JPH0626695Y2 - 家具における錠前の取付け装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、家具本体に前後移動自在に収納した抽斗、又
は家具本体に対して開閉する扉における錠前の取付け装
置の構造に関するものである。

〔従来の技術〕

抽斗を家具本体にロックするための錠前を、当該抽斗の
前板の表面側から取付けする手段としては、実公昭５１
−５２５０３号公報や実公昭５６−１５９６５号公報で
は、錠前の前縁の直径を後部本体の直径より大径に形成
し、抽斗の前板に穿設した穴に錠前の本体側を前板の前
方から挿入した後、前板の裏面側にてＵ字状の係止片を
前記錠前本体の側面に左右一対形成した係止溝に挿入係
止し、これにより錠前を前方及び後方のいずれにも抜け
不能とするようにしていた。

しかしながら、この構成では、前板に錠前を取付けた後
に、当該錠前の本体部にロック杆（閂杆）を取付けしな
ければならず、工数の増大を招き、また、前板裏面の狭
い箇所で前記ロック杆を取付けするので、やりづらく、
且つその手間も多大になるという問題があった。

この問題を解決する取付け手段として、実開平１−１５
２５４２号公報では、合成樹脂製の前板に、ロック杆を
予め取付けてなる錠前の小径前部が前方に突出する取付
け穴を穿設し、前板の裏面側には前記取付け穴を挟んで
錠前の本体部を支持する一対の支持板を後向きに突設
し、該一対の支持板間に錠前の本体部が嵌まり、且つ錠
前の小径前部が取付け穴に嵌合するように前板の裏面側
から挿入し、然る後に前板の裏面側を覆うように取付け
固定する後カバー体の前面で前記錠前本体後端面を後向
き抜け不能に支持する構成を提案した。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、この構成では、前記一対の支持板間に挿入した
錠前はそのままでは脱落し易いし、又取付け位置も狂い
易いので、従来の技術では、一対の支持板と錠前の本体
部とを接着テープで仮止めしていたから、その手間も掛
かるし、取付け強度も弱いという問題があった。

本考案は、前述したこれらの技術的課題を一挙に解決す
ることを目的としたものである。

〔課題を解決するための手段〕

この目的を達成するため本考案は、家具本体に前後移動
自在に収納した抽斗における前板または家具本体に対し
て開閉する扉の前板の裏面側に、家具本体に対してロッ
クするロック杆付きの錠前を取付ける装置において、前
記前板に、その裏面側から挿入する錠前の前端小径部が
前面側に突出しうる支持穴を穿設し、前板の裏面には、
前記支持穴の周囲にて錠前における本体の少なくとも相
対向する一対の側面を支持する支持枠体を後向きに突出
させて設ける一方、該支持枠体内に嵌挿した錠前を後向
き離脱不能に支持する係合体を、側断面コ字型に形成
し、該係合体を前記支持枠体の外面側に被嵌係合するよ
うに構成したものである。

〔考案の作用・効果〕

この構成により、支持枠体の空所内に錠前を後側から嵌
挿し、錠前における小径前端部を抽斗の前板における支
持穴に嵌合させ、さらにこの支持枠体の一対の外側面に
断面コ字型の係合体を被嵌して係止する。

これにより、係合体は支持枠体に対して抜け不能とな
り、錠前は支持枠体と係合体とで外周をほぼ囲われた状
態で脱落不能、位置ずれ不能となる。しかも、この錠前
におけるロック杆を当該錠前本体に予め装着した状態
で、支持枠体にひいては抽斗の前板に装着できるから、
錠前の装着作業が至極簡単となる。

このようにして錠前の取付け作業が至極簡単に実行でき
ると共に、錠前を嵌挿した支持枠体をさらに係合体にて
裏側から囲むようにして係合させるので、錠前の取付け
強度も強固になり、且つ位置ずれも脱落も生じないので
ある。

〔実施例〕

次に、本考案を抽斗に適用した実施例について説明する
と、符号１は図示しない机やキヤビネットの家具本体２
９等に前後移動自在に設けた抽斗の上面開放した箱状本
体、符号２は抽斗の薄金属板製の前板、符号３は前板２
に穿設した引手孔４に前板２裏面側から嵌挿する引手
枠、符号５はロック機構が内蔵された本体部５ａとロッ
ク杆５ｂとから成る錠前を各々示す。

