JPH0632552A - エレベータ制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 停電救出運転時の速度異常を確実に検出す
る。 【構成】 この発明のエレベータ制御装置は、停電が発
生した時には、切換器によって停電時救出運転速度指令
発生器と停電救出運転時速度偏差異常検出器とを活かす
ように回路を切り換え、停電救出運転時速度偏差異常検
出器において停電時救出運転速度指令発生器からの停電
時救出運転速度指令と速度帰還信号との偏差を通常運転
時の設定値よりも小さい第２の設定値と比較し、異常が
ある場合には速度偏差異常信号を出力する。こうして、
通常運転時と停電救出運転時とで速度偏差の比較に用い
る設定値を大小異ならせ、停電救出運転時の制御異常も
確実に検出できるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、通常運転と停電時救
出運転を共に主制御装置により行なうエレベータ制御装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般にエレベータでは、エレベータ電源
が停電した時に、エレベータかご内に乗客が取り残され
ていれば電源の回復まで閉じ込めてしまうことになるた
め、補助電源であるバッテリを電源としてエレベータか
ごを最寄りの階まで誘導し、停止してドアを開いて中の
乗客を降ろし、その後にドアを閉めて停止する停電時救
出運転を自動的に行なう機能を備えている。

【０００３】そして、このような停電時救出運転機能を
備えたエレベータでは、従来、通常運転と共に停電時救
出運転をも主制御装置によって行ない、さらに停電時救
出運転における制御異常の監視も主制御装置により行な
うようにしたものがあり、この主制御装置により停電時
救出運転をも行なうエレベータ制御装置では、停電時救
出運転装置を別途に備えているエレベータ制御装置に比
べて保護監視機能が充実しているため、信頼性が高い特
長がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
従来のエレベータ制御装置では、運転速度に関しては、
元来、通常運転時の定格運転速度と停電救出運転時の運
転速度とは異なっており、通常運転時の運転速度を基準
にしていたのでは停電救出運転時に保護動作検出レベル
に至らない場合がある問題点があった。すなわち、速度
指令信号と速度帰還信号の偏差を監視し、その偏差信号
があらかじめ設定された偏差より大きくなったときに制
御異常を検出するようにした速度制御異常検出機能（Ｍ
ＦＤ：モータフリーディテクション）に関しては、通常
運転時は定格速度を基準として検出レベル偏差を設定し
ているため、その設定値は比較的大きいものとなる。こ
れに対して、停電救出運転時は救出運転用のバッテリ電
圧に制約があるため、比較的低速で救出運転がなされ
る。そのため、停電救出運転時に制御異常が起こり、速
度指令と速度帰還信号との偏差が大きくなったとしても
エレベータ定格速度で設定した偏差までは至らず、制御
異常のまま運転を継続してしまう恐れがある問題点があ
った。

【０００５】この発明はこのような従来の問題点に鑑み
なされたもので、速度偏差の設定値を通常運転時と停電
救出運転時とで異なる値を与えるようにし、停電救出運
転時にも確実に制御異常の発生を検出できるようにした
エレベータ制御装置を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明は、主制御装置
によって通常運転と共に停電時救出運転制御をも行な
い、速度指令信号と速度帰還信号との偏差があらかじめ
与えられている設定値以上に大きい場合に速度偏差異常
を検出する速度偏差異常検出器を備えたエレベータ制御
装置において、通常時の定格運転速度指令を与える定格
速度指令発生器と、停電時救出運転速度指令を与える救
出運転速度指令発生器と、前記定格速度指令発生器から
の定格運転速度指令と速度帰還信号を比較し、偏差があ
らかじめ与えられている第１の設定値以上である場合に
速度偏差異常検出信号を出力する通常運転時速度偏差異
常検出器と、前記停電時救出運転速度指令発生器からの
停電時救出運転速度指令と速度帰還信号を比較し、偏差
があらかじめ与えられている前記第１の設定値よりも小
さい第２の設定値以上である場合に速度偏差異常検出信
号を出力する停電救出運転時速度偏差異常検出器と、停
電時に前記定格速度指令発生器と通常運転時速度偏差異
常検出器を切り離し、救出運転速度指令発生器と停電救
出運転時速度偏差異常検出器を活かす回路の切換を行な
う切換器とを備えたものである。

