JPH06313809A - 偏光膜の製造法 - Google Patents

偏光膜の製造法

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JPH06313809A
JPH06313809A JP10430093A JP10430093A JPH06313809A JP H06313809 A JPH06313809 A JP H06313809A JP 10430093 A JP10430093 A JP 10430093A JP 10430093 A JP10430093 A JP 10430093A JP H06313809 A JPH06313809 A JP H06313809A
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JP
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film
temperature
polarizing film
bath
polyvinyl alcohol
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JP10430093A
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Nobuo Tanaka
信雄 田中
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 1,2−グリコール結合量が1.5モル%以
下のポリビニルアルコール系フイルムを一軸延伸して偏
光膜を製造するに際し、該ポリビニルアルコール系フイ
ルムの熱水溶解温度と一軸延伸浴温度との温度差が20
℃以内になるように一軸延伸浴温度を設定して一軸延伸
することを特徴とするポリビニルアルコール系偏光膜の
製造法。 【効果】 本発明は偏光性能および耐久性能に優れた偏
光膜の製造法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は偏光性能および耐久性能
に優れた偏光膜の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】光の透過・遮蔽機能を有する偏光板は、
光のスイッチング機能を有する液晶とともに、液晶ディ
スプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。このL
CDの適用分野も、初期の頃の電卓およびウオッチ等の
小型機器から、ラップトップパソコン、ワープロ、液晶
カラープロジェクター、車載用ナビゲーションシステ
ム、液晶テレビおよび屋内外の計測機器等の広範囲に広
がり、使用条件も低温〜高温、低湿度〜高湿度の幅広い
条件で使用されることから、偏光性能が高くかつ耐湿熱
性に優れた偏光板が求められている。偏光板は一般にポ
リビニルアルコール系フイルム(ポリビニルアルコール
系重合体からなるフイルムを意味し、以下、PVAフイ
ルムと略記することがある)を一軸延伸し、染色して作
成した偏光膜とその両外面を三酢酸セルロース(TA
C)膜などの支持板を貼り合わせた構成をしている。
【0003】従来の偏光膜は、ヨウ素およびヨウ素化合
物からなる染料あるいは二色性染料を使用して、PVA
フイルムを一軸延伸させて染色するか、PVAフイルム
を染色した後一軸延伸してから、ホウ素化合物で固定処
理を行うことによって製造されている。高偏光性と高耐
湿熱性を得る方法としては1,2−グリコール結合量の
少ないPVAフイルムを用いる方法が提案されている
(特開平3−175404号)。しかしながら、かかる
1,2−グリコール結合量の少ないPVAフイルムは高
結晶性のために一軸延伸性が低く、従来の偏光膜の製造
技術では高偏光性が得られないという問題があった。特
に乾式製膜で作られたフイルムは一軸延伸性が極めて低
いために偏光膜用の原反フイルムとしては検討されてい
なかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、1,
2−グリコール結合量の少ないPVAフイルムを用いた
高偏光性および高耐湿熱性を有する偏光膜の製造法を提
供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するために、1,2−グリコール結合量の少ないPV
Aフイルムを原料フイルムとする偏光膜の製造条件を種
々検討した結果、1,2−グリコール結合量が1.5モ
ル%以下のPVAフイルムの熱水溶解温度と一軸延伸浴
温度との温度差を特定の値以内になるように一軸延伸浴
温度を設定して一軸延伸することによって、延伸性が向
上して目的が達成できることを見出し本発明を完成させ
るに至った。即ち、本発明は1,2−グリコール結合量
が1.5モル%以下のポリビニルアルコール系フイルム
を一軸延伸して偏光膜を製造するに際し、該ポリビニル
アルコール系フイルムの熱水溶解温度と一軸延伸浴温度
との温度差が20℃以内になるように一軸延伸浴温度を
設定して一軸延伸することを特徴とするポリビニルアル
コール系偏光膜の製造法を提供するものである。
【0006】本発明においては原料PVAフイルムとし
て1,2−グリコール結合量が1.5モル%以下のPV
Aフイルムを使用する。1,2−グリコール結合量が
1.2モル%以下のPVAフイルムが好ましく、1.0
モル%以下のPVAフイルムがより好ましい。1,2−
グリコール結合量が1.5モル%を越えるPVAフイル
ムでは高偏光性と高耐湿熱性が得られない。1,2−グ
リコール結合量の低減は、偏光膜の耐湿熱性や耐熱性を
