JPH06302281A - カラーブラウン管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 張力をかけて張架保持する場合のシャドウマ
スクの湾曲を解消する。 【構成】 シャドウマスク構体１０はマスクフレーム５
に架張されたシャドウマスク４とから構成され、シャド
ウマスクは多数のグリル４ｂと、この隣接するグリル同
志を繋ぐブリッジ４ｃをグリルの所々に有し、前記ブリ
ッジの最外周の，グリル長手方向の幅が、少なくともそ
の一部において、前記ブリッジのスロット側最外周部と
前記グリルの最外周部とが交差する部分の，グリル長手
方向の幅より狭くした。 【効果】 表示画像の精細度を上げるためにシャドウマ
スクの電子ビーム通過孔を縮小し配列密度を増しても、
スロット型シャドウマスクの電子ビーム通過孔の位置変
位が抑制され、ランディングミスが低減される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、カラーブラウン管に係
り、特にスロット型シャドウマスクを備えたカラーブラ
ウン管に関する。

【０００２】

【従来の技術】現在実用されているカラーブラウン管
は、所謂シャドウマスク型カラーブラウン管である。上
記カラーブラウン管に備えるシャドウマスクの働きは、
電子銃から発射された３本の電子ビームがパネル内面
（画像表示面）に区分して塗布された赤，青，緑の３色
の蛍光体のそれぞれに分担して命中するように各電子ビ
ームの進路を選択的に制御することにある。

【０００３】この種のシャドウマスクは、一般に鉄また
は膨張係数の小さい鉄・ニッケル合金の薄い板に丸穴，
又は画像表示面の上から下（グリル長手方向）まで周期
的な複数個の長方形の穴，又は画像表示面の上から下
（グリル長手方向）まで連続する一つの長方形の穴を開
けたものである。

【０００４】そして、丸穴を持つシャドウマスクをドッ
ト型シャドウマスク、画像表示面の上から下まで周期的
な複数個の長方形の穴を持つシャドウマスクをスロット
型シャドウマスク、画像表示面の上から下まで連続する
一つの長方形の穴を持つシャドウマスクをグリル型シャ
ドウマスクと称することにする。

【０００５】スロット型シャドウマスクはグリル型シャ
ドウマスクの並列するグリルの所々にグリルを繋ぐブリ
ッジが有る構造と考えることも出来る。

【０００６】一般に、ドット型シャドウマスクとスロッ
ト型シャドウマスクは球面状に整形されることが多く、
グリル型シャドウマスクはグリル長手方向に張力をかけ
てシリンダー状に保持される。

【０００７】シャドウマスクに電子ビームが衝突する
と、その運動エネルギーによりシャドウマスクの温度が
上がり、その熱膨張によりシャドウマスクが変形する。

【０００８】近年、カラーブラウン管の高精細度表示の
要求が強まっており、画像表示の精細度が上がるにつれ
て、上記シャドウマスクの熱膨張による変位により、そ
こを通過する電子ビームの，当該蛍光面へのミスランデ
ィングが問題となって来ている。

【０００９】上記熱膨張を低減させるために、シャドウ
マスクの材料として膨張係数の小さい鉄・ニッケル合金
を用いたり、シャドウマスクに張力をかけて，シャドウ
マスクをマスクフレームに保持することが行われてい
る。

【００１０】しかしながら、鉄・ニッケル合金は高価で
あり、コストパフォーマンス上問題がある。

【００１１】つぎに、スロット型シャドウマスクに張力
をかけて，スロット型シャドウマスクをマスクフレーム
に保持する従来例の場合を説明する。が、図５は、電子
銃７側から見たスロット型シャドウマスクの要部平面図
である。シャドウマスク４の板厚は０．０２５ｍｍ、ス
ロット１１のＸ軸方向（グリル短手方向）のピッチ０．
３ｍｍ、スロット１１のＹ軸方向（グリル長手方向）の
ピッチ０．９ｍｍ、スロット１１のＸ軸方向の幅（実線
部）０．０７５ｍｍ、ブリッジ４ａ（斜線で示した部
分）のＹ軸方向の幅（実線部）０．０５ｍｍでスロット
１１が規則的に配列されている。なお、４ｆは隣接する
スロット１１のグリル長手方向を結ぶ仮想線である。

