JPH06260183A - 水溶媒系電気化学装置用隔膜およびそれを用いた水溶媒系電池 - Google Patents

水溶媒系電気化学装置用隔膜およびそれを用いた水溶媒系電池

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JPH06260183A
JPH06260183A JP5043469A JP4346993A JPH06260183A JP H06260183 A JPH06260183 A JP H06260183A JP 5043469 A JP5043469 A JP 5043469A JP 4346993 A JP4346993 A JP 4346993A JP H06260183 A JPH06260183 A JP H06260183A
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JP
Japan
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diaphragm
battery
negative electrode
positive electrode
pores
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JP5043469A
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Toshio Shigematsu
敏夫 重松
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Abstract

(57)【要約】 【目的】 内部抵抗が低く、かつ、電解液の分離能に優
れた水溶媒系電気化学装置用隔膜、および該隔膜を組込
んだレドックスフロー型電池などの水溶媒系電池を提供
する。 【構成】 正極、負極、隔膜を含む水溶媒系電池であっ
て、隔膜は、複数の孔部を有する多孔質膜と、多孔質膜
の複数の孔部の少なくとも一部の空隙部内全体にまたは
部分的に設けられた親水性樹脂とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水溶媒系電気化学装置
用隔膜およびそれを用いた水溶媒系電池に関し、特に十
分低い内部抵抗と電解液の分離能に優れた水溶媒系電気
化学装置用隔膜、および該隔膜を用いた高効率かつ高容
量の水溶媒系電池に関する。
【0002】
【従来の技術】揚水発電に代わる電力貯蔵用電池装置と
して、種々の新型電池が開発されている。
【0003】このような新型電池のうち、たとえば、レ
ドックスフロー型電池や、亜鉛臭素電池等の電解液流通
型電池は特に注目されている。
【0004】電解液流通型電池装置の構造と、動作原理
をレドックスフロー型電池を例にとり、以下に説明す
る。
【0005】図1は、レドックスフロー型電池の一具体
例を概略的に示す構成図である。図1を参照して、この
レドックスフロー型電池1は、電池反応セル2、正極液
タンク3、および、負極液タンク4を備える。
【0006】電池反応セル2内は、たとえば、イオン交
換膜等からなる隔膜5により仕切られており、一方側が
正極セル2a、他方側が負極セル2bを構成する。
【0007】正極セル2a内には、正極6が収容され、
また、負極セル2b内には負極7が収容される。
【0008】正極セル2aと正極液タンク3とは、正極
液を正極液タンク3から正極セル2aに供給する正極液
供給用管路8と、正極液を正極セル2aから正極液タン
ク3に回収する正極液回収用管路9とにより連結され
る。
【0009】また、正極液供給用管路8には、正極液の
流通循環手段として、ポンプ10が設けられており、正
極セル2aと正極液タンク3との間において、正極液が
流通循環できるようになっている。
【0010】他方、負極セル2bと負極液タンク4と
は、負極液を負極液タンク4から負極セル2bに供給す
る負極液供給用管路11と、負極液を負極セル2bから
負極液タンク4に回収する負極液回収用管路12とによ