向上させ、さらに偏光性能を向上させるものであるが、
1,2−グリコール結合量が少なくなりすぎるとポリビ
ニルアルコール樹脂自体の製造が困難になることから、
1,2−グリコール結合量は0.5モル%以上が好まし
い。PVAフイルムの熱水溶解温度は、主に、使用する
PVAフイルムの1,2−グリコール結合量と製膜条件
によって変化する。本発明においては、原料PVAフイ
ルムの熱水溶解温度は65℃以上のものが好ましく、7
0℃以上がより好ましく、80℃以上がさらにより好ま
しい。
【0007】本発明の偏光膜の製造法においては、原料
PVAフイルムの熱水溶解温度と一軸延伸浴温度との温
度差が20℃以内になるように一軸延伸浴温度を設定し
て一軸延伸することが必要である。該温度差は15℃以
内がより好ましく、該温度差は5℃より大であることが
均一な延伸性が得られることから好ましい。該温度差が
20℃を越えると1,2−グリコール結合量が少ないP
VAフイルムの一軸延伸性が不良となり高偏光性と高耐
湿熱性が得られない。
【0008】従来の偏光膜の製造技術においては、原料
PVAフイルムの熱水溶解温度と一軸延伸浴温度との温
度差が一般的には30〜35℃になるように一軸延伸浴
温度を設定して一軸延伸しているが、偏光膜に延伸斑が
生じて、厚みおよび光学性能の均一な偏光膜が得られな
い。それに対して、本発明の製造法では従来の技術とは
極めて異なり、原反のPVAフイルムの熱水溶解温度と
一軸延伸浴温度の温度差を20℃以内にすることによ
り、高偏光性を達成しかつ延伸斑のない偏光膜を製造で
きる。本発明の製造法において、熱水溶解温度と一軸延
伸浴温度との温度差を20℃以内としても均一な延伸が
可能となる理由は明らかではないが、1,2−グリコー
ル結合量の少ないPVAフイルムを使用することによっ
て、PVAフイルムの結晶性が高まり、また結晶部の耐
熱水性が均一化したことによるものと推定している。
【0009】ここで熱水溶解温度(℃)の測定法は次の
通りである。すなわち、幅15cm×長さ15cmの試
料フイルムを温度40℃で100重量倍以上の容量の水
中に投入し、その後水温を3℃/分の速度で昇温し、目
視で試料フイルムが完全に溶解する際の熱水温度を測定
し、該熱水温度を熱水溶解温度とする。
【0010】本発明に用いる1,2−グリコール結合量
の少ないPVAフイルムの原料ポリビニルアルコール系
重合体は50℃以下で重合されたポリビニルエステル系
共重合体をけん化して得られる。該ポリビニルエステル
の重合法としては低温塊状重合法、低温懸濁重合法が挙
げられる。低温重合法においてはビニルエステルのよう
に連鎖移動が大きい系では重合温度の低下とともに連鎖
移動が抑えられるために、通常では重合度が高くなる
が、重合速度等の調整および連鎖移動剤の併用により、
目的とする重合度で、かつ1,2−グリコール結合量が
1.5モル%以下のポリビニルアルコール系重合体を得
ることができる。
【0011】かかるポリビニルエステル系重合体として
は蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレ
リン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、
スタアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニ
ル、バーサティック酸ビニル等のビニルエステル類の重
合体が挙げられるが、とりわけ酢酸ビニルの重合体が好
ましい。また上記ビニルエステルモノマー類に共重合可
能なモノマーを共重合した共重合体であることも差しつ
かえなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で使用され
る。このような共重合単位としては、例えばエチレン、
プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン
類、アクリル酸およびその塩、アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i
−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブ
チル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2エチルヘキ
シル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等
のアクリル酸エステル類、メタクリル酸およびその塩、
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル
酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリ
ル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル
酸t−ブチル、メタクリル酸2エチルヘキシル、メタク
リル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタク
リル酸エステル類、アクリルアミド、N−メチルアクリ
ルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチ
ルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリ
ルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルア
ミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4
級塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体
等のアクリルアミド誘導体、メタクリルアミド、N−メ
チルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、
メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メ
タクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩ま
たはその4級塩、N−メチロールアクリルアミドおよび
その誘導体等のメタクリルアミド誘導体、メチルビニル
エーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニル
エーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビ
ニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチル
ビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリル
ビニルエーテル等にビニルエーテル類、アクリルニトリ
ル、メタクリロニトリル等のニトリル類、塩化ビニル、
塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等の
ハロゲン化ビニル類、酢酸アリル、塩化アリル等のアリ
ル化合物、マレイン酸およびその塩またはそのエステ
ル、イタコン酸およびその塩またはそのエステル、ビニ
ルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物、酢酸イ
ソプロペニル等が挙げられる。
【0012】本発明に使用するポリビニルアルコール系
重合体は、上記の方法等によって得られた1,2グリコ
ール結合量が1.5モル%以下のポリビニルエステル系
重合体を公知の方法によりけん化することにより得られ
る。該ポリビニルアルコール系重合体の重合度やけん化
度も本発明の偏光膜の性能に影響を与える。ポリビニル
アルコール系重合体の重合度の下限はフイルム強度の点
から500以上が好ましく、偏光性能の点から1000
以上がより好ましく、2400以上がさらにより好まし
い。また重合度の上限はポリビニルアルコール系樹脂製
造および原反フイルム製造の点より20000以下が好
ましく、12000以下がより好ましい。ここでポリビ
ニルアルコール系重合体の重合度は該ポリビニルアルコ
ール系重合体を酢化したポリ酢酸ビニルのアセトン中、
30℃で測定した極限粘度から次式により求めた粘度平
均重合度で表したものである。 P=([η]×1000/7.94)(1/0.62) 該ポリビニルアルコール系重合体のけん化度は耐久性の
点から90モル%以上が好ましく、95モル%以上がよ
り好ましく、98モル%以上がさらにより好ましい。
【0013】上記のポリビニルアルコール系重合体を使
用してPVAフイルムを製造する方法としては、溶液か
らの流延キャスト製膜法、押出キャスト製膜法、湿式製
膜法(貧溶媒中への吐出)、乾湿式製膜法、ゲル製膜法
(PVA液膜を一旦冷却ゲル化した後、溶媒を抽出除去
し、フイルムを得る方法)、さらにこれらの湿式製膜
法、乾湿式製膜法およびゲル製膜法などの組合せによる
方法が使用できる。なかでも流延キャスト製膜法、押出
キャスト製膜法などの乾式製膜法が簡便で好ましい。こ
の時に使用される溶剤としては、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N
−メチルピロリドン、エチレングリコール、グリセリ
ン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ト
リメチロールプロパン、エチレンジアミン、ジエチレン
トリアミンおよび水等が単独または混合して使用され
る。また塩化リチウム、塩化亜鉛等の無機塩の水溶液も
単独もしくは前記溶媒と組み合わせて使用できる。この
中でジメチルスルホキシド単独、水単独およびジメチル
スルホキシドと水の混合溶媒が好適に使用される。原液
中のポリビニルアルコール系重合体の濃度は3〜50重
量%が好適である。ここでポリビニルアルコール系重合
体溶液には、必要に応じて、可塑剤、界面活性剤、ヨウ
素、ヨウ素化合物、塩素化合物、あるいは二色性染料等
を加えることができる。PVAフイルムの厚みは、5〜
150μmが使用可能であり、好ましくは30〜100
μmである。
【0014】このようにして得られたPVAフイルムか
ら偏光膜を製造するには、予備膨潤、染色、一軸延伸、
固定処理および乾燥処理、さらに必要に応じて熱処理を
経て偏光膜が製造される。予備膨潤浴水温度は30〜9
0℃が好適である。染色は延伸前、延伸中、延伸後のい
ずれも可能である。なかでも延伸後に染色することが、
光学特性の調整が容易で好適である。染色に用いる染料
としては、ヨウ素−ヨウ化カリウムからなる染料あるい
は二色性染料などが使用できる。染色浴中のヨウ素温度
は0.05〜1.5g/リットル、ヨウ化カリウム濃度
は5〜150g/リットル、二色性染料濃度は0.1〜
5g/リットルが好適であり、得られた偏光膜中の染料
濃度としては0.1〜5重量%/PVAが好適である。
染色浴水温度は30〜90℃が好適である。一軸延伸は
温水浴、乾熱浴または乾熱浴と温水浴の組合せ浴等の延
伸浴を使用して、ロール間延伸、圧延延伸、テンター縦
延伸等の延伸方法により好適に実施できる。一軸延伸浴
