JP2874492B2 - 車両用ヒートポンプ式冷暖房装置 - Google Patents

車両用ヒートポンプ式冷暖房装置

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JP2874492B2
JP2874492B2 JP32542692A JP32542692A JP2874492B2 JP 2874492 B2 JP2874492 B2 JP 2874492B2 JP 32542692 A JP32542692 A JP 32542692A JP 32542692 A JP32542692 A JP 32542692A JP 2874492 B2 JP2874492 B2 JP 2874492B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、コンプレッサの駆動
により冷媒を車室外熱交換器および車室内熱交換器に循
環させる蒸気圧縮サイクルを備えた車両用ヒートポンプ
式冷暖房装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の車両用ヒートポンプ式冷暖房装置
としては、特開平2−290475号公報や実開平2−
130808号公報などに開示されているように、四方
弁で冷媒の流れを暖房運転時と冷媒運転時とで逆転さ
せ、暖房運転時には、車室外熱交換器を吸熱器として使
用すると共に、車室内熱交換器を放熱器として使用し、
冷房運転時には、車室外熱交換器を放熱器として使用す
ると共に、車室内熱交換器を吸熱器として使用するよう
にしたものが知られている。
【0003】具体的には、上記特開平2−290475
号公報に開示された冷暖房装置を、図12に図示して説
明する。つまり、暖房運転時には、四方弁2が実線示の
ように切り換えられ、冷媒がコンプレッサ1→四方弁2
→第1車室内熱交換器3→加熱用熱交換器4→第2車室
内熱交換器5→膨張弁6→車室外熱交換器7→四方弁2
→レシーバ8→コンプレッサ1と循環し、第1車室内熱
交換器3がコンプレッサ1から吐出された高温なる冷媒
の熱をブロワファン9で導入された空気に放熱して車室
内暖房用の温風を作り、加熱用熱交換器4がエンジン1
0からの廃熱を冷媒に吸熱し、この冷媒の熱を第2車室
内熱交換器5がブロワファン11で導入された空気に放
熱して車室内暖房用の温風を作り、車室外熱交換器7が
ファン12で導入された外気の熱を冷媒に吸熱する。冷
房運転時には、四方弁2が点線示のように切り換えら
れ、冷媒がコンプレッサ1→四方弁2→車室外熱交換器
7→膨張弁6→第2車室内熱交換器5→第1車室内熱交
換器3→四方弁2→レシーバ8→コンプレッサ1と循環
し、車室外熱交換器7がコンプレッサ1から吐出さたれ
高温なる冷媒の熱を外気に放熱し、第1,第2車室内熱
交換器3,5がブロワファン9,11で導入された空気
の熱を冷媒に放熱して車室内冷房用の冷風を作る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】かかる従来例にあって
は、四方弁2で冷媒の流れを暖房運転時と冷媒運転時と
で逆転させ、暖房運転時には、車室外熱交換器7を吸熱
器として使用すると共に、車室内熱交換器3,5を放熱
器として使用して車室内暖房用の温風を作り、冷房運転
時には、車室外熱交換器7を放熱器として使用すると共
に、車室内熱交換器3,5を吸熱器として使用して車室
内冷房用の冷風を作るようになっているので、外気温が
低い時や走行時あるいは降雨時、さらに降雪時などのよ
うな気候条件において、暖房運転を行なうと、車室外熱
交換器7での吸熱量が減少する。そして、コンプレッサ
1の仕事量が一定であると仮定すると、車室外熱交換器
7からの吸熱量とコンプレッサ1の仕事量との合計熱量
を放熱する車室内熱交換器3,5での放熱量が減少し、
暖房能力が低下する。しかも、上記気候条件では、着霜
現象が生じ易く、デフロスト運転の回数が増加して安定
した暖房運転が得られなくなる恐れがある。
【0005】また、冷房運転時と暖房運転時とで冷媒の
流れ方向が変わるため、車室外熱交換器7側、車室内熱
交換器3,5側のいずれの配管も高温、高圧に耐えられ
るよう管径等を変更する必要があった。
【0006】また、車両の暖房装置に要求される窓晴れ
性を確保するには、暖房運転ではなく冷房運転を行い、
車室内熱交換器3,5で空調風を一度冷却した後、これ
をさらにリヒートする必要がある。しかし、電気自動車
のように、エンジン等からの廃熱が得られず、充分なリ
ヒート熱源が供給できない場合は、暖房能力が不足して
しまい、暖房性能が全く確保できなくなる恐れがあっ
た。また、電気ヒータ等の他の熱源を設けてリヒートす
ることも可能であるが、この場合、充分な暖房能力を確
保するためには、多大な消費電力を要するという問題が
あった。
【0007】これに対処するため、本願出願人は、特願
平3−345950号として新たな車両用ヒートポンプ
式冷暖房装置を提案している。この装置は、吸熱用車室
内熱交換器の他に放熱用車室内熱交換器を設け、三方弁
で切り換えるようにしたものである。かかる装置によれ
ば、車室外の気候条件に左右されず安定した制御で冷暖
房能力を向上することができ、大幅な設計変更を必要と
せず、電気自動車などにも適し、しかも除湿暖房を行な
うことができる。
【0008】具体的には図13のようになっており、暖
房運転時には三方弁32が実線示のように切り換えら
れ、冷媒がコンプレッサ31→三方弁32→放熱用車室
内熱交換器33→液タンク36→膨脹弁34→吸熱用車
室内熱交換器35→コンプレッサ31と循環し、ブロワ
ファンで導入された空気は吸熱用車室内熱交換器35で
の熱交換により冷やされ、冷却除湿された後、放熱用車
室内熱交換器33での熱交換により温められ、車室内暖
房用の温風が作られる。
【0009】また、冷房運転時には、三方弁32が点線
示のように切り換えられ、冷媒がコンプレッサ31→三
方弁32→車室外熱交換器38→逆止弁70→放熱用車
室内熱交換器33→液タンク36→膨脹弁34→吸熱用
車室内熱交換器35→コンプレッサ31と循環し、車室
外熱交換器38がコンプレッサ1から吐出された高温な
冷媒の熱を外気に放熱し、ブロワファンで導入された空
気が吸熱用車室内熱交換器35で熱交換されて冷やさ
れ、車室内冷房用の冷風が作られる。
【0010】このように、新たな冷暖房装置では、暖房
運転時に吸熱用車室内熱交換器35の冷却で除湿し、放
熱用車室内熱交換器33でリヒートするため、理論的に
はコンプレッサ入力分の熱量を暖房熱とし、電気ヒータ
等の熱源を必要とせずに除湿暖房運転ができるのであ
る。従って、コンプレッサ31の入力を増加することに
より、充分な除湿暖房運転ができる。
【0011】しかし、コンプレッサ31の入力が大きく
増加すると、これに伴って消費電力も増大してしまうと
いう問題があった。
【0012】また、コンプレッサ31の入力の増加は、
吸熱用車室内熱交換器の凍結を招く恐れがあるため、通
常の運転においては、コンプレッサ31の入力を一定範
囲とし、吸熱用車室内熱交換器35が凍結しない範囲で
除湿暖房を行う必要がある。このため、暖房能力に限界
が生じ、消費電力の低減と、除湿による窓晴れ性と、充
分な暖房能力とを共に成立させることに限界があった。
【0013】そこでこの発明は、コンプレッサ入力を増
加させることなく暖房能力を増大させることができ、ま
た、車室外の気候条件に左右されず安定した制御で冷暖
房能力を向上することができ、大幅な設計変更を必要と
せず、電気自動車等にも適し、しかもコンプレッサ入力
を増加させることなく暖房能力を増大させることがで
き、さらに、消費電力の低減と窓晴れ性と充分な暖房能
力とを無理なく成立させることができる車両用ヒートポ
ンプ式冷暖房装置の提供を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に記載の発明は、冷媒に仕事量を加えるコ