り連結される。
【0011】また、負極液供給用管路11には、負極液
の流通循環手段としてポンプ13が設けられており、負
極セル2bと負極液タンク4との間において、負極液が
流通循環できるようになっている。
【0012】正極液タンク3内には、電解液として正極
電解液が蓄えられており、また、負極液タンク4内に
は、電解液として負極電解液が蓄えられる。
【0013】正極電解液としては、たとえば、鉄イオン
のような原子価の変化するイオンの水溶液が用いられ、
また、負極電解液としては、たとえば、クロムイオンの
ような原子価の変化するイオンの水溶液が用いられる。
【0014】たとえば、そのような正極電解液として、
正極活物質Fe3+/Fe2+を含む塩酸水溶液を用い、負
極電解液として、負極活物質Cr2+/Cr3+を含む塩酸
水溶液を用いることができる。
【0015】このような電解液を用いたレドックスフロ
ー型電池1を用いて、充電時においては、負極液タンク
4に蓄えられたCr3+イオンを含む塩酸水溶液がポンプ
13により、負極セル2bに送られ、負極7において電
子を受け取り、Cr2+イオンに還元され、負極液タンク
4に回収される。
【0016】他方、正極液タンク3に蓄えられたFe2+
イオンを含む塩酸水溶液がポンプ10により正極セル2
aに送られ、正極6において外部回路に電子を放出し
て、Fe3+に酸化され、正極液タンク3に回収される。
【0017】また、放電時においては、負極液タンク4
に蓄えられたCr2+イオンを含む塩酸水溶液が、ポンプ
13により負極セル2bに送られ、負極7において外部
回路に電子を放出して、Cr3+イオンに酸化され、負極
液タンク4に回収される。
【0018】他方、正極液タンク3に蓄えられたFe3+
イオンを含む塩酸水溶液は、ポンプ10により正極セル
2aに送られ、正極6において外部回路から電子を受け
取り、Fe2+イオンに還元され、正極液タンク3に回収
される。
【0019】このようなレドックスフロー型電池におい
ては、正極6および負極7における充放電反応は、下記
の式のようになる。
【0020】
【化1】
【0021】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たレドックスフロー型電池1は、通常の電池とは異な
り、正極液と負極液との構成の異なる2液型電池構成で
あるため、両電解液の混合を阻止する必要があり、その
ため選択性の強いイオン交換膜が隔膜5として用いられ
ている。隔膜5としてイオン交換膜を用いた場合、レド
ックスフロー型電池1の内部抵抗を低減することができ
ず、したがって、高い充放電効率を達成することができ
ないという問題があった。すなわち、イオン交換膜は、
機械的強度の問題から、膜厚として約100μm〜20
0μm必要であり、このため内部抵抗を1.0Ω・cm
2 以下にするのは困難であった。
【0022】また、隔膜5は、上記したような選択性の
強いイオン交換膜、すなわち電極活物質の通過を防止す
ることができ、しかもH+ およびCl- のようなイオン
移動担体を通過させ得るという特殊機能を有しなければ
ならないため、隔膜5を構成する材料のコストが高くつ
くという欠点があった。
【0023】このような問題を解決するための技術とし
て、本発明者らは、特開昭61−22575号公報にお
いて、隔膜5として、イオン交換膜の代わりに多孔質膜
を用いた電池を開示している。
【0024】特開昭61−22575号公報に記載され
る多孔質膜は、たとえば、セルロース系樹脂、ポリエチ
レンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、フッ
素樹脂等の材料からなり、多孔質膜の複数の孔の孔径が
0.05μm以上0.5μm以下に適切に選ばれ、ま
た、気孔率を約30%〜90%、膜厚を約20μm〜3
00μm程度とすることにより、隔膜5の内部抵抗をイ
オン交換膜を用いた場合に比べ低減することができる。
多孔質膜を用いた場合の内部抵抗は0.2Ω・cm2
