JPH06287010A - 含炭素組成物の製造方法 - Google Patents

含炭素組成物の製造方法

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JPH06287010A
JPH06287010A JP5076537A JP7653793A JPH06287010A JP H06287010 A JPH06287010 A JP H06287010A JP 5076537 A JP5076537 A JP 5076537A JP 7653793 A JP7653793 A JP 7653793A JP H06287010 A JPH06287010 A JP H06287010A
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JP
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carbon
decomposable
compound
containing composition
metal
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JP5076537A
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English (en)
Inventor
Hideaki Miyashita
英晃 宮下
Mutsuo Nakajima
睦男 中島
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 水蒸気を含む熱ガス中に、分解性金属
化合物及び分解性炭素化合物を導入、分解して、金属酸
化物と単体炭素を含む混合エーロゾル分散質を製造する
にあたり、該熱ガス中へ噴霧導入する分解性金属化合物
及び分解性炭素化合物の混合物の噴霧液滴の最大粒径を
200μm以下とする。 【効果】 長時間にわたって比表面積等物性の安
定した含炭素組成物を連続的に得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は焼結用セラミックス粉体
を製造するのに適した、金属酸化物と単体炭素が微細で
均一に混合された、含炭素組成物の製造方法に関する。
【0002】更に詳しく言えば、金属炭化物、金属窒化
物、金属炭窒化物、金属酸窒化物等の製造に適した、金
属酸化物と単体炭素とを含む含炭素組成物の製造方法に
関する。
【0003】
【従来の技術】焼結用セラミックスの原料として有用な
金属炭化物粉末の製造方法としては、従来、 金属酸化物の炭素による還元炭化 金属の直接炭化 分解性金属化合物と炭化水素との気相反応等が知られ
ている。
【0004】又、金属窒化物粉末の製造方法としては、 金属酸化物と炭素の混合物を含窒素化合物(例えば窒
素、アンモニア)雰囲気中で高温に加熱する方法 金属の直接窒化 分解性金属化合物とアンモニア等含窒素化合物との気
相反応等が知られている。
【0005】更に、金属炭窒化物粉末の製造方法として
は、上述のの方法において、金属酸化物を金属炭化物
に転化させるには不十分であるが、金属窒化物に転化す
るには過剰な炭素量を用いて転化させる方法が知られて
いる。
【0006】更に又、金属酸窒化物粉末の製造方法とし
ては、 上述のの方法において、金属酸化物の全部を金属窒
化物に転化するには不充分な炭素量を用いて転化させる
方法が知られている。
【0007】このように金属炭化物、金属窒化物、金属
炭窒化物、金属酸窒化物等のセラミックス粉末を製造す
る際に、金属酸化物と炭素との混合物はこれらの製造原
料として重要である。
【0008】得られたセラミックス粉末は通常成形さ
れ、焼結体にされる。焼結体を製造する際にこれらのセ
ラミックス粉体の粒子が微細であり、かつ粒径分布がシ
ャープで高純度である程、焼結体の密度が高くなりやす
く(以下、この性質を易焼結性という)かつ焼結体強度
が高くなる。
【0009】このような好ましいセラミックス粉末を製
