JPH06257093A - 紙の片面に高平滑性を与える方法 - Google Patents
紙の片面に高平滑性を与える方法Info
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Abstract
上げ方法において、裏面平滑性上昇及び紙嵩減少の抑
制、並びに表面の高平滑性を満たすと同時に、紙焼け又
は光沢ムラ等のない優れた外観を満たす紙の仕上げ方法
を提供する。 【構成】 樹脂含浸紙の片面に水塗工を施し、次いで水
塗工面を加熱した金属ロールに接触させるプレヒート処
理を行い、その後第2の加熱した金属ロールと弾性ロー
ルの組合せによるソフトニップ熱カレンダー処理を行
う。
Description
紙の仕上げ方法に関し、詳しくは表面化粧材用原紙等に
用いる紙の仕上げ方法に関する。
柄などの印刷が施され、その上にウレタン樹脂などの保
護層を設けた後、裏面を接着剤で基材に貼り合わせて使
用される。このとき該原紙はグラビア印刷の網点再現性
を向上させる為、表面の平滑性が高いことと嵩高さが要
求され、同時に基材との接着性を向上させる為、裏面の
平滑性が低いことや原紙自体の層間強度が必要となる。
従ってこの様な原紙は、抄造する際に、必要に応じて紙
力増強剤等を内添したり、あるいは抄造工程の後に樹脂
含浸処理が施され、さらに最終工程でカレンダー処理を
行い、表面の平滑性や外観を高めて仕上げられている。
従来より、カレンダー処理は、原紙表面の平滑性と外観
を向上させる有効な手段として知られており、一般に用
いられる方法の一つにスーパーカレンダー処理がある。
スーパーカレンダーは交互に金属と弾性体の多数のロー
ルからなる奇数ニップで構成される。しかしながら、一
連のニップ中を通紙することにより高い平滑性と光沢が
得られるのだが、同時に裏面の平滑性の上昇や紙嵩の減
少を生じる問題がある。その他に、特公昭63−563
60号公報等に開示されているソフトニップ熱カレンダ
ー処理がある。これは、セルロースがTg以上で加圧力
を受けたときにいっそう可撓性かつ成型性が高くなる事
を利用して、金属熱ロールと弾性ロールのニップ中を通
紙し、繊維表面を選択的に加熱、可塑化し、圧縮する方
法である。しかしながら該処理方法においても、含水率
が繊維の絶乾重量に対して3〜7%ととりわけ紙表面の
水分が極めて少なく、より高い平滑性を得るためには高
温、高圧ニップで処理しなければならない。このため必
然的にスーパーカレンダー処理に比べ若干の改善はなさ
れるものの、必然的に裏面の平滑性の上昇や紙嵩の減少
を生じる問題があり、またソフトロールによる長時間の
高温、高圧処理は、耐久性の点において工業的に不利で
ある。また、紙中セルロースのTgは紙の含水率に依存
し含水率が高くなる程Tgが低くなることを利用して、
ソフトニップ熱カレンダー処理直前に水分付与する前処
理方法が提案されている。例えば、特開昭62−177
299号公報には、ロールコーター等を用いて紙表面に
水塗工を行う前処理方法、米国特許第3268354号
には、コート紙のコート面に水塗工を施した後赤外線ラ
ンプで表面を乾かし基紙の水分を付与する前処理方法、
又特開平2−160993号公報には、加熱蒸気による
前処理方法が開示されている。
処理方法では表面化粧材用原紙に要求される紙を得るこ
とは困難である。例えば、ロールコーター等を用いて紙
表面に水塗工を行う前処理方法では、高平滑性を得るた
め水塗工量を多くすると、カレンダー時に紙焼けや光沢
ムラ等を生じ、外観上問題が起こる。又、赤外線ランプ
で表面を乾かす方法は表面層に繊維の無いコート紙にお
いてのみ有効である。又、加熱蒸気による前処理方法で
は、充分な水分付与ができず表面の平滑性を向上させる
事は困難である。特に、上記公報に開示される技術は、
対象の紙が表面化粧材用原紙の様な紙表面が水をはじき
易く浸透性が悪いものに対し、表面平滑性及び外観を向
上させることは困難である。本発明は、上記の問題点を
解決する為に成されたものであり、本発明の目的は、裏
面平滑性上昇及び紙嵩減少の抑制、並びに表面の高平滑
性を満たすと同時に、紙焼け又は光沢ムラ等のない優れ
た外観を満たす紙の製造方法を提供するものである。
ー処理の前に、水塗工を施した面を、加熱した金属ロー
