JPH0628945B2 - 鋼板とポリオレフインの積層体の製造方法 - Google Patents

鋼板とポリオレフインの積層体の製造方法

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JPH0628945B2
JPH0628945B2 JP59241259A JP24125984A JPH0628945B2 JP H0628945 B2 JPH0628945 B2 JP H0628945B2 JP 59241259 A JP59241259 A JP 59241259A JP 24125984 A JP24125984 A JP 24125984A JP H0628945 B2 JPH0628945 B2 JP H0628945B2
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義▲尚▼ 篠原
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は鋼板とポリオレフィンの積層体の製造方法に関
する。詳しくは接着性及び耐候性の優れた鋼板とポリオ
レフィンの積層体の製造方法に関する。
〔従来技術〕
ポリオレフィンは、その本来の特性から、従来より鋼
板、鋼管、ドラム管等のライニング、電線、機械器具の
コーテイング、ガラスの保護などに広く利用されてい
る。とくに鉄、アルミニウムなどの金属表面への被覆が
盛んに行なわれており、その加工方法も種々提案されて
いる。
しかしながら、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブ
テンのようなポリオレフィン類は、分子中に極性部分例
えば官能基などを持たず結晶性が高いため、接着性が極
めて悪く、この点がポリオレフィンを金属被覆に使用す
る上の最大の難点であった。
この接着性を改善するため、従来種々の試みがなされて
きた。例えば、 (イ)ポリオレフィンの接着面に溶剤処理、火焔処理、
加熱空気処理、酸化処理等の表面処理をする方法、 (ロ)接着される金属表面を機械的に粗面化、あるいは
表面酸化処理する方法、 (ハ)金属に不飽和カルボン酸または無水物で変性され
た変性ポリオレフィン及び未変性ポリオレフィンを順次
押出しコーテイングにより積層する方法(特公昭42−
10757)、 (ニ)金属にエポキシ樹脂系接着剤等のプライマーを塗
布し、その上に不飽和カルボン酸またはその無水物で変
性した変性ポリオレフィン及び未変性ポリオレフィンを
順次押出しにより、ラミネートにより積層する方法(特
開昭56−168862等)、 等が提案されている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、上記(イ)及び(ロ)の方法では何れも
処理操作が繁雑であるばかりでなく、十分な接着強度を
得ることはできない。上記(ハ)の方法では金属面に一
度固化した変性ポリオレフィン上に未変性ポリオレフィ
ンをコーテイングして十分な接着性を得るには、300
℃程度で押出しコーテイングする必要があり、その際未
変性ポリオレフィン被覆層が高い熱履歴を受けて劣化
し、耐候性及び耐ストレスクラック性等の物性が低下す
る。また、上記(ニ)の方法では各層間の十分な接着性
を得るためには、樹脂を300℃程度で溶融押出する必
要があり、未変性ポリオレフィン樹脂層が高い熱履歴を
受けて劣化し、耐候性及び耐ストレスクラック性等の物
性が低下する。さらに、上記(ハ)及び(ニ)の方法で
は、未変性ポリオレフィン樹脂として低密度ポリエチレ
ン以外のポリオレフィン樹脂では、押出ラミネート加工
時にドローレゾナンスやネックインを起しやすく、溶融
張力の高い樹脂しか使用できないという制限がある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者等は従来法のかかる問題点を解決すべく、種々
検討を重ねた結果、あらかじめ、変性ポリオレフィンと
未変性ポリオレフィンとを共押出法により積層して得た
複合体を用意し、該複合体を特定の接着成分を特殊な状
態で介して鋼板に熱圧着により積層させることにより、
接着性に優れ、且つ耐候性及び耐ストレスクラック性が
著しく改善された金属とポリオレフィンの積層体が得ら
れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、鋼板と変性ポリオレフィン