上2Ω・cm2 以下程度である。さらに、特開昭61−
22575号公報に記載される多孔質膜は、材料の原料
コストがイオン交換膜に比べ安いため、製造コストの低
減を図れるという効果もある。
【0025】しかしながら、特開昭61−22575号
公報に記載される多孔質膜は、隔膜としての内部抵抗を
十分に低減することができ、電圧損失(電圧損失は、電
圧効率で評価される)は、イオン交換膜に比べ低減でき
る一方、正極液と負極液が隔膜5として用いている多孔
質膜を介して、互いに混合される結果、その自己放電に
より、電池効率(電池効率は、電流効率で評価される)
の低下を招来することは免れ得なかった。
【0026】また、本発明者らは、特開昭61−225
74号公報において、隔膜5として、イオン交換膜の代
わりに膨潤膜を用いた電池を開示している。
【0027】特開昭61−22574号公報に記載され
る膨潤膜は、たとえば、セルロース系樹脂、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリビニルアルコール、シリコン樹脂、およびこ
れらを含む共重合体、あるいはブレンド品などの材料か
らなり、含水率が1wt%〜50wt%に適切に選ば
れ、膜厚を10μm〜200μm程度とすることによ
り、隔膜5の内部抵抗をイオン交換膜を用いた場合に比
べ低減することができる。膨潤膜を用いた場合の内部抵
抗は、0.2Ω・cm2 以上5Ω・cm2 以下程度であ
る。また、このような膨潤膜は、高温環境下において
も、特性が変化しないので高温環境下でのエネルギー効
率を上昇させることができるという長所がある。さら
に、特開昭61−22574号公報に記載される膨潤膜
は、材料がイオン交換膜に比べ比較的安価であるため、
イオン交換膜に比べ、製造コストの低減を図れるという
効果もある。
【0028】しかしながら、特開昭61−22574号
公報に記載される膨潤膜は、隔膜としての内部抵抗は十
分に低減させることができる一方、正極液と負極液が隔
膜5として用いている膨潤膜を介して、互いに混合され
る結果、その自己放電により電池効率の低下を招来する
ことは免れ得なかった。
【0029】また、一般的に膨潤膜は、長期的に酸に耐
える材料が少なく、さらに、内部抵抗を小さくできる膨
潤膜は、耐酸性に優れず、また、機械的強度が十分でな
いという問題があった。このため、レドックスフロー型
電池の隔膜として用いることのできる膨潤膜は、材料が
限定されるという問題があった。
【0030】また、機械的特性に優れた多孔度の大きい
多孔質膜と、電解液の分離能を高めるための薄い膜とを
物理的に貼り合わせてなる膜と膜とが2層構造を有する
隔膜の研究が行なわれているが、いずれも、イオン交換
膜単独、多孔質膜単独、および膨潤膜単独を用いた隔膜
に比べ、内部抵抗および電解液の分離能の点において、
有意な差を示すに至っていない。
【0031】水溶媒系電池用隔膜としては、プロトン導
電性が大きく、プロトン選択透過性が大きく、機械的・
化学的強度が大きく、また、電解液との濡れ性が大きい
隔膜が長年望まれていた。
【0032】本発明は、以上のような問題を解決するた
めになされたものであって、内部抵抗が十分小さく、か
つ、電解液の分離能に優れた水溶媒系電気化学装置用隔
膜およびそれを用いた水溶媒系電池を提供することを目
的とする。
【0033】
【課題を解決するための手段】本発明に従う水溶媒系電
気化学装置用隔膜は、複数の孔部を有する多孔質膜と、
多孔質膜の複数の孔部の少なくとも一部の空隙部内全体
にまたは部分的に設けられた親水性樹脂とを備える。
【0034】親水性樹脂は、好ましくは、イオン交換樹
脂である。また、本発明に従う水溶媒系電池は、正極
と、負極と、正極と負極との間に設けられた隔膜とを含
む水溶媒系電池であって、隔膜は、複数の孔部を有する
多孔質膜と、多孔質膜の複数の孔部の少なくとも一部の
空隙部内全体にまたは部分的に設けられた親水性樹脂と
を備える。
【0035】
【作用】レドックスフロー型電池を例にとり、隔膜とし
て要求される機能をさらに詳細に説明する。
