JPH06220752A - 横編機における選針装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 損耗を少なくし、動力費を少なくすると共
に、ニードルベッドの長さ、セレクトジャックやセレク
ターの長さを小とすることにより編機自体を小型化す
る。 【構成】 ニードル６またはニードルジャック７の上縁
に当接し、且つその弾発力に抗して夫々を針溝４内に押
し込むことによりニードルバット又はニードルジャック
バットを選針カムと当接する位置より離去させるセレク
トジャック９を有する横編機において、セレクトジャッ
ク９に設けた先端方向に下向する斜面に続いてその上部
にワイヤー係合部を設けると共に、上記下向方向斜面及
びワイヤー係合部に係合するワイヤーを設け、上記セレ
クトジャックの上昇時セレクトジャック９を針溝内に押
し込みセレクトジャック９と当接するニードル６又はニ
ードルジャック７を針溝内に押し込む。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は横編機における選針装
置、特にアクチェータによりセレクター，セレクトジャ
ックを介して選針を行なう装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の編機はキャリッジ選針部にはセレ
クタレイジングカム，クリアカムあるいは揺動式アクチ
ェータ等の可動カムが配備されていたためそれらの機構
が複雑で部品の加工及び組付調整にも時間を要しコスト
がかかった。

【０００３】また、ウエルトポジションの針を編成用カ
ムに当接させないようにするため、編地編成中に同針の
バット或いは同針に対応するニードルジャックのバット
を針或いはニードルジャックの弾性に抗してプレッサー
カムによりセレクトジャックを介してニードルベッド内
に沈める必要があり、プレッサーカムとバットとの間に
生ずる摩耗或いは両者間に生ずる摺動抵抗、更にはキャ
リッジへの大きな応力等種々の問題があった。

【０００４】また、上記選針のため広範囲に亘る選針部
の領域が針溝長手方向に設けられているためニードルベ
ッド及びキャリッジの大型化、重量化が余儀なくされて
いた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の点に
鑑みて、編成時においてバットをプレッサーカムにより
針溝内に押し込むことにより生ずる摺動抵抗を少なくす
ることによって、カムとバット間の摩耗，損耗を少なく
し、動力費を少なくすると共に、選針部の領域を小とす
ることにより針摺動方向のニードルベッドの長さ、セレ
クトジャックやセレクターの長さを小とすることにより
編機自体を小型化することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】ニードルまたはニードル
ジャックの上縁に当接し、ニードルまたはニードルジャ
ックの弾発力に抗してニードル又はニードルジャックを
針溝内に押し込むことによりニードルバット又はニード
ルジャックバットを選針カムと当接する位置より離去さ
せるセレクトジャックを有する横編機において、セレク
トジャックに設けた先端方向に下向する斜面に続いてそ
の上部にワイヤー係合部を設けると共に、上記下向方向
斜面及びワイヤー係合部に係合するワイヤーを設け、上
記セレクトジャックの上昇時セレクトジャックを針溝内
に押し込みセレクトジャックと当接するニードル又はニ
ードルジャックを針溝内に押し込むようにし、また、セ
レクトジャックバットの背面に突出片を設け、セレクタ
ー頭部とセレクトジャックとの当接部位を、前記突出片
と突出片基部の下部凹部とすることにより、セレクター
のストロークは同一であってもセレクトジャックの上昇
位置を高低２位置とすることを可能とした。

【０００７】

【作用】本発明装置による選針では、第１の選択過程で
Ａポジションとなる針を、第２の選択では第１の選択で
残ったＨポジションとＢポジションの針の内からＨポジ
ションとなる針を選択する。残りがＢポジションの針と
なる。セレクターはそれぞれ対応するセレクトジャック
を持つがキャリッジがニードルベッド端部に位置してい
るときは、セレクトジャック下げカムによりすべてのセ
レクトジャックはそのバットをＢポジションに位置され
ている。また、セレクターも針溝内を最下降されてい
る。。

【０００８】第１の選択過程でＡポジションとなる針を
選出する。Ａポジションをとらせる針に対応するスライ
ドチップをアクチェータにより吸引し、Ｈポジションと
Ｂポジションをとらせる針に対応するスライドチップは
吸引しない。

【０００９】Ａポジションをとる針に対応する吸引され
たスライドチップは、吸引状態のままアクチェータの山
形案内部の傾斜を過ぎることで針溝から突出しセレクタ
レイジングカムの山に当接し、該カムにより針溝内を上
昇され、スライドチップと一体のセレクターも針溝内を
上昇する。

