JPH06227244A - 車両用ヒートポンプ式冷暖房装置 - Google Patents

車両用ヒートポンプ式冷暖房装置

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JPH06227244A
JPH06227244A JP1478393A JP1478393A JPH06227244A JP H06227244 A JPH06227244 A JP H06227244A JP 1478393 A JP1478393 A JP 1478393A JP 1478393 A JP1478393 A JP 1478393A JP H06227244 A JPH06227244 A JP H06227244A
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JP
Japan
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heat
refrigerant
compressor
heat exchanger
temperature
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JP1478393A
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Takayoshi Matsuoka
孝佳 松岡
Naohito Yamada
尚人 山田
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 車室外の気候条件に左右されず、大巾設計変
更なしに電気自動車などにも適し、窓晴れ性と暖房能力
を両立し消費電力を低減し、しかも蓄熱能力に応じた制
御可能で常に安定した制御可能な冷暖房装置。 【構成】 圧縮機31、車室外熱交換器38、放熱用車
室内熱交換器33、膨脹手段36、吸熱用車室内熱交換
器35、冷媒流路切換手段32を設け、圧縮機31の仕
事量を車両の熱環境条件に基づき決定した目標値に応じ
可変制御する圧縮機制御手段43と、熱交換器33と圧
縮機31との間で外部熱源からの蓄熱を冷媒に放熱する
蓄熱手段104と、蓄熱手段への導入冷媒量調整の蓄熱
調整手段102と、蓄熱手段から冷媒への放熱状態の増
減要素検出手段107と、この要素に応じて蓄熱手段か
ら冷媒への放熱状態判断手段43と、この放熱状態に応
じて蓄熱調整手段を可変制御する制御手段43とからな
る車両用ヒートポンプ式冷暖房装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、コンプレッサの駆動
により冷媒を車室外熱交換器および車室内熱交換器に循
環させる蒸気圧縮サイクルを備えた車両用ヒートポンプ
式冷暖房装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の車両用ヒートポンプ式冷暖房装置
としては、特開平2−290475号公報や実開平2−
130808号公報などに開示されているように、四方
弁で冷媒の流れを暖房運転時と冷媒運転時とで逆転さ
せ、暖房運転時には、車室外熱交換器を吸熱器として使
用すると共に、車室内熱交換器を放熱器として使用し、
冷房運転時には、車室外熱交換器を放熱器として使用す
ると共に、車室内熱交換器を吸熱器として使用するよう
にしたものが知られている。
【0003】具体的には、上記特開平2−290475
号公報に開示された冷暖房装置を、図18に図示して説
明する。つまり、暖房運転時には、四方弁2が実線示の
ように切り換えられ、冷媒がコンプレッサ1→四方弁2
→第1車室内熱交換器3→加熱用熱交換器4→第2車室
内熱交換器5→膨張弁6→車室外熱交換器7→四方弁2
→レシーバ8→コンプレッサ1と循環し、第1車室内熱
交換器3がコンプレッサ1から吐出された高温なる冷媒
の熱をブロアファン9で導入された空気に放熱して車室
内暖房用の温風を作り、加熱用熱交換器4がエンジン1
0からの廃熱を冷媒に吸熱し、この冷媒の熱を第2車室
内熱交換器5がブロアファン11で導入された空気に放
熱して車室内暖房用の温風を作り、車室外熱交換器7が
ファン12で導入された外気の熱を冷媒に吸熱する。冷
房運転時には、四方弁2が点線示のように切り換えら
れ、冷媒がコンプレッサ1→四方弁2→車室外熱交換器
7→膨張弁6→第2車室内熱交換器5→第1車室内熱交
換器3→四方弁2→レシーバ8→コンプレッサ1と循環
し、車室外熱交換器7がコンプレッサ1から吐出さたれ
高温なる冷媒の熱を外気に放熱し、第1,第2車室内熱
交換器3,5がブロアファン9,11で導入された空気
の熱を冷媒に放熱して車室内冷房用の冷風を作る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】かかる従来例にあって
は、四方弁2で冷媒の流れを暖房運転時と冷媒運転時と
で逆転させ、暖房運転時には、車室外熱交換器7を吸熱
器として使用すると共に、車室内熱交換器3,5を放熱
器として使用して車室内暖房用の温風を作り、冷房運転
時には、車室外熱交換器7を放熱器として使用すると共
に、車室内熱交換器3,5を吸熱器として使用して車室
内冷房用の冷風を作るようになっているので、外気温が
低い時や走行時あるいは降雨時、さらに降雪時などのよ
うな気候条件において、暖房運転を行なうと、車室外熱
交換器7での吸熱量が減少する。そして、コンプレッサ
1の仕事量が一定であると仮定すると、車室外熱交換器
7からの吸熱量とコンプレッサ1の仕事量との合計熱量
を放熱する車室内熱交換器3,5での放熱量が減少し、
暖房能力が低下する。しかも、上記気候条件では、着霜
現象が生じ易く、デフロスト運転の回数が増加して安定
した暖房運転が得られなくなる恐れがある。
【0005】また、冷房運転時と暖房運転時とで冷媒の
流れ方向が変わるため、車室外熱交換器7側、車室内熱
交換器3,5側のいずれの配管も高温、高圧に耐えられ
るよう管径等を変更する必要があった。
【0006】また、車両の暖房装置に要求される窓晴れ
性を確保するには、暖房運転ではなく冷房運転を行い、
車室内熱交換器3,5で空調風を一度冷却した後、これ
をさらにリヒートする必要がある。しかし、電気自動車
のように、エンジン等からの廃熱が得られず、充分なリ
ヒート熱源が供給できない場合は、暖房能力が不足して
しまい、暖房性能が全く確保できなくなる恐れがあっ
た。また、電気ヒータ等の他の熱源を設けてリヒートす
ることも可能であるが、この場合、充分な暖房能力を確
保するためには、多大な消費電力を要するという問題が
あった。
【0007】これに対処するため、本願出願人は、特願
平3−345950号として新たな車両用ヒートポンプ
式冷暖房装置を提案している。この装置は、吸熱用車室
内熱交換器の他に放熱用車室内熱交換器を設け、三方弁
で切り換えるようにしたものである。かかる装置によれ
ば、車室外の気候条件に左右されず安定した制御で冷暖
房能力を向上することができ、大幅な設計変更を必要と
せず、電気自動車などにも適し、しかも除湿暖房を行な
うことができる。
【0008】具体的には図19のようになっており、暖
房運転時には三方弁32が実線示のように切り換えら
れ、冷媒がコンプレッサ31→三方弁32→放熱用車室
内熱交換器33→液タンク36→膨脹弁34→吸熱用車
室内熱交換器35→コンプレッサ31と循環し、ブロア
ファンで導入された空気は吸熱用車室内熱交換器35で
の熱交換により冷やされ、冷却除湿された後、放熱用車
室内熱交換器33での熱交換により温められ、車室内暖
房用の温風が作られる。
【0009】また、冷房運転時には、三方弁32が点線
示のように切り換えられ、冷媒がコンプレッサ31→三
方弁32→車室外熱交換器38→逆止弁70→放熱用車
室内熱交換器33→液タンク36→膨脹弁34→吸熱用
車室内熱交換器35→コンプレッサ31と循環し、車室
外熱交換器38がコンプレッサ1から吐出された高温な
冷媒の熱を外気に放熱し、ブロアファンで導入された空
気が吸熱用車室内熱交換器35で熱交換されて冷やさ
れ、車室内冷房用の冷風が作られる。
【0010】このように、新たな冷暖房装置では、暖房
運転時に吸熱用車室内熱交換器35の冷却で除湿し、放
熱用車室内熱交換器33でリヒートするため、理論的に
はコンプレッサ入力分の熱量を暖房熱とし、電気ヒータ
等の熱源を必要とせずに除湿暖房運転ができるのであ
る。従って、コンプレッサ31の入力を増加することに
より、充分な除湿暖房運転ができる。
【0011】しかし、コンプレッサ31の入力が大きく
増加すると、これに伴って消費電力も増大してしまうと
いう問題があった。特に、電気自動車では、消費電力の
増大が走行距離に大幅に影響するため、コンプレッサ3
1の入力を低減させる制御が要求されることになる。
【0012】また、コンプレッサ31の入力の増加は、
吸熱用車室内熱交換器の凍結を招く恐れがあるため、通
常の運転においては、コンプレッサ31の入力を一定範
囲とし、吸熱用車室内熱交換器35が凍結しない範囲で
除湿暖房を行う必要がある。このため、暖房能力に限界
が生じ、消費電力の低減と、除湿による窓晴れ性と、充
分な暖房能力とを共に成立させることに限界があった。
【0013】また、暖房能力の急増を要する起動時等に
は、コンプレッサ入力の増加を抑え、窓晴れ性を維持
し、かつ暖房能力の増大を図ることが困難であった。
【0014】そこでこの発明は、除湿暖房を可能とし、
車室外の気候条件に左右されず安定した制御で冷暖房能
力を向上することができ、大幅な設計変更を必要とせ
ず、電気自動車等にも適し、しかも、廃熱等を蓄熱して
これを利用することにより消費電力を抑えつつコンプレ
ッサ入力量を増加して暖房能力を増大させることがで
き、消費電力の低減と窓晴れ性と充分な暖房能力とを無
理なく成立させ、さらに蓄熱能力に応じた制御を可能と
することができる車両用ヒートポンプ式冷暖房装置の提
供を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に記載の発明は、冷媒に仕事量を加えるコ
ンプレッサと、このコンプレッサの冷媒吐出側に接続さ
れ、冷媒の熱を外気に放熱する車室外熱交換器と、前記
コンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の熱を送風
手段により導入された空気と熱交換して温い空調風を作
る放熱用車室内熱交換器と、この放熱用車室内熱交換器
の冷媒流出側に接続された膨張手段と、この膨張手段の
冷媒流出側と前記コンプレッサの冷媒吸入側とに接続さ
れ、送風手段により導入された空気の熱を前記車室外熱
交換器および前記放熱用車室内熱交換器の少なくとも一
方から前記膨張手段を通して供給された冷媒と熱交換し
て冷たい空調風を作る吸熱用車室内熱交換器と、前記コ
ンプレッサの冷媒吐出側と前記車室外熱交換器および前
記放熱用車室内熱交換器の冷媒流入側との間に設けら
れ、コンプレッサから吐出される冷媒を、冷房運転時に
少なくとも前記車室外熱交換器に導入し、暖房運転時に
前記車室外熱交換器を回避して前記放熱用車室内熱交換
器に導入する冷媒流路切換手段と、前記放熱用車室内熱
交換器の冷媒吐出側と前記コンプレッサの冷媒流入側と
に接続され、外部熱源からの熱量を蓄熱して冷媒に放熱
する蓄熱手段と、この蓄熱手段の冷媒流入側に接続され
前記蓄熱手段に導入する冷媒量を調整する蓄熱調整手段
と、前記蓄熱手段から冷媒への放熱状態の増減に関する
要素を検出する放熱要素検出手段と、この放熱要素検出
手段の検出した要素に応じて前記蓄熱手段から冷媒への
放熱状態を判断する放熱状態判断手段と、この放熱状態
判断手段の判断した放熱状態に応じて前記蓄熱調整手段
を可変制御する制御手段とを設けた構成としてある。
【0016】請求項2に記載の発明は、請求項1記載の
車両用ヒートポンプ式冷暖房装置であって、前記放熱要
素検出手段は、前記コンプレッサに流入する冷媒温度又
は前記蓄熱手段に導入する冷媒温度の少なくとも一方を
検出し、前記放熱状態判断手段は、前記冷媒温度がほぼ
一定状態にあるとき前記蓄熱手段から冷媒への放熱量が
低下したと判断し、前記制御手段は、前記放熱状態判断
手段が前記蓄熱手段から冷媒への放熱量が低下したと判
断したときに前記蓄熱調整手段により前記蓄熱手段への
冷媒の導入を停止する構成としてある。
【0017】請求項3に記載の発明は、冷媒に仕事量を
加えるコンプレッサと、このコンプレッサの冷媒吐出側
に接続され、冷媒の熱を外気に放熱する車室外熱交換器
と、前記コンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の
熱を送風手段により導入された空気と熱交換して温い空
調風を作る放熱用車室内熱交換器と、この放熱用車室内
熱交換器の冷媒流出側に接続された膨張手段と、この膨
張手段の冷媒流出側と前記コンプレッサの冷媒吸入側と
に接続され、送風手段により導入された空気の熱を前記
車室外熱交換器および前記放熱用車室内熱交換器の少な
くとも一方から前記膨張手段を通して供給された冷媒と
熱交換して冷たい空調風を作る吸熱用車室内熱交換器
と、前記コンプレッサの冷媒吐出側と前記車室外熱交換
器および前記放熱用車室内熱交換器の冷媒流入側との間
に設けられ、コンプレッサから吐出される冷媒を、冷房
運転時に少なくとも前記車室外熱交換器に導入し、暖房
運転時に前記車室外熱交換器を回避して前記放熱用車室
内熱交換器に導入する冷媒流路切換手段と、前記放熱用
車室内熱交換器の冷媒吐出側と前記コンプレッサの冷媒
流入側とに接続され、外部熱源からの熱量を蓄熱して冷
媒に放熱する蓄熱手段と、前記吸熱用車室内熱交換器の
冷媒流入側に設けられ前記吸熱用車室内熱交換器に導入
する冷媒量を調整する吸熱調整手段と、暖房運転開始後
の所定時間内は前記吸熱用車室内熱交換器への冷媒の導
入を停止するように前記吸熱調整手段を可変制御する制
御手段とを設けた構成としてある。
【0018】請求項4に記載の発明は、冷媒に仕事量を
加えるコンプレッサと、このコンプレッサの冷媒吐出側
に接続され、冷媒の熱を外気に放熱する車室外熱交換器
と、前記コンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の
熱を送風手段により導入された空気と熱交換して温い空