層、ならびに未変性ポリオレフィン層からなる積層体を
製造する方法において、不飽和カルボン酸またはその無
水物を700〜4000ppmグラフトすることにより変
性した変性ポリオレフィンと未変性ポリオレフィンとを
共押出法により積層し複合体を形成し、該複合体を一旦
固化させ、次いで該複合体の変性ポリオレフィン層面を
鋼板に熱圧着するに際し、鋼板の接着面に、予め熱硬化
性エポキシ樹脂100重量部に対し、クロム酸の周期率
表第II族金属塩の一種又は二種以上を40部以下配合さ
せた配合物を3g/m2ないし20g/m2塗布し、ゲル
化は進行しているが完全にゲル化していない状態にして
おくことを特徴とする鋼板とポリオレフィンの積層体の
製造方法に存する。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、まず変性ポリオレフィンと未変性ポリオレフ
ィンとを共押出法により積層した複合体を予め用意し、
該複合体を特定の接着成分を介して鋼板に熱圧着させて
積層体を製造するものである。
本発明で用いる変性ポリオレフィンとは、ポリオレフィ
ンを不飽和カルボン酸もしくはその無水物またはこれら
の誘導体で変性したものである。この変性は公知の方法
に従い、通常これらの化合物をポリオレフィンに混合な
いしグラフトさせるか又はかくして得た変性ポリオレフ
ィンの酸基又は酸無水物基を更にその誘導体に変化させ
ることにより行なわれる。
このような変性ポリオレフィンの製造に用いられるポリ
オレフィンとしては、低密度ポリエチレン、中密度ポリ
エチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチ
レン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重
合体、プロピレン−1−ブテン共重合体およびこれらの
混合物などがあげられる。特に温度20℃における結晶
化度(Journal of Polymer Science.,XVII17〜2
6(1955)の記載に準じてX線法により測定)が2
〜30%で且つムーニー粘度(ML1+4100℃、AS
TM D−15により測定)が5〜60の範囲のエチレ
ン−プロピレン共重合体またはエチレン−ブテン−1共
重合体が好適に用いられる。また、これらのポリオレフ
ィンに混合ないしグラフトさせる不飽和カルボン酸また
はその無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マ
レイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、無水シトラ
コン酸、イタコン酸、無水イタコン酸などが挙げられ、
さらに不飽和カルボン酸またはその無水物の誘導体とし
ては、例えばモノエポキシ化合物と上記酸とのエステル
化物、分子内にこれら酸と反応し得る基を有する重合体
と酸の反応生成物などが挙げられる。上記した、原料ポ
リオレフィンとグラフト反応を生起させる方法としては
溶液法またはスラリー法であってもよいが、経済的には
溶融混練法であることが好ましい。溶融混練法による場
合には、常法に従い原料ポリオレフィンの粉末またはペ
レットに不飽和カルボン酸またはその無水物及び有機過
酸化物、アゾビス化合物のようなラジカル反応開始剤を
所定の配合比でヘンシェルミキサー等でドライブレンド
するか、もしくは有機溶媒に不飽和カルボン酸またはそ
の無水物および開始剤を溶解し、ポリオレフィンの粉末
またはペレットに噴霧し、ヘンシェルミキサー等でブレ
ンドする。この配合したポリオレフィンの粉末もしくは
ペレットを系内を窒素ガス置換された混練機、例えばバ
ンバリーミキサー、ダブルスクリューミキサー等に投入
し、温度120〜300℃、時間0.1〜30分で溶融混
練することにより上記した変性ポリオレフィンが得られ
る。上記原料ポリオレフィンに配合する不飽和カルボン
酸またはその無水物の量はポリオレフィンに対し、0.01
〜5重量%、好ましくは0.02〜1.0重量%の範囲であ
る。このようにしてポリオレフィンに不飽和カルボン酸
またはその無水物を700〜4000ppmグラフトさせ
る。700ppm以下では十分な接着強度は得られず、4
000ppm以上では耐温水性、耐塩水性が不良となる。
また開始剤の量はポリオレフィンに対し0.1重量%以
下、好ましくは0.001〜0.05重量%の範囲である。上記
