JPH06239674A - 多孔質セラミックス膜、これを用いたガス分離膜、及びその製造方法 - Google Patents

多孔質セラミックス膜、これを用いたガス分離膜、及びその製造方法

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JPH06239674A
JPH06239674A JP5019193A JP5019193A JPH06239674A JP H06239674 A JPH06239674 A JP H06239674A JP 5019193 A JP5019193 A JP 5019193A JP 5019193 A JP5019193 A JP 5019193A JP H06239674 A JPH06239674 A JP H06239674A
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porous ceramic
porous
gas
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JP5019193A
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Chihiro Kawai
千尋 河合
Akira Yamakawa
晃 山川
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B41/00After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
    • C04B41/009After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone characterised by the material treated
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
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    • C04B41/45Coating or impregnating, e.g. injection in masonry, partial coating of green or fired ceramics, organic coating compositions for adhering together two concrete elements
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
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    • C04B41/53After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone involving the removal of at least part of the materials of the treated article, e.g. etching, drying of hardened concrete
    • C04B41/5338Etching
    • C04B41/5353Wet etching, e.g. with etchants dissolved in organic solvents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 圧力損失が小さく且つ目詰まりが少ないガス
分離膜として有用な多孔質セラミックス膜、及びかかる
多孔質セラミックス膜を短時間で簡単且つ容易に製造す
る方法を提供する。 【構成】 Si等のアルコキシド、B等のアルコキシ
ド、酸素ガスを原料ガスとするCVD法により、多孔質
セラミックス焼結体からなる基材上に400〜1200
℃の温度でSiO2−B23等の複合酸化物膜を形成
し、この複合酸化物膜を耐酸性又は耐アルカリ性の差を
利用してエッチング処理することによりB23等の特定
酸化物のみを除去する方法により製造され、B23等の
特定酸化物の除去された跡に形成された細孔が基材との
接合面から他方の膜表面までほぼ直線状に連通したナノ
メーターサイズの孔径を有し、本質的にSi、Zr、T
i、Hf、Pb又はAlの酸化物からなる多孔質セラミ
ックス膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ナノメーターサイズの
細孔を有する多孔質セラミックス膜、この多孔質セラミ
