JP2604677B2 - 横編機におけるトランスファージャック - Google Patents

横編機におけるトランスファージャック

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JP2604677B2
JP2604677B2 JP4337328A JP33732892A JP2604677B2 JP 2604677 B2 JP2604677 B2 JP 2604677B2 JP 4337328 A JP4337328 A JP 4337328A JP 33732892 A JP33732892 A JP 33732892A JP 2604677 B2 JP2604677 B2 JP 2604677B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、横編機におけるトラン
スファージャックに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】一般的な横編機は、編針を摺動自在に収
納してなるニードルベッドを側面形状において頭部を逆
Ｖ字状に対向させて配設してあり、こうした横編機で
は、例えば前後の編針を用いて編まれるゴム編み等の両
面内減らしを行うことは不可能であった。
【０００３】そこで、こうした問題に対処するために先
ず、特公昭４１−７９０７号公報に記載されているよう
に、編針を摺動自在に収納してなるニードルベッドを、
側面形状において逆Ｖ字状に配設し、ジャック溝にトラ
ンスファージャックを進退可能に収納したトランスファ
ージャックベッドを各ニードルベッドの上方に設け、目
移しする編目を編針からトランスファージャックに移
し、編目を係止したトランスファージャックを横方向に
移動させた後、編目を受け渡す所望の編針にトランスフ
ァージャックの編目を渡すように目移し装置を有する横
編機がある。
【０００４】また、特開平１−１６８９４３号公報に開
示されているように、ニードルベッドの上方に支持部材
を介してトランスファージャックベッドを支持し、先端
に編目係止部を形成したトランスファージャックをトラ
ンスファージャックベッドに進退摺動可能に収納し、ト
ランスファージャックをキャリッジと同行する目移しカ
ムで進退操作するとともに、トランスファージャックベ
ッドの一側方に形成された駆動手段を駆動させてトラン
スファージャックベッドを横移動させ、トランスファー
ジャックの編目係止部に係止させた編目を横方向に移動
させた後、所定の編針に目移しできるようにした目移し
装置を有する横編機がある。
【０００５】加えて、本出願人が先に提案している特公
平１−５７１７３号公報に記載されているように、針溝
に編針を摺動操作可能に設けた前後一対のニードルベッ
ドを上下に配設した所謂“四枚ベッド”を形成し、各ニ
ードルベッドの編針を進退調節して編目の受け渡しする
とともに、各ニードルベッドを横方向に移動操作するこ
とにより、編目を横方向に目移しできるようにした目移
し装置を有する横編機もある。
【０００６】更に、特開昭６３−２５６７５２号公報
や、本出願人が先に提案した特公昭５６−２１８５４号
公報に記載されているように、ニードルベッドの上方に
トランスファージャックをジャック溝に進退可能に収納
したトランスファージャックベッドを設け、目移ししよ
うとする編目を編針からトランスファージャックに移
し、編目を係止したトランスファージャックを横方向に
移動させた後、編目が受け渡される編針にトランスファ
ージャックの編目を渡して目移しを行うようにした目移
し装置を有する横編機等が知られている。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記公報に
記載された横編機におけるトランスファージャックの殆
どの編目係止部がジャック本体とその一側に沿わせて設
けられた弾性材料からなる板部材とで、平面視において
編針の先端部の侵入を許し、先端部が弾性閉止している
編目受け渡し孔を形成するようにしてある。
【０００８】このため、編目係止部に係止された編目に
張力が作用すると、板部材が簡単に弾性変形して編目受
け渡し孔が潰れてしまい、編針が編目受け渡し孔に入れ