ンプレッサと、このコンプレッサの冷媒吐出側に接続さ
れ、冷媒の熱を外気に放熱する車室外熱交換器と、前記
コンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の熱を送風
手段により導入された空気と熱交換して温い空調風を作
る放熱用車室内熱交換器と、この放熱用車室内熱交換器
の冷媒流出側に接続された膨張手段と、この膨張手段の
冷媒流出側と前記コンプレッサの冷媒吸入側とに接続さ
れ、送風手段により導入された空気の熱を前記車室外熱
交換器および前記放熱用車室内熱交換器の少なくとも一
方から前記膨張手段を通して供給された冷媒と熱交換し
て冷たい空調風を作る吸熱用車室内熱交換器と、前記コ
ンプレッサの冷媒吐出側と前記車室外熱交換器および前
記放熱用車室内熱交換器の冷媒流入側との間に設けら
れ、コンプレッサから吐出される冷媒を、冷房運転時に
少なくとも前記車室外熱交換器に導入し、暖房運転時に
前記車室外熱交換器を回避して前記放熱用車室内熱交換
器に導入する冷媒流路切換手段と、前記コンプレッサの
仕事量を車両の熱環境条件に基づき決定した目標値に応
じて可変制御するコンプレッサ制御手段と、車両の別の
熱源からの廃熱を熱媒体を介して回収する回収手段と、
この回収手段に接続され、前記コンプレッサへ吸入する
冷媒と前記廃熱を回収した熱媒体とを熱交換させる回収
熱吸熱用熱交換器と、この回収熱吸熱用熱交換器と前記
回収手段との間に設けられ、暖房運転時に前記回収熱吸
熱用熱交換器に選択的に前記熱媒体を導入する吸熱選択
手段とからなることを特徴とするものである。
【0015】請求項2に記載の発明は、請求項1記載の
車両用ヒートポンプ式冷暖房装置であって、前記吸熱選
択手段は、前記吸熱用車室内熱交換器の冷却状態を設定
温度範囲内に維持しつつ、前記回収熱吸熱用熱交換器で
の熱交換量を大とするように前記熱媒体の導入を行うこ
とを特徴とするものである。
【0016】請求項3に記載の発明は、請求項1記載の
車両用ヒートポンプ式冷暖房装置であって、前記吸熱選
択手段は、前記吸熱用車室内熱交換器の冷却状態を、車
室内気温度及び外気温度の関係で窓曇りを生じない温度
を下回り、かつ前記吸熱用車室内熱交換器の凍結温度を
上回る範囲内に維持しつつ、前記回収熱吸熱用熱交換器
での熱交換量を大とするように前記熱媒体の導入を行う
ことを特徴とするものである。
【0017】請求項4に記載の発明は、請求項1、請求
項2又は請求項3記載の車両用ヒートポンプ式冷暖房装
置であって、車両の走行負荷を検出する手段からの信号
に応じて、前記目標値を、走行負荷が高い時にはコンプ
レッサの稼働率を低減する値に設定し、走行負荷が低い
時にはコンプレッサの稼働率を上昇させる値に設定する
目標値増減変更手段を有することを特徴とするものであ
る。
【0018】請求項5に記載の発明は、請求項1、請求
項2、請求項3又は請求項4記載の車両用ヒートポンプ
式冷暖房装置であって、前記吸熱選択手段は、前記回収
手段の熱媒体の温度が前記コンプレッサへ吸入する冷媒
温度よりも低いとき、前記回収熱吸熱用熱交換器への熱
媒体の導入を停止することを特徴とするものである。
【0019】請求項6に記載の発明は、請求項1、請求
項2、請求項3、請求項4、又は請求項5記載の車両用
ヒートポンプ式冷暖房装置であって、前記回収手段に接
続され、前記廃熱を回収した熱媒体の熱を車両の代表構
成部分近傍に放熱する回収熱放熱用熱交換器を設け、前
記代表部品の温度が設定温度よりも低いとき、前記回収
熱放熱用熱交換器に前記熱媒体を導入することを特徴と
するものである。
【0020】
【作用】請求項1に記載の発明では、暖房運転時に、コ
ンプレッサの駆動により、冷媒がコンプレッサから流路
切り換え手段、放熱用車室内熱交換器、膨張手段、吸熱
用車室内熱交換器を順に経由してコンプレッサに循環
し、放熱用車室内熱交換器がコンプレッサから吐出され
た高温な冷媒の熱を送風手段で導入された空気に放熱し
て温風を作り、吸熱用車室内熱交換器が送風手段で導入
された空気の熱を冷媒に吸熱して冷風を作る。冷房運転
時には、コンプレッサの駆動により冷媒をコンプレッサ
から流路切り換え手段、車室外熱交換器のみ又は車室外
熱交換器と放熱用車室内熱交換器との両方、膨張手段、
吸熱用車室内熱交換器を順に経由してコンプレッサに循
環し車室外熱交換器かコンプレッサから吐出された高温
な冷媒の熱を外気に放熱し、吸熱用車室内熱交換器が送
風手段で導入された空気の熱を冷媒に吸熱して冷風を作
る。
【0021】また、コンプレッサ制御手段は、車両の熱
環境条件に基づき決定した目標値に応じて、コンプレッ
サの仕事量を可変制御する。
【0022】そして、暖房運転時は、吸熱選択手段が熱
媒体を回収熱吸熱用熱交換器に選択的に導入し、回収手
段によって車両の別の熱源から回収された廃熱がコンプ
レッサへ吸入する冷媒に吸熱される。これにより、コン
プレッサ入力を低減しても、廃熱を回収し、回収した熱
量を送風手段で導入された空気に供給でき、充分な暖房
熱を得ることができる。
【0023】請求項2に記載の発明では、吸熱選択手段
は、前記吸熱用車室内熱交換器の冷却状態を設定温度の
範囲内に維持しながらコンプレッサの仕事量を低減でき
る。また、廃熱を回収してその熱量を送風手段で導入さ
れた空気に供給できる。
【0024】請求項3に記載の発明では、吸熱選択手段
は、前記吸熱用車室内熱交換器の冷却状態を、車室内気
温度及び外気温度の関係で窓曇りを生じない温度を下回
り、かつ前記吸熱用車室内熱交換器の凍結温度を上回る
範囲に維持しながら、コンプレッサの仕事量を低減する
ので、窓曇りと吸熱用車室内熱交換器の凍結とを共に防
止しながらコンプレッサの仕事量の低減することができ
る。また、廃熱を回収してその熱量を送風手段で導入さ
れた空気に供給できる。
【0025】請求項4に記載の発明では、コンプレッサ
制御手段は、車両の走行負荷を検出する手段からの信号
に応じて、前記目標値を、走行負荷が高い時にはコンプ
レッサの稼働率を低減する値に設定し、走行負荷が低い
時にはコンプレッサの稼働率を上昇させる値に設定する
目標値増減変更手段を有するので、一時的なエネルギ負
担の増大を回避することができる。
【0026】請求項5に記載の発明では、吸熱選択手段
は、回収手段の熱媒体の温度がコンプレッサへ吸入する
冷媒温度よりも低いとき、回収熱吸熱用熱交換器への熱
媒体の導入を停止するので、コンプレッサから入力され
た仕事量が冷媒を介して熱媒体に不要に放熱される恐れ
がなく、コンプレッサに吸入する冷媒圧力の低下を防ぐ
と共に、コンプレッサの仕事量を確実に低減することが
できる
【0027】 請求項6に記載の発明では、代表部品の温
度が設定温度よりも低いときに、回収熱放熱用熱交換器
に熱媒体を導入するので、代表部品の温度低下を防止す
ることができる。
【0028】
【実施例】以下、この発明の実施例を説明する。図1
は、この発明の第1実施例の車両用ヒートポンプ式冷暖
房装置の概略構成図を示し、図2は、冷媒サイクルのみ
を示す概略構成図である。
【0029】これら、図1、図2に示すようにコンプレ
ッサ31は、エンジンルームのような車室外に設けら
れ、電動式コンプレッサや油圧駆動式コンプレッサのよ
うに、入力値が直接可変可能になっている。このコンプ
レッサ31の吐出側には、車室外熱交換器38と放熱用
車室内熱交換器33とが冷媒流路切換手段としての三方
弁32を介して接続されている。
【0030】前記車室外熱交換器38は、エンジンルー
ム等の車室外に設けられ、コンプレッサ31から吐出さ
れる冷媒の熱を外気に放熱する車室外コンデンサになっ
ている。
【0031】前記放熱用車室内熱交換器33は、インス
トルメントパネルの裏側のような車室内前部に配置され
た装置本体としてのダクト39内に設けられ、コンプレ