造するためには、その原料である金属酸化物と炭素とが
可能な限り均一に、かつ微細に混合された組成物を作る
ことが求められる。
【0010】これを達成するための手段として、本発明
者らは特公平3−13164号公報で、分解性金属化合
物と分解性炭素化合物を水蒸気を含む熱ガス中に導入し
て、これらを分解し、気相中で目的の金属酸化物と炭素
の混合物を製造する装置を提案した。該装置によれば、
微細な金属酸化物と炭素が均一に混合された混合物を拾
数時間安定して得ることができ、該混合物を用いること
により、微細、かつ粒径分布のシャープな金属炭化物を
製造できることを確認した。
【0011】しかしながら、さらに数百時間にも及ぶ長
期連続運転を試みた結果、該装置では、運転時間の経過
とともに炉圧が徐々に上昇し、50時間を過ぎたあたり
から燃焼用空気及び冷却用空気の供給量を一定に維持で
きなくなり、それに伴い得られた含炭素組成物の比表面
積及び組成物中の金属酸化物と単体炭素の割合が変動す
るという問題が明かとなった。
【0012】そこで本発明者らは、このような問題を解
決すべく検討を重ね、従来の方法では、連続運転停止後
の原料噴霧ノズルに、必ず噴霧パターンの一部に欠落が
生じており、また、炉圧の上昇は横型炉への塊状スケー
ルの成長による炉の閉塞のためであり、この塊状スケー
ルは、必ず横型炉反応域の炉底部より成長していること
に着目し、分解性金属化合物や分解性炭素化合物の異常
な熱分解や重合反応により生成した固形物が、注入管先
端に設置された噴霧ノズルへ付着し、正常な噴霧(原料
の微粒化)を阻害し、その結果、原料の完全な熱分解反
応が行われず、噴霧された原料の一部が含炭素組成物と
して炉壁に付着、このうち炉天井部に付着したものが落
下、炉底部に堆積し、これに原料噴霧の中心部に存在す
る粒子径の大きな液滴が未反応の状態で落下衝突し成長
したものであり、根本原因はノズルの温度上昇及び重力
の影響にあると推察し、反応炉を竪型炉とし、かつノズ
ルに水冷ノズルを用いる(特願平5−032935)こ
とによりこれらの問題を解決し、数百時間(約500時
間程度)にわたり安定した物性(比表面積、C/Met
al式量比)の含炭素組成物が得られることを確認し
た。
【0013】しかしながら、さらに数千時間にも及ぶ長
期運転を試みたところ、900時間を過ぎた頃より含炭
素組成物の物性が変化を始め、1000時間を経過する
と、さらに炉圧が上昇を始め、最終的には燃焼用空気の
供給を一定に維持できなくなるという問題が再び持ち上
がった。
【0014】本発明の含炭素組成物製造方法は、該組成
物中の金属酸化物と単体炭素の割合等の物性の安定した
ものを長時間安定して供給することを目的としており、
また得られた含炭素組成物は、これを焼成してファイン
セラミックスとするべきものであるから、比表面積値等
の物性が変動することは、得られるセラミックスの特性
上特に致命的となりうるものであり、絶対に防止しなけ
ればならない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特願
平5−032935に記された如き含炭素組成物であっ
て、比表面積等物性値の安定した含炭素組成物を工業的
に連続に、かつ長時間安定に製造する方法を提供するも
のである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、この問題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、含炭素組成物の物
性変動や、炉内圧の上昇は竪型炉粉溜め室からの塊状ス
ケ−ルの成長のためであり、この塊状スケ−ルは、噴霧
原料中に存在する大液滴が、未分解のまま竪型炉粉溜め
室の含炭素組成物に衝突することにより発生することを
つきとめ本発明に至ったものである。
【0017】即ち、本発明は水蒸気を含む熱ガス中に、
分解性金属化合物及び分解性炭素化合物を導入、分解し
て、金属酸化物と単体炭素を含む混合エーロゾル分散質
を製造するにあたり、該熱ガス中へ噴霧導入する分解性
金属化合物及び分解性炭素化合物の混合物の噴霧液滴の
