JPH06267447A

JPH06267447A - カラー陰極線管

Info

Publication number: JPH06267447A
Application number: JP5373693A
Authority: JP
Inventors: Takao Kawamura; 孝男河村; Hideo Tanabe; 英夫田辺; Yuichi Kijima; 勇一木島
Original assignee: Hitachi Ltd
Current assignee: Hitachi Ltd
Priority date: 1993-03-15
Filing date: 1993-03-15
Publication date: 1994-09-22

Abstract

(57)【要約】【目的】グリルに十分な張力をかけることで電子ビー
ムのランディングミスを低減すると共に、シャドウマス
ク構体の全体重量を軽くする。【構成】シャドウマスク構体７をマスクフレーム９
ａ，９ｂと、このマスクフレーム間に架張された多数の
グリル８ａとから構成され、グリル部分にその長手方向
の少なくとも一側面の全長にわたって断面凹形状の空洞
部８ｄを設けた。【効果】グリルに対して十分な張力が印加されるの
で、電子ビームの衝突による熱膨張がグリル間に形成さ
れる電子ビーム通過開孔に変位をもたらすことがなく、
色純度の低下がない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、カラー陰極線管に係
り、特にグリル型シャドウマスクを備えたカラー陰極線
管に関する。

【０００２】

【従来の技術】現在広く普及しているカラー陰極線管
は、所謂シャドウマスク型カラー陰極線管である。上記
カラー陰極線管に備えるシャドウマスクは、電子銃から
発射された３本の電子ビームをパネル内面に区分して塗
布された赤，緑，青の３色の蛍光体のそれぞれに分担し
て射突するように各電子ビームの進路を選択制御するこ
とにある。

【０００３】この種のシャドウマスクは、一般に鉄また
は熱膨張係数の小さな鉄・ニッケル合金の薄い板に丸穴
あるいは長方形、もしくはすだれ状の電子ビーム通過孔
を有し、パネル内面には、このシャドウマスクの電子ビ
ーム通過孔形状に対応した形状で蛍光体が上記のように
区分されて形成される。そして、丸穴をもつシャドウマ
スクをドット型シャドウマスク、長方形をもつシャドウ
マスクをスロット型シャドウマスク、すだれ状電子ビー
ム通過孔をもつものをグリル型シャドウマスクと称する
ことにする。

【０００４】一般に、ドット型シャドウマスクとスロッ
ト型シャドウマスクは球面状に成形されることが多く、
グリル型シャドウマスクは上下に張力をかけてシリンダ
ー状（シリンドリカル）に保持される。シャドウマスク
は陰極線管の動作中に電子ビームの衝突によって温度が
上がり、熱膨張によりその電子ビーム通過孔の位置が変
位し、蛍光体へのランデイングミスが発生して色純度を
低下させる。

【０００５】近年の陰極線管は高精細度表示の要求が強
まっており、画像表示の精度が上がるにつれ、上記した
シャドウマスクの熱膨張に起因する当該電子ビーム通過
孔の変位による蛍光面上での電子ビームのランディング
位置のずれを高度に抑制する必要性がますます強くなっ
てきた。上記熱膨張を低減させるために、シャドウマス
クの構成材料として熱膨張係数の小さい高価な鉄・ニッ
ケル合金を用いたり、シャドウマスクをマスクフレーム
に張力をかけて張架保持することが行われている。

【０００６】グリル型シャドウマスクのように多数の細
条体（グリル）を画像表示面の上下方向に張力をかけて
架張保持するものにおいては、当該グリルを保持するマ
スクフレームに上記張力に耐えるだけの十分な機械的剛
性を持たせなければならず、その結果重量が増し、外部
衝撃でグリルが大きく振動して再生画像に悪影響を与え
るという問題があった。

【０００７】さらに、シャドウマスク構体の重量が大き
くなると、その支持構造を強化する必要があると共に、
カラー陰極線管全体が重くなって取扱いに支障をきたす
という問題もあった。なお、この種の技術に関連する従
来技術を開示したものとしては、例えば米国特許第４９
７３２８３号明細書を挙げることができる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】上記したように、従来
技術において、グリル型シャドウマスクを構成する多数
のグリルを画像表示面に上下方向に張力をかけてマスク
フレームにシリンドリカルに保持する場合、マスクフレ
ームには上記張力に耐えるだけの機械的剛性が要求さ
れ、重量が増大してしまうという欠点があった。

