JPH0629108B2 - ウエブガイド装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、連続して走行する帯状のシート、例えば、ウ
エブ料紙の幅方向位置を平行に移動し調整するウェブガ
イド装置に関するものである。

〔従来の技術〕

巻取紙の印刷機には、印刷機や折機の前工程として、走
行するウエブ料紙の中心を印刷機械の中心、または印刷
版の中心などと合わせるための位置調整装置が設けられ
ている。

その従来技術としては、（１）「印刷機械入門」（発行
日：昭和６０年７月１日、発行所：印刷学会出版部）の
３３〜３４頁記載の「ウエブ機のレジスター機構」の項
に示されるもの、（２）「オフ輪転印刷技術」（発行
日：昭和56年９月１５日、発行人：ＧＡＴＦ極東事務
所）の８４〜８５頁記載の「巻取紙の制御」の項に示さ
れるもの、（３）特開昭58-47747号公報にされるもの、
さらに（４）特許第177072号（特公昭23-1037 号）明細
書に示されたものがある。

上記従来の技術のうち、（１）〜（３）に示された機構
は、第７図、第８図に示すようになっており、２本の固
定ガイドａ、ｂと２本の移動ガイドｃ、ｄをそれぞれ平
行に、かつ箱形に配置し、両移動ガイドｃ、ｄは共通の
枠（図示せず）によって支承され、例えば上流側の移動
ガイドｃでのウエブ料紙ｅの中心ｆ（従来例（１））、
あるいは両移動ガイドｃ、ｄの中間部でのウエブ料紙の
中心ｇ（従来例（２）、（３））を中心に水平に回動す
るようになっている。

そして上記（１）〜（３）の従来例でのウエブ料紙ｅ
は、まず上流側の固定ガイドａと上流側の移動ガイドｃ
の間でひねられ、この上流側の移動ガイドｃよりウエブ
料紙ｅは斜めに進行方向を取る。そして下流側の移動ガ
イドｄを通過し、再度ひねられながら下方の下流側の固
定ガイドｂを介して上流側の固定ガイドａの上流での進
行方向に戻され、この間にウエブ料紙ｅは幅方向にＰだ
け平行移動される。

また従来例（４）に示された機構は、第９図に示すよう
になっていて、ウエブ料紙ｅの走行途中に２本の移動ガ
イドｃ′，ｄ′を介装して、この両移動ガイドｃ′，
ｄ′にウエブ料紙ｅをＺ字状に巡って走行させ、両移動
ガイドを一体状に回動することにより、ウエブ料紙を幅
方向に移動するようになっている。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記各従来例のうち（１）〜（３）の従来例の技術は次
のような課題をかかえている。

すなわち、第７図、第８図に示すように、各移動ガイド
ｃ、ｄがそれぞれ各固定ガイドａ、ｂのそれぞれの上方
に位置され、各移動ガイドｃ、ｄには略９０度にわたっ
て、ウエブ料紙ｅが巻きつく構成となっているから、第
７図に示す状態で、例えばウエブ料紙ｅの中心ｇで移動
ガイドｃ、ｄを一体状に回動すると第８図に示すように
なり、ウエブ料紙ｅは、上流側の固定ガイドａと移動ガ
イドｃの間と、下流側の移動ローラーｄと固定ガイドｄ
との間でそれぞれひねられることで、ウエブ料紙ｅの紙
中心線ｈより、両側の紙端ｉ、ｊの方が伸ばされて長く
なる。

今、各移動ガイドｃ、ｄにおいて、紙中心部と両紙端部
のそれぞれの位置のガイド断面ｃ_１，ｃ_２，ｃ_３及びｄ
_１，ｄ_２，ｄ_３を考えたときに、両移動ガイドｃ、ｄを
一体状に、例えば第７図において矢印に示すように、紙
中心ｇを中心にして左方向に回動した場合、第８図にお
いて、上流側の固定ガイドａから上流側の移動ガイドｃ
の紙中心位置のガイド断面ｃ_１までの距離ｌ_１に対して
両紙端位置のガイド断面ｃ_２，ｃ_３までの距離ｌ_２，ｌ
_３は長くなる。

同様に、下流側の固定ガイドｂから下流側の移動ガイド
ｂの紙中心位置のガイド断面ｄ_１までの距離ｌ′_１に対
して両紙端位置のガイド断面ｄ_２，ｄ_３までの距離ｌ′
_２，ｌ′_３は長くなる。