調風を作る放熱用車室内熱交換器と、この放熱用車室内
熱交換器の冷媒流出側に接続された膨張手段と、この膨
張手段の冷媒流出側と前記コンプレッサの冷媒吸入側と
に接続され、送風手段により導入された空気の熱を前記
車室外熱交換器および前記放熱用車室内熱交換器の少な
くとも一方から前記膨張手段を通して供給された冷媒と
熱交換して冷たい空調風を作る吸熱用車室内熱交換器
と、前記コンプレッサの冷媒吐出側と前記車室外熱交換
器および前記放熱用車室内熱交換器の冷媒流入側との間
に設けられ、コンプレッサから吐出される冷媒を、冷房
運転時に少なくとも前記車室外熱交換器に導入し、暖房
運転時に前記車室外熱交換器を回避して前記放熱用車室
内熱交換器に導入する冷媒流路切換手段と、前記放熱用
車室内熱交換器の冷媒吐出側と前記コンプレッサの冷媒
流入側とに接続され、外部熱源からの熱量を蓄熱して冷
媒に放熱する蓄熱手段と、この蓄熱手段の冷媒流入側に
接続され前記蓄熱手段に導入する冷媒量を調整する蓄熱
調整手段と、前記蓄熱手段から冷媒への放熱状態の増減
に関する要素として前記コンプレッサに流入する冷媒温
度又は前記蓄熱手段に導入する冷媒温度の少なくとも一
方を検出する放熱要素検出手段と、前記蓄熱手段への冷
媒導入後所定時間内に、前記放熱要素検出手段の検出し
た冷媒温度が所定温度に達しないときに前記蓄熱手段か
ら冷媒への放熱量が低下したと判断する放熱状態判断手
段と、前記蓄熱手段から冷媒への放熱量が低下したと前
記放熱状態判断手段が判断したときに前記蓄熱調整手段
により前記蓄熱手段への冷媒の導入を停止する制御手段
とを設けた構成としてある。
【0019】請求項5に記載の発明は、冷媒に仕事量を
加えるコンプレッサと、このコンプレッサの冷媒吐出側
に接続され、冷媒の熱を外気に放熱する車室外熱交換器
と、前記コンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の
熱を送風手段により導入された空気と熱交換して温い空
調風を作る放熱用車室内熱交換器と、この放熱用車室内
熱交換器の冷媒流出側に接続された膨張手段と、この膨
張手段の冷媒流出側と前記コンプレッサの冷媒吸入側と
に接続され、送風手段により導入された空気の熱を前記
車室外熱交換器および前記放熱用車室内熱交換器の少な
くとも一方から前記膨張手段を通して供給された冷媒と
熱交換して冷たい空調風を作る吸熱用車室内熱交換器
と、前記コンプレッサの冷媒吐出側と前記車室外熱交換
器および前記放熱用車室内熱交換器の冷媒流入側との間
に設けられ、コンプレッサから吐出される冷媒を、冷房
運転時に少なくとも前記車室外熱交換器に導入し、暖房
運転時に前記車室外熱交換器を回避して前記放熱用車室
内熱交換器に導入する冷媒流路切換手段と、前記放熱用
車室内熱交換器の冷媒吐出側と前記コンプレッサの冷媒
流入側とに接続され、外部熱源からの熱量を蓄熱して冷
媒に放熱する蓄熱手段と、この蓄熱手段の冷媒流入側に
接続され前記蓄熱手段に導入する冷媒量を調整する蓄熱
調整手段と、前記蓄熱手段から冷媒への放熱状態の増減
に関する要素として前記コンプレッサに流入する冷媒温
度又は前記蓄熱手段に導入する冷媒温度の少なくとも一
方を検出する放熱要素検出手段と、前記放熱要素検出手
段の検出した冷媒温度が所定温度以下となったとき、又
は前記冷媒温度の時間変化が所定値以下となったときに
前記蓄熱手段から冷媒への放熱量が低下したと判断する
放熱状態判断手段と、前記蓄熱手段から冷媒への放熱量
が低下したと前記放熱状態判断手段が判断したときに前
記蓄熱調整手段により前記蓄熱手段への冷媒の導入を停
止する制御手段とを設けた構成としてある。
【0020】
【作用】請求項1に記載の発明では、暖房運転時に、コ
ンプレッサの駆動により、冷媒がコンプレッサから流路
切り換え手段、放熱用車室内熱交換器、膨張手段、吸熱
用車室内熱交換器を順に経由してコンプレッサに循環
し、放熱用車室内熱交換器がコンプレッサから吐出され
た高温な冷媒の熱を送風手段で導入された空気に放熱し
て温風を作り、吸熱用車室内熱交換器が送風手段で導入
された空気の熱を冷媒に吸熱して冷風を作る。冷房運転
時には、コンプレッサの駆動により冷媒をコンプレッサ
から流路切り換え手段、車室外熱交換器のみ又は車室外
熱交換器と放熱用車室内熱交換器との両方、膨張手段、
吸熱用車室内熱交換器を順に経由してコンプレッサに循
環し車室外熱交換器がコンプレッサから吐出された高温
な冷媒の熱を外気に放熱し、吸熱用車室内熱交換器が送
風手段で導入された空気の熱を冷媒に吸熱して冷風を作
る。
【0021】蓄熱暖房運転時は、蓄熱手段から冷媒に蓄
熱量を放熱することで、消費電力を抑えながらコンプレ
ッサ入力量を増大させることができる。
【0022】また、放熱状態判断手段の判断した放熱状
態に応じて蓄熱調整手段を可変制御するので、蓄熱手段
の蓄熱能力、すなわち、蓄熱手段から冷媒への放熱状態
に応じて蓄熱手段への冷媒導入量を調整でき、最適条件
下で的確な蓄熱暖房運転を行うことができる。
【0023】さらに、放熱状態判断手段の判断した放熱
状態に応じて蓄熱調整手段を可変制御するので、冷媒の
不足等による暖房能力の低下や、コンプレッサの液圧縮
が発生しない。
【0024】このように、暖房能力と、窓晴れ性と、コ
ンプレッサの保護とを同時に成立させることができる。
【0025】請求項2に記載の発明では、放熱要素検出
手段が、コンプレッサに流入する冷媒温度又は前記蓄熱
手段に導入する冷媒温度の少なくとも一方を検出し、放
熱状態判断手段が、前記冷媒温度がほぼ一定状態にある
とき蓄熱手段から冷媒への放熱量が低下したと判断し、
前記放熱量が低下した判断されたときに制御手段が蓄熱
手段への冷媒の導入を停止するので、蓄熱手段から冷媒
への放熱量が低下したときに的確に蓄熱暖房運転を停止
することができる。
【0026】請求項3に記載の発明では、制御手段が、
暖房運転開始後の所定時間内は吸熱用車室内熱交換器へ
の冷媒の導入を停止するように吸熱調整手段を可変制御
するので、蓄熱を有効に利用可能な状態で蓄熱暖房運転
を行うことができると共に、暖房能力の向上と窓晴れ性
の維持とをより確実に両立させることができる。
【0027】請求項4に記載の発明では、放熱要素検出
手段が、コンプレッサに流入する冷媒温度又は前記蓄熱
手段に導入する冷媒温度の少なくとも一方を検出し、放
熱状態判断手段が、蓄熱手段への冷媒導入後所定時間内
に前記冷媒温度が所定温度に達しないときは、蓄熱手段
から冷媒への放熱量が低下したと判断し、前記放熱量が
低下したと判断されたときに制御手段が蓄熱手段への冷
媒の導入を停止するので、蓄熱手段の蓄熱量が不充分で
ある場合に、より的確に蓄熱暖房運転を停止することが
できる。
【0028】請求項5に記載の発明では、放熱要素検出
手段が、コンプレッサに流入する冷媒温度又は前記蓄熱
手段に導入する冷媒温度の少なくとも一方を検出し、放
熱状態判断手段が、冷媒温度が所定温度以下となったと
き、又は前記冷媒温度の時間変化が所定値以下となった
ときに蓄熱手段から冷媒への放熱量が低下したと判断
し、前記放熱量が低下したと判断されたときに制御手段
が蓄熱手段への冷媒の導入を停止するので、蓄熱手段か
ら冷媒への放熱量が低下したときに迅速かつ的確に蓄熱
暖房運転を停止することができる。
【0029】
【実施例】以下、この発明の実施例を説明する。
【0030】図1は、この発明の第1実施例の車両用ヒ
ートポンプ式冷暖房装置の概略構成図を示し、図2は、
冷媒サイクルのみを示す概略構成図である。
【0031】これら、図1、図2に示すようにコンプレ
ッサ31は、エンジンルームのような車室外に設けら
れ、電動式コンプレッサや油圧駆動式コンプレッサのよ
うに、入力値が直接可変可能になっている。このコンプ
レッサ31の吐出側には、車室外熱交換器38と放熱用
車室内熱交換器33とが流路切換手段としての三方弁3
2を介して接続されている。
【0032】前記車室外熱交換器38は、エンジンルー
ム等の車室外に設けられ、コンプレッサ31から吐出さ
れる冷媒の熱を外気に放熱する車室外コンデンサになっ
ている。
【0033】前記放熱用車室内熱交換器33は、インス
トルメントパネルの裏側のような車室内前部に配置され
た装置本体としてのダクト39内に設けられ、コンプレ
ッサ31から吐出される冷媒の熱を送風手段としてのブ
ロアファン37によって導入された空気に放熱する放熱
タイプの車室内コンデンサになっている。
【0034】前記三方弁32は、暖房運転時には、点線
示のような流路切り換え状態となり、コンプレッサ31
の吐出側を放熱用車室内熱交換器33の冷媒流入側に接
続する一方、冷房運転時には、実線示のような流路切り
換え状態となり、コンプレッサ31の吐出側を車室外熱
交換器38及び逆止弁70を介して放熱用車室内熱交換
器33の冷媒流入側に接続している。
【0035】前記逆止弁70は、車室外熱交換器38側
から放熱用車室内熱交換器33側への冷媒の流れを許容
し、放熱用車室内熱交換器33側から車室外熱交換器3
8への冷媒の流れを阻止するようになっている。
【0036】前記放熱用車室内熱交換器33の冷媒流出
側には、ダクト39内の上流側に設けられた吸熱用車室
内熱交換器35の冷媒流入側が、液タンク36及び車室
外に設けられた膨張手段として液体冷媒を断熱膨張して
霧状にする膨張弁34を介して接続されている。
【0037】前記吸熱用車室内熱交換器35は、ブロア
ファン37によって導入された空気の熱を、車室外熱交
換器38および放熱用車室内熱交換器33の少なくとも
一方から膨張弁34を通して供給された冷媒に吸熱して
冷風を作る吸熱タイプのエバポレータになっている。前
記吸熱用車室内熱交換器35の冷媒流出側には、コンプ
レッサ31の冷媒吸入側が接続されている。
【0038】液タンク36の冷媒流出側では冷媒が2方
向に分岐され、その一方は吸熱調整手段としての第1の
電磁弁101を介して膨脹弁34の冷媒流入側に接続
し、他方は蓄熱調整手段としての第2の電磁弁102を
介して補助膨脹弁103の冷媒流入側に接続している。
補助膨脹弁103の冷媒流出側は、蓄熱手段としての蓄
熱槽104の冷媒流入側に接続し、蓄熱槽104の冷媒
流出側は、コンプレッサ31の冷媒流入側に接続してい
る。蓄熱槽104には、液体又は固体の蓄熱体が収容さ
れ、蓄熱体は、図外のエンジンの排気熱やブレーキ廃熱
等の外部熱源によって蓄熱され、この蓄熱量を流入する
冷媒に放熱する。すなわち、第2の電磁弁102を開く
と、蓄熱槽104に冷媒が流入して、蓄熱暖房運転とな
る。また、本実施例では、膨脹弁34として機械式膨脹
弁を使用しているため第1の電磁弁101を設けたが、
冷媒の流通停止が可能な電動式膨脹弁等を使用する場合
には、特に第1の電磁弁101を設ける必要はない。
【0039】コンプレッサ31の冷媒流入側には、放熱
状態の増減に関する要素としてのコンプレッサ吸入冷媒
温度を検出する放熱状態検出手段設としての吸入冷媒温
度センサ107が設けられている。
【0040】なお、前記放熱用車室内熱交換器33の空
気流入側には、補助ヒータ76が設けられている。補助
ヒータ76は入力電圧によって出力を任意に設定できる
可変タイプの電熱ヒータで、入力電圧は制御装置43に
より制御される。補助ヒータ76がONされると、放熱
用車室内熱交換器33を通過する空気が加熱され、放熱
用車室内熱交換器33を流通する冷媒の温度が上昇す
る。
【0041】前記ダクト39内の吸熱用車室内熱交換器
35よりも上流側には、車室内空気を導入する内気導入
管40と、走行風圧を受けて外気を導入する外気導入管
41とが接続されている。この内気導入管40と外気導
入管41とが分岐する部分には、内気導入管40から導
入された内気と外気導入管から導入された外気とを任意
の比率で供給するように開閉するインテークドア42が
設けられている。インテークドア42は、制御装置43
で駆動される図外のインテークドアアクチュエータによ
り開閉する。
【0042】前記内気導入管40と外気導入管41との
空気導出側(空気流の下流側)と吸熱用車室内熱交換器
35との間には、前記ブロアファン37が配置され、ブ
ロアファンモータ44で回転駆動されるようになってい
る。
【0043】前記放熱用車室内熱交換器33の上流側に
は、エアミックスドア46が設けられている。このエア
ミックスドア46は、制御装置43で駆動される図外の
エアミックスドアアクチュエータにより駆動され、吸熱
用車室内熱交換器35を通過して冷えている空気を、放
熱用車室内熱交換器33を回避して冷えたままの冷風
と、放熱用車室内熱交換器33を通過して暖められた温
風とに分ける比率(冷風と温風との風量配分)を調整す
る。エアミックスドア46の開度たるエアミックスドア
開度Xdscは、エアミックスドア46が一点鎖線示の
位置となり、冷風と温風との風量配分が冷風100%に
なる時を、エアミックスドア開度Xdsc=0%(全
閉)と設定し、エアミックスドア46が二点鎖線示の位
置となり、冷風と温風との風量配分が温風100%とな
る時を、エアミックスドア開度Xdsc=100%(全
開)と設定してある。
【0044】前記ダクト39の放熱用車室内熱交換器3
3よりも下流側には、上記冷風と温風との混合を良くす
ることにより、温度調整された空調風を作る部屋として
のエアミックスチャンバ47が設けられている。エアミ
ックスチャンバ47には、対象乗員の上半身に向けて空
調風を吹き出すベンチレータ吹出口51(51a,51
b,51c,51d)と、対象乗員の足元に向けて空調
風を吹き出すフット吹出口52(52a)と、フロント
ウィンドウに向けて空調風を吹き出すデフロスタ吹出口
53(53a)とが連設されている。エアミックスチャ
ンバ47内には、ベンチレータドア55とフットドア5
6とデフロスタドア57とが設けられている。ベンチレ
ータドア55は、制御装置43で駆動される図外のベン
チレータドアアクチュエータにより、ベンチレータ吹出
口51を開閉する。フットドア56は、制御装置43で
駆動される図外のフットドアアクチュエータにより、フ
ット吹出口52を開閉する。デフロスタドア57は、制
御装置43で駆動される図外のデフロスタドアアクチュ
エータにより、デフロスタ吹出口53を開閉する。
【0045】また、前記エアミックスチャンバ47に
は、内気導入管40に連通する循環通路71が接続され
ている。循環通路71からエアミックスチャンバ47へ