【0036】図2は、隔膜に要求される機能を説明する
ためのものであり、図1に示すレドックスフロー型電池
1の電池反応セル2の隔膜5の近傍を拡大して示す断面
図である。
【0037】図2を参照して、隔膜5の両側には、正極
液と負極液がそれぞれ供給される。隔膜5には、特に以
下の2つの機能が要求される。
【0038】(1) イオン隔離機能 すなわち、クロムイオン(Cr2+/Cr3+)と鉄イオン
(Fe3+/Fe2+)との隔離機能である。
【0039】(2) イオン透過機能 すなわち、水素イオンの透過機能である。
【0040】本発明に従う水溶媒系電気化学装置用隔膜
は、複数の孔部を有する多孔質膜と、多孔質膜の複数の
孔部の少なくとも一部の空隙部内全体にまたは部分的に
設けられた親水性樹脂とを備える。
【0041】複数の孔部を有する多孔質膜単体では、イ
オン透過機能は十分に優れているが、イオン隔離機能が
不十分である。
【0042】一方、本発明に従う水溶媒系電気化学装置
用隔膜は、多孔質膜の複数の孔部の少なくとも一部の空
隙部内全体にまたは部分的に設けられた親水性樹脂とを
備える。このため、多孔質膜の複数の孔部の孔径が実質
的に小さくなり、かつ孔部に親水性機能および/または
イオン交換機能が付与されるという孔部の機能的制御に
よりイオン隔離機能が向上する。また、親水性樹脂とし
て、イオン交換樹脂を用いた場合には、さらに、イオン
隔離機能が向上する。
【0043】
【実施例】以下、本発明について実施例および比較例を
挙げて、さらに具体的に説明するが、本発明は、これら
の実施例のみに限定されるものではない。
【0044】実施例1 ポリプロピレン製多孔質膜(平均孔径0.05μm、厚
み約100μm、気孔率55%)の両面に、ナフィオン
溶液(5wt%)を極めて薄く(数μm厚)塗布した
後、乾燥させた。なお、ナフィオン溶液とは、ナフィオ
ン樹脂(デュポン社製)をメタノール等の溶剤に溶かし
た溶液をいう。
【0045】図1を参照して、レドックスフロー型電池
1の隔膜5として、上記隔膜を用いた、電極面積9cm
2 の小型電池セル(単セル)を構成し、充放電特性を調
べた。結果を表1に示す。なお、電解液としては、正極
液として、3NHClにFeCl2 1モルを溶解させた
もの、負極液として、3NHClにCrCl3 1モルを
溶解させたものを用いた。
【0046】比較例1 実施例1と同様の小型単セルに、一般的な陽イオン交換
膜(イオン透過性を付与するためスルフォン化処理(S
3 - )を行なったスチレン−ジビニルベンゼン共重合
体、膜厚100〜200μm)を用いて、実施例1と同
様の試験を行なった。結果を表1に示す。
【0047】比較例2 実施例1で用いたポリプロピレン製多孔質膜のみを用い
て、実施例1と同様の充放電特性を調べた。結果を表1
に示す。
【0048】
【表1】
【0049】表1から明らかなように、実施例1は、電
流効率が、比較例2に比べ大きく改善されている。ま
た、実施例1は、比較例1および比較例2に比べ高いエ
ネルギー効率を示した。
【0050】なお、以上の実施例に関する開示は、本発
明の単なる具体例に過ぎず、本発明の技術的範囲を何ら
制限するものではない。
【0051】この発明において、複数の孔部を有する多
孔質膜の材質としては、特に限定するものではないが、
たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂
等の耐酸材料(酸性に強い材料)を用いることができ
る。
【0052】また、複数の孔部を有する多孔質膜の孔部
の平均孔径は、0.05μm以上1μm以下が好まし
い。0.05μm未満の小孔径は製作するのが困難であ
り、また、1μmより大きい孔径を有する場合は、電解
液が混合することになり好ましくない。
【0053】また、複数の孔部を有する多孔質膜の膜厚
は、10μm以上200μm以下が好ましい。10μm
未満の場合は、機械的強度が十分でなく好ましくなく、
また、200μmを超える膜厚では、内部抵抗が大きく