【０００９】また、マスクフレームを軽量化するため
に、その剛性を抑えるとグリルに十分な張力を印加でき
ないという問題があった。一般に、グリル型シャドウマ
スクは、ドット型あるいはスロット型シャドウマスクと
同様に、薄い鉄または鉄・ニッケル合金の薄板にフォト
レジストを塗布し、所定のパターンに焼き付けを行い、
その後エッチングすることによって多数のグリルを形成
し、グリル間に形成されるスリットを電子ビーム通過孔
とするものである。

【００１０】マスクフレームを含むシャドウマスク構体
を軽くするには、マスクフレームを軽くし、グリルの厚
さを薄くすればよいが、グリルを形成する鉄板を必要な
大きさに一定の厚みで薄く圧延することは難しく、また
薄すぎるとエッチング時の取り扱いが困難であるという
問題があった。本発明の目的は、上記従来技術の問題点
を解消し、グリルに十分な張力をかけることで電子ビー
ムのランディングミスを低減すると共に、シャドウマス
ク構体の全体重量を軽くしたカラー陰極線管を提供する
ことにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、蛍光面体を内面に形成したパネルと、電
子銃を収容するネックと、パネルとネックとを連接する
ファンネルとからなる真空外囲器を備え、上記パネル内
に懸架されたグリル型シャドウマスクをもつシャドウマ
スク構体を少なくとも有するカラー陰極線管において、
前記シャドウマスク構体はマスクフレームと、このマス
クフレームの対向する一対のフレーム間に架張された多
数のグリルとから構成され、上記グリル部分にその長手
方向の少なくとも一側面に断面凹形状の空洞部を設けた
ことを特徴とする。

【００１２】

【作用】前記したように、グリル型シャドウマスクは、
マスクフレームの対向する辺間にそのグリルの延長方向
（上下方向）に張力をかけてシリンドリカルに固着保持
される。上記本発明の構成としたことにより、グリルの
実質的厚みが低減され、マスクフレームに大きな負担を
かけることなくグリルに対して十分な張力を与えること
が可能となる。そのため、マスクフレームには大きな剛
性が要求されず、軽量化できることになる。

【００１３】グリルに対して十分な張力が印加されるの
で、電子ビームの衝突による熱膨張がグリル間に形成さ
れる電子ビーム通過開孔に変位をもたらすことがなく、
色純度の低下がない。さらに、シャドウマスク構体全体
が軽量化され、外部衝撃によるグリルの振動も低減され
る。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の実施例につき、図面を参照し
て詳細に説明する。図１は本発明のカラー陰極線管の１
実施例を説明する概略断面図であって、１はパネル、２
はファンネル、３はネック、４は電子銃、５は偏向ヨー
ク、６は蛍光面、７はシャドウマスク構体、８は多数の
グリルからなるシャドウマスク、９ａ，９ｂはマスクフ
レーム、１０ａ（１０ｂは図示せず）は支持フレームで
ある。

【００１５】同図において、シャドウマスク構体７は一
対の支持フレーム１０ａ（１０ｂ）で所定の間隔で固定
されたマスクフレーム９ａ，９ｂに張力をかけて架張し
た多数のグリルからなるシャドウマスク８を固定してな
る。この構成において、電子銃４から発射された３本の
電子ビームＲ，Ｇ，Ｂは偏向ヨーク５により水平と垂直
の２方向に偏向され、シャドウマスク構体７のシャドウ
マスク８を構成するグリル間に形成されるスリットを電
子ビーム通過孔として色選択を受け、蛍光面６を構成す
る所定の蛍光体に射突する。

【００１６】各電子ビームＲ，Ｇ，Ｂは、電子銃を構成
する制御電極に与えられる駆動信号で駆動され、３本の
電子ビームの所定の電流比で所定の色彩画像を表現す
る。なお、シャドウマスク構体７はパネル１の側壁にス
プリング懸架機構により懸架支持されている。図２は本
発明のカラー陰極線管に装着されるシャドウマスク構体
の斜視図であって、図１と同一符号は同一部分に対応
し、８ａはグリル、８ｂはスリット、９は防振ワイヤ
ー、１１ａ，１１ｂはワイヤー支持体である。

【００１７】同図において、シャドウマスク構体７は、
一対の支持フレーム１０ａ，１０ｂで所定の間隔で固定
されたマスクフレーム９ａ，９ｂに張力をかけて固着さ
れた多数のグリル８ａから構成されるシャドウマスク８
からなる。このシャドウマスク８は、長手方向両端部の
グリル８ａの連結部分８ｃでマスクフレーム９ａ，９ｂ
に張力を印加して溶接固定される。

【００１８】シャドウマスク８のグリル８ａに印加され
る張力は、マスクフレーム９ａ，９ｂを所定の間隔で支
持する支持フレーム１０ａ，１０ｂで支えられる。グリ
ル８ａ間に形成されたスリット８ｂが電子ビーム通過孔
を構成し、グリル８ａの延在方向と交差する方向（横方
向）にはワイヤー支持体１１ａ，１１ｂに支持された防
振ワイヤー９が弾接されている。