最大粒径が200μm以下であることを特徴とした、数
千時間にも及ぶ長時間にわたり安定した物性の含炭素組
成物を製造する方法を提供するものである。
【0018】本発明を更に詳細に説明する。本発明の含
炭素組成物とは、水蒸気を含む熱ガス中に分解性金属化
合物及び分解性炭素化合物を導入し、分解して、金属酸
化物及び単体炭素の各々のエーロゾルを含む混合エーロ
ゾル分散質を生成させて、この混合エーロゾル分散質を
捕集して得たことにより特徴づけられる。
【0019】本発明で云う混合エーロゾルとは、気体中
に金属酸化物及び単体炭素が微細な固形物の分散質とし
て混在するものを意味する。
【0020】本発明では、まず単体炭素のエーロゾル
は、分解性炭素化合物を熱ガス中に導入、分解して容易
に得ることができる。他方、金属酸化物のエーロゾル
は、例えば四塩化珪素の如き化合物を水蒸気を含む熱ガ
ス中に導入すると、熱分解、酸化あるいは加水分解等を
伴う分解を起こし容易に得ることができる。
【0021】本発明で使用しうる分解性金属化合物は、
常温常圧ですでにまたは昇温により容易に気相もしくは
液相状態となるものが好適に使用される。
【0022】具体的例を挙げれば、C5 11Li、C2
5 Li、NaH、C2 5 Na、C6 6 2 Rb、
2 5 Cs、(C2 5 2 Be、C2 5 MgC
l、Mg(OCH3 2 、(C2 5 2 Ca、Sc
(CH3 3 、Y(C6 5 3、La(CH3 3
TiCl3 CH3 、TiF4 、TiI4 、Ti(OC3
7 4 、ZrI4 、Zr(OC2 5 4 、HfCl
4 、HfCl2 (C6 52 、VF5 、V(C
2 5 2 、NbF5 、NbCl5 、Nb(C3 5
4、TaF5 、TaBr4 、TaH3 (C2 5 2
CrCl3 、Cr(CH33 、MoF5 、MoC
5 、MoCl2 (C2 5 2 、WF6 、WCl5
W(CH3 6 、WCl2 (C2 5 2 、Mn(C2
5 2 、ReH(C25 2 、Ru(C
2 5 2 、CoC1010、Rh(C2 5 )(C6
5 )、Ni(C3 5 2 、Pb(C3 5 2 、Zn
(C2 5 2 、Cd(C23 2 、Hg(CH3
2 、BCl3 、B(OCH3 3 、B(OC
2 5 3 、B2 6 、(C2 5 3 Al、Al(O
2 5 3 、GaCl3 、Ga(CH3 3 、(C2
5 2 GaOC2 5 、TlF3 、HSiCl3 、S
iH4 、Si2 6 、(CH3 4 Si、(CH3 2
SiCl2 、CH3 SiCl3 、SiF4 、Si(OC
2 5 4 、GeCl4 、Sn(CH3 )、PH3、A
sF3 、AsCl3 、BiH3 、BiCl3 、Th(O
4 3 4 、U(OCH3 5 、U(OC3 7 5
どであり、またこれらの混合物であっても本発明には何
等の支障もなく使用可能である。
【0023】本発明の実施に用いられる分解性炭素化合
物は熱ガス中に導入された場合、容易に分解して単体炭
素(スス)を生成しうるようなもので、そのままで気相
もしくは液相状態か、昇温により容易に液相状態になる
ものが好適に使用可能である。
【0024】例えば、LPG、ナフサ、ガソリン、燃料
油、灯油、軽油、重油、潤滑油、流動パラフィンなどの
石油製品類;メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペン
タンなどの炭化水素;メタノール、エタノール、プロパ
ノール、エチレン、アセチレン、n−パラフィン、ブタ
ジエン、イソプレン、イソブチレン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、ジク
ロロペンタジエン、エチルベンゼン、スチレン、キュメ
ン、ブソイドクメン、メシチレン、アルキルベンゼン、
α−メチルスチレン、ジシクロドデカトリエン、ジイソ
ブチレン、塩化ビニル、クロルベンゼン、C9溜分混合
物、エチレンボトムなどの石油化学製品類;タール、ピ
ッチ、クレオソート油、ナフタリン、アントラセン、カ
ルバゾール、タール酸、フェノール、クレゾール、キシ