【００１０】前記セレクターの針溝内での上昇によりセ
レクター頭部はセレクトジャックに当接するが、セレク
トジャックはセレクトジャックプレッサーのプレス面に
より針溝内に押し込まれているためにセレクター頭部は
該セレクターに対応するセレクトジャックの突出片に当
る。セレクトジャックは、セレクター頭部に押されて針
溝内をＡポジションに上昇し頭部斜面とワイヤーとを係
合させ、頭部をワイヤーの下位に挿入し、ワイヤーと係
合部とを係合することにより針溝内にバットを没した状
態で、該バットは選針カムと当接することなくＡポジシ
ョンに固定される。上記係合によりＡポジションのニー
ドルジャックはセレクトジャックにより針溝内方向に押
圧されているため、そのニードルジャックバットを針溝
外に突出出来ず針溝４内に沈められる。キャリッジの進
行によりセレクトジャックプレッサーによるセレクトジ
ャックプレッサーへの押圧が解かれても、セレクトジャ
ックは係合部をワイヤーに係合しているためニードルジ
ャックを押し続け、ニードルジャックバットは針溝外に
突出することは出来ない。この状態はレイジングカム通
過後、レイジングカムを挟んで対称位置にあるもう一方
のセレクトジャック下げカムによりセレクトジャックが
引き下げられるまで続く。即ちウエルトポジションとな
る。上記の過程でＡポジションのバットを持つセレクト
ジャックに対応する針と、それ以外のポジションのバッ
トを持つセレクトジャックに対応する針との２種に選別
される。

【００１１】引き続くキャリッジの移行によって、第２
のアクチェータによる第２の選別が行なわれる。先に第
１の選別でＡポジションに選別されたセレクトジャック
は、上記の如く固定状態を保ち第２のアクチェータをそ
のまま通過する。第１の選別で選出されなかったセレク
トジャックの内、Ｈポジションをとる針に対応するもの
をアクチェータは吸引する。吸引選別されたスライドチ
ップは、アクチェータの後行側にあるセレクタレイジン
グカムの山によって針溝内を上昇され、該スライドチッ
プと一体のセレクターは針溝内を上昇し、頭部がそれに
対応するセレクトジャックに当接する。しかし、このと
きはセレクトジャックバットがセレクトジャックプレッ
サーの位置を通過し、セレクトジャックプレッサーによ
る押圧を解かれているので針溝内には没しておらず、セ
レクター頭部はセレクトジャックの突出片の下部凹部に
当接し、セレクトジャックはＨポジションまでしか上昇
できない。上記第２の選別においてＨポジションに選出
されなかった残りのセレクターは、全く上昇することが
ないからそれに対応するセレクトジャックバットはＢポ
ジションを保つ。

【００１２】

【実施例】本発明の実施の一例を図面と共に説明する。
本発明装置では、選択過程でＡ，Ｂ及び中間のＨポジシ
ョンの３ポジションにに選針する。Ａ，Ｈ，Ｂポジショ
ンは本実施例では、それぞれウエルト，タック，ニット
ポジションとなる。また、本発明を目移し等の場合にも
実施出来ることは勿論である。図１，図２にニードルベ
ッド１の断面を示す。ニードルベッド１には複数の並行
した溝２を切削し、該溝２にニードルプレート３を嵌挿
することにより隣接するニードルプレート３間に針溝４
を構成している点は従来の編機と同一である。

【００１３】列設するニードルプレート３には帯金５
ａ，５ｂを挿通し互いにその位置を固定し、また、針６
等の脱落を防止している。針溝４内には針６，ニードル
ジャック７，セレクター８，セレクトジャック９が摺動
自在に挿入されている。また、位置を固定した状態でセ
レクトジャック９の位置決め用のスプリング１０が挿入
されている。スプリング１０は、セレクター８と重ね合
わせの状態で針溝４に挿入されておりスプリング１０と
セレクター８とを重ねた厚さがセレクトジャック９の厚
さと同じとしている。ニードルジャック７は、頭部を針
６に係合し中央にニードルジャックバット１１を有し、
その背面にセレクトジャック９の頭部１２を当接するこ
とにより、該頭部１２を針溝４外に突出する方向の弾性
を持っている。そして、ニードルジャック７は各ニード
ルプレート３を通して針溝４を横切る方向に設けたワイ
ヤー１３に背面を当接して、ニードルジャックバット１
１の針溝外に突出する最高位置を規制されている。

