JPH0628181B2 - 多接触子電気コネクタ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、端子をハウジングキャビティ内に保持する
ための可動部品を有するハウジングを持つ型の、多接触
子電気コネクタに関する。本発明は特に、プラスチック
の成型部品から成り、可動部品が相対的に非可動の部品
に収容されている、低コストのコネクタの実現を目指し
たものである。

従来の技術と問題点 米国特許第3,404,364号はハウジングの軸線に直角な方
向に可動な一部品を有する絶縁ハウジングを持つ多接触
子電気コネクタを開示している。その端子受入キャビテ
ィは可動部品を貫通しており、可動部品が一方の位置に
在るとき端子をキャビティに挿入することができる。挿
入後、可動部品は第二の位置に移されて各キャビティ内
に段部を生じ端子の取出しが不可能となる。

電気コネクタにおいて端子をキャビティ内に保持するた
めのこの型の保持方式は、端子のキャビティへの挿入前
に損傷しがちな、端子上の保持ランス等に頼っていない
ので信頼性が極めて高い。また、この型の保持方式で
は、可動部品がその正しい端子挿入位置にないかぎり端
子のキャビティへの挿入が可能でなく、またすべての端
子がキャビティに全挿入されないかぎり可動部品をそれ
が端子をキャビティ内に保持する位置に移すことは不可
能である。このようにして可動部品は端子が適正に組込
まれたこと、並びに実際に使用に供されるときコネクタ
に半挿入状態の端子がないことを保証する。

米国特許第3,404,364号に示されるコネクタアランブリ
は金属の外シェル、可動のインサート部品に加えて外シ
ェル内に収容されるいくつかのインサート、並びに可動
部品を動かして端子を保持させるコネクタシェル上の別
のリングから成る。このコネクタアセンブリは型の構成
が複雑であり、組立作業が複雑である。

問題点を解決するための手段 本発明は、接触子保持用の可動部品を有しこの部品がプ
ラスチック成型法で製作でき又簡単な組立作業で組立て
られる、比較的簡単なコネクタの実現を目指したもので
ある。

本発明の多接触子電気コネクタは、相手方の端子と接触
する前接触部分とワイヤに接続される接続部分との間に
外周に沿って半径方向に拡大するカラーを有する端子
と、 後部に凹所を有し、該凹所の底面から接合面にかけて前
記端子を挿通する第一キャビティ部分が形成されると供
に、前記凹所の前記底面における前記第一キャビティ部
分の端部周縁には前記カラーを受容保持する段部付きの
円筒面が形成された第一ハウジング区分と、 前記凹所内に前記第一キャビティ部分の軸線に対して直
角方向に摺動可能に保持されると供に、前記第一キャビ
ティ部分と整列する第二キャビティ部分を有し、該第二
キャビティ部分には、前記第一キャビティ部分に隣接す
る位置に、前記カラーを挿通し得る曲率半径の第一内面
及び該第一内面に連続するが前記第一内面の曲率半径よ
り小さい曲率半径の第二内面を形成した、第二ハウジン
グ区分とから成り、 第二ハウジング区分の前記摺動後、前記端子の前記カラ
ーを、前記段部と前記第二内面の縁との間に保持し前記
カラーの抜けを防止することを特徴とする。

実施例 まず、両ハウジング区分が円筒形であり、端子受入位置
と端子保持位置の間を互いに相対的に回転する実施例を
説明する。

第２図は各一が本発明によって構成された二つの個別の
コネクタ(4),(4′)からなるコネクタアセンブリ(2)を示
す。この説明で用語「コネクタ」は、端子（複数）を収
容し同じく端子（複数）を収容する相補部品に接合され
る、個別部品を指すに用いられる。両部品が互いに接合
するときコネクタアセンブリが出来る。以下の説明で
は、コネクタ(4)だけを詳細に記述し、同じ参照数字を
プライム号(′)で区分して両コネクタ(4),(4′)の対応
する構造的特徴を指すことにする。

コネクタ(4)はワイヤ(8)に圧着固定された複数の端子ピ
ン（端子）(6)を収容する。各端子ピンは円筒形の前接
触部分(10)、後方に延出する保持ランス(14)を有する若
干拡大された隣接円筒部分(12)、中間の拡大円筒カラー
（カラー）(16)および圧着部分（接続部分）(18),(20)
を有し、圧着部分(18),(20)によってこの端子はワイヤ
(8)の撚線と絶縁体に圧着される。