すなわち、両移動ガイドｃ、ｄを回動した状態では、上
流側の固定ローラーａから下流側の固定ガイドｂに至る
ウエブ料紙の紙通し経路は、これの紙中心部の長さに対
して両紙端部の長さが長くなる。

そのため、両固定ガイドａ、ｂ間の紙通し経路では、ウ
エブ料紙ｅの料紙端ｉ，ｊ部には、紙中心ｈ部付近より
も余分な張力が加えられることになる。

従って、ウエブ料紙ｅの進行方向を移動ガイドｃ、ｄの
傾きによって平行移動する過程で、ウエブ料紙ｅに不均
一な張力が加えられ、断紙の原因となっていた。

このため、作業者は、ウエブ料紙の走行開始や移動ロー
ラーｃ，ｄの調整及びその始動などは、極めて慎重に行
なわれなればならず、多大な労力を払うものとなってい
た。

一方従来例（４）に示されたものにあっては、上記
（１）〜（３）のような問題はないが、ウエブ料紙ｅは
回転しない２本の移動ガイドｃ′，ｄ′をＺ状に巡って
走行する構成であるため、ウエブ料紙ｅの両面が移動ガ
イドｃ′，ｄ′に摺接してしまい、例えばウエブ料紙ｅ
の一面にだけ印刷した場合においても、この印刷面が上
記移動ガイドｃ′，ｄ′による摺接による汚損してしま
うという問題があった。

本発明は上記のことにかんがみなされたもので、ウエブ
料紙の側端部に加わる張力による断紙をなくすことがで
きて、ウエブ料紙の進行方向の移動操作を作業者に負担
をかけることなく行なうことができ、しかも、ウエブ料
紙の一側面にのみ移動ガイドが摺接して片面印刷された
ウエブ料紙の印刷面の移動ガイドによる汚損をなくすこ
とができるようにしたウエブガイド装置を提供すること
を目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本発明に係るウエブガイド
装置は、ウエブ料紙の走行路中に、このウエブ料紙の走
行方向に、離間して平行にかつ回転自在に設けた２本の
固定ガイドと、上流側の固定ガイドを経て下流側の固定
ガイドに至るウエブ料紙が略１８０度にわたって巻付く
ように、かつ互いに平行に配置され、さらにウエブ料紙
の走行方向に対して一体状に各変位可能にして設けた２
本の移動ガイドと、この２本の移動ガイドを一体状に角
変位するガイド移動手段とから構成されている。

〔作 用〕

固定ガイド及び移動ガイドをウエブ料紙の走行方向に対
して９０度となるように、各ガイドにウエブ料紙を巻付
け紙通しすることにより、両移動ガイドにウエブ料紙が
そぞれ略１８０度にわたって巻付けられる。この状態で
ウエブ料紙を走行させ、この走行方向に対して９０度の
位置から移動ガイドを角変位していくと、上流側の移動
ガイドから下流側の移動ガイドに向うウエブ料紙は、上
流側の移動ガイドに従い、その角変位に応じて張力の均
衡する方向に走行方向を変える。

続いて下流側の移動ガイドに達したウエブ料紙は、下流
側の移動ガイドに従って張力の均衡する方向に走行方向
を変えてウエブガイド装置の導入時の進行方向に戻る。

この過程で、上流側の移動ガイドから下流側の移動ガイ
ドに達する間において、ウエブ料紙が走行方向に対して
斜め走行することで結果的にウエブ料紙の幅方向への平
行移動が行なわれる。

また、角変位する両移動ガイドに対するウエブ料紙の巻
付き角が略１８０度となるように移動ガイドが配置され
ていることにより、かつ両移動ガイドが一体状になって
角変位することにより、この両移動ガイドが角変位して
も、これらにガイドされて走行するウエブ料紙は幅方向
のどの位置の経路長さも変化することがなく同一であ
る。

〔実施例〕

本発明の実施例を第１図から第６図に基づいて説明す
る。

第１図は本発明の実施例の全体の概略構成を示す斜視
図、第２図はその平面図である。

ウエブ料紙１は印刷部２の上流側に設けたウエブガイド
装置３にて、例えば、ウエブ料紙１の中心線と印刷中心
とが整合するように幅方向に移動調整されて印刷部２に
導入されるようになっている。