【００１４】セレクトジャック９は、頭部１２をニード
ルジャック７の背面に、また、背面と尾部下部とを、ワ
イヤー１３と同様にニードルプレート３に設けたワイヤ
ー１４，１５に当接して針溝４内に設けられている。セ
レクトジャック９は前述するニードルジャック７の、針
溝外に突出しようとする弾発力を頭部１２に受け、頭部
１２に設けたセレクトジャックバット１６を針溝４外に
出す方向に付勢されている。セレクトジャック９の針溝
４内における最上昇位置は頭部１２がワイヤー１３に当
接した位置であり、このときセレクトジャックバット１
６は、Ａポジションをとる。セレクトジャックバット１
６の背部には突出片１７を構成し、頭部１２には先端か
らバット１６の方向に延び、上昇する斜面１２Ｓを形成
する。斜面１２Ｓの最上昇位置とバット１６との間には
ワイヤー１３とセレクトジャック９との位置を固定する
係合部１２Ｌを設ける。前記突出片１７及び突出片１７
の下位に出来る下部凹部１７Ｄのいずれにもセレクター
８の頭部１８が当接出来る。セレクトジャック９の尾部
下縁には位置決め用の凹陥部１９，２０，２１が３箇所
設けられ、スプリング１０の弾発力によりワイヤー１５
と係合している。スプリング１０は図２のＢに示す如く
頭部のフック２２及び段部２３をそれぞれワイヤー２
４，ワイヤー１４に係止し、長く延びた尾部２５をセレ
クトジャック９の尾部背面に当接し、セレクトジャック
凹陥部１９，２０，２１とワイヤー１５との係合を確実
なものとしている。

【００１５】セレクター８はスプリング１０と重ね合わ
された状態でワイヤー１４，２４間に摺動自在に支持さ
れニードルベッド尾部の帯板５ｂにより脱落を防止され
ている。セレクター８はその頭部１８を下前方に屈曲し
屈曲段部２６を形成してセレクトジャック９の突出片１
７，下部凹部１７Ｄのいずれかに当接して上昇しセレク
トジャック９を上昇させ得る。

【００１６】セレクター８の尾部には、板状のスライド
チップ２９を嵌め合い支持している。スライドチップ２
９は板状体の上端縁をアクチェータ３０の磁極３１に接
することが出来るようにしている。

【００１７】キャリッジ４０につき次に説明する。図示
の例は１ロック式のもので、ロックの先行側に２つのア
クチェータを有しキャリッジの１行程動で針をＡ，Ｈ，
Ｂの３ポジションに選別することの出来るタイプを示
す。キャリッジ４０の地板４１に設けたレイジングカム
４２の両側に、度山４３，４４をレイジングカム４２の
斜面４５，４６に添って昇降可能に設ける。度山４３，
４４の下位には、ニードルジャックバット１１を案内す
るガイドカム５２，５３を設ける。ガイドカム５２，５
３は、対称形なのでその一方のガイドカム５２につき説
明し、同一構造の部分の符号は同一とする。ガイドカム
５２は、上部にレイジングカムの斜面４５に続くニード
ルガイド縁４５ａを有する山形をなし、その下位には中
心線を同一にしてセレクトジャックプレッサー５４を設
ける。

【００１８】セレクトジャックプレッサー５４は、その
両側にセレクトジャックバット１６を針溝４内に押し込
むための押込斜面５６，５７を有し地板４１より一段高
いプレス面５８を有している。プレス面５８はＡ，Ｈ，
Ｂポジションにあるセレクトジャックバット１６のすべ
てに当接できる巾を有している。斜面５７に隣接してセ
レクトジャックバット１６を針溝４内で引き下げるため
の引き下げ斜面５９と、前記バット１６を針溝４内に押
し込むための押込斜面６０を有するセレクトジャック下
げカム６２を地板４１に対して出没自在に設けている。
レイジングカム４２の下位にはタックプレッサー６４を
設ける。図示の例ではセレクトジャックプレッサー６４
はＨポジションに位置している。