なり好ましくない。また、複数の孔部を有する多孔質膜
の気孔率は、特に限定されることはないが30%以上9
0%以下が好ましい。
【0054】多孔質膜の複数の孔部の少なくとも一部の
空隙部内全体にまたは部分的に設ける親水性樹脂の材料
としては、特に限定されることはないが、たとえば、エ
チレンビニルアルコール樹脂、セルロース系樹脂、セル
ロース樹脂等を挙げることができる。このような親水性
樹脂の含水率としては、1wt%以上50wt%以下の
ものが好ましい。含水率が1wt%未満の場合は、隔膜
の内部抵抗が大きくなり好ましくなく、また、50wt
%を超える場合は、イオン隔離機能が低下し好ましくな
い。
【0055】また、多孔質膜の複数の孔部の少なくとも
一部の空隙部内全体にまたは部分的に親水性樹脂を設け
る工程は、特に限定されることはないが、たとえば、親
水性樹脂を、メタノール等の溶剤に溶かした後、多孔質
膜の少なくとも片方の表面に、溶剤に溶かした親水性樹
脂を塗布した後、乾燥させる方法、または、多孔質膜の
少なくとも片方の表面に、アクリル酸、メタクリル酸等
のモノマを塗布した後、電子線または化学的な方法によ
り重合させる方法等を挙げることができる。
【0056】多孔質膜の孔部の孔径を親水性樹脂を用い
て、制御する方法として、溶剤に溶かした親水性樹脂を
多孔質膜の少なくとも片方の表面に塗布した後、乾燥さ
せる方法を用いる場合は、塗布条件、たとえば、用いる
溶剤の量、塗布回数、樹脂濃度を変化させること等によ
り行なわれる。
【0057】すなわち、本発明に従う隔膜では、溶剤に
溶かした親水性樹脂が、多孔質膜の複数の孔部の一部の
孔部に毛細管現象により導入された後、乾燥されること
により、多孔質膜の複数の孔部の少なくとも一部の空隙
部内全体にまたは部分的に親水性樹脂が設けられてい
る。
【0058】同様に、多孔質膜の孔部の孔径を親水性樹
脂を用いて制御する方法として、モノマを塗布した後、
電子線または化学的な方法により重合させる方法を用い
る場合は、塗布条件、たとえば、用いる溶剤の量、塗布
回数、樹脂濃度、電子線の量、または、反応速度を変化
させることにより行なわれる。
【0059】すなわち、本発明に従う隔膜では、親水性
樹脂の原料となるモノマが、多孔質膜の複数の孔部の一
部の孔部に毛細管現象により導入された後、電子線また
は化学的な方法により重合されることにより、多孔質膜
の複数の孔部の少なくとも一部の空隙部内全体に、また
は、部分的に親水性樹脂が設けられている。
【0060】本発明において特徴的な点は、多孔質膜の
複数の孔部の少なくとも一部の空隙部内全体にまたは部
分的に親水性樹脂を設けた後において、本発明に従う多
孔質膜と親水性樹脂とからなる隔膜は、多孔質膜の少な
くとも片面のすべての表面が一様に親水性樹脂によりま
んべんなく必ずしも覆われていない点において、従来の
性質の異なる膜と膜とを物理的に貼り合わせてなる2層
構造の隔膜と異なっている。
【0061】本発明においては、親水性樹脂として、イ
オン交換樹脂を用いることができる。
【0062】イオン交換樹脂の材料としては、特に限定
されることはないが、たとえば、下記一般式で示される
ナフィオン樹脂の他、
【0063】
【化2】
【0064】一般的な公知のイオン交換樹脂、たとえ
ば、−SO3 H等の強酸性基等のイオン交換可能な酸性
基を有する不溶性樹脂を挙げることができる。イオン交
換樹脂の材料としては、特に限定されることはないが、
たとえば、スチレンとジビニルベンゼンの共重合体、ア
クリル酸、メタクリル酸、アクリルニトリル等を重合さ
せた公知の材料を用いることができる。
【0065】また、多孔質膜の複数の孔部の少なくとも
一部の空隙部内全体にまたは部分的にイオン交換樹脂を
設ける工程は、特に限定されることはないが、たとえ
ば、イオン交換樹脂を、メタノール等の溶剤に溶かした
後、多孔質膜の少なくとも片方の表面に、溶剤に溶かし
たイオン交換樹脂を塗布した後、乾燥させる方法を挙げ
ることができる。樹脂濃度は、特に限定されることはな
いが、たとえば、ナフィオン樹脂を用いる場合は、0.
