JPH06310493A - 半導体装置の製造装置 - Google Patents

半導体装置の製造装置

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JPH06310493A
JPH06310493A JP9781093A JP9781093A JPH06310493A JP H06310493 A JPH06310493 A JP H06310493A JP 9781093 A JP9781093 A JP 9781093A JP 9781093 A JP9781093 A JP 9781093A JP H06310493 A JPH06310493 A JP H06310493A
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JP
Japan
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film
gas
organic compound
treatment
processing chamber
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Pending
Application number
JP9781093A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuyoshi Sato
伸良 佐藤
Tadashi Nakano
正 中野
Tomohiro Oota
与洋 太田
Osamu Haida
治 拜田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ステップカバレージ及び平坦性に優れてお
り、特にサブミクロンデバイスの絶縁膜として使用する
のに有効であるとともに優れた膜質を有し、クラックや
ボイドの発生もない絶縁膜を形成することができる装
置。 【構成】 半導体基体を連続的に移送する搬送手段4を
そなえ、この搬送手段4による移送経路に沿って半導体
基体に表面処理を施す複数個の処理室1,2及び3を配
置してなり、上記処理室のうち、移送経路の上流側の少
なくとも1個を有機化合物処理を施す処理室とし、残余
は熱CVDにより絶縁膜を形成する処理室とする。 【効果】 有機化合物処理とCVD法による絶縁膜の形
成処理とを、連続的に施すことができ、スループットの
低下を招くことなしに有機化合物の処理ができて効率的
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、半導体装置の製造装
置、特に半導体基体と第1層の配線層との間に設けられ
る1次絶縁膜、多層配線層の間に設けられる層間絶縁
膜、パッシベーション膜として作用する最終絶縁膜、金
属配線やゲート電極のサイドウォール等の絶縁膜を、有
機けい素化合物や無機けい素化合物を原料ガスとする化
学気相成長(CVD)によって形成する半導体装置の製
造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、VLSIデバイスの高集積化、高密度
化が急速に進み、半導体加工技術はサブミクロン加工が
必須のものとなってきている。サブミクロン加工が進む
に伴って半導体基体表面の凹凸はますます激しくなり、
アスペクト比が大きくなり、この凹凸がデバイス製造上
の制約となってきている。このような問題の解決のため
に最も強く望まれているのが、多層金属配線間に形成さ
れる層間絶縁膜の平坦化技術である。
【0003】サブミクロンデバイス用の層間絶縁膜に要
求される特性としては、サブミクロンオーダーのスペー
スを形成すること及び1以上の高アスペクト比を持つパ
ターンに対する優れたステップカバレージを実現するこ
と等がある。このような要求を満たす層間絶縁膜の形成
方法として有機シラン及び無機シランを原料ガスに用い
た化学気相成長法(CVD 法)が知られている。また、CV
D 法としてはプラズマCVD 法、常圧CVD 法、減圧CVD
法、加圧CVD 法、光励起CVD 法等が従来より提案されて
いる。
【0004】これらの内、有機シラン系化合物を原料ガ
スとし、これにオゾンガスを反応ガスとして加えて常圧
CVD 法で形成した絶縁膜、すなわち常圧オゾン−有機シ
ランCVD シリコン酸化膜は、その平坦性が特に優れてい
ることから最も期待されている方法の一つである。この
ようなオゾン及び有機シラン系化合物の混合ガスを原料
ガスとして用いる常圧CVD 法は、例えば特開昭61-77695
号公報や「電気化学」56, No.7(1988), 527 〜532 頁等
に記載されている。また、有機シラン系化合物としては
TEOS(tetraethoxysilane), OMCTS(octamethylcyclotetr
asiloxane), HMDS(hexamethyldisiloxane), SOB(trimet
hylsilyl borate), DADBS(diacetoxyditertiary-butoxy
silane), SOP(trimethysilyl phosphate)等が知られて
いる。
【0005】また、半導体装置の最終保護膜として用い
られる絶縁膜においても、VLSIデバイスの高集積化、高
密度化に伴い、その平坦性と、素子の信頼性に影響を与
える膜質の向上が強く要求されている。これは主に素子
外部からの水分等の侵入を防ぐためである。
【0006】しかしながら、有機シラン系化合物を原料
ガスとするCVD 法によって絶縁膜を形成する方法におい
ては、成膜速度や膜質の下地依存性が大きく、ステップ
カバレージが悪くなるとともにボイドが発生するという
欠点がある。例えば、層間絶縁膜を形成する場合、下地
絶縁膜の上での成膜速度は遅く、アルミ配線の上での成
膜速度が速く、配線間への回り込みが少ないので配線間
が埋まらない内に上部が塞がれてしまう結果、アルミ配
線間に大きなボイドが形成されてしまう欠点がある。こ
のように有機シラン系化合物を原料ガスとするCVD 膜が
大きな下地依存性を有することは、例えば特開昭61-776
95号公報や平成3年に発行された「電気学会論文A」,
111 巻7号の652 〜658 頁に記載されている。このよう
にボイドが形成されると、層間絶縁膜にクラックが発生
し、配線間のリーク電流が増加したり、応力によって配
線間のスペースが変化し、素子特性に悪影響を及ぼすこ
とになる。
【0007】上述した有機シラン系化合物を原料ガスと
し、これにオゾンガスを反応ガスとして加えて常圧CVD