【００１９】ガイドカム５２，５３のそれぞれの下位に
それぞれ２基アクチェータ３０Ａ，３０Ｂ及び３０Ｃ，
３０Ｄからなる選別装置６５Ａ，６５Ｂ，６６Ａ，６６
Ｂを設ける。アクチェータ３０Ａ，３０Ｂ，３０Ｃ，３
０Ｄは共に同一構造であるので、アクチェータ３０Ａに
ついて説明する。アクチェータ３０Ａには磁極３１Ａ，
３１Ｂを含む２つの山形案内部６７，６８を若干の間隔
を置いて平行して設けてある。それぞれの山形案内部６
７，６８の磁極３１Ａ，３１Ａが同時に、また磁極３１
Ｂ，３１Ｂが同時に励磁される。

【００２０】山形案内部６７，６８は同一構造であるの
で、山形案内部６７につき説明する。山形案内部６７は
中央の最突出部分６９は平坦でその両側の斜面７０，７
１内で最突出部分６９に近い位置に磁極３１Ａ，３１Ｂ
を設けている。磁極３１Ａ，３１Ｂは同時に励磁しても
良いし、また、キャリッジの進行方向で後側となった磁
極のみ励磁しても良い。

【００２１】アクチェータ３０Ａ，３０Ｂ，３０Ｃ，３
０Ｄの上下にセレクタガイドカム８０，セレクタレイジ
ングカム８１を設ける。セレクタガイドカム８０はセレ
クタレイジングカム８１で上昇されたセレクター８のス
ライドチップ２９を受け案内するものである。セレクタ
レイジングカム８１は、アクチェータ３０Ａ，３０Ｂの
中間及びアクチェータ３０Ｃ，３０Ｄの中間に、スライ
ドチップ２９と当接しスライドチップ２９を最上昇させ
る山８２，８３を設け、更にアクチェータ３０Ｂ，３０
Ｃのキャリッジ４０の中心側に位置して山８４，８５を
設ける。山８４，８５のキャリッジ中心寄りの半分は進
行して来たスライドチップ２９が山を乗り越えられるよ
う斜面８６，８７としている。上記セレクタレイジング
カム８１が設けられている高さは、アクチェータ３０
Ａ，３０Ｂ，３０Ｃ，３０Ｄの山形案内部６７の最高突
出部分６９と同高とし、アクチェータ３０Ａ，３０Ｂ，
３０Ｃ，３０Ｄの磁極３１Ａ，３１Ｂに吸引されて斜面
７１を上昇したスライドチップ２９以外は当接しないよ
うな位置にある。アクチェータ３０Ａ，３０Ｂ，３０
Ｃ，３０Ｄの山形案内部６７に対向するような位置にス
ライドチップ２９の振れ止め用のカム８８を設ける。

【００２２】次に本発明装置の上記実施例の作用につき
説明する。今、キャリッジ４０が図３において右から左
に矢印方向に移動しコースの編成をしようとしたとす
る。このとき、その前のコースの編成時にはキャリッジ
は図３において左から右の反矢印方向に移動しているの
であるから、そのときにセレクター８のスライドチップ
２９はセレクタガイドカム８０とセレクタレイジングカ
ム８１との間を右から左に進行し、スライドチップ２９
がセレクタレイジングカム８１の山８４に当接した場
合、スライドチップ２９は山８４の斜面８６によって針
溝４に押し込まれ以後セレクターレイジングカム８１と
は接することなしにアクチェータ３０Ｂ，３０Ａを通過
する。このときセレクトジャック８はそのバット１６を
Ａ，Ｈ，Ｂのいずれかのポジションに位置させており、
セレクトジャック下げカム６２はキャリッジの地板４１
より突出した状態となっているため、セレクトジャック
バット１６はセレクトジャック下げカム６２の引き下げ
斜面５９によりすべてＢポジションに引き下げられてい
る。前述の如く、セレクター８のスライドチップ２９は
セレクタレイジグカム８１とは接しない位置にあるた
め、キャリッジ４０の進行につれセレクトジャック８は
山８２で上昇されることなくＢポジションを保ったまま
となる。

【００２３】このように、キャリッジ４０の右方向への
移動による前コースの編成終了時に、セレクトジャック
９のバット１６はすべてＢポジションに位置している。
そしてキャリッジ４０の左方向への移動により新たにコ
ースの編成が開始される。

【００２４】新コースの編成はキャリッジ４０の左方向
への進行により先行側のアクチェータ３０Ａを含む選別
装置６５Ａで第１段の選針によりＡポジションの針を選
出し、Ｈポジション，Ｂポジションの針を残し、次にア
クチェータ３０Ｂを含む選別装置６５Ｂで第２段の選針
を行ない、先に残したＨポジション，Ｂポジションの針
の中からＨポジションの針を選出し、Ｂポジションの針
を残すことにより３種の針を選別する。