1wt%〜5wt%の溶液を用いることができる。そし
て、溶媒に溶かしたイオン交換樹脂の塗布量は、多孔質
膜の少なくとも片方の表面に、膜厚1μm以上10μm
以下塗布するのが好ましい。1μm以下の塗布量では、
イオン隔離機能が十分でなく好ましくなく、また、10
μmを超えると、内部抵抗が大きくなり好ましくない。
【0066】なお、本発明に従う水溶媒系電気化学装置
用隔膜は、多孔質膜の少なくとも片側表面に親水性樹
脂、イオン交換樹脂を導入してもよく、また、多孔質膜
の両側表面に親水性樹脂、イオン交換樹脂を導入しても
よい。また、本発明によれば、本発明に従う水溶媒系電
気化学装置用隔膜を、水溶媒系電池に用いることによ
り、該電池(単セル)の内部抵抗を0.2Ω・cm2
上1Ω・cm2 以下とすることができる。
【0067】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に従
う水溶媒系電気化学装置用隔膜は、上記した構成を有す
る結果、イオン透過機能と、イオン隔離機能の双方が向
上されている。したがって、本発明に従う水溶媒系電気
化学装置用隔膜を用いた、レドックスフロー型電池等の
水溶媒系電池は、電池自体の内部抵抗を低減させること
ができ、内部抵抗に起因する容量低下を抑制できるとと
もに、隔膜を介して電解液が混合されるのを低減するこ
とができ、自己放電に起因する容量低下を抑制すること
ができる結果、水溶媒系電池の高効率化を実現できる。
また、本発明に従う水溶媒系電気化学装置用隔膜は、材
料が安価であり、レドックスフロー型電池の隔膜に用い
ると安価でかつ効率の高い電力貯蔵用電池装置を構築で
きる。
【0068】なお、本発明に従う水溶媒系電気化学装置
用隔膜は、レドックスフロー型電池を中心に説明した
が、水溶媒系電解質を用いた電気化学装置であるなら
ば、適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】レドックスフロー型電池の一具体例を概略的に
示す構成図である。
【図2】図1に示すレドックスフロー型電池1の電池反
応セル2内の隔膜5の近傍を拡大して示す概略的な断面
図である。
【符号の説明】
1 レドックスフロー型電池 2 電池反応セル 3 正極液タンク 4 負極液タンク 5 隔膜 6 正極 7 負極 8 正極液供給用管路 9 正極液回収用管路 10、13 ポンプ 11 負極液供給用管路 12 負極液回収用管路

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の孔部を有する多孔質膜と、 前記多孔質膜の複数の孔部の少なくとも一部の空隙部内
    全体にまたは部分的に設けられた親水性樹脂とを備え
    る、水溶媒系電気化学装置用隔膜。
  2. 【請求項2】 前記親水性樹脂は、イオン交換樹脂であ
    る請求項1に記載の水溶媒系電気化学装置用隔膜。
  3. 【請求項3】 正極と、 負極と、 前記正極と前記負極との間に設けられた隔膜とを含む水
    溶媒系電池であって、 前記隔膜は、複数の孔部を有する多孔質膜と、 前記多孔質膜の複数の孔部の少なくとも一部の空隙部内
    全体にまたは部分的に設けられた親水性樹脂とを備え
    る、水溶媒系電池。
JP5043469A 1993-03-04 1993-03-04 水溶媒系電気化学装置用隔膜およびそれを用いた水溶媒系電池 Withdrawn JPH06260183A (ja)

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