JPH0624330U - 管路母線 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 安価な材料で金属容器内面に存在する金属異
物の動きを確実に抑制することにより、優れた経済性を
発揮すると共に安全性及び絶縁性能の向上を図る。 【構成】 本考案の管路母線は、金属容器１内に通電用
の高電圧導体３を絶縁支持部材２にて支持すると共に、
金属容器１内に絶縁ガス４及び液体絶縁物６を密封す
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、管路母線に関するものであり、特に、金属容器内の金属異物対策が 施された管路母線に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、管路母線はガス絶縁開閉装置の母線として、ガス絶縁開閉装置と変圧 器との接続等、変電所内で用いられている。ガス絶縁開閉装置とは、絶縁及び消 弧性能の優れたＳＦ6 ガスを利用した開閉装置であり、所要スペースが小さい、 大気条件に影響されない、環境対策を行い易い等の長所を有している。そのため 、ガス絶縁開閉装置は高電圧送電の変電所における開閉設備として不可欠な装置 となっている。従って、ガス絶縁開閉装置には優れた絶縁性能が要求される。そ れに伴って、ガス絶縁開閉装置に用いられる管路母線にも同様に、高い絶縁性能 が求められる。

【０００３】 ここで、管路母線の従来例を図２に示す。すなわち管路母線は、ＳＦ6 ガスな どの絶縁ガス４を密封した金属容器１内に、絶縁支持部材２を用いて通電用の高 電圧導体３を絶縁支持する構成である。

【０００４】 ところで、絶縁支持部材２は絶縁ガス４中の沿面放電と内部の貫通破壊とを考 慮して絶縁設計を行う必要がある。このうち沿面放電については、異物の混入や 絶縁支持部材２におけるクラック及び微小ギャップが主な発生原因となる。特に 、金属容器１内に導電性を有する異物すなわち金属異物が混入すると、高電圧導 体３に荷電されている運転電圧の電界の影響で、この金属異物が浮上して動き回 り、絶縁性能の低下を招く恐れがある。また、金属異物が針状金属であれば、こ れが金属容器１内で起立すると、場合によっては絶縁破壊事故が発生する危険が あった。

【０００５】 図３に、金属異物７が、金属容器１内の内面から浮上して管路母線のガスギャ ップ空間に位置している時の、金属異物７の金属容器１内面からの高さｇと急峻 波サ−ジでのフラッシオ−バ電圧との関係を示す。この図から分かるように、金 属異物７が金属容器１の内面から浮上する場合（点線にて示す）、金属異物７の 金属容器１内面からの高さｇが増えるに連れて、金属異物が無い場合（一点鎖線 にて示す）に比べて、管路母線の絶縁性能が低下する。なお、金属異物７が金属 容器１内面に倒れている場合は、金属異物７が無い場合とほぼ同様である。 これらの金属異物対策として、 ”PARTICLE-INITIATED BREAKDOWN CHARACTERISTICS AND RELIABILITY IMPROVEM- ENT IN SF6 GAS INSULATION.” IEEE PES 85 SM 306-6 ，1985 に述べられているように、金属容器１内面に、固有抵抗の高い材料から成る絶縁 被膜５（図２に図示）を設けた管路母線が提案されている。この様な管路母線に よれば、絶縁被膜５が金属容器１内に混入した金属異物の起立を抑制することが できる。従って、管路母線における絶縁性能の低下や絶縁破壊事故の発生を防止 することが可能である。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記の管路母線においては、次のような問題点が指摘されてい る。すなわち、絶縁被膜５の固有抵抗が小さいと、その作用が低下するため、絶 縁被膜５には常に固有抵抗が高い材料が用いられている。一般に固有抵抗が高い 材料は高価であるため、管路母線の製造コストが高騰した。

【０００７】 また、金属容器１内面に絶縁被膜５を設けたにせよ、金属容器１に機械的振動 が加わると、その機械力により金属異物が微少な動きをし、その反動で起立し浮 上する可能性がある。金属異物が起立すると、前述したように管路母線における 絶縁性能が低下する等、深刻な問題が生じた。