【０００７】

【作用】この発明のエレベータ制御装置では、通常運転
時には、定格速度指令発生器からの定格運転速度指令
と、速度帰還信号との偏差を通常運転時速度偏差異常検
出器において第１の設定値と比較し、異常がある場合に
は速度偏差異常信号を出力する。

【０００８】そして、停電が発生した時には、切換器に
よって停電時救出運転速度指令発生器と停電救出運転時
速度偏差異常検出器とを活かすように回路を切り換え、
停電救出運転時速度偏差異常検出器において停電時救出
運転速度指令発生器からの停電時救出運転速度指令と速
度帰還信号との偏差を前記第１の設定値よりも小さい第
２の設定値と比較し、異常がある場合には速度偏差異常
信号を出力する。

【０００９】こうして、通常運転時と停電救出運転時と
で速度偏差の比較に用いる設定値を大小異ならせ、停電
救出運転時の制御異常も確実に検出できるようにする。

【００１０】

【実施例】以下、この発明の実施例を図に基づいて詳説
する。

【００１１】図１はこの発明の一実施例の回路ブロック
図であり、エレベータ制御に関係する主制御装置のう
ち、この発明の実施例に関係する回路部分のみを示して
いる。したがって、エレベータ運転のためには駆動電動
機制御回路、ドア開閉制御回路、かご呼び制御回路、ホ
ール呼び制御回路などを必要とするが、図１では、速度
偏差異常検出に関係する部分のみが示されている。

【００１２】この実施例のエレベータ制御装置は、停電
を検出するための停電検出回路１、停電発生時にかご内
に乗客が閉じ込められていることを検出した場合に作動
する停電時救出運転指令リレー２、通常運転時定格速度
指令ＶＰ１と停電時救出運転速度指令ＶＰ２を発生し、
停電時救出運転指令リレー２の作動によってこれらの速
度指令を切り換えて出力する速度指令発生器３を備えて
いる。

【００１３】また、通常運転時に定格速度指令ＶＰ１と
速度帰還信号ＶＳとを比較し、その偏差があらかじめ設
定されている図２に示すような第１の設定値ＭＦ１より
大きいかどうか判定し、偏差が第１の設定値ＭＦ１より
大きい場合に速度偏差異常信号ＭＦＤ１を出力する通常
運転時速度偏差異常（ＭＦＤ）検出器４と、停電救出運
転時に救出運転速度指令ＶＰ２と速度帰還信号ＶＳとを
比較し、その偏差があらかじめ設定されている第２の設
定値ＭＦ２（この第２の設定値ＭＦ２は第１の設定値Ｍ
Ｆ１よりも小さい値に設定されている）より大きいかど
うか判定し、偏差が第２の設定値ＭＦ２より大きい場合
に速度偏差異常信号ＭＦＤ２を出力する停電救出運転時
速度偏差異常（ＭＦＤ）検出器５と、これらの通常運転
時ＭＦＤ検出器４と停電救出運転時ＭＦＤ検出器５のい
ずれかから速度異常検出信号ＭＦＤ１またはＭＦＤ２が
出力されたときに速度異常検出信号ＭＦＤを出力するＯ
Ｒ回路６を備えている。

【００１４】そして、通常運転時ＭＦＤ検出器４の速度
帰還信号入力線に停電時救出運転指令リレー２によって
駆動される常閉接点７が挿入され、一方、停電救出運転
時ＭＦＤ検出器５の速度帰還信号入力線に停電時救出運
転指令リレー２によって駆動される常開接点８が挿入さ
れ、通常時には通常運転時ＭＦＤ検出器４側が動作し、
停電救出運転時には停電救出運転時ＭＦＤ検出器５側が
動作するようにしてある。

【００１５】次に、上記構成のエレベータ制御装置の動
作について説明する。

【００１６】図２に示すように、通常運転時定格速度Ｖ
Ｐ１に対する速度偏差の第１の設定値ＭＦ１と、停電時
救出運転速度ＶＰ２に対する速度偏差の第２の設定値Ｍ
Ｆ２とが設定されている。

