JPH062548Y2 - 魚釣用リールの変速装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、魚釣用リールの変速装置の改良に関する。

〔従来技術〕

従来釣糸の捲取り負荷に応じてスプールの捲取り速度を
自動的に変速する自動変速方式は、一見便利なように見
られるが、釣人の意志によって、釣糸の捲取り負荷に関
係なく変速しようとしても、変速できない不便があり、
このような場合手動変速方式を使用しなければならない
のが現状である。

従来の手動変速方式は、特公昭49−18990号公報のよう
にハンドル軸のプッシュ・プル操作でクラッチを切り換
えて２組大小の歯車の伝達経路を変換して変速したり、
実公昭53−31276号公報のようにハンドルの回転方向の
変換で外歯と第１ラチェットギヤー、内歯と第２ラチェ
ットギヤーを組み合わせて伝達経路を変えて変速してい
た。

〔考案が解決すべき問題点〕

前記前者では２組大小の歯車の伝達経路を使用している
ので、構造が嵩張る欠点がある。

前記後者ではハンドルの回転方向を変えることで変速し
ているので、操作性が悪い欠点がある。

本考案は前記欠点に鑑み、嵩張らず、コンパクトにまと
められると共に、内歯歯車の回転又は回り止めを選択
し、ハンドルを同一方向に回転することで変速出来るよ
うにしたことである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は前記問題点を解決するための構成として、ハン
ドルの回転でローターを回転してスプールに釣糸を捲回
する魚釣用リールのハンドル駆動軸に一方向回転クラッ
チを介して釣糸捲取り方向に係合回動するハンドル回動
筒を設け、該ハンドル回動筒の筺体側の端部に軸支した
遊星歯車に前記駆動軸に設けた太陽歯車と該遊星歯車の
外側に設けた内歯歯車を噛合し、更に該内歯歯車に設け
た係合歯にストッパー爪を係脱自在に臨ませたように形
成したことを要旨とするものである。

〔実施例〕

以下、図示の一実施例によって本考案を説明すると、第
１図は魚釣用スピニングリールに実施した例で、魚釣用
リールの変速装置は第１図から第４図でハンドル駆動軸
１外周にニードルローラー10とクラッチ筒11からなる一
方向回転クラッチ２と軸受12、13を介してハンドル回動
筒３が設けられ、ハンドル回動筒３の筺体４内の筺体側
の端部に複数個の遊星歯車14が軸15で夫々軸支され、遊
星歯車14はハンドル駆動軸１に一体的に設けられた太陽
歯車1aと内歯歯車５の内歯5aに夫々噛合され、内歯歯車
５の外周に設けられた係合歯5bにストッパー爪６が係脱
自在に臨まされて構成されている。

前記ハンドル駆動軸１には駆動歯車16が固定されて駆動
歯車16に回転軸筒７のピニオン7aが噛合され、筺体４の
前部より突出された回転軸筒７にローター17がナット18
で固定されている。

前記回転軸筒７の中心孔7bにはスプール軸19が前後に摺
動自在に尭合され、スプール軸19の前端にスプール20が
取り付けられている。

前記一方向回転クラッチ２はハンドル回動筒３が釣糸捲
取り方向に回動された時にハンドル駆動軸１が係合回動
されるように構成されている。

前記ハンドル回動筒３は筺体４に軸受21を介して軸承さ
れ、ハンドル駆動軸１の他端は蓋体８に軸受22を介して
軸承されている。

ハンドル回動筒３の外周には軸カバー23が尭合されると
共にハンドル24が尭合されてハンドル回動筒３の外周に
螺合された袋ナット25で取り付けられている。

前記内歯歯車５は筒部5cが筺体４に回転自在に軸承され
ている。

前記ストッパー爪６は筺体４と蓋体８の突出部8aで支持
された軸26で軸承されると共に、巻バネ27で内歯歯車５
側に付勢されている。

ストッパー爪６の係合部6aは内歯歯車５の係合歯5bに係
脱自在に臨まされ、作動部6bは切換ツマミ28に固定され
た作動体９のカム面9aに臨まされている。

前記魚釣用リールの変速装置の動作は、第４図の内歯歯
車５の係合歯5bにストッパー爪６が係止された回り止め
状態で、ハンドル24が回転されると、ハンドル回動筒３
と遊星歯車14の軸15が回転される。

この回転で内歯歯車５が回り止めされているので、遊星
歯車14は内歯5aとの噛合で自転しながら転動して公転さ
れ、遊星歯車14の回転が遊星歯車14と噛合する太陽歯車
1aに増速回転で伝達される。