の開口部72には、循環通路71の入口側ドア74が設
けられ、循環通路71と内気導入管40との分岐部73
には、出口側ドア75が設けられている。入口側ドア7
4は、制御装置43で駆動される図外の入口側ドアアク
チュエータにより開口部72を開閉し、出口側ドア75
は、制御装置43で駆動される図外の出口側ドアアクチ
ュエータにより分岐部73を切り換える。すなわち入口
側ドア74および出口側ドア75が開放した状態(出口
側ドア75は内気導入管40を閉じる。)において、エ
アミックスチャンバ47からブロアファン37の上流側
へ空調風が循環する。
【0046】前記制御装置43は、吸熱用車室内熱交換
器吸い込み風温センサ58と、吸熱用車室内熱交換器吹
き出し風温センサ59と、ベンチレータ吹出口風温セン
サ60と、日射量センサ61と、外気温センサ62と、
室温センサ63と、空調設定パネル79に設けられた室
温設定器64(図1では便宜上、信号線で示している)
と、吹出口モードスイッチ65(同)と、ブロアファン
スイッチ66(同)と、冷媒温度センサ67と、放熱用
車室内熱交換器吹き出し風温センサ68などからの熱環
境情報により、エアミックスドア開度Xdscとコンプ
レッサ31の入力値Wcompと吸熱用車室内熱交換器35
を通過する通過風量Veva と目標吹出温度T0 などの目
標冷暖房条件を演算し、車室内の冷暖房条件が上記演算
された目標冷暖房条件を維持するように、コンプレッサ
31とブロアファンモータ44とエアミックスドアアク
チュエータとベンチレータドアアクチュエータとフット
ドアアクチュエータとデフロスタドアアクチュエータな
どを駆動する。前記熱環境情報とは、吸熱用車室内熱交
換器35の吸い込み口空気温度Tsuc と、吸熱用車室内
熱交換器35の吹き出し空気温度Tout と、放熱用車室
内熱交換器33の吹き出し空気温度Tv と、ベンチレー
タ吹出口51の吹き出し空気温度Tventと、車両の日射
量Qsun と、車室外の外気温度Tamb と、車室内の検出
室温(車室内気温度)Troomと車室内の設定温度Tptc
と放熱用車室内熱交換器33出口側の冷媒温度Tref
どである。
【0047】一方、この車両用ヒートポンプ式冷暖房装
置の冷暖房の切換えは、前記三方弁32を制御装置43
によって設定温度で切換制御することにより行なう。前
記設定温度は、検出室温Troom及び外部温度Tamb の関
係での窓曇りを生じない境界の温度と熱環境情報に応じ
た目標空調風温度とが略一致するものとして定めてい
る。また暖房運転時の空調風制御は、前記吸熱用車室内
熱交換器35の吹き出し温度が、検出室温Troom及び外
気温度Tamb の関係での窓曇りを生じない温度Tfine
下回り、かつ前記吸熱用内熱交換器35の凍結限界温度
setoを上回る範囲となることを優先して行う。
【0048】制御装置43は、暖房運転時に目標吹出温
度T0 に基づいてウォームアップ制御か否かを判断し、
ウォームアップ制御時には、目標吹出温度T0 と放熱用
車室内熱交換器33の吹き出し空気温度Tv とからΔθ
1 を求めると共に、吸熱用車室内熱交換器35の凍結に
基づく設定温度Tset1と吸熱用車室内熱交換器35の吹
き出し空気温度Tout とからΔθ2 を求め、このΔθ1
とΔθ2 とに基づいて、吸熱用車室内熱交換器35の凍
結を防止しつつコンプレッサ入力を増加するように、コ
ンプレッサ31と膨脹弁34とブロアファンモータ44
と補助ヒータ76とエアミックスドアアクチュエータと
ベンチレータドアアクチュエータとフットドアアクチュ
エータとデフロスタドアアクチュエータと入口側ドアア
クチュエータと出口側ドアアクチュエータなどを駆動す
る。
【0049】制御装置43には、インストルメントパネ
ル等に設けられた図外の蓄熱暖房選択スイッチからのO
N/OFF信号が入力され、蓄熱暖房選択スイッチから
ON信号が入力されたときは、制御装置43により第1
の電磁弁101と第2の電磁弁102が開閉制御され、
蓄熱槽104に適宜冷媒が流入する。
【0050】さらに、制御装置43は、吸熱冷媒温度セ
ンサ107の検出したコンプレッサ吸入冷媒温度に基づ
いて、蓄熱槽104から冷媒への放熱状態を判断し、こ
の放熱状態に応じて第2の電磁弁102を開閉制御す
る。特に、放熱状態が低下しているときには、第2の電
磁弁102を閉鎖して、蓄熱暖房運転を停止する。すな
わち、制御手段43は、放熱状態判断手段と制御手段を
構成している。
【0051】次に、蓄熱暖房運転を行った場合の効果に
ついて説明する。
【0052】ここでいう蓄熱暖房運転とは、暖房運転時
に、電磁弁102を開いて蓄熱槽104に冷媒を流入
し、蓄熱槽104に蓄えられた熱量を冷媒に放熱するこ
とをいう。これにより、コンプレッサ31に流入する冷
媒の(圧力/温度)が上昇し、コンプレッサ31の冷凍
能力R及び入力量Wが急激に増加する。
【0053】図3は、外気温度−5℃の条件下におい
て、電磁弁101を閉じ、電磁弁102を開いて、蓄熱
暖房運転を行った場合の実験結果の一例で、(a)は、
コンプレッサ吐出圧力の時間的変化を示し、(b)は、
コンプレッサ吸入冷媒温度と蓄熱槽温度と蓄熱槽入口冷
媒温度のそれぞれの時間的変化を示す。
【0054】本実験では、電磁弁101を閉じて蓄熱暖
房運転を行っているので、吸熱用車室内熱交換器35に
は冷媒が流入しない。このため、空調風は吸熱用車室内
熱交換器35で冷却されず、放熱用車室内熱交換器33
で加熱のみされた状態で車室内へ吹出される。従って、
かかる状態で長時間蓄熱暖房運転を継続すると、窓曇り
が発生してしまう恐れがあり、蓄熱暖房運転の中止・継
続の判断や、蓄熱暖房運転から通常の除湿暖房運転への
切換時期の判断を的確に行う必要がある。
【0055】(b)に示すように、蓄熱暖房運転を開始
すると、冷媒が蓄熱槽104に流入して蓄熱量を吸熱す
るので、コンプレッサ31の吸入冷媒温度が徐々に上昇
する。このとき、コンプレッサ31の吸入冷媒温度の最
高温度は、蓄熱槽104の蓄熱状態に応じて変化する。
すなわち、コンプレッサ31の吸入冷媒温度は、蓄熱量
が多いと高くなり、蓄熱量が少いとあまり高くはならな
い。
【0056】蓄熱暖房運転を続けると、コンプレッサ吐
出冷媒の温度や圧力が上昇し、補助膨脹弁103で膨脹
した後の蓄熱槽入口冷媒の温度や圧力も上昇する。一
方、蓄熱槽104(蓄熱体)の温度は、冷媒に放熱する
にしたがって低下するので、蓄熱暖房運転を開始して所
定時間が経過すると、蓄熱槽入口冷媒温度と蓄熱槽温度
が接近し、蓄熱槽104から冷媒への放熱量が低下す
る。蓄熱槽104からの放熱量が低下すると、コンプレ
ッサ吸入冷媒温度は急激に低下し、蓄熱槽入口冷媒温度
は蓄熱槽温度と並行に低下しながら推移する。
【0057】また、(a)に示すように、蓄熱槽入口冷
媒温度が上昇して蓄熱槽温度と接近し、コンプレッサ吸
入冷媒温度が低下した後は、コンプレッサ31の冷媒吐
出圧力が安定する。
【0058】このように、蓄熱槽104から冷媒への放
熱量及び蓄熱槽104の蓄熱量は、コンプレッサ吸入冷
媒温度や蓄熱槽入口冷媒温度の変化に相関関係にあり、
また、コンプレッサ吸入冷媒温度が上昇して蓄熱槽入口
冷媒温度が低下した後は、コンプレッサ吐出冷媒圧力が
ほぼ一定となるという特徴が認められる。従って、かか
る特徴を利用することにより、蓄熱暖房運転の中止・継
続の判断や、蓄熱暖房運転から通常の除湿暖房運転への
切換時期の判断を的確に行うことができる。
【0059】一方、図4は、外気温度−5℃の条件下に
おいて、電磁弁101及び電磁弁102の両方を開い
て、蓄熱暖房運転を行った場合の実験結果の一例で、
(a)は、コンプレッサ吐出圧力の時間的変化を示し、
(b)は、コンプレッサ吸入冷媒温度と蓄熱槽温度と蓄
熱槽入口冷媒温度のそれぞれの時間的変化を示す。
【0060】本実験では、電磁弁101を開いて蓄熱暖
房運転を行っているので、吸熱用車室内熱交換器35に
冷媒が流入する。このため、空調風は一度吸熱用車室内
熱交換器35で冷却された後、放熱用室内熱交換器33
でリヒートされて車室内へ吹出される。従って、前記実
験の場合と異なり、窓晴れ性が維持される。また、蓄熱
槽104へも冷媒が流入するので、蓄熱を利用して暖房
性能を高めることもできる。
【0061】(b)に示すように、蓄熱暖房運転を開始
すると、吸熱用車室内熱交換器35よりも蓄熱槽104
の方が圧力損失が大きいので、運転開始直後は、主に吸
熱用車室内熱交換器35からコンプレッサ31に冷媒が
吸入されて、コンプレッサ吸入冷媒温度が低下する。
【0062】ところが、吸熱用車室内熱交換器35の熱
負荷は小さく、蓄熱槽104の熱負荷は大きいので、蓄
熱槽104からのコンプレッサ吸入冷媒量が増加し、コ
ンプレッサ吸入冷媒温度は、しばらくの間上昇と下降と
を繰返して、最終的に図3の場合とほぼ同じ温度まで上
昇する。その後、吸熱用車室内熱交換器35の熱負荷は
増加し、蓄熱槽104の蓄熱量は減少するので、吸熱用
車室内熱交換器35からのコンプレッサ吸入冷媒量は増
加し、蓄熱槽104からのコンプレッサ吸入冷媒量は減
少する。これにより、コンプレッサ吸入冷媒温度は徐々
に低下し、蓄熱槽104からの受熱量がほとんどなくな
ると、コンプレッサ吸入冷媒温度はほぼ一定温度に保た
れる。
【0063】本条件で蓄熱暖房運転を行った場合(図
4)を図3の結果と比較すると、本条件では、暖房運転
時に蓄熱槽104を利用する場合でも吸熱用車室内熱交
換器35に冷媒を流入するので窓晴れ性は確保できる
が、コンプレッサ吐出冷媒圧力が定常に達するまでの時
間が多くかかり、前記図3の場合よりもウォームアップ
性がやや劣ることがわかる。また、蓄熱槽104から冷
媒への放熱量が減少したときに、コンプレッサ吸入冷媒
温度がほぼ一定に保たれる点で図3の場合と相違するこ
とがわかる。
【0064】このように、電磁弁101を閉じ、電磁弁
102を開いて、蓄熱暖房運転を行う場合は、コンプレ
ッサ吐出圧力が早く定常に達するのでウォームアップ性
で優れているが、窓晴れ性を損なう恐れがあるため、コ
ンプレッサ吸入冷媒温度や蓄熱槽入口冷媒温度の変化に
基づき、蓄熱暖房運転の中止・継続の判断や、蓄熱暖房
運転から通常の除湿暖房運転への切換時期の判断を的確
に行う必要がある。
【0065】一方、電磁弁101及び電磁弁102の両
方を開いて、蓄熱暖房運転を行う場合は、ウォームアッ
プ性はやや劣るが、窓晴れ性を損なう恐れがない点で優
れている。
【0066】次に、本実施例に係る車両用ヒートポンプ
式冷暖房装置の制御を、図5及び図6に示すフローチャ
ートに基づいて説明する。
【0067】冷暖房装置のスイッチがONされて制御装
置が作動することにより処理を開始し、ステップS1で
この制御フローチャートで用いる定数(A〜H,P,
Q)のセットが行われる。すなわち、目標吹出温度Tof
の計算式に用いるA〜E、エアミックスドアの開度Xの
計算式に用いるF,G,H、設定室温の補正に用いる
P,Qをセットする。
【0068】ステップS2では、各種センサ出力が読み
込まれる。すなわち、室温センサ63の出力である車室
内温度Troom、日射量センサ61の出力である日射量Q
sun、外気温センサ62の出力である外気温Tamb 、室
温設定器64の出力である車室内の設定室温Tptc 、フ
ァンスイッチの設定Vfan,set の読み込みを行う。
【0069】ステップS3では、ブロアファンの風量を
印加電圧により制御するため、乗員の設定する室温設定
値Tptc と室温Troomとの偏差(Troom−Tptc )に応
じて空調風を発生するブロアファンの印加電圧Vfan
セットする。具体的には、この偏差が大きいほど印加電
圧を増加し、室温を設定室温に早急に近付けるようにす
る。
【0070】ステップS4では、設定室温Tptc の補正
を行う。この補正は、定数P,Q及び外気温Tamb を用
い、次式により行なう。
【0071】Tptc ′=Tptc +P×Tamb +Q 具体的には、外気温が低い場合には設定室温を上昇さ
せ、外気温が高い場合には、設定室温を低下させる。通
常、人間の体感では、周囲が暑い環境下で室温を低下さ
せると「涼しい」といった温冷感が得られ、逆に、周囲
が寒い環境下で室温を上昇させると「暖かい」といった
温冷感が得られる。このように周囲の温度に逆比例する
ような温度を設定することで温冷感が刺激されて快適と
なる。
【0072】ステップS5では、目標吹出温度Tofを算
出する。この算出は、定数A,B,C,D,E、外気温
amb 、室温Troom、補正設定室温T′ptc 、日射量Q
sunを用い次式によって算出する。
【0073】
【数1】 Tof=A×Tamb +B×Troom+C×T′ptc +D×Qsun +E ステップS6では、目標吹出温度Tofに基づいてエアミ
ックスドアの開度Xを算出する。この算出は定数F,
G,Hを用い次式によって行う。
【0074】X=F×Tof 2 +G×Tof+H ステップS7では、目標吹出温度Tofに基づいて吹出モ
ードを決定する。すなわち、目標吹出温度が高ければ主
として前席乗員の足元に吹き出すFOOT(フートモー
ド)、同中程度であれば前席乗員の胸部と足元に吹き出
すBI−LEVEL(バイレベルモード)、同低ければ
前席乗員の胸部に吹き出すVENT(ベントモード)を
選択する。
【0075】ステップS8では、乗員によってマニュア
ルファンスイッチが押されたかどうかを判断する。マニ
ュアルファンスイッチが押されていればその操作に応じ
るためステップS9によってファン設定値Vfan ′=V
fan,set を最終的なブロアファン電圧とする。マニュア
ルファンスイッチが押されていなければ、ステップS1
0において、以前のステップS3で自動的に定めたブロ
アファン電圧をそのまま用いる。
【0076】ステップS11では、ステップS9あるい
はステップS10で決められたブロアファン電圧をブロ
アファンモータ44へ出力する。
【0077】ステップS12では、各ドアアクチュエー
タに出力し、ドアを所定位置に自動セットする。
【0078】ステップS13では、コンプレッサとコン
プレッサモータを制御する。この制御については図7及
び図8を用いて後述する。
【0079】こうして、一回のループを終了するとステ
ップS2へ戻り、再度上記各ステップが繰り返される。
【0080】そして、暖房運転時には、図1、図2の点