【００２５】選別すべき針に対応するスライドチップ２
９が磁極３１Ａに対位するとき、アクチェータ３０Ａが
作動し磁極３１Ａが励磁されるか励磁されないかで選別
が行われる。Ａポジションの針を選出しＨポジション，
Ｂポジションの針を残す第１の選別を次に説明する。

【００２６】Ａポジションの針に対応するスライドチッ
プ２９がアクチェータ３０Ａの磁極３１Ｂに対位すると
き励磁し、アクチェータ３０Ａの磁極３１Ｂの励磁によ
り吸引されたスライドチップ２９はキャリッジ４０の進
行（図２のＣ矢印方向）につれ山形案内部６７，６８の
最突出部分６９から山形案内部６７，６８の斜面７１に
接し（図２のＣ）、スライドチップ２９はその側縁をセ
レクタレイジングカム８１の山８２と接し、スライドチ
ップ２９は図１のＡに示すが如く右方に押される。この
ときセレクトジャックバット１６はセレクトジャックプ
レッサー５４のプレス面５８で針溝４内に押し込まれて
いるため、セレクター８の頭部１８とセレクトジャック
９の突出片１７とが当接し、セレクトジャック９は針溝
４内を上昇し、その頭部１２をワイヤー１３に当接し、
斜面１２Ｓがワイヤー１３の下に入り込み、ワイヤー１
３とセレクトジャック９の係合部１２Ｌとが係合し、セ
レクトジャックバット１６はセレクトジャックプレッサ
ー５４による押圧が解かれても図１のＡに示す状態を保
ち、ニードルジャック７を針溝４内に押し込みニードル
ジャックバット１１は針溝４外に突出しない。即ち、本
実施例では、ニードルジャックバット１６がＡポジショ
ンのとき、ニードル６はウエルトポジションとなる。

【００２７】アクチェータ３０Ａの磁極３１Ｂに対位す
るときに、磁極３１Ｂが励磁されなかったスライドチッ
プ２９は、磁極に吸引されることなく、従って、山形案
内部６７，６８の斜面７１に接することもなく、キャリ
ッジが移動を開始したときと同じ姿勢を継続し、該スラ
イドチップ２９と一体のセレクター８に対応するセレク
トジャック９のバット１６はＢポジションを保ってい
る。

【００２８】次に第２次の選択が行なわれる。上記第１
次の選択で残されたＢポジションのセレクトジャック９
に対応するスライドチップ２９はそのままの位置を保っ
たままでいる。その中から第２次の選別で選出されるの
は、Ｈポジションとなるスライドチップである。即ちア
クチェータ３０Ｂによって、前記Ｂポジションをとるセ
レクトジャック９の中からＨポジションとなるものを選
出する。即ち、アクチェータ３０Ｂの磁極３１Ｂをスラ
イドチップ２９が通過するとき励磁することによってＨ
ポジションにするセレクター８のスライドチップ２９を
吸引し、山形案内部６７，６８の斜面７１に当接し、該
スライドチップ２９を針溝４から引き出し、セレクタレ
イジングカム８１の山８４に当接し針溝内を上昇させ
る。このとき、当接するセレクトジャック９のバット１
６は、先述の如くＢポジションにあり、かつ、キャリッ
ジの左行時（図３の矢印方向）にはセレクトジャック下
げカム６２は地板４１に没しているから、バット１６は
いずれのカムによっても針溝内に押し込まれず、セレク
ター８の頭部１８はセレクトジャック９の下部凹部１７
Ｄに係合し、セレクター８のスライドチップ２９がセレ
クタレイジングカム８１の山８４を上昇することによっ
てセレクトジャックバット１６は針溝４に全く沈められ
ることなくＨポジションまで上昇する（図１のＢ）。ニ
ードルジャック７はセレクトジャック９により針溝４内
に沈められることなくバット１１を針溝４より突出し、
キャリッジの進行につれレイジングカム４２の斜面４５
と接し、針６は針溝４内を上昇する。しかし針６がタッ
ク位置まで上昇したときに、セレクトジャックバット１
６はタックプレッサ６４と接し針溝４内に押込まれるの
で、ニードルジャックバット１１も針溝内に押し込ま
れ、レイジングカム４２の斜面４５との接触を断つため
それ以上の針６の上昇はなくタック位置となる。

