JPH06298920A - 高分子量脂肪族ポリエステルの製造方法 - Google Patents

高分子量脂肪族ポリエステルの製造方法

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JPH06298920A
JPH06298920A JP5089970A JP8997093A JPH06298920A JP H06298920 A JPH06298920 A JP H06298920A JP 5089970 A JP5089970 A JP 5089970A JP 8997093 A JP8997093 A JP 8997093A JP H06298920 A JPH06298920 A JP H06298920A
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polyester
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栄一郎 滝山
Yoshitaka Hatano
善孝 波田野
Sachiko Takino
幸子 滝野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ミクロゲルの発生がなく、成形品、フィル
ム、繊維などの各種用途に有用な、生分解性の高分子量
脂肪族ポリエステルを提供する。 【構成】 〔I〕(1)脂肪族または環状脂肪族グリコー
ル成分と、(2)脂肪族ジカルボン酸またはその酸無水物
98〜99.99モル%および不飽和ジカルボン酸また
はその酸無水物0.01〜2モル%からなる酸成分とを
反応させて得られる重量平均分子量が20,000以上
の不飽和脂肪族ポリエステル100重量部に対して、
〔II〕0.1〜5重量部の有機過酸化物を添加し、反応
させて、重量平均分子量を30,000以上の高分子量
脂肪族ポリエステルを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形品、フィルム、繊
維、といった従来ポリマーが用いられていた各分野に有
用な生分解性を有する高分子量脂肪族ポリエステルの製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】生分解性、即ち土中或は水中で微生物の
作用を受けて崩壊するポリマーは、生分解性ポリマーと
して近年のプラスチック廃棄物問題を解決する手段の一
つとして注目されており、その登場は強く望まれてい
る。現段階では、完全に生分解するポリマーは、天然物
は別にして、合成物はまだ脂肪族ポリエステルのみ、と
いっても過言ではない。しかし、脂肪族ポリエステル
は、熱安定性が十分ではなく、高分子量で有用なポリマ
ーとはいい難い、というのが一般通念であった。
【0003】本発明者らは、脂肪族ポリエステルの高分
子量化について研究を重ね、幾つかの知見を得たが、そ
の一つを特開平4−189822号としてすでに提案し
た。特開平4−189822号は、高分子量の脂肪族ポ
リエステルに特定量のジイソシアナートを反応させ、さ
らに実用に耐える高分子領域にまで分子量を高める方法
であった。この方法は、高分子量化のためには頗る有用
であり、脂肪族ポリエステルの分子量(数平均)を2
0,000以上に高め、実用性のある物性を示し、生分
解性であることも確認された。しかし、その後の研究の
進展に伴って、特に加工性が問題とされる実用化段階に
入って、ミクロゲルの発生と分子量分布のコントロール
が問題とされるに至った。
【0004】ミクロゲルとは、生成ポリマー中に0.1
〜数ミリのゲル状樹脂が混入していることを指すが、こ
のミクロゲルの存在はフィルム形成性、フィルムの外観
および物性に、或はフィラメント成形性に大きな影響を
及ぼす上、製品の商品価値を著しく低減させる。このミ
クロゲルの存在は、ポリオレフィンにもみられるが、ポ
リオレフィンの場合は触媒の性質上から生ずるとされて
いるのに対して、前記特開平4−189822号のよう
に少量のジイソシアナートを反応させるポリエステルの
場合には、ミクロゲルは、高温でのジイソシアナートと
ポリエステルの反応により生ずる。イソシアナート基と
ヒドロキシル基との反応により生成するウレタン結合
は、熱解離性があり、200℃またはそれ以上の高温撹
拌で減少はするが、完全に消失はしない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、分子
量分布のコントロールとミクロゲル、特にミクロゲルの