【００１２】このスロット型シャドウマスク４をマスク
フレーム５に，Ｙ軸方向に張力を与えて溶接固定する場
合、印加する張力でグリル４ｂはＹ軸方向に伸びる。こ
のとき、グリル４ｂにはポアソン比で決まるＸ軸方向の
引張力が生じ、これがグリル４ｂ間を連結するブリッジ
４ａに対してＸ軸方向への伸び力として印加される。

【００１３】しかし、この伸び力がブリッジ４ａに与え
る歪は小さく、従ってこの伸び力がブリッジ４ａによっ
てＸ軸方向に伝播し、シャドウマスクのグリルが中心か
らＸ軸方向両端に離れるに従ってＹ軸方向に直線でなく
なり、中心方向に湾曲し、当該蛍光面へのミスランディ
ングが問題となる。

【００１４】また、グリル型シャドウマスクの場合は、
隣接するグリル間にブリッジが無いため、グリル型シャ
ドウマスクをマスクフレームに取り付けるまでのハンド
リングにおいて、隣接グリル同士が相互に絡み合って取
り扱いに困難を来す。

【００１５】上記の各種欠点を解消するために、例え
ば、米国特許第４９７３２８３号明細書に開示されてい
るように、ドット型シャドウマスクやスロット型シャド
ウマスクに張力をかけてマスクフレームにシャドウマス
クを保持する試みが行われている。

【００１６】

【発明が解決しようとする課題】上記したように、従来
技術において、スロット型シャドウマスクにグリル長手
方向に張力をかけてシャドウマスクをマスクフレームに
保持する場合には、シャドウマスクを薄くしてもブリッ
ジがあるので、グリル型シャドウマスクのようにグリル
が相互に絡み合うという問題は生ぜず、又、シャドウマ
スクを薄く出来るので、これを張架保持するマスクフレ
ームの剛性が小さくでき、従ってマスクフレームを軽く
することが出来るという利点がある。一方、スロット型
シャドウマスクをマスクフレームに，グリル長手方向に
張力をかけて保持する場合には、ポアソン比で生ずる，
グリル短手方向の張力がブリッジによって伝播し、シャ
ドウマスクのグリルが中心からグリル短手方向両周辺部
に離れるに従って，グリル長手方向に対して直線でなく
なり、中心の方向に湾曲するという問題が生じる。

【００１７】本発明の目的は、上記従来技術の問題を解
消したカラーブラウン管用シャドウマスク構体を提供す
るものである。

【００１８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、蛍光面体を内面に形成したパネルと、電
子銃を収容するネックと、パネルとネックとを連接する
ファンネルとからなる真空外囲器を備え、上記パネル内
に懸架されたスロット型シャドウマスクを持つシャドウ
マスク構体を少なくとも有するカラーブラウン管におい
て、前記シャドウマスク構体はマスクフレームと、この
マスクフレームに張架されたシャドウマスクとから構成
され、上記シャドウマスクは多数のグリルと、この隣接
するグリル同志を繋ぐブリッジをグリルの所々に有し、
前記ブリッジの最外周の，グリル長手方向の幅が、少な
くともその一部において、前記ブリッジのスロット側最
外周部と前記グリルの最外周部とが交差する部分の，グ
リル長手方向の幅より狭くしたシャドウマスクを備えた
ことを特徴とする。

【００１９】また、本発明の一実施例によれば、ブリッ
ジ部分の形状について、前記ブリッジ部分の，グリル長
手方向の最外幅の最小寸法をＬ₁、前記ブリッジのスロ
ット側最外周部と前記グリルの最外周部とが交差する部
分の，グリル長手方向の幅をＬ₂とすると、０．１＜Ｌ₁
／Ｌ₂＜０．５としたシャドウマスクを備る。

【００２０】

【作用】上記構成としたことにより、スロット型シャド
ウマスクをマスクフレームに，そのグリル長手方向に張
力をかけて保持するときに、シャドウマスクを薄くして
もブリッジがあるので、グリル型シャドウマスクのよう
にグリルが相互に絡み合うという問題は生ぜず、又、シ
ャドウマスクを薄く出来るので、これを張架保持するマ
スクフレームの剛性が小さくでき、従ってマスクフレー
ムを軽くすることが出来るという利点がある。また、グ
リルが中心から離れるに従って湾曲するという不具合
は、前記ブリッジ部分の形状について、前記ブリッジの
最外周の，グリル長手方向の幅が、少なくともその一部
において、前記ブリッジのスロット側最外周部と前記グ
リルの最外周部とが交差する部分の，グリル長手方向の
幅より狭くしたことにより解消される。