【０００８】 以上述べたように、金属容器内面に絶縁被膜を設けた管路母線においては、製 造コストが高い点と、機械的振動に弱いという点とが課題となっていた。本考案 はこれらの点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、 安価な材料で金属容器内面に存在する金属異物の動きを確実に抑制することによ り、優れた経済性を発揮すると共に安全性及び絶縁性能の向上を図る管路母線を 提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するために本考案の管路母線は、高電圧導体及び絶縁支持部 材を収納した金属容器内に、絶縁ガス及び液体絶縁物を密封したことを構成上の 特徴とする。

【００１０】

【作用】

上記のような構成を有する本考案の管路母線においては、たとえ金属容器内に 金属異物が混入された状態で金属容器に機械的振動が加えられても、金属容器内 に密封された液体絶縁物の粘性及び表面張力が、その金属異物の起立及び浮上を 抑制することができる。また液体絶縁物は、固有抵抗が高い材料から成る絶縁被 膜と比べれば安価であり、絶縁被膜を有する管路母線に比べて、製造コストを低 減することができる。

【００１１】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図１に基づいて具体的に説明する。尚、図２に示し た従来型と同一部材には同一符号を付している。

【００１２】 図に示すように、ＳＦ6 ガス等の絶縁ガス４を密封した金属容器１内には絶縁 支持部材２によって通電導用の高電圧導体３が支持されている。絶縁支持部材２ は、エポキシ樹脂のような合成樹脂から形成されている。更に、金属容器１内に は絶縁ガス４と絶縁性能が同等以上の液体絶縁物６が密封されている。液体絶縁 物６は常温で液体であるフロロカーボン液等であり、その容積率は金属容器１の 容積に対して、０．１〜３０％の範囲である。

【００１３】 この様な構成を有する本実施例においては、金属容器１内面の底部を液体絶縁 物６が覆うため、仮に金属容器１内に金属異物７が混入されたにせよ、液体絶縁 物６の持つ粘性と表面張力のため絶縁ガス４中よりも、その金属異物７の挙動に 対する抵抗は遥かに大きくなる。そのため、金属異物７が混入された状態で金属 容器１に機械的振動が加えられたとしても、液体絶縁物６の粘性及び表面張力が 、金属異物７の起立及び浮上を確実に抑制することができる。

【００１４】 従って、金属異物７が簡単に金属容器１内を動くことがない。その結果、金属 異物６による絶縁性能の低下及び絶縁破壊事故の発生を防止できる。これにより 、管路母線における安全性及び絶縁性能は大きく向上する。

【００１５】 また、本実施例は従来の管路母線に対して何の変更もなしに適応でき、しかも 液体絶縁物６は、図２に示した絶縁被膜５と比べれば安価である。そのため、管 路母線の製造コストを低減することが可能である。これにより、本実施例は優れ た経済性を発揮することができる。

【００１６】 尚、本考案の管路母線は上記実施例に限定されるものではなく、例えば液体絶 縁物としてゲル状の絶縁材料を金属容器内に密封した実施例も含むものである。 この様な実施例においても、上記実施例と同様の作用効果が得ることが可能であ る。

【００１７】

【考案の効果】

以上説明したように本考案の管路母線によれば、金属容器内を絶縁ガス及び液 体絶縁物にて密封することにより、安価な材料で金属容器内面に存在する金属異 物の動きを確実に抑えることができるため、優れた経済性を発揮すると同時に、 安全性及び絶縁性能の向上を図ることができた。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による管路母線の一実施例を示す断面
図。

【図２】従来の管路母線の断面図。

【図３】金属異物とフラッシオーバ電圧との関係を示す
説明図。

【符号の説明】

１ 金属容器 ２ 絶縁支持部材 ３ 高電圧導体 ４ 絶縁ガス ５ 絶縁被膜 ６ 液体絶縁物 ７ 金属異物

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属容器内に通電用の高電圧導体を絶縁
   支持部材にて支持し、前記金属容器内に絶縁ガスを密封
   した管路母線において、 前記金属容器内に液体絶縁物を密封したことを特徴とす
   る管路母線。