太陽歯車1aの増速回転でハンドル駆動軸１が高速回転さ
れる。

この回転で駆動歯車16が回転されてピニオン7aを介して
ローター17が高速回転され、スプール20に釣糸が高速で
捲回される。

この時一方向回転クラッチ２はクラッチ筒11の回動より
ハンドル駆動軸１の回転が速いのでニードルローラー10
は空回りされる。

次に第５図のように切換ツマミ28が回動されると、作動
体９のカム面9aがストッパー爪６の作動部6bを押して係
合部6aが内歯歯車５の係合歯5bから離脱されて内歯歯車
５が回転自在となる。

この状態でハンドル24が回転されると、ハンドル回動筒
３と遊星歯車14の軸15が回転される。

この時内歯歯車５は回転自在なので、遊星歯車14と内歯
歯車５が同時に回転され、遊星歯車14と噛合する太陽歯
車1aとハンドル駆動軸１に低速で回転が伝達される。

同時にハンドル回動筒３の回動速度とハンドル駆動軸１
の回転速度は同速となり、ハンドル回動筒３とハンドル
駆動軸１は一方向回転クラッチ２を介して直結されて一
体的に回転される。

ハンドル駆動軸１の低速回転で駆動歯車16とピニオン7a
を介してローター17が低速回転され、スプール20に釣糸
が低速で捲回される。

前記のように魚釣用リールの変速装置が構成されると、
遊星歯車14と内歯歯車５は同一厚さ内に収まり、内歯歯
車５と駆動歯車16は外径を略同径に形成することが出来
るので、筺体４が嵩張らず、コンパクトに構成すること
が出来る。

更にハンドル24は高速及び低速で同一方向に回動するこ
とが出来るので操作性が損なわれない。

又、切換ツマミ28の回動でストッパー爪６を内歯歯車５
の係合歯5bに係脱してローター17の回転を高速回転と低
速回転に切換可能としたので、捲き取り負荷の加わって
いる時でも変速切換操作が円滑容易に出来る。

前記説明では魚釣用リールとして魚釣用スピニングリー
ルを図示したが、覆面型リール等他のリールに実施して
もよい。

又、一方向回転クラッチ２としてニードルローラー10と
クラッチ筒11からなる一方向回転クラッチを図示した
が、他の公知の構成のクラッチを使用してもよい。

更に前記説明ではストッパー爪６を巻バネ27で内歯歯車
５側に付勢したが、ストッパー爪６の両側にバネ板を当
てて挟み込む等他の公知の構成で付勢してもよい。

〔考案の効果〕

本考案は前述のように構成されたから、遊星歯車と内歯
歯車は同一厚さ内に収まり、内歯歯車は駆動歯車の外径
と略同径に形成することが出来るので、筺体が嵩張ら
ず、コンパクトに構成することが出来る。更にハンドル
は高速及び低速で同一方向に回動することが出来るので
操作性が損なわれない。又、切換ツマミの回動でストッ
パー爪を内歯歯車の係合歯に係脱してローターの回転を
高速回転と低速回転に切換可能としたので、捲き取り負
荷の加わっている時でも変速切換操作が円滑容易に出来
る等実用上優れた効果を奏する魚釣用リールの変速装置
を提供することが出来る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例が示され、 第１図は魚釣用リールの要部断面側面図、 第２図は変速装置の要部断面側面図、 第３図は一方向回転クラッチの断面正面図、 第４図は内歯歯車の係合歯にストッパー爪が係止された
第２図のIV−IV線断面側面図、 第５図は第４図の内歯歯車の係合歯にストッパー爪が離
脱された断面側面図である。 １…ハンドル駆動軸、1a…太陽歯車、２…一方向回転ク
ラッチ、３…ハンドル回動筒、14…遊星歯車14、５…内
歯歯車、5a…内歯、5b…係合歯、６…ストッパー爪、17
…ローター、20…スプール、24…ハンドル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ハンドルの回転でローターを回転してスプ
   ールに釣糸を捲回する魚釣用リールのハンドル駆動軸に
   一方向回転クラッチを介して釣糸捲取り方向に係合回動
   するハンドル回動筒を設け、該ハンドル回動筒の筺体側
   の端部に軸支した遊星歯車に前記駆動軸に設けた太陽歯
   車と該遊星歯車の外側に設けた内歯歯車を噛合し、更に
   該内歯歯車に設けた係合歯にストッパー爪を係脱自在に
   臨ませた魚釣用リールの変速装置。