ないことから編目の受け渡しが行えないと言う問題があ
った。また、編目拡開部が此処で開いた編目の張力で弾
性変形したりすると、トランスファージャックの編目係
止部の基端部が編針の編目拡開部に引っ掛り、良好な編
目の受け渡しが行え無くなると言う問題があった。
【０００９】本発明は上記問題点に鑑み提案されたもの
で、編目受け渡し孔に編針の先端部を確実に挿通出来、
また、編針の編目拡開部にトランスファージャックの編
目係止部を確実に侵入できるようにして編目の受け渡し
を正確にできるようにすることを目的とするものであ
る。
【００１０】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明に係る横編機におけるトランスファージャック
は、トランスファージャックのジャック本体の先端部に
編目係止部を形成したトランスファージャックをジャッ
ク溝に進退摺動可能に収納してなる横編機におけるトラ
ンスファージャックにおいて、編目係止部に編針の侵入
を許す編目受け渡し孔を形成し、該編目受け渡し孔は少
なくとも一側部を弾性を有する板状に形成することによ
り先端部を弾性閉止させるとともに、編目受け渡し孔の
下縁部に編針の侵入をガイドするガイド面を形成したこ
とを特徴とするものである。
【００１１】また、ジャック本体の先端に形成された編
目係止部の少なくとも一方を弾性を有する板状に形成
し、該弾性を有する板状の編目係止部分の下寄り部を外
方に折り曲げて編針の侵入をガイドするガイド面を形成
することもできるし、ジャック本体の先端に形成された
編目係止部の少なくとも一方の下寄り部を切削して編針
の侵入をガイドするガイド面を形成することもできる。
【００１２】更に、編針本体の一側方に目移し用の編目
拡開部を形成した編針と、ジャック本体の先端部に対面
する一対の板状の編目係止部を形成するトランスファー
ジャックをそれぞれ有する横編機のトランスファージャ
ックにおいて、トランスファージャックの板状の編目係
止部の基端部の少なくとも一方に編目を案内するガイド
部分に形成したことも特徴の一つである。
【００１３】
【作用】ニードルベッドの所定の幅の編針間に亙ってキ
ャリッジを往復させ、所定幅の編地を編成すると、トラ
ンスファージャックの選針部を操作する選針機構もキャ
リッジとともに所定幅の端部分で折り返されて往復動す
ることになる。このキャリッジの走行に伴い、所定のト
ランスファージャックのバットが目移しカムで摺動操作
され、トランスファージャックの先端の編目係止部に目
移しされる編目が係止される。
【００１４】次に、編目係止部に係止された編目は支持
部材を介してトランスファーベッドが横方向に移動した
後、所定の編針が進出し、編目係止部に係止された編目
は所定の編針に受け渡されるのである。この所定の編針
の先端部が編目受け渡し孔に挿入する時に、トランスフ
ァージャックが横方向に移動されたりする為に編目係止
部に係止した編目の張力が高まり、編目受け渡し孔が狭
小になっていてもガイド面で編針の先端部が編目受け渡
し孔内に案内されるので編目の受け渡しが良好に行える
のである。
【００１５】また、トランスファージャックのジャック
本体の先端部に対面する一対の板状の編目係止部を形成
し、編目係止部を形成する一対の板状の編目係止部材の
内、編目拡開部に対面する側の前記板状の編目係止部の
基端部に編目を案内するガイド部分を形成したもので
は、編針からトランスファージャックに編目が移される
際に、トランスファージャックの編目係止部が編針の編
目拡開部材内に進出する際の干渉を避け、または干渉す
る場合でも当該ガイド部分の傾斜部分で衝突が緩和され
破損等の発生が防止されるのである。
【００１６】
【実施例】本発明の横編機におけるトランスファージャ
ックの一実施例を図面に基づいて説明する。図１は目移
し装置を備えた横編機の概略正面図、図２はその側面
図、図３は要部の縦断側面図であって、図中符号１は横
編機を全体的に示す。
【００１７】この横編機１は、キャリッジ２Ａ・２Ｂで
針溝７７内を進退操作される多数の編針（摺動部材）３
Ａ・３Ｂを設けた平板伏のニードルベッド４Ａ・４Ｂを
先端部が近接する状態で逆Ｖ字状に配設してフロント側