ックス膜を用いたガス分離膜、及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、地球温暖化現象が問題となるにつ
れ、その元凶とされるCO2ガスの排出規制が厳しくな
り、火力発電所等では燃焼後の排ガスからCO2を分離
する技術が必要となってきている。このようなガス分離
には、特定のガス分子のみを通過させるために、ナノメ
ーターサイズの孔径の細孔を有する多孔質膜が必要とさ
れている。
【0003】ナノメーターサイズの孔径の細孔を有する
多孔質材料としては、多孔質ガラスが良く知られてい
る。多孔質ガラスは、分相法又はゾルゲル法によって合
成されている。即ち、分相法では、ホウケイ酸ソーダガ
ラスを熱処理によりSiO2に富む相とNa2O・B23
に富む相に分相させた後、酸又はアルカリ水溶液で処理
してNa2O・B23に富む相を溶出することにより、多
孔質の石英ガラスが得られる。又、ゾルゲル法によって
も、Si等の各種金属のアルコキシドの溶液を加水分解
してゾル状態とし、これを基板等に塗布して乾燥ゲル化
することで、多孔質ガラスを合成することが出来る。
【0004】しかし、このようにして合成された多孔質
ガラスでは、その細孔をナノメーターサイズにすること
が出来るものの、図2に示すごとく、ガラス骨格2中に
存在する細孔1が方向性に乏しいため、ガス分離膜とし
て用いた場合にはガス通過時の圧力損失が大きくなり、
分離処理量が小さいという問題があった。又、細孔1の
方向性が乏しいので、被分離ガス中に少量の浮遊微粒子
が存在すると目詰まりが生じ、フィルター機能を十分に
発揮できないという欠点があった。
【0005】更に、多孔質ガラスをガス分離に用いるた
めには薄膜化する必要があるが、分相法では薄膜化が困
難であるため、この点からもガス通過時の圧力損失が一
層大きくなる欠点がある。一方、ゾルゲル法では膜厚の
均一化が難しいため、ガス分離膜とした場合に圧力損失
値の制御が極めて困難である。しかも、分相法では分相
させるために長時間の加熱を行い、ゾルゲル法ではゾル
調整後の乾燥工程に長時間を要するため、製造が容易で
はなく、ガス分離膜としてのコストが高くなる欠点があ
った。
【0006】その外にも、ナノメーターサイズの孔径の
細孔を有する多孔質材料の製造方法として、陽極酸化法
やトラックエッチング法が知られている。陽極酸化法は
アルミニウムを陽極酸化することにより多孔質アルミナ
とする方法であり、トラックエッチング法はマイカに放
射線を当て、放射線の軌跡をエッチングすることにより
多孔質化する方法である。これらの方法により得られる
細孔は、膜厚方向にほぼ直線状に伸びた形状を持つとさ
れている。
【0007】しかしながら、陽極酸化法の場合には、膜
の材質がアルミナに限定され、他のセラミックスに応用
できない欠点がある。又、陽極板の一部として残るアル
ミニウムを除去しなければ、ガス分離等の多孔質膜とし
て使用できない。トラックエッチング法は放射線を用い
るため、設備の面でも大量処理の点でも現実的ではな
く、材質もマイカに限定されるため汎用性のある方法と
は言い難い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
の事情に鑑み、圧力損失が小さく且つ目詰まりが少ない
ガス分離膜として有用な多孔質セラミックス膜を提供す
ること、及びかかる多孔質セラミックス膜を短時間で簡
単且つ容易に製造する方法を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明が提供する多孔質セラミックス膜は、連通気
孔を有する多孔質セラミックス焼結体からなる基材上に
接合され、本質的にSi、Zr、Ti、Hf、Pb及び
Alからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素の酸
化物からなり、前記基材との接合面から他方の膜表面ま
でほぼ直線状に連通したナノメーターサイズの孔径の細
孔を有することを特徴とする。
【0010】又、かかる多孔質セラミックス膜は、S
i、Zr、Ti、Hf、Pb及びAlからなる群から選
ばれた少なくとも1種の元素のアルコキシドと、B、ア
ルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選ばれ
た少なくとも1種の元素のアルコキシドと、酸素ガスと
を原料ガスとして用いるCVD法により、連通気孔を有
する多孔質セラミックス焼結体からなる基材上に400
〜1200℃の温度で両群の元素の複合酸化物膜を形成
し、この複合酸化物膜を酸又はアルカリ水溶液でエッチ
ング処理することにより前記B、アルカリ金属又はアル