法で形成した絶縁膜の下地依存性を低減するために、所
定膜厚の絶縁膜を形成させる過程で、オゾン濃度を低濃
度から高濃度へ変化させる方法が考えられ、かような成
膜法を実施するための装置として、個別に成膜条件を制
御可能なCVD 成膜室を半導体ウェファの搬送ラインに沿
って複数個配置して、半導体ウェファを連続的に搬送し
ながら、初期の成膜を施す成膜室では低濃度のオゾン条
件で、それ以降の成膜を施す成膜室では高濃度のオゾン
条件で成膜を施すことにより、常圧オゾン−有機シラン
CVD シリコン酸化膜を形成する装置が知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
成膜法及び装置では、得られた常圧オゾン−有機シラン
CVD シリコン酸化膜にボイドが生じることを回避するこ
とは可能になったけれども、高アスペクト比の配線段差
間の埋め込みが悪くなるという問題を残しているばかり
でなく、このようなボイド発生の回避のために、低濃度
オゾン条件下での成膜を最低でも1000Åの厚みで行う必
要がある一方で、このような低濃度オゾン条件下での成
膜では、膜中に水分等を含む多量の炭素化合物(未反応
物)が混入するため、全体の膜厚における膜質が結果的
に悪くなり、耐吸湿性が悪いとともにクラックが発生す
るという欠点があった。膜中の水分は、ビアポイズニン
グ、Al配線のコロージョンホットキャリア耐性の劣化、
誘電率の増加(信号の遅延)等を招いてしまう。
【0009】この発明は、上述した従来の種々の欠点を
解消し、ステップカバレージ及び平坦性に優れており、
特にサブミクロンデバイスの絶縁膜として使用するのに
有効であるとともに優れた膜質を有し、クラックやボイ
ドの発生もない絶縁膜の形成することができ、したがっ
て信頼性の高い半導体装置を製造することができる半導
体装置の製造装置を提案することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明による半導体装
置の製造装置は、半導体基体を連続的に移送する搬送手
段をそなえ、この搬送手段による移送経路に沿って半導
体基体に表面処理を施す複数個の処理室を配置してなる
装置であって、上記処理室のうち、移送経路の上流側の
少なくとも1個は有機化合物処理を施す処理室であり、
残余は熱CVDにより絶縁膜を形成する処理室であるこ
とを特徴とする。
【0011】ここにおいて、有機化合物処理としては、
有機化合物の暴露処理、有機化合物のカーテンフローコ
ート処理、あるいは有機化合物のスプレーコート処理が
挙げられる。
【0012】また、この発明における熱CVDによる絶
縁膜の形成に際しては、原料として有機けい素化合物、
無機けい素化合物のいずれをも用いることができ、さら
にボロン化合物及び/又はリン化合物を原料として併用
することもできる。
【0013】
【作用】このようなこの発明による半導体装置の製造装
置によれば、化学気相成長により絶縁膜を形成する半導
体ウェファの下地表面に、有機化合物処理を施すことが
可能になるから、絶縁膜の下地依存性は大幅に軽減され
る。したがって、段差の埋め込み性及び平坦性に優れて
いるとともに、ボイドの発生がない。さらにオゾン濃度
が低い条件で絶縁膜を形成する膜厚を低減し又は皆無に
することができるために、水分の含有も極めて少ない良
好な膜質を有する絶縁膜を形成することができる。
【0014】また、この発明の装置は、複数個の処理室
を同一搬送手段上に列設することにより、有機化合物処
理とCVD法による絶縁膜の形成処理とを、連続的に施
すことができる。したがって、スループットの低下を招
くことなしに有機化合物の処理ができ、効率的なばかり
か、搬送過程でパーティクルやゴミ等が付着する可能性
が小さく、素子特性が改善されるとともに歩留まりを向
上させることができる。
【0015】さらに、有機化合物処理後に熱CVDによ
り絶縁膜を形成する処理室を複数個配設することによ
り、それぞれの処理室で異なる種類の絶縁膜を形成する
ことができる。例えば、上流側の処理室では常圧オゾン
−有機シランCVD シリコン酸化膜を形成し、次の処理室
ではボロン及び/又はりんを含む酸化膜を形成すること
ができる。
【0016】この発明において、有機化合物処理を施す
ための有機化合物としては、脂肪族飽和一価アルコー
ル、脂肪族不飽和一価アルコール、芳香族アルコール、
脂肪族飽和多価アルコール、アルデヒド、エーテル、ケ
トン、カルボン酸、ニトロアルカン、アミン、アシルニ
トリル、酸アミド、複素環式化合物から選ばれる1種又
は2種以上が挙げられ、具体的には以下のような物質を
用いることができる。
【0017】脂肪族飽和一価アルコール類:メタノー
ル、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノー
ル、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、
2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、1−
ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチ
ル−2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、1
−ヘキサノール、シクロヘキサノール
【0018】脂肪族不飽和一価アルコール類:アリルア
ルコール、プロパギルアルコール、2−メチル−3−ブ
チン−2−オール
【0019】芳香族アルコール類:ベンジルアルコー
ル、フルフリルアルコール
【0020】脂肪族飽和多価アルコール類及びその誘導
体:エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエ
チレングリコール、エチレングリコールモノメチルエー
テル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレ
ングリコールモノnブチルエーテル、エチレングリコー
ルモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノ
メチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテル
【0021】アルデヒド:ホルムアルデヒド、アセトア
ルデヒド、グリオキザール
【0022】エーテル:ジエチルエーテル、ジオキサ