開始剤として使用される有機過酸化物としては、ベンゾ
イルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t
−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレ
ート、ジクミルパーオキサイド、α,α′−ビス−t−
ブチルパーオキシ−p−ジイソプロピルベンゼン、2,
5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキ
サン、2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキシル、t
−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4
−ビス−t−ブチルパーオキシパレート、オクタノイル
パーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド等
をあげることができ、またアゾビス化合物としては、ア
ゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,
4,4−トリスメチルパレロニトリル)、2,2′−ア
ゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)などが
あげられる。
変性ポリオレフィンには、従来一般的に用いられている
着色剤、安定剤、その他の添加物、充填剤を更に配合し
てもよいことはいうまでもない。充填剤としては、砂、
石英などの天然シリカ、湿式法、乾式法で製造した合成
シリカ、カオリン、マイカ、タルク、クレー、石綿など
の天然珪酸塩、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウムなど
の合成珪酸塩、アルミナ、チタニアなどの金属酸化物、
炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、その他アルミニウ
ム、ブロンズなどの金属粉等を使用することができる。
本発明において、上記した変性ポリオレフィンと共に複
合体を形成させるに用いられる未変性ポリオレフィンと
しては低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状
低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロ
ピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重
合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレ
ン−メタクリル酸エステル共重合体などのポリオレフィ
ンが好適に使用される。
上記未変性ポリオレフィンには必要に応じて任意に顔
料、熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤等ポリオレフィン
に常用される添加剤を含有させてもよい。
本発明において、変性ポリオレフィンと未変性ポリオレ
フィンとを積層して複合体を製造する方法としては、両
方の樹脂をインフレーション法またはTダイ法で共押出
し、ダイス内あるいはダイス外で溶融接着して複合化す
る方法が採用される。上記共押出法以外の積層法を利用
した場合には、未変性ポリオレフィン層と変性ポリオレ
フィン層との層間接着強度が十分でなく、そのため樹脂
温度を高くする必要があるが、樹脂温度を高くした場合
には未変性ポリオレフィン層が高い熱履歴を受けて樹脂
が劣化する。それ故、本発明方法は特に未変性ポリオレ
フィン層に与えられる熱履歴を極力抑え、かつ未変性ポ
リオレフィン層と変性ポリオレフィン層との層間接着強
度を十分なものとする方法として共押出法を採用するこ
とに特徴を有するものである。共押出法における成形温
度は、成形に供する変性ポリオレフィンまたは未変性ポ
リオレフィンの種類によって変化しうるが、通常該ポリ
オレフィンの融点以上260℃以下、特に160〜23
0℃が好適である。
しかして、複合体フィルムの厚みは通常50〜500μ
の範囲で、かつ変性ポリオレフィン層の厚みは5μ以
上、複合体フィルムの厚みの1/2以下の範囲であるの
が望ましい。
複合体フィルムの厚みが50μ以下では金属に対する保
護層としての性能が劣り、また後工程でエンボス加工等