以下に上記ウエブガイド装置３の構成を上記第１図、第
２図及び各ガイドの配置を示す第６図を参照して説明す
る。

４，５はウエブ料紙１の走行方向に離間して平行に配置
される上流側及び下流側の固定ガイドであり、また６，
７は同様に、ウエブ料紙１の走行方向に離間して平行に
配置される上流側及び下流側の移動ガイドである。そし
てこの両移動ガイド６，７のうち、上流側の移動ガイド
６は上流側の固定ガイド４より上流側で、かつそれぞれ
の半径の和だけ上方にずれた位置に配置されている。ま
た下流側の移動ガイド７は下流側の固定ガイド５より下
流側で、かつそれぞれの半径の和だけ上方にずれた位置
に配置されている。

上記両固定ガイド４，５は上記ウエブ料紙１の走行方向
の両側に設けられた機枠８，９に回転自在に支持されて
いる。

また両移動ガイド６，７の両端部はそれぞれ端板１０，
１１に係合されている。そしてこれの一方の端板１０は
上記一方の機枠８に固着したブラケット１２に枢支軸１
３を介して水平方向に回転自在に支持されており、また
他方の端板１１は他方の機枠９に固着したブラケット14
に水平方向に移動自在に支持されている。そしてこの移
動する方の端板１１には突出部１１ａが設けてあり、こ
の突出部１１ａにナット部材１５が回転自在に支持され
ており、このナット部材１５に調整ロッド１６が螺合し
てある。この調整ロッド１６は上記機枠９に設けたブラ
ケット１７に水平方向に回転自在に支持された支持ブロ
ク１８に回転自在に、かつ軸方向に係止して支持されて
いる。１９はハンドルである。

上記構成において、ハンドル１９にて調整ロッド１６を
回転することにより、ナット部材15と共に一方の端板１
１が機枠９に沿って移動し、これにより両移動ガイド
６，７が一体状になって、枢支軸１３を支点にして回動
される。

一方ウエブ料紙１は上流側の固定ガイド４、上流側の移
動ガイド６、下流側の移動ガイド７、下流側の固定ガイ
ド５を順に通過する経路で誘導する。

これにより、第６図に示すように、両移動ガイド６，７
にウエブ料紙１が略１８０度にわたって巻付けられる。

第３図は両移動ガイド６，７がウエブ料紙１の走行方向
に対して直角に設定されている状態を示しており、この
場合、上流側の固定ガイド４の上流側と、下流側の固定
ガイド５の下流側において、ウエブ料紙１の走行する向
き、及びウエブ料紙１の走行中の側端位置が一致してい
る。

第３図に示す状態において、下流側の固定ガイド５の下
流側のウエブ料紙１を走行中に側方へ平行移動するとき
は、次の操作を行う。

すなわち、ハンドル１９を回転して両移動ガイド６，７
の枢支軸１３を中心にして一体状に一方へ回動する。こ
れによりウエブ料紙１は第４図または第５図に示すよう
に走行する。

具体的には、移動ガイド６，７の角変位によって、ウエ
ブ料紙１は上流側の移動ガイド６を通過するときに、ウ
エブ料紙１に作用する張力が均衡するように走行する向
きを変え、さらに下流側の移動ガイド７を通過するとき
に、再度ウエブ料紙１に作用する張力が均衡するように
走行する向きをかえる。

このとき、両移動ガイド６，７が平行であることから、
上流側の移動ガイド６の下流側でのウエブ料紙１の走行
する向きは、上流側の移動ガイド６の上流側でのウエブ
料紙１の走行する向きと一致し、かつウエブ料紙１の走
行中の側端位置は、上流側の移動ガイド６と下流側の移
動ガイド７との間で変化した移動量Ｐだけ平行移動す
る。

またこのとき、上、下流側の移動ガイド６，７に対する
ウエブ料紙１の巻付き角が１８０度となると共に、両移
動ガイド６，７が平行のまま一体状にその角度を変位す
るので、両移動ガイド６，７が角変位しても、ウエブ料
紙１に作用する張力は幅方向に均一のままである。