レゾール、ピリジン、ピコリン、キノリンなどのタール
製品類;大豆油、ヤシ油、アマニ油、綿実油、ナタネ
油、キリ油、ヒマシ油、鯨油、牛脂、スクワラン、オレ
イン酸、ステアリン酸などの油脂類などが好ましいもの
としてあげられるが、もちろんこれらに限られるもので
はない。
【0025】本発明の実施に使用する分解性炭素化合物
は、炭素の供給が目的であるから、この目的からは例え
ば上記の如く、広範囲に選択可能である。しかしなが
ら、取扱の簡便さ、炭素収率の面からトルエン、キシレ
ン、ベンゼン、灯油、軽油、重油、C9 溜分混合物、エ
チレンボトムなどが好ましい。本発明で使用可能なこれ
らの分解性金属化合物及び分解性炭素化合物は、通常は
そのままで、または加熱により容易に気相もしくは液相
状態となし得るものであるので、特定不純物の排除を必
要とする場合は、蒸留、吸着、洗浄などの簡便な操作で
高純度の分解性化合物を容易に得ることが出来る。
【0026】本発明の含炭素組成物を得るための具体的
な装置としては、竪型炉を用いる。この炉には加熱装置
及び分解性金属化合物と分解性炭素化合物の混合物を導
入する水冷ノズルと、熱ガス導入ダクト、混合エーロゾ
ル排出ダクトとが具備されている。
【0027】また、加熱装置としては燃焼バーナー、通
電発熱体などがあるが燃焼バーナーが簡便であり、また
熱効率の面でも好ましい。
【0028】図1は、本発明の実施に用いる竪型炉の一
例を示すものであり、水冷ノズル3、燃焼室A、反応領
域B及び粉溜室Cを具備した含炭素組成物の製造装置の
断面図を示したものである。
【0029】図1において燃料は、燃焼バーナー2より
供給されダクト1からの空気によって燃焼し、水蒸気を
含む熱ガス流を形成する。A領域は燃焼室Aで燃焼が充
分進行するのに必要な空間を有し、これにより下流のB
領域、即ち、反応領域Bにおいては燃焼ガスは安定した
熱ガス流を形成するのである。また、C域は粉溜室Cで
あり落下したスケールを溜めておく場所である。
【0030】本発明の実施に用いられる竪型炉に噴霧導
入された分解性金属化合物と分解性炭素化合物の混合物
の液適最大粒径が200μm以下の条件では、分解性金
属化合物の熱分解及び加水分解反応、分解性炭素化合物
の燃焼熱分解の速度はきわめて大きい(0.01〜0.
1秒程度で実質的に反応は完結する)ので反応時間(反
応域の滞留時間)としては1秒も取れば充分である。従
って反応領域Bの大きさとしては原料である分解性金属
化合物及び分解性炭素化合物が1秒以上滞留する空間を
確保すればよい。
【0031】本発明では、炉内は少なくとも600℃以
上、好ましくは700℃以上、より好ましくは800℃
以上の温度と空間領域がなければならない。600℃以
上の温度であれば分解性炭素化合物からは単体炭素が、
更に水蒸気を含む雰囲気下で分解性金属化合物からは金
属酸化物が各々極めて微細な粒子として得られ、気体と
固形物との混合体である混合エーロゾル状態で発生す
る。
【0032】なお、2000℃以上の温度は通常熱ロス
を招くだけであるのでこのような高温は好ましくない。
また、金属酸化物に加えて、単体金属さらには金属ハロ
ゲン化物が挟在していても、本発明での最終目的である
炭化物、窒化物及び酸窒化物の焼結体を得るのに格別の
妨げにはならない。
【0033】本発明で使用する水蒸気を含む熱ガスを得
る方法としては、通電加熱方式、高周波加熱方式及び放
電方式によって得た熱ガス中に水蒸気を導入することに
よって得ることもできるが、水素、メタン、エタン、プ
ロパンなど、あるいは原料とする炭化水素のように燃焼
して水蒸気を生成する可燃物を空気で燃焼させる方法
が、一工程で水蒸気を含む熱ガスを得ることができるの
で装置上簡便であり、熱効率の面からも経済的である。
【0034】本発明では、分解性金属化合物と分解性炭
素化合物は、予め混合された混合物(組成物)の状態で
単一のノズルより熱ガス中に導入されるのが好ましい。
分解性金属化合物と分解性炭素化合物を、各々別に設け
られた別々のノズルより熱ガス中に導入するのは好まし
くない。これは、おそらく混合物の状態で単一のノズル