【００２１】また、ブリッジ部分の形状については、前
記ブリッジ部分の，グリル長手方向の最外幅の最小寸法
をＬ₁、前記ブリッジのスロット側最外周部と前記グリ
ルの最外周部とが交差する部分の，グリル長手方向の幅
をＬ₂とすると、０．１＜Ｌ₁／Ｌ₂＜０．５とすること
が好ましい。

【００２２】

【実施例】以下、本発明の実施例につき、図面を参照し
て詳細に説明する。

【００２３】図４は、本発明が係るカラーブラウン管を
説明する断面図であり、１はパネル部（フェースプレー
ト）、２はファンネル部、３はネック部、４はカラー選
択用の多数の長孔を有するスロット型シャドウマスク、
５はスロット型シャドウマスク４を保持するマスクフレ
ーム、６はシャドウマスク構体、７は蛍光体を励起発光
させる複数の電子ビームを射出する電子銃、８は電子ビ
ーム、９は偏向ヨーク、１０はパネル部１の内表面に設
けたストライプ状のカラー蛍光体スクリーンである。シ
ャドウマスク４は軟鋼板からなり、マスクフレーム５に
溶接固定されており、局部的な熱変形を抑えるため、張
力が加わっている。マスクフレーム５は、シャドウマス
ク４より熱膨張率の小さいステンレス材製である。

【００２４】この構成において、電子銃７から発射され
た３本の電子ビームＲ，Ｇ，Ｂは偏向ヨーク９により水
平と垂直の２方向に偏向され、シャドウマスク構体６の
スロット型シャドウマスク４に設けた電子ビーム通過孔
であるスロットで色選択を受け、蛍光面１０を構成する
所定の蛍光体に射突する。

【００２５】各電子ビームＲ，Ｇ，Ｂは、電子銃を構成
する制御電極に与えられる駆動信号で駆動され、３本の
電子ビームの所定の電流比で所定の色彩画像を表現す
る。

【００２６】図１は本発明の一実施例であり、電子銃７
側から見たスロット型シャドウマスク４の要部平面図で
ある。シャドウマスク４の板厚は０．０２５ｍｍ、スロ
ット１２のＸ軸方向のピッチ０．３ｍｍ、スロット１２
のＹ軸方向のピッチ０．９ｍｍ、スロット１２のＸ軸方
向の幅（実線部）０．０７５ｍｍ、ブリッジ４ｃ（斜線
で示した部分）のＹ軸方向幅（実線部）は最大０．０５
ｍｍ，最小０．０１ｍｍで、スロット１２が規則的に配
列されている。なお、４ｄは隣接するスロット１１のグ
リル長手方向を結ぶ仮想線である。

【００２７】上記のように、ブリッジ４ｃが形成されて
いるため、シャドウマスク４をマスクフレーム５に，Ｙ
軸方向に張力を与えて溶接固定する場合、印加する張力
でグリル４ｂはＹ軸方向に伸びる。このとき、グリル４
ｂにはポアソン比で決まるＸ軸方向の引張力が生じ、こ
れがグリル４ｂ間を連結するブリッジ４ｃに対してＸ軸
方向への伸び力として印加されるが、本実施例では、ブ
リッジ４ｃのＹ軸方向幅が、従来の図５のブリッジ４ａ
のＹ軸方向幅に比べて実効的に細くなったことに相当
し、特に、ブリッジ４ｃのＹ軸方向の幅が最も狭くなっ
た４１ｃ近傍は断面積が最も小さくなり、ポアソン比で
決まるＸ軸方向の引張力による、ブリッジ４ｃ，特に４
１ｃ近傍に作用する応力はその分大きくなることにな
り、Ｘ軸方向の伸びは主としてブリッジ４ｃをＸ軸方向
に伸ばすことになり、結果としてグリル４ｂの湾曲が低
減され、従来のような電子ビームのランディングずれは
起きない。

【００２８】更に、電子ビームがスロット型シャドウマ
スクに衝突することによる発熱でシャドウマスクが熱膨
張しても、スロット型シャドウマスクをマスクフレーム
に張架固定しているため、張力による歪が熱膨張を吸収
するのでシャドウマスクに変形が生じず、電子ビームの
ランディングずれが起きることはない。