ッサ31から吐出される冷媒の熱を送風手段としてのブ
ロワファン37によって導入された空気に放熱する放熱
タイプの車室内コンデンサになっている。
【0032】前記三方弁32は、暖房運転時には、実線
示のような流路切り換え状態となり、コンプレッサ31
の吐出側を放熱用車室内熱交換器33の冷媒流入側に接
続する一方、冷房運転時には、点線示のような流路切り
換え状態となり、コンプレッサ31の吐出側を車室外熱
交換器38及び逆止弁70を介して放熱用車室内熱交換
器33の冷媒流入側に接続している。
【0033】前記逆止弁70は、車室外熱交換器38側
から放熱用車室内熱交換器33側への冷媒の流れを許容
し、放熱用車室内熱交換器33側から車室外熱交換器3
8への冷媒の流れを阻止するようになっている。
【0034】前記放熱用車室内熱交換器33の冷媒流出
側には、ダクト39内の上流側に設けられた吸熱用車室
内熱交換器35の冷媒流入側が、液タンク36及び車室
外に設けられた膨張手段として液体冷媒を断熱膨張して
霧状にする膨張弁34を介して接続されている。
【0035】前記吸熱用車室内熱交換器35は、送風手
段としてのブロワファン37によって導入された空気の
熱を、車室外熱交換器38および放熱用車室内熱交換器
33の少なくとも一方から膨張手段としての膨張弁34
を通して供給された冷媒に吸熱して冷風を作る吸熱タイ
プのエバポレータになっている。前記吸熱用車室内熱交
換器35の冷媒流出側には、コンプレッサ31の冷媒吸
入側が接続されている。
【0036】なお、前記放熱用車室内熱交換器33の空
気流入側には、補助ヒータ76が設けられている。補助
ヒータ76は入力電圧によって出力を任意に設定できる
可変タイプの電熱ヒータで、入力電圧はコンプレッサ制
御手段としての制御装置43により制御される。補助ヒ
ータ76がONされると、放熱用車室内熱交換器33を
通過する空気が加熱され、放熱用車室内熱交換器33を
流通する冷媒の温度が上昇する。
【0037】前記ダクト39内の吸熱用車室内熱交換器
35よりも上流側には、車室内空気を導入する内気導入
管40と、走行風圧を受けて外気を導入する外気導入管
41とが接続されている。この内気導入管40と外気導
入管41とが分岐する部分には、内気導入管40から導
入された内気と外気導入管41から導入された外気とを
任意の比率で供給するように開閉するインテークドア4
2が設けられている。インテークドア42は、制御装置
43で駆動される図外のインテークドアアクチュエータ
により開閉する。
【0038】前記内気導入管40と外気導入管41との
空気導出側(空気流の下流側)と吸熱用車室内熱交換器
35との間には、前記ブロワファン37が配置され、ブ
ロワファンモータ44で回転駆動されるようになってい
る。
【0039】前記放熱用車室内熱交換器33の上流側に
は、エアミックスドア46が設けられている。このエア
ミックスドア46は、制御装置43で駆動される図外の
エアミックスドアアクチュエータにより駆動され、吸熱
用車室内熱交換器35を通過して冷えている空気を、放
熱用車室内熱交換器33を回避して冷えたままの冷風
と、放熱用車室内熱交換器33を通過して暖められた温
風とに分ける比率(冷風と温風との風量配分)を調整す
る。エアミックスドア46の開度たるエアミックスドア
開度Xdscは、エアミックスドア46が一点鎖線示の
位置となり、冷風と温風との風量配分が冷風100%に
なる時を、エアミックスドア開度Xdsc=0%(全
閉)と設定し、エアミックスドア46が二点鎖線示の位
置となり、冷風と温風との風量配分が温風100%とな
る時を、エアミックスドア開度Xdsc=100%(全
開)と設定してある。
【0040】前記ダクト39の放熱用車室内熱交換器3
3よりも下流側には、上記冷風と温風との混合を良くす
ることにより、温度調整された空調風を作る部屋として
のエアミックスチャンバ47が設けられている。エアミ
ックスチャンバ47には、対象乗員の上半身に向けて空
調風を吹き出すベンチレータ吹出口51(51a,51
b,51c,51d)と、対象乗員の足元に向けて空調
風を吹き出すフット吹出口52(52a)と、フロント
ウィンドウに向けて空調風を吹き出すデフロスタ吹出口
53(53a)とが連設されている。エアミックスチャ
ンバ47内には、ベンチレータドア55とフットドア5
6とデフロスタドア57とが設けられている。ベンチレ
ータドア55は、制御装置43で駆動される図外のベン
チレータドアアクチュエータにより、ベンチレータ吹出
口51を開閉する。フットドア56は、制御装置43で
駆動される図外のフットドアアクチュエータにより、フ
ット吹出口52を開閉する。デフロスタドア57は、制
御装置43で駆動される図外のデフロスタドアアクチュ
エータにより、デフロスタ吹出口53を開閉する。
【0041】また、前記エアミックスチャンバ47に
は、内気導入管40に連通する循環通路71が接続され
ている。循環通路71からエアミックスチャンバ47へ
の開口部72には、循環通路71の入口側ドア74が設
けられ、循環通路71と内気導入管40との分岐部73
には、出口側ドア75が設けられている。入口側ドア7
4は、制御装置43で駆動される図外の入口側ドアアク
チュエータにより開口部72を開閉し、出口側ドア75
は、制御装置43で駆動される図外の出口側ドアアクチ
ュエータにより分岐部73を切り換える。すなわち入口
側ドア74および出口側ドア75が開放した状態(出口
側ドア75は内気導入管40を閉じる。)において、エ
アミックスチャンバ47からブロワファン37の上流側
へ空調風が循環する。
【0042】前記制御装置43は、吸熱用車室内熱交換
器吸い込み風温センサ58と、吸熱用車室内熱交換器吹
き出し風温センサ59と、ベンチレータ吹出口風温セン
サ60と、日射量センサ61と、外気温センサ62と、
室温センサ63と、空調設定パネル79に設けられた室
温設定器64(図1では便宜上、信号線で示している)
と、吹出口モードスイッチ65(同)と、ブロワファン
スイッチ66(同)と、冷媒温度センサ67と、放熱用
車室内熱交換器吹き出し風温センサ68などからの熱環
境情報により、エアミックスドア開度Xdscとコンプ
レッサ31の入力値Wcompと吸熱用車室内熱交換器35
を通過する通過風量Veva と目標吹出温度To などの目
標冷暖房条件を演算し、車室内の冷暖房条件が上記演算
された目標冷暖房条件を維持するように、コンプレッサ
31とブロワファンモータ44とエアミックスドアアク
チュエータとベンチレータドアアクチュエータとフット
ドアアクチュエータとデフロスタドアアクチュエータな
どを駆動する。前記熱環境情報とは、吸熱用車室内熱交
換器35の吸い込み口空気温度Tsuc と、吸熱用車室内
熱交換器35の吹き出し空気温度Tout と、放熱用車室
内熱交換器33の吹き出し空気温度Tv と、ベンチレー
タ吹出口51の吹き出し空気温度Tventと、車両の日射
量Qsun と、車室外の外気温度Tamb と、車室内の検出
室温(車室内気温度)Troomと車室内の設定温度Tptc
と放熱用車室内熱交換器33出口側の冷媒温度Tref な
どである。
【0043】一方、この車両用ヒートポンプ式冷暖房装
置の冷暖房の切換えは、前記三方弁32を制御装置43
によって設定温度で切換制御することにより行なう。前
記設定温度は、検出室温Troom及び外部温度Tamb の関
係での窓曇りを生じない境界の温度と熱環境情報に応じ
た目標空調風温度とが略一致するものとして定めてい
る。また暖房運転時の空調風制御は、前記吸熱用車室内
熱交換器35の吹き出し温度が、検出室温Troom及び外
気温度Tamb の関係での窓曇りを生じない温度Tfineを
下回り、かつ前記吸熱用内熱交換器35の凍結限界温度
Tsetoを上回る範囲となることを優先して行う。
【0044】車両を駆動する別の熱源である駆動用モー