カリ土類金属の酸化物のみを除去する方法により製造す
ることが出来る。
【0011】尚、基材となる多孔質セラミックス焼結体
は既に公知であり、濾過材、担体、センサー等として利
用されている。本来、セラミックス焼結体は粉末を焼結
したものであるから数μm程度の孔径の気孔が多数存在
するが、この孔径を圧粉体の充填率や焼結条件等により
制御して気孔を積極的に形成させたものが多孔質セラミ
ックス焼結体である。ただし、本発明ではガス分離を目
的とするので、多孔質セラミックス焼結体のうち連通気
孔のものを使用する。
【0012】
【作用】圧力損失の小さいガス分離膜を得るには、膜中
に存在する細孔に方向性を持たせる必要がある。本発明
者らは、この様な方向性を持った細孔を形成する方法を
研究した結果、2種以上の金属アルコキシドを原料ガス
としたCVD法(化学気相合成法)により基材上に複合
酸化物膜を形成し、複合酸化物膜中の各酸化物の耐酸性
又は耐アルカリ性の差を利用して特定酸化物のみをエッ
チング除去することによって、残った酸化物からなる膜
中に方向性を持った細孔を形成し得ることを見いだし、
本発明に至ったものである。
【0013】尚、CVD法そのものは公知であり、金属
アルコキシドを用いたCVD法による酸化物膜の形成も
半導体素子製造過程におけるSiO2等の絶縁膜の形成
等に使用されている。しかし、半導体分野における酸化
膜はSiO2等の単一酸化物が多く、BやP等の元素を
微量にドーピングする場合もあるが、これは膜表面の平
滑性や膜強度を改善するために過ぎない。これに対して
本発明方法は、CVD法により2種類の酸化物が互いに
多量に複合したマクロな複合組織を形成し、その複合酸
化物のうちの特定酸化物のみをエッチング除去するもの
である。
【0014】即ち、本発明の2種以上の金属アルコキシ
ドを原料ガスとしたCVD法によれば、基材上に形成さ
れる複合酸化物中の各酸化物相が、ナノメーターのオー
ダーで微細に混合された疑似分相状態になる。しかも、
複合酸化物膜を形成するための基材の温度を400℃以
上にすることによって、各酸化物相を膜厚方向に伸長し
た柱状組織とすることが出来るので、その中の特定酸化
物のみをエッチング除去した跡に膜厚方向に直線状に伸
びた方向性を有する細孔が得られる。ただし、基材の温
度が1200℃を越えると、成膜されずに粉末状物質が
生成するようになるので、1200℃以下の温度とする
ことが好ましい。
【0015】本発明方法によれば、除去されるべき特定
酸化物が方向性を持ち、且つナノメーターのオーダーで
複合酸化物中に微細に混合された疑似分相状態で存在す
るので、これが除去されて形成される細孔の孔径をナノ
メーター(nm=10-9m)のオーダーに制御できるう
え、殆ど全ての細孔に方向性を持たせることが可能であ
る。従って、本発明の多孔質セラミックス膜は、基材と
の接合面から他方の膜表面までほぼ直線状に連通したナ
ノメーターサイズの孔径の細孔を有し、従ってガス分離
膜として使用した時に圧力損失を小さくすることが出来
る。
【0016】基材とする公知の多孔質セラミックス焼結
体の気孔は、本発明の多孔質セラミックス膜に比べて遥
かに大きいので、基材による圧力損失は殆ど無視するこ
とが出来る。しかも、CVD法で形成された多孔質セラ
ミックス膜は基材に接合しているので、機械的強度に優
れている。又、CVD法により基材の形状に沿って均一
な膜厚の複合酸化物膜を成膜できるので、得られる多孔
質セラミックス膜は膜厚が均一であるうえ、形状的にも
平板状のものに限られず、基材の形状を選ぶだけで曲面
状や円筒状等の各種の任意の形状の多孔質セラミックス
膜を得ることが可能である。
【0017】複合酸化物膜から特定の酸化物のみをエッ
チング除去するためには、複合酸化物を構成する2種以
上の酸化物の耐酸性又は耐アルカリ性の差が大きいほど
好ましい。この様な組み合わせとして、耐酸性又は耐ア
ルカリ性に優れた酸化物であるSiO2、ZrO2、Ti
2、HfO2、PbO2又はAl23と、耐酸化物又は
耐アルカリ性に劣る酸化物であるB23や、Li、N
a、K等のアルカリ金属及びMg、Ca、Sr、Ba等
のアルカリ土類金属の酸化物がある。特に、耐酸性及び
耐アルカリ性共に優れているSiO2は、エッチング処
理後に残って多孔質セラミックス膜を構成する成分とし
て好ましい。
【0018】従って、本発明におけるCVD法の原料ガ
スとしては、耐酸性又は耐アルカリ性に優れた酸化物の
原料となるSi、Zr、Ti、Hf、Pb及びAlから
なる群から選ばれた少なくとも1種の元素のアルコキシ
ドと、耐酸性又は耐アルカリ性に劣る酸化物の原料とな