【００２９】上記スライドチップ２９が、アクチェータ
３０Ｂの磁極３１Ｂを通過する時励磁されなかったスラ
イドチップ２９はそのままＢポジションにあり、キャリ
ッジ４０の進行にともない針溝４から突出した状態のニ
ードルジャック７のバット１１をレイジングカム４２に
当接し斜面４５を上昇するが、Ｂポジションのセレクト
ジャックバット１６はキャリッジの進行につれても当接
するプレッサーはないので押し沈められることはなく、
従って、それに対応するニードルジャックバット１１も
針溝から突出した状態を保ち続けるので、レイジングカ
ム４２の斜面４５の頂部まで上昇しニット編成となる
（図２のＡ）。

【００３０】本発明装置を用い予備選針により選針を行
なう実施例を図４と共に次に説明する。本実施例にあっ
ては、第１の実施例におけるキャリッジ４０のレイジン
グカム４２の下位に左右に設けた２基ずつのアクチェー
タ３０Ａ，３０Ｂ，３０Ｃ，３０Ｄを左右に１基ずつの
アクチェター３０Ｅ，３０Ｆとしたもので、キャリッジ
の一行程で予備選針をし、次の反転時に更に選針するこ
とにより針を３群に分けることが出来るようにしてい
る。

【００３１】第１の実施例と異なる構成は、アクチェー
タ３０Ｅ，３０Ｆの外側部に位置するセレクタレイジン
グカム８１Ａの山８２Ａ，８３Ａにおいてアクチェータ
とは反対側に位置する側面に斜面８２ａ，８３ａを設け
た点のみである。

【００３２】次に、第２の実施例である予備選針による
選針の実施例の作用につき説明する。以下説明する例で
は、キャリッジの前コース編成時における移行時におけ
る予備選針時にＡポジションを選出し、次に反転動時の
選針でＨポジションを選出し、残りをＢポジションとす
る。

【００３３】今、キャリッジ４０Ａが図４において右か
ら左に矢印方向に移動しコースの編成をしようとしたと
する。このとき、その前のコースの編成時にはキャリッ
ジ４０Ａは図４において左から右の反矢印方向に移動し
ているのであるから、セレクトジャック９は先の実施例
と同様にセレクトジャク下げカム６２の斜面５９によっ
て針溝４内を引き下げられＢポジションとなり、その前
にスライドチップ２９もセレクタガイドカム８０Ａによ
り最下位に引き下げられている。このとき予備選針が行
なわれる。スライドチップ２９がアクチェータ３０Ｅの
磁極３１Ａを通過するときに磁極３１Ａを励磁しＡポジ
ションの針を選出する。即ち、Ａポジションの針に対応
するセレクター８のスライドチップ２９は、磁極３１Ａ
の吸引により前記実施例と同様にセレクタレイジングカ
ム８１Ａの山８２Ａと当接し上昇し、セレクトジャック
プレッサー５４のプレス面５８で針溝４内に押し込まれ
ているセレクトジャク９の突出片１７と当接する。即
ち、セレクトジャック９は針溝４内を上昇し、その頭部
１２をワイヤー１３に当接し、斜面１２Ｓがワイヤー１
３の下に入り込み、ワイヤー１３とセレクトジャック９
の係合部１２Ｌとが係合し、セレクトジャックバット１
６はセレクトジャックプレッサー５４による押圧が解か
れても図１のＡに示す状態を保ち、ニードルジャック７
を針溝４内に押し込みニードルジャックバット１１は針
溝４外に突出しない。即ち、本実施例では、ニードルジ
ャックバット１６がＡポジションのとき、ニードル６は
ウエルトポジションとなる。

【００３４】アクチェータ３０Ｅの磁極３１Ｂに対位す
るときに、磁極３１Ｂが励磁されなかったスライドチッ
プ２９は、磁極に吸引されることなく、従って、山形案
内部６７，６８の斜面７１に接することもなく、キャリ
ッジが移動を開始したときと同じ姿勢を継続し、該スラ
イドチップ２９と一体のセレクター８に対応するセレク
トジャック９のバット１６はＢポジションを保ってい
る。この予備選針によってＡポジションの針が選出され
る。