タ83には、モータ83からの廃熱を回収する廃熱回収
部83aが設けられ、この廃熱回収部83aは熱媒体と
しての水やオイル等のクーラントを循環する冷却管路8
6に接続されている。この冷却管路86において、前記
廃熱吸収部83aのクーラント流出側は、クーラントの
熱を外気に放熱する回収熱放熱用熱交換器としてのラジ
エータ81に接続し、このラジエータ81のクーラント
流出側は、モータ83へクーラントを流入するポンプ8
2に接続している。すなわち、前記クーラントは、別の
熱源としてのモータ83の廃熱を吸熱してモータ83の
温度を所定の範囲に維持させ、前記廃熱回収部83aと
ポンプ82とは回収手段を構成している。
【0045】ラジエータ81のクーラント流出側にはク
ーラントの流出量を調整可能に開閉する第2のバルブ8
7が設けられ、この第2のバルブ87の下流側と前記モ
ータ83のクーラント流出側とは、バイパス通路88に
よって連通している。前記第2のバルブ87の下流側
で、かつバイパス通路88との合流部よりも下流側で
は、冷却管路86が二つ分岐し、このうちポンプ82と
接続していない側は、回収熱吸熱用熱交換器85のクー
ラント流出側に接続されている。
【0046】回収熱吸熱用熱交換器85のクーラント流
入側は、前記モータ83のクーラント流出側に接続さ
れ、回収熱吸熱用熱交換器85では、前記コンプレッサ
31へ流入する冷媒にクーラントの熱を放熱している。
前記回収熱吸熱用熱交換器85とモータ83との間に
は、回収熱吸熱用熱交換器85からのクーラント流出量
を調整可能に開閉する吸熱選択手段としての第1のバル
ブ84が設けられている。また、前記回収熱吸熱用熱交
換器85の冷媒流入側には、前記吸熱用車室内熱交換器
35から回収熱吸熱用熱交換器85に流入する冷媒の作
動温度Tref.eva を検出する冷媒温度センサ77が設け
られ、検出された冷媒の作動温度Tref.evaは、前記制
御装置43に入力される。
【0047】前記モータ83の廃熱回収部83aと、モ
ータ83のクーラント流出側下流の冷却管路86には、
クーラントの作動温度Tcoolを検出するクーラント温度
センサ69a,69bが設けられ、検出された作動温度
Tcoolは前記制御装置43に入力される。制御装置43
は、前記ポンプ82及び第1,第2のバルブ84,87
を駆動制御及び開閉制御することにより作動温度Tcool
を所定範囲に維持する。
【0048】制御装置43は、この車両用ヒートポンプ
式冷暖房装置が冷房運転を行っている場合や、クーラン
トの作動温度Tcoolが低温のため前記冷媒へ熱回収でき
ない場合には、クーラントが回収熱吸熱用熱交換器85
へ流入しないように前記第1のバルブ84を全閉状態と
する。一方、車両用ヒートポンプ式冷暖房装置が暖房運
転を行い、クーラントの作動温度Tcoolが熱回収可能な
温度まで上昇している場合には、第1のバルブ84を開
き、回収熱吸熱用熱交換器85へクーラントを流入させ
て熱回収を行う。ここで、前記吸熱用車室内熱交換器3
5下流の空調温が窓曇りしない温度域内にあれば、第1
のバルブ84の開度を増大し、回収熱吸熱用熱交換器8
5へのクーラントの流入量を増加させて熱交換量を増や
す。反対に、前記吸熱用車室内熱交換器35下流の空調
温が窓曇りの発生し得る温度域内にあれば、第1のバル
ブ84の開度を減小し、回収熱吸熱用熱交換器85への
クーラントの流入量を減少させて熱交換量を減らす。
【0049】上記実施例に係る車両用ヒートポンプ式冷
暖房装置は、図3、図4に示すフローチャートに基づい
て制御が行なわれる。
【0050】冷暖房装置のスイッチがONされて制御装
置が作動することにより処理を開始し、ステップS1で
この制御フローチャートで用いる定数(A〜H,P,
Q)のセットが行われる。すなわち、目標吹出温度Tof
の計算式に用いるA〜E、エアミックスドアの開度Xの
計算式に用いるF,G,H、設定室温の補正に用いる
P,Qをセットする。
【0051】ステップS2では、各種センサ出力が読み
込まれる。すなわち、室温センサ63の出力である車室
内温度Troom、日射量センサ61の出力である日射量Q
sun、外気温センサ62の出力である外気温Tamb 、室
温設定器64の出力である車室内の設定室温Tptc 、フ
ァンスイッチの設定Vfan,set の読み込みを行う。
【0052】ステップS3では、ブロワファンの風量を
印加電圧により制御するため、乗員の設定する室温設定
値Tptc と室温Troomとの偏差(Troom−Tptc )に応
じて空調風を発生するブロワファンの印加電圧Vfan を
セットする。具体的には、この偏差が大きいほど印加電
圧を増加し、室温を設定室温に早急に近付けるようにす
る。
【0053】ステップS4では、設定室温Tptc の補正
を行う。この補正は、定数P,Q及び外気温Tamb を用
い、次式により行なう。
【0054】 Tptc ′=Tptc +P×Tamb +Q 具体的には、外気温が低い場合には設定室温を上昇さ
せ、外気温が高い場合には、設定室温を低下させる。通
常、人間の体感では、周囲が暑い環境下で室温を低下さ
せると「涼しい」といった温冷感が得られ、逆に、周囲
が寒い環境下で室温を上昇させると「暖かい」といった
温冷感が得られる。このように周囲の温度に逆比例する
ような温度を設定することで温冷感が刺激されて快適と
なる。
【0055】ステップS5では、目標吹出温度Tofを算
出する。この算出は、定数A,B,C,D,E、外気温
Tamb 、室温Troom、補正設定室温T′ptc 、日射量Q
sunを用い次式によって算出する。
【0056】
【数1】 Tof=A×Tamb +B×Troom+C×T′ptc +D×Qsun +E ステップS6では、目標吹出温度Tofに基づいてエアミ
ックスドアの開度Xを算出する。この算出は定数F,
G,Hを用い次式によって行う。
【0057】X=F×Tof2 +G×Tof+H ステップS7では、目標吹出温度Tofに基づいて吹出モ
ードを決定する。すなわち、目標吹出温度が高ければ主
として前席乗員の足元に吹き出すFOOT(フートモー
ド)、同中程度であれば前席乗員の胸部と足元に吹き出
すBI−LEVEL(バイレベルモード)、同低ければ
前席乗員の胸部に吹き出すVENT(ベントモード)を
選択する。
【0058】ステップS8では、乗員によってマニュア
ルファンスイッチが押されたかどうかを判断する。マニ
ュアルファンスイッチが押されていればその操作に応じ
るためステップS9によってファン設定値Vfan ′=V
fan,set を最終的なブロワファン電圧とする。マニュア
ルファンスイッチが押されていなければ、ステップS1
0において、以前のステップS3で自動的に定めたブロ
ワファン電圧をそのまま用いる。
【0059】ステップS11では、ステップS9あるい
はステップS10で決められたブロワファン電圧をブロ
ワファンモータ44へ出力する。
【0060】ステップS12では、各ドアアクチュエー
タに出力し、ドアを所定位置に自動セットする。
【0061】ステップS13では、コンプレッサとコン
プレッサモータを制御する。この制御については図6〜
図8を用いて後述する。
【0062】こうして、一回のループを終了するとステ
ップS2へ戻り、再度上記各ステップが繰り返される。
【0063】そして、暖房運転時には、図1、図2の実
線示のように三方弁32が切り換えられ、冷媒がコンプ
レッサ31→三方弁32→放熱用車室内熱交換器33→
液タンク36→膨脹弁34→吸熱用車室内熱交換器35
→回収熱吸熱用熱交換器85→コンプレッサ31と循環
し、放熱用車室内熱交換器33がコンプレッサ31から
吐出された高温な冷媒の熱をブロワファン37で導入さ
れた空気又は車両走行時のラム圧によって導入された空
気に放熱して温風を作り、吸熱用車室内熱交換器35が
ブロワファン37で導入された空気又は車両走行時のラ