【００１９】図３は本発明のカラー陰極線管に装着され
るシャドウマスク構体の要部構造の説明図、また図４は
図３のＡ−Ａ方向断面図である。同図において、シャド
ウマスク８は平行に配列された多数のグリル８ａからな
り、隣接するグリル８ａ間に形成されるスリット８ｂが
電子ビーム通過孔を構成する。

【００２０】グリル８ａの電子銃側の表面には断面が凹
状の空洞部８ｄが形成されており、この空洞部８ｄの形
成によりグリル８ａの板厚が実質的に低減されている。
凹状の空洞部８ｄはエッチングにより形成され、シャド
ウマスク８の元の板体の厚さを例えば０．１０ｍｍとし
たとき、グリル８ａの蛍光面側の幅Ｗ₁は０．１２５ｍ
ｍ、電子銃側の幅Ｗ₂は０．２２５ｍｍ、グリル間の間
隔Ｗ₃は０．３ｍｍ、空洞部８ｄの幅Ｗ₄は０．１２５
ｍｍ、その深さｄは０．０５ｍｍである。

【００２１】この構成においては、グリル８ａの実質的
な厚みは約２８％減少できる。図５は本発明のカラー陰
極線管に装着されるシャドウマスク構体の固定部構造の
説明図である。同図において、一対のマスクフレーム９
ａ（９ｂ）は画面の左右方向に設けた一対の支持フレー
ム１０ａ（１０ｂ）で平行に支持されており、この一対
のマスクフレーム９ａ（９ｂ）の間にシャドウマスク８
が張力をかけた状態で溶接固定される。

【００２２】シャドウマスク８を構成するグリル８ａの
電子銃側には前記した凹状断面をもつ空洞部８ｄが形成
されている。この空洞部８ｄによりグリル８ａの板厚が
実質的に低減され、従来よりも少ない張力で十分な架張
がなされる。したがって、マスクフレーム９ａ（９ｂ）
および支持フレーム１０ａ（１０ｂ）の剛性も小さくす
ることができ、シャドウマスク構体全体の重量を低減す
ることができる。

【００２３】なお、上記したグリル８ａに形成する空洞
部８ｄは、電子銃側に設けるものに代えて蛍光面側に設
けることもでき、さらに電子銃側と蛍光面側の両方にも
うけてもよい。このように、本実施例によれば、グリル
の厚みを実質的に低減でき、シャドウマスク構体の重量
を大幅に低減させることが可能となる。

【００２４】なお、本発明は、前記従来技術の項で説明
した米国特許第４９７３２８３号明細書に開示されたよ
うな、スロット型シャドウマスクにも適用できることは
言うまでもない。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
重量の大きいマスクフレームを用いなければならないと
いう従来技術の問題を解消できるという優れた機能のグ
リル型シャドウマスク構体を用いたカラー陰極線管を提
供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のカラー陰極線管の１実施例を説明する
概略断面図である。

【図２】本発明のカラー陰極線管に装着されるシャドウ
マスク構体の斜視図である。

【図３】本発明のカラー陰極線管に装着されるシャドウ
マスク構体の１実施例を説明する要部平面図である。

【図４】本発明のカラー陰極線管に装着されるシャドウ
マスク構体の１実施例を説明する図３のＡ−Ａ断面図で
ある。

【図５】本発明のカラー陰極線管に装着されるシャドウ
マスク構体の１実施例のシャドウマスク構体の固定部構
造を説明する要部断面図である。

【符号の説明】

１パネル２ファンネル３ネック４電子銃５偏向ヨーク６蛍光面７シャドウマスク構体８グリル型シャドウマスク８ａグリル８ｂスリット８ｄ空洞部９防振ワイヤー９ａ，９ｂマスクフレーム１０ａ，１０ｂ支持フレーム１１ａ，１１ｂワイヤー支持体。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】蛍光面体を内面に形成したパネルと、電子
銃を収容するネックと、パネルとネックとを連接するフ
ァンネルとからなる真空外囲器を備え、上記パネル内に
懸架されたグリル型シャドウマスクをもつシャドウマス
ク構体を少なくとも有するカラー陰極線管において、前記シャドウマスク構体はマスクフレームと、このマス
クフレームの対向する一対のフレーム間に架張された多
数のグリルとから構成され、上記グリル部分にその長手
方向の少なくとも一側面に断面凹形状の空洞部を設けた
ことを特徴とするカラー陰極線管。