を施す際に不適である。500μ以上では、鋼板との積
層体のプレス加工等の2次加工が困難になる。
変性ポリオレフィン層の厚みが複合体フィルムの厚みの
1/2以上では、未変性ポリオレフィン層の被覆層とし
ての性能が十分発揮されず、また5μ以下では金属面と
の接着性が不十分となる。該フィルムは押出機等から押
出された溶融フィルムとして用いるものではなく、一旦
固化させたフィルムとして用いるものである。
本発明において、上記複合体フィルムとの熱圧着に用い
られる鋼板はその表面が清浄であれば十分であるが、更
にブラスチングあるいはリン酸塩処理、クロメート処理
等の化成処理を施すと、接着力の耐水性、耐塩水性、耐
温水性の増大がはかれるので一層効果的である。
本発明では、こうした金属の表面に上記複合体を熱圧着
させるに際し、特殊な組成の熱硬化性エポキシ樹脂を特
殊な状態で鋼板と上記複合体との間に介在させて熱圧着
することにより層間接着性、特に接着力の耐押水性、耐
塩水性が増大できる。さらに防錆能を有する顔料を併用
するとさらに効果的である。
該熱硬化性エポキシ樹脂系接着剤にはクロム酸の周期表
第II族金属塩、例えば、クロム酸亜鉛、クロム酸ストロ
ンチウム等から選ばれる1種又は2種以上が配合されて
いる。この組成により接着力の耐温水性、耐塩水性が更
に効果的となる。配合量は該熱硬化性エポキシ樹脂10
0部に対して、該クロム酸塩の1種又は2種以上の合計
量が40部以下であって、その塗布量は塗布面1m2
対して3〜20gの範囲で、且つ塗布後ゲル化は進行し
ているが完全にはゲル化していない状態としておく必要
がある。具体的にはゲル化率で30%以上、好ましくは
50〜80%ゲル化しているのが望ましい。
ゲル化率の測定法は以下の通りである。
エチレングリコールモノメチルエーテルとメチルエチル
ケトンとを1:1(容量比)で混合した混合溶媒に、金
属板に熱硬化性エポキシ樹脂組成物を塗布したのち加熱
してゲル化させた試験片を浸漬し、25℃で5分間保持
してゲル化していない部分を溶出する。次いで試験片を
取出してよく乾燥させる。
金属板の重量をA(g)浸漬前の試験片の重量をB
(g)、浸漬後の試験片の重量をC(g)とするとゲル
化率は次式で与えられる。
熱硬化性のエポキシ樹脂系接着剤としては各種の官能基
を有しており、ポリオレフィンまたは種々のポリマー等
を配合してなるポリオレフィン組成物を金属に融着する
際に用いられている公知の種々のものを用いることがで
きる。
例えばアミン類、ポリアミド類、酸無水物、フェノール
樹脂、ブチル化尿素ホルムアルデヒド樹脂等のいわゆる
エポキシ樹脂硬化剤を含む分子量300ないし10,0
00程度の熱硬化型エポキシ樹脂を使用することが可能
である。これに使用するエポキシ樹脂は、ビスフェノー
ルA系エポキシ樹脂が一般的であるが、その他の公知の
エポキシ樹脂でもよい。さらに接着剤として分子量80
0ないし4000のエポキシ樹脂の30ないし70重量
部と炭素数10ないし20の脂肪酸70ないし30重量
部の反応生成物であるいわゆるエポキシエステルまたは
これに30重量%以内のブチル化メラミンホルムアルデ
ヒド樹脂などの硬化剤を加えて用いることも可能であ
る。
こうした熱硬化型のエポキシ樹脂系接着剤は、該エポキ
シ樹脂系接着剤がゲル化途上、すなわちゲル化はしてい
るが完全にはゲル化していない状態で用いる。
変性ポリオレフィン層の熱圧着は、該熱硬化型エポキシ
樹脂系接着剤が硬化完了するような条件で行なう。硬化
を完了させなければ良好な接着強度および耐塩水性を得
ることはできない。
これらの熱硬化型のエポキシ樹脂の分子量が高い場合
は、適宜の溶媒に溶解して塗布することもできる。その
場合、被塗布面である金属表面または変性ポリオレフィ
ン層の温度を常温以上にして塗布してもよい。
しかしながら、溶剤を使用すると、該溶剤の後処理等が
必要となるので、常温液状の熱硬化型エポキシ樹脂系接
着剤を使用する方が好ましい。
エポキシ樹脂系接着剤の膜厚は1〜200μ、好ましく
は5〜50μ程度であり、例えばスプレー、バーコータ
ー、ロールコーター等により金属表面に塗布することが
できる。エポキシ樹脂系接着剤を塗布した上に前記変性
ポリオレフィン層を熱圧着させる。
本発明においては、複合体フィルムと金属とを熱圧着さ
せる方法としては、金属面に複合体フィルムの変性ポリ
オレフィン側を加熱圧着する方法、例えば金属板上に上
記接着剤を塗布しある程度硬化させた後、複合体フィル