発生が解決された高分子量脂肪族ポリエステルの製造方
法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、イソシア
ナート類を用いずに、ミクロゲルの発生がなく、実用上
十分な物性を有する分子量を有する脂肪族ポリエステル
を得るために研究を重ねた結果、少量の不飽和基をポリ
エステル中に導入し、得られた不飽和脂肪族ポリエステ
ルに、さらにポリエステルの熔融状態で有機過酸化物を
添加し、ポリエステル中の不飽和基同士を付加させるこ
とにより、上記目的が有効に達成され、物性面でも実用
上十分であり、ミクロゲルのない高分子量脂肪族ポリエ
ステルが得られることを見出し、本発明を完成すること
ができた。
【0007】即ち、本発明の第1は、〔I〕(1)脂肪
族または環状脂肪族グリコール成分と、(2)脂肪族ジ
カルボン酸またはその酸無水物98〜99.99モル%
および不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物0.01
〜2モル%からなる酸成分とを反応させて得られる重量
平均分子量が20,000以上の不飽和脂肪族ポリエス
テル100重量部に対して、〔II〕0.1〜5重量部の
有機過酸化物を添加し、反応させて、重量平均分子量を
30,000以上とすることを特徴とする高分子量脂肪
族ポリエステルの製造方法に関する。
【0008】本発明の第2は、上記第1発明の〔I〕の
(1)脂肪族または環状脂肪族グリコール成分と、
(2)脂肪族ジカルボン酸またはその酸無水物および不
飽和ジカルボン酸またはその酸無水物の反応の際に、3
官能以上の多価アルコール、3官能以上の多価カルボン
酸またはその酸無水物および3官能以上のオキシジカル
ボン酸からなる群から選ばれた少なくとも1種の多官能
化合物を併用する、第1発明に記載の高分子量脂肪族ポ
リエステルの製造方法に関する。
【0009】飽和のポリエステル、特にゴムにあっては
古くから有機過酸化物による水素引抜き反応で架橋する
ことが知られている。この場合は、3級炭素、即ち炭素
原子に1個の水素が結合した構造が必要であることはよ
く知られている。上記のような構造を有するものとして
は、例えばプロピレングリコール、2−メチルプロパン
ジオール−1,3の如きグリコールを原料の少なくとも
一成分として使用したポリエステルである。エチレング
リコール、1,4−ブタンジオールの如きメチレン結合
のみのグリコールを用いて合成したポリエステルは、ジ
カルボン酸成分に3級炭素を持たなければ、有機過酸化
物の併用によっても水素引抜きによる架橋反応は起らな
いことが確認された。しかし、不飽和ジカルボン酸また
はその酸無水物を適量使用した場合には、有機過酸化物
の併用で付加反応が起り、ゲル化することなく分子量の
増大が可能であることを見出した点に本発明の意義があ
る。
【0010】本発明の方法に用いられる脂肪族ポリエス
テルは、原料として(1)脂肪族または環状脂肪族グリ
コール成分と、(2)脂肪族ジカルボン酸またはその酸無
水物および不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物から
なる酸成分、または(1)脂肪族または環状脂肪族グリ
コール成分と、(2)脂肪族ジカルボン酸またはその酸無
水物および不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物から
なる酸成分、(3)3官能以上の多価アルコール、3官能
以上の多価カルボン酸またはその酸無水物および3官能
以上のオキシジカルボン酸からなる群から選ばれた少な
くとも1種の多官能化合物を用い、これら各成分をエス
テル化(脱水縮合)し、続いて金属化合物触媒の存在
下、脱グリコール反応することにより合成される。
【0011】脂肪族または環状脂肪族グリコール成分
は、生成ポリエステルに成形可能な下限である70℃以
上の融点、結晶性が求められる点からはプロピレングリ
コールのような無定形ポリエステルを形成するタイプは
利用困難であり、例えばエチレングリコール、1,4−
ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール
などを使用することが好ましい。これらグリコールと他
のグリコールとを併用する場合には、生成ポリエステル
の融点が70℃以上を確保できるのであれば1,6−ヘ
キサンジオール、デカメチレングリコールなどの併用は
差支えない。