の下部ニードルベッド４Ａ、バック側の下部ニードルベ
ッド４Ｂを夫々形成し、各ニードルベッド４Ａ・４Ｂの
上部には目移し装置５が配設されており、後方のニード
ルベッド４Ｂはモータ６、駆動用スクリュー軸７、スラ
イダー８等からなる駆動手段９で横方向に移動可能に構
成されている。
【００１８】ニードルベッド４Ａ・４Ｂの針溝７７の夫
々に収納される編針３Ａ・３Ｂは、図４に示すように先
端部分にフック１０を形成した編針本体１１と、編針本
体１１の後端部に連結されるジャック１２と、ジャック
１２の後部上方にセレクトジャック１３、セレクター１
４の各部材を順に配設されて形成されており、ジャック
１２、セレクトジャック１３、セレクター１４の各部材
はその上面から突出させたバット１５Ａ・１５Ｂ、１
６、１７がこれに対応するキャリッジ２Ａ・２Ｂのカム
面７６により針溝７７内を進退操作されるようになって
いる。
【００１９】また、編針本体１１の一側面部分には編針
３Ａ・３Ｂに掛止されたループを拡開するための拡開部
材１８及び弾性付与部６１が設けられており、このルー
プ拡開部材１８は、金属製の薄板を平面視で舟形に折り
曲げ形成し、その一端を編針本体１１の一側面部分に固
着してある。
【００２０】各ニードルベッド４Ａ・４Ｂ上のキャリッ
ジ２Ａ・２Ｂのカム群は図５に示すように、図外のソレ
ノイドまたはモータにより出没するトランスファーレイ
ジングカム２０、及び略台形をした出没式のトランスフ
ァー受けカム２１とを上下に配設し、トランスファー受
けカム２１の側方にはニードルレイジングカム２２を形
成するとともに、ニードルレイジングカム２２の側方に
度山２３を夫々配設してなるカムユニットを左右に配設
してなり、当該カム群の下方には編針３Ａ・３Ｂのセレ
クター１４のバット１７に作用する選針アクチュエータ
２４が設けられ、選針アクチュエータ２４とカム群との
間には編針３Ａ・３Ｂのセレクトジャック１３のバット
１６に作用して編針３Ａ・３Ｂをニット・タック・ミス
及び目移しの各位置に作用させるプレッサー機構２５が
設けられている。
【００２１】キャリッジ２Ａ・２Ｂ間に形成される目移
し装置５は、図１及び図３に示すようにニードルベッド
４Ａ・４Ｂから夫々立設した複数の支持部材２６の上面
に平板状のトランスファージャックベッド２７Ａ・２７
Ｂをあり溝嵌合式の摺動機構７０を介して前後に支持さ
せ、両トランスファージャックベッド２７Ａ・２７Ｂは
その一端部同士を連結する移動操作用ブラケット７１
が、モータ６６、駆動用スクリュー軸６７、スライダー
６８等からなる駆動手段６９で横方向に移動操作される
ようになっている。
【００２２】こうしたニードルベッド４Ａ・４Ｂ及び目
移し装置５により、前方のニードルベッド４Ａの編針３
Ａに係止された編目は後方のニードルベッド４Ｂの編針
３Ｂ、または目移し装置５の後述するトランスファージ
ャックベッド２７Ａ・２７Ｂの各トランスファージャッ
ク（摺動部材）２９Ａ・２９Ｂに目移しできるととも
に、後方のニードルベッド４Ｂの編針３Ｂに係止された
編目も前方のニードルベッド４Ａの編針３Ａ、または目
移し装置５のトランスファージャックベッド２７Ａ・２
７Ｂの各トランスファージャック２９Ａ・２９Ｂに目移
しすることが出来るようになっている。
【００２３】前後のニードルベッド４Ａ・４Ｂから夫々
立設した複数の支持部材２６の上面にあり溝嵌合式の摺
動機構７０を介して支持されたトランスファージャック
ベッド２７Ａ・２７Ｂには、その各上面にジャック溝７
２が刻設され、このジャック溝７２に夫々トランスファ
ージャック２９Ａ・２９Ｂを進退摺動可能に収納し、ト
ランスファージャック２９Ａ・２９Ｂを選針する選針機
構３０及び進退操作する目移しカム３１等を備えてあ
る。
【００２４】このトランスファージャック２９Ａ・２９
Ｂには、図６乃至図９に示すように先端部にフック状の
編目係止部３２が、後端部に被選針部材３３が夫々形成
されており、編目係止部３２のジャック本体３４寄り部
分には括れた抉れ部７９が形成されている。
【００２５】編目係止部３２は、ジャック本体３４の左
右の両側面から中間部分をジャック本体３４にカシメ止
め６２された細幅のスプリング鋼製の板材３６を対面す