るB、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群か
ら選ばれた少なくとも1種の元素のアルコキシドとの、
2種類の金属アルコキシドが必要である。又、緻密で且
つ基材との密着性に優れた多孔質セラミックス膜を得る
ために、2種類の金属アルコキシドと共に酸素ガスを用
いることが必要である。
【0019】これらの原料ガスはAr、He、N2等の
不活性ガスのキャリアガスによって搬送されるが、原料
ガスのうち2種類の金属アルコキシドの流量割合は疑似
分相状態になったそれぞれの酸化物の柱状組織の微細
さ、従って最終的に得られる細孔の孔径を決める上で重
要である。即ち、B、アルカリ金属又はアルカリ土類金
属のアルコキシドの割合を少なくするほど、耐酸性又は
耐アルカリ性に劣る酸化物の柱状組織が微細になり且つ
得られる細孔の孔径も小さくなるが、上記アルコキシド
の割合が少なすぎると基材との接合面から他方の膜表面
まで膜厚方向に連通した細孔が得られなくなるので注意
を要する。
【0020】又、2種類の金属アルコキシドの割合を一
定に保持すれば、耐酸性又は耐アルカリ性に優れるもの
と劣るものの2種類の酸化物の組成がほぼ一定になるの
で、得られる細孔の孔径と気孔率がほぼ一定になる。一
方、この割合を途中で変化させれば、即ち少なくとも片
方の金属アルコキシドのガス流量を段階的又は連続的に
増加又は減少させたり、両方のアルコキシドのうち片方
の流量を段階的又は連続的に増加させ且つ他方の流量を
段階的又は連続的に減少させれば、2種類の酸化物の組
成が段階的又は連続的に変化するので、得られる膜の気
孔率及び細孔の孔径を基材との接合面から他方の膜表面
まで膜厚方向に沿って段階的に又は連続的に変えること
が可能である。
【0021】例えば、所定の成膜時間が経過する毎に、
Siのアルコキシドの流量を段階的に増加させ且つBの
アルコキシドの流量を段階的に減少させると、図1に示
すように、膜表面側(図面の上側)になるほどB23
少なくなるようにSiO2とB23の組成が段階的に変
化した柱状組織のSiO2−B23複合酸化膜が形成さ
れる。従って、この複合酸化膜を例えばHCl水溶液で
エッチングすると、酸に弱いB23が溶解除去されて、
その部分に孔径が段階的に変化した細孔が形成され、従
って残ったSiO2からなる多孔質セラミックス膜の気
孔率も当然に段階的に変化したものとなる。
【0022】この様な気孔率及び孔径が膜厚方向に傾斜
した多孔質セラミックス膜は、被分離ガスの成分に合わ
せて分離機能を分担化することが出来る。例えば、火力
発電所の排気ガス中には浮遊微粒子が数多く存在してお
り、これがフィルターの目詰まりを生じさせるため、従
来は微粒子を分離するフィルターを特別に設置する必要
があった。ところが、気孔率及び孔径が膜厚方向に傾斜
した多孔質セラミックス膜を使用すれば、細孔の孔径が
大きな部分でまず微粒子を除去し、その後に孔径の小さ
な部分でCO2を分離することができる。
【0023】
【実施例】実施例1 気孔率が40%及び気孔径が約1μmの市販の多孔質ア
ルミナ焼結体を基材とし、この基材上にCVD法により
以下の条件でSiO2−B23系複合酸化物膜を膜厚約
100μmとなるように成膜した。
【0024】 ガス流量:Si(OC25)4 0.15 l/min B(OCH3)3 0.16 l/min O2 1.00 l/min He 2.50 l/min 温 度:900℃ 圧 力:90Torr
【0025】得られたSiO2−B23系複合酸化物膜
の組成はB/(B+Si)比で約45モル%であり、膜全
体でほぼ一定であった。この複合酸化物膜を5%HCl
水溶液に浸漬して75℃で約30分間のエッチング処理
を行い、B23相を溶解させて除去することにより、実
質的にSiO2からなり、気孔率が約40%で孔径が約
10nmの細孔を有する多孔質セラミックス膜が得られ
た。
【0026】この基材上に形成された多孔質セラミック
ス膜をフィルターとして、図3に示す装置に多孔質セラ
ミックス膜3を上流側に向けて組み込み、10kg/c
2の圧縮空気5を10l/minの流速でフィルター
上流側に導入し、多孔質セラミックス膜3と基材4を通
して大気に解放したフィルター下流側に流しながら、フ
ィルター上流側の圧力を圧力計6で測定した。
【0027】比較のために、分相法で製造した気孔率が
約40%で孔径が約10nmの通常の多孔質ガラス(厚
さ約100μm)を、図3の装置にフィルターとして同
様に組み込み、同じ条件でフィルター上流側の圧力を測
定した。その結果、多孔質ガラスを用いた場合の上流側
圧力は4.3kg/cm2であったのに対し、本発明の多
孔質セラミックス膜を用いた場合には上流側圧力を2.