線示のように三方弁32が切り換えられ、冷媒がコンプ
レッサ31→三方弁32→放熱用車室内熱交換器33→
液タンク36→膨脹弁34→吸熱用車室内熱交換器35
→コンプレッサ31と循環し、放熱用車室内熱交換器3
3がコンプレッサ31から吐出された高温な冷媒の熱を
ブロアファン37で導入された空気又は車両走行時のラ
ム圧によって導入された空気に放熱して温風を作り、吸
熱用車室内熱交換器35がブロアファン37で導入され
た空気又は車両走行時のラム圧によって導入された空気
の熱を冷媒に吸熱して冷風を作る。
【0081】また、冷房運転時には、同図の実線示のよ
うに三方弁32が切り換えられ、冷媒がコンプレッサ3
1→三方弁32→車室外熱交換器38→逆止弁70→放
熱用車室内熱交換器33→液タンク36→膨脹弁34→
吸熱用車室内熱交換器35→コンプレッサ31と循環
し、車室外熱交換器38がコンプレッサ31から吐出さ
れた高温な冷媒の熱を外気に放熱し、残りの熱を放熱用
車室内熱交換器33がブロアファン37で導入された空
気又は車両走行時のラム圧によって導入された空気に放
熱して温風を作り、吸熱用車室内熱交換器35がブロア
ファン37で導入された空気又は車両走行時のラム圧に
よって導入された空気の熱を冷媒に吸熱して冷風を作
る。
【0082】図7及び図8は、前記図6のステップS1
3を実行するフローチャートを示す。
【0083】ステップS131では各種データの読み込
みが行なわれる。ここでの読み込みは図5のステップS
2で読み込んだデータ以外のものを読み込む。すなわ
ち、風温センサ59の出力である吸熱用車室内熱交換器
35の吹き出し空気温度Tout、風温センサ58の出力
である吸熱用車室内熱交換器吸い込み空気温度Tsuc
風温センサ68の出力である放熱用車室内熱交換器33
吹き出し空気温度Tv 、コンプレッサ仕事量を表わす物
理量Vcompで、Vcompに比例してコンプレッサ吐出量が
増加し、コンプレッサ仕事量も増える(電動コンプレッ
サを使用する場合には、周波数に相当する)。
【0084】ステップS132では、ステップS131
で検出した熱環境情報である車室内熱負荷情報を用いて
目標吹出温度T0 を演算して、ステップS133に進
む。この目標吹出温度T0 は、車室内を設定温度に維持
するために必要とされる温調風の温度である。
【0085】ステップS133で、デフロスタスイッチ
がONされているか否かを判断し、デフロスタスイッチ
がONされている場合には、ステップS134に進み、
デフロスタスイッチがOFFされている場合には、ステ
ップS135に進む。
【0086】ステップS134では、吸熱用車室内熱交
換器35の目標冷却状態に対して、デフロスタスイッチ
がONされている場合の補正項を与える。δTc は冷房
運転時の目標とする吸熱用車室内熱交換器吹き出し空気
温度の補正項で、δTH は暖房運転時の上限冷却温度
(窓晴れ温度)の補正項で、デフロスタスイッチがON
されている場合には、吸熱用車室内熱交換器35での目
標冷却状態をより低く設定して除湿量を増やし、放熱用
車室内熱交換器33でのリヒート量を多くして、最終的
に目標とする吹き出し温度で車室内に空調風を吹き出
す。同様に、ステップS135では、デフロスタスイッ
チがONされていない場合の吸熱用車室内熱交換器35
の目標冷却状態に対する補正項を与える。
【0087】ステップS136では、ステップS134
やステップS135で与えられた補正項を使って、冷房
運転した場合と暖房運転した場合の吸熱用車室内熱交換
器35での冷却状態を比較し、冷房運転した場合の冷却
状態の方が暖房運転した場合よりも低くなる時は、ステ
ップS137で三方弁32を冷房運転側に切換えて、ス
テップS138に進んで冷房運転を実行し、逆に、暖房
運転した場合の冷却状態の方が冷房運転した場合よりも
低くなる場合には、ステップS141に進んで蓄熱暖房
運転又は暖房運転を実行する。。
【0088】ステップS137では、三方弁32を冷房
運転側に切換えて、冷媒をコンプレッサ31から車室外
熱交換器38へ流通させて、ステップS138に進む。
【0089】ステップS138では、目標吹出温度T0
と設定温度Tset1との大小を比較し、T0 <Tset1であ
る場合には、車室内がまだ充分に冷房されていないの
で、ステップS139に進んでクールダウン制御を行
い、T0 ≧Tset1である場合には、車室内温度が目標温
度に近づいたので、ステップS140に進んで通常の冷
房運転を行う。
【0090】一方、ステップS141では、蓄熱暖房ス
イッチがONされたかどうかを判断する。蓄熱暖房スイ
ッチがONされていれば、ステップS142に進んで蓄
熱暖房運転を実行する。
【0091】蓄熱暖房スイッチがONされていなけれ
ば、ステップS143に進み、三方弁32を暖房運転側
に切換えて、冷媒をコンプレッサ31から直接放熱用車
室内熱交換器33へ流通させる。
【0092】ステップS144では、目標吹出温度T0
と設定温度Tset2との大小を比較し、T0 >Tset2であ
る場合には、車室内がまだ充分に暖房されていないの
で、ステップS145に進んでウォームアップ制御を行
い、T0 ≦Tset2である場合には、車室内温度が目標温
度に近づいたので、ステップS146に進んで通常の暖
房運転を行う。
【0093】図8は、暖房温調時のコンプレッサ制御の
フローチャートを示す。暖房運転が実行される(ステッ
プS1461)と、ステップS1462でデフロスタス
イッチがONされているか否かを判断する。
【0094】ステップS1462でデフロスタスイッチ
がONの場合には、ステップS1463において、逆
に、デフロスタスイッチがOFFの場合には、ステップ
S1464において、暖房運転時の吸熱用車室内熱交換
器35の上限冷却温度Tfineに対する補正温度δTH
与える。ここでは、デフロスタスイッチのON/OFF
に対してのみ補正しているが、車両の熱負荷条件、例え
ば、日射や車室内温度や外気温や吹出温度に対して補正
してもよい。
【0095】ステップS1465では、低外気温時の設
定上限冷却温度T5 と外気温Tambを基にした上限冷却
温度Tfineとを比較して、大きい方を暖房運転時の上限
冷却温度(上限T′int )として設定する。ここでは、
上限冷却温度を決める要素の一つとして、外気温度で代
表させているが、外気温以外にも車両の熱環境条件や窓
曇りセンサ出力等を用いてもよい。
【0096】ステップS1466では、吸熱用車室内熱
交換器35の凍結に基づく温度Tse to(T6 )を下限冷
却温度(下限T′int )として設定する。
【0097】ステップS1467では、吸熱用の車室内
熱交換器吹き出し空気温Tout がステップS1466で
設定した下限冷却温度(下限T′int )よりも低いか否
かを判断する。Tout <下限T′int の場合、このまま
では、吸熱用車室内熱交換器35が凍結する恐れがあ
り、ステップS1473に進んで、コンプレッサ1の仕
事量をΔVc だけ減少させ、吸熱用車室内熱交換器吹き
出し温度を上げ、上下冷却温度内に入るようにする。こ
の時、図に示していないが、同時に吸熱用車室内熱交換
器吸い込み空気温を上昇させる制御を行なって、コンプ
レッサ1の仕事量減少に伴なう吹き出し温低下を防ぐ。
【0098】ステップS1467において、Tout >下
限T′int の場合には、ステップS1468に進み、吸
熱用車室内熱交換器吹き出し空気温Tout が、ステップ
S1465で設定した上限冷却温度(上限T′int )よ
りも大きいか否かを判断する。
【0099】ステップS1468において、Tout >上
限T´int の場合には、ステップS1471に進み、コ
ンプレッサ1の仕事量をΔVc だけ増加させ、空調風の
除湿量を確保するために吸熱用車室内熱交換器吹き出し
温度を下げる。逆に、T′ou t ≦上限T´int の場合に
は、ステップS1469に進み、目標空調風温度Tof
放熱用車室内熱交換器吹き出し空調温Tv の偏差Δθを
算出する。
【0100】ステップS1470において、Δθ>Sの
場合には、吹出温が目標空調風温度Tofに達していない
ので、ステップS1471に進んで、コンプレッサ1の
仕事量をΔVc だけ増加させて吹出温を上昇させる。Δ
θ<−Sの場合には、吸熱用車室内熱交換器吹き出し空
気温が目標吹出温よりも高いので、ステップS1473
に進んでコンプレッサ1の仕事量をΔVc だけ減少させ
て吹出温を低下させる。これら以外の条件では、ステッ
プS1472に進み、現状のコンプレッサ仕事量を維持
する。
【0101】従来の車両用ヒートポンプ冷暖房装置にお
いても、コンプレッサの仕事量を可変して吹き出し温度
を制御することができるが、一定量の仕事量の変化に対
して、外気温度や走行条件によって吹き出し温の温度変
化量が大きく異なってしまい、安定した車室内温度制御
は困難であった。
【0102】ところが、本発明実施例の車両用冷暖房装
置の暖房運転においては、外気温の影響を受けずに連続
した暖房運転が可能で、一定量のコンプレッサ1の仕事
量の増減が、外気温度や走行条件に依らず、つねに所定
量の吹出温度変化量(車室内への放熱量変化)となって
現われ、しかも、暖房運転時には吸熱用車室内熱交換器
35において必ず除湿(冷却)を伴なうといった特徴を
持つために、図8に示すようなコンプレッサ制御によっ
て、不安定現象がない車室内除湿温度制御を行なうこと
ができる。
【0103】図9は、冷房運転時のコンプレッサ制御の
フローチャートを示している。冷房運転が実行される
(ステップS1401)と、ステップS1402におい
て、ベント吹き出しか否かを判断する。
【0104】ベント吹き出しの場合には、吸熱用の車室
内熱交換器35に流入する空気温度を目標吹出温にまで
冷却した後に車室内に吹き出すのが最も省エネとなるの
で、ステップS1403に進み、目標吹出温X
M (Tof) を吸熱用車室内熱交換器吹き出し空気温の目
標温度T′int に設定する。
【0105】ステップS1402において、ベント吹き
出し以外の場合には、ステップS1404に進み、バイ
レベルモードか否かを判断する。
【0106】バイレベルモードの場合には、ステップS
1406に進み、それ以外の場合には、ステップS14
05に進み、吸熱用車室内熱交換器吹き出し空気温の補
正温度δTc を与える。この補正温度は、放熱用車室内
熱交換器33でのリヒート量が多くなるほど大きな値に
設定する。
【0107】ステップS1407では、吸熱用車室内熱
交換器吹き出し空気温の目標温度T′int を、ステップ
S1465で使用した温度T5 と、目標吹出温Tofをス
テップS1405またはステップS1406で与えた補
正項で補正した温度の大きい方の温度に設定する。
【0108】ステップS1408では、ステップS14
03またはステップS1407で算出した目標温度T′
int と吸熱用車室内熱交換器吹き出し空気温Tout の差
θを計算する。
【0109】ステップS1409では、ステップS14
08で算出したθの値がθ<−S0の場合には、ステッ
プS1410に進み、コンプレッサ1の仕事量をΔVc
だけ増やして吸熱用車室内熱交換器吹き出し空気温を下
げ、θ>S0 の場合には必要以上にコンプレッサ1の仕
事量が大きくなっていると判断して、ステップS141
2に進み、コンプレッサ1の仕事量をΔVc だけ減少さ
せ、それら以外の場合には、現状のコンプレッサ仕事量
を維持する。
【0110】従って、暖房運転時には、三方弁32が図
1の点線示のように切り換えられ、冷媒がコンプレッサ
31→三方弁32→放熱用車室内熱交換器33→液タン
ク36→膨張弁34→吸熱用車室内熱交換器35→コン
プレッサ31と循環し、放熱用車室内熱交換器33がコ
ンプレッサ31から吐出された高温なる冷媒の熱をブロ
アファン37で導入された空気または車両走行時のラム
圧によって導入された空気に放熱して温風を作り、吸熱
用車室内熱交換器35がプロワファン37で導入された
空気または車両走行時のラム圧によって導入された空気
の熱を冷媒に放熱して冷風を作る。また、冷房運転時に
は、三方弁32が図1の点線示のように切り換えられ、
冷媒がコンプレッサ31→三方弁32→車室外熱交換器
38→逆止弁70→放熱用車室内熱交換器33→液タン
ク36→膨張弁34→吸熱用車室内熱交換器35→コン
プレッサ31と循環し、車室外熱交換器38がコンプレ
ッサ31から吐出された高温なる冷媒の熱を外気に放熱
し、残りの熱を放熱用車室内熱交換器33がブロアファ
ン37で導入された空気または車両走行時のラム圧によ
って導入された空気に放熱して温風を作り、吸熱用車室
内熱交換器35がブロアファン37で導入された空気ま
たは車両走行時のラム圧によって導入された空気の熱を
冷媒に放熱して冷風を作る。
【0111】すなわち、暖房運転時には、コンプレッサ
31が始動すると、吸熱用車室内熱交換器35の吸熱量
と、コンプレッサ31の実入力値Wcompに相当する仕事
量とを、放熱用車室内熱交換器33において放熱するの
で、車室内には吸熱用車室内熱交換器35の吸い込み空
気温度Tsuc よりも高温の空気が吹き出され、運転時間
の経過とともに、車室内温度、すなわち、吸熱用車室内
熱交換器35の吸い込み空気温度Tsuc は上昇し、それ
に伴って、コンプレッサ31の実入力値Wcompも大きく
できるので、車室内は加速的に暖められる。また、吸熱
用車室内熱交換器35に流入した空気が、放熱用車室内
熱交換器33に流入するので吸熱用車室内熱交換器35
に流入する空気の熱負荷に対して、吸熱用車室内熱交換
器35で凍結が生じない範囲で、コンプレッサ31の実
入力値Wcompを決めておくことにより、コンプレッサ3
1の効率が最適となる。
【0112】図10は、ウォームアップ時における温度
制御のフローチャートを示している。ウォームアップが
必要であると判断され暖房性能を向上させるための温度
制御(ステップS1451)が実行されると、ステップ
S1452で、ステップS132で求めた目標吹出温度
0 からステップS131で読込んだ放熱用車室内熱交
換器33の吹出空気温度Tv を引いた値Δθ1 を求め
る。
【0113】ステップS1453では、吸熱用車室内熱
交換器35の凍結に基づく設定温度Tset1からステップ
S131で読込んだ吸熱用車室内熱交換器35の吹出空
気温度Tout を引いた値Δθ2 を求める。