る状態で一対延出させ、平面視において両板材３６の先
端部同士が当接するように曲成して内方に編目受け渡し
孔６３を形成するとともに、当該先端部分を側面視では
フック状に形成してあり、編目受け渡し孔６３部分の板
材３６の下縁部は図１０に示すように外方に折り曲げて
その内面に傾斜したガイド面（ガイド部分）６４に形成
されている。
【００２６】また、編目係止部３２を形成する上記一対
の板材３６の内、編目拡開部１８に対面する側の板材３
６の編目係止部３２の基端部を滑らかな傾斜状部分８８
に形成するとともに、編針本体１１側の板材３６の編目
係止部３２の基端部分に編目５２を受け止める肩部８９
を形成してある（図９参照）。尚、上記ガイド面６４
は、図１１に示すように切削により形成することも出来
るし、図１２に示すように板材３６を全体的に外方に広
げた形状にすることも可能である。また、ジャック本体
３４の一側面側に位置する板材３６の基端寄り部は湾曲
させて弾性付与部３７になっている。
【００２７】そして、上記被選針部材３３は、図６また
は図８で示すようにジャック本体３４の後端部（トラン
スファージャック２９Ａ・２９Ｂの尾部）に所定幅Ｈの
プレート３８を立設し、このプレート３８部分にトラン
スファージャック２９の摺動方向に対する位相が異なる
状態で所定幅ｈの溝３９を穿設した二種類の被選針用バ
ット４０を形成し、この位相を異ならせて形成された被
選針用バット４０の同種のトランスファージャック２９
Ａ・２９Ｂの複数枚を１インチ毎に交互に並設するとと
もに、ジャック本体３４の後端部下面には異なる形状に
形成された前記被選針用バット４０に対応して後述の復
帰カム４２が作用する復帰用バット部分４１を形成して
構成されている。
【００２８】被選針部材３３の被選針用バット４０を操
作する目移しカム３１及び復帰用バット部分４１に作用
する復帰カム４２は、図３に示すように各ニードルベッ
ド４Ａ・４Ｂ上のキャリッジ２Ａ・２Ｂ及び歯口部の上
方に配設される糸道ガイド７４で形成される空間部分に
配設されている。即ち、目移しカム３１は図１３に示す
ように、前記被選針用バット４０の上記所定幅Ｈのカム
溝４３を形成したカム板４４をその下面４４ａがトラン
スファージャックベッド２７Ａ・２７Ｂの上面部分に摺
接する状態にキャリッジ２Ａ・２Ｂの側面部分から突出
させてあり、復帰用バット部分４１に作用する後述の復
帰カム４２はキャリッジ２Ａ・２Ｂに固定されたブラケ
ット５３に固定されている。また、上記カム板４４のカ
ム溝４３の中央部分には被選針用バット４０を操作する
選針手段３０のアクチュエータ４５の操作部分を露出さ
せる操作孔４６が穿設されている。
【００２９】上記アクチュエータ４５は、図３に示すよ
うにキャリッジ２Ａ・２Ｂの表面部分に固定されたケー
シング４８に二位置切換ソレノイド４９と、一端が二位
置切換ソレノイド４９に連結された揺動レバー５０を支
持軸５１に固定するとともに、この支持軸５１に下端が
アクチュエータ４５の操作部分として操作孔４６から突
出する選針用カム板４７を固定して構成された選針手段
３０を、トランスファージャック２９Ａ・２９Ｂの摺動
方向に対する位相を異ならせて形成した上記被選針用バ
ット４０にあわせて二組装着されている（図１４及び図
１５参照）。
【００３０】上記のように構成された横編機におけるト
ランスファージャック２９Ａ・２９Ｂの作用を説明す
る。ニードルベッド４Ａ・４Ｂの上方をキャリッジ２Ａ
・２Ｂが往復走行すると、キャリッジ２Ａ・２Ｂの下面
のカム面７６で所定の編針３Ａ・３Ｂの各バット１５Ａ
・１５Ｂ、１６が操作され、編針３Ａ・３Ｂが針溝７７
を進退摺動操作され、ヤーンフィーダ８３から給糸によ
り所定幅の編地が編成されるのである。
【００３１】こうして揺動レバー４７を立った状態に
し、操作されない状態に押し下げられた被選針用バット
４０は復帰カム４２により再び待機位置に復帰されるこ
とになる。
【００３２】これにより、キャリッジ２Ａ・２Ｂが編地
の端部を通過すると、目移し装置５の選針手段３０は選
針の対象になるトランスファージャック２９Ａ・２９Ｂ
外にあり、また、選針手段３０で押し下げられたトラン
スファージャック２９Ａ・２９Ｂの被選針部材４０は復