ルに接触させることで、紙焼け又は光沢ムラを生じない
高含水率のカレンダー処理が可能とすることを見いだし
本発明に至った。即ち、本発明は、紙の片面に水塗工を
施し、同面(以下、水塗工面を表面という。)を第1の
加熱した金属ロールに接触させ(以下、プレヒート処理
と称す。)、その後第2の加熱した金属ロールと弾性ロ
ールのニップ中を、表面が加熱した金属ロールに接触す
るように通紙させる(以下、ソフトニップ熱カレンダー
処理と称す。)カレンダー方法である。
面(水塗工面)を加温し並びに一部水分を蒸気化し表面
の水分を均一化する作用があり、表面平滑性及び外観を
向上させる効果をもたらす。この加温効果と水分の均一
化は、水塗工量及びプレヒートの処理温度と処理時間を
適宜設定する事で実施される。また通常のソフトニップ
熱カレンダー処理よりも、紙の厚み方向に対し水分勾配
を大きくさせる為、表面の平滑性が高く、且つ水塗工を
施した面の裏面(以下、裏面という。)の平滑性が低い
(抑制)効果が顕著に観られる。本発明の実施における
プレヒート処理は、下述実施例4〜6で使用する原紙を
挙げ例示すると、紙の水分の、最終的に紙の絶乾重量に
対して全体として1〜3%を蒸発させることが好まし
く、紙の水分を、ソフトニップ熱カレンダー処理前に、
最終的に紙の絶乾重量に対して全体として7〜15%に
することが好ましい。プレヒート処理における蒸発量が
少ない場合、ソフトニップ熱カレンダーの効果が得られ
ず光沢ムラを生ずるが、蒸発量が多くなるに従い効果が
高まり平滑性も良くなる。しかし、蒸発量が多すぎると
光沢ムラを生じ、本発明の効果を得難くなる。プレヒー
ト処理後ソフトニップ熱カレンダー処理前の水分が低す
ぎると平滑性と外観が劣り、逆に高すぎても同様に表面
の平滑性と外観が劣る。
処理は、紙の表面(水塗工面)が加熱した金属ロールに
接触するよう行う。金属ロール温度は100〜200
℃、ニップ圧(線圧)は50〜300kg/cmの条件
が好ましい。金属ロール温度が100℃未満の場合、平
滑性が向上しにくく外観も良好でない。又、200℃を
超える場合、平滑性は良好であるが紙やけや光沢ムラが
発生し易い傾向となる。ニップ圧が300kg/cmを
超える場合は、層間強度が低下する傾向にある。又、5
0kg/cm未満の場合、表面平滑性の向上が望めな
い。ソフトニップ熱カレンダー処理におけるニップ数に
ついては、多い程高い平滑性が得られる傾向があるが、
本発明の効果は、1ニップないし2ニップでも充分に得
られる。さらに高温、高圧処理において、長期安定して
使用できる弾性ロールは現在のところ殆ど存在しない。
る水塗工について、水塗工量は、上記プレヒート処理後
(上記ソフトニップ熱カレンダー処理前)に、紙の水分
が、最終的に紙の絶乾重量に対して全体として7〜15
%となるように設定すればよい。特に平滑性がでにくい
場合は、できる限り高含水率が好適であるが、水塗工量
が余りにも多すぎると表面の紙焼けや光沢ムラを生ず
る。又、プレヒート、熱ロールに多大な熱容量を要し、
操作性の面においても、巻取り時のシワ、巻取り後のブ
ロッキング等を生じ易く問題となる。塗工前の紙中水分
が10%の紙に5%の水塗工を施しても本発明の効果は
得られるが、塗工前の紙中水分が5%以下であればなお
好適である。又、塗工装置は、一様に水分添加できる物
であればよく、グラビアロールコーター、エアーナイ
フ、ワイヤーバー方式など用いる事ができる。又、界面
活性剤等を塗工水分中に小量添加することにより、紙表
面の濡れ性が向上し、表面の平滑性や外観はいっそう良
好となる。
ート処理→ソフトニップ熱カレンダーの工程を行うもの
であるが、該工程は、オンマシン、オフマシンのどちら
でも利用でき、とりわけオンマシンの場合有益となる。
の実施例はすべて水塗工からソフトニップ熱カレンダー
までの工程を連続して行った。)。尚、水分は絶乾重量
に対する水分量を示す。又、評価の方法は、密度はJIS-
P8118 、表面及び裏面平滑度はJIS-P8119 、層間強度
はJIS-P8139 、剛度はTAPPI543pm-84 に準拠し、外観は
主に紙焼け、光沢ムラを目視により次のように評価し
た。◎:紙焼け光沢ムラが全く無い,△:光沢ムラのみが
斜光で認められる,○:◎と△の中間,×:紙焼け光沢ム
ラがはっきりと認められる.
