出するように構成された減溶装置において、供給手段(1)は供給された廃棄合成樹脂を破砕する破砕
手段(8)を備え、減溶シリンダー(4)は発熱減溶開口の内
面に強制引込凸条(9)を有し、この強制引込凸条(9)の間
にはガイド溝(10)が設けられており、さらに、ガイド溝
(10)は、上方で深く下部で浅く形成されており、さらに
また、強制引込凸条(9)は減溶シリンダー(4)の中心軸に
対して傾斜しており、破砕手段(8)で破砕された廃棄合
成樹脂が、ガイド溝(10)に落下して加熱、減溶して排出
されるように構成されたことを特徴とする合成樹脂の減
溶装置。
【請求項３】廃棄合成樹脂の供給手段(1)と、この供
給手段(1)から送り込まれる廃棄合成樹脂を加熱して減
溶する加熱減溶手段(2)とを備え、加熱減溶手段(2)が、
中心に発熱減溶開口を開口する減溶シリンダー(4)と、
減溶シリンダー(4)の発熱減溶開口に配設されている回
転部材(5)とを備え、回転部材(5)と発熱減溶開口との間
には供給される廃棄合成樹脂を摩擦熱で加熱して減溶す
る押出隙間(6)が設けられており、さらに、減溶シリン
ダー(4)は垂直に配設されておって、上方に供給される
廃棄合成樹脂を、押出隙間(6)でもって加熱減溶して下
方に排出するように構成された減溶装置において、供給手段(1)は供給された廃棄合成樹脂を破砕する破砕
手段(8)を備え、減溶シリンダー(4)は発熱減溶開口の内
面に強制引込凸条(9)を有し、この強制引込凸条(9)の間
にはガイド溝(10)が設けられており、さらに、ガイド溝
(10)は、上方で深く下部で浅く形成されており、さらに
また、回転部材(5)の外周にも強制引込凸条(9)が設けら
れており、回転部材(5)の強制引込凸条(9)は、回転部材
の軸方向に対して傾斜しており、破砕手段(8)で破砕さ
れた廃棄合成樹脂が、ガイド溝(10)に落下して加熱、減
溶して排出されるように構成されたことを特徴とする合
成樹脂の減溶装置。