ン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフルフリルアル
コール
【0023】ケトン・ケトアルコール:アセトン、2−
ブタノン、ジアセトンアルコール、γブチロラクトン、
炭酸プロピレン
【0024】カルボン酸:ギ酸、酢酸、プロピオン酸、
グリコール酸、乳酸、乳酸エチル
【0025】ニトロアルカン:ニトロメタン、ニトロエ
タン、ニトロプロパン、ニトロベンゼン
【0026】アミン:エチルアミン、プロピルアミン、
イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミ
ン、アリルアミン、アニリン、トルイジン、エチレンジ
アミン、ジエチルアミン、エチレンイミン、ジプロピル
アミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、トリ
エチルアミン、トリnプロピルアミン、トリnブチルア
ミン
【0027】アシルニトリル類:アセトニトリル、プロ
ピオノニトリル、ブチロニトリル、アクリロニトリル、
メタクリロニトリル、ベンゾニトリル
【0028】酸アミド:ホルムアミド、N−メチルホル
ムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル
アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、
【0029】複素環式化合物:ピリジン、キノリン、ピ
ロール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、2−ピ
ロリジノン、1−メチル−2−ピロリジノン
【0030】この発明においては、このような有機化合
物の1種で下地処理するか又は2種以上の有機化合物で
同時にもしくは順次に処理することができる。
【0031】また、下地表面の有機物処理は、有機化合
物の蒸気を半導体ウェファに吹き付ける蒸気処理が代表
的であるが、この他、有機化合物の溶液をスプレーする
スプレー処理、有機化合物の液膜に半導体基板を通過さ
せるカーテンフローコート処理などが可能であり、いず
れも簡単に実施することができる。
【0032】このように下地表面を有機物処理すること
によって段差間への埋め込み性が良好で膜質の良好な絶
縁膜が形成される理由は明確には解明できていないが、
O3-TEOS CVD NSG (Non-doped silicon glass) 膜の下地
表面を有機物処理する場合を例にすると次のように考え
ることができる。
【0033】1.下地絶縁膜表面のエタノール処理によ
る変成 絶縁膜として使われるSiH4あるいはTEOSベースのプラズ
マCVD 酸化膜や熱CVD酸化膜、Siの熱酸化膜はいずれも
非晶質のSiO2あるいはSiO2に近い組成のものである。非
晶質SiO2の最表面は、プロセス中あるいは大気雰囲気中
の水によって容易に水和され、Si-OH のシラノール型の
構造となっていることが多い。表面に存在するSi-OH
は、電気陰性度の高いSi側に電子が引きつけられている
ため、全体として
【化1】 の形に強く分極しており、大きな双極子モーメントを持
っている。Si-OH には、この分極のために極性の高い分
子である水やアルコールなどを強く吸着する性質があ
る。比表面積を大きくすることでSi-OH の吸着能を最大
限に高めた重要な応用例が乾燥剤のシリカゲルである。
【0034】表面がSi-OH で覆われているSiO2質の絶縁
膜に、気体の有機化合物を吹き付けたり、液体の有機化
合物を塗布や浸漬して作用させることを想定する。多く
の有機化合物はSi-OH の分極の作用で表面に吸着される
が、その吸着される強さは有機化合物の側の極性で異な
ってくる。シクロヘキサンやベンゼン等の無極性物質は
表面に吸着されにくく、低級アルコールやアセトニトリ
ル、低級カルボン酸など高い極性の物質は強く吸着され
る。中程度の極性を有するジオキサンやケトン類はその
中間の強さで吸着されると予想される。
【0035】一方、Si-OH は、プロトンを放出するLewi
s 酸としても働き、他の活性な水酸基を持つ有機化学物
質と相互作用する。典型的な例がアルコールとの間で起
きるアルコキシル基の交換反応であり、例えばエタノー
ル:C2H5OHとの間で Si-OH +C2H5OH=Si-OC2H5+H2O のようなエステル化反応が起こる。ここで形成されるSi
-OC2H5の結合は極めて強固であり、Siの自然酸化膜の上
に形成されたSi-OC2H5は400 ℃の酸化性雰囲気でも数十
分以上の寿命を有する。
【0036】したがって、有機化合物による気相あるい
は液相での処理によって、当該有機化合物分子の化学的
吸着が起こり、さらにエタノールのようなアルコール類
による処理ではエステル化反応も起こるものと考えられ
る。いずれにしても、このように吸着ないしはエステル
化されたシラノールは、以後吸着能力を失い、不活性な
表面状態に変わることになる。絶縁膜表面への吸着の強
さの程度を評価するには、吸着化学種の脱離温度が目安
となり、概ね吸着化学種の極性と同じ傾向になるが、エ
ステル化反応を起こすようなアルコール類では特に高い
脱離温度を示す。
【0037】2.O3-TEOS 系の気相化学反応と気相中成
膜化学種 O3-TEOS の熱CVD 反応では、成膜に寄与する二種類の中
間化学物質(成膜化学種)が気相中に存在するとされて
いる。一つはシラノール基を有するもの:HO-Si(OC2H5)
3 (A)で、次のようなTEOS(Si(OC2H5)4)と原子状酸
素〔O〕の化学反応で生成すると考えられる。なお、TE
OSとO3は直接は反応せず、反応の開始はO3の熱分解で発
生する原子状酸素〔O〕から起こるとされている。
【化2】 すなわちSiに結合しているエトキシ基が酸素原子による
酸化を受けて分解し、シラノールを残す反応である。
(1) 式では最終的な酸化生成物をCO2 とH2O としたが、
実際にはその中間段階として、エタノール(C2H5OH)、
メタノール(CH3OH )、アセトアルデヒド(CH3CHO)、
フォルムアルデヒド(HCHO)、酢酸(CH3COOH )、ギ酸
(HCOOH )などを経由するものと考えられる。
【0038】もう一つの中間体は、シロキサン重合体:
(C2H5O)3 Si-O-Si(OC2H5)3(B)である。これば上記
(1) 式で生成するシラノール中間体(A)の縮合によっ
て(2)あるいは(2′) のような反応によって形成される
ものと考えられる。
【化3】 気相中でのシラノールの寿命は一般に短いと考えられる