ムの変性ポリオレフィン側を接着面として、変性ポリオ
レフィンの融点以上、230℃以下の温度で熱プレスす
る方法、あるいはあらかじめその表面に上記接着剤を塗
布しある程度硬化させた後、複合体フィルの変性ポリオ
レフィン側と金属面を密着させ、変性ポリオレフィンの
融点以上、230℃以下に予熱したのち、圧着ロールを
介して圧着する方法が挙げられる。熱プレス時の圧着時
間やロール圧着の前の予熱時間は、変性ポリオレフィン
の物性等により異なるが、一般には0.5分〜5分で十分
である。熱プレスやロール圧着の際の圧力は特に限定さ
れないが、通常0.01kg/cm2ゲージ以上、好ましくは0.0
5kg/cm2〜50kg/cm2ゲージ程度の範囲から選ばれ
る。
すなわち、本発明では複合体フィルムの変性ポリオレフ
ィン側と鋼板とを積層するにあたり、該変性ポリオレフ
ィン側の温度をその融点以上230℃以下に加熱するこ
とが必要である。このとき変性ポリオレフィン側の温度
が融点以下では接着が良好でなく、また230℃以上で
は未変性ポリオレフィン側が必要以上の熱履歴を受けて
酸化劣化し、耐候性及び耐ストレスクラック性が著しく
低下するので適当ではない。
〔作用〕
本発明方法において、あらかじめ変性ポリオレフィンと
未変性ポリオレフィンとを共押出法により積層して複合
体を形成せしめ、この複合体の変性ポリオレフィン層面
を鋼板に特定の接着剤を特定の条件下に介して積層する
ことによって、積層体とした際の接着性および耐候性を
著しく向上させることができる。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、
本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定さ
れるものではない。
以下の実施例において、得られた積層体についてのはく
り試験、エリクセン試験、耐候性試験および耐塩水性試
験は次の方法によって行った。
(1)はくり試験 JIS K6744に準じて行い〔kg/20mm〕の単位
で表した。
(2)エリクセン試験 JIS K6744に準じて行い、被覆層の浮上りが生
じなかったものを〇、浮上りが生じたものを×で表わし
た。
(3)耐候性試験 スガ試験機社製のサンシャインウエザーメーター(ブラ
ックパネル温度:650℃、降雨サイクル:18分/1
20分)を用い、積層体の未変性ポリオレフィン層の光
沢(ASTM D 523に準じて測定した値)が半減
するまでの時間を光沢半減時間(hrs)とし、またヘア
ークラックが入るまでの時間をクラック発生時間(hr
s)として表わした。
(4)耐塩水性試験 70℃の5%食塩水に得られた積層体を浸し、複合体フ
ィルムと鋼板との界面に剥離が生じるまでの日数(day
s)で表わした。
実施例1 高圧法低密度ポリエチレン(密度:0.926g/cm3、メル
トインデックス(以下MIと略称する):0.9g/10
分)と無水マレイン酸でグラフト変性された変性高圧法
ポリエチレン(密度:0.91g/cm3、MI:2.0g/10
分、無水マレイン酸グラフト量:1200ppm)を樹脂
温度160℃でインフレーション法によるダイ内共押出
法により、該低密度ポリエチレン層120μおよび変性
高圧法ポリエチレン層30μの複合体フィルムを製造し
た。
リン酸亜鉛処理鋼板に熱硬化型エポキシ樹脂接着剤10
0部に対し、10部のクロム酸亜鉛と5部のクロム酸ス
トロンチウムを配合した接着剤を8g/m2の割合で塗
布した。
次いで、前記複合フィルムの変性ポリエチレン層を接着
面とし、鋼板の接着剤塗布面に、鋼板を200℃に加熱
処理した状態で密着させ、200℃のオーブン中で3分
間密着状態で保持した。その後ロール圧3kg/cm2でロ
ール圧着して積層体を得た。得られた積層体につき、は
くり強度、エリクセン試験、耐候性試験および耐塩水性
試験を上記方法により測定した。結果を第1表に示す。
比較例1 接着剤としてクロム酸亜鉛等を配合しない熱硬化型エポ
キシ樹脂接着剤を用いたこと以外は実施例1と同様にし
て積層体を得た。結果を第1表に示す。
比較例2 比較例2において、高圧法低密度ポリエチレンのかわり
に線状低密度ポリエチレン(密度:0.922g/cm3、M
I:0.8g/10分)を用いたこと以外は実施例1と同
様に行った。結果を第1表に示す。
比較例3 比較例2において、高圧法低密度ポリエチレンのかわり
に高密度ポリエチレン(密度:0.947g/cm3、MI:0.