【００３５】次に第２次の選択がキャリッジの反転移行
時に行なわれ、Ｈポジションの針を選出する。この選出
に残されたものがＢポジションとなる。

【００３６】次にキャリッジの反転移行時、即ち所定コ
ースの編成時に先とは逆にキャリッジ４０Ａは矢印方向
に左行する。左行動開始時におけるすべてのスライドチ
ップ２９は、セレクタガイドカム８０Ａによって最も引
き下げられた位置にある。そして、キャリッジ４０Ａの
図４における矢印方向の進行につれてスライドチップ２
９は、セレクタレイジングカム８１Ａの斜面８２ａと接
し、スライドチップ２９の上端縁が、アクチェータ３０
Ｅの山形案内部６７Ａ，６８Ａの最突出部６９Ａとほぼ
同一の高さまで沈められる。この状態でアクチェータ３
０Ｅとスライドチップ２９は相対するが、先にＡポジシ
ョンに選出されたセレクトジャック９に対応するスライ
ドチップ２９に対してはアクチェータ３０Ｅを作動させ
ずそのままアクチェータ３０Ｅを通過させる。

【００３７】予備選針でＡポジション選ばれた以外のセ
レクトジャック９の内、Ｈポジションをとるものを分け
るには次の如くして行なう。

【００３８】キャリッジの左行によりＨポジションに位
置するセレクトジャック９に対応するスライドチップ２
９は、前記したＢポジションのセレクトジャック９に対
応するスライドチップ２９と同様に針溝４内を最も引き
下げられた状態でアクチェータ３０Ｅに対位する。アク
チェータ３０Ｅの磁極３１Ｂの励磁があり、励磁により
吸引されたスライドチップ２９は、セレクタレイジング
カム８１の山８４Ａにより上昇されスライドチップ２９
と一体のセレクター８も上昇する。このときには、セレ
クトジャックプレッサー５４Ａによるセレクトジャック
バット１６の押圧は解かれており、セレクトジャックバ
ット１６は針溝外に最も突出しており、上記セレクター
８の上昇によりセレクター８の頭部１６はセレクトジャ
ック９の下部凹部１７Ｄと当接し、セレクター８の上昇
に押されたセレクトジャック９は、そのバットをＨポジ
ションにまで上昇する。

【００３９】一方、アクチェータ３０Ｅを通過するとき
にアクチェータ３０Ｅの磁極３１Ｂの励磁による吸引が
なかったスライドチップ２９はセレクタレイジングカム
８１Ａの山８４Ａと接することはないので上昇せずその
まま位置を保っているため、該スライドチップ２９に対
応するセレクトジャック９のバット１６はＢポジション
のままである。上記Ａポジション，Ｈポジション，Ｂポ
ジションに選針された針は本実施例ではそれぞれウエル
ト編成，タック編成，ニット編成となる。

【００４０】次にセレクターの他の実施例を図５と共に
説明する。第１の実施例と同一の部材は同一の符号を付
して説明し或いは説明を省略している。

【００４１】セレクター８Ａは頭部１８の下面に屈曲段
部２６を構成し、頭部１８を下前方に屈曲突出し、屈曲
段部２６に続く下縁をワイヤー１４に、上縁をワイヤー
２４にそれぞれ当接し、セレクター８Ａはワイヤー２
４，１４間において針溝４内を上昇下降可能に、かつ尾
部を針溝４に対し出没可能としている。セレクター８Ａ
の下縁に設けた前記屈曲段部２６は、セレクター８Ａが
最下降位置にあるときワイヤー１４と係合しセレクター
８Ａは位置決めされる。セレクター８Ａの尾部には、板
状の摺動片２９Ａを一体に設け、摺動片２９Ａの上縁２
９ａは直線状をなし、アクチェータ３０Ａ，３０Ｂ，３
０Ｃ，３０Ｄ，３０Ｅ，３０Ｆの磁極３１ａ，３１ｂに
接することが出来るようにしている。

【００４２】セレクター８Ａの上縁には凹陥部８ｂを設
け、該凹陥部８ｂに端部を嵌合固定し針溝外に突出する
ように屈曲したスプリング８ｓを設けている。スプリン
グ８ｓは、セレクター８Ａを被う状態にニードルプレー
ト３に嵌合した帯金５ｂと当接し、セレクター８Ａを針
溝４内に押し沈める役目をしている。

【００４３】前述の如く、セレクター８Ａの上縁に設け
られているスプリング８ｓが帯金５ｂと当接し、スプリ
ング８ｓの弾発力により尾部を常に針溝４内に押し込む
方向に付勢されているのでセレクター８Ａの尾部は、ア
クチェーターによる選択がないときは常にアクチェータ
ーの磁極からは離れており、アクチェーターの磁極が励
磁され選択されたときのみ尾部のスライドチップ２９Ａ
の上縁２９ａが磁極と接する。