すなわち、移動ガイド６，７を第３図に示す直角状態か
ら、第４図に示すように変位したときに、例えばウエブ
料紙１の手前側端部における上流側の固定ガイド４から
上流側の移動ガイド６までの距離はＬ_１→Ｌ_２（ただし
Ｌ_１＞Ｌ_２）と変化し、また下流側の固定ガイド５から
下流側の移動ガイド７までの距離はＬ_３→Ｌ_４（ただし
Ｌ_３＞Ｌ_４）と変化するが、両移動ガイド６，７は固定
ガイドと移動ガイドとの間のウエブ料紙と同一平面内で
変位することにより、（Ｌ_１＋Ｌ_３）＝（Ｌ_２＋Ｌ_４）
となり、上下流側の両固定ガイド４，５間の長さは変化
しない。このことはウエブ料紙１の他の側端部において
も同様であり、結局、移動ガイド６，７が角変位して
も、これらにガイドされて走行するウエブ料紙１は幅方
向のどの位置の長さも変位することなく同一であり、従
ってウエブ料紙１に作用する張力は均一のままである。

またこのとき、両固定ガイド４，５はウエブ料紙１の一
側面に、両移動ガイド６，７はこれの他側面にそれぞれ
接触する。そして上記両固定ガイド４，５は回転自在と
なっており、移動ガイド６，７は回転しないようになっ
ているから、印刷面が固定ガイド４，５に接触するよう
にしておくことにより、この印刷面がガイドによってこ
すれることがなく、印刷面のガイドによる汚損がない。

上記構成において、両移動ガイド６，７の角変位が移動
ガイド６，７に対するウエブ料紙１の巻付き角が略１８
０度に維持できる範囲で行なわれる。

また、調整ロッド１６の回転には、モーター等の駆動手
段（図示せず）を用いてもよく、さらに、下流側の移動
ガイド７の下流側にウエブ料紙１の側端位置を検出する
センサー（図示せず）を設け、制御手段（図示せず）を
介して上記図示しない駆動手段と連結し、自動制御作動
するようにしてもよい。

さらに、移動ガイド６，７を支持する枠体の回動中心は
この枠体を回動できる位置であれば、適宜の位置に設定
してよい。

またさらに、移動ガイド６，７は、この移動ガイド６，
７の角変位範囲が僅かであるときは、回転するようにし
てもよく、従ってこれは回転または固定のいずれか一方
に限定するものではない。

本発明は、以上記載の実施例に局限されるものではな
く、特許請求の範囲を逸脱しない設計上の改変を含むも
のである。

〔発明の効果〕

本発明によれば、ウエブ料紙の側端部に加わる張力によ
り断紙をなくすことができて、ウエブ料紙の進行方向の
移動操作を作業者に負担をかけることなく行なうことが
でき、しかも、ウエブ料紙の一側面にのみ移動ガイドが
摺接して片面印刷されたウエブ料紙の印刷面の移動ガイ
ドによる汚損をなくすことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図から第６図は本発明の実施例を示すもので、第１
図は概略構成を示す斜視図、第２図は平面図、第３図、
第４図、第５図は動作説明図、第６図はウエブ料紙に対
する固定ガイド及び移動ガイドの配置構成図である。第
７図から第９図は従来例を示すもので、第７図は移動ガ
イドを固定ガイドに対して箱形に配置したものの概略構
成を示す斜視図、第８図はウエブ料紙とガイドとの配置
構成図、第９図は他の従来例を示す構成説明図である。 １はウエブ料紙、２は印刷部、３はウエブガイド装置、
４，５は固定ガイド、６，７は移動ガイド、８，９は機
枠、１０，１１は端板、12，１４，１７はブラケット、
１３は枢支軸、１５はナット部材、１６は調整ロッド、
１８は支持ブロック、１９はハンドル。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ウエブ料紙の走行路中に、このウエブ料紙
   の走行方向に離間して平行に、かつ回転自在に設けた２
   本の固定ガイドと、上流側の固定ガイドを経て下流側の
   固定ガイドに至るウエブ料紙が略１８０度にわたって巻
   付くように、かつ互いに平行に配置され、さらにウエブ
   料紙の走行方向に対して一体状に角変位可能にして設け
   た２本の移動ガイドと、この２本の移動ガイドを一体状
   に角変位するガイド移動手段とからなることを特徴とす
   るウエブガイド装置。