ム圧によって導入された空気の熱を冷媒に吸熱して冷風
を作る。
【0064】また、冷房運転時には、同図の点線示のよ
うに三方弁32が切り換えられ、冷媒がコンプレッサ3
1→三方弁32→車室外熱交換器38→逆止弁70→放
熱用車室内熱交換器33→液タンク36→膨脹弁34→
吸熱用車室内熱交換器35→(回収熱吸熱用熱交換器8
5)→コンプレッサ31と循環し、車室外熱交換器38
がコンプレッサ31から吐出された高温な冷媒の熱を外
気に放熱し、残りの熱を放熱用車室内熱交換器33がブ
ロワファン37で導入された空気又は車両走行時のラム
圧によって導入された空気に放熱して温風を作り、吸熱
用車室内熱交換器35がブロワファン37で導入された
空気又は車両走行時のラム圧によって導入された空気の
熱を冷媒に放熱して冷風を作る。
【0065】図5から図8は、前記図4のステップS1
3を実行するフローチャートを示す。
【0066】まず、図5は冷房運転と暖房運転との選択
のフローチャートを示している。
【0067】ステップS131では各種データの読み込
みが行なわれる。ここでの読み込みは図3のステップS
2で読み込んだデータ以外のものを読み込む。すなわ
ち、風温センサ59の出力である吸熱用車室内熱交換器
35の吹き出し空気温度Tout、風温センサ58の出力
である吸熱用車室内熱交換器吸い込み空気温度Tsuc 、
風温センサ68の出力である放熱用車室内熱交換器33
吹き出し空気温度Tv 、コンプレッサ仕事量を表わす物
理量Vcompで、Vcompに比例してコンプレッサ吐出量が
増加し、コンプレッサ仕事量も増える(電動コンプレッ
サを使用する場合には、周波数に相当する)。
【0068】ステップS132で、デフロスタスイッチ
がONされているか否かを判断し、デフロスタスイッチ
がONされている場合には、ステップS133に進み、
デフロスタスイッチがOFFされている場合には、ステ
ップS134に進む。
【0069】ステップS133では、吸熱用車室内熱交
換器35の目標冷却状態に対して、デフロスタスイッチ
がONされている場合の補正項を与える。δTc は冷房
運転時の目標とする吸熱用車室内熱交換器吹き出し空気
温度の補正項で、δTH は暖房運転時の上限冷却温度
(窓晴れ温度)の補正項で、デフロスタスイッチがON
されている場合には、吸熱用車室内熱交換器35での目
標冷却状態をより低く設定して除湿量を増やし、放熱用
車室内熱交換器33でのリヒート量を多くして、最終的
に目標とする吹き出し温度で車室内に空調風を吹き出
す。同様に、ステップS134では、デフロスタスイッ
チがONされていない場合の吸熱用車室内熱交換器35
の目標冷却状態に対する補正項を与える。
【0070】ステップS135では、ステップS133
やステップS134で与えられた補正項を使って、冷房
運転した場合と暖房運転した場合の吸熱用車室内熱交換
器35での冷却状態を比較し、冷房運転した場合の冷却
状態の方が暖房運転した場合よりも低くなる時、ステッ
プS136に進んで冷房運転を行ない、逆に、暖房運転
した場合の冷却状態の方が冷房運転した場合よりも低く
なる場合には、ステップS137に進んで暖房運転を実
行する。
【0071】図6、図7は暖房温調時のコンプレッサ制
御のフローチャートを示している。
【0072】ステップS1371では各種データの読み
込みが行なわれる。ここでは図3のステップS2及び図
5のステップS131で読み込んだデータ以外のもの、
すなわち、吸熱用車室内熱交換器35に流入する冷媒温
度Tref.eva と駆動用モータを冷却するクーラントの温
度Tcoolの読み込みを行う。
【0073】ステップS1372では、車室外の熱環境
条件と車室内の熱負荷状態を考慮して、防曇のための冷
却温度Tfineを演算する。
【0074】ステップS1373では、ステップS5で
演算した目標吹出温度Tofと、ステップS131で検出
した放熱用車室内熱交換器吹き出し空気温度Tv との偏
差△θ1 を算出する。
【0075】ステップS1374では、デフロスタスイ
ッチがONされているか否かを判断する。
【0076】ステップS1374でデフロスタスイッチ
がONの場合には、ステップS1375において、逆
に、デフロスタスイッチがOFFの場合には、ステップ
S1376において、暖房運転時の吸熱用車室内熱交換
器35の上限冷却温度に対する補正温度δTH を与え
る。この補正温度δTH の値は、ステップS133、ス
テップS134と同様に設定してある。ここでは、デフ
ロスタスイッチのON/OFFに対してのみ補正してい
るが、車両の熱負荷条件、例えば、日射や車室内温度や
外気温や吹出温度に対して補正してもよい。
【0077】ステップS1377では、低外気温時の設
定上限冷却温度T5 と、防曇のための冷却温度Tfineを
基にした上限冷却温度(Tfine−δTH )とを比較し
て、大きい方を暖房運転時の上限冷却温度(上限Tou
t')として設定する。ここでは、上限冷却温度を決める
要素の一つとして、防曇のための冷却温度の補正値で代
表させているが、防曇のための冷却温度以外にも外気温
度や車両の熱環境条件や窓曇りセンサ出力等を用いても
よい。
【0078】ステップS1378では、吸熱用車室内熱
交換器35の凍結に基づく温度Tseto(T6 )を下限冷
却温度(下限Tout')として設定する。
【0079】ステップS1379は、熱回収が可能かど
うかを判断するもので、駆動用モータ83を冷却するク
ーラントの温度Tcoolが回収熱吸熱用熱交換器85に流
入する冷媒温度Tref.eva よりも高いか否かを判断す
る。Tcool≦Tref.eva の場合、冷却管路86を流通す
るクーラントの温度が低く、回収熱吸熱用熱交換器85
で熱回収を行うことができないので、ステップS138
1に進んで、第1のバルブ84を全閉にして回収熱吸熱
用熱交換器85へのクーラントの流入を止め、さらにス
テップS1382に進んで、このステップ以後の第1の
バルブ84の開閉を禁止する。従って、冷媒からクーラ
ントへ放熱されることに起因して、放熱用車室内熱交換
器33での放熱量を維持すべくコンプレッサ31の仕事
量が増大されるのを未然に防止できる。
【0080】反対に、Tcool>Tref.eva の場合、クー
ラントの温度が冷媒温度以上であり、回収熱吸熱用熱交
換器85で熱回収を行うことができるので、ステップS
1380に進んで、ステップS1382における第1の
バルブ84の開閉禁止を解除する。
【0081】ステップS1383では、吸熱用車室内熱
交換器35が凍結される恐れがあるか否かを判断する。
すなわち、吸熱用車室内熱交換器35の吹き出し空気温
度Tout が、ステップS1378で設定した下限冷却温
度(下限Tout')よりも低いか否かを判断し、Tout <
下限Tout'の場合には、このままでは吸熱用車室内熱交
換器35が凍結する恐れがあるので、ステップS138
4に進んで、凍結回避のための制御を行う。
【0082】ステップS1384は、第1のバルブ84
の開度を全閉方向へ動かせるか否かを判断するもので、
第1のバルブ84が全開か否かを判断し、第1のバルブ
84が全開でない場合は、ステップS1391に進む。
ステップS1391では、第1のバルブ84の開度を増
大し、回収熱吸熱用熱交換器85における冷媒の吸熱量
を増加させる。回収熱吸熱用熱交換器85における冷媒
の吸熱量が増加すると、冷凍サイクルに回収される熱量
が増加するので、これに応じて吸熱用車室内熱交換器3
5における吸熱量が減少し、吸熱用車室内熱交換器35
の吹き出し空気温度Tout が上昇する。従って、吸熱用
車室内熱交換器35の凍結を防止することができる。
【0083】ステップS1384において、第1のバル
ブ84が全開の場合、ステップS1393に進む。ステ
ップS1393では、コンプレッサ31の入力をΔVco
mpだけ減らし、吸熱用車室内熱交換器35の吹き出し空