から導入する方が、微細な混合状態を呈する含炭素組成
物がより安定して得られ易いためであろう。また、ノズ
ルを一本とした方が設備も簡略で操作が容易でもあると
いう利点もあるからである。
【0035】なお、分解性金属化合物と分解性炭素化合
物は相互に溶解して混合された後、相分離を起こさない
組合せとすることが好ましい。かかる観点からは例え
ば、SiCl4 、CH3 SiCl3 等の分解性金属化合
物はいずれもトルエン、キシレン、灯油、軽油、C9
分混合物等の分解性炭素化合物のいずれにも可溶性であ
り広範囲に選択可能である。
【0036】本発明の実施に用いられる分解性金属化合
物及び分解性炭素化合物の混合物は、水冷ノズルを用い
て熱ガス中に導入される。
【0037】図2は本発明に用いられる水冷ノズルの一
例である。原料注入管8及びその先端部に設置されたノ
ズル9は水冷ジャケット12によって冷却されている。
冷却はジャケット方式の他に原料注入管及びノズルの周
囲に通水パイプをコイル状に巻き付ける方式の他に、原
料注入管8及びその先端部に設置されたノズル9が水に
よって冷却可能であれば何れの方式でもかまわない。
【0038】使用されるノズルは、噴霧された分解性金
属化合物と分解性炭素化合物の混合物の噴霧液滴最大粒
径が200μm以下、好ましくは100μm以下となる
ものが望ましい。
【0039】具体的ノズルの例をあげれば、圧力噴霧ノ
ズル及び二流体噴霧ノズルの何れでもかまわないが、よ
り微噴霧が可能であるという点からは二流体噴霧ノズル
が好適である。
【0040】図3は二流体噴霧ノズルの一例を示すもの
であり、原料送入部13、噴霧用空気送入部14、混合
室15、噴霧口16を具備したものの断面図を示したも
のである。図3において分解性金属化合物と分解性炭素
化合物の混合物は原料挿入部13より混合室15へ送ら
れ、ここで噴霧用空気送入部14より供給された空気と
混合、微粒化され、噴霧口16より噴霧される。
【0041】本発明では、噴霧液滴の最大粒径を200
μm以下、好ましくは100μm以下とする。200μ
mより大きいと、炉内への塊状スケールの成長により連
続運転が不可能となるので好ましくない。
【0042】得られる含炭素組成物の物性の安定と液滴
径との因果関係を明確にはしえないが、おそらく以下の
効果によるものと推察される。
【0043】炉内に導入された分解性金属化合物と分解
性炭素化合物の混合物(以下原料混合物と記す)は、炉
内で一旦ガス化した後加水分解または熱分解を経て含炭
素組成物になるものと考えられる。従って、反応域温度
が一定であれば、炉内に導入された原料混合物の液滴径
が小さい程原料混合物の蒸発面積が大きくなり、含炭素
組成物の生成が速やかに進行する。
【0044】一方原料液滴径が大きくなると原料混合物
の蒸発面積が小さくなるため、含炭素組成物の生成反応
が進行しにくくなる。それと同時に、液滴径が大きい程
ノズルから噴霧された際の慣性力の働きを受け易くな
り、反応域を短時間に通過してしまうものと考えられ
る。従って、完全に分解の終了していない原料混合物が
粉溜室内の含炭素組成物に衝突して塊状スケ−ルに成長
し、その結果竪型炉の含炭素組成物排出ダクトが塞がれ
炉圧が上昇する。又原料混合物の一部が塊状スケ−ル
(C/Metal式量比等が含炭素組成物と異なる)と
なり炉内に残るために得られる含炭素組成物のC/Me
tal式量比等物性が変動するのであろう。
【0045】生成した金属酸化物と単体炭素を含む混合
エーロゾル分散質は、炉の外に誘導した後、含まれる固
形物をバッグフィルター、サイクロン、電気集塵機等の
公知の捕集装置を使用する固−気分離操作により捕集す
るが、捕集装置での熱負荷を軽減するためには予冷する
ことが望ましい。予冷の方法としては、反応後の帯域を
冷却するとか、または水を注入する等の手段を採用でき
る。
【0046】以上の如くして捕集された本発明の含炭素
組成物は、高周波加熱炉、電気抵抗炉、直下式管状加熱
炉などを用い、好ましくはアルゴン、ヘリウム、窒素、
水素などの非酸化性ガス雰囲気下で、1000〜250