5g/10分)を用い、且つ樹脂温度200℃で共押出
を行ったこと以外は実施例1と同様に行った。結果を第
1表に示す。
比較例4 比較例2において、高圧法低密度ポリエチレンのかわり
に、低密度ポリエチレン(密度:0.926g/cm3、MI:
0.5g/10分)100重量部にヒンダードアミン系の
耐候剤(三共株式会社製 商品名サノールLS622)
0.4重量部配合してなる組成物を用いたこと以外は比較
例1と同様に行った。結果を第1表に示す。
比較例5 比較例2において、熱硬化型エポキシ樹脂接着剤を全く
用いなかったこと以外は比較例1と同様に行った。結果
を第1表に示す。
比較例6 無水マレイン酸グラフト量を600ppmとした以外は比
較例2と同様にして積層体を得た。結果を第1表に示
す。
比較例7 無水マレイン酸グラフト量を5000ppmとした以外は
比較例2と同様にして積層体を得た。結果を第1表に示
す。
〔発明の効果〕 本発明方法によれば、あらかじめ変性ポリオレフィンと
未変性ポリオレフィンを積層して複合体を形成せしめ、
この複合体の変性ポリオレフィン層面を特定の接着剤を
介して特殊の条件下に鋼板面に積層せしめることによ
り、接着性および耐候性に優れた鋼板とポリオレフィン
との積層体を得ることができる。また、複合体と鋼板と
の間に(エポキシ樹脂系)接着剤を介在させているの
で、接着性及び耐候性は勿論のこと、耐食性及び耐塩水
性にも優れたポリエチレンと金属との積層体を得ること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 細田 泉 岡山県倉敷市潮通3丁目10番地 三菱化成 工業株式会社水島工場内 (56)参考文献 特開 昭54−96571(JP,A) 特開 昭59−62373(JP,A) 特開 昭58−168628(JP,A) 特開 昭55−124644(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板と変性ポリオレフィン層、ならびに未
    変性ポリオレフィン層からなる積層体を製造する方法に
    おいて、不飽和カルボン酸またはその無水物を700〜
    4000ppmグラフトすることにより変性した変性ポリ
    オレフィンと未変性ポリオレフィンとを共押出法により
    積層して複合体を形成し、該複合体を一旦固化させ、次
    いで該複合体の変性ポリオレフィン層面を鋼板に熱圧着
    するに際し、鋼板の接着面に、予め熱硬化性エポキシ樹
    脂100部に対し、クロム酸の周期表第II族金属塩の一
    種又は二種以上を40部以下配合させた配合物を3g/
    2乃至20g/m2塗布し、ゲル化は進行しているが完
    全にゲル化していない状態にしておくことを特徴とする
    鋼板とポリオレフィンの積層体の製造方法。
  2. 【請求項2】予め共押出法により形成せしめた複合体の
    厚みが50μ〜500μであり、且つ複合体中の変性ポ
    リオレフィン層の厚みが5μ以上、複合体の厚みの1/
    2以下であることを特徴とする特許請求の範囲第1項に
    記載の方法。
JP59241259A 1984-11-15 1984-11-15 鋼板とポリオレフインの積層体の製造方法 Expired - Lifetime JPH0628945B2 (ja)

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