帰カム４２により待機位置に復帰されていることから、
キャリッジ２Ａ・２Ｂが反対方向に折り返されて走行し
てもトランスファージャック２９Ａ・２９Ｂの被選針用
バット４０等がその折り返し走行の障害には成らないの
である。
【００３３】次に、編目を減らして行く場合を説明する
が、便宜上、前方の編針３Ａに係止した編目５２をこれ
に隣接する同じ前方の編針３Ａへ目移しする場合を例に
図１６乃至図１７により説明する。図１６及び図１７
〔１〕〜〔４〕には前方ニードルベッド４Ａの編針３Ａ
を進退操作するキャリッジ２Ａのカム群と後方のトラン
スファージャックベッド２７Ｂのトランスファージャッ
ク２９Ｂを操作するカム板４４のカム溝４３の夫々一部
が示されており、図１６ではキャリッジ２Ａがニードル
ベッド４Ａ上を左向きに走行するものとすると、編針３
のジャック１２、セレクトジャック１３の各バット１５
Ａ、１５Ｂ、１６はキャリッジ２のカム群の中を符号
Ａ、Ｂ、Ｃ、Ｄで示すように左から右に通過するように
なる。
【００３４】そして、前方の編針３Ａがキャリッジ２の
カム群に対するＡの位置になるとトランスファーレイジ
ングカム２０によりジャック１２のバット１５Ａが徐々
に押上られて前方の編針３Ａは上昇し、図１７〔１〕に
示すように編目５２がラッチ５５を開くとともに、この
編目５２も拡開部材１８で開かれる。前方の編針３Ａが
キャリッジ２のカム群に対するＢの位置になると、図１
７〔２〕に示すように前方の編針３Ａは最大に進出する
とともに、トランスファージャック２９Ｂの被選針用バ
ット４０がカム板４４のカム溝４３で操作されてトラン
スファージャック２９Ｂが押出され、先端の編目係止部
３２が拡開部材１８で開かれた編目５２内に挿通され、
編目５２を受け取る。
【００３５】この時、編針３Ａの編目拡開部１８がこれ
で開かれた編目５２の張力で弾性変形した場合でも、ト
ランスファージャック２９Ｂの編目係止部３２は滑らか
な傾斜面状部分８８で案内され、他方の肩部９が引っ掛
かることなく編針３Ａの編目拡開部１８に良好に侵入
し、先端の編目係止部３２に編目５２の受け渡しが行え
るのである。
【００３６】この状態で前方の編針３Ａがキャリッジ２
Ａのカム群に対するＣの位置になると、トランスファー
ガイドカム２０Ａでジャック１２のバット１５Ａが徐々
に押下げられて後方の編針３が下降し始めるとともに、
トランスファージャック２９Ｂの被選針用バット４０が
カム板４４のカム溝４３で更に少し押出されのるである
が、この被選針用バット４０の押出しは図１７〔３〕に
示すように前方の編針３Ａが後退する時に閉じたラッチ
５５部分をクリアするためのものである。
【００３７】前方の編針３Ａがキャリッジ２Ａのカム群
に対するＤの位置になると、度山カム２３をジャック１
２のバット１５Ｂが通過し、図１７〔４〕で示すように
図１７〔１〕で前方の編針３Ａに係止していた編目５２
は歯口部に進出したトランスファージャック２９Ｂの先
端の編目係止部３２に受け止められた状態になる。しか
してキャリッジ２Ａのカム群が編地編成部分を通り過ぎ
ると、トランスファージャック２９Ｂはその先端の編目
係止部３２に編目５２を受け止められた状態に保持され
る。
【００３８】次に、歯口部に進出したトランスファージ
ャック２９Ｂの先端の編目係止部３２に編目５２が係止
された状態で駆動手段６９のモータ６６を駆動し、駆動
用スクリュー軸６７を回転させ、スライダー６８及び支
移動操作用ブラケット７１を介してトランスファージャ
ックベッド２７Ｂを所定ピッチ（例えば１ピッチ分）横
方向に移動させるのであるが、この時、ニードルベッド
４Ａ・４Ｂの歯口部分に形成されるシンカー等の突起物
の上方にトランスファージャック２９Ｂの先端の編目係
止部３２の本体寄りの下部に形成された抉れ部７９が位
置するので、トランスファージャックベッド２７Ｂを横
方向に移動させても、シンカーや編針３Ａ・３Ｂに干渉
することも無くトランスファージャックベッド２７Ｂを
横方向に移動させることができるのである。
【００３９】然る後、キャリッジ２Ａ・２Ｂが所定の位
置でニードルベッド４Ａ・４Ｂ上を反転すると、前記し
たのとは逆の作用で編針３のジャック１２、セレクトジ
ャック１３の各バット１５Ａ、１５Ｂ、１６は図１８で