引手枠３は、合成樹脂製で、前記引手孔４から前板２の
前方に突出する正面視矩形状の縁枠部６と、該縁枠部６
の下端縁から後向きに突出する下板７と、該下板７の左
右両側及び前記縁枠部６の裏面に跨がって上向きに立設
する左右一対の支持ブラケット８，８と、下板７から下
向きに突設した固定片９と、前記一方の支持ブラケット
８の側方に横方向に延びて設けた支持枠体１０と、該支
持枠体１０の端部から前記支持ブラケット８と同方向に
延びる規制片１１とからなり、これらは射出成形にて一
体的に形成されているものである。

符号１２は、前記引手枠３に設ける引手レバーで、該引
手レバー１２が取付く回動横長軸１３は、前記一対の支
持ブラケット８，８裏面側に切欠き形成した軸受け溝２
８，２８に回動自在に支持され、図示しないが、前板２
の裏面一側方（後述する錠前５の取付け箇所と反対側方
に設けたラッチ機構に回動横長軸１３を関連させ、前記
一対の支持ブラケット８，８間から下板７方向に延びる
ように臨ませた引手レバー１２を前板２前方向に回動さ
せるとき、前記ラッチ機構が家具本体の係止部から外れ
て抽斗を前移動可能とするものである。

前述のように引手枠３と一体的に設けた支持枠体１０
は、前面板１４と上下側板１５，１５と左右側板１６，
１６とからなり、これら５枚の板にて囲まれた後面開放
状の空所には、前記錠前５の立方体状の本体部５ａを嵌
挿するのであり、前面板１４には錠前５の本体部５ａ前
面から前向きに突出する鍵孔付の小径前端部５ｃが嵌ま
る取付け孔１７が穿設され、また前板２にも前記取付け
孔１７と同径の支持穴１８を穿設して、前記小径前端部
５ｃが嵌まるようになっている。

符号１９は側断面コ字型の係合体で、該係合体１９は、
前記空所に嵌挿した錠前５の本体５ａの後端に接当する
縦板１９ａと、該縦板１９ａの上下端から前向きに突出
する挟持板１９ｂ，１９ｂとからなるように、合成樹脂
等にて一体成形して成り、該上下一対の挟持板１９ｂ，
１９ｂが、前記上下側板１５，１５の外面に接当するよ
うに支持枠体１０に着脱自在に被嵌するのである。

そして、上下一対の挟持板１９ｂ，１９ｂには、前記支
持枠体１０における上下側板１５，１５の外面に前向き
に突出した係合爪２０，２０に係止する矩形孔状の係止
部２１を設けてあり、これにより、支持枠体１０内の錠
前５を後向き抜け不能とする。

さらに、上下一対の挟持板１９ｂ，１９ｂの前端部の断
面形状に丸みを付けて、前記上下側板１５，１５に対す
る被嵌挿入を容易にできるようにし、また、上下側板１
５，１５の後端縁には、巾寸法（Ｈ１）の上下一対の挟
持板１９ｂ，１９ｂが横位置ずれなく挿入できるように
傾斜切欠き案内部２２を設けてある。

前記錠前５のロック杆５ｂが左右移動するとき、支持枠
体１０における左右側板１６の後縁に干渉しないよう
に、当該左右側板１６の奥行き寸法を設定する。

なお、抽斗における前板２の上部縁板２ａは、第１図及
び第５図に示すように、引手枠３における支持ブラケッ
ト８，８や規制片１１の上端が内部に係合できるように
後向き及び下向き屈曲形成する。他方、裏カバー体２３
の縦板部にて、前記前板２の裏面及び引手枠３の裏面を
覆い、且つ支持枠体１０に内装した錠前５を裏側から支
持する係合体１９の裏面に接当するように構成するにあ
たり、該裏カバー体２３の上端縁板２３ａは、引手枠３
における支持ブラケット８，８及び規制片１１箇所と干
渉しないように切欠き部を形成する一方、上縁板部２３
ａの上面が前板２の上部縁板２ａの下面に接当嵌合する
ように形成する。

さらに、抽斗の前板２と前端開放状の箱状本体１とはス
ポット溶接等にて固着してあり、箱状本体１の底板１ａ
前端部寄り部位に上向き突出させた複数の係止ダボ２４
にそれぞれ嵌合係止するように裏カバー体２３の下端縁
板２３ｂには複数の係止孔２５を穿設する。