【0114】このようにΔθ1 及びΔθ2 を設定したの
は、例えば通常運転時において日射等の変化により車室
内の熱負荷条件が変動した場合、乗員による設定温度の
変更等にはΔθ1 が対応し、また吸熱用車室内熱交換器
35にかかる熱負荷状態の変化にはΔθ2 が対応するた
め、これらの条件を加味したコンプレッサ31の入力制
御を行うことができるからである。
【0115】ステップS1454では、Δθ1 とΔθ2
とで設定される領域を、Δθ2 が所定値Δθ2a以下とな
る領域と、Δθ1 が所定値Δθ1a以下でΔθ2 がΔθ
2aよりも大きくとなる領域と、Δθ1 がΔθ1aよりも
大きく、かつΔθ2 がΔθ2aよりも大きくなる領域を領
域とに分割設定し、ステップS1455へ進む。
【0116】領域では、吸熱用車室内熱交換器35の
凍結に基づく設定温度Tset1から吸熱用車室内熱交換器
35の吹出空気温度Tout を引いた値Δθ2 が所定値Δ
θ2a以下である。すなわち、コンプレッサ入力の増加を
行っても吸熱用車室内熱交換器35が凍結する恐れがな
く、領域では、通常時におけるコンプレッサ入力の増
減による温度制御に入る。
【0117】領域では、吸熱用車室内熱交換器35の
凍結に基づく設定温度Tset1から吸熱用車室内熱交換器
35の吹出空気温度Tout を引いた値Δθ2 が所定値Δ
θ2aよりも大きいので、吸熱用車室内熱交換器35が凍
結する恐れがあり、また、目標吹出温度T0 から放熱用
車室内熱交換器33の吹出空気温度Tv を引いた値Δθ
1 が所定値Δθ1a以下である。すなわち、吹出空気温度
v が目標吹出温度T0 に近接しておりこれ以上コンプ
レッサ入力を増加させて吹出空気温度Tv を上昇させる
必要もなく、領域では、コンプレッサ入力を下げる制
御を行う。
【0118】領域では、吸熱用車室内熱交換器35の
凍結に基づく設定温度Tset1から吸熱用車室内熱交換器
35の吹出空気温度Tout を引いた値Δθ2 が所定値Δ
θ2aよりも大きいので、吸熱用車室内熱交換器35が凍
結する恐れがあり、また、目標吹出温度T0 から放熱用
車室内熱交換器33の吹出空気温度Tv を引いた値Δθ
1 が所定値Δθ1aよりも大きいので、吹出空気温度Tv
を上昇させなければならない。このため、領域では、
冷媒による冷却効率を低下させて吸熱用車室内熱交換器
35の吹出空気温度と放熱用車室内熱交換器33の吹出
空気温度とを同時に上昇させる制御を行う。
【0119】従って、ステップS1455では、ステッ
プS1452で求めたΔθ1 とステップS1453で求
めたΔθ2 が、領域に入るかどうかを判断して、領域
に入る場合にはステップS1456へ進んで通常の温
調制御を実行し、領域に入らない場合にはステップS
1457へ進む。
【0120】ステップS1457では、Δθ1 とΔθ2
が領域に入るかどうかを判断して、領域に入る場合
にはステップS1458へ進んでコンプレッサ入力を下
げる制御を実行し、領域に入らない場合(領域に入
る場合)にはステップS1459へ進んで冷却効率を低
下させて暖房効率を向上させる制御を実行する。
【0121】前記ステップS1456では、膨脹弁34
の設定を通常の設定に戻し、補助ヒータ76電源をOF
Fし、風量設定を通常の設定に戻した後、Δθ1 <−S
0 の場合は、吹出空気温度Tv が目標吹出温度To より
高いと判断してコンプレッサ入力を減らして吹出風温を
低下させる。また、Δθ1 >S0 の場合は、吹出空気温
度Tv が目標吹出温度T0 より低いと判断してコンプレ
ッサ入力を増やして吹出風温を上昇させる。それ以外の
場合には、現状のコンプレッサ入力を維持する。
【0122】前記ステップS1458では、膨脹弁34
の設定を通常の設定に戻し、補助ヒータ76電源をOF
Fし、風量設定を通常の設定に戻した後、コンプレッサ
入力を減らす。
【0123】前記ステップS1459では、ステップS
1564で設定した領域を、Δθ1 が所定値Δθ1b
満でΔθ2 が所定値Δθ2b未満となる領域Iと、Δθ1
がΔθ1b未満でΔθ2 がΔθ2b以上となる領域IIと、Δ
θ1 がΔθ1b以上でΔθ2 がΔθ2b未満となる領域III
と、Δθ1 がΔθ1b以上でΔθ2 がΔθ2b以上となる領
域IVとにさらに細かく分割設定する。
【0124】領域IVでは、吸熱用車室内熱交換器35の
凍結に基づく設定温度Tset1から吸熱用車室内熱交換器
35の吹出空気温度Tout を引いた値Δθ2 が所定値Δ
θ2bよりも大きいので、吸熱用車室内熱交換器35が凍
結する可能性が高く、また、目標吹出温度T0 から放熱
用車室内熱交換器33の吹出空気温度Tv を引いた値Δ
θ1 が所定値Δθ1bよりも大きいので、吹出空気温度T
v の必要温度上昇幅が大きい。このため、領域IVでは、
膨脹弁34の絞り量を減らす制御を行った後、エアミッ
クスドア46の開度を減らす制御を行う。
【0125】膨脹弁34の制御は、放熱用車室内熱交換
器33出口側の冷媒温度Tref に対応する膨脹弁34の
絞り量の目標値を求め、膨脹弁34へ信号出力して、絞
り量を目標値に設定する。この絞り量の目標値は、冷媒
温度Tref が低いほど小さくなるように設定されてい
る。このように膨脹弁34の絞り量を減らすと、膨脹弁
34出口の冷媒圧力が上昇し、吸熱用車室内熱交換器3
5の作動圧力(冷媒の蒸発圧力)及び作動温度(冷媒の
蒸発温度)が上昇して、コンプレッサ31に流入する冷
媒温度が上昇し、エンタルピが増加して、コンプレッサ
入力が効率良く増加する。また、吸熱用車室内熱交換器
35の作動温度が上昇すると、吸熱用車室内熱交換器3
5の吹出空気温度及び放熱用車室内熱交換器33の吸込
空気温度が上昇し、放熱用車室内熱交換器33作動温度
が上昇し、また、コンプレッサ入力も増加するので、放
熱用車室内熱交換器33での放熱量が増加する。これに
より、吸熱用車室内熱交換器35の凍結を回避しつつ、
冷媒を最適使用温度まで上昇させることができると共
に、放熱用車室内熱交換器35の吹出空気温度を上昇さ
せることができる。従って、吸熱用車室内熱交換器35
の吸込空気温度及び冷媒温度が低い低外気温下等での起
動時において、暖房の立上がり時間を短縮することがで
きる。
【0126】なお、膨脹弁34の絞り量の目標値は、放
熱用車室内熱交換器33出口でのサブクール度(冷媒の
流出温度と流出圧力での飽和温度との差)や吸熱用車室
内熱交換器35出口でのスーパーヒート(冷媒の流出温
度と流出圧力での飽和温度との差)に基づいて求めるこ
ともできる。
【0127】領域III では、吸熱用車室内熱交換器35
の凍結に基づく設定温度Tset1から吸熱用車室内熱交換
器35の吹出空気温度Tout を引いた値Δθ2 が所定値
Δθ2bよりも小さいので、吸熱用車室内熱交換器35が
凍結する可能性が低く、また、目標吹出温度T0 から放
熱用車室内熱交換器33の吹出空気温度Tv を引いた値
Δθ1 が所定値Δθ1bよりも大きいので、吹出空気温度
v の必要温度上昇幅が大きい。このため、領域III で
は、補助ヒータ76を作動する制御を行った後、エアミ
ックスドア46の開度を減らす制御を行う。
【0128】補助ヒータ76の制御は、ブロアファンモ
ータ44の電圧Vfan に対応する風量V0 を求め、補助
ヒータ76の入力値QheqtをΔθ1 ×V0 ×αによって
算出し、補助ヒータ76に信号出力する。このように補
助ヒータ76を作動すると、放熱用車室内熱交換器33
の吸込空気温度が上昇し、放熱用車室内熱交換器33の
作動温度が上昇し、これに伴って吸熱用車室内熱交換器
35の作動温度と吹出空気温度が若干上昇する。この吸
熱用車室内熱交換器35の吹出空気温度の上昇と、補助
ヒータ76の入力分及び放熱用車室内熱交換器33の作
動温度の上昇とによって、放熱用車室内熱交換器35の
吹出空気温度の上昇を冷媒温度の上昇に優先して行うこ
とができる。
【0129】領域IIでは、吸熱用車室内熱交換器35の
凍結に基づく設定温度Tset1から吸熱用車室内熱交換器
35の吹出空気温度Tout を引いた値Δθ2 が所定値Δ
θ2bよりも大きいので、吸熱用車室内熱交換器35が凍
結する可能性が高く、また、目標吹出温度T0 から放熱
用車室内熱交換器33の吹出空気温度Tv を引いた値Δ
θ1 が所定値Δθ1bよりも小さいので、吹出空気温度T
v の必要温度上昇幅が小さい。このため、領域IIでは、
風量を増加する制御を行った後、エアミックスドア46
の開度を減らす制御を行う。
【0130】前記風量の制御は、目標吹出温度T0 に対
応するブロアファンモータ44の電圧補正ΔVを求め、
ブロアファンモータ44の電圧を電圧Vfan よりも少し
高い電圧Vfan +ΔVに設定し、吸熱用車室内熱交換器
35の吸込空気量を増加する。このように吸熱用車室内
熱交換器35の吸込空気量を増加すると、吸熱用車室内
熱交換器35の吹出空気温度がやや上昇し、放熱用車室
内熱交換器33の吸込空気温度が上昇すると共に、吸込
空気量も増加する。これにより、吹出空気温度はほぼ一
定もしくは若干低下するが、放熱用車室内熱交換器33
からの放熱量、すなわち車室内への放熱量が増加するの
で、車室内の暖房性能は向上する。
【0131】領域Iでは、吸熱用車室内熱交換器35の
凍結に基づく設定温度Tset1から吸熱用車室内熱交換器
35の吹出空気温度Tout を引いた値Δθ2 が所定値Δ
θ2bよりも小さいので、吸熱用車室内熱交換器35が凍
結する可能性が低く、また、目標吹出温度T0 から放熱
用車室内熱交換器33の吹出空気温度Tv を引いた値Δ
θ1 が所定値Δθ1bよりも小さいので、吹出空気温度T
v の必要温度上昇幅が小さい。このため、領域Iでは、
エアミックスドア46の開度を減らす制御のみを行う。
【0132】エアミックスドア46の制御は、放熱用車
室内熱交換器33出口側の冷媒温度Tref に対応するエ
アミックスドア46の開度XD を求め、エアミックスド
ア46を開度XD に設定する。この開度XD は、冷媒温
度Tref が低いほど小さくなる(放熱用車室内熱交換器
33の吸込空気量が少なくなる)ように設定されてい
る。エアミックスドア46の開度XD を小さくすると、
放熱用車室内熱交換器33から流出する冷媒の温度が上
昇するので、コンプレッサ入力をさらに急速に増加する
ことができる。
【0133】また、冷媒温度Tref が低い場合には、放
熱用車室内熱交換器33の作動温度が低いので、エアミ
ックスドア46の開度XD を大きく変化させても冷媒の
循環状態が急変せず、冷媒温度Tref が高い場合には、
エアミックスドア46の変化量を微少量としたので、冷
媒の循環状態が不安定とならず、常に安定した循環状態
が得られ、ハンチングを起こす恐れが少ない。
【0134】なお、エアミックスドア46の開度XD
所定開度未満の時は、放熱用車室内熱交換器33の放熱
器としての機能が不充分となる恐れがあるので、三方弁
32を強制的に冷房運転側に切換えて車室外熱交換器3
8で放熱を行い、開度XD が所定開度以上の場合のみ暖
房運転を行うようにすることもできる。
【0135】また、エアミックスドア46の開度XD
御は、例えば、冷媒温度Tref が所定温度以下のときの
開度XD を最小値のXD min とし所定温度以上のときの
開度XD を全開状態としても良い。このような制御によ
れば、冷媒温度が低いときでも開度XD が所定開度XD
min 以上に保たれるので、放熱用車室内熱交換器33の
放熱器としての機能が確保され、また、冷媒温度の上昇
と共に徐々に開度XDを大きくすることにより、放熱用
車室内熱交換器33の作動圧力の急激な上昇が抑制され
て、安定した温度制御を行うことができる。
【0136】図11及び図12は、本実施例の蓄熱暖房
運転(図7のステップS142)のフローチャートを示
す。
【0137】蓄熱暖房スイッチがONされると、蓄熱暖
房制御が開始され(ステップS1421)、ステップS
1422に進む。
【0138】ステップS1422では、第1の電磁弁1
01を開いてステップS1423に進み、ステップS1
423では、第2の電磁弁102を開く。このように、
第1の電磁弁101と第2の電磁弁102を共に開く
と、液タンク36から流出した冷媒の一部が蓄熱槽10
4側に流入し、蓄熱暖房運転が開始されて、ステップS
1424に進む。
【0139】ステップS1424では、吸熱用車室内熱
交換器35の出口側の空気温度Tou t を新たに検出し
て、ステップS1425に進む。
【0140】ステップS1425では、ステップS13
1で読込んだ熱環境情報である車室内熱負荷情報を用い
て、窓晴れ性の判断基準となる温度Tf を演算し、ステ
ップS1426に進む。
【0141】ステップS1426では、ウォームアップ
制御を行うかどうかを判断する。ウォームアップ制御を
行うかどうかの判断は、ステップS144と同様に、目
標吹出温度T0 と設定温度Tset3との大小を比較して行
う。すなわち、T0 >Tset3の場合には、車室内温度が
目標温度よりも低く車室内がまだ充分に暖房されていな
いので、ステップS1428に進んでウォームアップ制
御を行い、T0 ≦Tse t3の場合には、車室内温度が目標
温度に近づいたので、通常の蓄熱暖房運転を行う。この
通常の蓄熱暖房運転では、第1の電磁弁101と第2の
電磁弁102を共に開いた状態で、図8に示す暖房運転
時のコンプレッサ制御を実行する。すなわち、エアミッ
クスドアやブロアファン電圧やコンプレッサ回転数を、
蓄熱暖房運転を行わない通常運転と同様に制御する。
【0142】ステップS1428でT0 >Tset2と判断
し、ウォームアップ制御を行う場合には、まず、ウォー
ムアップ制御を開始してから予め設定された継続基準時
間が経過したかどうかを判断して、第1の電磁弁101
の開閉制御を行う。このように第1の電磁弁101の開
閉制御を行うのは、ウォームアップ時には、できるだけ
早くコンプレッサ吸入冷媒温度を安定させてコンプレッ
サ吐出圧力を上昇させたいので、第1の電磁弁101を
閉じると冷媒が全て蓄熱槽104側へ流入し吸熱用車室
内熱交換器35には流入せず、かかる状態で蓄熱暖房運
転を長時間継続すると、空調風の除湿が不充分となり窓
曇りが発生する恐れがあるので、継続基準時間経過前
は、第1の電磁弁101を閉じてコンプレッサ吐出圧力
を早く上昇させ、また、継続基準時間経過後は、第1の
電磁弁101を開いて除湿暖房を行って窓晴れ性を確保