コネクタ(4′)にはそれぞれ(12′),(16′)に示すように
やはり円筒部分とカラーとを持つソケット端子（端子）
(6′)が収容される。

コネクタ(4)は絶縁性のハウジングアセンブリ(22)を包
含し、これが接合面(24)、ワイヤ取入面(26)およびハウ
ジングをその軸線と平行に貫通するキャビティ（複数）
(28)を有する。ハウジングアセンブリ(22)は接合面(24)
を設けられる第一ハウジング区分(30)およびワイヤ取入
面(26)を設けられる第二ハウジング区分(32)から成る。
両ハウジング区分は第４図(76),(78)に示すように互い
に対向する内部面を有し、両内部面は実質的に互いに当
接している。

ハウジング区分(30)は外円筒面(34)と、接合面(24)を取
巻いてその先方に延出する前フード(36)とを有する。ロ
ックナットもしくはロックリング(38)はコネクタ部品
(4)上に回転可能に拘止され、内ねじを有してコネクタ
部品(4′)の外面のねじ(38′)と協力することにより、
両部品を互いに引寄せて係合させそれぞれの接合位置に
ロックすることができる。

第一ハウジング区分(30)は第一内部面(78)（底面）を取
巻いてその先きに延出する後方延出フード(40)により凹
所(51)を形成し、この凹所(51)内に第二ハウジング区分
(32)を受入れる。第二ハウジング区分は円筒面(42)を有
しこれでフード(40)の内円筒面(44)に実質的に支承され
る。これらの部品は後述のようにわずかな角度の相対回
転ができるような寸法を与えられる。

フード(40)には拡大リム(46)があってその内周をめぐり
後向きの段部(48)が設けられている。このリムの内側に
は四つの相隔たるフランジ(50)が設けられて半径方向内
向きに延び、相隣る各一対のフランジの間が離れてい
る。これらのフランジと段面(48)とは第二ハウジング区
分(32)の面(42)上の案内突耳（複数）(52)を受入れるに
足る間隔に離れている。これらの突耳(52)はその一端が
尖り、突耳(52)およびフランジ(50)の寸法は、適当な突
耳(52)をフランジ(50)間の間隙もしくは間隔と整合させ
次いで第二ハウジング区分をフード(40)の囲い内に進入
させることによって第二ハウジング区分(32)を第一ハウ
ジング区分(30)に組付けることができるように定められ
る。突耳(52)が段面(48)に当接したところで第二ハウジ
ング区分をわずかに回転させて、第３図によく示すよう
に、突耳の尖端(54)をフランジ(50)の背後に移す。第二
ハウジング区分は第３図に示す位置からさらに或る程度
回転できること下記の通りである。

第二ハウジング区分(32)の第一ハウジング区分(30)に対
する回転の限度は面(42)から突出する当たり(56)によっ
て決まり、この当たりは第３図に示すようにフランジ(5
0)の側面(57)に当って停止する。また、両ハウジング区
分間にロック装置もしくは拘止装置を設けて第一区分に
対する第二区分の相対回転を制御することも望ましい。
図示の実施例では、面(42)の反対両側に歯(58)を設けこ
れに対して第一ハウジング部品の相隣るフランジ(50)の
間の対向面(62)に各一対の歯(60)を設けて拘止装置とし
ている。第二ハウジング部品は第一ハウジング部品に組
付けられるとき、第３図に示す位置まで時計方向に回転
される。第二ハウジング区分が図示の位置に回されると
き、歯(58)は二つの歯(60)の間に入り突耳はフランジ(5
0)の背後に移動することになる。その後、第二ハウジン
グ部品は歯(58)が歯(60)を越えるまで回転させることが
できる。