【００２９】また、図２にブリッジ部分の拡大図を示
す。ここで、Ｌ₁はブリッジ部分４ｃの，Ｙ軸方向最外
幅の最小寸法であり、Ｌ₂はブリッジ部分４ｃとグリル
の最外周部とが交差する部分の，Ｙ軸方向の幅である。
そこで、Ｌ₁／Ｌ₂が０．１以下であると、シャドウマス
クのグリル方向に張力をかけたとき、ポアソン比で決ま
るＸ軸方向の引張力により、ブリッジ部分４ｃが切断さ
れるおそれがある。また、Ｌ₁／Ｌ₂が０．５以上である
と、上記Ｘ軸方向の引張力によるブリッジ部分４ｃの伸
びが小さくなり、従ってこの引張力がブリッジ４ｃによ
ってＸ軸方向に伝播し、シャドウマスクのグリルが中心
からＸ軸方向両端に離れるに従ってＹ軸方向に直線でな
くなり、中心方向に湾曲するという問題が生じることに
なる。

【００３０】なお、図１は、ブリッジ４ｃスロット側の
終縁部４ｈの平面形状がＶ字状をしているが、勿論これ
に限らず、例えばＷ字状等種々の形状でも同様の効果を
奏する。

【００３１】また、４１ｃの部分のＡ−Ａ線断面が、図
３に示すように、三角形，台形，長方形，鼓状等種々の
形状でも同様の効果を奏する。

【００３２】また、これまではスロット型シャドウマス
クをマスクフレームにＹ軸方向に張架固定する場合につ
いて説明したが、本発明は、枠状のマスクフレームに，
スロット型シャドウマスクの周囲４辺を張架固定した場
合でも同様にシャドウマスクの不都合な変形を抑制する
効果がある。

【００３３】なお、本発明は、前記従来技術の項で説明
した米国特許第４９７３２８３号明細書に開示されたよ
うな、マスクフレームをパネルに接着した形式のカラー
ブラウン管のシャドウマスクにも適用できることは言う
までもない。

【００３４】

【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、表示画像の精細度を上げるためのシャドウマスクの
電子ビーム通過孔を小さくし配列密度を増して電子ビー
ムの電流値を増大させても、シャドウマスク材料に熱膨
張係数の小さな高価な鉄・ニッケル合金を用いることな
く鉄板を使用でき、またシャドウマスクの製作工程にお
いてグリルが絡み合って取扱が困難であることや、重量
の大きいマスクフレームを用いなければならないという
従来技術の問題点を解消できるという優れた機能を有す
る、カラーブラウン管用シャドウマスク構体を提供する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るスロット型シャドウマスクの要部
平面図である。

【図２】本発明に係るブリッジ部の拡大図である。

【図３】本発明に係る図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図４】本発明に係るブラウン管の断面図である。

【図５】従来のスロット型シャドウマスクの要部平面図
である。

【符号の説明】

１…パネル部、２…ファンネル部、３…ネック部、４…
シャドウマスク、５…マスクフレーム、６…シャドウマ
スク構体、７…電子銃、８…電子ビーム、９…偏向ヨー
ク、１０…カラー蛍光体スクリーン

フロントページの続き (72)発明者 田辺 英夫 千葉県茂原市早野3300番地 株式会社日立 製作所電子デバイス事業部内 (72)発明者 川崎 浩 千葉県茂原市早野3681番地 日立デバイス エンジニアリング株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】蛍光面体を内面に形成したパネルと、電子
   銃を収容するネックと、パネルとネックとを連接するフ
   ァンネルとからなる真空外囲器を備え、上記パネル内に
   懸架されたスロット型シャドウマスクを持つシャドウマ
   スク構体を少なくとも有するカラーブラウン管におい
   て、 前記シャドウマスク構体はマスクフレームと、このマス
   クフレームに張架されたシャドウマスクとから構成さ
   れ、上記シャドウマスクは多数のグリルと、この隣接す
   るグリル同志を繋ぐブリッジをグリルの所々に有し、前
   記ブリッジの最外周の，グリル長手方向の幅が、少なく
   ともその一部において、前記ブリッジのスロット側最外
   周部と前記グリルの最外周部とが交差する部分の，グリ
   ル長手方向の幅より狭くしたシャドウマスクを備えたこ
   とを特徴とするカラーブラウン管。
2. 【請求項２】前記ブリッジ部分の，グリル長手方向の最
   外幅の最小寸法をＬ₁、前記ブリッジと前記グリルの最
   外周部とが交差する部分の，グリル長手方向の幅をＬ₂
   とすると、０．１＜Ｌ₁／Ｌ₂＜０．５としたシャドウマ
   スクを備えたことを特徴とする特許請求の範囲第１項記
   載のカラーブラウン管。