【0012】上記のグリコール成分と併用してポリエス
テルを形成するためのジカルボン酸またはその酸無水物
は、生分解といったことからは脂肪族ジカルボン酸また
はその酸無水物が使用される。脂肪族ポリエステルの融
点が70℃以下となると、成形加工性が大幅に損われる
ことから、脂肪族ジカルボン酸またはその酸無水物とし
ては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン
酸、ドデカン二酸などが挙げられ、これらは併用しても
よい。炭素数が奇数の脂肪族ジカルボン酸またはその酸
無水物は、融点の低下が起るので適当ではない。
【0013】本発明に用いられる不飽和ジカルボン酸ま
たはその酸無水物は、例えば無水マレイン酸、マレイン
酸、フマル酸、イタコン酸が一般的であり、市販されて
いる。エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸の如き
環状不飽和結合を有するジカルボン酸も架橋といった点
からは使用可能であるが、ポリエステルに結晶性を求め
られる場合には、使用量によってはその構造を乱す恐れ
もあるので必ずしも適当ではない。
【0014】脂肪族ジカルボン酸またはその酸無水物と
不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物の使用割合は、
多塩基酸成分全体の使用モル数を100モル%とした場
合、脂肪族ジカルボン酸またはその酸無水物98〜9
9.99モル%、好ましくは99〜99.9モル%と不
飽和ジカルボン酸またはその酸無水物0.01〜2モル
%、好ましくは0.1〜1モル%からなる。不飽和ジカ
ルボン酸またはその酸無水物の使用割合が0.01モル
%未満では、実質的に不飽和ジカルボン酸またはその酸
無水物未使用の場合と区別できず、使用割合が2モル%
より多い場合は、有機過酸化物添加でゲル化する危険性
が多きい。不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物の使
用割合が0.1〜1モル%の範囲内であればゲル化せず
に分子量の増大、並びに分子量分布のコントロールが可
能である。
【0015】グリコール成分と酸成分の使用割合は、酸
成分1モルに対し、グリコール成分1.05〜1.2モ
ル%位が好適である。
【0016】本発明においては、脂肪族または環状脂肪
族グリコール成分と、脂肪族ジカルボン酸またはその酸
無水物および不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物か
らなる酸成分との反応の際に、3官能以上の多価アルコ
ール、3官能以上の多価カルボン酸またはその無水物お
よび3官能以上のオキシジカルボン酸からなる群から選
ばれた少なくとも1種の多官能化合物を併用することに
より、例えば分枝が導入されてポリエステルの分子量分
布を拡大し、成形品を成形する際に必要とされる熔融粘
度を調節することが可能となる。
【0017】3官能以上の多価アルコールの例として
は、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリ
スリット、トリアリルイソシアヌレートエチレンオキシ
ド付加物などが挙げられる。また、脱水した形のモノエ
ポキシ化合物であるグリシドールも使用し得る。
【0018】3官能以上の多価オキシカルボン酸または
その無水物としては、市販品がいずれも利用可能ではあ
るが、低コストで入手できるといった点からは、リンゴ
酸、酒石酸並びにクエン酸が好適である。
【0019】3官能以上の多価カルボン酸またはその無
水物の例としては、トリメシン酸、プロパントリカルボ
ン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベン
ゾフェノンテトラカルボン酸無水物、シクロペンタテト
ラカルボン酸無水物などが挙げられる。特に無水トリメ
リット酸、無水ピロメリット酸が好適である。
【0020】上記の多官能化合物の各成分は、必要に応
じて混合して用いることができる。多官能化合物の使用
量は、脂肪族ジカルボン酸またはその無水物成分全体1
00モル%に対して、合計0.1〜5モル%であり、エ
ステル化の当初から加えることができる。
【0021】本発明においては、脱グリコール反応を行
い、不飽和脂肪族ポリエステルの重量平均分子量を2
0,000以上とする必要があるが、そのためには脱グ
リコール反応の触媒を併用する必要がある。それらの例
には、チタン、錫、アンチモン、セリウム、ゲルマニウ