温度は、PVAフイルムの熱水溶解温度との温度差が2
0℃以内であれば、特に限定されないが、50〜100
℃が好適で、70〜100℃がより好適である。固定処
理における処理浴水には、通常、ホウ酸およびホウ素化
合物が添加される。この固定処理水浴には浴中にヨウ素
化合物および塩素化合物を混合してもよい。固定浴水中
のホウ酸およびホウ素化合物の濃度は0.5〜10重量
%、ヨウ素化合物およびヨウ素化合物の濃度は0.5〜
10重量%が好適である。固定浴水温度は30〜90℃
が好適である。乾燥温度は30〜120℃が好適で、ま
た熱処理温度は50〜150℃が好適である。また一軸
延伸の延伸倍率は偏光性能の点からは3倍以上が好まし
く、さらに好ましくは3.5倍以上である。延伸倍率の
上限は特に制限はないが7.0倍以下が均一な延伸が得
られる点から好適である。
【0015】このようにして得られた本発明の偏光膜
は、通常偏光膜の両外面にTAC膜などの支持フイルム
を貼合して使用される。
【0016】以下、実施例で本発明をさらに具体的に説
明する
【実施例】以下の実施例および比較例中において、偏光
膜の偏光性能を評価する指標として二色性比を、PVA
フイルムの膨潤性を表す指標として重量膨潤度を使用す
る。この二色性比は、得られた偏光膜について、日本電
子機械工業会規格(EIAJ)LD−201−1983
に準拠し、分光光度計を用いて、C光源、2度視野にて
測定・計算して得た透過率Ts(%)と偏光度P(%)
から、下記の式(I)で求められる。 二色性比=log(Ts/100-Ts×P/10000)/log(Ts/100+Ts×P/10000)・・・・・・(I)
【0017】実施例1 酢酸ビニルを原料として、特開平3−175404号
(株式会社クラレ出願)に記載の方法を用いて、1,2
−グリコール含有量1.4モル%、重合度4000、鹸
化度99.9モル%のポリビニルアルコールを作成し
た。次に、このポリビニルアルコール100重量部とグ
リセリン10重量部を水1200重量部に溶解してなる
ポリビニルアルコール溶液をドラム乾燥製膜機のドラム
上に流延製膜し、70℃で乾燥させたのち、熱風炉で1
10℃で熱処理して膜厚75μmのPVAフイルムを得
た。このPVAフイルムの熱水溶解温度は72℃であっ
た。このPVAフイルムを予備膨潤、染色、一軸延伸、
固定処理、乾燥の順に処理して偏光膜を作成した。この
ときの一軸延伸浴の水温は60℃で、従ってフイルムの
熱水切断温度と一軸延伸浴温との温度差は12℃であっ
た。また、染色浴水中のヨウ素濃度は、0.4g/リッ
トル、ヨウ化カリウムの濃度は40g/リットル、延伸
浴水中のホウ酸濃度は4重量%、一軸延伸の延伸倍率は
5.5倍、固定処理浴水中のホウ酸の濃度4重量%、ヨ
ウ化カリウムの濃度4重量%、予備膨潤、染色浴および
固定処理浴の水温はいずれも40℃で実施した。乾燥は
50℃の熱風で行った。得られた偏光膜の厚みは25μ
mであった。この偏光膜の両面に、ポリビニルアルコー
ル系樹脂水溶液を用いて厚み80μmのTACフイルム
を貼合して得た偏光板は透過率44.5%、偏光度9
9.9%、二色性比65.9であったこの偏光膜を温度
60℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽中に10日間放置
した後の透過率は44.6%、偏光度99.9%、二色
性比67.2であった。
【0018】実施例2 実施例1でえられたPVAフイルムを用いて、実施例1
の染色浴水中のヨウ素濃度を0.3g/リットル、ヨウ
化カリウムの濃度を30g/リットルに変更し、染色と
一軸延伸の順序を変えて、予備膨潤、一軸延伸、染色、
固定処理、乾燥の順に処理したこと以外は、実施例1と
同条件で偏光膜を作成した。得られた偏光膜の厚みは2
5μmであった。この偏光膜の両面に実施例1と同様に
TACフイルムを貼合して偏光板を作成した。得られた
偏光板の光学特性は透過率44.8%、偏光度99.9
%、二色性比69.9であった。この偏光板を温度60
℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽中に10日間放置した
後の透過率は44.7%、偏光度は99.9%、二色性
比68.5であった。
【0019】実施例3 実施例1と同じポリビニルアルコールを使用して、実施
例1と同じ溶液組成のポリビニルアルコール溶液を作成
し、この溶液をドラム乾燥製膜機のドラム上に流延製膜
し、70℃で乾燥させたのち、熱風炉で140℃で熱処
理して膜厚75μmのPVAフイルムを得た。このPV
Aフイルムの熱水溶解温度は88℃であった。このPV
Aフイルムを予備膨潤、染色、一軸延伸、固定処理、乾
燥の順に処理して偏光膜を作成した。このときの一軸延
伸浴の水温は70℃で、従ってフイルムの熱水切断温度
と一軸延伸浴温との温度差は18℃であった。また、染
色浴水中のヨウ素濃度は、0.5g/リットル、ヨウ化
カリウムの濃度は50g/リットル、延伸浴水中のホウ
酸濃度は4重量%、一軸延伸の延伸倍率は5.5倍、固
定処理浴水中のホウ酸の濃度4重量%、ヨウ化カリウム
の濃度4重量%、予備膨潤、染色浴および固定処理浴の
水温はいずれも40℃で実施した。乾燥は50℃の熱風
で行った。得られた偏光膜の厚みは25μmであった。
この偏光膜の両面に、ポリビニルアルコール系樹脂水溶
液を用いて厚み80μmのTACフイルムを貼合して得
た偏光板は透過率45.4%、偏光度99.85%、二
色性比71.8であった。この偏光板を温度60℃、相
対湿度90%の恒温恒湿槽中に10日間放置した後の透
過率は45.5%、偏光度99.8%、二色性比73.