するためである。すなわち、ウォームアップ制御を開始
してから継続基準時間がまだ経過していない場合は、ス
テップS1429に進んで第1の電磁弁101を閉じ、
逆に、継続基準時間に達した場合は、ステップS143
0に進んで第1の電磁弁101を開いて、その後ステッ
プS1431に進む。
【0143】ステップS1431では、ステップS14
29で第1の電磁弁101を閉じた場合は、冷媒の全量
を蓄熱槽104側へ流入して、また、ステップS143
0で第1の電磁弁101を開いた場合は、冷媒の一部を
蓄熱槽104側に流入し、残りを吸熱用車室内熱交換器
35側に流入して、蓄熱暖房時のウォームアップ制御を
行う。この蓄熱暖房運転時のウォームアップ制御では、
第1の電磁弁101を閉じて第2の電磁弁102のみを
開いた状態で、図10に示すウォームアップ時の温度制
御を実行するもので、エアミックスドアやブロアファン
電圧やコンプレッサ回転数を、非蓄熱暖房運転時のウォ
ームアップ運転と同様に制御し、ステップS1432に
進む。
【0144】ステップS1432では、ステップS14
24で検出した吸熱用車室内熱交換器35の出口側の空
気温度Tout と、ステップS1425で演算した窓晴れ
性の基準温度Tf との温度差Δθを算出して、ステップ
S1433に進む。このように吸熱用車室内熱交換器3
5の出口側の空気温度Tout と窓晴れ性の基準温度T
との温度差Δθを求めるのは、温度差Δθが大きい場
合、窓曇りが発生する可能性が高いため、窓曇りの発生
の防止が必要となるからである。
【0145】ステップS1433では、ステップS14
32で求めたΔθが予め設定した目標温度差Δθset
りも大きいかどうかを判断し、Δθが目標温度差Δθ
set よりも大きい場合は、窓曇りが発生する恐れがない
ので、そのままステップS1434に進む。逆に、Δθ
が予め設定した目標温度差Δθset よりも小さい場合
は、窓曇りが発生する可能性があるので、ステップS1
435に進み、予め設定されたマップにより、Δθの大
きさに応じてブロアファン34の入力電圧の減少補正量
ΔVfan を求めた後、ステップS1436に進み、ブロ
アファン34の風量を求めた補正量ΔVfan だけ減少し
て、ステップS1434に進む。ステップS1435で
用いられるマップは、Δθが小さい場合には、窓曇りが
発生する可能性が高いので、プロワファン電圧の補正量
ΔVfan が大きくなるように設定され、反対にΔθが大
きい場合には、窓曇りが発生する可能性が低いので、ブ
ロアファン電圧の補正量ΔVfan が小さくなるように設
定されている。
【0146】ステップS1434では、蓄熱暖房運転を
開始してからのコンプレッサ吸入冷媒の最高温度が、予
め設定した基準冷媒温度よりも高いかどうかを判断す
る。このようにコンプレッサ吸入冷媒の最高温度が基準
冷媒温度よりも高いかどうかを判断するのは、図3及び
図4に示すように、蓄熱槽104の蓄熱量が充分であれ
ば、コンプレッサ吐出圧力がほぼ定常に達するまでの間
に、コンプレッサ吸入冷媒温度が最高温度付近まで上昇
することを利用して、以後蓄熱暖房運転を継続すること
により効果があるかどうかを判断するためである。すな
わち、コンプレッサ吸入冷媒の最高温度が基準冷媒温度
よりも高い場合は、蓄熱槽104の蓄熱量が充分であ
り、蓄熱暖房運転の効果が認められると判断し、ステッ
プS1437に進む。逆に、コンプレッサ吸入冷媒の最
高温度が基準温度よりも低い場合は、蓄熱槽104の蓄
熱量が不充分であり継続して蓄熱暖房運転を行っても大
きな効果が期待できないか、又は、蓄熱槽104の蓄熱
量は充分であるがまだ最高温度に達する以前であると判
断し、ステップS1438に進む。
【0147】ステップS1438では、コンプレッサ吸
入冷媒温度が基準冷媒温度に達しない状態で基準時間が
経過したかどうかを判断する。このように、コンプレッ
サ吸入冷媒温度が基準冷媒温度に達しない状態で基準時
間が経過したかどうかを判断するのは、基準時間が経過
してもコンプレッサ吸入冷媒温度が基準冷媒温度に達し
ない場合は、蓄熱槽104の蓄熱量が不足しているの
で、このまま蓄熱暖房運転を続けると、蓄熱槽104内
に冷媒が溜まり、コンプレッサ31が液冷媒を吸入して
液圧縮を起こしたり、サイクル内の作動冷媒が不足して
能力不足となり、窓曇りが発生しやすくなるからであ
る。このため、基準時間の経過後であれば、ステップS
1439に進んで第1の電磁弁101を開き、ステップ
S1440に進んで第2の電磁弁102を閉じて、蓄熱
槽104側への冷媒の流入を停止し、ステップS144
1に進む。ステップS1441では、蓄熱暖房運転から
蓄熱を使用しない通常の暖房運転の制御に切換え、図7
のステップS143の暖房運転を開始する。逆に、基準
時間の経過前であれば、蓄熱槽104の蓄熱量は充分で
あり、継続運転すれば、その後コンプレッサ吸入冷媒温
度が基準冷媒温度に達する可能性があるため、ステップ
S1424に戻り、本制御を継続する。
【0148】また、ステップS1434で、コンプレッ
サ吸入冷媒の最高温度が予め設定した基準冷媒温度に達
したと判断されると、ステップS1437に進んで、コ
ンプレッサ吸入冷媒温度がほぼ一定温度を維持している
かどうかを判断する。このようにコンプレッサ吸入冷媒
温度がほぼ一定温度を維持しているかどうかを判断する
のは、図3及び図4に示すように、蓄熱槽104から冷
媒への放熱量が低下すると、基準冷媒温度に達した後の
コンプレッサ吸入冷媒温度がほぼ一定に維持されること
を利用して、蓄熱暖房運転をさらに継続するかどうかを
判断するためである。すなわち、コンプレッサ吸入冷媒
温度がほぼ一定に維持されている場合は、蓄熱槽104
の放熱量が低下したと判断し、ステップS1439に進
む。ステップS1439では、第1の電磁弁101を開
いてステップS1440に進み、第2の電磁弁102を
閉じて、蓄熱槽104側への冷媒の流入を停止し、ステ
ップS1441に進み、蓄熱を使用しない通常の暖房運
転の制御に切換える。逆に、コンプレッサ吸入冷媒温度
がほぼ一定温度を維持していない場合は、ステップS1
424に戻り、本制御を継続する。
【0149】要するに、本実施例によれば、乗員の指示
により蓄熱暖房スイッチがONされ、蓄熱暖房運転が開
始されると、冷媒が蓄熱槽104側に流入して、蓄熱槽
104に蓄えられた熱量が冷媒に放熱されるので、コン
プレッサ31に流入する冷媒の(圧力/温度)が上昇
し、コンプレッサ31の冷凍能力R及び入力量Wが急激
に増加させることができ、高いウォームアップ性が得ら
れる。
【0150】また、蓄熱暖房運転時におけるコンプレッ
サ31やブロアファン37等の制御を、通常の暖房制御
とウォームアップ制御とに分けて行うので、蓄熱暖房運
転に加えてさらにウォームアップ性が向上する。
【0151】また、蓄熱暖房運転によるウォームアップ
制御が開始から継続基準時間を経過するまでは、第1の
電磁弁101を閉じて冷媒を全て蓄熱槽104に流入す
るので、窓晴れ性を損なうことなく、かつ効果的にウォ
ームアップを行うことができる。
【0152】また、吸熱用車室内熱交換器35の出口空
気温度Tout と窓晴れの基準温度Tf との温度差Δθが
大きい場合には、Δθに応じてブロアファン37の入力
電圧を減少させるので、確実な窓晴れ性を得ることがで
きる。
【0153】また、蓄熱暖房運転開始から基準時間が経
過してもコンプレッサ吸入冷媒温度が基準冷媒温度に達
しない場合は、蓄熱暖房運転を終了して通常の暖房運亭
に切換えるので、蓄熱槽104の蓄熱量不足によるコン
プレッサ31の液圧縮やサイクル内の作動冷媒不足を防
止することができ、窓曇りが発生するおそれがない。
【0154】また、コンプレッサ吸入冷媒温度が基準冷
媒温度に達した後ほぼ一定に維持されている場合は、蓄
熱暖房運転を終了して通常の暖房運転に切換えるので、
コンプレッサ31の冷凍能力R及び入力量Wの増加に伴
い、即座に通常の暖房運転に切換えることができ、快適
な暖房運転が得られる。
【0155】さらに、冷媒の蓄熱槽104への流入を的
確に停止するので、冷媒が蓄熱槽104内に溜ることも
防止でき、冷媒が不足して暖房能力が低下し窓曇りが発
生したり、コンプレッサ31が液圧縮を起こすおそれが
ない。
【0156】すなわち、暖房能力の維持や窓曇りの防止
やコンプレッサ31の保護が満足に行うことができる条
件で、蓄熱暖房運転から除湿暖房運転に切換えることが
できる。
【0157】なお、本実施例では、コンプレッサ吸入冷
媒温度を基準として蓄熱槽104から冷媒への放熱状態
を判断したが、これに代えて、蓄熱槽入口冷媒温度を基
準としてもよい。
【0158】ここで、本実施例において、冷暖房装置の
作動を停止し、空調運転を終了した場合は、第1の電磁
弁101及び第2の電磁弁102を閉じて、コンプレッ
サ31への冷媒の流入を阻止する。このように、空調運
転終了後にコンプレッサ31への冷媒の流入を阻止する
ことにより、次に冷暖房装置を再起動するまで、冷媒の
循環を完全に停止し、膨脹弁34に流入する前の高温高
圧状態にある冷媒と、膨脹弁34からの流出した後の低
温低圧状態にある冷媒とを、混合することなく分離した
状態で保持することができる。高温高圧状態にある冷媒
と低温低圧状態にある冷媒とを分離して保持すれば、高
温高圧冷媒のもつ熱がコンプレッサ31を保温するの
で、コンプレッサ31を長時間暖機した状態に維持でき
る。これにより、再起動時のコンプレッサ効率が向上
し、冷房運転時であればクールダウン性が向上し、暖房
運転時であればウォームアップ時間が短縮できる。
【0159】また、冷暖房装置を一度停止した後、直ぐ
に再起動時するような場合には、高圧冷媒と低圧冷媒と
の圧力差が小さい状態となるまで待って再起動する。こ
れにより、冷媒の急激な移動に起因する冷媒音の発生を
防止することができる。
【0160】ここで、冷暖房装置を起動及び停止した場
合の制御フローの一例を、図13に基づき説明する。
【0161】冷暖房装置を起動して制御を開始すると
(ステップS21)、ステップS22に進んで、冷暖房
装置が起動した直後かどうかを判断し、冷暖房装置が起
動した直後であればステップS23に進み、起動直後で
なければステップS24に進む。
【0162】ステップS23では、第1の電磁弁101
に通電して第1の電磁弁101を開き、冷媒流路を開放
してステップS25に進む。この第1の電磁弁101
は、通電時に開き通電停止時に閉じる機構であり、冷暖
房装置停止時に閉じられ、再起動時直後に開かれる。
【0163】ステップS25では、起動後に所定時間が
経過したかどうかを判断し、所定時間が経過した場合は
ステップS26に進み、図5に示す空調制御を開始す
る。このように起動後所定時間が経過してから空調制御
を開始するのは、冷暖房装置停止直後はサイクル内の高
圧部分と低圧部分との圧力差が大きく、そのままの状態
で、高温高圧の冷媒と低温低圧の冷媒とを混合すると、
膨脹弁34を流れる際の冷媒音が車室内に響き、乗員に
違和感を与える恐れがあるのでこれを防止すると共に、
サイクル内の高圧冷媒と低圧冷媒との圧力差を小さくし
て、コンプレッサ31の起動トルクを小さくし、さら
に、第1の電磁弁101を開いたときの冷媒の移動によ
るコンプレッサ31の液圧縮を防止するためである。な
お、本実施例では所定時間が経過するまで待つようにし
たが、この他に、高圧側冷媒と低圧側冷媒の温度差や圧
力差が所定値となるまで待つようにしてもよい。
【0164】ステップS24では、冷暖房装置が停止直
後かどうかを判断し、停止直後でなければ、ステップS
26に進んで空調制御を開始し、冷暖房装置停止直後で
あれば、ステップS27に進む。
【0165】ステップS27では、イグニッションスイ
ッチがONかどうかを判断し、イグニッションスイッチ
がONの場合には、ステップS28に進んで第1の電磁
弁101への通電を止めて冷媒流路を閉鎖した後、ステ
ップS29に進んで冷暖房装置を停止する。一方、イグ
ニッションスイッチがOFFの場合には、第1の電磁弁
101の通電も行われなくなるので、ステップS29に
進み、冷暖房装置を停止する。このように、冷暖房装置
の停止直後に冷媒通路を停止するのは、冷暖房装置の停
止後に、高温高圧の状態に維持された冷媒のもつ熱によ
ってコンプレッサ31を保温して、再起動時のコンプレ
ッサ効率を向上させ、冷房時のクールダウン性及び暖房
時のウォームアップ性を高めるためである。
【0166】なお、本実施例では、膨脹弁34として、
温度式膨脹弁を使用しているので、第1の電磁弁101
を設けているが、膨脹弁として外部から開度設定可能な
膨脹弁を使用する場合には、冷暖房装置の停止直後に膨
脹弁を閉じることによって、同様の効果を得ることがで
きる。
【0167】また、図14に示すよう、コンプレッサ3
1の冷媒吐出側に、三方弁の代わりに2個の電磁弁10
5,106を使用することもできる。この場合、2個の
電磁弁105,106は、冷媒の流路を切換えると共に
流路の開閉を行う。さらに、三方弁の代わりに2個の電
磁弁105,106を使用すると、冷暖房装置の停止後
に、車室外熱交換器38に冷媒が流入するおそれがなく
なり、車室外熱交換器38における冷媒の残存を防止で
きる。
【0168】また、図15に示すように、膨脹弁34の
下流に電磁弁107を設けることもできる。このよう
に、コンプレッサ31の吐出から吸熱用車室内熱交換器
35の入口までの間であれば、どこで冷媒の流通を阻止
してもよい。
【0169】また、本実施例では、蓄熱槽104を備え
た冷媒サイクルについて、空調装置停止後の冷媒の流通
阻止を行っているが、かかる冷媒の流通阻止による効果
は、蓄熱槽104の有無を問わず得ることができる。
【0170】次に、本発明の第2実施例について説明す
る。
【0171】本実施例と前記第1実施例とは、ほぼ同一
の構成であるが、前記第1実施例では、図7の蓄熱暖房
運転(ステップS142)を行う際に、まず第1の電磁
弁101と第2の電磁弁102の両方を開けて制御を行
うのに対し、本実施例では、第1の電磁弁101を閉じ
て第2の電磁弁102のみを開ける点で相違する。
【0172】図16は、本実施例の蓄熱暖房運転(図7
のステップS142)のフローチャートを示す。
【0173】蓄熱暖房スイッチがONされると、蓄熱暖
房制御が開始され(ステップS31)、ステップS32
