JPH0626607A - 脱気器フラッディング防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は急激な負荷遮断時、タービン停止
時、タービン低負荷時およびプラント事故停止後の再起
動時においても脱気器内におけるフラッディング現象の
発生を防止する脱気器フラッディング防止装置を提供す
ることを目的とする。 【構成】 本発明の脱気器フラッディング防止装置は、
汽力発電所の復水系統に設けられタービン抽気によって
復水を加熱し脱気する脱気器と、この脱気器の貯水槽内
の保有水を給水としてボイラ等へ供給する給水ポンプ
と、上記脱気器の脱気室内への復水の流入量を調節する
脱気器水位制御弁と、この水位制御弁の弁開度を制御す
る脱気器水位制御装置とを有する脱気器水位制御システ
ムにおいて、脱気器のフラッディング現象を検出する検
出回路、この検出回路がフラッディング現象を検出した
とき駆動される脱気器循環ポンプとを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、火力または原子力発電
所等の汽力発電所の復水系統に設置された脱気器のフラ
ッディングを防止することができる脱気器フラッディン
グ防止装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図３は、従来の脱気器循環ポンプシステ
ムを示す系統図である。蒸気タービン１から排出された
蒸気は、復水器２にて凝縮されて復水となり、復水ポン
プ３により昇圧ポンプ３により昇圧されて脱気器水位制
御弁４を経由して低圧給水加熱器５へ導かれる。復水
は、この低圧給水加熱器５で加熱されて脱気器６の脱気
室７へ送水される。この復水は、脱気室７内で蒸気ター
ビン１からの中気蒸気によって加熱され、高温水となっ
て貯水槽８に流入し貯溜される。上記脱気室７にて加熱
され脱気された復水を一般に給水と称する。給水は、脱
気器６の貯水槽８からボイラ給水ポンプ９を経て高圧給
水加熱器10へ導かれ、この高圧給水加熱器10によってさ
らに加熱されてボイラ11や原子炉等へ送られる。ところ
で、脱気器６内の復水は、通常運転時に、蒸気タービン
１からの抽気蒸気によって加熱され、脱気器６の器内圧
力の飽和蒸気となるので、フラッシュすることがない。

【０００３】一方、脱気器６の貯水槽８から給水ポンプ
９の間と脱気器６の脱気室７の入口へ循環する脱気器循
環ポンプ12が設置されている。当該脱気器循環ポンプ12
は図４に示す様に低負荷時において運転され脱気器６の
脱気性能を向上させる機能がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】通常運転中に負荷を遮
断したときの様に急激な負荷降下が生じたときには、蒸
気タービン１から脱気器６の脱気室７へ抽気蒸気が供給
されなくなるので、脱気器６の器内圧力が低下し、脱気
室７内の圧力が貯水槽８内の圧力よりも低くなる。その
ため、脱気室７から貯水槽８へ復水が落下しないという
いわゆる脱気器フラッディング現象が発生し、貯水槽８
の水位レベルが低下する。

【０００５】同様に蒸気タービン１の停止過程や低負荷
運転時には、ボイラ11への給水流量が少ないので、蒸気
タービン１から脱気器６への抽気蒸気が減少するので、
前述と同様に脱気器６内でフラッディング現象が発生す
る。

【０００６】また、事故等によるプラントの停止後再起
動したときには、貯水槽８内の復水温度が残圧により高
いので、タービン再起動時にこの高温の復水に冷たい復
水が多量に流入すると、この場合にも貯水槽８内の圧力
が脱気室７内の圧力より高くなってフラッディング現象
が発生する。

【０００７】この発明は、上記事実を考慮してなされた
ものであり、急激な負荷遮断時、タービン停止時、ター
ビン低負荷時およびプラント事故停止後の再起動時にお
いても脱気器内におけるフラッディング現象の発生を防
止する脱気器フラッディング防止装置を提供することを
目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明の脱気器フラッ
ディング防止装置は、汽力発電所の復水系統に設けられ
たタービン抽気によって復水を加熱し脱気する脱気器
と、この脱気器の貯水槽内の保有水を給水としてボイラ
等へ供給する給水ポンプと、上記脱気器の脱気室内への
復水の流入量を調節する脱気器水位制御弁と、この水位
制御弁の弁開度を制御する脱気器水位制御装置とを有す
る脱気器水位制御システムにおいて、脱気器のフラッデ
ィング現象を検出する検出回路と、この検出回路がフラ
ッディング現象を検出したとき駆動される脱気器循環ポ
ンプとを備えている。