ので、シラノール中間体(A)は、比較的短命で、(2),
(2′) などの縮合反応によって容易にシロキサン重合体
(B)に変化するものと考えられる。
【化4】
【0039】シラノール中間体(A)は分子内に活性な
Si-OH 基をもっているため高活性であり、重合しやすい
という性質がある他、分子内の分極も大きく、基板表面
に対して吸着されやすい。一方シロキサン中間体(B)
は、低活性であり、また高沸点・低蒸気圧なので成膜温
度程度では液状になっている可能性が高い。分極も小さ
いので吸着はされにくいと考えられる。
【0040】したがってシラノール中間体(A)が成膜
に主に寄与する機構においては、(A)の基板表面への
吸着が速やかに起こり、次いで吸着された分子の余った
エトキシ基のオゾン酸化によるポリシラノール(Si(OH)
n ,n>1)化、そして生成したシラノールが新たな吸
着サイトとなり、ここへ気相中成膜種(A)が再び吸着
する、というように進むと考えられる(吸着−分解機
構)。(A)は反応活性であるために中間体のライフタ
イムが短く、付着係数が大きくなり、(A)の供給され
やすい部位への吸着が高速に起こり、ステップカバレッ
ジは悪化することになる。またシラノールがそのまま膜
内残存する確率も上がるので、膜質やその均一性は相対
的に悪く、表面などに吸着される水分量も多い傾向にあ
る。
【0041】これと対照的にシロキサン重合体中間体
(B)が成膜に主に寄与する場合、吸着が起こりにくい
ため、基板表面への重合体の界面張力による拡散(流
動)が成膜を支配するものと考えられる。表面に拡がっ
た重合体は再度オゾン酸化によるシラノール化と重合を
受けるが、表面に現れるフリーのシラノール密度は小さ
いと考えられるので、気相中成膜種(B)は再び流動で
堆積されると考えられる(重合−流動機構)。中間体
(B)のライフタイムが長いので、ステップカバレッジ
が上がり、フローライクな形状となる。膜表面及び内部
の残存シラノールは減少するため、膜質は相対的に良く
なる。
【0042】(A),(B)いずれの中間体が支配する
においても、熱あるいは過剰のオゾンによって堆積され
た化学種は最終的に分解・酸化されてSi-O-Si のネット
ワークを形成し、化学量論比に近い非晶質SiO2に近づ
く。ただし、(A),(B)のどちらか一方だけが成膜
に関与するということはなく、常に2種の化学種が関与
していると考えられ、オゾン濃度や成膜温度などの成膜
パラメータや下地の表面状態によって(A),(B)の
成膜に関与するバランスが変化するものと考えられる。
【0043】3.下地の表面状態と気相化学反応の関係 上記メカニズムの説明から明らかなように、気相中の成
膜化学種のバランスによって成膜後の形状は大きな変化
を受けることがわかる。基板にSi-OH 吸着サイトが高い
密度で分布している場合、気相中化学種のうち、シラノ
ール中間体(A)はその大きな分極のため、重合反応を
待たずに直ちに表面に吸着されるものと考えられる。吸
着されたシラノールは、直ちにオゾンあるいは熱による
酸化を受けて新たな吸着サイトとなりうるシラノールが
生成したり、他のシラノール中間体(A)による付加を
受けることで、以後ずっと(A)が支配的な吸着−分解
機構による膜堆積が継続して進行する。シロキサン重合
体(B)による堆積も、割合は少ないが(A)と平行し
て進行すると考えられ、二つの成膜種の混在による膜質
の局部的な変動が起こり、これがBHF でエッチングした
ときのむらの原因となっている可能性がある。エタノー
ル未処理の酸化膜上でのO3-TEOS の成膜機構はこのタイ
プだろうと考えている。
【0044】下地絶縁膜を有機化合物で処理し、吸着活
性なシラノールを全て潰した場合は、シラノール中間体
(A)が基板に吸着されることはなくなる。したがって
気相中での滞留時間が伸び、シロキサン重合体(B)に
変化する確率が上がるため、気相中成膜化学種の中で
(B)の割合が高くなる。(B)のシロキサン重合体
は、基板表面を界面張力によって覆うように拡がる。こ
の重合体は活性なシラノールをもっていないので、膜表
面が(B)で一度覆われると、シラノール中間体(A)
は以降も吸着されず、以後の堆積は全てシロキサン重合
体(B)の流動が主体となって進行することになる。
【0045】すなわち、成膜前の基板の状態は、後の成
膜機構に最後まで決定的な影響を与えうることになる。
有機化合物による成膜前処理は、上記メカニズムから推
測されることによれば、活性吸着サイトにすべて吸着さ
れれば完全な効果が得られ、約400 ℃の成膜温度におい
て脱離されない化合物ならばいずれでも構わないのであ
るが、極性の高いアセトニトリルやエステル化作用のあ
る低級アルコールは、この成膜温度においても脱離され
ず安定に残存しており、最も適切なものであろうと考え
られる。
【0046】ただし、界面張力によってシロキサン重合
体が流動する最も初期の過程において、重合体と基板表
面の間の界面張力の絶対値は、最終のフロー形状に影響
を与える可能性が高い。すなわち重合体と処理済み基板
の濡れ性が問題となり、有機化合物の処理によって、重
合体に良く濡れる化学種を吸着あるいはエステル化させ
ることが、良いフロー形状を得るためには望ましい。重
合体と同一の官能基を持つエタノールや2−エトキシエ
タノールによる処理が実際にも好ましい結果を与えてい
るのも、そのためであろう。
【0047】上述したところは理論及び実験の結果に基
づいたものではあるが、あくまでも推論であり、この発
明はこのような推論によって技術的範囲が限定されるも
のではないことは勿論である。
【0048】また、有機化合物処理後に、絶縁膜を形成
する処理室にて化学気相成長を施すためのけい素化合物
としては、有機けい素化合物、無機けい素化合物のいず
れでもよい。有機けい素化合物としては、TEOS、TMOS、
OMTCS 、HMDS、SOB 、DADBS、SOP などを代表例とする
以下の有機けい素化合物が挙げられる。
【0049】テトラアルコキシシランとして次のとお
り:テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラ
ン(TEOS)、テトラnプロポキシシラン、テトライソプロ
ポキシシラン、テトラnブトキシシラン
【0050】アルキルアルコキシシランとして次のとお
り:メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ラン、メチルトリnプロポキシシラン、メチルトリイソ
プロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチル
トリエトキシシラン、エチルトリnプロポキシシラン、
エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシ
シラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメト
キシシラン ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシ
ラン、ジエチルジnプロポキシシラン、ジエチルジイソ
プロポキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メ
チルビニルジエトキシシラン メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキ
シシラン
【0051】ポリシロキサンとして:テトラキス(ジメ
チルシロキシ)シラン
【0052】シクロシロキサンとして次のとおり:オク
タメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS) 、ペンタメチ
ルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラ
シロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、トリ
メチルシクロトリシロキサン
【0053】ジシロキサンとして次のとおり:ヘキサメ
チルジシロキサン(HMDS)、テトラメチルジメトキシジシ
ロキサン、ジメチルテトラメトキシジシロキサン、ヘキ
サメトキシジシロキサン
【0054】アルキルシランとして次のとおり:モノメ
チルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、トリ
エチルシラン、テトラメチルシラン、テトラエチルシラ
ン アリルトリメチルシラン ヘキサメチルジシラン
【0055】シリルアミンとして次のとおり:ジメチル
トリメチルシリルアミン、ジエチルトリメチルシリルア
ミン
【0056】シラン窒素誘導体として次のとおり:アミ
ノプロピルトリエトキシシラン トリメチルシリルアジド、トリメチルシリルシアナイド
【0057】シラザンとして次のとおり:ヘキサメチル
ジシラザン、テトラメチルジシラザン オクタメチルシクロテトラシラザン、ヘキサメチルシク
ロトリシラザン
【0058】ハロゲン化シラン及び誘導体として次のと
おり:トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラ
ン、トリnプロピルクロロシラン、メチルジクロロシラ
ン、ジメチルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロ
ロシラン、クロロメチルトリメチルシラン、クロロプロ
ピルメチルジクロロシラン、クロロプロピルトリメトキ
シシラン ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、メ
チルビニルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、
エチルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ト
リフロロプロピルトリクロロシラン、トリフロロプロピ
ルトリメトキシシラン、トリメチルシリルアイオダイ
ド。
【0059】さらに、有機けい素化合物としては、トリ
ス(トリメチルシロキシ)ボラン(SOB) 、トリス(トリ
メチルシロキシ)ホスホリル(SOP) 、ジアセトキシジ-t
ert-ブトキシシラン(DADBS) なども用いることができ
る。
【0060】この発明においては、上述した有機けい素
化合物を単独で用いるかあるいは2以上の有機けい素化
合物を混合して用いることができる。混合して用いる場
合の混合割合は適当に定めれば良い。
【0061】さらに、前記無機シランとしてはシラン、
ジシラン、トリシラン、テトラシランを代表例とし、こ
の他としてモノクロルシラン、ジクロルシラン、トリク
ロルシランなどのクロルシランを挙げることができ、こ
れらの無機シランについても、2種以上を組み合わせて
用いることができる。
【0062】加えて、かかる有機けい素化合物又は無機
けい素化合物を原料とする化学気相成長の際には、ジボ
ランやフォスフィン等のB、P原料を同時に供給して、
PSG膜やBPSG膜を形成することも可能である。
B、P原料としては、次のものがある。 Bを含む化合物:BH3 、B(CH3)3 、BH2CH3、B(N(CH3)3)
3 、B(OCH3)3、B(OC2H5)3 等 Pを含む化合物:PH3 、PO(OCH3)3 、(CH3)3P 、(CH3)3
PO等 Si−Bを含む化合物:B((OSi(CH3)3)3 、(CH3)3SiOB(C
H3)2等 Si−Pを含む化合物:PO((OSi(CH3)3)3 、P((OSi(C
H3)3)3、(CH3O)POSi(OCH3)3 、Si(OPO(OCH3)2)4等 Si−B−Pを含む化合物:PO((OSi(CH3)3)2OSiOB(OCH3)
2 、POB(OSi(CH3)3)3 等 またこれらの化合物を混合して用いることもできる。
【0063】原料の有機けい素化合物又は無機けい素化
合物は、一定温度に加温されたバブラーに供給し、窒
素、酸素、ヘリウムなどをキャリアガスとしてバブリン
グし、成膜チャンバに輸送する。バブリング後の配管は
凝結防止のため、加温されることが望ましい。また、反
応ガスには、酸素、あるいはオゾンを濃度:0.1 wt%以
上好ましくは4wt%以上含む酸素ガスを用いる。さらに
窒素などの不活性ガスで適宜希釈することも可能であ
る。これら有機けい素化合物、無機けい素化合物と反応
ガスとキャリアガスとの流量比は特に限定されない。絶
縁膜の成膜温度は200 〜500 ℃、好適には300 〜450 ℃
である。
【0064】
【実施例】図1に、この発明の半導体装置の製造装置の
一実施例を模式的に示す。この実施例の装置では、半導
体ウェファに有機化合物処理又は絶縁膜の形成処理を施
すための第1の処理室1、第2の処理室2及び第3の処
理室3の、合計3個の処理室をそなえている。また、半
導体ウェファの搬送手段として、複数個のロールに巻き
かけられたベルトコンベア4をそなえ、紙面左手から右
手へ向けてベルトコンベア4上に載置された半導体ウェ
ファを搬送するようになっている。なお、ベルトコンベ