0℃好ましくは1200〜2000℃程度に強熱するこ
とによって、焼結体原料として好適な金属炭化物粉末と
することができる。
【0047】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明する。
【0048】実施例1 図1は、本発明の含炭素組成物の製造装置を断面図で示
したものである。該製造装置は燃焼室A、反応領域B及
び粉溜室Cからなり、炉材5に囲まれたこれらの空間は
A−B方向に軸対称な円筒状である。ここでは、A部の
内径は600mm、B部の内径は400mmとした。
【0049】この装置を用いて、ダクト1より空気を1
50Nm3 /h連続的に送入し、燃焼バーナー2より水
素を14Nm3 /h供給燃焼させた。
【0050】原料として、分解性金属化合物はHSiC
3 を、分解性炭素化合物はトルエンを用い、この両者
を重量比で1:1の割合に混合したものを43kg/h
の流量で二流体噴霧ノズルを用いた水冷ノズル3より製
造装置内に注入噴霧した。なお原料微噴霧用には加圧し
た空気10Nm3 /hを用いた。
【0051】得られた混合エーロゾルはダクト5より系
外に導かれ、混合エーロゾル中の分散質をバッグフィル
ターで捕集して含炭素組成物を21.7kg/hの生成
量で得た。含炭素組成物中のケイ素質は二酸化珪素であ
ることが化学分析により確認され、ESRスペクトル解
析の結果Siと他元素との結合形態にはSi−O結合の
みが観察された。
【0052】表1に得られた含炭素組成物のケイ素に対
する炭素の式量比C/Si(g−アトムC/g−アトム
Siをいう。以下同じ)、窒素吸着比表面積(m2
g)及び炉内圧の原料注入開始より1000時間までの
経時変化を示した。この間注入した全HSiCl3 中の
ケイ素量に対する捕集した全含炭素組成物中のケイ素量
の割合〔以下、金属捕集率と称す(捕集金属量/注入金
属量)×100〕は99.1%であった。またこの二流
体噴霧ノズルを用い、同一条件で原料液滴を、シリコー
ンオイル等噴霧した液滴が溶解や反応を起こさない安定
な液膜中に包含させ、この液滴を光学顕微鏡により撮影
し、撮影した粒子500個について粒子径を測定した時
の最大液滴径は100μmであった。
【0053】かくの如くして製造装置の運転は1200
時間継続して行い、その後停止して製造装置内壁等を観
察したが、さらなる連続運転の継続に障害となるような
格別の問題点は全く観察されず、さらに所望の長時間た
とえば2000時間でも4000時間でも、安定したケ
イ素に対する炭素の式量比、比表面積の含炭素組成物の
製造が可能であることが示唆された。
【0054】
【表1】
【0055】実施例2〜5 実施例1と同様に図1に示す製造装置を使用し、燃料に
は水素の他にメタン、プロパン、ブタンも用い、分解性
金属化合物、分解性炭素化合物には表2に示す化合物を
用い燃焼用空気量、原料注入量、原料噴霧用ノズル、及
び二流体噴霧ノズルの場合は噴霧用空気の流量をそれぞ
れ表2に示した条件とし、それぞれ表2に示した様な原
料噴霧液滴最大粒径で表2に示した様な捕集量、金属捕
集率で含炭素組成物を得た。
【0056】得られた含炭素組成物の原料注入開始より
400、700、1000時間後の比表面積及び金属に
対する炭素の式量比C/Me(g−アトムC/g−アト
ムMetal)の値は、各々表2に示した通りであっ
た。
【0057】これら含炭素組成物の製造は、いずれも原
料注入開始より1200時間連続して行ったが、実施例
1と同様いずれもさらに連続運転を継続するに障害とな
るような格別の問題は全く観察されなかった。
【0058】
【表2】
【0059】比較例1 実施例1と同様の製造装置(燃焼室内径600mm、反
応ゾーン内径400mm)を用いてダクト1より空気を
160Nm3 /h連続的に送入し、燃焼バーナー2より
水素を14Nm3 /h供給燃焼させた。
【0060】原料として、分解性金属化合物はHSiC
3 を、分解性炭素化合物はトルエンを用い、この両者
を重量比で1:1の割合に混合したものを、実施例1と
同様43kg/hの流量で、圧力噴霧式の充円錐ノズル