5であった。
【0020】比較例1 実施例1で得たPVAフイルムを用いて、一軸延伸浴水
温を40℃に変更したこと以外は実施例1と同条件で偏
光膜を作成しようとしたが、フイルムが切断したので、
さらに一軸延伸倍率を延伸が可能な上限倍率の4.5倍
に変更した(即ち、延伸浴水温を40℃とし、一軸延伸
倍率を4.5倍とした)こと以外は実施例1と同条件で
予備膨潤、染色、一軸延伸、固定処理、乾燥に順に処理
して厚み30μmの偏光膜を得た。得られた偏光膜に実
施例1と同様にTACフイルムを貼合して得た偏光板は
透過率43.2%、偏光度96.3%、二色性比25.
1であった。この偏光板を実施例1と同条件で放置した
後の透過率は44.3%、偏光度91.6%、二色性比
20.0であった。
【0021】比較例2 実施例3で得たPVAフイルムを用いて、一軸延伸浴水
温を60℃に変更したこと以外は実施例3と同条件で偏
光膜を作成しようとしたが、フイルムが切断したので、
さらに一軸延伸倍率を延伸が可能な上限倍率の4.5倍
に変更した(即ち、延伸浴水温を60℃とし、一軸延伸
倍率を4.5倍とした)こと以外は実施例3と同条件で
予備膨潤、染色、一軸延伸、固定処理、乾燥の順に処理
して厚み30μmの偏光膜を得た。得られた偏光膜に実
施例1と同様にTACフイルムを貼合して得た偏光板は
透過率44.2%、偏光度96.8%、二色性比30.
5であった。この偏光板を実施例1と同条件で放置した
後の透過率は44.6%、偏光度95.3%、二色性比
28.0であった。
【0022】比較例3 酢酸ビニルを原料として作成した1,2−グリコール含
有量1.7モル%、重合度400、けん化度99.9モ
ル%のポリビニルアルコール100重量部とグリセリン
10重量部とを水1200重量部に溶解して得たポリビ
ニルアルコール溶液をドラム乾燥製膜機のドラム上に流
延製膜し、70℃で乾燥させたのち、熱風炉で110℃
で熱処理して膜厚75μmのフイルムを得た。このフイ
ルムの熱水溶解温度は65℃であった。このフイルムを
用いて、延伸浴温度を50℃としたこと以外は実施例1
と同条件で偏光膜を作成した。得られた偏光膜は延伸斑
が生じており、厚みは22〜28μ、透過率は42〜4
4%、偏光度は95〜99%、二色性比は25〜31の
範囲にばらついていた。
【0023】
【発明の効果】本発明に得られる偏光膜は偏光性能およ
び耐湿熱性が極めて優れており、例えばLCDナビゲー
ションシステムあるいはLCDテレビなどの温度および
湿度変化の大きい車載LCD用偏光板用として有用であ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1,2−グリコール結合量が1.5モル
    %以下のポリビニルアルコール系フイルムを一軸延伸し
    て偏光膜を製造するに際し、該ポリビニルアルコール系
    フイルムの熱水溶解温度と一軸延伸浴温度との温度差が
    20℃以内になるように一軸延伸浴温度を設定して一軸
    延伸することを特徴とするポリビニルアルコール系偏光
    膜の製造法。
JP10430093A 1993-04-30 1993-04-30 偏光膜の製造法 Pending JPH06313809A (ja)

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