ア4の半導体ウェファ搬送ラインは、ゴミ等の付着を防
止するために筐体(図示せず)の内側に設けてある。
【0065】前記第1の処理室1、第2の処理室2及び
第3の処理室3は、このベルトコンベア4の半導体ウェ
ファ搬送ラインに沿って配設してあり、そして、このラ
インにて各処理室の間に不活性ガス(N2ガス)を導入す
る一方で、各処理室の両側の排出口5から排気すること
により、それぞれの処理室内のガスが他の処理室へ混入
するのを防いで、各処理室が個別の処理を施すことを可
能にしている。また半導体ウェファ搬送ラインの両端に
も排気口6が設けてある。7はマノメータである。
【0066】第1の処理室1、第2の処理室2及び第3
の処理室3を、等間隔で配置することにより、複数枚の
半導体ウェファを各処理室にて同時に処理することが可
能である。ベルトコンベア4による半導体ウェファの搬
送は、半導体ウェファが各処理室内に入った時に送りを
止める、間欠送りも可能であるが、連続的に半導体ウェ
ファを搬送しつつ、各処理を施すことが一般的である。
搬送速度によって、処理時間、成膜時間を変化できる。
【0067】半導体ウェファ搬送ラインから外れた位置
において、成膜などによりベルト表面に付着したパーテ
ィクル等を除去するためにベルトコンベア4のベルトを
洗浄する。そのために洗浄液中に浸漬させて洗浄する超
音波ベルトクリーナ8とふっ酸(HF)ガスにより洗浄す
るベルトクリーナ9とを設けてある。なお10はドライヤ
ーである。
【0068】図2に、図1に示した装置の要部の平面図
を示す。この図のように処理室が3個ある場合の、有機
化合物処理と化学気相成長による絶縁膜形成処理との組
み合わせは、第1の処理室1を有機化合物の処理に、第
2の処理室2、第3の処理室3を絶縁膜形成処理とする
のが好適である。
【0069】第1の処理室1で施す有機化合物処理につ
いては、有機化合物の暴露処理、有機化合物のカーテン
フローコート処理、有機化合物のスプレーコート処理が
好適であり、図3に、有機化合物の暴露処理を施すため
の装置の一例を示す。この装置は、有機化合物のガスを
半導体ウェファに吹きつけるためのインジェクタ11と、
吹きつけ後の原料ガス及び遮蔽のための窒素ガスを排出
するための排気アセンブリ12と、遮蔽のための窒素ガス
を乱れなく排出アセンブリに導くためのスクリーン13と
を有し、ベルト4上に載置されつつ連続的に移動する半
導体ウェファ11に対して、インジェクタ11に導かれた有
機化合物ガス又はその希釈ガスをスリット状間隙から吹
きつける。このような有機化合物処理と、引き続く絶縁
膜の形成処理とで、半導体基板の加熱温度差が問題にな
る場合には、処理による温度低下を考慮して、ヒートア
ップして半導体基板を加熱すればよい。また、第1の処
理室(50℃)と第2処理室(300〜500 ℃)の間に半導体
基板が到達したら、そこで数秒の予熱を行う為に搬送ス
ピードを下げる。
【0070】次に、図4に、第2の処理室2内の構成要
素の立体分解図を示すが、第3の処理室も同様である。
図中21はインジェクターであり、半導体ウェファに向け
た各種の原料ガスをキャリアガスとともに導いて吹きつ
けを司る。22は、排気アセンブリーで、インジェクター
21から半導体ウェファへ吹きつけられた原料ガス及び遮
蔽用の窒素ガス並びに生成したパーティクルを外部に排
出するためのものであり、図示しない排出用導管に接続
する。23はシールドであり、インジェクター21からの原
料ガスを導くスリット間隙を中央部に有して半導体ウェ
ファ表面に対向配置される。このシールド23は、パーテ
ィクルがインジェクター21や排気アセンブリー22に付着
するのを防止するとともに、遮蔽用の窒素ガスを乱れな
く排出アセンブリに導くためのものである。
【0071】かかる第2の処理室2、第3の処理室3で
の絶縁膜形成処理の例としては、第2の処理室、第3
の処理室いずれも同一条件で常圧オゾン−有機シランCV
DNSG 膜の形成処理を行う、第2の処理室では低オゾ
ン濃度で、第3の処理室では高オゾン濃度で、常圧オゾ
ン−有機シランCVD NSG 膜の形成処理を行う、第2の
処理室では、常圧オゾン−有機シランCVD NSG 膜の形成
処理を行い、第3の処理室ではボロン化合物及び/又は
リン化合物をも原料に用いてPSG 膜やBPSG膜の形成処理
を行う、第2の処理室では常圧オゾン−有機シランCV
D NSG 膜の形成処理を行い、第3の処理室では常圧−無
機シランCVD NSG 膜の形成処理を行う、等がある。
【0072】上述したような半導体装置の製造装置を用
いて半導体装置を製造した具体的な実施例について以下
説明する。 実施例1 図5に示すように、半導体基板31の上に、熱酸化膜32を
0.1 μm 形成し、次いでポリシリコン膜を0.5 μm 形成
した後、このポリシリコン膜を選択的にエッチングする
ことにより、パターン幅0.5 μm 、スペース幅0.5 μm
のポリシリコン配線33を形成した。次に熱酸化膜32及び
ポリシリコン配線33の上に熱酸化膜34を厚み300 Åで形
成したのち、半導体ウェファを図1〜4に示すこの発明
の半導体製造装置に搬入した。この半導体製造装置のベ
ルトコンベア4の搬送速度は75mm/min、予熱部では50mm
/minである。
【0073】第1の処理室1では、有機化合物処理とし
て、インジェクタ11にエタノールガスを導いて吹きつけ
た。このエタノールガスは、インジェクタ11に接続する
ガスバブラ内にエタノール液を収容しておき、このガス
バブラにキャリアガスとして窒素ガスを1.0 SLM 供給し
てバブリング温度約50℃でバブリングさせることによっ
て発生させたものである。この際、インジェクタ11に導
かれたエタノールガス濃度は30%であり、基板温度は50
℃、処理時間は1分間であった。
【0074】次に第2の処理室では、常圧−O3 TEOS NS
G 膜を形成した。この成膜は化学気相成長により、イン
ジェクター21に原料ガスとしてTEOSガスとオゾンガスと
の混合ガスを導いて、有機化合物処理後の半導体ウェフ
ァに吹きつけて行った。TEOSガスは、65℃に維持した恒
温槽内のガスバブラーに収容したTEOS液に窒素ガスを供
給して発生させた(TEOS流量11.85 sccm)。またオゾン
ガスは、オゾナイザに酸素ガスを流量8.5 SLM で導い
て、144 mg/lの割合で発生させた。さらに基板温度は40
0 ℃とした。これらの条件による成膜速度は1600Å/min
であり、成膜時間は2分間として膜厚3200Åの常圧−O3
TEOS NSG 膜を形成した。