ム、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、アルミニウム、マ
グネシウム、カルシウムおよびストロンチウムからなる
群から選ばれた、少なくとも一種の金属の有機または無
機の金属化合物が挙げられ、使用量としては、生成する
不飽和脂肪族ポリエステル100重量部に対し、0.0
01〜0.5重量部である。金属化合物触媒の使用量が
0.001重量部未満では、脱グリコール反応が遅くな
って実用的ではなくなり、0.5重量部より多く用いて
も逆に分解反応を強める結果となり好ましくない。望ま
しい使用量は、金属の種類によっても異なるが、0.0
05〜0.2重量部である。金属化合物触媒としては、
例えば金属のアルコキサイド、有機酸塩、キレート、酸
化物などが用いられ、特にチタンの有機化合物、例えば
チタン酸アルキルエステル、チタンオキシアセチルアセ
トネート、シュウ酸チタンなどの化合物が有用である。
いわゆる生分解性ポリエステルは土中で微生物崩壊を受
けるが、金属触媒または金属は土中に残留するとみられ
るので、安全なタイプでなければならない。そのような
観点からすれば、望ましい金属としては、チタン、ゲル
マニウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウムなどが挙げ
られる。
【0022】エステル化反応は、160〜230℃、5
〜16時間、好ましくは不活性ガス雰囲気下で実施する
ことができる。この温度より低温では反応速度が遅く実
用性に乏しい。またこの温度より高温では分解の危険性
が高くなり避けた方がよい。従って180〜220℃の
間の温度で第1段のエステル化反応を実施することが好
ましい。エステル化反応は、不飽和脂肪族ポリエステル
の酸価が30以下、好ましくは15以下、さらに好適に
は10以下に達するまで実施される。この場合、分子量
が大きい程脱グリコール反応による分子量増大が円滑に
行えるので、高分子量のものが望ましい。脱グリコール
反応は、5Torr以下の減圧下、170〜230℃で2〜
16時間実施される。より好適には、1Torr以下の高真
空下、180〜210℃で実施することが、反応速度お
よび分解防止の点から望ましい。得られるポリエステル
は、末端基が実質的にヒドロキシル基であり、酸価はゼ
ロとなる。
【0023】かくして得られる不飽和脂肪族ポリエステ
ルは、重量平均分子量が20,000以上であることが
必要である。重量平均分子量が20,000以上でない
と、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物を使用した
効果が乏しくなる。重量平均分子量が20,000未満
の場合、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物の使用
割合を2モル%よりも多くしなければ、分子量増大の効
果を期待できなくなるが、同時に不飽和ジカルボン酸ま
たはその酸無水物の使用の増加は成形性に悪影響を及ぼ
す。即ち、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物の使
用割合が増加すると、メルトフローレートのコントロー
ルが困難となり、成形品の物性が損われてもろさが現わ
れるようになる。要するに熱可塑性ポリマーの性質が損
われて、熱硬化性樹脂の性質が加わるようになってく
る。従って、フィルム形成能力も甚だ困難なものとな
る。本発明で分子量を重量平均とした理由は、それが成
形性、熔融粘度に支配的であるからに他ならない。
【0024】本発明においては、続いて重量平均分子量
が20,000以上の不飽和脂肪族ポリエステルに有機
過酸化物を添加し、反応させて重量平均分子量を30,
000以上とすることである。このために用いる有機過
酸化物には特に制限はないが、本発明のためには高温分
解型、例えばジアルキルパーオキサイド類のジクミルパ
ーオキサイド、パーオキシエステル類のt−ブチルパー
ベンゾエートなどが好適に利用される。
【0025】有機過酸化物の使用量は、不飽和脂肪族ポ
リエステル100重量部に対して、0.1〜5重量部、
好ましくは0.5〜3重量部である。有機過酸化物の使
用量が0.1重量部未満では、実際問題として添加の効
果が乏しく、また5重量部を超えて使用しても特に効果
の向上が望めない。
【0026】有機過酸化物の不飽和脂肪族ポリエステル
への添加は、不飽和脂肪族ポリエステルの熔融状態で行
うことが好ましい。これによって、不飽和ポリエステル