気温度Tout を上昇させて、Tout が上下冷却温度内に
入るようにする。従って、吸熱用車室内熱交換器35の
凍結を防止することができる。
【0084】ステップS1383において、Tout ≧下
限Tout'の場合、吸熱用車室内熱交換器35の凍結の恐
れはなく、ステップS1385に進む。
【0085】ステップS1385では、吸熱用車室内熱
交換器35の吹き出し空気温度Tout が、ステップS1
377で設定した上限Tout'よりも高いか否かを判断す
る。Tout >上限Tout'の場合、吸熱用車室内熱交換器
35での冷却不足のため窓曇りが発生する恐れがあるの
で、ステップS1386に進んで、防曇のための制御を
行う。
【0086】ステップS1386では、第1のバルブ8
4が全閉か否かを判断し、第1のバルブ84が全閉でな
い場合、ステップS1389に進む。ステップS138
9では、第1のバルブ84の開度を減小させて、回収熱
吸熱用熱交換器85における冷媒の吸熱量を減少させ
る。回収熱吸熱用熱交換器85における冷媒の吸熱量が
減少すると、冷凍サイクルに回収される熱量が減少する
ので、これに応じて吸熱用車室内熱交換器35における
吸熱量が増加して、吸熱用車室内熱交換器35の吹き出
し空気温度Tout が低下する。従って、窓曇りの発生を
防止することができる。
【0087】ステップS1386において、第1のバル
ブ84が全閉の場合、ステップS1393に進む。ステ
ップS1394では、コンプレッサ31の入力をΔVco
mpだけ増加し、吸熱用車室内熱交換器35の吹き出し空
気温度Tout を低下させて、Tout が上下冷却温度内に
入るようにする。
【0088】ステップS1385において、Tout ≦上
限Tout'の場合、すなわち下限Tout'≦Tout ≦上限T
out'の場合は、ステップS1387に進む。
【0089】ステップS1387では、上限Tout'と下
限Tout'との偏差Δθ2 を算出する。
【0090】ステップS1388では、吸熱用車室内熱
交換器35に冷却状態の余裕(例えば、Tout が上下T
out'の間にあり、かつ下限Tout'に近い状態)があるか
どうかの判断をする。すなわち、ステップS1387に
おいて算出したΔθ2 が設定温度T7 よりも高いか否か
を判断し、Δθ2 >T7 の場合、吸熱用車室内熱交換器
35の冷却状態に余裕があり、さらに回収熱吸熱用熱交
換器85での吸熱量を増加してもTout が上限Tout'を
上回らないと判断されるので、ステップS1391に進
む。ステップS1391では、第1のバルブ84の開度
を増大し、回収熱吸熱用熱交換器85における冷媒の吸
熱量を増加させて、冷凍サイクルに回収される熱量を増
大させる。
【0091】ステップS1388において、Δθ2 ≦T
7 の場合、Tout が上限Tout'に近接し、これ以上回収
熱吸熱用熱交換器85での吸熱量を増加すると、吸熱用
車室内熱交換器35での冷媒の作動圧力及び作動温度が
上昇して吹き出し空気温度Tout が上限Tout'よりも高
温となり、窓曇りが発生する恐れがあるので、ステップ
S1390に進んで、そのときの第1のバルブ84の開
度を維持する。
【0092】ステップS1389,S1390,S13
91において、第1のバルブ84の開閉又は維持を行っ
た場合には、ステップS1392に進み、放熱用車室内
熱交換器33の目標吹出温度Tofが一定範囲内にあり、
目標の暖房熱を得ることができるか否かについて判断す
る。すなわち、ステップS1373で算出した目標吹出
温度Tofと放熱用車室内熱交換器吹き出し空調温度Tv
との偏差△θ1 と設定偏差S1 との大小を比較する。
【0093】ステップS1392において、△θ1 >S
1 の場合には、吹出温度が目標空調風温度Tofに達して
いないので、ステップS1394に進んで、コンプレッ
サ31の仕事量を△Vc だけ増加させて吹出温度を上昇
させる。△θ1 <−S1 の場合には、吸熱用車室内熱交
換器吹き出し空気温度が目標吹出温度よりも高いので、
ステップS1393に進んで、コンプレッサ31の仕事
量を△Vc だげ減少させて吹出温度を低下させる。これ
ら以外の条件では、ステップS1395に進み、現状の
コンプレッサ仕事量を維持する。
【0094】従来の車両用ヒートポンプ冷暖房装置にお
いても、コンプレッサの仕事量を可変して吹き出し温度
を制御することができるが、一定量の仕事量の変化に対
して、外気温度や走行条件によって吹き出し温の温度変
化量が大きく異なってしまい、安定した車室内温度制御
は困難であった。
【0095】この点で、本発明実施例の車両用冷暖房装
置の暖房運転では、外気温の影響を受けずに連続した暖
房運転が可能で、一定量のコンプレッサ31の仕事量の
増減が、外気温度や走行条件に依らず、つねに所定量の
吹出温度変化量(車室内への放熱量変化)となって現わ
れ、しかも、暖房運転時には吸熱用車室内熱交換器35
において必ず除湿(冷却)を伴なうといった特徴を持つ
ために、図6と図7に示すようなコンプレッサ制御によ
って、不安定現象がない車室内除湿温度制御を行なうこ
とができる。
【0096】また、放熱用車室内熱交換器33の吹き出
し空気温度Tv が目標温度となるようにコンプレッサ3
1の仕事量を可変しながら、吸熱用車室内熱交換器35
の吹き出し空気温度Tout と、防曇温度を考慮して設定
した上限Tout'を比較し、防曇効果が得られる温度以下
に吹き出し空気温度Tout を冷却可能な範囲内で、回収
熱吸熱用熱交換器85での熱交換量(吸熱量)が増加さ
れる。すなわち、第1のバルブ84の開度が増大し、回
収熱吸熱用熱交換器85の吸熱量が増えれば、放熱用車
室内熱交換器33での吹き出し空気温度Tv が高くなる
ので、コンプレッサ31の仕事量を低下させる制御が行
われて、コンプレッサ入力が低減する。コンプレッサ入
力が低減し、コンプレッサ31の仕事量が減少すると、
放熱用車室内熱交換器33の吹き出し空気温度Tv の上
昇は抑えられ、吸熱用車室内熱交換器35の吹き出し空
気温度Tout は高くなる方向に移動する。吸熱用車室内
熱交換器35の吹き出し空気温度Tout が高くなって
も、充分な防曇効果(窓晴れ性)が得られる場合には、
さらに回収熱吸熱用熱交換器85での吸熱量を増加させ
て、コンプレッサ31の仕事量を低減する。
【0097】一方、防曇効果が悪化する恐れが生じた場
合には、第1のバルブ84の開度を減小させて、回収熱
吸熱用熱交換器85での吸熱量を低下させる。回収熱吸
熱用熱交換器85での吸熱量が低下すると、吸熱用車室
内熱交換器35の吹き出し空気温度Tout と放熱用車室
内熱交換器33の吹き出し空気温度Tv は低下するの
で、コンプレッサ31の仕事量を増加させる制御が行わ
れる。コンプレッサ31の仕事量が増加すると、吸熱用
車室内熱交換器35の吹き出し空気温度Tout は低下
し、放熱用車室内熱交換器33の吹き出し空気温度Tv
は上昇する。吸熱用車室内熱交換器35の吹き出し空気
温度Tout が低下して、防曇性能に余裕が生じれば、再
び回収熱吸熱用熱交換器85での吸熱量を大きくする制
御を行い、防曇性能を満足する範囲内でコンプレッサ入
力を低減し、放熱用車室内熱交換器33の吹き出し空気
温度Tv を目標吹出温度に近づける。
【0098】従って、暖房運転時において、放熱用車室
内熱交換器33の吹き出し空気温度Tv を目標温度にす
ると共に、窓晴れ性を確保しながらコンプレッサ入力の
低減することができ、暖房性能の向上と除湿による窓晴
れ性と消費電力の低減とを成立させることができる。
【0099】図8は、冷房運転時のコンプレッサ制御の
フローチャートを示している。冷房運転が実行される
と、ステップS1360において、ベント吹き出しか否
かを判断する。
【0100】ベント吹き出しの場合には、吸熱用車室内
熱交換器35に流入する空気温度を目標吹出温度にまで
冷却した後に車室内に吹き出すのが最も省エネとなるの