示すようにキャリッジ２のカム群の中を符号Ｅ、Ｆ、
Ｇ、Ｈで示すように右から左に通過するようになる。即
ち、編目５２が受け渡される前方の編針３Ａがキャリッ
ジ２のカム群に対するＥからＦの位置になると、図１９
〔１〕及び図１９〔２〕に示すようにトランスファー受
けカム２１によりジャック１２のバット１５Ｂが操作さ
れ、受け渡される前方の編針３Ａが進出し、そのフック
１０が編目係止部３２の編目受け渡し孔６３に貫通しフ
ック１０に編目５２を係合した状態になる。
【００４０】この受け渡される後方の編針３Ｂのフック
１０が編目受け渡し孔６３に侵入する時、前方の編針３
Ａのフック１０で編目係止部３２に係止された編目５２
が編目係止部３２の基端部側に押し込まれようとする
が、これを肩部８９が確りと受け止めて編目受け渡し孔
６３に侵入した編針３Ｂのフック１０が編目５２の中に
挿通した状態になる。
【００４１】また、本例のように編目受け渡し孔６３部
分の板材３６の下縁部を折り曲げて編針のガイド面６４
を形成したものではトランスファージャックベッド２７
Ｂが横方向への移動に伴って、編目係止部３２が編目５
２の張力により変形しようとするのを防止するととも
に、編目受け渡し孔６３が狭小に成った場合でも、この
ガイド面６４で案内される編針３Ａのフック１０部分で
編目受け渡し孔６３を押し開き、編針３Ａを編目受け渡
し孔６３に確実に挿通させることが出来るので、編目５
２の受け渡しが良好に行えるのである。
【００４２】そして、この編目５２が受け渡される前方
の編針３Ａがキャリッジ２のカム群に対するＧの位置に
なると、トランスファーレージングカム２０により受け
渡される前方の編針３Ａが徐々に下降し、これと同時に
トランスファージャック２９Ｂの被選針用バット４０が
カム板４４のカム溝４３で操作されてトランスファージ
ャック２９Ｂが押し下げられて下降し、図１９〔３〕に
示すようにその編目係止部３２に係止していた編目５２
が、受け渡される前方の編針３Ａのフック１０に移る。
【００４３】編目５２が受け渡される前方の編針３Ａが
キャリッジ２Ａのカム群に対するＨの位置になると、ト
ランスファージャック２９Ｂの被選針用バット４０がカ
ム板４４のカム溝４３で下降され、トランスファージャ
ック２９Ｂが更に下降するとともに、編目５２を受け渡
された前方の編針３Ａが下降し、図１９〔４〕に示すよ
うに目移しが完了するのである。
【００４４】尚、上記実施例では編針をラッチニードル
にしてあるが、コンパウンドニードルにも本発明を実施
することができるのは勿論であり、上記実施例の選針部
を形成する選針用バットの種類はトランスファージャッ
クの摺動方向に対する位相が異なる状態で３種類以上に
することができるのは勿論である。また、上記実施例で
は編目受け渡し孔を二つの板材で形成するようにしてあ
るが、一方又は双方の板材はジャック本体で兼ねること
ができるのは勿論である。
【００４５】更に、後方の編針に係止した編目を同じ後
方の編針へ目移しする場合を例に説明してあるが、前方
の編針に係止した編目を同じく前方の編針へ目移しする
こともできるのは言うまでもないことである。
【００４６】
【発明の効果】本発明に係る横編機におけるトランスフ
ァージャックは、以上に説明したように、トランスファ
ージャックの編目係止部に移されて係止した編目は、目
移しの為にトランスファージャックが横方向に移動され
た後、進出した所定の編針に受け渡されるのであるが、
この編針の先端部がトランスファージャックの編目受け
渡し孔に挿入する時に、編目の張力等により編目受け渡
し孔が狭小になっていてもガイド面で編針の先端部が編
目受け渡し孔内に案内されるので編目の受け渡しが良好
に行えるのである。これにより、所望の編針に確実に目
移でき、編目の受け渡しをすることができると言う利点
ある。
【００４７】然も、編針本体の一側方に目移し用の編目
拡開部を形成した編針と、ジャック本体の先端部に対面
する一対の板状の編目係止部を形成するトランスファー
ジャックをそれぞれ有する横編機のトランスファージャ
ックにおいて、編針の編目拡開部に対面する側のトラン
スファージャックの板状の編目係止部の基端部にガイド
部分を形成したものでは、トランスファージャックの編