を用いた水冷ノズル3より製造装置内に注入噴霧した。
得られた混合エーロゾルはダクト5より系外に導かれ、
混合エーロゾル中の分散質をバッグフィルターで捕集し
て含炭素組成物を21.5kg/hの生成量で得た。
【0061】運転開始後800時間までは何の変化もな
かったが、その後燃焼用空気量は一定に保たれたものの
炉圧が徐々に上昇を始め、900時間経過した頃より燃
焼用空気を一定に保つことが困難となり、950時間後
に運転を停止せざるをえなくなった。
【0062】運転停止後製造装置内を観察したところ、
図3の様に粉溜室の含炭素組成物中から塊状のスケ−ル
が成長し、ダクト5の入口をほとんど塞いでいた。
【0063】表3に得られた含炭素組成物の式量比(C
/Si)及び比表面積の原料送入開始より950時間ま
での経時変化を示した。含炭素組成物の式量比(C/S
i)は安定していたが、比表面積は600時間までは安
定していたものの、その後、運転時間の経過と共に変動
しており、これを焼成してファインセラミックスとした
場合に安定した特性を得ることは不可能である。なお、
実施例1と同様な方法で測定した噴霧原料の最大液滴径
は240μmで、金属捕集率は95.1%であった。
【0064】
【表3】
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、原料である分解性金属
化合物と分解性炭素化合物の混合物を、ノズルを用いて
炉内に微噴霧することにより、比表面積等物性が安定し
た含炭素組成物を、従来技術では達成されなかった10
00時間以上というきわめて長時間安定して得ることが
可能となった。
【0066】本発明の含炭素組成物は、上記の如く極め
て均一かつ微細な混合エ−ロゾル分散質からなるもので
あり、しかも本発明のようにノズルにより原料を微噴霧
することにより、長時間にわたって比表面積等物性の安
定した含炭素組成物を得ることができる。従って、この
含炭素組成物を加熱焼成して得られる炭化物は比表面積
が極めて広く、かつその値が安定しており、しかも粒子
が極めて微細な粉末となる。
【0067】以上の如く実施例、比較例より本発明のよ
うに分解性金属化合物と分解性炭素化合物の混合物を微
噴霧すれば、目的の特性を有する含炭素組成物を長時間
にわたって連続的に安定して得られることが明かであ
り、含炭素組成物を工業的に製造するための方法として
本発明がいかに優れているかが判る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施に用いる、水冷ノズルを具備し
た竪型炉の断面図
【図2】 水冷ノズルの一例を示す断面図
【図3】 二流体噴霧ノズルの一例を示す断面図
【図4】 比較例1の運転後の竪型炉の断面図
【符号の説明】
A 燃焼室 B 反応領域 C 粉溜室 1 ダクト 2 燃焼バーナー 3 水冷ノズルを用いた原料注入管 4 炉材 5 ダクト 6 塊状のスケール 7 含炭素組成物 8 原料注入管 9 ノズル 10 冷却水入口 11 冷却水出口 12 水冷ジャケット 13 原料送入部 14 噴霧用空気送入部 15 混合室 16 噴霧口

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水蒸気を含む熱ガス中に、分解性金属
    化合物及び分解性炭素化合物を導入、分解して、金属酸
    化物と単体炭素を含む混合エーロゾル分散質を製造する
    にあたり、該熱ガス中へ噴霧導入する分解性金属化合物
    及び分解性炭素化合物の混合物の噴霧液滴の最大粒径が
    200μm以下であることを特徴とする含炭素組成物の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 水蒸気を含む熱ガス中への分解性金属
    化合物及び分解性炭素化合物の噴霧導入に、二流体噴霧
    ノズルを使用することを特徴とする請求項1記載の含炭
    素組成物の製造方法。
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