で、ステップS1361に進み、目標吹出温度XM (T
of) を吸熱用車室内熱交換器吹き出し空気温度の目標温
度T′int に設定する。
【0101】ステップS1360において、ベント吹き
出し以外の場合には、ステップS1362に進み、バイ
レベルモードか否かを判断する。
【0102】バイレベルモードの場合には、ステップS
1364に進み、それ以外の場合には、ステップS13
63に進み、吸熱用車室内熱交換器吹き出し空気温度の
補正温度δTc を与える。この補正温度は、放熱用車室
内熱交換器33でのリヒート量が多くなるほど大きな値
に設定する。
【0103】ステップS1365では、吸熱用車室内熱
交換器吹き出し空気温度の目標温度T′int を、ステッ
プS1377で使用した温度T5 と、目標吹出温度Tof
をステップS1363またはステップS1364で与え
た補正項で補正した温度(Tof−δTc )との大きい方
の温度に設定する。
【0104】ステップS1366では、ステップS13
61またはステップS1365で算出した目標温度T′
int と吸熱用車室内熱交換器吹き出し空気温度Tout と
の差θを計算する。
【0105】ステップS1367では、ステップS13
66で算出したθの値がθ<−Soの場合には、ステッ
プS1368に進み、コンプレッサ1の仕事量を△Vc
だけ増やして吸熱用車室内熱交換器吹き出し空気温度を
下げる。θ>So の場合には、必要以上にコンプレッサ
1の仕事量が大きくなっていると判断して、ステップS
1370に進み、コンプレッサ1の仕事量を△Vc だけ
減少させる。それら以外の場合には、現状のコンプレッ
サ仕事量を維持するため、ステップS1369へ進む
【0106】要するに、本実施例に係るヒートポンプ式
冷暖房装置によれば、車室外の気候条件に左右されず安
定した制御で冷暖房能力を向上することができ、大幅な
設計変更を必要とせず、電気自動車などにも適し、しか
も除湿暖房を行なうことができる。
【0107】また、特に暖房運転時には、放熱用車室内
熱交換器33の吹き出し空気温度Tv を目標温度にする
と共に、窓晴れ性を確保しながらコンプレッサ入力の低
減することができ、暖房性能の向上と除湿による窓晴れ
性と消費電力の低減とを成立させることができる。
【0108】なお、本実施例では、一つの回収熱吸熱用
熱交換器85を吸熱用車室内熱交換器35と直列に設置
し、第1のバルブ84の開度によって回収熱吸熱用熱交
換器85での吸熱量を制御したが、本発明はこれに限る
ものではなく、複数の回収熱吸熱用熱交換器85を設け
ても良い。また、回収熱吸熱用熱交換器85を吸熱用車
室内熱交換器35と並列に設けた場合も、回収用吸熱用
熱交換器85の吸熱量を制御することによって、同様の
効果を得ることができる。
【0109】また、本実施例では、吸熱用車室内熱交換
器35の吹き出し空気温度Tout と放熱用車室内熱交換
器33の吹き出し空気温度Tv とに基づき、回収熱吸熱
用熱交換器85の熱交換量やコンプレッサ入力を制御し
たが、前記Tout に代えて、吸熱用車室内熱交換器35
の入口冷媒温度や、吸熱用車室内熱交換器35の作動温
度又は作動圧力を用いても良く、また、前記Tv に代え
て、放熱用車室内熱交換器33の出口冷媒温度や、放熱
用車室内熱交換器33の作動温度又は作動圧力を用いて
も良い。
【0110】図9は第2実施例にかかるフローチャート
を示す。本実施例の基本構成は、図2に示す実施例と同
様であるため、同符号を付して重複した説明は省略す
る。また、本実施例は、モータ出力の大きいときに図示
しないバッテリの負担軽減を図るもので、基本的な空調
制御は、図3〜図8のフローチャートに従う。
【0111】すなわち、ステップS201では、モータ
83への入力が設定値以下か否か判断する。モータ入力
が設定値よりも大きければ、車両が登坂状態や高速状態
にあり、大きなモータ出力を必要とするので、ステップ
S202以降に進んで、必要に応じて図3のステップS
5で求めた目標吹出温度Tofを修正する。一方、モータ
入力が設定値以下であれば、ステップS5で設定した目
標吹出温度Tofを修正することなく、ステップS137
2に進む。
【0112】ステップS202では、設定値以上のモー
タ入力が所定時間以上継続されたか否か判断する。設定
値以上のモータ入力が所定時間以上継続された場合は、
ステップS203に進み、目標吹出温度Tofを下げる。
これにより、モータ83の廃熱を利用して暖房運転を行
う場合に、コンプレッサ回転数の上昇が抑制されて、一
時的にコンプレッサへの入力が低減するので、車両が登
坂状態や高速状態にあり、大きなモータ出力を必要とす
る場合等に、バッテリにかかる負担を一時的に軽減し、
バッテリに無理な負担がかかるのを防止することができ
る。このような装置を目標値増減変更手段という。
【0113】図10は、第3実施例にかかるフローチャ
ートを示す。本実施例の基本構成は、図2に示す実施例
と同様であるため、同符号を付して重複した説明は省略
する。また、本実施例は、ポンプ運転の際の消費電力低
減を図るもので、基本的な空調制御は、図3〜図8のフ
ローチャートに従う。
【0114】本実施例におけるポンプは、クーラント温
度センサ69a,69bで検出したクーラント温度に応
じて、制御装置43によってON/OFF運転される。
【0115】すなわち、ステップS301で、クーラン
トの温度が設定温度以上か否かを判断し、設定温度以上
の場合は、ステップS302に進んでポンプ82をON
し、設定温度よりも低い場合は、ステップS303に進
んでポンプ82をOFFする。
【0116】これにより、モータ83の発熱量が少ない
場合や冬期等に、ポンプ82の運転を減らして消費電力
を低減することができる。
【0117】図11は、第4実施例にかかるフローチャ
ートを示す。本実施例の基本構成は、図2に示す実施例
と同様であるため、同符号を付して重複した説明は省略
する。また、本実施例は、ポンプ運転の際の消費電力低
減を図るもので、基本的な空調制御は、図3〜図8のフ
ローチャートに従う。
【0118】本実施例は、ラジエータ81を図示しない
車両の代表的な部品の周囲に配設したもので、厳冬時や
車両の部品温度が低下した場合等に、モータ83の発熱
を回収熱吸熱用熱交換器85で冷媒に吸熱して車室内暖
房に利用すると共に、ラジエータ81から放熱して周囲
温度を高め、氷結等による電気部品の絶縁劣化等を防ぐ
ことに利用する。
【0119】すなわち、ステップS401では、車両の
代表部品温度が設定温度以上か否かを判断する。車両の
代表部品温度が設定温度よりも高い場合は、氷結等が生
じないと判断して、ステップS402に進み、反対に設
定温度以下の場合は、氷結等が生じる恐れがあると判断
して、ステップS403に進む。
【0120】ステップS402では、第2のバルブ87
を閉じ、ラジエータ81からの放熱量を抑えて、回収熱
吸熱用熱交換器85で冷媒に吸熱する熱量を増やす。
【0121】ステップS403では、第2のバルブ87
を開き、ラジエータ81へ高温状態のクーラントを流入
し、モータ83の発熱をラジエータ81から放熱して、
電気部品の周囲温度を高める。
【0122】このように第2のバルブ87を開閉するこ
とによって、暖房時におけるモータ83からの発熱を効
果的に利用することができる。
【0123】
【発明の効果】以上より明らかなように、請求項1に記
載の発明によれば、暖房運転時には放熱用車室内熱交換
器で放熱すると共に、吸熱用車室内熱交換器で吸熱し、
冷房運転時には車室外熱交換器または車室外熱交換器と
放熱用車室内熱交換器との双方で放熱すると共に、吸熱
用車室内熱交換器で吸熱しているので、暖房運転時には
吸熱用車室内熱交換器の吸熱量と、コンプレッサの仕事
熱量とを放熱用車室内熱交換器で放熱し暖房能力が向上
すると共に外気の気象条件に左右されず低外気温でも運