に進む。
【0174】ステップS32では、第1の電磁弁101
を閉じてステップS33に進み、ステップS33では、
第2の電磁弁102を開く。このように、第1の電磁弁
101を閉じ、第2の電磁弁102を開くと、液タンク
36から流出した冷媒の全部が蓄熱槽104側に流入
し、蓄熱暖房運転が開始され(ステップS34)、ステ
ップS35に進む。
【0175】ステップS35では、蓄熱暖房運転を開始
してからのコンプレッサ吸入冷媒の最高温度が、予め設
定した基準冷媒温度よりも高いかどうかを判断する。こ
のようにコンプレッサ吸入冷媒の最高温度が基準冷媒温
度よりも高いかどうかを判断するのは、図3に示すよう
に、蓄熱槽104の蓄熱量が充分であれば、コンプレッ
サ吐出圧力がほぼ定常に達するまでの間に、コンプレッ
サ吸入冷媒温度が所定の最高温度付近まで必ず上昇する
ことを利用して、以後蓄熱暖房運転を継続して効果があ
るかどうかを判断するためである。すなわち、蓄熱暖房
運転を開始してからのコンプレッサ吸入冷媒の最高温度
が基準冷媒温度よりも高い場合は、蓄熱槽104の蓄熱
量が充分であり、蓄熱暖房運転の効果が認められると判
断し、ステップS36に進む。逆に、コンプレッサ吸入
冷媒の最高温度が基準冷媒温度よりも低い場合は、蓄熱
槽104の蓄熱量が不充分であり継続して蓄熱暖房運転
を行っても大きな効果が期待できないか、又は、蓄熱槽
104の蓄熱量は充分であるがまだ基準冷媒温度に達す
る以前であると判断し、ステップS37に進む。
【0176】ステップS37では、コンプレッサ吸入冷
媒温度が基準冷媒温度に達しない状態で基準時間が経過
したかどうかを判断する。このように、コンプレッサ吸
入冷媒温度が基準冷媒温度に達しない状態で基準時間が
経過したかどうかを判断するのは、基準時間が経過して
もコンプレッサ吸入冷媒温度が基準冷媒温度に達しない
場合は、蓄熱槽104の蓄熱量が不足しているので、こ
のまま蓄熱暖房運転を続けると、蓄熱槽104内に冷媒
が溜まり、コンプレッサ31が液冷媒を吸入して液圧縮
を起こしたり、サイクル内の作動冷媒が不足して能力不
足となり、窓曇りが発生しやすくなるからである。この
ため、基準時間の経過後であれば、ステップS38に進
んで第1の電磁弁101を開き、ステップS39に進ん
で第2の電磁弁102を閉じて、蓄熱槽104側への冷
媒の流入を停止し、ステップS40に進む。ステップS
40では、蓄熱暖房運転から蓄熱を使用しない通常の暖
房運転の制御に切換え、図7のステップS143の暖房
運転を開始する。逆に、基準時間の経過前であれば、蓄
熱槽104の蓄熱量は充分であり、継続運転すれば、そ
の後コンプレッサ吸入冷媒温度が基準冷媒温度に達する
可能性があるため、ステップS34に戻り、本制御を継
続する。
【0177】ステップS36では、コンプレッサ吸入冷
媒温度が最低基準温度温度よりも低下したかどうかを判
断する。このように、コンプレッサ吸入冷媒温度が最低
基準温度よりも低下したかどうかを判断するのは、図3
に示すように、蓄熱槽104から冷媒への放熱量が低下
したときに、コンプレッサ吸入冷媒温度が基準冷媒温度
に達した後に所定の温度以下に維持されることを利用し
て、蓄熱暖房運転を止めるかどうかを判断するためであ
る。すなわち、コンプレッサ吸入冷媒温度が最低基準温
度温度よりも低下した場合には、蓄熱槽104から冷媒
への放熱量が低下したと判断して、ステップS38以降
に進んで蓄熱暖房運転から通常の暖房運転に切換える。
逆に、コンプレッサ吸入冷媒温度が設定温度以上の場合
には、蓄熱槽104の蓄熱量が低下しておらず、継続し
て蓄熱暖房運転を行うことができる可能性が高いと判断
し、ステップS41に進む。
【0178】ステップS41では、コンプレッサ吸入冷
媒温度の時間変化率を演算して、ステップS42に進
む。このように、コンプレッサ吸入冷媒温度の時間変化
率を演算するのは、図3に示すように、コンプレッサ吐
出圧力がほぼ定常に達し、蓄熱槽104から冷媒への放
熱量が低下したときに、コンプレッサ吸入冷媒温度が急
激に低下し、その時間変化率が負方向に急増することを
利用して、蓄熱暖房運転を止めるかどうかを判断するた
めである。
【0179】ステップS42では、ステップS41で演
算したコンプレッサ吸入冷媒温度の時間変化率が予め設
定した基準変化率よりも小さいかどうかを判断する。す
なわち、コンプレッサ吸入冷媒温度の時間変化率が負方
向に急増し、時間変化率が設定値よりも小さくなった場
合には、蓄熱槽104から冷媒への放熱量が低下したと
判断して、ステップS38以降に進み、蓄熱暖房運転か
ら通常の暖房運転に切換える。逆に、コンプレッサ吸入
冷媒温度の時間変化率が設定値以上の場合には、ステッ
プS43に進む。
【0180】ステップS43では、冷媒サイクルの高圧
側の作動状態が、設定状態に達してから所定時間が経過
したかどうかを判断する。このよう冷媒サイクルの高圧
側の作動状態が設定状態に達してから所定時間が経過し
たかどうかを判断するのは、冷媒サイクルの高圧側の作
動状態が設定状態に達した後に、蓄熱槽104から冷媒
への放熱量が低下することを利用して、蓄熱暖房運転を
止めるかどうかを判断するためである。すなわち、サイ
クルの作動状態が設定状態に達してから設定時間が経過
した場合には、蓄熱槽104から冷媒への放熱量が低下
した判断して、ステップS38以降に進み、蓄熱暖房運
転から通常の暖房運転に切換える。逆に、サイクルの作
動状態が設定状態に達してからまだ設定時間が経過てい
ない場合には、ステップS34に戻り、蓄熱暖房運転を
継続する。
【0181】要するに、本実施例によれば、コンプレッ
サ吸入冷媒温度が基準冷媒温度に達した後に最低基準温
度温度よりも低下した場合には、蓄熱暖房運転を終了し
て通常の暖房運転に切換えるので、コンプレッサ31の
冷凍能力R及び入力量Wの増加に伴い、即座に通常の暖
房運転に切換えることができ、快適な暖房運転が得られ
る。
【0182】また、コンプレッサ吸入冷媒温度の時間変
化率が基準変化率よりも小さい場合には、蓄熱暖房運転
を終了して通常の暖房運転に切換えるので、コンプレッ
サ吸入冷媒温度が基準冷媒温度以下となる以前であって
も、コンプレッサ31の冷凍能力R及び入力量Wの増加
に伴い、より迅速に通常の暖房運転に切換えることがで
き、快適な暖房運転が得られる。
【0183】また、冷媒サイクルの高圧側の作動状態が
設定状態に達してから所定時間経過した場合にも蓄熱暖
房運転を終了して通常の暖房運転に切換えるので、通常
の暖房運転に切換えをさらに的確に行うことができる。
【0184】さらに、冷媒の蓄熱槽104への流入を的
確に停止するので、冷媒が蓄熱槽104内に溜ることも
防止できるので、冷媒が不足して暖房能力が低下し窓曇
りが発生したり、コンプレッサ31が液圧縮を起こすお
それがない。
【0185】すなわち、暖房能力の維持や窓曇りの防止
やコンプレッサ31の保護が満足に行うことができる条
件で、蓄熱暖房運転から除湿暖房運転に切換えることが
できる。
【0186】次に、本発明の第3実施例について説明す
る。
【0187】本実施例と前記第1実施例及び第2実施例
とは、ほぼ同一の構成であるが、前記第1実施例では、
図7の蓄熱暖房運転(ステップS142)を行う際に、
まず第1の電磁弁101と第2の電磁弁102の両方を
開けて制御を行うのに対し、本実施例では、第1の電磁
弁101を閉じて第2の電磁弁102のみを開ける点で
相違する。また前記第2実施例では、コンプレッサ吐出
冷媒温度に基づいて、蓄熱暖房運転を終了したが、本実
施例では、蓄熱槽入口冷媒温度に基づいて蓄熱暖房運転
を終了する点で相違する。このため、本実施例では、蓄
熱槽104の冷媒流入側に放熱要素検出手段としての入
口冷媒温度センサ108が設けられている。
【0188】図17は、本実施例の蓄熱暖房運転(図7
のステップS142)のフローチャートを示す。
【0189】蓄熱暖房スイッチがONされると、蓄熱暖
房制御が開始され(ステップS51)、ステップS52
に進む。
【0190】ステップS52では、第1の電磁弁101
を閉じてステップS53に進み、ステップS53では、
第2の電磁弁102を開く。このように、第1の電磁弁
101を閉じ、第2の電磁弁102を開くと、液タンク
36から流出した冷媒の一部が蓄熱槽104側に流入
し、蓄熱暖房運転が開始され(ステップS54)、ステ
ップS55に進む。
【0191】ステップS55では、蓄熱暖房運転を開始
してからの蓄熱槽入口冷媒の最高温度が、予め設定した
基準冷媒温度よりも高いかどうかを判断する。このよう
に蓄熱槽入口冷媒の最高温度が基準冷媒温度よりも高い
かどうかを判断するのは、図3に示すように、蓄熱槽1
04の蓄熱量が充分であれば、コンプレッサ吐出圧力が
ほぼ定常に達すると、蓄熱槽入口冷媒温度が所定の最高
温度付近まで必ず上昇することを利用して、以後蓄熱暖
房運転を継続して効果があるかどうかを判断するためで
ある。すなわち、蓄熱暖房運転を開始してからの蓄熱槽
入口冷媒温度の最高温度が基準冷媒温度よりも高い場合
は、蓄熱槽104の蓄熱量が充分であり、蓄熱暖房運転
の効果が認められると判断し、ステップS56に進む。
逆に、蓄熱槽入口冷媒温度の最高温度が基準冷媒温度よ
りも低い場合は、蓄熱槽104の蓄熱量が不充分であり
継続して蓄熱暖房運転を行っても大きな効果が期待でき
ないか、又は、蓄熱槽104の蓄熱量は充分であるがま
だ基準冷媒温度に達する以前であると判断し、ステップ
S57に進む。
【0192】ステップS57では、蓄熱槽入口冷媒温度
が基準冷媒温度に達しない状態で基準時間が経過したか
どうかを判断する。このように、蓄熱槽入口冷媒温度が
基準冷媒温度に達しない状態で基準時間が経過したかど
うかを判断するのは、基準時間が経過しても蓄熱槽入口
冷媒温度が基準冷媒温度に達しない場合は、蓄熱槽10
4の蓄熱量が不足しているので、このまま蓄熱暖房運転
を続けると、蓄熱槽104内に冷媒が溜まり、コンプレ
ッサ31が液冷媒を吸入して液圧縮を起こしたり、サイ
クル内の作動冷媒が不足して能力不足となり、窓曇りが
発生しやすくなるからである。このため、基準時間の経
過後であれば、ステップS58に進んで第1の電磁弁1
01を開き、ステップS59に進んで第2の電磁弁10
2を閉じて、蓄熱槽104側への冷媒の流入を停止し、
ステップS60に進む。ステップS60では、蓄熱暖房
運転から蓄熱を使用しない通常の暖房運転の制御に切換
え、図7のステップS143の暖房運転を開始する。逆
に、基準時間の経過前であれば、蓄熱槽104の蓄熱量
は充分であり、継続運転すれば、その後蓄熱槽入口冷媒
温度が基準冷媒温度に達する可能性があるため、ステッ
プS54に戻り、本制御を継続する。
【0193】ステップS56では、蓄熱槽104の蓄熱
槽入口冷媒温度が予め設定した最低基準温度よりも低下
したかどうかを判断する。このように、蓄熱槽入口冷媒
温度が最低基準温度よりも低下したかどうかを判断する
のは、図3に示すように、蓄熱槽104から冷媒への放
熱量が低下したときに、蓄熱槽入口冷媒温度が蓄熱槽1
04の温度と並行に推移することを利用して、蓄熱暖房
運転を止めるかどうかを判断するためである。すなわ
ち、蓄熱槽入口冷媒温度が最低基準温度よりも低下した
場合には、蓄熱槽104から冷媒への放熱量が低下した
と判断して、ステップS58以降に進み、蓄熱暖房運転
から通常の暖房運転に切換える。逆に、蓄熱槽入口冷媒
温度が最低基準温度以上の場合には、ステップS61に
進む。
【0194】ステップS61では、蓄熱槽入口冷媒温度
が基準冷媒温度に達してから、設定時間が経過したかど
うかを判断する。このように、蓄熱槽入口冷媒温度が基
準冷媒温度に達してから、設定時間が経過したかどうか
を判断するのは、蓄熱槽入口冷媒温度は、蓄熱槽104
内の蓄熱体温度と同温程度に達するまで徐々に上昇し、
冷媒温度よりも高温となって蓄熱体温度に近づいたとき
に、蓄熱槽104から冷媒への放熱量が低下することを
利用して、蓄熱暖房運転を止めるかどうかを判断するた
めである。すなわち、蓄熱槽104の入口冷媒温度が基
準冷媒温度に達してから設定時間が経過した場合には、
蓄熱槽104から冷媒への放熱量が低下したと判断し
て、ステップS58以降に進み、蓄熱暖房運転から通常
の暖房運転に切換える。逆に、蓄熱槽104の入口冷媒
温度が基準冷媒温度に達してから、設定時間がまだ経過
していない場合には、ステップS54に戻り、本制御を
継続する。
【0195】要するに、本実施例によれば、コンプレッ
サ吸入冷媒温度に代えて蓄熱槽入口冷媒温度を使用し、
蓄熱槽104から冷媒への放熱状態を判断するので、蓄
熱槽の温度変化に的確に対応して蓄熱暖房運転から通常
の暖房運転に切換えることができる。
【0196】なお、前記第2実施例及び本実施例では、
第1の電磁弁101を閉じ、第2の電磁弁102を開い
て蓄熱暖房運転を行ったが、第1の電磁弁101と第2
の電磁弁102を共に開いた状態で蓄熱暖房運転を行っ
ても良い。
【0197】
【発明の効果】以上より明らかなように、請求項1に記
載の発明によれば、暖房運転時には放熱用車室内熱交換
器で放熱すると共に、吸熱用車室内熱交換器で吸熱し、
冷房運転時には車室外熱交換器または車室外熱交換器と
放熱用車室内熱交換器との双方で放熱すると共に、吸熱
用車室内熱交換器で吸熱しているので、暖房運転時には
吸熱用車室内熱交換器の吸熱量と、コンプレッサの仕事
熱量とを放熱用車室内熱交換器で放熱し暖房能力が向上
すると共に外気の気象条件に左右されず低外気温でも運
転が可能となり安定した制御が可能となる。吸熱用車室
内熱交換器で除湿した後、放熱用車室内熱交換器で加熱
するので、除湿暖房が可能となる。空調風の除湿をした
後のリヒートは電気ヒータ等を使う必要がなく消費電力
を削減することができる。電気ヒータやエンジンの排熱
を用いることなく効率良く暖房ができるためエンジンを
持った車に限らずソーラーカーや電気自動車のような大
きな熱源を持たない場合でも適用することができる。冷
房と暖房で冷媒の流れ方向が同じであるため現在車両に
用いられている冷暖房装置を余り変更せずに適用するこ
とができ、設計上有利である。
【0198】しかも、暖房運転時は、外部熱源からの蓄
熱を利用することにより、消費電力を抑えながらコンプ
レッサ入力の増大を図ることができる。
【0199】また、蓄熱手段の放熱状態に応じて蓄熱調