【0075】次に第3の処理室では、第2の処理室と同
様に常圧−O3 TEOS NSG 膜を、同一条件で形成した。成
膜時間は2分間として膜厚3200Åの常圧−O3 TEOS NSG
膜を形成した点も同一である。かくして得られた膜厚64
00Åの常圧−O3 TEOS NSG 膜35は、段差が完全に埋め込
まれ、平坦性の良好な膜であった。また、ボイドの発生
もなく、膜中水分も少ない、良好な膜質の絶縁膜であっ
た。
【0076】実施例2 この実施例は、有機化合物処理を施したのち、絶縁膜と
してまず常圧−O3 TEOS NSG 膜を形成し、引き続きBPSG
膜を生成する例である。図6に示すように、半導体基板
31の上に、熱酸化膜32を0.1 μm 形成し、次いでポリシ
リコン膜を0.5 μm 形成した後、このポリシリコン膜を
選択的にエッチングすることにより、パターン幅0.5 μ
m 、スペース幅0.5 μm のポリシリコン配線33を形成し
た。次に熱酸化膜32及びポリシリコン配線33の上に熱酸
化膜34を厚み300 Åで形成したのち、半導体ウェファを
図1〜4に示すこの発明の半導体製造装置に搬入した。
この半導体製造装置のベルトコンベア4の搬送速度は75
mm/min予熱部では50mm/minである。
【0077】第1の処理室1では、有機化合物処理とし
て、インジェクタ11にエタノールガスを導いて吹きつけ
た。このエタノールガスは、インジェクタ11に接続する
ガスバブラ内にエタノール液を収容しておき、このガス
バブラにキャリアガスとして窒素ガスを1.0 SLM 供給し
てバブリング温度50℃でバブリングさせることによって
発生させたものである。この際、インジェクタ11に導か
れたエタノールガス濃度は30%であり、基板温度は50
℃、処理時間は1分間であった。次に第2の処理室で
は、常圧−O3 TEOS NSG 膜を形成した。この成膜は化学
気相成長により、インジェクター21に原料ガスとしてTE
OSガスとオゾンガスとの混合ガスを導いて、有機化合物
処理後の半導体ウェファに吹きつけて行った。TEOSガス
は、65℃に維持した恒温槽内のガスバブラーに収容した
TEOS液に窒素ガスを供給して発生させた(TEOS流量11.8
5 sccm)。またオゾンガスは、オゾナイザに酸素ガスを
流量8.5 SLM で導いて、144 mg/lの割合で発生させた。
さらに基板温度は400 ℃とした。これらの条件による成
膜速度は1600Å/minであり、成膜時間は1分間として膜
厚1600Åの常圧−O3 TEOS NSG 膜35を形成した。ここま
では実施例1と同様である。
【0078】次に第3の処理室では、BPSG膜を形成し
た。この成膜は化学気相成長により、インジェクター21
に原料ガスとしてTEOSガス、TMP (Trimethylphosphate)
ガス、TMB (Trimethylborate) ガス及びオゾンガスの混
合ガスを導いて、有機化合物処理後の半導体ウェファに
吹きつけて行った。TEOSガスは、65℃に維持した恒温槽
内のガスバブラーに収容したTEOS液に窒素ガスを供給し
て発生させた(TEOS流量11.85 sccm)。TMP ガス、TMB
ガスも同様に65℃に維持した恒温槽内のガスバブラーに
収容したTMP 液、TMB 液のそれぞれに窒素ガスを供給し
て発生させた(TMP 流量1sccm、TMB 流量3sccm)。ま
たオゾンガスは、オゾナイザに酸素ガスを流量8.5 SLM
で導いて、144 mg/lの割合で発生させた。さらに基板温
度は400 ℃とした。これらの条件による成膜速度は1600
Å/minであり、成膜時間は3分間として膜厚4800ÅのBP
SG膜36を形成した。
【0079】かくして得られた膜厚6400Åの絶縁膜35、
36は、段差が完全に埋め込まれ、平坦性の良好な膜であ
った。また、ボイドの発生もなく、膜中水分も少ない、
良好な膜質の絶縁膜であった。
【0080】実施例3 この実施例は、有機化合物処理を施したのち、絶縁膜と
してまず常圧−O3 TEOS NSG 膜を形成し、引き続き無機
シランを原料とするNSG 膜を形成する例である。図7に
示すように、半導体基板31の上に、熱酸化膜32を0.1 μ
m 形成し、次いでポリシリコン膜を0.5 μm 形成した
後、このポリシリコン膜を選択的にエッチングすること
により、パターン幅0.5 μm 、スペース幅0.5 μm のポ
リシリコン配線33を形成した。次に熱酸化膜32及びポリ
シリコン配線33の上に熱酸化膜34を厚み300 Åで形成し
たのち、半導体ウェファを図1〜4に示すこの発明の半
導体製造装置に搬入した。この半導体製造装置のベルト
コンベア4の搬送速度は75mm/min、、予熱部では50mm/m
inである。
【0081】第1の処理室1では、有機化合物処理とし
て、インジェクタ11にエタノールガスを導いて吹きつけ
た。このエタノールガスは、インジェクタ11に接続する
ガスバブラ内にエタノール液を収容しておき、このガス
バブラにキャリアガスとして窒素ガスを1.0 SLM 供給し
てバブリング温度50℃でバブリングさせることによって
発生させたものである。この際、インジェクタ11に導か
れたエタノールガス濃度は30%であり、基板温度は50
℃、処理時間は1分間であった。次に第2の処理室で
は、常圧−O3 TEOS NSG 膜35を形成した。この成膜は化
学気相成長により、インジェクター21に原料ガスとして
TEOSガスとオゾンガスとの混合ガスを導いて、有機化合
物処理後の半導体ウェファに吹きつけて行った。TEOSガ
スは、65℃に維持した恒温槽内のガスバブラーに収容し
たTEOS液に窒素ガスを供給して発生させた(TEOS流量1
1.85 sccm)。またオゾンガスは、オゾナイザに酸素ガ
スを流量8.5 SLM で導いて、144 mg/lの割合で発生させ
た。さらに基板温度は400 ℃とした。これらの条件によ
る成膜速度は1600Å/minであり、成膜時間は1分間とし
て膜厚1600Åの常圧−O3 TEOS NSG 膜35を形成した。こ
こまでは実施例1と同様である。
【0082】次に第3の処理室では、無機シラン、具体
的には、SiH4を原料とするNSG 膜37を形成した。この成
膜は化学気相成長により、インジェクター21に原料ガス
としてSiH4ガスと酸素ガスとの混合ガスを導いて、有機
化合物処理後の半導体ウェファに吹きつけて行った。Si
H4ガス流量は、SiH4を窒素ガスで4%に希釈したガス流
量として400 sccm、酸素ガス流量は、500 sccm、さらに