転が可能となり安定した制御が可能となる。吸熱用車室
内熱交換器で除湿した後、放熱用車室内熱交換器で加熱
するので、除湿暖房が可能となる。空調風の除湿をした
後のリヒートは電気ヒータ等を使う必要がなく消費電力
を削減することができる。電気ヒータやエンジンの排熱
を用いることなく効率良く暖房ができるためエンジンを
持った車に限らずソーラーカーや電気自動車のような大
きな熱源を持たない場合でも適用することができる。冷
房と暖房で冷媒の流れ方向が同じであるため現在車両に
用いられている冷暖房装置を余り変更せずに適用するこ
とができ、設計上有利である。
【0124】しかも、暖房運転時は、別の熱源から回収
された廃熱を利用することにより、車室内への温風の温
度を上昇させて、コンプレッサの仕事量を低減すること
ができるので、暖房能力を維持したまま消費電力を減少
することができる。
【0125】請求項2に記載の発明では、暖房能力を維
持し、かつ吸熱用車室内熱交換器からの吹出温度を所定
温度範囲に維持して、消費電力の低減を図ることができ
る。
【0126】請求項3に記載の発明では、窓曇りと凍結
とを防止すると共にコンプレッサの仕事量を低減するこ
とができ、暖房能力と窓晴れ性を両立して維持しなが
ら、消費電力の減少を図ることができる。
【0127】請求項4に記載の発明では、冷暖房運転時
の一時的なエネルギ負担の増大を回避することができ、
急激な電力消費の発生を防止して電源への負担を軽減す
ることができる。
【0128】請求項5に記載の発明では、冷媒から熱媒
体に放熱されてコンプレッサの仕事量が増大してしまう
恐れがなく、消費電力をより確実に減少することができ
る。
【0129】請求項6に記載の発明では、代表部品の温
度を迅速に上昇させることができ、代表部品の耐久性の
向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例に係るブロック図であ
る。
【図2】この発明の第1実施例に係る冷凍サイクルの構
成図である。
【図3】この発明の第1実施例に係るフローチャートで
ある。
【図4】この発明の第1実施例に係るフローチャートで
ある。
【図5】この発明の第1実施例に係るフローチャートで
ある。
【図6】この発明の第1実施例に係るフローチャートで
ある。
【図7】この発明の第1実施例に係るフローチャートで
ある。
【図8】この発明の第1実施例に係るフローチャートで
ある。
【図9】この発明の第2実施例に係るフローチャートで
ある。
【図10】この発明の第3実施例に係るフローチャート
である。
【図11】この発明の第4実施例に係るフローチャート
である。
【図12】従来例に係る冷凍サイクルの構成図である。
【図13】新たな車両用ヒートポンプ式冷暖房装置の冷
凍サイクルの構成図である。
【符号の説明】
31 コンプレッサ 32 三方弁(冷媒流路切換手段) 33 放熱用車室内熱交換器 34 膨脹弁(膨脹手段) 35 吸熱用車室内熱交換器 37 ブロワファン(送風手段) 38 車室外熱交換器 43 制御装置(コンプレッサ制御手段) 81 回収熱放熱用熱交換器 82 ポンプ(回収手段) 83 モータ(別の熱源) 83a 廃熱回収部(回収手段) 84 第1のバルブ(吸熱選択手段) 85 回収熱吸熱用熱交換器

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷媒に仕事量を加えるコンプレッサと、 このコンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の熱を
    外気に放熱する車室外熱交換器と、 前記コンプレッサの冷媒吐出側に接続され、冷媒の熱を
    送風手段により導入された空気と熱交換して温い空調風
    を作る放熱用車室内熱交換器と、 この放熱用車室内熱交換器の冷媒流出側に接続された膨
    張手段と、 この膨張手段の冷媒流出側と前記コンプレッサの冷媒吸
    入側とに接続され、送風手段により導入された空気の熱
    を前記車室外熱交換器および前記放熱用車室内熱交換器
    の少なくとも一方から前記膨張手段を通して供給された
    冷媒と熱交換して冷たい空調風を作る吸熱用車室内熱交
    換器と、 前記コンプレッサの冷媒吐出側と前記車室外熱交換器お
    よび前記放熱用車室内熱交換器の冷媒流入側との間に設
    けられ、コンプレッサから吐出される冷媒を、冷房運転
    時に少なくとも前記車室外熱交換器に導入し、暖房運転
    時に前記車室外熱交換器を回避して前記放熱用車室内熱
    交換器に導入する冷媒流路切換手段と、前記コンプレッ
    サの仕事量を車両の熱環境条件に基づき決定した目標値
    に応じて可変制御するコンプレッサ制御手段と、 車両の別の熱源からの廃熱を熱媒体を介して回収する回
    収手段と、 この回収手段に接続され、前記コンプレッサへ吸入する
    冷媒と前記廃熱を回収した熱媒体とを熱交換させる回収
    熱吸熱用熱交換器と、 この回収熱吸熱用熱交換器と前記回収手段との間に設け
    られ、暖房運転時に前記回収熱吸熱用熱交換器に選択的
    に前記熱媒体を導入する吸熱選択手段とからなることを
    特徴とする車両用ヒートポンプ式冷暖房装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の車両用ヒートポンプ式冷
    暖房装置であって、前記吸熱選択手段は、前記吸熱用車
    室内熱交換器の冷却状態を設定温度範囲内に維持しつ
    つ、前記回収熱吸熱用熱交換器での熱交換量を大とする
    ように前記熱媒体の導入を行うことを特徴とする車両用
    ヒートポンプ式冷暖房装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の車両用ヒートポンプ式冷
    暖房装置であって、前記吸熱選択手段は、前記吸熱用車
    室内熱交換器の冷却状態を、車室内気温度及び外気温度
    の関係で窓曇りを生じない温度を下回り、かつ前記吸熱
    用車室内熱交換器の凍結温度を上回る範囲内に維持しつ
    つ、前記回収熱吸熱用熱交換器での熱交換量を大とする
    ように前記熱媒体の導入を行うことを特徴とする車両用
    ヒートポンプ式冷暖房装置。
  4. 【請求項4】 請求項1、請求項2、又は請求項3記載
    の車両用ヒートポンプ式冷暖房装置であって、 前記コンプレッサ制御手段は、車両の走行負荷を検出す
    る手段からの信号に応じて、前記目標値を、走行負荷が
    高い時にはコンプレッサの稼働率を低減する値に設定
    し、走行負荷が低い時にはコンプレッサの稼働率を上昇
    させる値に設定する目標値増減変更手段を有することを
    特徴とする車両用ヒートポンプ式冷暖房装置。
  5. 【請求項5】 請求項1、請求項2、請求項3、又は請
    求項4記載の車両用ヒートポンプ式冷暖房装置であっ
    て、 前記吸熱選択手段は、前記回収手段の熱媒体の温度が前
    記コンプレッサへ吸入する冷媒温度よりも低いとき、前
    記回収熱吸熱用熱交換器への熱媒体の導入を停止するこ
    とを特徴とする車両用ヒートポンプ式冷暖房装置。
  6. 【請求項6】 請求項1、請求項2、請求項3、請求項
    4、又は請求項5記載の車両用ヒートポンプ式冷暖房装
    置であって、 前記回収手段に接続され、前記廃熱を回収した熱媒体の
    熱を車両の代表構成部分近傍に放熱する回収熱放熱用熱
    交換器を設け、前記代表部品の温度が設定温度よりも低
    いとき、前記回収熱放熱用熱交換器に前記熱媒体を導入
    することを特徴とする車両用ヒートポンプ式冷暖房装
    置。
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