中の不飽和基同士が付加し、重量平均分子量を30,0
00以上とすることができる。
【0027】不飽和脂肪族ポリエステルに、有機過酸化
物を添加し、反応して得られる高分子量脂肪族ポリエス
テルの重量平均分子量が30,000未満では、所望の
成形品を成形するための熔融粘度が十分でなくなる。
【0028】本発明の高分子量脂肪族ポリエステルは、
生分解性であり、各種用途に適用可能である。また、本
発明の高分子量脂肪族ポリエステルには、その実用化に
当っては、有機または無機のフィラー、補強材、ポリマ
ー、滑剤、着色剤、可塑剤などを併用できることは勿論
である。
【0029】
【実施例】次に、本発明の理解を助けるために以下に実
施例を示す。
【0030】なお、融点はDSC(示差走査熱量計)法
によって測定した。また、分子量測定は次のGPC測定
により行った。 Shodex GPC SYSTEM−11 溶離液 CF3COONa 5mmol/HFIP (ヘキサフロロイソプロパノール、1リットル) カラム サンプルカラム HFIP−800P HFIP−80M×2本 リファレンスカラム HFIP−800R×2本 カラム温度 40℃ 流量 1.0ml/min 検出器 Shodex RI STD:PMMA(Shodex STANDARD
M−75)
【0031】実施例1 撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付し
た1リットルのセパラブルフラスコに、1,4−ブタン
ジオール200g、コハク酸222g、フマル酸2.4gを
仕込み、窒素気流中、195〜200℃にてエステル化
して酸価7.9とした後、テトライソプロピルチタネー
ト0.05gを加え、コンデンサーを交換し、215〜
220℃で最終的には0.6Torrの減圧下、6時間脱グ
リコール反応を行った。得られたポリエステル(a)
は、白色ワックス状結晶であり、数平均分子量が14,
000、重量平均分子量が36,000、融点は約11
3℃であった。
【0032】ポリエステル(a)300gを別のフラス
コにとり、窒素気流下200℃に加熱熔融しジクミルパ
ーオキシド1.5gを加え、さらに5分間撹拌した後、
金属バットに注入し、固化させた。得られた架橋された
ポリエステル(A)の数平均分子量は26,100、重
量平均分子量は119,000、融点は約115℃であ
った。
【0033】ポリエステル(A)をプレス成形して厚さ
約70μのシートを成形したがミクロゲルの発生は認め
られなかった。2.5cm×15cmのテストピースを、テ
ニスコートの土中約20cm下に埋めて放置した所、6ケ
月後にはボロボロとなって原形を止めず、生分解性のあ
ることが確認された。
【0034】実施例2 撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付し
た1リットルのセパラブルフラスコに、エチレングリコ
ール204g、無水コハク酸298g、イタコン酸6g
を仕込み、195〜200℃、窒素気流中でエステル化
して酸価9.4とした後、テトライソプロピルチタネー
ト0.05gを加え、215〜220℃で最終的には
0.5Torrの減圧下10時間脱グリコール反応を行っ
た。得られたポリエステル(b)は、白色結晶性であ
り、数平均分子量が22,900、重量平均分子量が6
2,000、融点が約105℃であった。
【0035】ポリエステル(b)300gを別のフラス
コに秤取し、窒素気流中で200℃に加熱熔融した後、
t−ブチルパーベンゾエート4.5gを加えた。発泡が
終了する迄撹拌して得られたポリエステル(B)の融点
は105℃、数平均分子量は31,000、重量平均分
子量は133,000であった。
【0036】実施例1と同様に成形して得られた厚さ約
100μのシートはミクロゲルの発生は認められなかっ
た。これを暖気槽中、活性汚泥浸漬テストを行った所、
60日後にはほぼ完全に分解し、ボロボロになって原形
を止めなかった。
【0037】実施例3 撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付し
た1リットルのセパラブルフラスコに、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール310g、アジピン酸290g、
無水マレイン酸2g、トリメチロールプロパン2gを仕込
み、窒素気流中、190〜195℃でエステル化して酸
価8.8とした後、テトライソプロピルチタネート0.