【０００９】

【作用】従って、この発明に係る脱気器循環ポンプを設
置すれば、脱気室の圧力が貯水槽内の圧力より低くても
脱気器循環ポンプを回すことにより貯水槽内の温水が脱
気室入口の復水へ循環され、上記の様な圧力の逆転によ
り生じるフラッディング現象を防止でき、脱気器の貯水
槽内の水位を安定に制御できる。

【００１０】

【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図１はこの発明に係る脱気器フラッディング防
止装置の一実施例を示す系統図であり、図２は上記実施
例の脱気器フラッディング防止装置の作用を示す回路図
である。

【００１１】この実施例においてタービン抽気によって
復水を加熱し脱気する脱気器６とこの脱気器６の貯水槽
８の保有水を給水としてボイラ等へ供給する給水ポンプ
９からなる脱気装置の貯水槽８からの給水を脱気器６の
脱気室７の入口へ循環する脱気器循環ポンプ12を設置す
る。

【００１２】また、図１の脱気器６の脱気室７の圧力を
圧力検出器13で検出し脱気室内圧力低下率がある値γよ
り小さくなった場合脱気器循環ポンプ12を運転する回路
が図２に示されている。尚、脱気器循環ポンプが運転さ
れた後、停止は時間差によりなされる。

【００１３】従って、この発明に係る脱気器循環ポンプ
を設置すれば脱気室の圧力が貯水槽内の圧力より低くて
も脱気器循環ポンプを回すことにより貯水槽内の温水が
脱気室入口の復水へ循環され脱気室入口の復水温度が上
がる。一方脱気室内圧力は上記温度が上がることによ
り、上がることになる。したがって、上記の様な圧力の
逆転により生じるフラッディング現象を防止でき、脱気
器の貯水槽内の水位を安定に制御できる。ここで、図２
における脱気循環ポンプの起動条件としては、 (1) 脱気器貯水槽の水位の低下がある値より大きい場
合。 (2) 脱気器脱気室の温度の低下がある値より大きい場
合。 (3) 脱気器脱気室及び貯水槽の温度を測定しその値の差
がある値より大きい場合。 (4) 上記(3) において温度の替わりに圧力を測定し、そ
の値が逆転した場合。 等が考えられる。

【００１４】

【発明の効果】以上のように、この発明に係る脱気器フ
ラッディング防止装置によれば、通常運転中に負荷を遮
断したとき、事故等によるプラントの停止後再起動した
とき、タービンの停止過程や低負荷運転時にも脱気器循
環ポンプを設備し、運転することにより脱気器内におけ
るフラッディングを防止でき脱気器の水位を安定的に制
御することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における系統図

【図２】本発明の一実施例における回路図

【図３】従来例における系統図

【図４】従来例における回路図

【符号の説明】

１ タービン ２ 復水器 ３ 復水ポンプ ４ 脱気器水位調節器 ５ 低圧給水加熱器 ６ 脱気器 ７ 脱気室 ８ 貯水槽 ９ 給水ポンプ 10 高圧給水加熱器 11 ボイラー 12 脱気器循環ポンプ 13 圧力検出器

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 汽力発電所の復水系統に設けられタービ
   ン抽気によって復水を加熱し脱気する脱気器と、この脱
   気器の貯水槽内の保有水を給水としてボイラ等へ供給す
   る給水ポンプと、上記脱気器の脱気室内への復水の流入
   量を調節する脱気器水位制御弁と、この水位制御弁の弁
   開度を制御する脱気器水位制御装置とを有する脱気器水
   位制御システムにおいて、脱気器のフラッディング現象
   を検出する検出回路と、この検出回路がフラッディング
   現象を検出したとき駆動される脱気器循環ポンプとを備
   えたことを特徴とする脱気器フラッディング防止装置。