2kg/cm2まで低下させることができ、圧力損失が
極めて小さいことがわかる。
【0028】実施例2 気孔率が40%及び気孔径が約1μmの多孔質アルミナ
焼結体からなり、内径が約10mmで肉厚1mmの一端
を閉塞した有底円筒状の基材を用い、この基材の外側に
CVD法により以下の条件でSiO2−TiO2−Na2
O系複合酸化物膜を膜厚約100μmとなるように成膜
した。
【0029】 ガス流量:Si(OC25)4 0.15 l/min Ti(OCH3)3 0.12 l/min Na(OC25) 0.07 l/min O2 0.50 l/min Ar 1.20 l/min 温 度:800℃ 圧 力:100Torr
【0030】得られたSiO2−TiO2−Na2O系複
合酸化物膜の組成は原子比でSi:Ti:Na=36:
22:42であり、膜全体でほぼ一定であった。この複
合酸化物膜を5%HCl水溶液に浸漬して75℃で約1
0分間のエッチング処理を行い、Na2O相を溶解させ
て除去することにより、実質的にSiO2−TiO2から
なり、気孔率が約46%で孔径が約6nmの細孔を有す
る多孔質セラミックス膜が得られた。
【0031】この基材上に形成された多孔質セラミック
ス膜を有底円筒状のガス分離フィルターとして、図4に
示す装置に多孔質セラミックス膜3を上流側に向けて組
み込み、H2:N2を1:1に混合した被分離ガス7をフ
ィルター上流側に導入し、フィルター下流側の真空ポン
プ8により3kg/cm2の圧力と1.0l/minの流
速で多孔質セラミックス膜3と基材4を通して吸引しな
がら、5分後におけるフィルター上流側の圧力を圧力計
6で測定し、ガス分析装置9によりフィルターを通過し
たガスの組成を測定した。
【0032】比較のために、通常の分相法で製造した気
孔率が約45%で孔径が約6nmの多孔質ガラス(厚さ
約100μm)からなる上記と同様の有底円筒状のフィ
ルターを用意して図4の装置に同様に組み込み、上記と
同じ条件でフィルター上流側の圧力とフィルターを透過
したガスの組成を測定した。これらの測定結果を表1に
示す。
【0033】
【表1】
【0034】表1の結果から、本発明の多孔質セラミッ
クス膜はガス分離膜として多孔質ガラス膜と同等のガス
分離能を有すると同時に、従来の多孔質ガラス膜に比べ
て圧力損失を遥かに小さくできることが判る。
【0035】実施例3 実施例2と同じ多孔質アルミナ製の有底円筒状の基材を
用い、この基材の外側にCVD法により以下の条件でZ
rO2−TiO2−CaO系複合酸化物膜を膜厚約100
μmとなるように成膜した。
【0036】 ガス流量:Zr(OC25)4 0.15 l/min(一定に
保持) Ti(OCH3)3 0.05→0.15 l/min(0.00
1 l/minの割合で連続的に増加) Ca(OC25) 0.30→0.10 l/min(0.00
2 l/minの割合で連続的に減少) O2 1.20 l/min Ar 1.20 l/min 温 度:800℃ 圧 力:100Torr
【0037】得られたZrO2−TiO2−CaO系複合
酸化物膜の組成は、基材との接合面から他方の膜表面に
向かってCaO相が連続的に減少した傾斜組成であっ
た。この複合酸化物膜を5%NaOH水溶液に浸漬して
80℃で約20分間のエッチング処理を行い、CaO相
を溶解させて除去することにより、実質的にZrO2
TiO2からなり、気孔率が約38%の多孔質セラミッ
クス膜が得られた。尚、この多孔質セラミックス膜の細
孔は、基材との接合面側で孔径が約0.5μmと大き
く、他方の膜表面に向かうに従って徐々に孔径が小さく
なり、他方の膜表面での孔径は約8nmとなっていた。
【0038】この基材上に形成された多孔質セラミック
ス膜を有底円筒状のガス分離フィルターとして、実施例
2と同様に図4に示す装置に多孔質セラミックス膜3を
上流側に向けて組み込み、平均粒径0.1μmのZrO2
微粒子を1%含みH2:N2を1:1に混合した被分離ガ
ス7をフィルター上流側に導入し、フィルター下流側の
真空ポンプ8により3kg/cm2の圧力と10l/m
inの流速で吸引しながら、ガス透過時のフィルター上
流側の圧力とフィルターを通過したガスの組成の経時変
化を測定した。
【0039】比較のために、分相法で製造した気孔率が
約45%で孔径が約8nmの通常の多孔質ガラス(厚さ
約100μm)からなり、上記と同様の有底円筒状のフ
ィルターを用意して図4の装置に同様に組み込み、上記
と同じ条件でフィルター上流側の圧力とフィルターを通
過したガスの組成の経時変化を測定した。これらの測定
結果を表2に示す。
【0040】
【表2】 経過時間 フィルター上流 透過ガスの組成試 料 (min) 圧力 (kg/cm2) (H2:N2のvol比) 本発明品 5 1.0 92:8 〃 10 1.2 92:8 〃 15 1.3 93:7 〃 20 1.5 95:5 比 較 品 5 1.0 91:9 〃 10 1.2 91:9 〃 15 2.3 92:8 〃 20 2.9(殆ど透過せず)92:8
【0041】表2の結果から判るように、従来の多孔質
ガラスからなるフィルターではガス中の微粒子により目
詰まりが発生し、20分経過後には殆どガスが透過しな