目係止部が編針の拡開部に侵入する時に、拡開部が編目
の張力により弾性変形しているような場合でもガイド部
分で編目係止部が編針の拡開部に案内され、編針からト
ランスファージャックへの編目の受け渡しを確実に行
え、目零れの発生等を防止することができると言う利点
がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る横編機の概略を示す一部切欠き正
面図である。
【図２】本発明に係る横編機の概略を示す一部切欠き側
面図である。
【図３】本発明に係る横編機の概略を示す要部の縦断側
面図である。
【図４】編針部分の側面図である。
【図５】キャリッジのカム群の概略を示す正面図であ
る。
【図６】トランスファージャックの側面図である。
【図７】トランスファージャックの底面図である。
【図８】トランスファージャックの側面図である。
【図９】トランスファージャックの一部切欠き斜視図で
ある。
【図１０】図６のＡ−Ａ線断面図である。
【図１１】ガイド面部分の変形例を示す図１０に相当す
る断面図である。
【図１２】ガイド面部分の変形例を示す図１０に相当す
る断面図である。
【図１３】目移しカムの正面図である。
【図１４】トランスファージャックの作動状態を示す要
部の側面図である。
【図１５】トランスファージャックの作動状態を示す要
部の側面図である。
【図１６】キャリッジのカム群と目移しカムのカム溝に
対する編針の位置関係を示す正面図である。
【図１７】〔１〕〜〔４〕は夫々図１６のＡ〜Ｄの各位
置における編針とトランスファージャックの動作関係を
示す側面図である。
【図１８】キャリッジのカム群と目移しカムのカム溝に
対する編針の位置関係を示す正面図である。
【図１９】〔１〕〜〔４〕は夫々図１８のＥ〜Ｈの各位
置における編針とトランスファージャックの動作関係を
示す側面図である。
【符号の説明】
１・・・横編機 ２・・・キャリッジ ３・・・編針 ４・・・ニードルベッド ２７・・・トランスファーベッド ２９・・・トランスファージャック ３２・・・編目係止部 ３３・・・選針部 ６３・・・編目受け渡し孔 ６４・・・ガイド面 ８８・・・傾斜状部分 ８９・・・肩部

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】トランスファージャックのジャック本体の
    先端部に編目係止部を形成したトランスファージャック
    をジャック溝に進退摺動可能に収納してなる横編機にお
    けるトランスファージャックにおいて、編目係止部に編
    針の侵入を許す編目受け渡し孔を形成し、該編目受け渡
    し孔は少なくとも一側部を弾性を有する板状に形成する
    ことにより先端部を弾性閉止させるとともに、編目受け
    渡し孔の下縁部に編針の侵入をガイドするガイド面を形
    成したことを特徴とする横編機におけるトランスファー
    ジャック。
  2. 【請求項２】ジャック本体の先端に形成された編目係止
    部の少なくとも一方を弾性を有する板状に形成し、該弾
    性を有する板状の編目係止部分の下寄り部を外方に折り
    曲げて編針の侵入をガイドするガイド面を形成したこと
    を特徴とする請求項１に記載の横編機におけるトランス
    ファージャック。
  3. 【請求項３】ジャック本体の先端に形成された編目係止
    部の少なくとも一方の下寄り部を切削して編針の侵入を
    ガイドするガイド面を形成したことを特徴とする請求項
    １に記載の横編機におけるトランスファージャック。
  4. 【請求項４】編針本体の一側方に目移し用の編目拡開部
    を形成した編針と、ジャック本体の先端部に対面する一
    対の板状の編目係止部を形成するトランスファージャッ
    クをそれぞれ有する横編機のトランスファージャックに
    おいて、トランスファージャックの板状の編目係止部の
    基端部の少なくとも一方に編目を案内するガイド部分に
    形成したことを特徴とする横編機におけるトランスファ
    ージャック。
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