に叩解し、二酸化チタン6重量部、アクリル系乾燥紙力
増強剤4重量部、硫酸バンド6重量部、湿潤紙力増強剤
1.2重量部及び、カチオン澱粉1重量部を添加して抄
造し、120℃の乾燥機で水分2%まで乾燥し、原紙を
得た。前記の原紙を用い、該原紙の片面にグラビアロー
ルコーターにて、最終的に原紙絶乾重量に対して全体と
して15%の水分となるよう水塗工を行い、その後水塗
工を行った面(表面)に対し温度110℃のプレヒート
処理し、最終的に原紙絶乾重量に対して全体として3%
の水分を蒸発させた後、ソフトニップ熱カレンダー処理
した。カレンダー処理は130℃の平滑な金属熱ロール
とショアーD硬度91度の樹脂ロールのニップ中を、線
圧100kg/cmで、該紙の水塗工面を金属熱ロール
に接触させ、ストレートの2ニップで行った。得られた
紙の評価を表1に示す。
におけるソフトニップ熱カレンダー処理前の紙である。
比較例2、比較例5は、各々実施例1、実施例2の原紙
をスーパーカレンダー処理したものである。比較例3、
比較例6は、各々実施例1、実施例2の原紙を予めオフ
ラインで水分8%に調湿した後、実施例1と同条件のソ
フトニップ熱カレンダー処理したものである。
に叩解し、二酸化チタン10重量部、硫酸バンド4重量
部、アクリルアミド樹脂4重量部を添加して抄造し、そ
の後、固形比でアクリル系エマルジョン100重量部に
界面活性剤3重量部を添加し、固形分濃度20重量%に
水で希釈した樹脂を、抄造した紙の絶乾重量に対して固
形分で30重量%含浸し、120℃の乾燥機で水分2%
まで乾燥し、原紙を得た。前記の原紙を用いた以外は、
実施例1と同様に、水塗工、プレヒート処理、ソフトニ
ップ熱カレンダーを行った。得られた紙の評価を表1に
示す。
0.1%添加された水を用いた以外は、全て実施例2と
同様に行った。得られた紙の評価を表1に示す。表1よ
り、本発明を施すことでスーパーカレンダー処理、ソフ
トニップ熱カレンダー処理よりも、密度上昇、裏面平滑
性上昇及び剛度低下が抑制され、且つ同等以上の表面平
滑性、外観が得られることが判る。
プレヒート処理による水分蒸発量を表2に示す様に代え
た以外は、全て実施例3と同様に行った。得られた紙の
評価を表2に示す。表2より、実施例は何れも比較例に
比べ、表面の平滑性と外観が向上している。例えば本実
施例の場合、プレヒート処理後(ソフトニップ熱カレン
ダー処理前)の紙の水分が、最終的に絶乾重量に対して
全体として7〜15%となるように水塗工が施され、プ
レヒートの際の加熱が、金属熱ロール表面温度80〜1
20℃で行われると表面の平滑性、外観、強度共に良好
となる。塗工水分量や処理温度がこの範囲外になると良
好な外観は得られない。プレヒートでの水分蒸発量は、
最終的に紙中水分を原紙絶乾重量に対して全体として1
〜3%のとき、特性が良好であることが判る。
フトニップ熱カレンダー処理を行った以外は実施例3に
準じた。尚、水塗工量は、水塗工時の紙の水分を示す。
及び線圧を表3に示す様に代えた以外は、実施例3と同
様に行った。尚、プレヒート処理による水分蒸発量は3
%に設定した。得られた紙の評価を表3に示す。表3よ
り、ソフトカレンダー処理を処理温度100〜200
℃、線圧50〜300kg/cmの条件で行った場合、
表面平滑性、外観、層間強度共に良好な結果が得られ
た。
を施し、同面をプレヒート後、ソフトニップ熱カレンダ
ー処理を行う本発明の組み合わせによれば、従来の技術
では不十分であった裏面の平滑性の上昇及び層間強度や
紙嵩の減少を充分に抑え、かつ表面の平滑性や外観が向
上する紙が得られた。プレヒート処理は、塗工した紙表
面の水分を加温、一部蒸気化することで均一化し、表面
の平滑性や外観を向上させる。また通常のソフトニップ
熱カレンダー処理よりも紙中の水分勾配が大きいことに
より、該処理に比べ裏面の平滑性を抑える効果があり、
得られる紙嵩や剛度の低下が少ない。さらに層間強度の
低下が抑えられる。
Claims (1)
- 【請求項1】 カレンダー処理による表面化粧材用原紙
の仕上げ方法において、紙の片面に水塗工を施し、同面
を第1の加熱した金属ロールに接触させた後、第2の加
熱した金属ロールと弾性ロールのニップ中を、水塗工し
た面が金属熱ロールに接触するように通紙させるカレン
ダー方法。
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1993
- 1993-03-04 JP JP06735593A patent/JP3190472B2/ja not_active Expired - Lifetime
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