なお、前記前板２の裏面に突設または切り起こした側面
視下向きＬ字状の支持片２６に前記引手枠３の固定片を
ビス２７止めするものである。

この構成において、引手枠３を前板２に装着する前に、
予め引手枠３における左右一対支持ブラケット８，８裏
面側に切欠き形成した軸受け溝２８，２８に、引手レバ
ー１２が取付く回動横長軸１３を挿入して回動自在に支
持させる。次いで、引手枠３の一側に設けた支持枠体１
０内に錠前５を後側から嵌挿し、錠前５における小径前
端部５ｃを前面板１４における取付け孔１７に嵌合さ
せ、さらにこの支持枠体１０の上下側板１５，１５の外
面に断面コ字型の係合体１９を被嵌する（第４図及び第
５図の矢印参照）。

これにより、係合体１９における上下挟持板１９ｂ，１
９ｂにおける矩形孔状の係止部２１が係止爪２０に係止
するので、当該係合体１９は抜け不能となり、錠前５は
支持枠体１０と係合体１９とで外周をほぼ囲われた状態
で脱落不能、位置ずれ不能となる。しかも、この錠前５
におけるロック杆５ｂを本体５ａに予め装着した状態
で、支持枠体１０に嵌挿できる。

このように各部品を取付けた引手枠３における縁枠部６
を前板２の裏面側から引手孔４を介して前方向に突出さ
せると共に、支持枠体１０前面板１４から前向き突出す
る小径前端部５ｃを前板２における支持穴１８に嵌合
し、引手枠３における固形片９と支持片２６とをビス２
７止めすると、引手枠３及び錠前５の前板２に対する組
み込み作業が完了できる。

このようにして錠前５の取付け作業が至極簡単に実行で
きると共に、錠前５を嵌挿した支持枠体１０をさらに係
合体１９にて裏側から囲むよにうして係合させるので、
錠前の取付け強度も強固になり、且つ位置ずれも脱落も
生じないのである。

なお、前述のように、前板２裏面側を覆う裏カバー体２
３にて係合体１９の裏面を支持接当させ、この裏カバー
体２３を強固に抜け不能にすると、さらに錠前５の取付
け強度が向上する。

前記実施例では、引手枠３と錠前５の支持枠体１０とを
一体的に形成したが、引手枠３と支持枠体１０とを別体
に構成し、支持枠体１０のみを予め前板２裏面に固着し
ておくか、前板２と一体的に造形しても良いのである。

家具本体２９に押し込んだ抽斗の前板２の前面側に露出
する錠前５の小径前端部５ｃに鍵を差し込み、ロック方
向に回動すると、ロック杆５ｂが家具本体２９の内側面
係止部３０に突出して、抽斗を引き出し不能にロックす
ることができる。

本考案は、回動する扉の前板に錠前５を取付ける場合に
も適用できることは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は抽斗の前板箇所
の要部の側断面図、第２図は第１図のII−II視平面図、
第３図は引手枠及び支持枠体の後面図、第４図は引手枠
及び支持枠体の一部切欠き平面図、第５図は支持枠体に
錠前を取付ける順序を示す側面図である。 １……箱状本体、２……前板、２ａ……上部縁板、３…
…引手枠、５……錠前、５ａ……本体、５ｂ……ロック
杆、５ｃ……小径前端部、６……縁枠部、７……下板、
８，８……支持ブラケット、９……固定片、１０……支
持枠体、１２……引手レバー、１３……回動横長軸、１
４……前面板、１５，１５……上下側板、１６，１６…
…左右側板、１７……取付け孔、１８……支持穴、１９
……係合体、１９ａ……縦板、１９ｂ，１９ｂ……挟持
板、２０……係合爪、２１……係止部、２３……裏カバ
ー体、２４……係止ダボ、２５……係止孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】家具本体に前後移動自在に収納した抽斗に
   おける前板または家具本体に対して開閉する扉の前板の
   裏面側に、家具本体に対してロックするロック杆付きの
   錠前を取付ける装置において、前記前板に、その裏面側
   から挿入する錠前の前端小径部が前面側に突出しうる支
   持穴を穿設し、前板の裏面には、前記支持穴の周囲にて
   錠前における本体の少なくとも相対向する一対の側面を
   支持する支持枠体を後向きに突出させて設ける一方、該
   支持枠体内に嵌挿した錠前を後向き離脱不能に支持する
   係合体を、側断面コ字型に形成し、該係合体を前記支持
   枠体の外面側に被嵌係合するように構成したことを特徴
   とする家具における錠前の取付け装置。