くなったのに対し、本発明の孔径が傾斜した細孔を有す
る多孔質セラミックス膜を用いたフィルターでは目詰ま
りが発生せず、良好な透過状態を維持できる。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、CVD法で基材上に形
成した複合酸化物中の特定酸化物を耐酸又は耐アルカリ
性の差によりエッツチング除去する方法を用いて、従来
の多孔質ガラス等に比べて短時間で簡単且つ容易に、膜
厚方向に沿いほぼ直線状に連通したナノメーターサイズ
の孔径の細孔を有する多孔質セラミックス膜、特に細孔
の孔径及び気孔率を変化させた多孔質セラミックス膜
を、多孔質セラミックス焼結体の基材上に接合した形で
製造することが出来る。
【0043】この多孔質セラミックス焼結体基材上の多
孔質セラミックス膜は、膜厚が均一で、膜厚方向に沿い
ほぼ直線状に連通したナノメーターサイズの孔径の細孔
を有するので、ガス透過時の圧力損失が極めて小さいガ
ス分離膜として有用である。しかも、細孔の孔径及び気
孔率を変化させた多孔質セラミックス膜では、圧力損失
が小さいうえに、浮遊微粒子による目詰まりが少ないと
いう利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるCVD法により形成した複合酸
化物膜を説明するための模式的な断面図である。
【図2】従来の分相法により製造した多孔質ガラスの断
面図である。
【図3】実施例で用いたガス分離装置の概略断面図であ
る。
【図4】実施例で用いた別のガス分離装置の概略断面図
である。
【符号の説明】
1 細孔 2 ガラス骨格 3 多孔質セラミックス膜 4 基材 5 圧縮空気 6 圧力計 7 被分離ガス 8 真空ポンプ 9 ガス分析装置

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連通気孔を有する多孔質セラミックス焼
    結体からなる基材上に接合され、本質的にSi、Zr、
    Ti、Hf、Pb及びAlからなる群から選ばれた少な
    くとも1種の元素の酸化物からなり、前記基材との接合
    面から他方の膜表面までほぼ直線状に連通したナノメー
    ターサイズの孔径の細孔を有することを特徴とする多孔
    質セラミックス膜。
  2. 【請求項2】 膜の気孔率及び細孔の孔径が、基材との
    接合面から他方の膜表面まで膜厚方向に沿って段階的に
    又は連続的に変化していることを特徴とする、請求項1
    記載の多孔質セラミックス膜。
  3. 【請求項3】 Si、Zr、Ti、Hf、Pb及びAl
    からなる群から選ばれた少なくとも1種の元素のアルコ
    キシドと、B、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から
    なる群から選ばれた少なくとも1種の元素のアルコキシ
    ドと、酸素ガスとを原料ガスとして用いるCVD法によ
    り、連通気孔を有する多孔質セラミックス焼結体からな
    る基材上に400〜1200℃の温度で両群の元素の複
    合酸化物膜を形成し、この複合酸化物膜を酸又はアルカ
    リ水溶液でエッチング処理することにより前記B、アル
    カリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物のみを除去する
    ことを特徴とする多孔質セラミックス膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 Si、Zr、Ti、Hf、Pb及びAl
    からなる群から選ばれた少なくとも1種の元素のアルコ
    キシドのガス流量、又はB、アルカリ金属及びアルカリ
    土類金属からなる群から選ばれた少なくとも1種の元素
    のアルコキシドのガス流量を段階的又は連続的に増加又
    は減少させるか、若しくは両方のアルコキシドのガス流
    量のうち片方を段階的又は連続的に増加させ且つ他方を
    段階的又は連続的に減少させて、両群の元素の複合酸化
    物膜を形成することを特徴とする、請求項3記載の多孔
    質セラミックス膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 連通気孔を有する多孔質セラミックス焼
    結体からなる基材と、基材上に接合された多孔質セラミ
    ックス膜とからなり、多孔質セラミックス膜が本質的に
    Si、Zr、Ti、Hf、Pb及びAlからなる群から
    選ばれた少なくとも1種の元素の酸化物からなり、且つ
    前記基材との接合面から他方の膜表面までほぼ直線状に
    連通したナノメーターサイズの孔径の細孔を有すること
    を特徴とするガス分離膜。
  6. 【請求項6】 多孔質セラミックス膜の気孔率及び細孔
    の孔径が、基材との接合面から他方の膜表面まで膜厚方
    向に沿って段階的に又は連続的に変化していることを特
    徴とする、請求項5記載のガス分離膜。
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