05gを加え、さらに215〜220℃で最終的には
0.6Torrの減圧下6時間反応した。得られたポリエス
テル(C−1)は、アイボリー色を帯びた白色結晶で、
融点が約105℃、数平均分子量が13,900、重量
平均分子量が42,800であった。
【0038】ポリエステル(C−1)300gを別のフラ
スコに秤取し、窒素ガス気流中、200℃で熔融させて
クメンハイドロパーオキシド6gを加えた。200℃で
30分間撹拌した所、得られたポリエステル(C−2)の
数平均分子量は20,200、重量平均分子量は14
5,000、融点は約108℃となった。
【0039】ポリエステル(C−2)を実施例1と同様
に成形して厚さ約100μのシートを得た。シートには
ミクロゲルの発生が認められなかった。これを実施例1
同様に土中に埋没して生分解性をみた所、6ケ月後には
表面に無数の虫喰い状の孔が認められ、生分解性である
ことが確認された。
【0040】
【発明の効果】本発明の方法によれば、ミクロゲルの発
生がなく、成形品、フィルム、繊維などに成形すること
ができる、生分解性の高分子量脂肪族ポリエステルを提
供することができる。
【手続補正書】
【提出日】平成5年11月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】 本発明の第2は、上記第1発明の[1]
の(1)脂肪族または環状脂肪族グリコール成分と、
(2)脂肪族ジカルボン酸またはその酸無水物および不
飽和ジカルボン酸またはその酸無水物の反応の際に、3
官能以上の多価アルコール、3官能以上の多価カルボン
酸またはその酸無水物および3官能以上のオキシカルボ
ン酸からなる群から選ばれた少なくとも1種の多官能化
合物を併用する、第1発明に記載の高分子量脂肪族ポリ
エステルの製造方法に関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】 本発明の方法に用いられる脂肪族ポリエ
ステルは、原料として(1)脂肪族または環状脂肪族
グリコール成分と、(2)脂肪族ジカルボン酸またはそ
の酸無水物および不飽和ジカルボン酸またはその酸無水
物からなる酸成分、または(1)脂肪族または環状詣
肪族グリコール成分と、(2)脂肪族ジカルボン酸また
はその酸無水物および不飽和ジカルボン酸またはその酸
無水物からなる酸成分、(3)3官能以上の多価アルコ
ール、3官能以上の多価カルボン酸またはその酸無水物
および3官能以上のオキシカルボン酸からなる群から選
ばれた少なくとも1種の多官能化合物を用い、これら各
成分をエステル化(脱水縮合)し、続いて金属化合物触
媒の存在下、脱グリコール反応することにより合成され
る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】 本発明においては、脂肪族または環状脂
肪族グリコール成分と、脂肪族ジカルボン酸またはその
酸無水物および不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物
からなる酸成分との反応の際に、3官能以上の多価アル
コール、3官能以上の多価カルボン酸またはその無水物
および3官能以上のオキシカルボン酸からなる群から選
ばれた少なくとも1種の多官能化合物を併用することに
より、例えば分枝が導入されてポリエステルの分子量分
布を拡大し、成形品を成形する際に必要とされる熔融粘
度を調節することが可能となる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】 3官能以上のオキシカルボン酸として
は、市販品がいずれも利用可能ではあるが、低コストで
入手できるといった点からは、リンゴ酸、酒石酸並びに
クエン酸が好適である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】 実施例1と同様に成形して得られた厚さ
約100μのシートはミクロゲルの発生は認められなか
った。これを曝気槽中、活性汚泥浸漬テストを行った
所、60日後にはほぼ完全に分解し、ボロボロになって
原形を止めなかった。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 〔I〕(1)脂肪族または環状脂肪族グリ
    コール成分と、(2)脂肪族ジカルボン酸またはその酸
    無水物98〜99.99モル%および不飽和ジカルボン
    酸またはその酸無水物0.01〜2モル%からなる酸成
    分とを反応させて得られる重量平均分子量が20,00
    0以上の不飽和脂肪族ポリエステル100重量部に対し
    て、 〔II〕0.1〜5重量部の有機過酸化物を添加し、反応
    させて、重量平均分子量を30,000以上とすること
    を特徴とする高分子量脂肪族ポリエステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 〔I〕の(1)脂肪族または環状脂肪族
    グリコール成分と、(2)脂肪族ジカルボン酸またはそ
    の酸無水物および不飽和ジカルボン酸またはその酸無水
    物の反応の際に、3官能以上の多価アルコール、3官能
    以上の多価カルボン酸またはその酸無水物および3官能
    以上のオキシジカルボン酸からなる群から選ばれた少な
    くとも1種の多官能化合物を併用する、請求項1に記載
    の高分子量脂肪族ポリエステルの製造方法。
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