整手段を可変制御するので、蓄熱手段の蓄熱能力に応じ
て蓄熱手段への冷媒導入量を調整でき、最適条件下で的
確な蓄熱暖房運転を行うことができと共に、冷媒の不足
等による暖房能力の低下や、コンプレッサの液圧縮が発
生せず、暖房能力と、窓晴れ性と、コンプレッサの保護
とを同時に成立させることができる。
【0200】請求項2に記載の発明では、コンプレッサ
に流入する冷媒温度又は前記蓄熱手段に導入する冷媒温
度に応じて蓄熱手段への冷媒導入量を調整でき、また、
蓄熱手段から冷媒への放熱量が低下したときに的確に蓄
熱暖房運転を停止するので、暖房能力と、窓晴れ性と、
コンプレッサの保護とをより的確に成立させることがで
きる。
【0201】請求項3に記載の発明では、暖房運転開始
後の所定時間内は吸熱用車室内熱交換器への冷媒の導入
を停止するようにしたので、蓄熱を有効に利用可能な状
態で蓄熱暖房運転を行うことができると共に、暖房能力
の向上と窓晴れ性の維持とをより確実に両立させること
ができ、暖房運転開始時の蓄熱暖房運転がより快適とな
る。
【0202】請求項4に記載の発明では、コンプレッサ
に流入する冷媒温度又は前記蓄熱手段に導入する冷媒温
度の少なくとも一方が、蓄熱手段への冷媒導入後所定時
間内に所定温度に達しないときは、蓄熱手段から冷媒へ
の放熱量が低下したと判断して蓄熱手段への冷媒の導入
を停止するので、特に、冷媒が蓄熱手段からの放熱を必
要としない場合や、蓄熱手段の蓄熱量が不充分である場
合に、的確に蓄熱暖房運転を停止することができる。
【0203】請求項5に記載の発明では、コンプレッサ
に流入する冷媒温度又は前記蓄熱手段に導入する冷媒温
度の少なくとも一方が所定温度以下となったとき、又
は、その時間変化が所定値以下となったときに蓄熱手段
から冷媒への放熱量が低下したと判断して制御手段が蓄
熱手段への冷媒の導入を停止するので、蓄熱手段から冷
媒への放熱量が低下したときに迅速かつ的確に蓄熱暖房
運転を停止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例に係るブロック図であ
る。
【図2】この発明の第1実施例に係る冷凍サイクルの構
成図である。
【図3】蓄熱槽のみに冷媒を流通させた場合の状態を示
す図であり、(a)は、コンプレッサ吐出圧力の時間的
変化を示し、(b)は、蓄熱槽温度、蓄熱槽入口冷媒温
度、及びコンプレッサ吸入冷媒温度のそれぞれの時間的
変化を示す。
【図4】蓄熱槽と吸熱用車室内熱交換器の両方に冷媒を
流通させた場合の状態を示す図であり、(a)は、コン
プレッサ吐出圧力の時間的変化を示し、(b)は、蓄熱
槽温度、蓄熱槽入口冷媒温度、及びコンプレッサ吸入冷
媒温度のそれぞれの時間的変化を示す。
【図5】この発明の第1実施例に係るフローチャートで
ある。
【図6】この発明の第1実施例に係るフローチャートで
ある。
【図7】この発明の第1実施例に係るフローチャートで
ある。
【図8】この発明の第1実施例に係るフローチャートで
ある。
【図9】この発明の第1実施例に係るフローチャートで
ある。
【図10】この発明の第1実施例に係るフローチャート
である。
【図11】この発明の第1実施例に係るフローチャート
である。
【図12】この発明の第1実施例に係るフローチャート
である。
【図13】この発明の第1実施例に係るフローチャート
である。
【図14】この発明の第1実施例に係る冷凍サイクルの
他の構成図である。
【図15】この発明の第1実施例に係る冷凍サイクルの
他の構成図である。
【図16】この発明の第2実施例に係るフローチャート
である。
【図17】この発明の第3実施例に係るフローチャート
である。
【図18】従来例に係る冷凍サイクルの構成図である。
【図19】新たな車両用ヒートポンプ式冷暖房装置の冷
凍サイクルの構成図である。
【符号の説明】
31 コンプレッサ 32 三方弁(冷媒流路切換手段) 33 放熱用車室内熱交換器 34 膨脹弁(膨脹手段) 35 吸熱用車室内熱交換器 37 ブロアファン(送風手段) 38 車室外熱交換器 43 制御装置(放熱状態検出手段、制御手段) 101 第1の電磁弁(吸熱調整手段) 102 第2の電磁弁(蓄熱調整手段) 107 吸入冷媒温度センサ(放熱要素検出手段) 108 入口冷媒温度センサ(放熱要素検出手段)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷媒に仕事量を加えるコンプレッサと、 このコンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の熱を
    外気に放熱する車室外熱交換器と、 前記コンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の熱を
    送風手段により導入された空気と熱交換して温い空調風
    を作る放熱用車室内熱交換器と、 この放熱用車室内熱交換器の冷媒流出側に接続された膨
    張手段と、 この膨張手段の冷媒流出側と前記コンプレッサの冷媒吸
    入側とに接続され、送風手段により導入された空気の熱
    を前記車室外熱交換器および前記放熱用車室内熱交換器
    の少なくとも一方から前記膨張手段を通して供給された
    冷媒と熱交換して冷たい空調風を作る吸熱用車室内熱交
    換器と、 前記コンプレッサの冷媒吐出側と前記車室外熱交換器お
    よび前記放熱用車室内熱交換器の冷媒流入側との間に設
    けられ、コンプレッサから吐出される冷媒を、冷房運転
    時に少なくとも前記車室外熱交換器に導入し、暖房運転
    時に前記車室外熱交換器を回避して前記放熱用車室内熱
    交換器に導入する冷媒流路切換手段と、 前記放熱用車室内熱交換器の冷媒吐出側と前記コンプレ
    ッサの冷媒流入側とに接続され、外部熱源からの熱量を
    蓄熱して冷媒に放熱する蓄熱手段と、 この蓄熱手段の冷媒流入側に接続され前記蓄熱手段に導
    入する冷媒量を調整する蓄熱調整手段と、 前記蓄熱手段から冷媒への放熱状態の増減に関する要素
    を検出する放熱要素検出手段と、 この放熱要素検出手段の検出した要素に応じて前記蓄熱
    手段から冷媒への放熱状態を判断する放熱状態判断手段
    と、 この放熱状態判断手段の判断した放熱状態に応じて前記
    蓄熱調整手段を可変制御する制御手段とを設けたことを
    特徴とする車両用ヒートポンプ式冷暖房装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の車両用ヒートポンプ式冷
    暖房装置であって、 前記放熱要素検出手段は、前記コンプレッサに流入する
    冷媒温度又は前記蓄熱手段に導入する冷媒温度の少なく
    とも一方を検出し、 前記放熱状態判断手段は、前記冷媒温度がほぼ一定状態
    にあるとき前記蓄熱手段から冷媒への放熱量が低下した
    と判断し、 前記制御手段は、前記放熱状態判断手段が前記蓄熱手段
    から冷媒への放熱量が低下したと判断したときに前記蓄
    熱調整手段により前記蓄熱手段への冷媒の導入を停止す
    ることを特徴とする車両用ヒートポンプ式冷暖房装置。
  3. 【請求項3】 冷媒に仕事量を加えるコンプレッサと、 このコンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の熱を
    外気に放熱する車室外熱交換器と、 前記コンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の熱を
    送風手段により導入された空気と熱交換して温い空調風
    を作る放熱用車室内熱交換器と、 この放熱用車室内熱交換器の冷媒流出側に接続された膨
    張手段と、 この膨張手段の冷媒流出側と前記コンプレッサの冷媒吸
    入側とに接続され、送風手段により導入された空気の熱
    を前記車室外熱交換器および前記放熱用車室内熱交換器
    の少なくとも一方から前記膨張手段を通して供給された
    冷媒と熱交換して冷たい空調風を作る吸熱用車室内熱交
    換器と、 前記コンプレッサの冷媒吐出側と前記車室外熱交換器お
    よび前記放熱用車室内熱交換器の冷媒流入側との間に設
    けられ、コンプレッサから吐出される冷媒を、冷房運転
    時に少なくとも前記車室外熱交換器に導入し、暖房運転
    時に前記車室外熱交換器を回避して前記放熱用車室内熱
    交換器に導入する冷媒流路切換手段と、 前記放熱用車室内熱交換器の冷媒吐出側と前記コンプレ
    ッサの冷媒流入側とに接続され、外部熱源からの熱量を
    蓄熱して冷媒に放熱する蓄熱手段と、 前記吸熱用車室内熱交換器の冷媒流入側に設けられ前記
    吸熱用車室内熱交換器に導入する冷媒量を調整する吸熱
    調整手段と、 暖房運転開始後の所定時間内は前記吸熱用車室内熱交換
    器への冷媒の導入を停止するように前記吸熱調整手段を
    可変制御する制御手段とを設けたことを特徴とする車両
    用ヒートポンプ式冷暖房装置。
  4. 【請求項4】 冷媒に仕事量を加えるコンプレッサと、 このコンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の熱を
    外気に放熱する車室外熱交換器と、 前記コンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の熱を
    送風手段により導入された空気と熱交換して温い空調風
    を作る放熱用車室内熱交換器と、 この放熱用車室内熱交換器の冷媒流出側に接続された膨
    張手段と、 この膨張手段の冷媒流出側と前記コンプレッサの冷媒吸
    入側とに接続され、送風手段により導入された空気の熱
    を前記車室外熱交換器および前記放熱用車室内熱交換器
    の少なくとも一方から前記膨張手段を通して供給された
    冷媒と熱交換して冷たい空調風を作る吸熱用車室内熱交
    換器と、 前記コンプレッサの冷媒吐出側と前記車室外熱交換器お
    よび前記放熱用車室内熱交換器の冷媒流入側との間に設
    けられ、コンプレッサから吐出される冷媒を、冷房運転
    時に少なくとも前記車室外熱交換器に導入し、暖房運転
    時に前記車室外熱交換器を回避して前記放熱用車室内熱
    交換器に導入する冷媒流路切換手段と、 前記放熱用車室内熱交換器の冷媒吐出側と前記コンプレ
    ッサの冷媒流入側とに接続され、外部熱源からの熱量を
    蓄熱して冷媒に放熱する蓄熱手段と、 この蓄熱手段の冷媒流入側に接続され前記蓄熱手段に導
    入する冷媒量を調整する蓄熱調整手段と、 前記蓄熱手段から冷媒への放熱状態の増減に関する要素
    として前記コンプレッサに流入する冷媒温度又は前記蓄
    熱手段に導入する冷媒温度の少なくとも一方を検出する
    放熱要素検出手段と、 前記蓄熱手段への冷媒導入後所定時間内に、前記放熱要
    素検出手段の検出した冷媒温度が所定温度に達しないと
    きに前記蓄熱手段から冷媒への放熱量が低下したと判断
    する放熱状態判断手段と、 前記蓄熱手段から冷媒への放熱量が低下したと前記放熱
    状態判断手段が判断したときに前記蓄熱調整手段により
    前記蓄熱手段への冷媒の導入を停止する制御手段とを設
    けたことを特徴とする車両用ヒートポンプ式冷暖房装
    置。
  5. 【請求項5】 冷媒に仕事量を加えるコンプレッサと、 このコンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の熱を
    外気に放熱する車室外熱交換器と、 前記コンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の熱を
    送風手段により導入された空気と熱交換して温い空調風
    を作る放熱用車室内熱交換器と、 この放熱用車室内熱交換器の冷媒流出側に接続された膨
    張手段と、 この膨張手段の冷媒流出側と前記コンプレッサの冷媒吸
    入側とに接続され、送風手段により導入された空気の熱
    を前記車室外熱交換器および前記放熱用車室内熱交換器
    の少なくとも一方から前記膨張手段を通して供給された
    冷媒と熱交換して冷たい空調風を作る吸熱用車室内熱交
    換器と、 前記コンプレッサの冷媒吐出側と前記車室外熱交換器お
    よび前記放熱用車室内熱交換器の冷媒流入側との間に設
    けられ、コンプレッサから吐出される冷媒を、冷房運転
    時に少なくとも前記車室外熱交換器に導入し、暖房運転
    時に前記車室外熱交換器を回避して前記放熱用車室内熱
    交換器に導入する冷媒流路切換手段と、 前記放熱用車室内熱交換器の冷媒吐出側と前記コンプレ
    ッサの冷媒流入側とに接続され、外部熱源からの熱量を
    蓄熱して冷媒に放熱する蓄熱手段と、 この蓄熱手段の冷媒流入側に接続され前記蓄熱手段に導
    入する冷媒量を調整する蓄熱調整手段と、 前記蓄熱手段から冷媒への放熱状態の増減に関する要素
    として前記コンプレッサに流入する冷媒温度又は前記蓄
    熱手段に導入する冷媒温度の少なくとも一方を検出する
    放熱要素検出手段と、 前記放熱要素検出手段の検出した冷媒温度が所定温度以
    下となったとき、又は前記冷媒温度の時間変化が所定値
    以下となったときに前記蓄熱手段から冷媒への放熱量が
    低下したと判断する放熱状態判断手段と、 前記蓄熱手段から冷媒への放熱量が低下したと前記放熱
    状態判断手段が判断したときに前記蓄熱調整手段により
    前記蓄熱手段への冷媒の導入を停止する制御手段とを設
    けたことを特徴とする車両用ヒートポンプ式冷暖房装
    置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08282263A (ja) * 1995-04-17 1996-10-29 Sanden Corp 車両用空気調和装置
WO2019026486A1 (ja) * 2017-07-31 2019-02-07 株式会社デンソー ヒートポンプサイクル装置および弁装置

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