歯(58),(60)は第二ハウジング部品の第３図で見て反時
計周り方向の動きを普通は阻止する。しかし、事情によ
っては後述のように端子取出しのために反時計方向にも
動けることが望ましい。この反時計周り運動は、ワイヤ
取入面(26)が区分(32)の後端から凹んで円形のフランジ
に取巻かれていることで可能である。このフランジに
は、歯(58)の載っている部分(61)の両側に離れてスロッ
ト(66)が設けられこのフランジ部分(61)を可撓性の片持
梁にしている。従ってこれらの梁区分は内側に撓んで歯
(58)を歯(60)から離脱させることができ、これにより第
二ハウジング区分の反時計方向回転を可能ならしめる。
円形フランジには把手もしくは指掛け(64)が設けられて
技工による第二ハウジング区分の回転を容易ならしめ
る。

端子(6)を受入れる各キャビティ(28)は二つのキャビテ
ィ部分即ちハウジング区分(30)内の第一キャビティ部分
(68)とハウジング区分(32)内の第二キャビティ部分(70)
とから成る。第４図に示すように、各キャビティ部分(6
8)には前向き即ち接合面の方に向いた段部(72)が有って
端子が完全に挿入されるとランス(14)がこの段部(72)に
支承される。段部(72)は後向きの段部(74)から離れてお
り、両段部をキャビティのやや縮小径の部分が隔離して
いる。後向き段部(74)には円筒面(75)が隣接しており、
端子挿入時にカラー(16)の面を支承する。即ち段部(74)
は端子の第５図に示す位置から右へ動きを阻止する前当
りの働きをする。第二ハウジング区分(32)内の第二キャ
ビティ部分(70)はワイヤ取入面(26)寄りがやや拡大さ
れ、第一キャビティ部分の面(75)と同面またはほとんど
同面の面(80)（第一内面）を有する。面(80)に交る隣接
の面(81)（第二内面）は第４図に明示するようにその曲
率半径が比較的小さい。

両ハウジング区分が第４図および第７図の位置に在ると
きは、端子をワイヤ取入面(26)からキャビティに挿入し
てカラー(16)を段部(74)に当接させることができる。挿
入後のカラー(16)は第５図に示すように全体として第一
キャビティ部分(68)に収容されており、カラー(16)の後
縁は第一ハウジング区分の内部面(78)と実質的に同面ま
たはそれよりも凹入している。これに隣る端子部分は曲
率半径が減じており、それ故に第二ハウジング区分は、
第６図および第８図に示すように、面(80)の縁(83)がカ
ラー(16)の縁よりも先方に移動して段部を作るに至るま
でわずかな角度だけ回転することができる。従って、両
部品が第６図および第８図に示す位置に在るときは、端
子をキャビティからワイヤ取入面の方へ動かすことはで
きない。同時に上述のように、端子がキャビティに全挿
入されないかぎり第二ハウジング区分は第５図の位置か
ら第６図の位置に動かすことは不可能である。端子が一
つでも全挿入されていないと、その端子のカラーが第二
ハウジング区分の第６図および第８図は位置への移動を
阻止する。

本発明によるコネクタ用の、キャビティの正確な形状構
成は、コネクタに用いる端子の形状構成に左右される。
しかし、端子およびキャビティの設計は第二ハウジング
区分がその端子保持位置に移ってからは第二ハウジング
区分の一部分が端子のキャビティから引抜きを阻むよう
な設計とすることが必要である。

第３図に示すように、図示のコネクタの端子はコネクタ
軸線を取巻く二つの円形に配列される。もちろん、内列
のキャビティは外列即ち外輪のキャビティと同じだけは
動かないから、それらのキャビティは移動量の差を補償
するためにその形を少し異にしなければならない。円筒
形コネクタの図示実施例においては、ハウジングの軸線
に直角な方向の相対移動即ち相対変位が有り得ないか
ら、軸線上にはキャビティを設けることができない。

もう一つの実施例においては、両ハウジング区分が長方
形断面を有し、受入と保持の両位置間を有線運動する。
第９図は、第一ハウジング区分(82)および第二のハウジ
ング区分(84)、端子用のキャビティ(86)、および二のハ
ウジング区分(84)から延出する突耳(88)を有する、長方
形コネクタの一部分のワイヤ取入面を示す。フランジ
(9)は第一ハウジング区分に設けられ、又上述のように
ロック用に歯(92),(94)が設けられる。この実施例では
両ハウジング区分が円弧上でなく直線上を直線状に相対
移動する。