【００１７】通常運転時には、停電検出回路１が動作せ
ず、停電時救出運転指令リレー２も動作しないために常
閉接点７が閉じた状態にあり、一方、常開接点８が開い
た状態にあり、この結果として、通常運転時ＭＦＤ検出
器４が動作し、停電救出運転時ＭＦＤ検出器５は停止し
ている。

【００１８】そこで、通常運転時ＭＦＤ検出器４に速度
指令発生器３から定格速度指令ＶＰ１が与えられ、速度
帰還信号ＶＳと比較し、その偏差が第１の設定値ＭＦ１
と比較され、その偏差が第１の設定値ＭＦ１よりも小さ
ければ出力がなく、大きければ偏差異常として異常信号
ＭＦＤ１がＯＲ回路６を通して外部に速度偏差異常信号
ＭＦＤとして出力されていく。

【００１９】停電が発生すれば、停電検出回路１が停電
を検出し、エレベータかご内に乗客が閉じ込められてい
ればそれを検出して停電時救出運転指令リレー２が動作
する。この動作の結果として、速度指令発生器３は停電
時救出運転速度指令ＶＰ２を出力し、同時に常閉接点７
は開き、逆に常開接点８が閉じ、この停電時救出運転速
度指令ＶＰ２が停電救出運転時ＭＦＤ検出器５に与えら
れ、ここで速度帰還信号ＶＳと比較し、その偏差が第２
の設定値ＭＦ２よりも小さければ出力がなく、大きけれ
ば偏差異常として異常信号ＭＦＤ２がＯＲ回路６を通し
て外部に速度偏差異常信号ＭＦＤとして出力されてい
く。

【００２０】このようにして、通常時でも、停電時の救
出運転時でもそれぞれの定格速度ＶＰ１，ＶＰ２に対応
して大小異なった偏差の設定値ＭＦ１，ＭＦ２を与え、
実速度ＶＳが指令速度と大きくかけ離れている場合、速
度偏差異常信号を出力して保護を行なうことができる。

【００２１】

【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、停電発
生時の救出運転では、その速度指令に応じて通常運転時
の偏差設定値よりも小さい速度偏差設定値を与え、実速
度と速度指令との偏差がこの速度偏差設定値よりも大き
い場合に速度異常として、異常検出信号を出力するよう
にしているため、従来のように停電救出運転時に速度異
常が発生しても定格速度に対する偏差設定値で比較して
いたために検出できない場合があるということがなく、
確実に速度異常を検出でき、確実な保護動作に寄与する
ことができて信頼性の向上が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例の回路ブロック図。

【図２】上記実施例における速度パターンと速度偏差設
定値との関係を示すグラフ。

【符号の説明】

１ 停電検出回路 ２ 停電時救出運転指令リレー ３ 速度指令発生器 ４ 通常運転時速度偏差異常検出器 ５ 停電救出運転時速度偏差異常検出器 ６ ＯＲ回路 ７ 常閉接点 ８ 常開接点 ＶＰ１ 通常時定格速度指令 ＶＰ２ 停電時救出運転速度指令 ＭＦ１ 第１の設定値 ＭＦ２ 第２の設定値

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 主制御装置によって通常運転と共に停電
   時救出運転制御をも行ない、速度指令信号と速度帰還信
   号との偏差があらかじめ与えられている設定値以上に大
   きい場合に速度偏差異常を検出する速度偏差異常検出器
   を備えたエレベータ制御装置において、 通常時の定格運転速度指令を与える定格速度指令発生器
   と、 停電時救出運転速度指令を与える救出運転速度指令発生
   器と、 前記定格速度指令発生器からの定格運転速度指令と速度
   帰還信号を比較し、偏差があらかじめ与えられている第
   １の設定値以上である場合に速度偏差異常検出信号を出
   力する通常運転時速度偏差異常検出器と、 前記停電時救出運転速度指令発生器からの停電時救出運
   転速度指令と速度帰還信号を比較し、偏差があらかじめ
   与えられている前記第１の設定値よりも小さい第２の設
   定値以上である場合に速度偏差異常検出信号を出力する
   停電救出運転時速度偏差異常検出器と、 停電時に前記定格速度指令発生器と通常運転時速度偏差
   異常検出器を切り離し、救出運転速度指令発生器と停電
   救出運転時速度偏差異常検出器を活かす回路の切換を行
   なう切換器とを備えて成るエレベータ制御装置。