【００４４】

【発明の効果】本発明装置は前述の如く、休止位置に位
置させる針が存在した場合、その針に対応するセレクト
ジャックを上昇させることによりセレクトジャックがニ
ードルジャック又はニードルを針溝内に押し込んだ状態
で固定することが出来、このときに、セレクトジャック
バット又はニードルジャックバットは、いずれの選針カ
ムとも当接することがなく、針溝に没した状態を保持す
ることが出来る。従って、ニードルバット又はニードル
ジャックバットがキャリッジの走行中、選針カム等と接
することがないからキャリッジへの走行抵抗を少なくす
ることが出来ると共にキャリッジへの衝撃も少なくする
ことが可能となり、各部材の耐衝撃性能も少なくし、キ
ャリッジ全重量を軽くすることも可能となる。また、本
発明装置は前述の如く、先ず第１過程で第１のポジショ
ンの針を選び、次の第２過程では前過程で選出されなか
った針の内から第２のポジションの針を選出し、残りを
第３のポジションの針とすることが出来るため、常に選
択は、選択するしないの２段階で行ないセレクトジャッ
クも移動するしないの２段のポジションをとれれば良い
ということになる。そのためにセレクトジャックやセレ
クターの長さを短くすることが可能となり、それに応じ
てニードルベッドの針溝方向の長さを短くすることが出
来る。

【００４５】更に、本発明装置にあっては、セレクトジ
ャックバットの背部に突出片及びその下位の下部凹部を
設けセレクターとの当接位置を変えることにより、セレ
クターの移動距離を少なくしてもセレクトジャックの移
動範囲を大とすることが可能となり、その分ニードルベ
ットの針溝方向は長さを小さくすることが出来、かつ、
従来の選針装置のように、機械式アクチェータ等の可動
カムの制御作動が不要なため選針装置の機構を簡素化出
来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】アクチェータを含むキャリッジの一部とニード
ルベッドの縦断面図で、ＡはＡポジションにあるセレク
トジャック等の状態を示し、Ｂは選針の第１過程終了時
のＨポジションの状態を示す。

【図２】Ａはアクチェータを含むキャリッジの一部とニ
ードルベッドの縦断面図で、セレクトジャック等のＢポ
ジションの状態を示す。Ｂはスプリングの側面図、Ｃは
キャリッジの山形案内部とセレクタレイジングカムの側
面図である。

【図３】第１実施例のキャリッジを示す平面図である。

【図４】第２実施例のキャリッジを示す平面図である。

【図５】セレクターの他の実施例を示すもので、Ａはア
クチェータを含むキャリッジの一部とニードルベッドの
縦断面図で、Ｂはセレクターの側面図である。

【符号の説明】

１ ニードルベッド ４ 針溝 ６ ニードル ７ ニードルジャック ８，８Ａ セレクター ９ セレクトジャック １２ セレクトジャック頭部 １４，１５，２４，２６ ワイヤー １６ セレクトジャックバット １７ 突出部 １７Ｄ 下部凹部 １８ セレクター頭部 ２７ 斜面 ２９，２９Ａ スライドチップ ３０Ａ，３０Ｂ，３０Ｃ，３０Ｄ アクチェータ ３１Ａ，３１Ｂ 磁極

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ニードルまたはニードルジャックの上縁
   に当接し、ニードルまたはニードルジャックの弾発力に
   抗してニードル又はニードルジャックを針溝内に押し込
   むことによりニードルバット又はニードルジャックバッ
   トを選針カムと当接する位置より離去させるセレクトジ
   ャックを有する横編機において、セレクトジャックに設
   けた先端方向に下向する斜面に続いてその上部にワイヤ
   ー係合部を設けると共に、上記下向方向斜面及びワイヤ
   ー係合部に係合するワイヤーを設け、上記セレクトジャ
   ックの上昇時セレクトジャックを針溝内に押し込みセレ
   クトジャックと当接するニードル又はニードルジャック
   を針溝内に押し込むことを特徴とする横編機の選針装
   置。
2. 【請求項２】 セレクトジャックバットの背面に、突出
   片及び下位に下部凹部を設け、セレクター頭部とセレク
   トジャックとの当接部位を、前記突出片と突出片基部の
   下部凹部としたことを特徴とする請求項１記載の横編機
   における選針装置。