希釈ガスとして窒素ガスを5SLM であった。さらに基板
温度は400 ℃とした。これらの条件による成膜速度は20
00Å/minであり、成膜時間は3分間として膜厚6000Åの
常圧−O2 SiH4NSG 膜37を形成した。かくして得られた
膜厚7600Åの絶縁膜35、37は、段差が完全に埋め込ま
れ、平坦性の良好な膜であった。また、ボイドの発生も
なく、膜中水分も少ない、良好な膜質の絶縁膜であっ
た。
【0083】次に比較例として、第1の反応室でも絶縁
膜の形成処理を施し、有機化合物を施さなかった例を説
明する。図8に示すように、半導体基板31の上に、熱酸
化膜32を0.1 μm 形成し、次いでポリシリコン膜を0.5
μm 形成した後、このポリシリコン膜を選択的にエッチ
ングすることにより、パターン幅0.5 μm 、スペース幅
0.5 μm のポリシリコン配線33を形成した。次に熱酸化
膜32及びポリシリコン配線33の上に熱酸化膜34を厚み30
0 Åで形成したのち、半導体ウェファを図1〜4に示す
この発明の半導体製造装置に搬入した。この半導体製造
装置のベルトコンベア4の搬送速度はmm/minである。こ
こまでは実施例1と同一である。
【0084】次に、第1の処理室1では、常圧−O3 TEO
S NSG 膜を形成した。この成膜は化学気相成長により、
インジェクター21に原料ガスとしてTEOSガスとオゾンガ
スとの混合ガスを導いて、有機化合物処理後の半導体ウ
ェファに吹きつけて行った。TEOSガスは、65℃に維持し
た恒温槽内のガスバブラーに収容したTEOS液に窒素ガス
を供給して発生させた(TEOS流量11.85 sccm)。またオ
ゾンガスは、オゾナイザに酸素ガスを流量8.5 SLM で導
いて、144 mg/lの割合で発生させた。さらに基板温度は
400 ℃とした。これらの条件による成膜速度は1600Å/m
inであり、成膜時間は1分間として膜厚1600Åの常圧−
O3 TEOS NSG 膜を形成した。
【0085】次に第2、第3の処理室でも、常圧−O3 T
EOS NSG 膜を形成した。この成膜は第1の処理室と同様
であり成膜時間はそれぞれ2分間として計4分間で膜厚
6400Åの常圧−O3 TEOS NSG 膜を形成した。かくして得
られた膜厚8000Åの常圧−O3 TEOS NSG 膜35は、下地依
存性が明確に認められ、平坦性が悪かった。また、ボイ
ドやキーホールが生成されたばかりでなく、膜中水分も
実施例に比べて一桁以上も多かった。
【0086】この発明は、上述した実施例によって限定
されるものではなく、幾多の変形が可能である。例え
ば、この発明の半導体装置の製造装置で配設する処理室
の数は、少なくとも有機化合物の処理室及び成膜処理室
がそれぞれ一個の合計2個があればよく、一方、合計で
4個以上あっても構わない。また、有機化合物の処理室
は、半導体基体の搬送ラインにおいて、最上流側に限る
ことはない。例えば、有機シランまたは無機シランを原
料とした化学気相成長による絶縁膜を形成した後に、有
機化合物の処理を施すべく、搬送ラインの上流側から数
えて第2番目以降に有機化合物の処理を施す処理室を設
けてもよい。さらに有機化合物処理を施す処理室の数
は、最低で1個あればよいが、2個以上であっても構わ
ない。加えて、半導体ウェファの搬送手段についてもベ
ルトコンベアに限らず、半導体ウェファが連続的に搬送
可能な手段であれば適合できる。
【0087】
【発明の効果】この発明の半導体装置の製造装置は、半
導体基体を連続的に移送する搬送手段をそなえ、この搬
送手段による移送経路に沿って半導体基体に表面処理を
施す複数個の処理室のうち、移送経路の上流側の少なく
とも1個を有機化合物処理を施す処理室とし、残余を熱
CVDにより絶縁膜を形成する処理室とすることによっ
て、化学気相成長による絶縁膜を形成するその下地表面
に、有機化合物処理を施すことが可能になって、絶縁膜
の下地依存性を大幅に軽減することができ、ひいては段
差の埋め込み性及び平坦性に優れているとともに、ボイ
ドの発生がない絶縁膜を得ることができる。また、この
発明の装置は、かかる有機化合物処理とCVD法による
絶縁膜の形成処理とを、連続的に施すことができるか
ら、効率的な処理が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の半導体装置の製造装置の一実施例を
示す模式図である。
【図2】図1に示したこの発明の半導体装置の製造装置
の要部の平面図である。
【図3】有機化合物の暴露処理を施すための装置の一例
を示す断面図である。
【図4】第2の処理室内の構成要素の立体分解図であ
る。
【図5】この発明の半導体装置の製造装置の実施例によ
って形成した半導体装置を示す断面図である。
【図6】この発明の半導体装置の製造装置の他の実施例
によって形成した半導体装置を示す断面図である。
【図7】この発明の半導体装置の製造装置の他の実施例
によって形成した半導体装置を示す断面図である。
【図8】この発明の半導体装置の製造装置を用いない比
較例によって形成した半導体装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1 第1の処理室 2 第2の処理室 3 第3の処理室 4 ベルトコンベア
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 太田 与洋 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 拜田 治 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基体を連続的に移送する搬送手段
    をそなえ、この搬送手段による移送経路に沿って半導体
    基体に表面処理を施す複数個の処理室を配置してなる装
    置であって、 上記処理室のうち、移送経路の上流側の少なくとも1個
    は有機化合物処理を施す処理室であり、残余は熱CVD
    により絶縁膜を形成する処理室である半導体装置の製造
    装置。
  2. 【請求項2】 有機化合物処理が、有機化合物の暴露処
    理、カーテンフローコート処理、スプレーコート処理か
    ら選ばれる1種である請求項1記載の半導体装置の製造
    装置。
JP9781093A 1993-04-23 1993-04-23 半導体装置の製造装置 Pending JPH06310493A (ja)

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