発明の効果 本発明の多接触子電気コネクタは、端子に、その外周に
沿って半径方向に拡大するカラーを設け、第一ハウジン
グ区分には、その第一キャビティ部分の側端部周縁に段
部付きの円筒面を設け、第二ハウジング区分の、第一キ
ャビティ部分と整列する第二キャビティ部分にはカラー
を挿通し得る第一内面と第一内面より曲率半径が小さい
第二内面を設け、端子のカラーを第一ハウジングの段部
と第二ハウジングの第二内面の縁との間で保持し、もっ
てカラーの抜けを防止する構成であるので、次の効果を
奏する。

即ち、端子自体が第一ハウジングと第二ハウジングとの
間に確実に位置決めされ且つ保持されるので端子同士の
電気的接触の信頼性が高い。ワイヤと端子の接触部分に
は端子保持の為の力が加わらないので接触部分の信頼性
が損なわれることがない。

更に第二ハウジング区分は第一ハウジング区分の凹所内
で摺動するように構成される。即ち第一ハウジング区分
で保護されているので外力により第二ハウジング区分が
移動して端子のロックが外れるようなことがない。第二
ハウジング区分の装着、取外しが容易に行える。

端子が完全に挿入されていない場合は、第二ハウジング
区分はその端子によって摺動を阻止される為、極めて明
確に端子の不完全挿入を検知できる。

なお本願実施例ではプラスチック成型部品だけで構成し
たので、極めて低いコストで生産することができる。両
ハウジング部品は比較的簡単な組立操作で互いに組付け
られ、またその端子をコネクタハウジングから引抜くこ
とが必要な場合はいつでも引抜くことができるのでコネ
クタとして実用性が高い。

図面の簡単な説明 第１図は第二ハウジング区分を第一ハウジング区分から
分解して整合位置に示す、本発明によるコネクタの斜視
図である。

第２図は互いに接合ないし結合してコネクタアセンブリ
を作るべき、本発明による二コネクタを示す、一部断面
の側面図である。

第３図は第２図の矢線３−３の方向に見た図である。

第４図は両ハウジング区分の一部分を示し並列するキャ
ビティをその一つと整合する一端子と共に示す断片斜視
図である。

第５図および第６図は第４図同様の図であって、第５図
は両ハウジング区分が端子受入位置に在って一キャビテ
ィに挿置されている端子を示し、第６図は両ハウジング
区分が端子保持位置に在るときの各部品位置を示す。

第７図および第８図はコネクタハウジングの切断平面図
であって、両ハウジング区分が端子受入位置に在るとき
に端子がキャビティに挿入される状況（第７図）と、両
ハウジング区分が端子保持位置に在って端子が保持され
る状況（第８図）とを示す。

第９図は長方形断面を有する本発明によるコネクタのワ
イヤ取入面を示す断片図である。

6,6′……端子 ８……ワイヤ 10……前接触部分 16,16′……カラー 18,20……接続部分 24……接合面 30……第一ハウジング区分 51……凹所 68……第一キャビティ部分 70……第二キャビティ部分 74……段部 75……円筒面 80……第一内面 81……第二内面 83……縁

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】相手方の端子と接触する前接触部分とワイ
   ヤに接続される接続部分との間に外周に沿って半径方向
   に拡大するカラーを有する端子と、 後部に凹所を有し、該凹所の底面から接合面にかけて前
   記端子を挿通する第一キャビティ部分が形成されると共
   に、前記凹所の前記底面における前記第一キャビティ部
   分の端部周縁には前記カラーを受容保持する段部付きの
   円筒面が形成された第一ハウジング区分と、 前記凹所内に前記第一キャビティ部分の軸線に対して直
   角方向に摺動可能に保持されると共に、前記第一キャビ
   ティ部分と整列する第二キャビティ部分を有し、該第二
   キャビティ部分には、前記第一キャビティ部分に隣接す
   る位置に、前記カラーを挿通し得る曲率半径の第一内面
   及び該第一内面に連続するが前記第一内面の曲率半径よ
   り小さい曲率半径の第二内面を形成した、第二ハウジン
   グ区分とから成り、 第二ハウジング区分の前記摺動後、前記端子の前記カラ
   ーを、前記段部と前記第二内面の縁との間に保持し前記
   カラーの抜けを防止することを特徴とする多接触子電気
   コネクタ。